2005年07月11日

いま、会いにゆきます 第2話

『授業参観』

「あの日起こったことは、奇跡だったの?
 目を覚ますと、私には、夫と子供がいて・・・
 私は全ての記憶をなくしていた。
 でもきっと、ここが私の居場所なんだ。 
 そうでしょう?巧さん。」
翌朝。
佑司(武井証)は目覚めると、カーテンと窓を開け、隣の部屋へと駆け出す。
「たっくん!ママがいない!!」
巧(成宮寛貴)にそう言い起こし、佑司は外へ飛び出していく。
巧も佑司を追い外へ。
澪(ミムラ)は庭で洗濯物のシーツを干していた。
その姿に見とれる佑司と巧。
澪が二人に気づき、おはようございます、と挨拶する。
澪を無言で見詰める二人。
「・・・どうかしたんですか?」澪が尋ねる。
「いや、ちょっと・・・驚い、」
「ママ!夢じゃなかった!ママが帰っ、」
絵本と澪を見比べながら興奮気味に叫ぶ佑司。
巧は慌てて佑司の口を塞ぎ、部屋の中へ戻っていく。

二人はトイレに篭り密談する。
「忘れてた。ママには余計なこと言ったらダメだったんだね。」と佑司。
「パパももうちょっとで危ないとこだった。」
「でもさ、たっくん。ママがシーツ干してるところ見て、
 僕、もうちょっとで泣きそうになっちゃったよ。
 あー、ママが帰ってきたんだって。
 これは夢じゃないんだって。」
「その話はおしまい。」
「どうして?」
「泣きたくなるから。」
「そうだね。また、ウルウル親子、とか言われちゃうもんね。」

「アーカイブ星はね、地球で命を落とした人たちが暮らす、
 思い出の星なの。
 佑司のままは、アーカイブ星に旅に出たの。
 でも泣かないで。
 雨の季節になったら、佑司のところに戻ってくるからね。
 それから一年がたちました。
 約束どおり
 ママは
 雨の季節に返ってきます。
 三人は、一緒、」


「もういいよ。やめよう。」巧はそう言い絵本を閉じ、立ち上がる。
「たっくん、ちょっと!
 やっぱりおかしいよ。
 これには、ママが僕らのことを全部忘れちゃうなんて、
 どこにも書いてない。
 ママが書いてくれた本なのに・・・
 僕、思うんだけど・・・
 ママったら、どこかに忘れ物してきたんじゃないのかな。」
「忘れ物?」台所仕事を始める澪に気遣いながら巧が聞く。
「たとえば、アーカブイ星の、電車の網棚に、今までのことを全部
 忘れ物してきてさ、だから何も覚えてないんだよ。」
「佑司、この絵本、ママに見せないでおこうか。
 これ見たら、ママはアーカイブ星の電車に忘れ物を取りに帰るとか
 言い出したりするかもしれないだろう?
 それに、他の人には、ママが帰ってきたことは、絶っ対に秘密だ。
 だって、ママはもう、ここにはいないはずの人だから。」
「お葬式もやったしね。」
「うん。騒ぎになれば、ママは、もうここにはいちゃいけないって
 きっと思うよ。」
「やだ!だめ!そんなの!」
「だろ?」
「わかった。僕、誰にもしゃべらない!
 それに、ママにも、これ、見せない。隠しておく!」
佑司はそう言い、絵本をパジャマの中に隠す。
二人は頷きあい、そして台所へと向かう。

澪に『死』を悟られないように、二人はトイレで密談を交わしました。
佑司君、アーカイブって言えないんですね。かわいい!
第1話のコメント欄で言われて気づきました。
原作でも、佑司君はアーカブイ星、と言うそうです。


台所のドアを開け、澪が料理する姿を見つめる巧と佑司。
「どうかしました?」
「いや、別に。」
「なんか変です。どうしていつも・・・見てるんですか?」
「いや、そんなつもりは・・・。」
「あ!!!オシッコしてる!!!」
佑司は昨日連れ帰った子犬が台所でオシッコしてしまったのだ。
大慌てで雑巾を探す巧と澪。
窓には、水色のリボンを付けた、さかさまのてるてる坊主の隣に、
赤いリボンのてるてる坊主が並んでいた。

テレビでは天気予報が梅雨入りを知らせている。
朝食を食べながら、子犬の名前を考える三人。
「じゃあさ、オシッコっていうのはどうかなー。
 可愛くないかなー。
 オシッコ、お手!とか、オシッコ、ちゃん、とか。」
「佑司君、面白いこと考えるのね。」
「やっぱりパパは、シロ、とか。」
「白くないよねー。」
「じゃー、クロ?」
「黒くもないよねー。」
「じゃあ、茶色、」
「つまんないから、ダメ!!」
「私は、オシッコ、で、いいと思うけど。」
二人のやり取りに、澪が可笑しそうに笑いながら澪がそう言った。

「むぎゅ。もう一度むぎゅ。おまけにむぎゅ。念入れてむぎゅ。」
澪がランドセルを背負う佑司を抱きしめ、秋穂家恒例の朝の儀式をする。
「むぎゅ、でした。
 ・・・どう?こんな感じかな。」澪が尋ねる。
「やっぱり僕、今日学校行くのやめにする。
 だって、学校行ってる間にママがいなくなったら困るもん
 僕、家にいる!ママの隣で、ママの番をしている!」
「大丈夫だよ。どこにもいかない。
 心配しなくていいから。
 必ず、家で待ってるから。」
澪に抱きしめられ、佑司は巧と一緒に歩き出す。
二、三歩歩いたところで二人は振り返り、
「行ってきます。」と、遠慮がちに手を振る。
「行ってらっしゃい。」澪が笑顔で恥ずかしそうに手を振り返す。
二人は澪のそばにいたい気持ちを我慢し、歩き出す。

「たっくん。僕、自信ないなー。
 朝ごはん食べながら、やっぱり、何度も泣きそうになっちゃった。」
「パパもだ。」
二人の脇を、『UFO』のBGMを鳴らしながら移動販売の車が
通り過ぎる。
「おいしかったね。」
「久しぶりにママの味だった。」
「泣かないように、必死で犬の名前考えてたんだ。」
「そうか。」

第1話で巧が作った目玉焼きは、黄身が固くなりすぎて佑司に
「食べられないことはない。」と言われていました。
巧も佑司も、今日は美味しい目玉焼きを食べられて良かったね。


『かなりうまいケーキ屋』の前。
店主・菊地俊輔(生瀬勝久)あすか(中井美穂)に挨拶をする二人。
「あ!明日図書館の休みもらえたの?」
「心配ない。」
「遅刻しちゃ、嫌だよ。」
「わかってるー。」
「ママ来てくれたらいいなー。参観日。」
「約束したろ。みんながいっぱいいる所にママは行けないんだよ。」
「でもさー・・・。」
「明日の授業参観日は、パパが必ず行くから。」
「絶対だよ。忘れないでよ。」

学校では、明日の参観日に向けて『わたしのかぞく、ぼくのかぞく』
という作文を子供達書くことに。
「何て書けばいいかわからない。」と言う生徒に、
「みんなのおうちの人たちの、すっとこどっこいな所を書けばいいの。」
と、担任の三浦沙織(MEGUMI)が説明する。
「先生、すっとこって何ですか?」と佑司。
「すっとこどっこいっていうのはね、可愛いおばかさんのことを言うんだよ。」

秋穂家。
洗濯物を入れたかごをひっくり返す澪。
澪はふと、四つ葉のクローバーが刺繍された体操服袋に目を留める。

図書館の外で子供達に本を読む鈴木八郎(谷 啓)。
館内では永瀬万里子(岡本綾)が明日行われる読み聞かせの会について
説明していた。
万里子は今井秀夫(山崎雄也)に言われ、巧の元にいく。
巧が泣いている子供に必死に謝っている。
取り置きしていた本を間違って他の利用者に貸し出してしまったらしい。
万里子は泣いている子供を抱き上げ、他の本を読んであげる。
子供も泣き止み、万里子の話に聞き入った。
「迷惑かけっぱなしで・・・。」と落ち込む巧。

移動店舗車、『UFO屋さん』から、『ペッパー警部』が流れてくる。
店主・小笠原友也(でんでん)さん、ピンクレディーファンってことなのかな。(笑)

「梅雨入りしたね。」
本郷尚美(余貴美子)は巧を診察しながら話しかける。
「調子、どう?」
「今日仕事でミスをして・・・
 子供に泣かれてしまって。」
「あらあらあらあら。」
「それで、あの、ミスをしたのは、いろんなことで動揺したからだと思って、」
「一つ、どう?」尚美が飴を差し出す。遠慮する巧に、
「美味しいわよー!甘いものって心が落ち着くし。」
「じゃあ・・・いただきます。」飴を頬張る。
「澪が帰ってきたんです。」
「え?誰が?」
「・・・澪が。」
「は?え!?」
お医者さんには打ち明けたんですね!
死んだ人間が生き返ったと知り、医者という立場の尚美は
どう反応するのか!?
巧の病気のことが、少しだけ見えてきました。


棚の上にある裁縫箱を見つけ、それを取り出す澪。
澪はそれを抱え部屋を出ていく。その直後、一冊のアルバムが落ちた。

「澪さんが、帰ってきた?」
「とてもすぐに信じてもらえる話じゃないって思ってます。」
「確かに驚くねー。へー・・・。
 ・・・あの、それで?
 あなたの奥さんが森で蘇った。
 前世の記憶を無くしていた。
 うちに連れて帰ってきた。
 それで、あなた何か私に相談したくて、ここに来たわけでしょ?」
「そうです。」
「それ聞こうじゃないの。何?」
「佑司が喜んでいるんです。
 澪にしがみついて離れません。
 でも・・・澪は又、梅雨の季節が終わると、消えていくんです。」

学校の帰り道、空を見つめる佑司。
アーカイブ星を探しているんでしょうか。

その頃澪は、佑司の体操服袋にと、クマが傘を持つイラストを
楽しそうに描く。

「な、なぜわかるの?」尚美が巧に聞く。
「生前の澪が残していった絵本のイラストに、描かれているんです。
 でも、佑司はまだそのことに気が付いていません。」
「あっちゃー。」
尚美はそう呟くと、飴を口の中に頬張る。
「澪が帰って来てくれて、僕も、心臓を素手で掴まれたような
 衝撃でした。
 最初は、人違いじゃないかって思って。
 いや・・・これは、澪なんだって、確信して。
 でも、よく考えて見れば、澪はいずれ又、消えていく運命なんだって。
 それがわかっているのに、幼い佑司に又、母親を失う辛い別れを、
 二度までさせていいものでしょうか。」

ワッペンを袋に縫い付ける澪。

尚美が又、飴を口に入れる。

「今ならまだ、澪に話をすることが出来ます。
 君がいては結局、佑司を傷つけることになる。
 申し訳ないが出ていってほしい。
 澪ならきっとわかってくれると思います。
 佑司にも、今ならまだ、言って聞かせることが出来ます。
 ママが帰ってくる夢を見たんだ。
 あれはみんな、夢だったんだよって。」

友達と草むらを走りながら、佑司が笑う。

飴ももう一つ口に入れる尚美。

「・・・先生、どう思いますか?」
「巧君、どうしたい?」
「僕がです、か?」
「これは、あなたの問題です。
 あなたが、澪さんとどう関わりたいのか、
 それを考えずに、佑司君のことを考えても、答えは出ないと思うな。
 あなたはこの状況に、どう立ち向かうのか。 
 その覚悟さえあれば、たとえそれがどんな過酷な運命でも、
 きっと、佑司君、乗り越えられると、私、思います。」
「・・・先生。」
「あなたがやりたいようにしていいと思うよ。」
「・・・ありがとうございます。
 こんな夢のような話を、真剣に聞いてもらって。」巧が涙ぐむ。
「あら。私ね、確かに驚いたけど、夢だなんて思っていないわよ。
 この世の中ね、不思議なこと沢山あるのよ。
 私達の科学がお粗末で、理解や証明出来ないこと、
 非科学的だって決め付けてるだけよ。
 安心して。私はあなたの味方です。」
尚美の力強い言葉に、巧の不安や迷いも吹き飛ぶ。

澪は裁縫箱を元の場所に戻そうとした時、落ちていたアルバムに気づく。
そこには、榎田涼子(三田佳子)と映る自分の姿があった。
澪は涼子の写真にそっと触れ、そして考える。

万里子が涼子のお花教室にやって来る。
涼子が生けた紫陽花の花に、「綺麗!」と万里子。
「一応お手本は置いたけど、あとは自由に生けてみて下さい。」
そう言い、涼子は生徒達にアドバイスをして回る。

レッスン後、万里子と涼子は公園でアイスクリームを食べていた。
「先生、お疲れ溜まっていません?」
「そうね。澪の一周忌が終わって、気が抜けちゃったかしら。」
「ずっと気を張っていらしたから。」
「ありがとう。でも大丈夫。」
「澪の一周忌で、私いろんな人に聞かれました。
 家庭科の涼子先生、教師やめちゃったのって。」
「私もまさか自分が、教職捨てるなんて考えたことも無かったわ。
 でもね、澪が亡くなった後は、なんにも手につかなくて。
 あの頃は本当に、地獄だったわ。」
「澪と秋穂君が付き合っているの全然知らなかったって、
 先生いつかおっしゃっていましたよね。
 驚いたんじゃないですか?二人が結婚したいって言ってきたとき。」
「誰か好きな人がいるんじゃないかっていうのは感じていたの。
 でもまさか、19才の若さで結婚・・・って。
 しかも相手が秋穂君って聞いて、もう驚いて驚いて。」涼子が笑う。

秋穂家の庭で、紫陽花を見つめる澪。

「秋穂君も先生の中学の教え子ですものね。」万里子が涼子に言う。
「そうよ。澪には何度も言ってきかせたの。
 二人ともまだ若いんだから、結婚はもう少し待ったらって。
 せめて大学卒業してからになさいって。
 でもね、ああいう子でしょ。」
「芯が強いですものね。」
「そう。私も折れてしまって・・・。」
「きっと澪は、天国で先生に感謝していると思いますよ。」
「そうかしら。それはわからない・・・。」
『UFO屋さん』からは『カメレオン・アーミー』が流れてくる。
「友ちゃーん!美味しいわ。お金本当にいいの?」
「いいのいいの!先生が食べてくれると、他のお客さんみんな
 買ってくれるから。やっぱり町のスターは違うね。
 こっちもちゃんと、いい商売になってるから、ドントマインド!」と友也。
涼子は微笑みながらアイスクリームを口に運んだ。

庭で紫陽花を見つめる澪。
「ただいま!」と元気に家に駆け込んでくる佑司。
テーブルの上に置かれた新しい体操服入れ。
「前のはお洗濯したけどシミが抜けなかったから。」と言う澪に
「ありがとう・・・。」と悲しげに礼を言う。
「どうか・・・した?」
「なんでもない。」佑司はそう答えると、ランドセルを手に部屋へと行った。

巧は家の明かりを見つめながら、自転車を押しながらゆっくりと家に向かう。

夜。
佑司の寝顔を見つめる澪。
「不思議ですね・・・。
 子供の寝顔って、いくら見ても飽きない。」
澪はそう言い、微笑みながら佑司の寝顔を見つめる。
「あの・・・少し、聞きたいことがあるんですけど・・・。」
「なに?」
澪がアルバムを開く。
「これ・・・私の母ですか?」
涼子、孝雄 (山本圭)、澪の三人が並んだ写真。
「会いたい?」
「・・・綺麗な人・・・。」澪が呟く。
「君だって、綺麗だよ。」
二人の間を沈黙が流れる。
巧はそれから逃れるように、澪に背を向け佑司の寝顔を見つめ頭を撫でる。
「これ、新しく作ってくれたんだ。」体操服入れに気づき、手に取る巧。
「はい。私には、これぐらいしか出来ないですから。」
「ありがとう。」
「いえ。」
「おやすみ。」巧が部屋を出ていく。
「おやすみなさい。」
巧は一人別室で横になり、窓から雨が降るのを見つめていた。

翌朝。
台所仕事をする澪の目を盗み、佑司は服の下に何かを隠して移動する。
澪の料理を覗き込む巧。二人は目を合わせ、会釈しあう。
「ハムエッグ?」巧が澪に声をかける。
「はい。」
「大好き!・・・ハムとタマゴ。」
電話が鳴る。
万里子からだった。昨晩父親が倒れ病院に運ばれ、付き添いたいので、
今日の読み聞かせの会を代わって欲しいと言う。
「館長たちは出勤だけど・・・ね、わかるでしょう?」
いつも世話になっている万里子の頼みを断ることも出来ず、
巧は代理を引き受ける。
だが、その日は佑司の参観日。
佑司は体操服をためらいがちに、新しい袋に入れようとしていた。
巧は佑司の手を引いて座り、耳打ちする。
「パパ今日行けなくなっちゃった。」
「え!?嘘でしょう!!」つい大声で叫ぶ佑司。
「声が大きい。ママに聞こえるだろ。」
「だって、約束したでしょう?」
つい大声になる佑司。様子を見に来た澪に、巧は何でもない、とごまかす。
澪が台所に戻ったのを確認し、
「わからないことを言うんじゃない。
 図書館の万里子さんにはパパ、いろいろお世話になってるんだ。
 佑司もいつも遊んでもらっているだろう?」
「そうだけど・・・」
「こんな時じゃないと、なかなか恩返しが出来ない。
 わかるよな。」
「参観日なのに・・・家の人が誰も来ないなんて・・・
 きっと、僕だけだよ・・・。」
「ごめんな。」
「ママはだめ!?」
佑司の声を気にしながら食事の支度を進める澪。
「しーっ。
 ・・・ダメ。
 何度も言ってるだろう?ママを人前に出しちゃいけない。
 わかるよな。」
佑司が小さく頷く。

雨の中、傘をさし、
「今日は、むぎゅ、いいや。行ってきます。」
佑司は澪にそう言い学校へと向かう。
「慌しくてごめんね。
 まだ体調戻ってないんだから無理しないで。
 外に出ちゃダメだよ。」
「はい。いってらっしゃい。」澪が手を振る。
佑司が古い体操服入れを持っているのに気づき、寂しげに見つめる澪。

朝食の後片付けを終えた後、冷蔵庫の中を確認する澪。
ほとんど空の状態に、澪は買い物へと出かけていく。

『野菜
 つくってます
 格安』

と書かれた看板に気づき、澪が行く。
その畑に、ケーキ屋の菊地夫妻が野菜を育てていた。
「何だろな、その言い方は。」と俊輔。
「あら、気に障った?」とあすか。
「触るだろ、普通。」
「そんな言い方しなくたって。」
「じゃ、どんな言い方しろって、」
「あの、野菜分けてほしいんですけど。」澪が二人に声をかける。

「どうかな、この黒板。
 俺はね、
 『野菜つくってます。裏の畑に声をかけて下さい』
 だけで充分だと思ってるわけ。
 それをうちのかみさんはさ、『格安』って入れないと、
 タダだと思われるって、頑張るんだよ。」
「あー、そういう!」と澪。
「日本にはさ、そういうヤボなことは言わないでおこうって
 文化があるわけでしょ。それがさ、」
「格安は入れた方がいいかな、わかりやすいし。」と澪。
言ってしまったあと、自分の言葉にはっとする澪。
今は記憶を無くし、何をするにもためらいがちな澪だけど、
記憶を無くす前の澪は、きっと物怖じしないタイプだったんでしょう。


俊輔は野菜をカゴに入れ始める。
「あぁ。今日、小学校で、保護者の参観日じゃないんですか?
 行かなくていいの?」
「参観日?」

学校。
沢山の保護者達を前に、生徒達は作文を発表していく。
佑司は一人、寂しそうに、自分の作文を見つめていた。

図書館。
巧は佑司のことを心配しながらも、子供達に読み聞かせをしていた。
館長は図書館の隅で居眠り。
秀夫は子供を抱き、ハエ退治。

休み時間。
沙織は床に落ちている丸められた作文用紙を拾い上げる。
「あーあ。お腹すいたよー。」
佑司は答えてくれない。
沙織はしゃがみ込み、
「痛いよー。佑司くーん、助けてー。助けてよー。」とやってみる。
「ごめん。今はそんな気分じゃないんだ。」
そう言い、体操服袋を手に佑司は教室を出ていった。

次の時間。
子供達は親に背負われ、ボールを運ぶ競技をしている。
澪が学校に様子を見にきた。
木陰から、そっと佑司の姿を探す。
佑司は一人ぽつんと座り、木々を眺めていた。

佑司は学校の帰り道、涼子に声をかけられる。
「佑司。どうしたの?パパは?」
「図書館だよ。」力なくそう答え、涼子の脇を通り過ぎる。
「え?でも今日参観日でしょう?」

「だから、どうして私を頼ってくれなかったの?
 電話一本で済むことなのに。
 言ってくれれば私、どこだって駆けつけたのに。」
涼子が図書館にいる巧に電話で穏やかに抗議する。
「すみません。急な話で、ほんとに全然、気が付かなかったんです。」
「佑司がかわいそうだわ。小学校に入ってはじめての参観日なのよ。」
「もういいだろう。巧君も仕事中なんだ。」孝雄が妻にそう言う。
「だって・・・。」と涼子。
佑司はその様子を見つめていた。

電話を切ったあと、ため息を付く巧。

「おばあちゃん、ごちそうさま。
 悪いけど僕もう、帰るね。」
「まだ半分も食べてないのに・・・。」
「ごめんね。」
「ねぇ佑司!おばあちゃんと一緒に遊ぼうよ!ね。
 ついてるよ。」
涼子は佑司の口に付いたチョコレートを指でぬぐい、自分の口に運ぶ。
そして、優しい微笑みで佑司を見つめた。

家に戻ってきた巧に、澪が言う。
「どうして私に言ってくれなかったんですか?
 いくら記憶がなくったって、佑司君の参観日に行くことぐらい。」
「ごめん・・・。」
「何かあったら私にも言ってもらえませんか?
 佑司君の体操着入れのこと・・・」
「え?」
「どうして新しい方を持ってくれないのか、私わからなくて。」
澪はそう言ったあと、はっとする。佑司が帰っていたのだ。
「お帰りなさい。ごめんね、気づかなくて。」
「佑司、今日ごめんな。」
「ううん。大丈夫だよ。」と笑顔で答える佑司。
「ごめんね。あの、佑司君のことを言っていたわけじゃなくて。」
「うん。わかってる!
 森で遊んでくるね。」
「あ、じゃあパパも一緒に行くよ。」
「大丈夫だよ。」
「佑司!もう暗くなるって。」

森へと続く道、ランドセルを背負ったまま佑司は傘も差さずに
廃屋へと向かう。
その後を付いていく巧。

家の残された澪は一人、思い悩む。

巧が佑司を抱き、家へと向かう。
トンネルの手前で、澪が待っていた。
「佑司君は?」
「遊びつかれて、寝た。」
「荷物、預かります。」
「ありがとう。
 こいつ、重くなった。」巧が笑う。
「私、早くいろんなこと思い出さないと。
 佑司君に申し訳ない。」
「焦らなくていいよ。
 そりゃ、思い出すにこしたことはないけど。」
「思い出さないままなら、今日みたいなこと、また繰り返しちゃうような
 気がするんです。
 だから、何か、思い出すきっかけになりそうなもの、ありませんか? 
 何でもいいんです。」
巧は2、3歩歩き出したあと、振り返り、澪に言う。
「ちょっと、寄り道していく?」

二人が向かった場所は、校舎。
「ここが、僕らが通った中学。
 僕たちが初めて出会った場所だよ。
 3年2組。僕らのクラスだ。
 3年になって初めて、僕たちは同じクラスになったんだ。」
机につき、あたりを見渡す澪。巧が笑う。
「何ですか?」
「そうなんだ!
 僕がここで、君がそこ。
 僕たちの居心地のいいベストポジションは、
 いつも、こんな感じだったんだ。
 君は、覚えているんだよ。
 もっと、深いところで。」

回想シーン。
榎田澪(黒川智花)と秋穂巧(福本有希)がベストポジションに座っている。
澪は帰りの支度をし、席を立つ。
本を読んでいた巧は一瞬澪の後姿を見つめ、そして又本を読み始める。

大きな額縁を抱え、それを車に乗せる澪。
陸上部の練習に向かう巧。
澪が巧を見つめる。

澪の描いた絵の入選を伝える新聞記事が、黒板に張られる。
赤字で、有名人!!と書いてある。
それは陸上部員が走る姿を描いた、躍動感溢れる絵だった。

「あの絵のモデル、工藤らしいって話、聞いた?
 あんなちゃらちゃらしたヤツのどこがいいんだか。」部員が巧に言う。
工藤が走ると、女子達の歓声が沸き起こる。
工藤は女子達に軽く手を挙げ走っていった。
スケッチブックを手に、景色を見つめながら後ずさりする澪。
練習中の巧とぶつかり、二人は倒れてしまう。
「ごめん!」巧が慌てて澪の腕を支えて起こす。
二人は散らばったデザイン画を急いで拾い集める。

「教室では、隣同士の席だったけど、
 僕らの出会いはこんな感じだった。」
「あなたとは違う人が好きだったんですか?」
「さぁ。でも、話にはまだまだ続きがあってね。
 いずれ、ゆっくり話していくよ。」
その時の澪の入賞作品を見つめながら、巧は二人の中学時代の思い出を
語った。
「行こう。」
「はい。」
澪は自分が描いた絵の方を振り返りながら、段差を降りる。
そして、足を滑らして転んでしまう。
「大丈夫?」
巧が、澪の腕を支え抱き起こす。
澪が持っていたランドセルから、佑司の荷物が飛び出してしまった。
二人は急いで荷物を拾い集める。
中学生の時と同じシチュエーションです。

佑司が目を覚ました。
「ごめんね、佑司君。」

澪が、丸められた作文に気づいた。
作文には、『先生はこの作文とっても好きです。
 おうちの人にも見せてあげてね。』と書いてある。
澪が作文を読み上げる。
「ぼくは、子犬の名前に、オシッコがいいと言いました。 
 そんなのダメって言われるかと思ったら、ママはとっても面白いと
 誉めてくれました。
 ぼくのママは、話がわかる、すっとこです。」

澪は俯く佑司の前に行き、優しく声をかける。
「ごめんね、佑司君。
 私、佑司君の寂しい気持ち、わかってあげられなかった。
 佑司君だって、参観日に誰も来なくて、寂しかったんだよね。
 でも、一生懸命我慢して、今日は学校に行ってきたんだよね。」
作文を佑司の手に乗せる。
「そんな頑張り屋の佑司君、誉めてあげなきゃいけなかったのに。
 気づかなくてごめんね。
 私、佑司君が大好きだよ。」
「ごめんなさい・・・。」
澪が佑司を抱きしめる。
その様子を、巧は笑顔で見守った。

佑司がボールで遊ぶ姿を見つめながら、巧と澪は語り合う。
「体操着入れのことなんだけど・・・
 これ、君が入院している時に、看護士さんの目を盗んで
 病院のベッドの上で作ったものなんだ。
 佑司も、そのことがあったから、だから古いほうを使ってて。」
「私、少し寂しかっただけかもしれません。
 昔の自分が羨ましくって。」
「いいんだよ。
 いつか、僕たちの中学生の時みたいに、
 佑司にも、同じように出会いがあって、
 佑司が僕らの家を巣立っていくまで、まだまだ時間はある。
 それまで、三人はずっと一緒だ。
 それだけでいいじゃないか。
 いいじゃないか。」

「ねーねー、やっぱり子犬の名前、オシッコにするー!」
澪と巧が笑い出す。

「巧さん。
 6週間で消えていく私の運命は、あなた一人が知っていて、
 それでも、あなたは私の全てを受け入れてくれました。
 あなたの決意は、どれほど大きなものだったんでしょう。
 あなたの愛情に支えられて、私は歩き出す勇気を貰いました。 
 ありがとう、あなた。」

大きな月が浮かぶ夜空の下、楽しそうに走り回り、
家族三人、幸せな時間を過ごした。



優しいお話が、ゆっくり、じんわりと心の中に染み渡っていく感じです。
出てくる人みんな、誰かのことを思いやり、いたわりあっている。
澪の語りから、6週間後にはお別れが来る、とわかってしまっていますが、
この家族の幸せが、ずっと続くよう願わずにいられません。

澪はまだ記憶を取り戻すことが出来ませんが、無意識のうちに
本当の自分が出てしまうんですね。
座る場所だったり、ふと口をついて出てくる言葉だとか。
記憶がないことの不安から、いつもためらいがちに行動する澪だけど、
母親たちが言うように、本当は芯の強い、しっかりした女性なんだと
伺えます。

第1話、そして第2話で、澪が草原で一人のシーン。
これはきっとラストに繋がっていくんでしょうね。

涼子は澪が亡くなる前まで、家庭科の先生だったんですね。
そして巧も彼女の教え子だった。
巧や佑司が、澪の死は自分のせいだと責めるように、
涼子もまた、自分のことを責めているんですね。

澪と巧&佑司を繋ぐのはクローバー。
澪と涼子を繋ぐのは、紫陽花、かな。

三田佳子さん、さすが、の表情です。
娘を想う母親心。
孫への愛情。
三田さんの表情からすごく伝わってきます。
プライベートではいろいろとありましたが、やっぱり素敵な女優さんだなー。
子供の食べこぼしを自分の口に運ぶ。
澪の子供への接し方は、涼子からしっかり受け継がれたものなんですね。

万里子や巧が勤める図書館の館長。演じるのは谷啓さん。
今まで、少ししか登場していないけれど、特別出演とのことなので、
これから重要なポイントになるのかも。
多分、巧が病院に通う『理由』と関係してる気がします。




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この記事へのコメント
第二話まで見て、かなりこのドラマお気に入りになるかも...と思ってます。
ただ、私は第一話15分ほど見逃したので?が多かったんですが、先ほど第一話の記事を読ませて頂き、確認できました♪
(ついでに第一話、見ていた部分でも忘れてしまっていて、自分のblogにとんちんかんなこと書いたかも!?という部分も発見してしまいましたけど(^^ゞ)

最後の馴れ初めの回想シーンも良かったです。一気に全部しゃべってしまわなかったのも、次が楽しみになる感じでなかなかよいです。
(原作も映画も漫画も読んで/見ていないので余計そう思うのかも。)
Posted by asami at 2005年07月11日 14:24
ちーずさん、こんにちは。
ゆったりした気持ちになれるドラマですよね。
細かい演出がいきとどいていて上手いな~と思います。
(チーズさんが書かれてる、口のまわりをぬぐうところとか。)
Posted by honey at 2005年07月11日 15:55
ちーずさんこんにちは
三田村さんの母(祖母)の演技、すばらしかったですね。本当の孫に接しているみたいでした。
いずれ、澪と会うことになるのかな。
そんな再開の日を少し期待しています^^
Posted by まりこ at 2005年07月11日 17:20
こんにちは、ちーずさん。TBさせていただきました。
ドラマの『いま、会いにゆきます』は、原作や映画にないオリジナルのストーリーが
丁寧に描かれていて、どちらとも違った作品として楽しんで見ています。
佑司の初めての参観日、切なかったですね(泣)こっちまで胸がきゅ〜んとしてしまいました。早く澪と巧、佑司の心が通じればいいのになぁって思います。
Posted by まめ太郎 at 2005年07月11日 19:19
こんばんは。コメントありがとうございます!

asamiさん。
お役に立てたようで何よりです。^^
ゆったりと時間が流れる中で、登場人物の気持ちの描写が
丁寧ですよね。
私も、大好きなドラマになりそうです。

honeyさん。
佑司の口に付いたチョコレートを食べちゃうシーンは、
とても好きです。澪は涼子に育てられたんだなー、と思いました。

まりこさん。
孫と接している時の涼子を演じる三田さんの
表情が、優しくて、いいですよね〜。
マンガ版では再会はなかったのだけど、
ドラマでは再会させてあげたいです。

まめ太郎さん。
佑司のセリフには、思わず微笑んだり、切なくなったり。
本当に丁寧に描かれていて、感情移入しまくりです。
Posted by ちーず at 2005年07月11日 20:43
コメントさせていただきます。

ゆっくり流れるドラマの時間が心地よい反面、ちょっとヌルイかなとも思ってしまいます。このゆっくりさから生まれる後半を期待しているから、見続けられるのかなと。初見の人は見続けられるのかなと勝手に心配してます^^

>「ねーねー、やっぱり子犬の名前、オシッコにするー!」
ここ、”秋穂オシッコ”じゃないでしょうか?

>子供の食べこぼしを自分の口に運ぶ。
前回、澪が出来なかった事をさらっとしちゃう澪ママ。良かったですね、澪も昔なら出来てたんだろうなと改めて思わされた場面でした。
Posted by はさにん at 2005年07月11日 21:51
はさにんさん、こんばんは。
教えていただきありがとうございます!
眠っている佑司を見つめる澪の顔は
母親の顔をしていました。
きっと、佑司の食べこぼしを自然に食べちゃうようになるのも
近いかもしれませんね。
Posted by ちーず at 2005年07月11日 23:02
読んでいたら
映画見たくなりました♪
Posted by ゆうこのmytoday(^-^)ノ at 2005年07月12日 00:37
TBありがとうございます。
>この家族の幸せが、ずっと続くよう願わずにいられません。
ですねぇ。けど、澪が再びいなくなってから、巧と佑司がどう変わっていくのかっていうほうが僕は気になりますねぇ。
Posted by chany at 2005年07月12日 00:37
確かに谷 啓さんは後半のキーマンになるかも知れないですよね!
あれだけの役割だったら決して彼を起用するはずはないと俺も思いますので、今後の彼の活躍は要チェックかも知れませんね!!

あっ、TBもさせて貰いますね!
Posted by フェイク・ヒーロー at 2005年07月12日 10:27
こんにちは。コメントありがとうございます!

ゆうこのmytoday(^-^)ノ さん。
私もドラマを見終わったら映画を見てみたいです。

chanyさん。
6週間後、確実に別れはくるんですよね。
結果がわかっているだけに、無邪気に喜ぶ
子供の姿が切ないです。
残された人が「自分のせいで」という考えが
なくなればいいですね。

フェイク・ヒーローさん。
万里子の電話でのセリフも意味深だったので、
きっと、大きな意味があるんだろうな、と感じました。
TBありがとうございます!
Posted by ちーず at 2005年07月12日 11:57
メロメロ日本代表入会有難うございます。
 ペコリ(o_ _)o))

このドラマは
毎週見てます。

 しかし
 成宮くんと子供、
 どうも親子に見えなくて・・。

 (; ̄ー ̄A アセアセ・・・
Posted by ふぐ屋 at 2005年07月12日 15:43
はじめまして。
このドラマゆったり感が心地よいです。
何故澪は記憶がないのか?
巧と佑司はどうなるのか?
原作は読んだんですけど楽しみではあります。

はじめてで申し訳ないのですが、
2度TBしてしまいました。
しかも後の方はリンクしていません。
そこでお手数かけますが、
後のTBを削除していただけるとありがたいです。
Posted by うんぼぼ at 2005年07月12日 19:26
こんばんは。コメントありがとうございます!

ふぐ屋さん。
わざわざいらしていただき、ありがとうございます!
成宮くん、確かに若いパパですね。^^

うんぽぽさん。
原作読まれたんですね。ドラマはどの位小説に忠実に
再現されているのか気になるので、原作にも
チャレンジしてみたいです。
TBの券了解しました!
Posted by ちーず at 2005年07月12日 22:36
もう一回“感動”したくて、また「ちーず」さんのお世話になってしまいました。
どうもありがとう!!。
Posted by まさかず at 2005年07月14日 06:19
上の自分のコメントに誤字発見!
券→件ですね。失礼しました。^^;

まさかずさん、こんばんは。
いつもありがとうございます。
また遊びにいらして下さい!
Posted by ちーず at 2005年07月14日 20:12
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