2006年02月02日

神はサイコロを振らない the 3rd day

『10年前大切だった友達は今もそばにいますか?』

=東洋航空402便が再び姿を現した3日後=

「1996年、長崎空港へ向って飛び経った東洋航空402便が、
 忽然と消息を絶った。
 そのとき、機内で何が起きたのか、私は知らない。
 わかっているのは、402便に乗っていた人たちにとって、
 それはわずかな時間に過ぎなかったこと。
 
 一方こちらは、わずかな時間どころか、
 10年という月日が過ぎ、
 死んだはずの友達が、生きていた。
 10年前付き合っていた人が、
 また目の前に現れた。」
朝、歯を磨くヤス子(小林聡美)に弟の菊介(武田真治)が聞く。
「姉ちゃん、飛行機が墜落した時姉ちゃん遺族係だったんだって?
 何で話してくれなかったの?」
ヤス子は落ちていた遺族からの手紙を拾い上げる。
「これ見たでしょ!」
「落ちてたから。」歯を磨きながら答える菊介。
「人のもの勝手に読んだらダメでしょ!」
ミス・角煮まんじゅうを招待しスキヤキパーティーをすることを
楽しみにする菊介。
「今日・・・いいよ!
 俺の心は、準備OK!」
菊介、ハブラシを加えてウィンク!

パソコンの画面を見つめるヤス子。
『402びんカウントダウンコーナー
 残された時間は、あと8日
 402びんは
 再び10年前に引き戻される
 徹底懸賞すべし』

パソコンを見つめるヤス子は思わず涙ぐみます。
それでも刻一刻と、再びやってくる別れの日が近づいてくる。
泣いている場合じゃない、とでもいうように涙を拭うヤス子。
そして、過去の場面。ヤッチとアッチの余興、『きんさんぎんさん』
「きんはひゃくしゃい!」
「ぎんもひゃくしゃい!」
「ひゃくしゃいひゃくしゃい!」


ヤス子は家族会会長の甲斐(尾美としのり)とテツ(山本太郎)が言った
“402便の乗員乗客があと8日で消えてしまう”
という話を正直に亜紀(ともさかりえ)に話した方がいいと考えていた。
しかし、テツは決して明かさないようにと口止めする。
「お前な、俺が言うなって言ったんだから、言うなよ。
 お前はよくわかってないんだから。
 お前は消える方じゃないだろう?
 お前にはアキの気持ちがわかんないんだから。」
「あの・・・お前お前って、なんか、すごく偉そうなんですけど・・・」
「え。いや・・・お前は、お前だろ?」
そしてテツは、唐突に、今日からそっちに泊まると言い出す。
「前俺が住んでたところは、今、新しい人が住んでいるから。
 で、会社はこのままずっとホテルに泊まってていいって言うんだけど。」
「いていいわよ。ずっといなさいよ!いればよくってよ。何でうちなんかに。」
「・・・俺も消えるんだぞ、8日後に。
 お前に・・・会えなくなる・・・。
 とにかく、アキには言うなよ。わかったな!?
 俺は駆け落ちカップル探すから、
 お前は、黒木亮君のお母さん件、ちゃんと会社に報告しろ。わかったな?」
テツはそう言い電話を切った。

ヤス子はテツに言われたようにすぐに会社に電話を入れ、
坂倉(升毅)に、離婚した亮の母親と連絡が取れ、ロスで添乗員をしていた所
急遽帰国することになったと伝える。
「一刻も早く会わせてあげたかったので、担当でもないのにすみません。」
「そのことで今、家族会の代表の甲斐さんがいらしてる。
 君に、世話係を頼みたいとのことで。
 家族会の意向は、ノーとは言えないからな。」坂倉が微笑む。
「では、正式にご家族のケアに回ってもよろしいということですか!?」
「ああ。」
「じゃあ、これからホテルに向います!」
「その前に、こっちに顔を出してくれ。」
「はい!」

「会社の人事にまで口出すようなことを本当はしたくなかったのですが・・・。」
甲斐が坂倉に言う。
「黛がそこまで、信頼されていたとは。」坂倉が答える。
「10年前、私たち家族に対して、とても真摯に対応してくださったのは、
 黛さんですから。」
「ほかはまるで何もかも不誠実だったみたいですね。
 奇跡の生還を、こう見えても私も心から感動し、喜んでいるんですよ。
 あなたの弟さんもご無事で、本当に良かった。」
本部長の大屋(岸部一徳)がそう言い握手を求める。
「ありがとうございます。」
その握手を拒否し、甲斐は深く頭を下げた。

大屋が去った後、甲斐はもう一度坂倉に礼を言う。
「いずれ、皆さん消えてしまいますが、どうかその最後の日まで、
 ケアをよろしくお願いします。」
「その、消えるっていう話、本当なんですかね?」
「信じてないんですか!?」
「いやあの、まだ、調査中ということで、皆さんにお伝えするのは
 控えるよう言われています。」
甲斐は大屋が立ち去った方向を険しい表情で見つめ・・・。

402便の乗客たちが滞在しているホテルでは、航星(中村友也)が402便の
乗員乗客は再び消えるというホームページを発見していた。

そこへ、後藤瑠璃子(成海璃子)がやって来た。
航星は瑠璃子に心配させないよう、パソコンを閉じる。
「これ、ノートパソコンっていうんだって!
 そうだ、携帯、見た?」と航星。
「携帯は知っています。お母さんが持ってたから。」
「違うの、ここ見て。行くよ。」
航星が瑠璃子と並び、携帯のシャッターを切る。
「すっごい!写真!」
瑠璃子はそれを亮に見せる。
「これどこにフィルムが入ってるの!?」

不安になった航星は、自分たちが消えてしまうのではと亜紀に相談する。
「加藤教授の理論によると、そういうことになるらしいんです。
 会社から何か聞いていませんか?」
「いや・・なにも、全然!
 消えるって、私たちが消えるの!?」
「乗員、乗客、みんな・・・。」
「いやーだ!そんなことあるわけないじゃない!」
「今日、兄貴が加藤教授と会う予定なんです。
 あとで詳しく聞いてみます。」
航星の背中を見送りながら、あり得ない、とでも言うように首を横に降る亜紀。

ヤス子は坂倉に世話係をする上での注意をいくつか受ける。
「402便が10年後の長崎空港に降り立ったのは、
 機体の異常でも操縦ミスでもない。
 よって、東洋航空に責任があるような言い方は一切するな。」
「消えるという話は?」
「それも!一切口にするな。
 今の段階で、余計な混乱招くだけだろ?」

坂倉とヤス子は、乗客たちへの対応の確認をする。
神蔵夫妻のアパート探し。
長崎の娘夫婦は一緒に住みたがっているらしいのだが・・・。

後藤瑠璃子は、家に帰ること、母親に会うことを拒否していたが、
このままのわけにもいかず、母・杏子(高橋惠子)に引き渡すことになった。

そこへ亜紀がやって来た。自分も世話係をしたいと言う。
「ご搭乗されていたお客様が落ち着かれてからゆっくり休みます。」
そう言いはる亜紀に、ヤス子は自分が正式に担当になったから、
心配しないで帰るよう言う。お互い引かない二人。
書類を引っ張り合っていると、ビリっと破けてしまった。
「・・・ごめんちょ。」

坂倉の元にテツから、駆け落ちカップルが見つかったと連絡が入る。
「ねえ、マジで何の問題もないと!?」霧島藍(矢沢心)が聞く。
「もう10年も経ってるんだぞ。二人の交際に反対する人はいないよ。」
「うちらの交際!?」
「駆け落ちしたんだろ?」
二人が顔を見合わせる。
「あのさ!」日向啓太(丸山智己)が続けようとすると藍が慌てて止める。
「そ!うちら、駆け落ちしたんだよね。」
啓太もそれに合わせた。

二人は駆け落ちしたわけじゃないんですね。
一体何をして逃げ出してきたのか!?事件がらみ!?
あのカバンの中には何が入っているんでしょう。お金・・・かな?


ヤス子に邪魔扱いあれた亜紀は、ヤス子の家で食事の支度をして待っていると
言い出す。
「私のことはいいから、自分のことを考えなさいよ。
 これからの時間は、自分のために使いな!」
「なにそれ・・・」
ヤス子は亜紀を追い返す。

=長崎=
八百屋を営む浜砂藤吉(片桐仁)は、店も開けずに妻・柚子(市川実和子)が
残した置き手紙を見つめていた。
『東京に行きます。
 許して下さい。柚子』

「これはね、ちょっとそこまで、買い物に行ってきまーす、
 すぐ戻りまーすって 書いてあるんだよ。」
隣に座る娘の桃子(佐々木麻緒)にそう説明する藤吉。
「東京に行きます。許して下さい。柚子。」
「字、読めるの!?」
「お父ちゃん。お母ちゃんはきっと、中武昇子っていう人のところに
 行ったんだよ。」
「知ってんの?」
「お母ちゃんは、中武昇子っていう人と、えんたつあちゃこを
 目指していたんだよ。」
「えんたつあちゃこを知ってんの!?」
「しゃべくり漫才で、浅草の劇場を笑いでいっぱいにするのが、
 お母ちゃんたちの夢だったんだよ。
 お母ちゃんたちの持ちネタは、」
「持ちネタも知ってんの!?」
「だっちゅーの!」
「・・・・・」
「お母ちゃん、もう・・帰ってこないかも、しれない。
 お父ちゃん・・・。」
「桃子・・・」
抱きしめあう親子。

その頃、柚子は昇子との再会を抱きしめあい喜ぶ。
「だっちゅーの!」連発!

甲斐は弟に加藤教授のことを聞かれて説明する。
「当時は、とんでもない説だと、教授をあざ笑う者ばかり。
 俺だってそうだ。最初から素直に受け入れたわけじゃない。
 耳を傾けたのは、お前が、大学で理論物理学を学んでいたことを
 思い出したから。
 お前は科学少年だったからな。
 生きていれば、きっと興味を持つ。
 お前を思い、小難しい本を必死に読みふけった。
 そうすることで、俺なりに、お前の死を、
 必死に受け止めようとしたんだ。
 おかげで、そこらの学者よりは詳しいかもしれないな。
 どうだ、航星、お前も・・・」
「調べてみるよ。」

甲斐の弟・航星は、現実を知らされ、受け入れたのですね。
科学少年だったという彼が、ここへ留まれる方法を発見してくれる
希望を持ちたい。


「僕の友達は、コンビニ。
 姉ちゃんの友達は、アッチ。
 ミス角煮まんじゅう。
 スッチー!」


菊介の呟きも、何か意味があるのか!?(笑)
将来本を書いたり!?


「あの・・・もしかして黛さんの・・・
 ヤッチの、弟!?」
家の前で声をかけられた菊介。カッコつけて振り返り、亜紀の姿のガッツポーズ。
だが次の瞬間、菊介は愕然とする。
亜紀に「菊坊!」と声をかけられたからだ。

ヤス子は瑠璃子の母・杏子を瑠璃子の部屋に案内する。
「お母さん・・・」
「瑠璃子・・・」
だが瑠璃子は、もう一度自分を死んだことにしておいてほしいと言い出す。
「その方がいいんじゃないかな。 
 私は、お母さんが一足先に帰って、ほっとしたんです。
 ひとりになれて嬉しかった。
 だから、東京に帰るのが憂鬱で仕方なかった。
 お母さんが後悔しているなんて嘘よ。
 そういう人が、亡くなった娘のCD出したりする!?
 本当は困ってるのよ。死んだはずの私が生きていて、困ってるんでしょう!?
 私にはわかるの。お母さんはそういう人だから。」
「・・・そうね。そうよ。どうしたらいいかわからないわ。
 わからない。
 あなたの言うとおり。困ってるわ。」

ただ娘を抱きしめてあげればいいのに・・・。
あれは母親の本心じゃないと信じたい。


「まさか僕のことを菊坊菊坊って言ってた、ジャイアンみたいな人が
 ミス角煮まんじゅうだなんて!」
亜紀にあれこれ言われながらスキヤキの準備をする菊介が呟くように言う。
「あれ、応募者二人だったから。私とヤッチ。
 接戦の末、私が選ばれたの!」
頭を抱え座り込む菊介。
「ジャイアンなんて失礼ねー!
 ちゃんと可愛がってあげたでしょー!?」
「苛めてる方は苛めていることに気付かないのが苛めなワケで・・・。」
「何モゴモゴ言ってんの。手ー休めんな。」
亜紀、菊介の髪をわし掴み!

「あんな母親ですみません。」
杏子が帰った後、瑠璃子はヤス子に謝り出す。
「あんなの母親じゃない。
 人としても最低です。」
「あのね・・・。
 何も見つからなかったの。
 402便が消息を絶ったとき、一生懸命探したんだけど、
 何も見つからなくて、
 墜落したっていう証拠も何一つ出てこなくて。
 そのうち捜査も打ち切りになって。
 乗員乗客全員死亡って言われたの。
 残された家族はそれを現実として受け止めるしかなかった。
 何も見つかってないんだから、
 本当はどこかで生きているんじゃないかって、
 そういう思いを必死で閉じ込めたの。
 もういないんだ。死んでしまったんだって、必死に自分に言い聞かせて、
 ようやく10年経ったの。
 現実として、ようやく受け止められるかなーって、
 そう思っていた矢先に、402便が帰ってきた。
 私は、お母さんを人として最低とは言いきれないな。
 どうしていいかわからない、困ってしまう、
 そういう気持ちって、人にはあると思う。」
「理解出来ません・・・そういう気持ち、私にはわかりません。」
瑠璃子はそう言い涙をこぼした。

帰り道、気落ちした様子で歩くヤス子。
子供たちが吹くシャボン玉を見つめ、表情が和らぐ。
だがシャボンがはじけると、ヤス子の表情は再び曇り・・・。

自宅の玄関を開けると、テツが正座をして待っていた。
「お帰り!」
「な、何やってるの!?」
「今日から泊まるっていったろ?」
「へ!?」

部屋に上がると、亜紀も陽気に声をかける。
「何!?」戸惑うヤス子。
「ねえちゃん!!」菊介が睨む。
「どういうこと!?」

「いっただっきまーす!」
「食べたら出てってね。」
「え?僕?」菊介が答える。
「そちらの方!どうしても泊まるっていうなら弟の部屋にして。」
「ああそうだね。私も今日はヤッチのところに泊まるから。」
「あんたも泊まる気!?」
「今日は男子と女子に別れよう!」とテツ。
「イェーーイ!」と亜紀。

亜紀は航星の話を思い出し、そのことを話し出す。
「あの子、変なこと言ってたなぁ。
 乗員・乗客、みんな消えるって。
 会社から何か言われてませんかって。」
テツ、ヤス子の動きが一瞬止る。
「言われてないよなー。」テツが笑いながら答える。
「消えるんですか?」菊介が聞く。
「消えないよなー。」とテツ。
「加藤教授の理論によるとそうなるって言ってた。
 加藤教授って、誰?」
テツは話をはぐらかそうとするが、ヤス子が答える。
「402便は墜落していない。
 乗員乗客は時空を超えて、生きているっていう説を発表した人よ。」
「おい。」テツが止める。
「実際、加藤教授の言うとおりだった。」
「よせよ。」
「話してよ!私に、隠し事しないで。」
「・・・教授の説によると、もう一度同じような現象が起きて、」
「やめろって!」
「みんな8日後に消えるって。」
「お前な!」
「・・・聞いてくる。
 あの、家族会会長さんと、教授が会うって言ってたから、
 私、聞いてくる!」
亜紀が飛び出していく。
「どうすんだよ!」
「大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃない!お前は知らないから、そんなこと簡単に言えるんだよ。
 亜紀はな、あの日、402便が無事に着いた夜、助かってよかったって、
 すげー泣いたんだぞ。
 あん時機内で、どういう思いだったか、お前わかるか!?
 怖くて怖くて、死ぬかと思ったって。
 みんなそうだよ。
 誰だって、あんな思いしたら・・・
 そりゃ、そりゃさ、いきなり10年後だって言われて納得出来るかって
 言われたら、出来ないけど、あの時のこと考えたら、
 10年後だろうが20年後だろうが、生きてて良かったって、そう思えて、
 そう思って必死に気分切り替えたんだよ。
 必死に明るく振舞ったんだよ。以前のままと変わらずにって。
 それをお前!」
「・・・」
「わかんないよな。お前には、わかるわけないよな。」
そう言い亜紀を追おうとするテツ。
「私が行くよ!」ヤス子が席を立った。

加藤教授は甲斐に時空に吸い込まれる瞬間の写真を見せてもらいに
長崎から車を飛ばしてやってくる。
甲斐は疲れている、という加藤を亜紀、ヤス子が待つ東洋航空に
連れていく。

「この宇宙から、全ての物質が消滅したら、時間と空間のみが残ると
 かつては信じられてきた。
 しかし、相対性理論によれば、時間と空間も、物質と共に消滅する。
 わかりますか?」
「・・・わかりません。」
「こっちが時空A、こっちが時空B、
 本来なら、隔絶しているはずの時空Aの一部が時空Bにはみ出した。
 しかし、時空の復元力により、元に、戻る。
 こう言えばわかるだろ!?」
「もう・・・わかりません!」と亜紀。
「ものすごく乱暴に説明すると、ゴム風船みたいなものなんじゃないかな。
 壁に開いた穴から風船膨らまして、
 パッと放すと元に戻るでしょう?
 時空からはみ出したものが元に戻るっていうのは、
 そういう感じをイメージするとわかるんじゃないかな。」とヤス子。
 消えるっていうのは、元の時間軸、元のあるべき場所に戻るっていう
 ことなんだと思う。」とヤス子。ヤス子が続ける。
「10年前のものは全て消えるっておっしゃいましたよね。
 服は?例えば彼女が着ていた乗務員の制服。」
「あんなの縁起悪いから焼却炉で焼き捨てます。」と亜紀。
「いや、焼いたとしても、元の時間軸に戻る過程で、再校正される。
 問題ない!」
「じゃ、今着てる服は?」
「元に戻る際、その場に残る!」
「裸になるんですか!?」とヤス子。
「困ります!」と亜紀。
「現れたときの服装になって消えるということで。」と甲斐。
「い、いつ着替えるんですか?」とヤス子。
「瞬間的に移動し・・・」と甲斐。
「じゃ、瞬間的に裸になるの?」とヤス子。
「どうしたらいいのー!?」と亜紀。
「細かいことは気にすんな!」と加藤。
「どうして!?」と亜紀。
「答えられないからじゃない?」ヤス子が小声で言う。
「違うぞ!
 彼女にとっては不毛な会話だからだ。」
「記憶も消えてしまうらしいんです。
 つまり、この世界に起きたことは、彼女の記憶には
 一切残らない。」
「奇跡の出来事は、我々の中にだけ残るだろう。」
「え、ちょ、ちょ、ちょっと待って。 
 それって、私そのもの、が?」
「ああ。何もかも消えるって言ったろ?」
「それは・・・私は、死ぬってこと?」
「私の理論上では、そういうことだ。」
「じゃあ、じゃ、何の為に助かったの?
 あの時、あんな怖い思いをして、何の為に10年後の世界に来たの?
 意味ないじゃない!
 結局死んじゃうなら、ここにこうしていることだって、無意味じゃない。」
亜紀が部屋を出ていく。
「教授の説が外れる可能性もありますよね!?」とヤス子。
「いや。ゼロに等しい。」
「でも絶対じゃありませんよね?」
ヤス子の言葉に部屋の外で立ち止まる亜紀。
「アインシュタインの言葉に、こういう言葉がある。
 君に捧げよう。
 神はサイコロを振らない。
 我々人間は、神のそれを受け入れるしかないんだよ。
 ・・・可愛そうに。彼女を慰めてやるといい。
 もうどうしようもないことなんだから。」
「どうしようもないからってひるむ人じゃありませんから。
 彼女はそんなヤワな女じゃありませんから!」
ヤス子は部屋の外にいる亜紀に語りかけるようにそう言った。

夜の街、亜紀を探しながら家へ電話するヤス子。
亜紀は家にも戻っていなかった。
一緒に探すと言うテツに亜紀が言う。
「亜紀のことはこっちに任せて。
 それより、そっちは大丈夫?」
「え?」
「あの時、死ぬかと思ったって。怖かったんでしょう?」
「バカ、それは亜紀の話であって、俺は別に。」
「無事でよかったね。お帰りなさい。」
「・・・」
「ちゃんと言ってなかったから。お帰りなさい。」
「・・・俺のことはいいから、亜紀、放っておくなよ。
 ちゃんと探せ。東京中歩き回って、ちゃんと探せよ。」
菊介の視線に気付いたテツがそう答えた。
「心配しないで。亜紀とは長い付き合いなんだから。じゃ!」
ヤス子はそう言い電話を切った。

再会から3日。やっとヤス子はテツに「お帰りなさい」を言えたのですね。
菊介がいなかったら、テツは何て答えていたのかな。
泣いちゃったかもしれないですね。


ヤス子は亜紀を探しに展望台にやって来た。

「あれは、いつだったろう。
 ナメ猫が大ブームで、文化祭で二人でツッパッタっけ。
 もう、ずいぶん昔の話だ。
 80年代、90年代にかけて、ずっと私たちは一緒だった。
 流行りものにはすぐに飛びつくあの子がいたから、私は、
 なたでここも、パンナコッタも、ヨーグルトキノコも食べたっけ。
 モツ鍋が流行った時には二人で寒い中並んだな。
 飲み会の余興も、ピンクレディーはもちろん、
 きんさんぎんさんもやったっけ。
 あの子がいたから、そう。402便が消息を絶った1996年のあの日まで、
 私の傍にはいつもあの子がいた。
 あの子がいたから、私の人生・・・」


亜紀が展望台にやって来た。メイド服姿で夜景を見つめている。
「いたの?」ヤス子が声をかける。
「いたよ。」
「着替えたの?」
「着替えたよ。」
「衝動買い?」
「よくここがわかったね。」
「嫌なことがあった時は、衝動買いをして最後は必ずここに来た。
 その服さ、」
「流行ってるんだよ。知らないの?相変わらず疎いんだね。」
「流行ってなくは、ない。」
「あー、参った。
 教授の話は参った!」
「亜紀には言うなって言われてたんだけどね。」
「テツ?」
「自分だけ知らないの我慢出来ないタイプでしょ?」
「黙っていられるとあったまくる!」
「だから話したんだけど・・・もう1コいい?」
「もう、まだあんのー!?」
「その服さ、流行ってるっていっても、ごく一部だよ?」
「えぇ!?どっか、間違ってた!?
 私も、ほんとに、こんなの流行ってるのかなーって。。」
「昔余興できんさんぎんさんやったの覚えてる?」
「ひゃくしゃい?」
「今やるとしたら、これかな?
 萌えー、とか言ってね、」
「萌え?」
「恥ずかしいから、帰ろう!
 近づかないでね、恥ずかしいから。」

仲良く並んで歩く二人。
「私がいなかったときに、いろんなものが流行ったでしょ?
 Dr.コパとか、パラパラとか、あと、寒天ダイエットに、
 ヨンさまとか。」
「そんなのいちいちつき合わされないで済んでほっとしてるよ。」
「退屈だった?」
「穏やかだったよ。」
「つまんなかったんでしょう!?」
「静かに過ごせて良かったよ。」
「私は悔しいよ。ヤッチの10年に、私がいなかったことが悔しい。
 もうそばにいていっぱい振りまわしてやりたかったよ。
 28から38までの時間を、一緒に過ごしたかった・・・。」
「・・・また泣くか?」
「泣かないよ。
 私ね、悔しいから、ヤッチの残された時間を豊かにしてやることにした!」
「残された時間は私じゃなくて、そっちの方でしょう?」
「違う。ヤッチの時間だよ。
 だって、私やテツがいなくなったあとさ、ヤッチはまた
 味気ない人生送るんだろうから、それまでは、私が傍にいて、
 ヤッチに残された時間を最高に素敵な時間にしてやるよ。
 人生でもっとも忘れられない、かけがえのない時間にしてやるよ。
 私は受けて立つよ!
 消えようがどうしようが、何でもきやがれ!
 何でも受けて立とうじゃないの!
 ヤッチ、正直に話してくれて、ありがとう!
 それでこそ、ヤッチ!
 それこそが、ヤッチだぜ!
 私は、大丈夫だよ。
 どうしようもないからってひるむような、柔な女じゃないからね!」
「・・・それでこそアッチ。
 それでこそアッチ!
 それこそが、アッチやねん!」
二人はにぎやかに家路へついた。

『残された時間は・・・・・あと7日』

二人を探しに出ていたテツが家に戻ってきた。
「二人がいた」と言う菊介の言葉に、部屋中二人を探し回るテツは
菊介の部屋のパソコンを見て驚く。
「君が・・・これを書いていたのか? 
 君が?」
『残された時間は、あと7日』と書かれた便箋を手に、テツが聞いた。

『東洋航空402便 全員 再び消える』
新聞記事を見た乗客たちに動揺が走る・・・。



今回のタイトルは、『10年前大切だった友達は今もそばにいますか?』
友達っていいな、と思わせてくれるストーリーでした。
誰よりもお互いを分かり合っているヤッチとアッチ。


私の場合・・・
10年前の私は子育ての真っ只中。
そのときに出来たママ仲間とは今でもとても仲良し。
学生時代や社会人の頃の友達とは、お互い環境が変わりなかなか会えず、
年賀状のお付き合いだけになってしまう場合が多かったのだけど、
ママ仲間とはご近所ということもあり、今でもよくランチしています。

子供が幼稚園ぐらいの時に出来る友達って、母親にとって宝物になると思う。
一緒に子供を育てて、遊んで、ご飯食べて。
たまには夫の不満を言い合ってみたり、子育ての悩みを相談しあったり。
そして、お互いの子供を小さい頃から知ってるので、みんな大きくなっても
とても可愛い!

今はそれぞれ仕事を始めたり、家族の世話があったりで
なかなか集まれないけれど、
それでも久しぶりに集まる時間はおしゃべりが絶えません。
子供に素敵な友達をプレゼントしてもらえたなーと感じています。


残された時間はあと7日。
新聞にも掲載され、それを見た乗客や家族達はどうなってしまうのでしょう。

駆け落ちカップルの真相は!?
友達の所にあのカバンを届けるのが目的?

柚子と昇子は、浅草劇場の舞台に経つことで二人の夢をかなえるのかな。
その席に夫と娘を招待してあげてほしいですね。

瑠璃子はお母さんと歩み寄ることが出来るのか。
彼女のピアノが聞きたいです。



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この記事へのコメント
ちーずさん、こんにちは。
今回はヤス子と亜紀のことがメインでしたが、402便の乗客も気になるところが多々ありましたね。
駆け落ちカップル駆け落ちではないようですし、何より菊介がHPを作っていたなんて!全く目が離せない展開になりました!!(笑)
そして何よりメインの謎(?)、どうして10年後の世界に戻ってきたのか?が残っています。
多くの謎を背景に、それぞれのやり取りが温かくて、すっかりこのドラマにハマっている状態です。
Posted by lavish at 2006年02月02日 13:16
lavishさん、こんにちは。
なぜ菊介がHPを!?
姉があの航空会社の社員だと知っているのに、
謎ですね。
会話の楽しさと、ストーリーの切なさに
ほろっとしたり、吹き出したり。
素敵なドラマです。
Posted by ちーず at 2006年02月02日 13:32
今回もほろっとさせてもらいました。10年っていう時間っていろいろ考えさせられますね。
Posted by みいちゃん at 2006年02月02日 14:44
テツとヤッチの言い争いは、2人ともアッチのことを思ってのことだって分かって、グッときてしまいました。2人とも自分より仲間優先、乗客優先で、もどかしい程です。
それしても、やたらと軽いと思ってた菊ボウは、一体何者なんんでしょうか?フリルの前掛けが妙に似合ってて、笑ってしまいました。
Posted by のんのん at 2006年02月02日 17:32
10間。さまざまの事を諦める年代でしょうね。
アッチとテツは、まだ若さで前向きに考えて
行動できるわけですね。追いまくられるヤッチ。

菊坊は、一体何者?ヤッチと何も話し合わなかったけど・・・不思議くんです。
Posted by mari at 2006年02月02日 18:14
こんばんは。
瑠璃子のお母さんは娘との対面で
涙を明らかに隠していたので、
来週は和解するんじゃないでしょうか?
残された時間が二人を素直にしてくれるような気がします。
Posted by いわぴい at 2006年02月02日 20:43
こんばんは!

>友達っていいな、と思わせてくれるストーリーでした。
誰よりもお互いを分かり合っているヤッチとアッチ。

そうですよね!
そして、このドラマ
セリフがキラキラしていていいですよね!
Posted by GO at 2006年02月02日 23:24
ドラマがどんどん良くなっていきますね。これは初回から観ていて正解でした。

ところで我が家も10年前は子育て真っ最中。今子供は12歳と10歳ですから、もし両親がそういう事故にあって再開できたとしたら、どう話せば良いのか想像もつきません。
Posted by さとし@快投乱打 at 2006年02月03日 00:52
こんにちは。

菊介が本を書くかもというちーずさんの予測に思わずうなってしまいました。ありえますよね。
ちゃらんぽらんに見えても10年後の出現とその10日後の消滅も予測してるんですもんね。
実は一番のキーパーソンなんでしょうか?
Posted by ひいな at 2006年02月03日 08:50
ちーずさん、こんにちは。
菊介、音大卒だから瑠璃子に絡んで来ると思ってたのに、
かなり重要な部分に絡んで来ました!
ニートという設定だし、頭も良さそう、何かするとは思っていたが、、
この展開にはビックリです。
どんどん面白くなっていきますね!
Posted by めいまま at 2006年02月03日 15:04
ちーずさん、こんばんは。
今回はこのドラマがいちばん楽しみです。
でもラストを思うと何だかフクザツな気持ち…。
ハッピーエンドが好きなんだけど、このドラマはどうかなあ。
今回は10年前の友達は今もそばにいますかという副題でしたね。
見終わった後、10年以上の友人にメールしちゃいました。
そしたらその友人も同じこと考えてたみたい。
ともだちって、ほんといいですよね。
Posted by くー。 at 2006年02月04日 02:52
さくらです♪

今ひとつ理解できないんですが、402便の乗客及び乗務員は、後7日後に時間軸が元に戻り死ぬということですよね?・・ただ、服の話しで10年前に来ていたものが復元されて消えていくという話しもありました。だとすれば、402便の乗客や乗務員は元に戻った時間軸では復元されないんでしょうか??そして、10年前の世界からきた乗客・乗員が10年後の世界で残したものは全て消えてしまい、10年後の世界の人達の記憶の中にだけ残るということ??10年前の時間軸が、一部10年後の時間軸と繋がってしまい、10年前の時間軸の復元力により10年後の世界からいずれ消えてしまうという説明はわかります。でも、何故乗員や乗客は10年前の世界に復元されないんだろ?って思っちゃいました。10年後の時間軸と繋がってしまった、10年前の一部の時間軸が・・復元力によって物質も時間も空間も、消滅してしまう・・みたいな感じでしょうか??

10年後の世界の乗員・乗客の時間軸が消滅してしまうので、彼らは10年後の世界から消えてしまい、10年前の世界が復元される。しかし、10年前から10年後にワープして10年後の世界で時間軸が消滅してしまった402便の乗員・乗客に関しては、復元されても時間軸が10年前のワープする直前までしかなく、その後の彼らにとっての時間軸は消滅しているので、時間軸的には10年前のワープの時点で、402便の乗客・乗員の時間軸は止まってしまい、結果的にその時点で402便の乗客・乗員はこつぜんと歴史から消えてしまい、10年後の世界の人達にとっては死んだのと同じことになる・・・みたいな説明であってるのかな??

それならば、10年前の時間軸が復元され10年後の時間軸が消滅した時点で402便の乗員・乗客に新たな次に繋がる時間軸が生まれれば・・10年後の世界にも、彼らの存在がありそうなんですが・・。そんな、都合のいいことはおこらないか??神はサイコロをふらないんですよね。せつないです・・・。

そういえば、菊助はなんであんなHPを作ってたんでしょう??以前ヤス子と話した時は10年前の事故についてもう覚えてないみたいな感じだったと思いますが、実はちゃんと覚えてて加藤教授の説とかも知ってたのかな??だとしても、何故ああいう402便の乗員・乗客の過酷な運命を、外から見て楽しむ・・ようなHPを作っていたのか・・気になります。

次回予告で、ヤス子と菊助がお互い頬を叩き合うみたいなシーンがありましたが、HPを作っていたのが菊助であることを受けての流れなのかな?最終回まで、楽しめそうです・・このドラマ。
Posted by さくら at 2006年02月05日 07:14
こんにちは。コメントありがとうございます!

みいちゃんさん。
毎回笑わせてくれたり、ほろっとさせてくれたり、
大好きなドラマとなりそうです。
つい、自分の10年間と重ねてみてしまいますね。

のんのんさん。
どの登場人物も相手の気持ちを思える優しい人たち。
だから見ていてグッとくるんですよね。
菊坊、何を考えているんでしょう!?
彼の心の呟きも毎回楽しみです。

mariさん。
10年って長いですよね。
ヤッチの気持ち、わかるような気がします。
菊坊は謎っ!!今後キーパーソンになるのかもしれませんね。

いわぴいさん。
瑠璃子のお母さんも、悲しみを癒すためにCD発売に
踏み切ったのだと思いたい。
あの母娘には今後泣かされそうです。

GOさん。
さすがGOさん!
セリフ、キラキラしていて素敵です。
大好きなドラマとなりそうですよ。

さとし@快投乱打さん。
私もどんどんこの世界に引き込まれていっています。
もしも自分が乗員だったら・・・
やはり事実は伝えてほしいですね。
そして、残された時間を無駄なく使い切りたい。
でも、二度も別れを体験しなければならない家族は
辛いですね・・・。

ひいなさん。
菊介、謎ですね。
菊介は教授の説をHPに書き起こしたんだと思いました。
その狙いが、ちょっとわかりませんね。
姉が対策係だったことも知らなかったようだし・・・。
ただのヤジウマ的感覚!?
ひいなさんのおっしゃるとおり、今後、キーパーソンとなりそうですね。

めいままさん。
音大卒のニート。姉と同居。
彼のキャラが掴みきれない。(笑)
あのHPを見て、家族たちが長崎空港に集結したんですよね。
彼はどうしてあのHPを作ったんでしょう。
その辺のところを早く知りたいでしゅ。

くー。さん。
10年以上前の友人にメールしたとは、素敵ですね。
私もこのドラマ、すごく気に入っています。
ラストはお別れが決まっているようですが・・・
残される家族がそれぞれ、前向きに生きていけるようになると
いいですね。

さくらさん。
私もその辺がよくわからなかったです。
時空の復元力により元に戻る、
元、というのは、あの飛行機でワープする直前に戻るということ?
ただ、教授の言っていること全てが正しいとは
限りませんよね。
もしかしたら記憶は残されるとか、
思い出のものを持っていけるとか・・・。

あのワープの直前に戻った飛行機は、普通に東京に到着することは
出来ないのかな。
そうすると未来が変わってしまう?

それから菊介。
彼もタイムトラベラーの経験者ってことはあり得ないかな。
なんらかの形で過去か未来へ飛んで戻ってきた。
その秘密は口外することは出来ないけれど、
変わりにHPを作ってメッセージを送っているとか。
となると、完全にSFっぽくなってしまいますね。(笑)
Posted by ちーず at 2006年02月05日 16:36
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