2006年02月23日

神はサイコロを振らない the 6th day

『十年前、恋人だった人と、友達になれますか?』

黒木亮(小清水一揮)の母・弥生(杏子)は、元夫・誉(鶴見辰吾)と
離婚したこと、彼がホームレスということを亮に隠し、
亮の為に、残された時間を仲の良い夫婦として過ごすことにした。
「生まれて初めて・・・生仮面夫婦見ちゃった。」と坂倉(升毅)。

亜紀(ともさかりえ)はヤス子(小林聡美)が年齢のせいでテツ(山本太郎)の
ことを受け入れられないのだと考え、思い切って一回「チユーしちゃえば」と
ふたりにチケットを渡した。

その頃、上京した藤吉(片桐仁)と桃子(佐々木麻緒)は、柚子(市川実和子)と
その相方・中武(明星真由美)にエールを送る。
だが中武は複雑だ。「あのね、私にはもう下積みしている時間がないの。
 今からどんなに頑張っても、浅草の劇場、笑いでいっぱいにするなんて
 無理なんだよ。」
「諦めないで下さい!
 お母ちゃん!私とおとうちゃんを置いて、飛び出していったときの気持ちを
 思い出して!
 私は、寂しくても我慢しようって、思ったんだよ!
 お母ちゃんが、夢をかなえるためならば、我慢しようって!」
桃子の言葉に柚子も、
「諦めないでもう一度考えてみませんか!?
 私、10年前と同じことを繰り返したくない。
 私は、このまま先輩を一人で放っておけません!」
と中武を説得。

柚子の気持ちは立場は逆だけど、亜紀に似ているのかな。
中武と柚子の様子に、父の手を引きそっとその場を後にする桃子、
「ああいう時は、二人っきりにさせてあげた方がいいの。
 中武さんが答えを出すまで、そっとしてあげなきゃ。」
大人です!


そんな最中、藤吉は桃子を見失ってしまう。

瑠璃子(成海璃子)はコンサートを開くことを決心する。
だが家には帰らず、ホテルに滞在することに。

「観覧車でチュー・・・
 あいつが今更あんなこと!?
 いや、あり得ん!!」
そう言い腕立て伏せはじめるテツ。(笑)

父とはぐれた桃子、「警察に・・・連絡しようかな。」
その言葉が自分たちへのものだと誤解した啓太(丸山智己)と藍(矢沢心)は・・・。

桃子を探すヤス子とテツ。
二人の前をウェディングドレス姿の花嫁が通り過ぎ、固まる二人!
「亜紀が、遊園地のチケットくれたろ?
 俺はお前にごめんなさいって言われて、もうお前のことを、
 いや、十年前のお前のことは、きっぱり忘れなきゃって思ってる。
 今目の前にいるのは、2006年後の、10年後の、黛ヤス子さんなんだよな。」
「そうなんですよね。」
「俺より8歳年上なんだよな。」
「そんなほら、あらためてしみじみと、ね。」
「姉さんかー。」
「いや、オバサンか!?」
「オバサンはないだろう!」
「そうぉ?」
「気にしなくていいから。」
「え?」
「だから、遊園地行って、観覧車でチューとかって、
 そんなの今更、やってらんないんだろ?
 気にしなくていいぞ。」
「・・・」
「ああ!!今ほっとした!!
 おまえ〜〜〜!!」
思わずヤス子のあたまをくしゃくしゃにしたくなる衝動を
必死に抑え、テツが言う。「そういうことですので、一つ。」
「了解いたしました。」
「これからは、友達な。」
「・・・友達、ね。」

もどかしい二人です!!

『十年前、恋人だった人と、友達になれますか?』

「おい友達!!」ヤス子を呼び止めるテツ。
「何?友達。」
ヤス子がテツの指差すほうを見ると、啓太と藍が桃子の口を塞ぎ
エレベーターに乗り込んでいった。

「遊園地ね!!観覧車ね!!
 難関を突破して客室乗務員というキャリアを積んだ女性とは思えない!」
亜紀のアイディアを叱り飛ばす加藤教授(大杉漣)。
「ヤッチのこと気になって気になって仕方がないなんて、
 恋に落ちちゃったんじゃないんですか!?」と亜紀。
「・・・恋!?」
「だって、気になるのは、恋の始まりって言いますよ。」
「私があの・・・あのバカ女に、恋!?」寝袋に包まる加藤。
「ていうか、402便の一体何を調べているんですか!?
 ちょっと、加藤さん!カトちゃん!!寝てないでー。」
「時間だよ。」
加藤はそう言いまた、布団に潜ってしまう。

桃子を部屋に連れていく啓太たち。
ヤス子が彼らの部屋の戸を叩く。
「すいませーん。黛です。すいませーん!」
「何!?」
「部屋に女の子がいるでしょう!?」
「いません!」啓太はそう言い戸を閉める。

「ほらー!勢いだけじゃダメだろう!
 どうすんだよー!」
テツ、ヤス子の頭をぐしゃぐしゃに。

ヤス子の元に柚子から電話があり、先ほどの少女が柚子の娘だとわかる。
警察沙汰になる前に出来れば穏便に済ませたい。
ヤス子とテツは二人の説得の方法を考える。
「10年前、402便が消息を絶っていたりしなかったら、
 お前素直に俺の嫁さんになっていたよな?」とテツ。
「でも全然違うと思うんだけど、」
「そしたら!今頃子供が出来ていたりして。」
「いやだから、」
「その子供には何て名前を付けた!?」
「え・・・・・
 ケロタン!?」
「ケロタンはないだろう!」
「だってそんな急に思いつかないよー。」
「ヤス子のヤを取って・・・スー子。」
「スー子!?」
「よしっ!!」
テツが走り出す。
「す、スー子!?」ヤス子がテツを追う。

「すいません。うちのスー子が、お世話になっていて。
 俺たちの、娘です。」
テツは笑顔でそう言い啓太と藍の部屋の乗り込む。
「スー子、お父ちゃんだよ。お母ちゃんもいるよ。」
「・・・おかあちゃんだよ、スー子!」
桃子の手を取り部屋を出よとする二人。
「ちょっと待て!何なんだよ、スースースースー!」と啓太。
「親子です!」テツが答える。
「嘘つけ!」
「あんた名前は!?」と藍。
「ス・・・ス・・・・
 ・・・浜砂・・・桃子です。」
「そっちは黛さんだよね!?」と藍。
「親子別姓っていうか・・・」
「ふざけんな!!」
「怒ってるよ。」とヤス子。「怒ってるな。」とテツ。
「何考えてるんだ、あんたら!」
「そちらこそ、何考えていらっしゃるんですか!?
 浜砂さん、捜していらっしゃいましたよ。
 これ以上騒ぎが大きくなると、警察が出てきちゃいますよ。」
警察と聞き慌てる二人。ヤス子たちは部屋を出て行こうとする。
「ちょ、、、ちょっと待って。こっちにも色々と事情があってさ。」
「事情って何ですか!?話してくだされば力になります。
 私は、402便にご搭乗していただいたお客様のお世話係ですから。」
「こいつは、いや、こちらは、自分のことはさておき、
 人のこととなるともう一生懸命なタイプですから!
 俺が保証します。信じていいですよ。」とテツ。
ヤス子とテツの言葉に二人は・・・。

その頃亜紀は、線香花火を見つめながら一人考え込んでいた。
亜紀の寂しそうな背中をしばらく見つめたあと、菊介が隣に座る。
「何?」と亜紀。
「一人でたそがれていて、大丈夫かなーと思って。」
「うっわ。菊坊に心配されちゃったよー。
 時間がね・・・
 カトちゃんが、402便の時間を調べているのよ。」
「何の時間?」
「一つは、402便の乗員乗客が、何月何日、何時何分に、
 10年前の世界へ引き戻されるのか。
 もう一つは、戻った時点は、10年前の、何時何分になるのか。
 いつ引き戻されるのかは、わかったっていうの。
 つまり、私たちが、消えてなくなる時間・・・。」

「4日後の2月19日、午後9時32分4秒。
 その時間に、同じ現象が起きて、俺たちは10年前に引き戻される。
 加藤教授の計算で、そう出たって。」
甲斐航星が瑠璃子に言う。
「本当に、引き戻されちゃうんだね。」
「けど、もう一つの時間がわかれば、
 それが、マイクロブラックホールに飲み込まれる前だったら、
 死ぬことだけは避けられる。まだ、可能性はあるんだよ。」
「でも、ここからいなくなることには変わりはないんでしょう?
 もう二度と会えなくなるんですね。今この世界にいる人たちと。」
「友達とかは、会った?会ってみれば?案外平気だったよ。
 俺なんか笑っちゃったよ。
 みんな結婚していてすっかりオヤジになっちゃってさ。」
「私・・・そういう友達とか、いないから。
 私の人生、ピアノだけだったし。」

「2月19日、午後9時32分4秒。
 それを思ってたそがれていたんですか?」
「うん・・・」
「ジャイアンでも怖いんですね。」
「いや!もうすごいわくわくしているよ!
 めちゃくちゃ楽しみ!」
「強がらないでいいですよ。僕は菊坊なんだし。
 菊坊の前で強がってもあんまりメリットないと思うし。」
「え!?お前は何?メリットデメリットで生きてるの?
 そんなんだから前に進めないんでしょ!」
「進めますよ。」
そう言い歩いてみせる菊介。
「ぜんぜん面白くないんだよ。」
「すんません!
 他にすることもないんで・・・。」
「あるでしょ!
 またピアノを弾いたり、」
「402便に関して!
 僕402便に関して、直接、何も関係ない人間だから、
 何もすることないっていうか・・・。」
「あ、じゃあさ、2月19日の、9時32分4秒に、菊坊にしがみついて
 やるよ!
 奇跡が起きて、一緒に10年前に引き戻されるかもしれない。」
「そんなことは。」
「じゃあさ、ヤッチも一緒に連れていくか!
 あんたたち姉弟のこと放っておけないからさ、
 一緒に10年前、行く!?
 あれ?でもさ、10年前に連れていくと、
 そこには10年前のヤッチと菊坊もいるわけでしょ? 
 え?じゃあ私、どっちのヤッチと友達になればいいの?」
「うーん。」
「28と38のヤッチ・・・。」
「38の方と友達になってあげた方が・・・」
「じゃ、菊坊は?」
「僕は出来れば10年前の方が、今よりいい感じで生きてたんで。
 10年前の僕見たらジャイアン、マジ惚れるよ!」
「あり得ない話してるんじゃないよー!
 一緒に連れていけるわけないだろうが。」菊介の頭を叩く亜紀。
「自分で言っといて。」
「大体、10年前に引き戻されたあとに、死んじゃうって言われてんだから。」
「・・・すいません。」
「何が10年前の僕だったらよ!
 10年後の今の僕で惚れさせてみろ!
 私が惚れるような男面見せてみろっていうのよ!」
見詰め合う二人・・・。
「無理無理無理!!」

二人同時の「無理無理無理!!」ツボでした。(笑)
すごい息のあった演技でしたね〜。
武田さん、この役ですっかりファンになりました。


哲太と藍は、10年前、駆け落ちをしたのではなく、大金の入ったカバンを
長崎で預けられたと話し出す。
「ちゃんと本当のこと話そうよ。」とテツ。
嘘に決まっていると言うテツに、
「決め付けないで。信じなきゃ始まらないでしょう。」とヤス子。
「で、届けるはずだった相手の方を捜しますか?
 それとも、カバンを届けてくれと頼んだ方を捜しますか?
 どうしたらよろしいでしょう?」
ヤス子に言われ戸惑う哲太と藍。
テツはたまらず反復横飛びを始める。

「もういいよ!嘘だよ。もう全部嘘!
 カバンは・・・引ったくりやってさ。
 だってまさかあんな大金が入っているなんて
 思わなかったんだもの。
 けどラッキーとか思って。
 402便に乗って、東京で遊んでこよう、とか、なってさ。
 そしたら着いたところは10年後で、大変なことになってて。
 けど、カバンのことはバレてないみたいだし、
 もしかするとお金自体がヤバイお金か何かで、
 だったら、自分たちのものにして逃げちゃえって!
 だってそうやろ?
 知らない間に10年経ってて、
 そんなわけのわからない状態に置かれてさ。
 そん時に、目の前にお金があったら、
 私たちにはお金がある。お金があればなんとかなる。
 そう思ったんだよ。可笑しいかな。
 もうお金しか信じられなかったんだよ。」
「わかります。
 私は10年前、残されたご家族のお世話係を担当していました。
 どうしようもない気持ちを必死で乗り越えようとしている方たちを
 沢山見てきました。
 多額の保証金さえもらえればそれでいいって方たちも、
 なかには、いらっしゃいました。
 本当に、いろんな方がいらっしゃいました。
 ですから、お金しか信じられないっていう気持ち、
 否定することはありません。
 ただ、ひったくっちゃったっていうのは・・・ね。」
「警察に、言う?俺たちのこと、警察に突き出すのか?
 どうせまた消えるんだろ?死ぬとか言われてるんだろ? 
 だったら、警察行こうが何しようが、関係ないんじゃない?
 ・・・例えば・・・例えばさ・・・
 人を殺したって、関係ないんだよな。」
哲太がナイフを取り出す。
「この人たち殺してさ、二人で逃げよう。
 だって、この先どうなるかわかんないんだよ。」
「やめなよ!!」と藍。
「ウルセー!」
哲太がナイフを向ける。
「アホ・・・。」
テツがそう言い、穏やかな微笑みで哲太に近づく。
「しょうがないなー。」
テツがナイフを握り済める哲太の手を両手でそっと包み、
その手からナイフを取り上げた。
そしてもう一度穏やかな微笑みを浮かべて言う。
「アホか。」
哲太はその場に座り込んだ。
「アホはあんたじゃないの!
 ・・・と思いながら私は、」

「その子、早く連れてってやんなきゃ。
 あとは俺に任せて。
 いいから行けよ。」
テツに言われ、ヤス子は桃この手を取り部屋を出る。
「アホを置いていっていいんだろうかと思いながら、
 私は・・・私は・・・」


「あの二人の話は、私たちだけの胸の内に、
 しまっておいた方がいいと思います。
 それから、ダンナさん、カッコ良かったですね! 
 アホかって。」
「あれはダンナじゃないんです。ただの友達。」
「ふーん。でも、カッコ良かったと思います!」
「そぅお?」

そこへ柚子たちがやって来た。
「ごめんなー。はぐれてごめんなー。」

迷子が見つかったのにすぐに連絡をしなかったと絞られるヤス子。
哲太と藍のことは公にならずに済んだ。

ヤス子が救急箱を手に走っていると、甲斐(尾美としのり)に声をかけられる。
「黛さんも同席して下さい。
 これから大屋本部長にお会いするんです。
 ご家族の方から出た要望を、聞いていただくことになっていて。」
救急箱を手に、テツを心配しながら、ヤス子は甲斐と同行する。

精神的苦痛に対する、慰謝料についての話し合い。」
「今回の件は、事故というより、東洋航空側には責任はない」と東洋航空側。
「10年という月日に関しては?
 無事再会できたとはいえ、残された家族と402便に乗っていた者との間には、
 10年という空白の時間があるんです。
 それをどう埋めるか。
 東洋航空としてはどうお考えですか?」と甲斐。
「お金で埋まるものではないでしょう。」と大屋(岸辺一徳)。
「心のケアでしたら、カウンセラーを派遣させていただいて。」と坂倉。
「再度、お見舞金という形で検討してみてはいかがでしょうか。」とヤス子。
「君の意見はいいんだよ。」と坂倉。
「いえ!黛さんは大切な恋人が乗っていらしたんです。402便に。」
「恋人!?」
「副操縦士の木内さんです。」
「えぇ!?」と坂倉。
「そうなんですか?」大屋も驚く。
「みなさんご存知なかったんですね。」
「それで君は・・・。
 家族側に立つのは、何か特別な事情でもあるのかと思っていましたが、
 そういう訳ですか。」と大屋。
「私生活が入っていたのか。」と坂倉。
「そんなつもりは!」
「私たちとしてはありがたいことです。
 10年という月日が、どれだけ残酷であったかということを理解してくださっている。」
「君も、10年の月日を、お金で埋めることが出来ると?」と大屋。
「私はお世話係としてお話しているだけです。
 お金で癒されるという方がいらっしゃるのは現実なんです。
 奇麗事ばかりは言ってられません。
 どうか、精神的慰謝料の検討を、お願いします。」
「そうですか・・・。木内君と君が・・・。」大屋が呟いた。

救急箱を手にテツの元へ走るヤス子。
哲太と藍の部屋に行くと、テツはとっくに帰ったと言う。
「傷はたいしたことないんじゃない?
 ペロっと舐めて治してた。
 あの人さー、お金じゃないって言ってたよ。
 大切なのはお金じゃない。人の気持ちだって。
 散々叫んで説教して、腹減ったなーって出ていった。」
テツの説教が効いたのか、哲太はティッシュの箱を抱え泣いていた。
「もう一度、二人で考えるよ。これかrなおこと。
 だから、」
「では、今日はこれで。」
「いいの!?だって又逃げちゃうかもしれないよ!?」
「そうなんですか?」
「いや・・・いや・・・、もうバカなことはしません。
 黛さんが、信じてくれるなら。」
「はい。」
「ありがとう・・・。サンキュ!」藍が微笑んだ。

救急箱を元の場所に戻しながら、藍の言葉を思うヤス子。
「あの人さー、お金じゃないって言ってたよ。
 大切なのはお金じゃない。人の気持ちだって。」

ヤス子がに声をかける加藤教授。
「異性に心を奪われることは、大きな喜びであり必要不可欠なこです。
 しかしそれが、人生の中心ごとになってしまってはいけません。
 もしそうなったら、人は、道を見失ってしまうでしょう!」
「またアインシュタインですか?」
「アインシュタインの言葉がこれ程心に染み入ったのは初めての経験です!
 私は今、道を見失いかけている・・・。」
「支援対策室への道は、ここをまっすぐです!」
「異性に心を奪われかけているんだよ!」
「異星!?あの、火星人とか水星人とか!?」いたずらっ子のように笑うヤス子。
「遊園地には行かないよな!?
 遊園地のチケットを貰ったんだろ!?」
「誰からそれを!」
「まさか遊園地に行って、嬌声を張り上げながら遊具に乗ったりは
 しないよな!?その年で!」
「その年で、遊具に乗っちゃいけませんか!?」
「君は、そういう女じゃないぞ!」
「何で私がどんな女かわかるんです!?」
「10年前の男を踏み台にして生きる女だよ!」
「踏み台になんかしてません!」
「踏み台にもならない男に惚れたことを君は後悔している!」
「後悔なら私は今も、」
「今も!?今もなんだ!?今も好きなのか!?」
「・・・」
「あの男は危険だ!
 どう危険かといえば、これを見たまえ!」
くしゃくしゃに丸められた紙を広げる加藤。
『ぜんぶ』と書いてある。
「君のどこに惚れたのか論文に書けと言ったら・・・
 こう書いた!
 大変危険な知能指数だ。
 やめたまえ、あんな男!!
 ふっ!!」
なぜか親指を突きたてたあと、走り去る加藤。

ヤス子の携帯がなる。6時13分。菊介からだ。
「姉ちゃん、今どこにいるの?」
「支援対策室の帰りだけど。」
「テツさんが今遊園地にいるよ。」
「え!?」
「姉ちゃんが来るのを待ってる。」
「そんなはず・・・そうなの!?」
「姉ちゃんが来るのを待ってるよ!」
菊介はそう言い電話を切った。
ヤス子は『ぜんぶ』と書かれた紙を見つめ・・・。

ヤス子が走り出した!

タクシーを拾い、東京ファンタジーパークまで急ぐ。
高速から観覧車が見えてきた。時間は、6時55分。

その時、ヤス子の携帯がなる。
「ヤッチー!?」
「亜紀?私ね、」
「今ね、私テツと一緒に遊園地にいるの。
 あの、もしもし?」
「あ、もしもし。」
「もうテツに叱られちゃったよ。
 幼稚なことするんじゃないって。
 今更ヤッチが遊園地の、しかも観覧車でチューなんてあり得ないって。
 そんなことするわけないってさ。
 ごめんね、ヤッチ。
 今度はもっと、大人向けのしっとりとしたコースを考えるからさ。
 だから今日はチケットもったいないからちょっと遊んでいくね。
 あ、でも大丈夫。観覧車には乗らないから、心配すんなー。
 もしもし、聞いてる?」
「聞いてるよー。わかった。じゃーね。」
「もしもし、ちょっと待って。テツに代わるから。」
「あー、いいからいいから。
 あの、怪我は大丈夫か聞いといてー。」
「怪我は大丈夫かって。何それ?」
「うーっす。」とテツ。
「うーっす。
 じゃーねー。」
電話を切ったあと、ヤス子はタクシーをそこで止めた。

タクシー代8600円払いながら、観覧車を見上げるヤッチに切なくなりました。

家に帰ると菊介が驚いて出迎える。
「何でー。遊園地!テツさん姉ちゃんのこと待ってるよ。」
「姉ちゃんのこと待ってるって誰が言ったの?」
「うん?」
「誰が言ったの?誰がそんなこと考えた?」
「誰だろう。誰が言ったんだ!?・・・僕だ。」
菊介が手を挙げる。
「バレた!?」
「バレた!もうね、1秒で。
 ていうか聴いた瞬間にあんたが考えたってわかった。」
「でも、本当に遊園地には行ってるよ。
 チケットもったいないから行くって言ってたし、
 もしかしたら本当に姉ちゃんのこと待っているかもしれない!
 ねーったら、勇気を出して!行っておいでったら。」
「何で私とテツのことをそんなに構うの?
 あとあれもそうだよ、あのホームページ!
 402便のこと調べたり煽ったり。
 不可解極まりないんだけど。」
「あれはさ・・・もともとはさ、すごいこと起きないかなって思ってたのね。
 自分にすごいことじゃなくてもいいから、
 ものすごいこと起きないかなーって思ってたら、
 本当に402便が現れちゃって。」
「あんたって平和だねー。」
「で自分には直接関係ないんだけど、姉ちゃんには関係あることがわかって、
 僕的にはイイ感じの距離感で、すごいことがおきたって。
 そうなると、調子乗って煽ったりなんかして。」
「あんた今3年分ぐらいまとめてしゃべってんね。」
「そういうことで、」
「まだしゃべるんだ!」
「そういうことで、人とつながっている気分になれたんだよね。
 本当は僕なんか全然部外者なのに。
 本当は、僕なんか、誰ともつながってなんかいないのに。
 僕姉ちゃんのこといいなーって思うよ。
 色々あって大変だろうけど、
 色々あっていいなーって。
 だから、テツさんともさ、」
「あんたもさ、今から友達と恋人を作って、
 その友達と恋人を、時空を超える飛行機に乗せてさ、
 そのあと10年間淡々とやり過ごして、
 その飛行機が再び姿を現したら、私みたいな日々を送れるよ。」
黙って立ち去った菊介は、なんとピアノを弾きだした。
「ピアノ・・・」
「あ・・・なんとなく。
 昨日から、なんとなく。」
「姉ちゃん・・・姉ちゃんね、途中までは行ったんだよ。
 観覧車でチューは無理だけど、途中までは走ったの。
 会いに行こうと思って、走ったんだよ。
 会いたくて、走ったの。
 考えらんないよね、402便が帰ってくる前の私には、
 考えられない話だよね。
 男が待ってる遊園地にタクシー飛ばすなんてさ。
 びっくり!びっくりだよねー。」
「途中までだけど。」
「途中までだけど!
 私にしちゃ、上出来さ!」
菊介が親指を立てて微笑んだ。
そんな弟に並んで座り、彼の弾くたどたどしいピアノを嬉しそうに聴くヤス子。

「弟とこんな風に話をしたのは何年ぶりだろう。
 本当は・・・本当のことを言えば、私は、
 10年という空白の時間を埋めるのは、
 淡々とした日常の積み重ねであると思っていた。
 402便が現れる前までは、そう思っていた。
 でも・・・今は・・・」


ヤス子は電話をかけてきた亜紀に、一緒にご飯を食べようと誘う。

4人並んで屋台のラーメンをすする。

「402便が現れた、今は・・・
 10年という空白の時間を埋めるのは、
 人の気持ちである。
 人の気持ちが、空白を埋めるのだ。」

その頃、瑠璃子は航星と共に、コンサートの準備をする母の元を
訪ねていった。


「10年という空白の時間を埋めるのは、
 人の気持ちである。
 人の気持ちが、空白を埋めるのだ。」
ヤス子のこの言葉には鳥肌が立つくらい感動しました。
お金で癒される人もいる、と言っていたヤス子でしたが、
やはり、人の気持ちには代えられませんね。

テツとヤス子が誘拐事件(?)のことで、もしも事故に合わずに
二人があのまま結婚していたらと、二人の子供の名前を考えるシーン。
とても好きなシーンです。
誘拐事件と、二人の未来(というか、過去?)が融合。

もしも二人があのまま離れ離れにならず、結婚していたなら・・・
こういうエンディングにならないかなぁ。
402便の乗客が、飛行機に乗る前の時間に戻り、
事故などは起こらずに、別の10年後を迎える。
事故のことなど誰も覚えていないけれど、ふとした瞬間に何かを
心に浮かぶのだけど、それが何だかは思い出せない。
そして、二人の間には、スー子ちゃんが。(笑)

瑠璃子にはピアノ以外にも充実した人生を送ってほしいし、
また別の形で航星と出会ったりして。

菊介も、ニートではなく音楽家になっていたりして!?
それともまったく別の人生!?

今とはまったく別の人生を歩むことになってしまうけど、
私はそんなハッピーエンドがいいな〜。

次回予告がなかったですが、編集が間に合っていないのか!?
次週は一体何時スタート!?今週も録画、焦りました!!
今週、神蔵夫妻のストーリーがなかったですね。来週は瑠璃子メインかな?



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この記事へのコメント
ちーずさん、こんにちは。私は最後の場面ちょっとジーンときてしまいました。ヤス子もじょじょに変わり始めているんだなって思った場面でしたね。
Posted by みいちゃん at 2006年02月23日 14:01
ちーずさん、こんにちは。

私も、最後のシーン見て、
ちょっと泣いてしまいました。
シーンそのものは何でもないのに、
ヤス子の気持ちを思うと、つい・・・。
菊介も少しづつ変わってきてるみたいですね。
Posted by のんのん at 2006年02月23日 16:13
山本太郎「あほか〜」
小林聡美(内心の台詞)(アホはお前ではないか?)
山本太郎「行け」
小林聡美(アホを残して出て行っていいのだろうか?)
ってのが、私のツボでした(笑)
Posted by 悠 at 2006年02月23日 23:35
ちーずさん、こんばんは。
ソロソロ、アッチも疲れたでしょう。
何で実家に帰らないのでしょう?
テツは、イイ男なのに!あの両手で
ヤッチの頭をぐしゃぐしゃにするしぐさ、
愛情がこもってますよね。
Posted by mari at 2006年02月24日 03:54
今回も、脚本と演技の上手さに
思わず唸ってしまいましたぁ〜〜〜

群集劇において、華やかなスタンドプレーする
俳優は要らないのです。
ヤッチも菊坊もテツも亜紀も、
このキャスティングで大正解なのだと太鼓判です。
荒唐無稽な設定だけど、テーマはリアリティのある
『10年という、それぞれの人生』
美男美女がウジャウジャと演技してたら空々しくなる

キュンと胸打つ、小林聡美と武田真治の演技。
最高です!
Posted by とりとん at 2006年02月24日 11:05
ちーずさん、こんばんは!
今度はこちらにおじゃましちゃいました!
私もちーずさんと同じ様に想像してました。
過去のいつの時点に戻るのかわかんないんですけど、過去が変われば未来も変わるはずですよね!
最後はハッピーエンドを期待してます。
あぁ、やっぱりこういうドラマはほっとします。
最近では太郎ちゃんが何故かかっこよく見えて仕方ありません。高校生ダンス甲子園の頃から知ってるんですけど。
Posted by ぱった at 2006年02月24日 19:17
 この主役は小林聡美にしか張れないなぁと思いましたよ。
 ここまで微妙に心の揺れをうまく表現できる同年代の女優って多分いませんよね。なんかますます好きになりました!

・・・でも、子供にケロタンはないだろう(笑)
あれはアドリブか!?
Posted by さとし@快投乱打 at 2006年02月25日 00:23
さくらです。

今回は、大金をひったくってしまった、哲太と藍の話しでしたが、考えてみれば二人がカバンをひったくってから10年経ってるわけで、とっくに時効だし・・逃げる必要無かったような気がしますね。そういえば、二人がひったくったお金は結局どうなったんでしょう??ヤス子達に返したの?それとも、既に全部使っちゃったんでしょうか?持ってても、残り3日じゃ使いきれない気がするんですが・・。

今回の神はサイコロをふらない・・出かけていて見れなかったんですが、ここのサイトがあれば、どうなったのかすぐにわかりますね♪他にも、時効警察も輪舞曲も喰いタンも・・見れなかった分、ここがあるからシナリオがわかるわけで、本当に感謝してます。
Posted by さくら at 2006年02月25日 18:42
こんばんは。コメントありがとうございます!

みいちゃんさん。
私もこのドラマには毎回ほろっとさせられています。
自分の人生捨てていたようなヤス子が頑張る姿、嬉しいですね。

のんのんさん。
そうなんです。このドラマ、登場人物に感情移入しやすいんじゃないかな。
菊介の変化も嬉しいですね!

悠さん。
同じ場面につぼでした。^^
「あほか〜」、温かったですね。

mariさん。
アッチが実家に帰らない理由、謎っ!!
頭をぐしゃぐしゃにするシーン、愛情が篭っていて
私もとても大好きです。

とりとんさん。
小林さんの演技は評判どおり素晴らしい!
そして武田さん。私は彼の演技にハマりそうです。
いい味出していらっしゃいますよね〜!

ばったさん。
このドラマはとくに、最後にはみんなにハッピーエンドとなってほしい。
太郎さん、素敵ですね。
私はあまり詳しくないのですが、今後も注目していきたいです。

さとし@快投乱打さん。
小林さんの丁寧な演技に、笑ったり泣いたり大忙し!
本当に素敵な女優さんです。私もますます彼女を好きになりました。

さくらさん。
ありがとうございます!
私も、いつも丁寧にコメント残してくださるさくらさんに
感謝しています!
二人がどういう決断をするのか。
最後には、警察にほんとうのことを話し、あのお金を返してくれると
嬉しいなー。
Posted by ちーず at 2006年02月28日 21:58
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