2005年07月18日

いま、会いにゆきます 第3話

『約束』

「家族の絆は、
 一緒に過ごした楽しい思い出によって作られていくものだから、
 自分が積み上げてきた家族との思い出が、
 記憶の無い私を苦しめます。
 でも、そんな私に二人が教えてくれました。 
 新しい思い出を、
 これから三人で作っていけばいいんだということ。」
朝。
澪(ミムラ)は、台所仕事をしながら、巧(成宮寛貴)が佑司(武井証)に
起こされる姿に微笑む。
佑司は巧を引っ張ってトイレに連れていく。
「おはようございます。」澪が声をかける。
「おはよう、」とたくみは返事をするが、佑司が風呂場のドアを閉めてしまう。
トイレに腰掛ける巧。
佑司はバケツをひっくり返して自分の席を用意する。
寝ぼけ眼の巧の頬を叩きながら
「たっくん起きてー!!」と佑司。
「起きてるよー。」
「ねぇたっくん。
 アーカブイ星に行くと、病気が治るの?
 だってママ、すごく存気だよ。」
「うん。そうだな・・・。
 きっと、アーカイブ星は、みんなが存気で、楽しく暮らせる星なんだよ。」
「こっちに戻ってきちゃて、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。パパと、佑司で、守ってあげよう。」
「うん!僕、ママを守る!」
「うん。ママのお手伝いをして、心配かけないようにしてさ。」
「うん!心配かけない!約束する。」
「よーし。男同士助け合ってがんばろうな。」
「うん!男と男の約束だね。」
「そうだ。」
二人はハイタッチ。そして部屋へと戻っていく。
「あの・・・。
 このうちの男の人は、一緒にトイレ使うんですか?」
澪に言われ、巧と佑司は同じように頭をかき笑った。

「私には、二人の家族がいます。」

澪の手伝いを始める佑司。
布団を畳み始める巧。
窓には贈つのてるてる坊主が、逆さまに、寄り添うようにつらされていた。

佑司のクラスに、岡崎博史(吉田里恩)という転校生がやってくる。
佑司の隣に座る斉藤レナ(重本愛瑠)が、佑司の服のボタンが
外れていることに気づき、直してあげる。

放課後、佑司は博史の体操服入れを見て、
「これ、間違ってるよ。ここは1組。3組じゃないよ。
 前の学校のでしょ?お母さんに直してもらったら?」と言う。
博史はそれを奪い取り、教室を走って出ていく。
担任の三浦沙織(MEGUMI)は、博史が母親と離れて暮らしていると言い、
博史にも金魚当番をやってもらおうと提案する。
「生き物好きだって言ってたし。佑司君、いろいろ教えてあげてくれる?」
「うん!いいよ。」佑司は笑顔で答える。

洗濯物をたたむ澪。
タオルをしまおうと、タンスを開けていると、
「タオルはそこじゃないよ。」と学校から帰ってきた佑司が声をかける。
そのとき佑司は、タンスの中にあるパンダの貯金箱を見つける。
「パパのかなぁ。」貯金箱から落ちた小銭を集めながら澪が言う。
「でもここ、ママの引き出しだよ。きっとママの!」
「・・・へそくり!?」
「へそくりってなーに?」
「ん〜。内緒で隠しておくお金のこと!」
「そうなの!?」
「う〜ん。
 もう一回隠しちゃおうか!?パパに、内緒で。」
「うん!」
そこへ巧が帰ってくる。
二人は楽しそうにそれを隠しながら「お帰りなさーい!」と声をかける。
「・・・何してるの?」
「あ、あの、タオルって、しまう所、どこですか?」
「・・・洗面所だけど?」
「あぁ!あのバスケットですよね。そっかそっか。」
そう言い澪が席を立つ。
佑司はパンダの貯金箱を背中に隠し、いたずらっぽく笑った。
この笑顔がまた可愛い!!
記憶を失くした澪と佑司の、初めての秘密。
微笑ましいシーンでした。


その日の夜。
お絵かきをしながらあくびする佑司。
それと同時に、本を読みながらあくびする巧。
「もうそろそろ寝る?」澪が佑司に言う。
佑司は眠るまで絵本を読んで、とおねだり。二人で本を選び始める。
その中にあった『走れメロス』を手に取る澪。
「それ、たっくんの本だよ。
 よく読んでるの。」
「好きなんですか?」と澪。
「ああ・・・うん。」と巧。
「ねぇ、何の話だっけ?」佑司が聞く。
「え?あぁ。メロスが、ひたすら、一生懸命走る話。」
「なにそれ。」と佑司。澪も笑い出す。
「あのね。ある所にメロスっていう人がいて、
 悪い王様に殺されそうになっちゃうの。
 でもメロスには大事な用事があって、
 三日間だけ待って下さいってお願いするんだけど、
 逃げるつもりだろうって、許してもらえないの。
 そしたらメロスの友達がね、僕が代わりになりますって言ってくれたの。
 もしメロスが戻って来なかったら、僕が殺されますって。」
「うそ・・・。」と佑司。
「それだけ、友達はメロスのことを信じてたのね。
 メロスは絶対戻ってくるって。」
「ママ!記憶ないのによくわかったね。」
「・・・ほんとだ!自分でもびっくり!」澪が驚きながら笑う。
「メロスは間に合うの?」
「うん。間に合うよ。絶対に帰ってくるって、約束したからね。」
巧の言葉を、澪が頷きながら聞く。
「ふ〜ん。
 たっくんと、僕みたいに?男と男の約束?」佑司が小声で言う。
「そうだな。」巧が微笑みながら小声で返す。
「何の話ですか?」澪が聞く。
「ナイショ!」と佑司。
「内緒?なーんで?」と澪。
「内緒だよな。
 さ、どの本にする?」

「天使と星占い。」
佑司が選んだ本を、巧と澪が声を揃えて佑司に本を読み聞かせた。

澪は、自分の愛読書の内容を覚えていましたね・・・。

「天使と星占い」、これは本のタイトルなのかな?
検索してみたら実在しました。
図書館に勤める巧なので、どんな本が紹介されていくのか
興味があります。

天使と星占い天使と星占い

巧が二人の様子を見に行くと、澪は佑司と一緒に絵本を抱きしめたまま
眠ってしまっていた。
巧は佑司の布団をかけ直し、そして澪の寝顔を見つめる。
巧の手が澪にためらいながら多びていく。
そして、彼女の頭をそっと撫でる。
「澪・・・。」
その声に、澪が飛び起きる。
「・・・ごめん。」
「いえ・・・。私こそ、なんだか・・・。」
「ごめん。
 ・・・おやすみ。」
巧は慌ててそう言い部屋を出ていこうとする。
「私、思い出せなくて。
 あなたへの気持ち。
 結婚するぐらい大好きだったはずなのに。
 ごめんなさい。」
「・・・仕方ないよ。お休み。」
巧は背中を向けたままそう言い、部屋を出ていった。

そのまま考え込む澪・・・。

オルゴールに入れられた二つの結婚指輪を見つめる巧・・・。
そして巧は、結婚写真の幸せな微笑みにため息をついた。

妻が愛しくて、つい、触れてしまった巧。
そしてつい、それを拒否してしまった澪。
その時の巧の表情が悲しくて・・・。切ないシーンでした。


学校。
「この、太っているのが、マリア。
 そして、この、太ってて、黒いのが、ボブ。
 この、細長いのが、ウェンディ。」
佑司が博史に金魚の紹介をする。博史も嬉しそうに金魚を見つめる。
「水、汚くなっちゃったね。水、替えようか。
 バケツ持ってくるから、ちょっと待ってて。」
「うん!」博史が笑顔で水槽を覗き込む。
佑司が教室を出たとき、ガラスが割れる大きな音がする。
佑司は慌てて駆け寄る。他の生徒達も教室に駆け込んでくる。
「僕知らない!佑司君がやったんだよ!」
「え?佑司が?」「何やってんだよ、佑司。」
佑司は何も言い返せずにいた。

自分達の結婚写真を見つめる澪。

その頃巧は、本郷尚美(余貴美子)の診察室にいた。
「そうか。澪さんと暮らすことにしたの。」
「今でもまだ、信じられないんです。
 今日こそ起きたらいなくなったりしてるんじゃって
 思ったりもして。 
 でも、澪は僕らの前にいるんです。
 何があっても、澪は澪で。
 僕ら三人は、家族で。
 だから、」
「一緒にいたい。」
巧がうなずく。
「先のことはわからないですけど。」
「どうぞ。とっておきのメロン味。」
尚美が差し出すキャンディーを受け取る巧。
「いいと思うな。巧君がそう思えたんなら。
 それじゃ、私も覚悟決めとかなきゃね。
 もう一度、あなた達のラブラブぶりを見せ付けられるわけだ。」
「それは、大丈夫です。」
「どうして?」
「澪が、今までの記憶を全て無くしたって話はしましたよね。
 だから、僕を好きだって気持ちも忘れてるんです。」

秋穂家。
澪はオルゴールに入った二つの結婚指輪を見つめていた。

本郷医院。
「でも、それはいいんです。
 澪が、佑司の、母親でいてくれれば。」
「それならさ、もう一度好きになってもらえばいいじゃない。」
「こんな僕を、彼女が好きでいたなんて、
 もともと奇跡みたいなもんですから。」
「こんな僕って?」
「・・・彼女に、嫌われたくないんです。
 僕は、仕事もちゃんと出来ないし、
 走ったり、泳いだりすることも、
 佑司を映画に連れて行くことも、
 出来ない。
 こんな人間、誰が好きになったり・・・」
「私あなたのこと好きだけどなぁ。」
「・・・この梅雨の間、澪と佑司には、
 出来るだけ幸せに過ごしてもらいたい。
 どうすればいいのかわかんないんですけど、
 とにかく、頑張るしかないと思って。」

二つ並んだ結婚指輪。
小さいサイズの結婚指輪を手に取る澪。
それを見つめたあと、そっと自分の左手薬指に通そうとして、
そして慌てて、指輪をオルゴールへと戻した。

自転車を押しながらトボトボと歩く巧。

当てもなく、トボトボと歩く澪。

雨が降ってきた。
あのトンネルの前で、澪は佑司と巧の笑顔を思い浮かべた。

かすれた声で医師に心境を告白する巧。
澪と佑司の前では明るく振舞っていても、
心の中では、自分のことよりも佑司と澪の幸せを願い、
頑張っていたんですね。
佑司が自分を卑下する意味は、これから少しずつ明らかにされていくと
思います。


雨の中、走って家に戻る澪は、途中、ケーキ屋の主人に声をかけられ、
店の中に。
俊輔(生瀬他久)とあすか(中井美穂)は澪にハーブティーを入れる。
俊輔のオリジナル・ハーブティーを飲み、美味しい、と澪。
「ちょっと日本茶っぽいでしょう?
 大体俺はね、常々ケーキに一番合うのは日本茶だと思ってるの。
 ケーキの甘さとね、日本茶の渋み。その、」
夫のうんちくにあきれ返り、たしなめるあすか。俊輔がまた文句を言う。
「仲いいですね。」と澪。
「お宅こそ、仲いいんでしょ?まだ若いんだし。」
「あ・・・まだ、わからないことが多くて。」
「夫婦なんていうのはね、一緒にいると、好きも嫌いもなくなっちゃいますよ。
 まぁいやでも、わかりますよ。」

図書館。
巧は永瀬万里子(岡本綾)に、何日か前に中央図書館から本を取り寄せた件を
確認され、顔色が変わる。
「まだ手配してない!?
 重要な取引先に頼まれた本なんだ!」
本を頼んでいた岡崎(京晋佑)は激怒する。
「すいません!」巧は平謝り。

学校。
バケツに避難した金魚3匹を見つめる佑司。
「大丈夫!マリアたちも何ともなかったし。
 帰ろうー!
 先生おなか空きすぎて、マリアたち食べちゃいそう。
 冗談だよ?」
担任の沙織が佑司の顔を覗き込む。
「先生・・・。」
佑司は沙織に何か言いかけたが、言葉を飲み込み、「さよなら。」と言い
帰っていった。

図書館前。
「もっと、責任を持ってやってもらわないと困るよ。」
岡崎に叱られ、深く頭を下げて謝る巧。
岡崎と入れ違いに、学校帰りの佑司がやってきた。
「もう帰れる?」と佑司は聞くが、巧はこれから岡崎が取り寄せした本を
他の図書館に電話して確認しなければならなかった。
佑司は学校での出来事を巧に話をしたかったのだが、
「今日は遅くなる。気をつけて帰れよ。」と言われ、
落ち込んだまま家へと向かう。

佑司が帰宅する姿を祖母・榎田涼子(三田佳子)が見かけ声をかける。
いつもと様子が違うことに気づいた涼子。
「どうしたの?」
「何でもない。」
「ねぇ、おばあちゃんの家に来ない?
 おいしいキンピラ作ったのよ。好きでしょう?」
「今日はいい。」
そう言い、佑司は涼子の前から歩き出す。

愛犬・オシッコにミルクをやる澪。表情は明るい。
佑司の帰宅に
「お帰りなさい!おやつあるよ。」と声をかけるが
佑司は「いらない!」と言い部屋にこもってしまう。

図書館では、『国際通貨制度改革論』という本を求め、
図書館リストを頼りに電話をかけ続けていた。

「どう?あった?」と万里子。
「いや・・・まだ・・・。」
「あとはさ、俺とマリちゃんでやるから。」
今井秀夫(山崎雄也)もそう気遣う。
「いや、自分のミスですから・・・。」と巧は電話をかけ続ける。
「いいからここは、ヒデちゃんとマリちゃんに任せておいて。」
「秋穂君。顔色悪いし、発作が起きちゃう前に休んだ方が、」
万里子は心配してそう言うが、
「大丈夫です! 
 ・・・自分のミスですから、自分でやらないと。
 いつもいつも、人に頼る訳にはいかないんです。」
そう言い、電話をかけ続ける。

少し前に図書館に来ていた涼子は、その様子にそっとドアから
出ていく。万里子が気がつき後を追う。
「先生!秋穂君に御用時だったんじゃないんですか?」
「いいのよ。忙しそうだったし。又今度にするわ。」
そう言い涼子は帰っていく。
「あの、どうかなさいました?」
万里子の声に、涼子が振り返る。

雨が上がった。
家の中から空を見つめながら、巧の帰りを待つ佑司。

涼子と万里子が並んで歩く。
「佑司の様子が少しおかしかったの。
 家で何かあったのかと思って。
 あなた何か聞いてない?」
「いいえ・・・。
 秋穂君も、なんだか少し変で・・・。」
「やっぱり何かあったのかしら・・・。
 もっと、私のこと頼ってくれたらいいんだけれど。
 あー、ダメね。またこんなことを。
 私、この話になると、同じことばっかり。
 澪にもよく言われてたのよ。
 お母さんはいろいろ心配し過ぎだって。
 もっと長い目で見守っててくれって。」
「先生のお気持ちは、秋穂君にも届いていると思います。
 ただ、秋穂君は・・・不器用だから。」
「そうね。巧さんも、一生懸命なのよね。
 ただ、今日みたいな佑司を見てしまうと、どうしてもね・・・。」

その日巧が家に戻ったのは、佑司が眠ったあとだった。
澪は巧のために夕飯の準備をしようとするが、
巧はお腹が空いていないと言う。
澪は、佑司がついさっきまで起きて待っていたことを伝える。
いつもと様子の違う巧に、
「なんだか辛そうですね。大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。」笑顔で答える巧。
テーブルには『走れメロス』。
「やっぱり、これずいぶん読み込んでいるんですね。
 結構、ぼろぼろ。」
「それ・・・実は、君の本なんだ。
 中学の時、君はよくその本を読んでいた。」

回想シーン。
「またその本読んでるの?」
教室で読書する澪(黒川智花)に万里子(志保)が声をかける。
澪の手には『走れメロス』。澪の隣の席には巧(福本有希)が読書している。
「どこがそんなに好きなの?」万里子が尋ねる。
「メロスの、真っ直ぐなところかな。
 読んだことある?」
「なーい。」

「バカみたいだけど、メロスみたいになりたいなんて思ったりもしたんだ。
 真っ直ぐに真実を貫こうとして、酷い目にもあったけどね。」
「酷い目?」澪が尋ねる。

回想シーン。
ある夏の日の学校。
更衣室を覗く二人の男子生徒に、巧が駆け寄り掴みかかる。
二人は巧を突き飛ばし逃げていく。
巧は犯人と思われ、教師に怒鳴られる。
「僕はやっていません!」と無実を訴えても信じてもらえない。
「ちゃんと自分の罪を認めて謝罪すれば、今回だけは大目に見てやるぞ。」
「やってないものは謝れません!」
「往生際の悪いやつだな・・・。」
巧はそのせいで、謹慎処分を食らってしまった。
生徒達も巧を疑い、ヒソヒソと噂話をし、澪までも巧の前から走り去っていった。

「僕はバカだと思ったよ。
 君にも軽蔑されるし、謹慎処分にはなるし。」
二人は笑いあう。
「でも、巧さんって勇敢だったんですね。」
「・・・昔はね。
 さ、風呂入って寝るね。」
そう言うと、巧は部屋を出ていってしまった。
澪はそんな巧の心配をする。

翌朝。
よく晴れた空の下、澪が庭に洗濯物を干していると、
起きてきた佑司が部屋の中を行ったり来たり。
「あれ・・・たっくん、もう行っちゃったの?」
「急ぎのお仕事があるんだって。
 どうしたの?昨日から、何かパパに御用?」
「何でもない・・・。」

学校。
佑司は博史に、どうして本当のことを言ってくれないのか、と聞く。
佑司の言葉に俯く博史。
「博史君・・・。」
佑司から離れようとする博史。
佑司が博史を捕まえようとした時、勢い余って博史が倒れてしまう。
雨上がりのグラウンド。
博史は顔まで泥だらけになってしまう。
「あー!いけないんだー!」他の生徒達が集まってくる。

巧が学校に駆けつける。
教室には、博史の父親が担任の沙織と待っていた。
博史の父親は、昨日図書館で巧を叱り付けた男。
「昨日は、本当に、すみませんでした。」と巧。
「それで、博史君が言うには、自分が水槽を割ったことにしろと脅されて、
 断ったら、突き飛ばされてしまったと。」
「水槽?」巧が尋ねる。
「お聞きになっていらっしゃいませんか?」と沙織。
「・・・いいえ。」
「そんなことも知らないなんて、親として問題があるんじゃないかな。
 子供のことはきちんと対処してもらえませんか?
 こんな風に学校に呼び出されるだけでも、私の信用に関わるんです。」
「すいません。佑司にも、ちゃんと、言って聞かせますんで。
 本当に、申し訳ありませんでした。」
巧が謝る姿を、佑司は教室の窓から見ていた。

「どうして水槽のこと黙ってたんだよー。
 正直に言えば、怒ったりしないんだから。
 友達のせいにしたらダメだろう?
 とにかく、やっちゃったことはもう仕方ない。
 だけど、これからはちゃんとすぐに、たっくんに言うんだぞ。」
巧は家に戻ると佑司の頭に優しく触れながらそう叱る。
「佑司、返事は?」
佑司は黙って俯いている。
「佑司。」
顔を上げ、巧の目を真っ直ぐに見つめる佑司。
そのとき、電話がかかってくる。
電話を切ったあと、佑司は図書館に戻ると言い出す。
「ごめん。急ぎの仕事なんだ。
 佑司、帰ったら、又話そう。」

澪は、立ち尽くしたままの佑司の前に座り、手を取り、優しく声をかける。
「佑司君。パパがちゃんと話聞いてくれなかったから怒ってる?
 それとも・・・他に何かあるの?」

図書館。
館長・鈴木八郎(谷 啓)が子供達に本を読み聞かせている。
「本が見つかったって、本当ですか!?」
巧は図書館に走りこむと万里子たちにそう聞く。
「あれ、悪い。勘違いだった。
 なんかマリちゃんが頼んだ本らしくて、
 俺、全然知らなくて。」秀夫。
「ごめんなさい。」と万里子。
二人が巧に頭を下げる。
八郎が心配そうに三人の姿を見つめていた。

その日の夜も、巧は佑司が眠る前に家に戻ることはなかった。
図書館で、巧は必死に電話をかけ続け、本を探していた。

明け方。
台所のテーブルで巧を待ちながら眠ってしまった澪は、電話の音で目を覚ます。
ためらいながら電話に出る澪。
巧からだった。
「ごめん。調べ物してて、気づいたら朝になってた。」
「巧さん、本当に、大丈夫ですか?」
「大丈夫。今日はいつも通りの時間に帰るから。じゃあ。」
そう言い、電話は切れた。

学校。
一人ポツンと座る佑司に、レナがドッジボールしよう、と声をかける。
だが、他の子供達は博史君をいじめたからダメ!と仲間に入れようとしない。
博史がチラっと佑司のほうを見る。
博史が楽しそうに友達と遊ぶ姿に、佑司は寂しそう。
「レナちゃんも行っていいよ。」
佑司に言われ、レナもみんなの輪に入っていく。
佑司の寂しそうな背中を、沙織が心配そうに見つめていた。

家に戻った佑司は、背中を丸めて庭を見つめていた。
「佑司君。プリン作ってみたんだけど、美味しいかどうか 
 一緒に食べてみてくれない?」澪が聞く。
「いい。」
「そう・・・。
 そうだ!この間ね、パパから面白い話聞いたの。
 中学生の時に、パパがメロスみたいに、」
「メロスの話はいい!」
「どうして?」
「だって、そんなの嘘なんだし。」
「どこが嘘なの?」
「信じてたって、メロスは戻ってこない。
 本当の世界では、メロスなんて、助けに来てくれないんだ。
 誰も信じてくれないんだ。」佑司が泣きながらそう呟く。
「佑司君・・・もしかして、水槽のこと?
 水槽を割ったのは、佑司君じゃないの?
 そうなの?」
家に戻った巧が、二人の会話に気づく。
「博史君が・・・。でも、僕が割ったって。
 たっくんも、僕がやったと思ってる。
 僕なのかって、聞いてもくれなかった。」
二人が巧に気づく。
「佑司・・・。」巧が佑司に近づいていく。
黙ったまま巧を見つめる佑司。
すると巧は家を飛び出し、自転車に飛び乗った。

巧が自転車を漕ぎ出すと、一台の車が止る。岡崎だ。
「どういうことなんだ。
 学校から電話があった。
 君のほうから又学校に、何か文句を言ったのか?」
「あの・・・」
言葉に迷う巧。澪と佑司が巧に追いついた。
「どういうことなんだ。ちゃんと説明してくれ。」
「あの・・・」
少し迷ったあと、巧は岡崎を真っ直ぐ見詰めて言う。
「水槽を割ったのは、うちの子じゃありません。」
「どういうことだ!?」
「もう一度、息子さんに話を聞いていただけませんか?」
「うちの息子だって言うのか!いい加減にしろ!
 じゃあどうしてもっと最初に言わなかったんだ!」
「僕のせいなんです。
 僕が、ちゃんと話を聞いてやっていれば。」
「訳のわからないことを言うな!」
澪が、佑司が、そして博史が二人を見つめている。
「君は一体、どれだけ私に迷惑をかければ気が済むんだ。」と岡崎。
「すいません。でも!」
「中央の図書館にも知り合いは大勢いる。
 その気になれば君一人ぐらい、何とでもなるんだぞ。
 さっさと学校に連絡して、これ以上無駄な時間を取らせないでくれ。」
そう言い、車に乗り込もうとする岡崎。
「佑司じゃありません!」
岡崎が振り返る。
「あの子は、嘘をつくような子じゃないんです。
 僕にはもったいない位のいい子なんです。 
 あの子がやってないと言うなら、世界中の誰が疑っても、
 僕は、佑司を信じます。
 信じているんです。」
佑司と澪が巧を見つめる。
「これ以上、話しても無駄だな。
 私なりに対処させてもらうよ。」
そう言い、岡崎は車を出した。

佑司が巧の元に歩み寄る。
「ごめんな。」
「たっくんが信じてくれればいいよ。
 男と男の約束、守ってくれたから、僕、大丈夫だよ。」
「佑司・・・。」
巧は涙をこぼしながら佑司を抱きしめる。
二人のそんな姿を微笑みながら見守る澪。

巧は佑司を背負い、三人は並んで家へと帰る。

佑司のクラス。
「ごめんなさい。水槽を割ったのは僕です。」
博史が前に出てみんなに謝っていた。
「え〜〜〜!?」子供達が驚きの声を上げる。

「博史君夕べ、お父さんに何もかも話したそうです。」
沙織が、様子を見に来た巧にそう説明する。

「ごめんね。」博史が佑司に謝る。
「ううん。いいよ。」佑司は笑顔で答える。

放課後、佑司と巧が並んで歩く。
図書館の前に止まる『UFO屋さん』。
店主・友也に呼ばれ、佑司が何かを貰っていると、図書館の中から
岡崎が出てくる。
「いろいろ、悪かったね。」と岡崎。
「いいえ。」
「助かったよ。」岡崎が、探していた本を見せる。
「・・・はい。」巧は驚いてそう返事する。
岡崎は佑司の頭を撫で、穏やかな笑顔で帰っていった。

「館長が、知り合いの大学教授に聞いてくれたの。
 最初から聞いてくれればいいのにね。」万里子がそう説明し、二人は笑いあう。
「たっくん、一件落着だね。」佑司も笑う。

その日、澪はクッキーを焼いていた。
澪の手作りクッキーに、二人は大喜び。
巧がお茶を入れる澪を手伝う。

「巧さん。私もっと巧さんのこと知りたいと思いました。
 記憶がない分、これからの巧さんを、もっとちゃんと知っていこうって。
 昔の私が、巧さんを好きになった気持ち、
 ちょっとだけわかったような気がしました。」
澪の言葉に驚く巧・・・。

「ねぇこれ金魚だよね?」
「そうそう。これはね、佑司君と博史君がお友達になれたお祝い。
 これからは、何かあったら、パパや私にすぐに言ってね。」
「うん。ごめんね。」
澪と佑司が笑いあう。
「巧さんも!
 大変な時は、言ってくださいね。」
「ごめん。」と巧。
「じゃあ、みんなで約束!
 家族で、隠し事は、しない。」
澪の言葉に、佑司が、巧が、そしてオシッコが返事をする。
オシッコが吠えたのは、パンダのぬいぐるみを見つけたからだった。
それを拾い上げる巧。
中から小銭がこぼれ落ちる。
「あ!ママのへそくり!」と佑司。
「へそくり!?」
「ごめんなさい・・・」と澪。

「そのとき私は、少しずつ近づいていく家族の心が、
 とても幸せでした。
 時間が経てばわかり合える。
 いぞきに信じる私を、
 あなたはどんな思いで見つめていたのでしょう。
 6週間後の私の運命を知りながら、
 あなたはいつも笑顔でいてくれた。
 いつでも、あなたは真っ直ぐでした。」
 

澪が学生の頃からの愛読書、『走れメロス』になぞったストーリー。
巧の学生時代の覗き事件。
そして佑司の、水槽事件。

水槽事件のあと、まずは巧と話をしようとする佑司が健気でした。
澪に話さなかったのは、冒頭、
「ママのお手伝いをして、心配かけないようにする。」
「男同士助け合ってがんばろうな。」
そう二人で約束したせいでしょうか。

巧は、信じてもらえない辛さを経験しているのに、佑司に事実確認することを
忘れてしまったんですね。
巧自身、仕事のことでトラブってしまったので、そのせいかもしれません。
追い込まれていく巧は見ていて痛々しかった。
万里子が心配するように、「発作」を起こしてしまうのではと
そのことが心配でした。

巧は、自分が佑司を信じなかったことに気づかされ、反省。
「佑司じゃありません!」
と岡崎に自信を持って言い切った。
そんな父の姿に、信頼を取り戻すことが出来たんですね。

第3話の中で、一番重要な点って、実は、
澪が『走れ!メロス』を覚えていたことじゃないかなーと思っています。

秋穂家に、新しいルールが出来ました。
『隠し事はしない』。
冒頭のへそくりの秘密は、巧にばれてしまいましたが、
この約束、巧や佑司にとって、辛いもののはず。
だからこその、毎回の澪のナレーションなのかな。

少しずつ、確実に、家族の絆が深まっていくのが嬉しい。
少しずつ織り込まれている二人の学生時代のストーリーが
毎回楽しみです。



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この記事へのコメント
いつも楽しく拝見させていただいています!私は耳がきこえません。ドラマは字幕放送に切り替えて観ています。
?恐れ入りますが、いつもレビューの冒頭にある「家族の絆は、一緒に過ごした楽しい思い出によって作られていくものだから・・・」という青色の文章はドラマのナレーションですか?字幕放送は台詞が要約されたり、すべての音声が表示されるわけではないのです。それでここのサイトで字幕が表示されていない箇所がたくさんあって、とても助けられています。ありがとうございます。
?今回の青色の文章の「・・・自分が積み上げてきた家族との思い出が(略)新しい思い出を、これから贈人で作っていけばいいんだということ。」の「贈人」と文字化けされていますが、「三人」と理解してよろしいでしょうか。
Posted by てぃだ at 2005年07月18日 11:56
てぃださん、こんにちは。
ここを利用していただきありがとうございます!
さて、ここでの色分けですが、
登場人物(女性)のナレーションをピンクに、
登場人物(男性)のナレーションを水色に、
そして、自分の感想を緑色に色分けしています。

今のところ、冒頭ナレーションは澪の語りで始まっています。
ですので、色をピンクにしているのですが、青で表示されてますか?

「贈人」の『贈』は『三』が文字化けしたものです。
さきほど右枠のInformationにも書いたのですが
最近文字化けが酷くて読みづらく、申し訳ありません。
確認しだい訂正していきますね。

また何かわかり辛い点などありましたら、
お気軽にコメントして下さいね。
Posted by ちーず at 2005年07月18日 12:05
ちーずさん、こんにちは。
毎回、見終わったときに
ほんわかした気分になれるドラマですね(^^)
Posted by honey at 2005年07月18日 15:52
ちーずさん☆

お返事ありがとうございます!!
そうだったのですね。冒頭のナレーションは字幕表示されていませんでしたので、これからもこのレビューサイトを利用させていただきます!m(_ _)m澪の想いのつまった、巧に語りかけるような素敵なナレーションですね。あ、澪の語りはすべてピンクで表示されています。すみません!!
Posted by てぃだ at 2005年07月18日 19:56
今回は本当に良い話でしたよね!
見終った時には、恥ずかしながら思わず胸が熱くなってしまいました(笑)
これからも、今回のような『心の栄養』となる展開が続いてくれると、個人的には凄く嬉しいんですけどね!

TBもさせて貰いますね!
Posted by フェイク・ヒーロー at 2005年07月18日 20:14
ちーずさん
こんばんは。
やっぱり佑司くんはアーカブイ星って言ってますね(笑)何ででしょ?

このドラマは映画を観ていたので、あまり期待していなかったのですが、期待以上に面白く仕上がっていますね。
映画とはまた違った展開と、ちーずさんのコメント楽しみにしてます。
Posted by らら at 2005年07月18日 21:33
こんばんは。コメントありがとうございます!

honeyさん。
私も見終わったあと、ほんわかとした気分になります。
今回は、巧と佑司の会話が良かった〜!

てぃださん。
またわからないことなどあれば何でもお気軽に
質問してみてくださいね!
お待ちしています♪

フェイク・ヒーローさん。
『心の栄養』、素敵な表現ですね。
3人が、新しい家族を作っていく様子が
感動的です。

ららさん。
どうやら原作の佑司がアーカイブ星と口が回らずに
アーカブイ星と言うようです。
子供のこういったいい間違い、可愛いですよね。
また遊びにいらして下さい。お待ちしています!
Posted by ちーず at 2005年07月18日 21:59
コメントさせていただきます。

>『隠し事はしない』。
確かに、この約束は、辛いですよね。約束でも、澪が生き返ってきたなんて、澪本人には伝えられないし…。それを隠しながら巧と佑司は澪と過ごさないといけない訳ですもんね。
Posted by はさにん at 2005年07月18日 23:17
はさにんさん、こんばんは。
巧が本郷先生に思いをぶつけるシーンに、
彼が一人で抱え込んでいる事の大きさを
感じました。
本郷先生がいてくれてよかった。
彼女が澪に会う日は来るのかな・・・。
Posted by ちーず at 2005年07月18日 23:21
コメントありがとうございました。
こちらは本当に読み応えがありますね。
読ませていただいてまた画面が甦ってきました。
これからもTBさせてくださいね。
Posted by ゆか at 2005年07月19日 10:04
ゆかさん。
こちらこそありがとうございます!
また遊びにいらして下さい。お待ちしています!
Posted by ちーず at 2005年07月19日 12:11
こちらで復習させていただき、
やっとレビューを書き上げましたので、
TBさせていただきます。

今回は記憶を「取り戻す」よりも記憶を
「新たに作っていく」ように気持ちを持っていったと感じました。
Posted by うんぼぼ at 2005年07月20日 00:53
ちーずさんこんにちは
私も巧の発作が起きるのが心配でした。
再発するシーンとかあるんですかね・・。
また、澪が巧のことを好きになっていく気持ちがいいな・・と思って見ています^^
Posted by まりこ at 2005年07月20日 11:39
こんばんは。コメントありがとうございます!

うんぼぼさん。
>新たに作っていく
確かに!
澪と巧と佑司は、新しい絆を作り始めているんですね。
TBありがとうございます。のちほどお伺いしますね!

まりこさん。
発作のシーン・・・。どうなんでしょう。
小出しにしているようなので、描かれるかも
しれません。
早く巧の想いを澪が受け入れられるようになると
いいですね。
Posted by ちーず at 2005年07月21日 00:52
TBありがとうございました。
問題がいろいろ起こりつつも乗り越えて、たくましくなっていく3人がすごくいいですねぇ。
次回も楽しみだぁ^-^
Posted by chany at 2005年07月21日 12:31
chanyさん、こんばんは。
少しずつ、新しい家族の形が出来ていくのが
嬉しいですね。
次週はある事件から、家族の心が又ぐっと
近づきそう。早く見たいです。
Posted by ちーず at 2005年07月22日 23:57
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