2006年02月09日

神はサイコロを振らない the 4th day

『10年前の夢を今も覚えてますか?』

東洋航空402便が再び姿を現した4日後

「摩訶不思議なり。
 ほんの5日ほど前には、
 この物体は死亡したものとされていた。
 それが今、ここに生きている。
 10年前と変わらない、あの頃のままの体・・・
 あの頃のままの、性格・・・」


10年前の姿の亜紀(ともさかりえ)をしげしげと見つめ、その身体にそっと
触れてみるヤス子(小林聡美)。
自分との違いを比較していると、突然背後からテツ(山本太郎)に声をかけられ
慌てて振り返る。ヤス子は自分のベッドに亜紀を寝かせ、自分は床にふとんを敷いて
寝たんですね。
朝、まだぐっすり眠る亜紀を見つめてのヤス子の心の声。
亜紀の頬を指で押した後、自分の頬の弾力と比べてみる。
肌の弾力、つや、すべすべ感。
10年の差は大きいよ。うんうん。(妙に納得しちゃう!)
足に触って見たときの亜紀の足の指の動きが可愛かった。(笑)

「トレンディードラマー!」って寝言、
亜紀はどんな夢を見ていたのでしょう。(笑)


「おまえの弟、音大出てるって?
 音大出てまで、一体何やってんだよ!クソッ!!」
突然腕立て伏せし始めるテツ。
「だ、大丈夫か!?」
「おまえの弟は!弟は!!」
「お、弟、どこ?」
「表に立たせてある!」

両手にバケツを持たされ、外に立たされる菊介(武田真治)・・・。
「402・・・403・・・」

「ピアノやってたんだって?
 ピアノで食っていこうと思っていたらしいじゃないか。
 それがなんだよ!今じゃ、家でゴロゴロしているだけだって言うじゃないか!」
今度は腹筋をしながらテツが言う。

「それであんなことして・・・あの野郎!」
反復横飛びしながらテツが言う。

「あいつの部屋だよ。パソコン通信していやがった!
 つなぎっぱなしで、電話代大変だぞ。」

慌ててパソコンに向うヤス子。
「これだこれだ。
 加藤教授の説を煽ったりしている。」
「これって、加藤教授がやってんじゃないの?」
「お前の弟だよ。俺に送られた手紙もそうだって。」
パソコンに顔を近づけていた二人はお互いの顔の近さにドキドキ。
だがヤス子はそっと顔をそらしてしまう。
さりげなーく部屋を移動しながら、テツと距離を作り、
唐突に「手紙って、何?」と会話の続きをするヤス子。
「長崎のホテルで俺に、残された時間を知らせる手紙が来たんだよ。」
「どうしてそんなことを!」
「アホか!座れ!
 お前が気にするのもわからなくはないけれど、
 悪いのは、俺だから。俺が悪かった。」
「えっと・・・今何の話を?」
「だから!お前なんか死んじゃえって。」
「・・・」
「あれは、俺の方が悪かった。すまん!許せ!」
「あ、いや・・・」
「ごめんな。俺はな、ヤス子、」
「なんでしょう?」
「あの夜のこと、覚えてるか?」
「はて、あの夜とは・・・」
「いつもの居酒屋で!」
「あ、ケロタン?」
「俺たち、デートといえばいつもケロタンだったな。」嬉しそうに笑うテツ。
自分の傍に寄って来るテツからさりげなく距離を取ろうとするヤス子。
「逃げるなよ。」
「聞いてるよ。」
「あの夜、居酒屋ケロタンで、二人で夢を語り合ったじゃないか。
 覚えてる?」
一瞬表情が変わるヤス子。だが笑顔をつくりごまかそうとする。
ヤス子はピアノにもたれかかり二人の話を聞いていた亜紀に気付き
話の中に引きずり込もうとするが、亜紀はちゃんと二人で話せと合図を送る。
「俺は覚えてるぞ!
 お前にとっては、10年前かもしれないけど、
 俺にとっては、ついこの間なんだよ。」
「・・・あ!
 402便が姿を現した時、その素振り全然見せてなかったけどなー。」
「え?」
「弟、私の。
 そんなこともあったねーって、全然興味なさそうだったのに、
 どうしてあんなことを・・・」
「何となく。暇だったから。」
「なんだそれ!」
「俺もバシって言ったんだけどさ!」

「513・・・514」
外で立たされる菊介に部屋に入るようヤス子が言う。
「1000まで数えろってお達しが。」
「いいから!」

亜紀が携帯が鳴っていると知らせにくる。
電話は坂倉(升毅)からで、“残された時間”に関する加藤教授(大杉漣)の
記事が新聞で報道されたというのだ。
ヤス子はすぐにホテルへと向う。

テツ、いい人だな〜。
菊介のパソコンで作っていたサイトのことも許せなかったんだろうけど、
大切な時間を無駄にしている菊介自身のことがもっと許せなかったんだと
思う。
いつもヤス子と向き合おうとするテツ。
10年前、こういうタイプの人って今よりももっと多くいたのかもしれない。

それに比べてヤス子は正面から立ち向かう勇気がないんだろうな。
しっかりしているようで、自分のこととなるととても臆病になってしまう
人なんだと思う・・・。

二人は、どんな夢を語り合ったのでしょう・・・。


「1996年
 アトランタ・オリンピックで有森選手が銅メダルを取り、
 たまごっちが大ヒット。
 百武彗星は地球に大接近した。
 東洋航空402便の乗員、乗客の時計の針は、
 その1996年で止まったまま・・・
 2006年の今を生きようとしている。
 限られた時間かもしれない中で・・・。」


「お前にとっては10年前かもしれないけど、
 俺にとってはついこの間なんだよ。
 二人で夢を語り合ったじゃないか。」
テツの言葉を思い出し、そして当時、二人で楽しく酒を飲みながら
夢を語り合った日を思い出すヤス子・・・。

『十年前の夢を、
 あなたは今も覚えていますか?』

ヤス気オはホテルのエスカレーターで柚子(市川実和子)とすれ違う。
「あと7日で消えるって、本当!?」
今にも泣き出しそうな柚子。

同じ頃、瑠璃子(成海璃子)と航星(中村友也)も新聞の記事を読んでいた。
「まだ、はっきりそうだって決まったわけじゃないよ。」と航星。
「いいの、別に。私はどうなったっていいの。」母の態度に失望した瑠璃子が言う。
「投げやりになっちゃダメだよ。
 調べてるんだ、俺。何とかならないかって。
 まだ、言うと笑われそうだから誰にも言わないけど、
 俺は、諦めないよ。」

ヤス子にどうすれば、とすがる柚子。
「あの、とりあえず、もう既に他の芸人さんがやってるってことは
 言った方がいいと思うんですよね。」
「ん?」
「だっちゅーの!
 あの、寒いし。寒いですから。」
「あいや・・・言えません・・・。
 だって、私先輩に、負い目があるから・・・。
 あの日、本当だったら私も一緒に乗るはずだったのに・・・」
「寝坊しちゃったんですよね。
 しょうがないですよ。」
「ううん。私、みんなが戻ってきた今だから言えるけど、
 402便が墜落したって聞いたとき、ほっとしたの。
 乗らなくてよかった・・・
 寝坊してよかった・・・って。
 私は10年前、自分のことしか考えてなかった。
 先輩の夢についていかなくて良かったって、ほっとしたの!」
そう言い泣き出す柚子・・・。

ヤス子は乗員たちを集め、説明する。
「どういう理論か私からは上手くご説明出来なくて、申し訳ございません。
 ただ、こういう形で記事になってしまったことは、大変残念なことだと
 思っています。」
「私たち、死ぬんですか?」神蔵の妻・英子(大川栄子)が言う。
「あくまでも加藤教授の理論です。
 実際、どういうことになるのかは、」
「神のみぞ知る?」と中武(明星真由美)。
「出来る限りのケアはさせていただきます。
 何でもおっしゃって下さい。」
「私の娘は、私が知らない10年の間に、結婚して、子供を授かりました。
 娘の結婚式に出るのが、一つの夢でした。
 娘の手を取って、バージンロードを歩きたかった。
 私は、あと半年で定年でした。教員の仕事です。
 最後の生徒を、卒業式までしっかり見届ける。
 これも、一つの夢でした。
 私みたいな、人生半ば過ぎた人間でも、ささやかな夢はあったんです。
 ましてやこういう若い人たちは・・・尚更でしょう。
 誰にだって、夢はあった。
 返して下さい!
 知らない間に過ぎた10年、返して下さい!
 いや10年とは言わない。半年!
 私はほんの半年でいい!返して下さい。何でもするって言ったでしょう!
 何でもしてくれるんじゃないんですか!?」
思わず声を荒げる竜蔵。
「やめましょうよ。」「この人に当たっても仕方ないじゃない。」
妻や若者がと竜蔵を諭す。
「あと7日・・・人の人生、なんだと思ってるんだ!」
竜蔵は怒りをぶつけるように新聞を叩き付けた。

竜蔵の口から、彼のささやかな夢が語られました。
10年前の夢・・・。
第4話のタイトルです。


菊介はテツと亜紀に謝罪する。
「すみません!!
 やさぐれ男で、すみません!!」
「やさぐれじゃないでしょ。ニートでしょ。」と亜紀。
「ニートって?」テツが聞く。
「定職を持たずにゴロゴロしている人。
 菊坊、流行ものに手を出すなんて100年早いぞ。」
「何はともあれ、すみませんでした!」

パソコンの電源を落とす菊介。
「本当は何か理由があるんでしょ?
 何となくとか、暇だったからとか、そういう理由で402便のこと
 調べたり煽ったりしたんじゃないんでしょ?
 話してごらーん!ミス角煮まんじゅうに話してごら〜ん!」
亜紀に問い詰められ、菊介が白状する。
「姉ちゃん、黙ってたから・・・。
 最初はやっぱり、何となくだったんだけど、
 調べていくうちに、姉ちゃんが関わっていたことがわかって。」
「え?知らなかったの?ヤッチが遺族係やっていたこと。」
「何も話さなかったんです、10年前。
 大切な友達と、恋人を、二人一緒に亡くして・・・
 姉ちゃんきっと、たった一人で抱え込んだんです。
 誰にも話さず、ずっと一人で・・・。
 僕は、姉ちゃんの閉ざされた心に、石を投げたかったんです。
 姉ちゃんの為に何かしてあげたくて。
 そりゃ、調子に乗って飛ばしすぎたところもあったと思うけど、
 けど、老後の年金のことばかり考えている姉ちゃん見てて、
 なんか、情けなくて・・・
 姉ちゃんにはもっと、アクティブに生きて欲しいんです。」
「ま、あんたに言われたくないって感じだけどね。」と亜紀。
「自分で言えばいいじゃんか。」とテツ。
「上手くしゃべれないのよ、この人は。」と亜紀。
「今充分しゃべれてたよ。」
「兄さん・・・」
「え!?」
「兄さんって呼んでいいですか?」
「あ・・・アニキでいいよ。」
「アニキ!」
「なんだい!」
「姉ちゃんのこと、よろしくお願いします!
 よろしくお願いします!!」
菊介がテツに頭を下げてそう言った。

菊介はヤス子のことを心配していたのですね。
姉を思う気持ちに感動しました。
ニートだけど、いい子だ!
あとは自分の生き方を見つけられればいい男に変身しそうです。


支援対策室に行ったヤス子は、情報を全て包み隠さずに公にするべきと考えた
甲斐(尾美としのり)が、機内のネガと引き換えに記者のインタビューに応じるよう
交換条件を出したと知り驚く。
「私は、間違ったことをしたとは思ってはいません。
 所詮、世間にとっては他人事。
 自分が直接関わりがなければ、当事者とその家族がその後どういう思いを
 しているかなんてい興味がない。」
「騒ぎを大きくする為に記事にしたんですか?」大屋本部長(岸辺一徳)が言う。
「どんな大事件も3日もすれば風化していきます。」
「これほどのあり得ない出来事はそう簡単には風化しないでしょう。」
「10年前もあり得ない出来事でした!
 402便が消息を絶ち、何一つ見つからなかったときも、
 あり得ない出来事が起きたと世間は大騒ぎをし、
 そしてすぐに忘れ去った。
 私たち遺族だけの気持ちが置き去りにされたんです。」

402便に関する資料を見せてもらう代わりに、乗員乗客が再び消えるという
説を、撤回する記事を出すよう大屋本部長と約束していた。
「撤回する記事を出すというのは、乗員乗客が再び消えるっていうのは、
 嘘だよーと!?」ヤス子が菊。
「さすがにバカ女!文才がないね。」
「でもそういうことでしょ!?」
「捏造するんですよんね。」と甲斐。
「おいおい、捏造って言うなよ!」
「ご自分の理論を捻じ曲げて、世間に発表するんでしょう!?」
加藤教授は黙り込む。
「皆さんあの記事見ているんですよ。それを今更!」とヤス子。
「また各自勝手に受け止めればいいさ。
 10年前、自説を発表した際、とんでもない説だといわれ
 私は誰にも相手にされなかったんだよ! 
 今更世間に何をどう発表しどう思われようが、私には関係ない!
 どうでもいいことだ!」
「402便に関する資料を見てどうなさるおつもりですか!?」
私の理論をより詳細な論文に仕上げるんだよ。」
「仕上がった論文どうするんですか!?」
「大事に取っておく!誰にも見せない!」駄々っ子のような教授。
「あなた・・・!!
 10年前、あなたの説を誰も相手にしなかったのは、
 あなたの説がとんでもなかったんじゃなくて、
 あなた自身が、とんでもなかったんじゃないんですか!?
 あなたがとんでもなかったから誰も相手にしなかったのよ!」
「・・・そうなの!?」甲斐に意見を求める教授。甲斐は言葉を濁す。
「私も反対です!
 この記事でどれだけの人が傷ついたと思っているんですか!?
 それを今更、嘘ですよって、なんですか!それ!
 何様のつもり!?
 もうこれ以上人の人生をもてあそぶような行為はしないで下さい!!」
「私はただ交換条件を、」
「あんなくだらない交換条件を受けてる暇があったら、
 どうやったら消えないか研究しろ!」
「それは理論上絶対出来ないんだよっ!!」
理論はもういい!!
 私はっ!
 ・・・私は、今後一切、あなたとは感情論でしか話しません。
 もうあなたなんか嫌い!」
「・・・え?」
「大っ嫌い!!」

呆然と立ち尽くす加藤教授・・・。

ヤス子はすぐに冷静になり、職員達にテキパキと家族への対応を指示していく。

教授、目を回してイスに座り込む。

教授、ヤス子に惚れたなっ。(笑)
この二人、テツには悪いけど案外お似合い!?
感情論・・・好き、という気持ちも感情ですよね。


テツは菊介から聞いたヤス子の思いを考え・・・。
そして走り出した!

「これ以上ホテルにいると、また関係ない人に、苛立ちをぶつけてしまう。
 先ほどは失礼しました。」
神蔵夫妻はヤス子に謝罪し、残りの7日間を娘夫婦の元ではなく、
当初の予定通りアパートを借りて暮らすことにする。
「私は関係ない人じゃありません。
 どんどんぶつけて下さい。その為にいるんです。」
ヤス子はそう言うが、竜蔵は何も言わずに部屋から出ていく。
「あの人の苛立ちは、今回のことだけじゃないんです。
 あまり、気になさらないで下さい。」
英子はヤス子にそう言い、夫の後を追った。

そんな中、瑠璃子の母・杏子(高橋惠子)から娘の奇跡の生還コンサートを
開きたいと連絡が入る。
「私、あの子のピアノが聴きたい。
 黛さんなら、分かって下さいますよね。」
部屋に飾った瑠璃子の大きなパネル写真を見つめながら杏子が言った。

ヤス子は、瑠璃子を外出に誘う。
「出かけませんか?気晴らしに。
 2006年をご案内します。」

亜紀はヤス子とテツを盛り上げる企画を練っていた。
「やっぱディズニーランドかなー。」
「はぁ・・・」と菊介。
「じゃあ、テレビは?最近のドラマ。」
「いや、僕、テレビドラマは・・・」
「見ろよ!トレンディードラマ見ろよぉ!
 トレンディードラマで恋愛のノウハウ学ばないで、何学ぶんだよぉ!」
ダブルデートを思いついた亜紀、自分に相手がいないことを嘆く。
「どういうのが理想なんですか?」
「そうね。人形は顔が命っていうでしょ?
 私も男は顔が命って思ってたけど、違うね!
 ヤッチとテツ見てて思った。
 25歳過ぎたら自然体が一番よ。
 ありのままの自分を出せるっていうの?
 気取らず飾らず、思いっきりリラックスできる相手がいいねー。」
「今以上のリラックスするときがあるんですか・・・」
「ん!?」
「・・・すいません!」
「私にもテツみたいな人がいればなー。
 あと7日!ヤッチとテツ、どこがいいかなー。
 観覧車、いいね!観覧車でチューだな!」

親友のことに一生懸命な亜紀。
そんな亜紀を見つめる菊介。
自然体な二人の姿に、この二人もお似合い!
果たして恋愛に発展するのか!?
亜紀の(トレンディー)ドラマへのこだわり!(笑)
そういえば、前クールの同じ枠のドラマにも、いましたね、
ドラマ語りたがる房子さん!(笑)


「2006年。
 この時代を、1996年からやって来た人に、ご紹介するのは、
 なんだかちょっと微妙である。
 あれから10年、日本はどう変わったんだっけ?
 実質経済成長率は、消費税が引き上げられ、マイナス成長となり、
 大手の銀行や証券会社の破綻による金融不安、
 資本による金融危機感の脱出、
 不良債権処理、ゼロ金利政策、量的緩和、少子高齢化・・・少子化問題!
 すまん!少子化問題!」



「あの、今は、コンピューターで曲作ったりしているんですか?」
「そうですね。・・・よくわかんないけど。」
「じゃあ、ピアノ弾く人なんてもういなくなったのかな。」
「そんなことないですよ。うちの弟も・・・
 音大、をね、一応、出て・・・昔。」
「凄い!音大生!会いたいです!」
「え・・・ホントに?」

「噂の元音大生です。」
ウィンクして瑠璃子を迎える菊介、瑠璃子の可愛らしさにハートを抑える!

瑠璃子はさっそく部屋に置かれたグランドピアノに目がいく。
「かつてはピアノでした。」
「かつて?」
「今は使ってないからね。」
「使ってるよ。」と菊介。
「え!?そう!?そうだったの!?
 だってもうピアノなんか弾かないっていうから、姉ちゃんこれ捨てようかと、
 そっかぁ!使ってたか!知らなかったよ、姉ちゃん。」喜ぶヤス子。
「こうして、置いたり、(トレイを置く)
 気分が高揚したときには、こうしたり、(ピアノに座り足をブラブラ)
 落ち込んだり嫌なことがあったら、こうしたり(反省のポーズ)
 チマチマしたい時にはこう、シールを貼ったり。
 こんな感じで使ってまーす。」
「ふざけんな!面白くもなんともないんだよっ!
 今、聞いてたろ!?
 又、ピアノ弾くようになったって、ヤッチが嬉しそうに話してたのを!
 ピアニスト目指してたんでしょ!?
 その為に音大通ってたんじゃないのかよ!?
 これは何?戸棚か!?座椅子か?シール手帳か!?
 お前なんか、一生こうやってろ!(反省のポーズ)」
「ピアニストになるのが夢だったんですか?」
「・・・」
「私もそうだったの。
 もう、諦めたんですか?」
「・・・」

「がっかりさせちゃってごめんね。
 そいつ、夢とか持って突き進むタイプじゃないから。
 昔はそうでもなかったんだけどね、今は全然。」とヤス子。
「姉ちゃんだってそうじゃん。
 姉ちゃんだって夢なんかないじゃん。」
「わ、私はあるよ、夢くらい。」
「何?」亜紀が聞く。
「え・・・。
 このカーテンの色をさ、今年中に薄紫色にしようかなーとか、
 あと、建て付けが悪いから今年こそ直すぞーとか、
 10年前にかけた養老年金が今年で満期になるなーとか。」
「それ夢!?」と菊介。
「うす紫って、ちょっと。」と亜紀。
「そんなの夢じゃないだろう!
 姉ちゃんだっていろんなこと諦めてるんじゃないの?
 この10年でいろんなkと諦めてきたんじゃないの!?
 いろんなこと諦めて、会社と家の往復の、ちっちゃな世界で
 生きてるじゃないか!
 僕だけじゃないでしょう!?
 僕だけじゃ、ありません。
 時代?うん。今まさにそういう時代なのかな?」
ヤス子が菊介の頬をひっぱたく。
「402便のサイトを作って、加藤教授の理論を徹底的に検証したんでしょ?
 知ってるよね、限られた時間しかこの時代に生きられない人が
 いるってことを。
 わかってるでしょ!?
 ずっといたいって思ったって、いられるかいられないかわかんない人が
 いるってこと!
 自分の人生上手くいかなかったの、時代のせいにするんじゃないよ!」
菊介は少しの間の後姉の頬を叩く。
「・・・なんで?なんで叩くの?」亜紀が聞く。
「わかんない!」
「わかんないの!?」
ヤス子が菊介の頬を叩く。
菊介がヤス子の頬を叩く。
ヤス子が菊介を。
菊介がヤス子を。
「やめな。」亜紀が止める。
ヤス子が菊介を。
菊介がヤス子を。
ヤス子が菊介を。
菊介がヤス子を。
ヤス子が菊介を。
菊介がヤス子を。
ヤス子が菊介を。
菊介がヤス子を。
ヤス子が菊介を。
菊介がヤス子を。
ヤス子が菊介を。
菊介がヤス子を。
ヤス子が菊介を・・・。

二人とも、本気で叩き合っていましたね・・・。
見ていて心が痛くなりました。


「確かに、今私には夢はない。
 今更ダンサーや外交官になれるわけでもなし。
 10年前のように意気揚々と、夢を語り合うなんてことも・・・。」


テツが花束を手にヤス子を訪ね会社にやって来る。
「どういうご関係ですか!?
 黛ヤス子、通称あのバカ女と、どういうご関係ですか!?」
「恋人だったんですよ。愛しあってらっしゃったんですよね。」甲斐が言う。
「あなたそんな、真面目な顔してそんなこと!」
「大変興味深い!
 これに箇条書きにして、提出してくれないか?
 10年という月日を超える以前、深い交友関係にあった二人、
 あのバカ女の、どこをどう惚れたのか!
 書け!!」

「私も、あんな風に思いっきりやり合いたいです。
 普通の親子喧嘩がしたい。」
ヤス子に送られながら、そう言う瑠璃子。
「コンサートを早めたいって言ってました。
 瑠璃子さんが嫌なら中止するように言います。
 でも、お母さんおっしゃってました。
 あなたのピアノが聞きたいって。
 コンサートを開くのは、お二人の夢だったんじゃないんですか?」
瑠璃子は返事をせずに自分の部屋に消えていった。

『ぜんぶ』と書いた紙を加藤教授に返すテツ。
「これは、高学歴高収入のパイロットが書いたとは思えない文だな。」
「だって、全部だし。」
「全部というのは、姿かたち含めてのことか?」
「同僚にも聞かれたことありますよ。
 他にもっと、スッチーとかモデルとか、いい女いくらでもいるだろうって。
 けど、俺は、あいつしかダメなんですよ。
 上手いこと言えないけど。
 操縦士の仕事って、結構気が張るんですよ。
 フライトの12時間前に酒を飲んだらいけないとか、
 身体検査は年に・・・」
「高給取りが文句を言うな!」
「とにかく、あいつじゃなきゃダメなんですよ。
 二人でいるkとがすごく不全だったし。
 あいつがいると、ほっと、息がつけるっていうか。
 楽しかった。
 一緒にいる時間が、ホント楽しかったんですよね。
 ・・・あの・・・帰っていいですか?」
「・・・ああ。」
「失礼しまーす。」

「教授は、人の心理には、興味なかったんじゃないですか?」
「黛ヤス子は特別だ。
 ものすごく・・・とっても気になる・・・。」

テツがバラの花束を抱えてヤス子に会いにホテルに来た。
「お誕生日、おめでとう。」
「え!?」
「今日じゃないけど、俺・・・すっぽかしたろ。
 それでお前、怒っちゃってさ。」
『お前なんか死んじゃえ!』
「もう一度、やり直そう。
 ほら、お誕生日おめでとう! 
 それから、あの夜、居酒屋ケロタンで語り合った俺の夢は、
 お前を嫁さんにすることだ。」
ポケットから指輪を取り出すテツ。
「クロ!!
 黒木、亮君のお母さんが到着したから、二人を引き合わせなきゃいけないの。
 ごめんね。」そう言い花束を返すヤス子。
「あの、待ってる。待ってるから。」
ヤス子は少し微笑み、歩き出す。
「緊張したー!」満面の笑顔のテツ。

亮が母親と再会する。
「信じられない・・・。」
「母さん、僕頑張ったよ。
 僕一人で飛行機に乗れたよ。頑張ったよ!」
「よく一人で・・・頑張ったね。頑張った!亮!」
息子を抱きしめ泣く母・・・。
ヤス子は二人の姿に微笑みながらも、亮の虫かごの中の
死んだクワガタに不安を覚える。

「止まってしまった時計の針を、動かすのは、神様ではない。
 私は2006年を生きている。
 あの人は、1996年の私を見ている。
 今の私ではなく、十年前の私を好きなのだ。
 あの人の時計の針は、まだ、動いていない。」


ヤス子がロビーで待っていたテツの元へと歩いていく。
「おっす。」笑顔で歩み寄るテツ。
「あの居酒屋ケロタンね、もうないんだよ。潰れたの。
 1996年の私も、もういないの。潰れたの。」
「お前なー。」
「ずっと後悔していました。あなたとケンカ別れしたこと。 
 お前なんか死んじゃえーって言ったら本当に死んじゃったし。
 誕生日すっぽかしたくらいで、何であんなケンカしたんだろうって。
 ずっと、ずっと後悔してた。
 何てバカだったんだろうって。」
「俺はお前のそういうところが、」
「だから、そういう私はもういないの。
 あなたと一緒に過ごした時間は、すごく楽しかった。
 私にとっては、すごく楽しい、思い出なの。
 ・・・ごめん。ごめんね。ごめんなさい。」
「謝るなよ!
 俺、覚えてるって言ったろ?
 二人で夢を語り合ったこと。
 あの時、お前言ってたよな。
 強くて真っ直ぐで、そういう女性になりたいって。
 しっかり自分の、気持ちを持ってて、
 その気持ちに、嘘をつかない、
 そういう女になるのが夢だって。
 正直に生きたいって言ってた。
 十年前のお前の夢、俺、覚えてるから。
 だから、謝るなよ。バカ。」
テツは花束を掃除のおばさんに渡し、立ち去った。

「私は今を生きている。
 私は、今を生きているのだ。」


ヤス子はテツの背中を涙を浮かべて見送った。


切ない・・・。
花束と指輪を手にヤス子に会いにいった気持ちも、
ヤス子の彼は十年前の自分を見ている、という気持ちも
両方とも理解出来ます。だから切なかった!
テツが今のヤス子を改めて好きになる、というのはダメ?
あと6日しか残されていないけれど・・・。

新聞の記事によるとXデーは2月19日?

最近の若者は冷めている、と思いがちですが、実は大人もそうなのかも。
ヤス子のように、自分の気付かないうちに胸に秘めた熱い思いを
失って、夢も持たずに生きている。そんな大人が多いのかもしれません。
これは年齢のせいじゃないんですよね。
当時59歳の神蔵さんにだって、ささやかな夢はあったのです。
今38歳のヤス子が夢を持っていないのは、とても寂しいこと。
今31歳の菊介が生きがいを見つけられないのも寂しいこと。

『10年前の夢を今も覚えてますか?』
10年前、子育て真っ只中だった私の夢は、神蔵さんのように、
子供の成長と家族の幸せだけを願っていたかなー。

10年後にまたこのドラマを見たいです。
その時自分は今の私のことをどう見るでしょう。



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4122046238神はサイコロを振らない大石 英司 中央公論新社 2005-12by G-Tools



4120035948神はサイコロを振らない大石 英司 中央公論新社 2004-12by G-Tools


この記事へのコメント
コメントありがとうございました。
こちらこそよろしくお願いします。

あともしよかったら相互リンクしませんか?
よろとくお願いします。
Posted by tkfire at 2006年02月09日 14:11
ドラマ&エンタメサイトでお願いします。
こちらも明日までにはリンク張っておきます。

これからもまた紹介することがあるかもしれませんか
よろしく終え願いします。
Posted by tkfire at 2006年02月09日 20:42
ちーずさん、こんばんは。

冒頭のシーンで亜紀の布団の中を覗き込むヤス子の顔が、口をポカンと開けててとっても可愛かったです。仕事してる時や、テツと真剣に向かい合ってる時のキリッとした表情と好対照でした。
テツ、男っぽくて、熱くて、真っ直ぐで、すっごくいい人ですね。私なら、惚れ直してしまって、あの花束と指輪も速攻で受け取ってしまいそうです。それにあの落ち着き!菊介より年下なんて、信じられません。
ヤス子も表現がちょっと拙いだけで、真摯で暖かい気持ちを持ってることが回を重ねる毎に伝わってきました。教授が惚れるのも、無理ないですね。
菊介と亜紀のふたりのやりとりは何だか微笑ましくて、切ないシーンも多いこのドラマの中でホッとできる貴重な存在になってるように思えます。
Posted by のんのん at 2006年02月09日 22:49
tkfireさん。
了解いたしました!早速リンクさせていただきます。
これからもよろしくお願いいたします。

のんのんさん。
このドラマの中心人物、みんないい人なんですよね。
ヤス子のお客様係として働く時の顔と、
冒頭の表情の差はまるで別人みたい!
さすが、小林さんですね。
Posted by ちーず at 2006年02月10日 00:08
ヤス子さんの表情の変化、本当に凄いと思います!今回は小林聡美から目が離せませんでした。
Posted by さとし@快投乱打 at 2006年02月10日 00:57
ちーずさん、こんばんわ。
テツの赤いバラの花束、私は受け取って欲しかった
です。出ないと10年があまりに淋しくなるから。
全て諦めたことになりますからね。
ヤス子のクールさが、切ないです。
Posted by mari at 2006年02月10日 01:36
こんばんは、ちーずさん。
花束とテツの気持ち、受け止めては欲しかったけど、
あれは10年前の自分だというヤス子の気持ちもわかります。
10年間どうにかこうにか過ごしてきたヤス子にとっては
それなりに意味を持つ長い時間だったわけで(純くんか)、切ないです。
教授のバカ女への執着は何なのかも気になりますねー。
感情というものが理解出来ず分析に走ってる。
恋なのっ?
Posted by tenten at 2006年02月11日 19:21
こんにちは。今回はちょっと遅くなってしまいました。いつもこのドラマを見るといろんなことを考えてしまいますが、今回は特にヤス子の彼氏に思う気持ちがせつなくて涙してしまいました。
Posted by みいちゃん at 2006年02月12日 09:54
こんにちは。ちーずさん
そうですね。夢もうずいぶん見てないですね。
というか夢を見ている暇がないのかなぁ。
でもそれって寂しいことですよね。
ヤッチのあの言葉何かもっと気持ちの奥深くに
ありそうな気がしました。
Posted by みのむし at 2006年02月12日 17:58
こんばんは。コメントありがとうございます!

さとし@快投乱打さん。
小林さんの演技はさすがですね。
ヤス子の思いがビシバシと伝わってきます。

mariさん。
私はヤス子は喜んでバラの花束を受け取るかと思っていました。
でも10年後の再会は、想像以上に大きなブランクだったようです。
それにヤス子の言っていることもわかる気がします。
きっとヤス子は今の自分を好きじゃないんじゃないかな。

tentenさん。
そうなんですよね。
きっとヤス子は、十年前の親友に自分の過去を重ね、
今との違いの差に大きくショックを受けている。
きっと自分への自信を無くしてしまっているんですよね。
だからテツの花束を受け取れなかったんだと思います。
教授のヤス子への思い、一体何なんでしょうね。でも案外お似合いかも!?

みいちゃんさん。
ヤス子のテツへの思い、切なかったですね。
あの事故さえなければ、ヤス子にもテツにもまったく別の人生が
あったのでしょう。
引き離されてしまった二人の心が切ない!

みのむしさん。
夢を見る暇がないって、わかります。
とくに主婦にとっては、毎日家族の世話などに追われ、
ゆっくりと夢について考える機会ってあまりないかも。
でも、どんな夢でもいいから持っていると、日々の暮らしに張り合いが出るのかも。
そんな風に考えさせてくれる、素敵なドラマです。
Posted by ちーず at 2006年02月12日 21:09
さくらです♪

このドラマのテーマは重いものだと思いますが、それぞれのキャラクターが、重い事実を知ってもあんまりギスギスしてなくて、軽いノリのキャラが多いので、見やすいですよね。その中でも、瑠璃子がヤス子との絡みからヤス子の家に行って、菊坊や亜紀との絡みに繋がっていくシーンは、成海瑠子ちゃんの笑顔が戻ってきて良かった気がします。やっぱり、瑠璃子はピアノが好きなのかな。最初はホテルをこっそり抜け出そうとしたり、影のありそうな役だったけど、徐々に明るさを取り戻してる感じがしました。

なんか、10年前の乗員・乗客のみんな、いいキャラクターしてるだけに、後6回で消えてしまうのがちょっともったいないですね。できれば、亜紀もテツも瑠璃子もみんな、生きていれたらいいんですが・・。
Posted by さくら at 2006年02月13日 19:10
さくらさん、こんばんは。
今回瑠璃子と出会えたことで、菊坊も変わるのかも
しれませんね。
もしかしたらヤス子の家のピアノが物置じゃなくなるのかも!
そうなってくれると嬉しいなー。
乗客のみんな、それぞれいい人たちで・・・。
何らかの形で幸せになってほしいですね。
Posted by ちーず at 2006年02月14日 19:28
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