2005年06月07日

エンジン Lap8

『バイバイ次郎』

チーム・イチノセ。
メカニックととして汗を流す神崎次郎(木村拓哉) 。

「先輩って、すごいっすね。
 俺正直言って、先輩にメカニックなんて地味な仕事、
 勤まらないと思っていました。」
伊吹テツヤ(石垣佑磨)の言葉に
「やってらんねーよ!・・・て?」とふざけて答える。
「やっぱ・・・辛いじゃないっすか。」元々はドライバー志望だった伊吹。
「俺なんて、結構荒れてましたからね。」
「毎回違う女いってたもんな。」
「あれは先輩のマネしてただけですよ。」
この時次郎は監督の姿に気づき、一瞬悪戯っぽい表情に。
そしてテツヤの背後に立ち、監督の姿を見せないようにしましたね!

「けど、監督一体何考えているんだろう。
 このままずっと先輩にメカニックやらせるつもりかな?」
「いや意外と何も考えてないかもよ、あの海坊主監督。」
「いや!海坊主は海坊主なりに何か考えてるでしょう、流石に。」
「海坊主で悪かったな。」
末永たまき(岡本 綾)に車椅子を押された一之瀬新作(泉谷しげる)が
言う。
テツヤ、平謝り。
たまきもクスリと笑う。
「俺は言えねーな。」次郎がテツヤをイジメル。

「少しは慣れたようだな。」監督が次郎に言う。
「いやでもまだ、タイヤの運び方わかった位ですよ。」
「久しぶりにメシでも食うか?
 今後のことについてゆっくり話しをしたい。」

「どうか走らせてあげて下さい。お願いします。」
以前監督に頭を下げたことを思い出しながらたまきが次郎を見つめる。

「はい。是非。」
「明日のオフは、俺も空くはずだから、家に来ないか?」
「はい。・・・
 あ!監督。明日なんですけど俺・・・ちょっと無理なんですよ。」
「何か予定があるのか?」
「はい。せっかくなんですけど、ちょっと。」
「仕方がないな。又声かけるよ。」
「はい。すみませんでした。」

「プライベートな用なの?
 ずらすことは出来ないの?監督がせっかく言ってくれてるのに。」
たまきが聞く。
「悪いんだけど、無理。」
「人の気もしらないで。」
次郎がたまきに接近して聞く。
「な?」
「いいえ。」
「何怒ってるの?」
Tシャツの匂い確認する次郎(笑)!
たまきの気持ちを全然わかっていません。


風の丘ホーム。
水越朋美(小雪)が子供たちの部屋にダンボールを運ぶ。
「私1つ。」と奈央(大平奈津美)。
「私は5こ。」と春海(戸田恵梨香)。
「はい。え!?そんなに?」
「だって思い出は捨てられないもん。」
「そうね。私も手伝う!」
朋美が努めて明るく声をかける。
黙々と荷造りをする子供たちに、朋美も辛い表情になる。

「手伝おうか〜!?」
神崎ちひろ(松下由樹) が園田徹(有岡大貴)・葵(佐藤未来)に
声をかける。
「もう終わったよ。」妹の葵が言う。
荷物の少なさに驚くちひろ。
「僕らは遠いので、いらないものは置いていきます。」兄の徹が答える。
「よく自分で決められたね。」
「うん!」
二人は部屋の雑巾がけを続ける。

刀根明(広田亮平)、金村俊太(小室優太)、平山盛男(小杉茂一郎)の
3人は、片付けに飽きたのか遊びだしていた。
「ほらほらお前たち何遊んでんだよ。
 ちゃんと自分の物は自分で片付けるんだぞ。」
鳥居元一郎(堺 雅人)が声をかける。
「は〜い。」
「俊太、お前、ブロックはいらないのか?」元一郎が聞く。
「明君が持っているからいい。」
「いやいや。俊太と明は別々の所に行くんだから、
 俊太は自分のブロック持っていかなきゃ。」
「ふ〜ん。」
それぞれのおもちゃをそれぞれのダンボールに詰め込む3人。
その様子を優しい眼差しで見つめる元一郎。

乱暴に自分の荷物を箱に投げ入れる塩谷大輔(石田法嗣)。
「早いなお前。」
大輔が荷造りを終え本を読む草間周平(中島裕翔)に声をかける。
「引越しは7回目ですから。」
「手伝えよ。・・・嫌ならいいけど。」大輔がそっぽを向く。
「学校のものは別にしておいた方がいいですよ。」
周平が大輔の荷造りを手伝いはじめる。

二宮ユキエ(夏帆)の荷造りを手伝う星野美冴(上野樹里)。
「いい?明日絶対に泣いたらだめだよ。」
「わかってる。」
「約束だよ。」
ユキエに真っ直ぐ見つめられ、美冴が背中を向ける。

それぞれの荷物を乗せたトラックが、ホームから走り出す。

「お疲れ様でした。」朋美が元一郎に言う。
「確かに廃園が決まってから嵐のようでしたね。」
「あの・・・お世話になりました。
 半年前、何もわからずにここにきて、いろいろ教えていただきました。
 失礼なこともいっぱいあったと思います。」
朋美は、園長の紹介でいくつか面接を受けることになっていた。
元一郎は、前に務めていた横浜の施設に行くことに。
「あの・・・また連絡してもよろしいですか?
 そんなに深い意味があるわけではなく、
 ここで一緒に過ごした人間として、お話が出来ればな、と。」
「はい!」
「・・・もう、一息ですね。がんばりましょう!」
元一郎がホームへの階段を駆け上がる。
この、もう一息、という言葉が、自分への片思いのエールに聞こえました。

『風の丘ホーム』の看板を見つめる朋美。
そこへ、次郎のバスがバックしてきた。
「お帰りなさい。」
「何やってんの?」
「ここともお別れだな、と思って。
 明日、よろしくお願いします!」
「え!?」
「え!?まさか、明日のこと忘れたわけじゃ?」
「明日なんか来ない方がいいの。
 あいつらのことよそに送り届けるために
 運転手引き受けた訳じゃねーし。」
「でも園長が決めたことですし。」
「そもそも俺が運転してーのはさ、
 ボロバスじゃなくてフォーミュラカーだっつーの。
 なんで次郎って呼び捨てにされなきゃいけねーんだよ。」
朋美は次郎のボヤキに少し笑う。

せっかく、ちょっといい雰囲気の朋美と元一郎だったのに、また次郎に
持っていかれちゃいましたね。(笑)


ホームでの最後の夕食のメニューはハンバーグの目玉焼き乗せ。
「いよいよこの風の丘ホームでの晩御飯も今夜が最後。
 明日、みんなはそれぞれ、新しいホームに別れていく訳だけども、
 一緒に暮らしたみんなのことを忘れないでくれよ。
 じゃ、園長先生からお話をいただこう。」と元一郎。
「みんな、今まで本当にありがとう。
 最後の日は、楽しくやりましょう。
 歌でも歌おうか?」
「はぁ!?」と次郎が顔をしかめる。
「いつも通りでいい」「普通でいい」
「普通が、ここの居心地良さだったもん。」と子供たちが言う。
「そう思って、いつものハンバーグにしました。
 失礼します。」
調理師の牛久保瑛子(高島礼子) がみんなと一緒に席に着く。
次郎がイスを置こうとするが、周平の方が早かった。

「じゃ、食うか。普通に。
 じゃ、元にい、よろしく。」
「いや、今日は、園長が。」
「いや、その声で、そのいい声で。」
「園長もなかなかいい声です。」
二人が譲り合っている間に
「いただきます!」次郎が切り出す。
美冴が、明が、俊太が、盛男が、奈央が、ユキエが、大輔が、
春海が、徹が、葵が、周平が、七恵(岡真由)が、職員たちが続く。

「あーあ。穴開けちゃった。もったいない!
 俺、一番美味い食い方知ってんだ。
 教えてあげようか?聞きたい?いくよ?」
目玉焼きをズズっと吸い上げる次郎。
子供たちが笑う。
春海が大輔をヒジでつつく。
美冴がユキエと顔を見合わせ笑う。
奈央が盛男のマヨネーズを奪う。
徹が葵の食器の位置を直す。
周平が瑛子と目を合わせ照れ笑いする。
ちひろが父の方を見る。
猛は七恵のハンバーグを食べやすいサイズにしながら言う。
「さっきズズズってやった人いたね。ダメよ、ああいうこと。」
「これ美味いっすよ。
 瑛子さんのハンバーグ、美味い人!ハーイ!俺だけかよ!?」
みんなが「はーい!」と手を上げた。
にぎやかな、楽しそうな食卓でした。

翌朝。
次郎は運転席に座りながら、子供たちの送り先を書いたメモ4枚を
フロントガラスに貼り付ける。
子供たちを乗せ、最後に朋美が助手席に滑り込む。
「いくぞ、いいか?」
子供たちそれぞれの複雑な表情・・・。
猛が七恵を抱きバスを見送る。
ギアを入れ、「出発。」次郎が力ない声で言った。

バスの中は誰もが黙ったまま。
「まもなくロザリナホーム。お降りの方は、ご用意ください。」
大きくため息をついたあと、次郎が言う。

その頃、ホームではちひろが子供たちの札を一つ一つ、
悲しげに外していた。

ロザリナホーム。
「ここはね、風の丘ホームの兄弟みたいな所だから、
 みんなすぐに馴染めると思いますよ。」
春山万里夫神父(角野卓造)が出迎える。
元一郎と朋美に連れられ、大輔、周平、盛男、明がホームに入っていく。

バスの中。
「次郎。これ!」
葵が盛男のマヨネーズに気付く。
次郎がバスを降りる。

周平や明は元一郎たちに、もう帰っていいと気を使う。
「みんな、しっかりやるんだぞ。」と元一郎が言う。
「ここの先生や、お友達と仲良くね。」と朋美。
「わかってるよ、そんなの。」と明。
「俺が面倒みるし。」大輔が言った。
「頼もしいわね。」朋美が笑顔で言う。

元一郎と朋美が職員たちに頭を下げ、バスへ戻ろうとすると
次郎がマヨネーズを持ってやってきた。
「次郎!」盛男が駆け寄る。
「さよなら。」
「なんだよ改まって。大食いすんなよ。わかったな。」
次郎は盛男にマヨネーズを投げ、盛男お得意の目つきをする。
だが盛男はそれに答えず、まっすぐと次郎を見つめる。

「次郎、もうレーサーだって嘘つくなよ。」明が言う。
「アイタタタタ。お前こそ大ボラ吹くんじゃねーぞ。」
明が黙って頷く。

「大輔、挨拶ねーな。」
大輔は丁寧に頭を下げ、次郎を見つめて「さようなら。」と言う。
「なんだその他人行儀な・・・。」

「周平!」
次郎が周平を指で呼ぶ。周平が次郎の前にやってくる。
「さてここで問題です。
 バスの運転手さんはいつも帽子をかぶっています。
 どうしてでしょうか?」
次郎の問題に少し考える周平。
「わかんない!?」嬉しそうな次郎。
「教えてください。」
「じゃ、今度な。」
「今度はありませんよ。お別れですから。」
「今度ったら今度なんだよ。」
元一郎と朋美をバスに乗るよう言い、次郎は子供たちに変な顔をして
ホームのドアを閉めた。
きっと次郎は泣きたい気持ちだったんでしょうね。
そんな気持ちをごまかすような、変な顔に、泣けます。


バスの運転席に乗り込む次郎。シートベルトを締めたあと、

『ロザリナホーム
 大輔、周平、盛男、明』

と書かれた水色のメモを握りつぶし、ズボンのポケットに押し込む。

春山神父は次郎の出したなぞなぞの答えを考えていた。
「無謀運転しないためですよ。」
次郎が出て行ったドアを見つめたまま周平が答える。
盛男も、明も、大輔も、そのドアを悲しそうに見つめたままだった。
「なんだバカバカしい。
 ・・・知ってたんですか?」
「当たり前じゃないですか。」
切ない・・・。

バスは次の場所へと向かっていた。
誰も、何もしゃべらない。
俊太は首を横に振っていた。
元一郎は、カバンの中を確認し、園田兄妹を見つめる。
美冴が、ユキエが、園田兄妹を見る。
園田兄妹はお互いの手をぎゅっと握り締める。

その頃、風の丘ホームでは、七恵が一人絵本を読んでいた。
「さ、七恵。お引越ししようか。
 わかってんのかな?
 今日から、新しいおうちで、新しいお友達と先生とで、暮らすんだよ。」
猛の言葉に「うん。」と頷く七恵。
「お利口だな。わかってるんだな、ちゃんと。」
猛が七恵の手を引き連れていこうとする。
だが七恵はテーブルの下に潜り込み、首を横にふる。
「どうしたの?嫌なの?
 新しいお家、嫌だ?
 ・・・困ったねー。」
切ないです・・・。

元一郎に付き添われて、徹と葵がバスから降りる。
ここからは電車に乗り換えるのだ。
「徹君、葵ちゃん。遠くになっちゃうけど、先生必ずお手紙出すからね。」
「はい。」徹が笑顔で答える。
「次郎をよろしくね。
 彼、子供みたいだから、
 朋美先生みたいに真面目な人が側についてないと、
 何するかわからないでしょ?」と葵。
「あ・・・いえあの、
 でも次郎お兄さんと先生は、」
「コラコラコラコラ!なにマジに困ってるの?」と次郎。
「そうですよね、冗談ですよね。」朋美が焦る。
「葵!」次郎が葵を指で呼び寄せる。
「なーに?」葵が次郎に近づく。
「おまえ浮気すんなよ。」
「やーよ!
 私たちはもう終わったのよ。ここできっぱり別れましょう。」
「お前、そんなセリフどこで覚えてくるんだよ。」と次郎。
「お互い、新しい道を、歩みましょうね!」葵が笑顔でそう言う。
「かっくいー!」次郎が呟く。
徹も朋美も、葵のセリフに微笑んだ。

元一郎が運転席側の窓をノックする。次郎がそれを開ける。
「あなたとも、これでお別れになりますかね。」元一郎が言う。
「あー。そうかもしれないですね。」
「1度ゆっくりお話してみたかったですね。」
「・・・そうなの!?」
「僕は子供と付き合うのに、常に経験を優先させてきました。
 だけどあなたはそんなことをお構いなしに、子供たちの中に
 土足で踏み込んできた。
 その土足を、子供たちが多少なりとも喜んでいたのは
 認めざるをえない。
 それが何なのか知りたかったものですから。
 では。」
会釈をして元一郎が徹と葵の元へと行く。
次郎はその背中を、少し微笑んで見送る。
3人が振り返ってバスに手を振る。
次郎以外のみんなが、3人に手を振った。

『子供の森学園
 徹・葵』
と書かれた黄色いメモを、次郎は握りつぶし、ズボンのポケットに
押し込んだ。

「どうしたの次郎?」
「寂しいんじゃないの?」
「ほんとは泣いてたりして。」
春海と美冴が次郎を冷やかす。
「んな訳ねーだろ!」
次郎はそう答えながらバスのエンジンをかけた。

風の丘ホーム。
子供たちの名前が書かれた札を抱きしめるちひろ。
猛は七恵の説得を試みるが、七恵はテーブルの足を掴んだまま
出てこようとしない。
「七恵出ておいで。
 新しいおうちのお友達がみんな待ってるんだよ。」
瑛子も心配そうに様子を見守る。
「だめ?」ちひろがやってきた。
「てこでも動かないって構えだ。」と猛。

ちひろが七恵に声をかける。
「七恵、辛いよね。困っちゃうよね。
 ちい姉も寂しいよ。
 園長先生は、もっと寂しがってる。
 みんなだって、平気な顔してバイバイしてたけど、
 本当は、すごく、すごく寂しいだろうね。
 ごめんね七恵。
 みんなも・・・ごめん。
 謝るしかなくて・・・。
 ごめんね。」

ちひろの目を見つめていた七恵が、少し考え、ようやく机の下から
出てきた。
七恵は猛の前に行き、両腕を広げる。猛が七恵を抱き上げる。
「おりこうだな〜七恵は!
 もうお姉ちゃんだ!
 大きくなったし、もう大丈夫!」
瑛子もちひろも、七恵の成長を喜ぶように微笑んだ。

『園
 春海・奈央・ユキエ』
と書かれたピンク色のメモ。
次郎はフロントガラスから剥がし、握りつぶして
ズボンのポケットに押し込む。

「俊太、便所は?」次郎がバスにいる俊太に聞く。
俊太が首を横に振る。
「俺行ってこよう。」次郎がバスを降りた。
俊太はバスの窓を開け、様子を伺った。

次郎はホームに入り、置き去りになった荷物を蹴って言う。
「おい、これおいてけぼりじゃねーか。」
女の子たちが慌てて荷物に駆け寄る。
「次郎が持ってきて!」
「水着くらい箱にいれて運べよ!丸見えじゃねーか!」
「ダメだよ!無くなったら困るもん!ねー!」春海が奈央に言う。
「ねー!」と奈央。
「何が、ねー!だ。」次郎が給水機で水を飲みながら言う。

朋美が職員に挨拶をしている。
「ありがとう、次郎。」春海が握手を求める。
「手〜濡れてるし。」次郎は手を引っ込める。
「照れてる。」と美冴。
「アハハ。ウブなんだから。」と春海。
次郎は証拠を見せるように手を振って春海に水をかける。
そしてシャツで濡れた手を拭き、春海と握手する。
「俺、高校生にウブって言われたんの。」次郎が呟く。
晴海は朋美とも握手を交わす。
「いろいろ、わがまま言ってごめんね。」
「こちらこそ、ありがとう。」
「なんか、朋美先生にありがとうって言われると、泣けるな。」
「奈央ちゃんも、ありがとう。」朋美が手を差し伸べる。
「朋美先生も元気でね。」奈央が笑顔で握手する。
「ユキエちゃん、頑張ってね。」朋美がユキエに手を差し伸べる。
ユキエは無言なまま、動けないでいた。
「いいよ。無理しないで。」と朋美。
ユキエはくまのぬいぐるみをギュっと抱きしめる。
「じゃあ、私バスに戻ってる。みんな元気でね。」
美冴がその場から逃げるように言う。
「ユキエちゃん?」朋美が問いかける。
「美冴!」次郎が呼び止める。
「甘やかしたらダメなんだってば。
 今日から別々に暮らすんだもの。
 泣かないって約束したじゃん!」
今にも泣き出しそうなユキエ。
次郎はユキエの前に歩き出て言う。
「妹はもう卒業しろって。」
「卒業?・・・わかった。」
ユキエがくまのぬいぐるみを次郎に差し出す。
「俺?」と自分を指差す次郎。
「違うよ。美冴ちゃんにあげて。」
「ああ。・・・じゃあね。」
次郎がくまのぬいぐるみの手を振り言う。
「有名になっちゃう前に握手してもらっていいっすか?」
次郎が奈央に握手を求める。
そして次郎は美冴にくまのぬいぐるみを渡し、バスへと戻っていく。
そのぬいぐるみを暫く見つけた美冴は、
「大事にするよ。」とユキエに笑いかけた。
「よかったね。」と春海と奈央がユキエに声をかけた。

風の丘ホーム。
猛は七恵の靴下を履かせようとしていた。
ドアをノックし、瑛子が入ってくる。
「園長。私はこれで。」と瑛子も挨拶をする
「ご苦労様でした。」
「本当にご迷惑をおかけしました
 みんなに黙ってくれてたこと、感謝しおります。」
「瑛子さん、これだけは忘れないでくださいよ。
 ここを閉めたのは、あなたのせいじゃない。
 いろんなことが重なった結果です。
 それともう一つ。
 あなたのおかげで・・・ハンバーグが好きになりました。
 ありがとうございます。」
ズボンのすそを引っ張られ、猛が振り返ると、靴下を履いた七恵が笑う。
「あ!自分で履けたの!
 すごいな〜!エライエライエライ!
 成長したね。やったー!」
猛は喜び、瑛子は涙した。

バスの中。
美冴が俊太の隣に座る。

希望のひかり園。
ため息をついたあと、次郎は

『希望のひかり園
 美冴・俊太』
と書かれたクリーム色のメモを、フロントガラスから剥がし、
しばらく見つめる。
「はい、終点でーす。」と次郎。
「行こうか。」美冴が俊太に言う。
「私、挨拶してきます。」と朋美。
「はいー。」次郎がぶっきらぼうに答える。
「どうしたの次郎。機嫌悪いの?」俊太が聞く。
「疲れたの!」次郎が答える。
美冴が、朋美と俊太がバスから降り、次郎はバスに一人になった。
クリーム色のメモを握りつぶし、その拳で自分の顔を叩いてみる。
握りつぶしたメモをポケットに入れようとした時、
ポケットの中から突っ込んだメモを取り出す。
手のひらに乗った4つのメモ。
次郎はそれをダッシュボードに放り投げる。
イライラを紛らわすように、ラジオをつけて見るが、壊れていて
つかなかった。
「ボロだな、ほんとに。」
そう呟いたあと、次郎はサイドミラーを見つめる。

「美冴ちゃんに、俊太君だね。よろしくね。
 もう、お部屋の用意できてるよ」
スタッフの言葉に、美冴と俊太は荷物を取りにバスに戻る。

「じゃあね、次郎。」と美冴。
「ああ!」
「次郎、バイバイ。」と俊太。
「バイバイ。」
「明日もくる?」
「・・・明日は来ないんじゃないかな。」
「ふーん。じゃ今度いつ来る?」
「・・・だからそれは、」
「俊太、行くよ」美冴が俊太に言う。。
「どうして?」
「いいから。た
二人がバスから降りた。朋美も荷物を手にバスから降りた。

次郎は、運転席から後ろを振り返って見る。
誰も乗っていない、ガランとしたバスの中。
寂しさを紛らわすようにラジオを付けて見るが、やはり付かなかった。
「はぁ〜。・・・だよね。」次郎がそう呟いた。

二人を送り届けた朋美がバスに戻ってきた。

「今日は、お疲れ様でした。」
「お疲れ。」と次郎。

「そっか。先生とも、これでさよならか。」
「ですね。」
「送ってこうか?」
「大丈夫です。どこか近くの駅で降ろしてください。」
「OK!
 最後だから言うけど・・・意外だった。」
「何がですか?」
「いや先生のことだから、今日は大泣きツアーになるのかと思ってさ。」
「今日は、別れの日じゃなくて、出発の日ですから。」
「へ〜。成長したじゃない!
 や。あなたに言われたくありません!でしょ!?」
「いえ。」
「え?」
「確かに、これまでの私はあまりにもダメダメでしたから。
 いつだって、泣きたいのは子供たちの方なのに
 平気で目の前でメソメソ泣いたりして。
 ほんとにバカもいいところでした。
 気づくのが遅かったですけど」
「そうなの?」
「いつもそうなんです。
 ぎりぎりにならないと大事なことがわからないんです
 迷って迷って、駅にたどりついて、
 汗びっしょりになって、必死に階段駆け上がって、
 終電に飛び乗るって感じで。」
「でも乗れたんでしょ?じゃ、いいじゃん。
 始発だろうが最終だろうが
 乗れたんだったら目的地にはつくでしょう。」
二人は見詰め合ったあと微笑む。

「出発。」次郎がバスを出す。
サイドミラーを見ていた朋美が「あ!」と声を出す。
俊太と美冴がバスを追いかけ走っていた。
次郎も振り返って見る。
スピードを落とすと、後続の車がクラクションを鳴らす。
次郎は帽子を目深にかぶり、スピードを上げた。
「止めないんですか?」
「だってしょうがないじゃん。」

俊太がバスを追い続け、その後を美冴が追う。
次郎はバックミラーで二人を確認しながらも、バスを止めることは
なかった。

俊太の足が止まり、美冴が俊太を捕まえる。

「次郎!次郎!」俊太が再び走り出す。
「待って!」と朋美が次郎に言う。
「次郎!次郎!次郎!!」
何度も何度も名前を叫びながら、俊太が走り続ける。
次郎の目には涙が。
そして次郎はハンドルを切り、車を止め、運転席から飛び出していく。
朋美もバスから飛び出す。
「次郎!」何度も名前を呼びながら、次郎の元へと掛けてくる俊太。
次郎は涙を隠すように、帽子のつばを押さえる。
「次郎!」
「何回も呼ぶなよ。犬じゃねーんだよ。」
「次郎!」
「なんだよ!」
「どうしてちゃんと答えてくれないの?」
「何がっ!」
「今度いつ来るのって聞いたのに。」
次郎の瞳から涙がこぼれる。
「・・・ごめんな。わかんねーからさー、次いつ行けるか。
 だから答えらんねーよ。ごめんごめん。俊太ごめんな。」
次郎は俊太を抱き上げ、振り回す。
「もう一回、もう一回!」と俊太が繰り返す。
次郎は少し離れた所にしゃがみ、泣いていた。
「俊太。泣かないの。」美冴が俊太に言う。
「はい。」俊太が返事する。
美冴は俊太の背中を押し、ホームに向かって歩き出した。

「何でだよ!
 何で泣いちゃいけねーんだよ!?」
「だって・・・。泣いたって、仕方ないし。」美冴が答える。
「おめえらガキだろう!
 いい年こいてさ、泣いてるオレはかっこ悪いけど
 おまえらガキだろう。
 だったら、泣きたい時泣いたってかまわねーじゃないかよ。
 悲しかったらその分泣いたっていいだろう!」
 なぁ俊太。」
「やめてよ。止まらなくなるだけだから。」
「なんでおまえ、ものわかりよくなるんだよ!」
 なんでそんな急いで大人になりたがるんだよ!」
「だって泣いたってしょうがないじゃん!
 泣いたら、またみんなと一緒に暮らせんの?
 泣いたら、またみんなと一緒にいられるの?
 違うでしょ?泣いたってどうにもならないじゃん!!
 泣いたってどうにもならないじゃん!」
美冴は、ずっと我慢してきた涙をこぼして次郎に訴える。
次郎が、美冴の頭に手を乗せ、抱き寄せる。
反対の手で、俊太を抱きしめる。
朋美も3人の姿に涙していた。

「先生!」
「・・・はい。」
「まだ遅くないよね?まだ間に合うよね?最終のバス。」

風の丘ホーム。
猛は、子供たちの名前が書かれた札を一つ一つ丁寧に磨き、
それを箱にしまっていた。
ホームに戻った次郎が猛の前にいく。
「ご苦労さん。」と猛。
「親父、本当にこれで良かったの?」
「何だよ、いきなり。」
「ここ閉めてあいつらの事バラバラに放り出して、
 本当にそれで良かったのかって聞いてんの。」
「今更何言ってんのよ。
 お父さんが考えに考えて出した答えなのよ。」ちひろが言う。
「ほんとに考えた?ほんとにほんとに考えたのかよ。」
「よしなさい!
 署名までしてここを出ていけって言われたのよ。
 地主さんまで、いきなり借地料を4倍にするって言ってきたの、
 わかるでしょう?
 元にいと朋美先生に払うお給料や、
 毎日の食費が成り立たなくなってしまったの。
 どうしようもないのよ。」
拳でテーブルを叩き、「俺わかんねーよ。」と次郎。
拳に握られていた、4枚のメモを置き、次郎は部屋を出ていった。

猛はそのメモを1枚ずつ広げて見る。
バラバラになった子供たちの居場所が書かれた4枚のメモ。
ちひろもそれを見つめる。

一人夜道を歩く朋美。
その足が止まり、朋美は来た道を戻り始める。
ホームに着くと、丁度バスが走り出したところだった。

チーム・イチノセ。
次郎は、一点をじっと見つめ、考え事をしていた。
朋美が声をかける。
「すいません、こんなところまで。
 でも、どうしても今日、言っておきたくて。
 さっきは答えられなかったですけど、私も、遅くないと思います。
 何ていうか・・・。
 私も・・・乗せてください。最終のバスに。」

それぞれの別れのシーンに、何度も泣かされました。
次郎のキャラクター、いいな〜。
飾りっけのない言葉と、子供のようなリアクション。
泣くのを必死に我慢する子供たちがいじらしくて、
次郎の言葉が優しくて。

4枚のメモに分けられた子供たちが、再び同じ屋根の下に住むことが
出来るのか。
その為には、大金が必要です。
次郎はそのために表彰台を狙う、という展開ですね。
この展開だと、ちょっと想像しやすいので、何か別の展開を期待しつつ。
でも子供たちが揃う姿を早く見たいです。



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七恵ちゃんが読んでいた絵本です。
ぼくがおっぱいをきらいなわけぼくがおっぱいをきらいなわけ


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この記事へのコメント
ゲツクということで、ベタで来るのか、それとも改めて又負けさせて別の意味で再生させるのか、どっちなんでしょうね…。とにかくスッキリしたラストが希望です(念)。
Posted by lovelytelly at 2005年06月08日 04:02
lovelytellyさん、こんばんは。
まだまだ結果が読めませんね。
出来れば子供たちが又一緒に暮らすようになればあぁ。
Posted by ちーず at 2005年06月08日 20:44
 予告編から考えられるような展開なのかまだまだ波乱があるのか?月9なのでハッピーエンドかなという気はしますが。どっちにしても楽しみに見ています。
 俊太くんにおもわず涙が...。前回の「僕はかわいそうじゃない」のときといいホームの園児の中で一番かわいい。
Posted by TALK SHOW at 2005年06月08日 22:57
TBありがとうございました。

正直泣きそうでしたけど、堪えましたw
やっぱし、俊太と美冴のとシーンが一番よかったですねぇ。
面白かったのは、朋美先生に今度話しをしていいか誘った後、okをもらい立ち去った元にぃの後ろ姿ですね。あれには笑わされましたw
Posted by chany at 2005年06月09日 00:41
こんにちは。コメントありがとうございます!

TALK SHOWさん。
前回の月9、「不機嫌なジーン」は期待を裏切られたからなー。
ちょっとハラハラします。
子供たちの心からの笑顔がみたいですね!
俊太君、かわいいです!!
Posted by ちーず at 2005年06月09日 13:23
chanyさん。
こんにちは。コメントありがとうございます!
元にぃのあの背中、可愛かったです。
彼の恋を応援してあげたくなりました。
私は美冴が泣くのをこらえているところが
いじらしくて、泣けました。
Posted by ちーず at 2005年06月09日 13:26
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