2006年03月21日

西遊記 最終巻

『天竺』

孫悟空(香取慎吾)、沙悟浄(内村光良)、猪八戒(伊藤淳史)が
駆け寄るその先に、一つの水筒。
自分のものだと取り合う三人はにらみ合い、
「話し合おう!」

話し合い=勝った者のもの
それぞれ武器を取り、にらみ合う三人。

「私の旅は、あなた達の心に、報いることが出来るのでしょうか。」
三人の争いを見つめながら呟く三蔵法師(深津絵里)。

水筒は、三人の戦いのせいで倒れ、土の乾きを潤して終わった。水が無くなった事を文句言いながら歩いていくと、
人が倒れている。
助け起こすと、「食い物をよこせ」と人々に取り囲まれてしまった。

三蔵が目を覚ます。
「ご安心下さい。
 あなたから追いはぎをしようとした野蛮な流れ者たちは、
 我々が追い払いました。」
「ありがとうございます。
 あの、私と共にいた、三人の者たちは?」
「妖怪どもは、動けぬようにしておきました。
 妖怪どもは、私が退治しておきましょう。」
「違います。彼らは私のお供で、
 失礼します。」
「はるばるよくお越しいただいました。三蔵法師様。」
「どうして、私の名を?」
「我々は、天竺大雷音寺(だいらいおんじ)より、
 三蔵法師様のお供を命じられ、迎えに参ったのです。」
「天竺・・・大雷音寺・・・
 と言うことは・・・」
「あとは、小山を越えるだけにございます。」
「ついに・・・ついに私は・・・。」

捉えられた悟空は、三蔵法師の心配をする。
「おそらく先ほどの男たちは、天竺からの使者だ。
 天竺に入ることを許されたのは、お師匠さんだけなのだ・・・。
 あの山が、あそこにあるのが、天竺、大雷音寺。」
と悟浄が言う。

「大雷音寺は、選ばれた者だけが、高貴な教程を学ぶ
 特別な地!
 あのようなおぞましい者たちが、出入りをする場所ではない!
 さあ、我らと共に、大雷音寺に参りましょう!」
赤雲と言うその男(山下真司)が法師に言う。
「私は行けません。
 私は、彼らと約束したのです。
 共に、天竺に行きましょうと。
 選ばれた者とは誰ですか?
 天竺とは、助けを求める者の為に、
 開かれた場所ではないのですか?
 ならば、選ばれた者とは、天竺を求める者のことでしょう。
 彼らは、お経こそ読めませんが、
 時に、人の思いやりから学び、
 時に困った人の為に働き、
 満足な食事もせず、水さえ飲まず、
 共に厳しい道のりを歩んできたのです。
 彼らに天竺に行く資格がないと言うのなら、
 この私にもありません!」
「困りましたな・・・。」
「失礼!」
男の前を立ち去る法師。

木にくくりつけられた悟空たちを助ける法師。
「私は、あなた達と一緒でなければ行きません!」
法師の言葉に、悟浄、悟空、八戒が顔を見合わせる。
「・・・そうだそうだ!
 俺たちの苦労も知らねーで、
 天竺ってのは勝手なやつだ!」
「ええ!」
「僕達だって修行してきたんだ!」と八戒。
「そうですよ!私は知っていますよ。」
「妖怪にだって天竺に行く資格はある!」
「もちろんです!」と法師。
「よぉーし、お師匠さん。
 天竺に殴りこみだー!
 なかに入っちまえばこっちのもんだ!」と悟空。
「そうですね。
 菩薩様は、あなたたちの行いを見ていてくださったはず。」
「よーし、行こう!」
「行きましょう!」
「天竺に、殴りこみだー!」
「はい!
 ・・・いけません。
 殴りこむのはいけません!
 あくまで、穏やかに・・・殴りこむのです。」
三人が笑い出す。
「出発ー!」「おー!」「はい!」
法師ら一行が、天竺目指して歩き出した。

天竺の入り口に、赤雲たちが立ちふさがる。
「あんなヤツラ、一ひねりだ。」と悟空。
「こらこら。ひねっちゃまずいだろ。ね、お師匠さん。」と悟浄。
「おだやかに、ひねりましょう。」と法師。

「何のつもりです!?」と赤雲。
「私達は、天竺へ参ります。
 さあ、行きましょう。」
「行ってらっしゃい。」
悟空が、法師の背中を押した。
法師と悟空たちの間の門が閉まる。

「何をしているのです、悟空!」
「お師匠さんを頼む!」と悟空。
「ちゃんと天竺まで連れていってくれよ。」と悟浄。
「お師匠さんに怪我をさせたら、許しませんよ!」と八戒。
「何を言っているのですか・・・。」
「大丈夫。大丈夫。」悟空が優しくそう言った。
「これで、いいんですよ。」と悟浄。
「やっぱり、新しいお供の皆さんは、
 僕達と違って頼りがいありそうですね。」と八戒。
「ここでお別れだ。」
「バカなことを言うのではありません!
 私達は、私たちは最後まで一緒です! 
 この旅は、この旅は、あなた達の願いでもあったでしょう!」
「お師匠さん。そのお言葉だけで充分です。
 お師匠さんのその言葉や、その気持ちが、
 今日まで頑張ってきた俺たちにとって、
 何よりの褒美です。
 俺の心にずっと、ぽっかり開いていた穴は、
 お師匠さんとの旅が埋めてくれました。
 俺の分まで、天竺に行ってきて下さい。」と悟浄。
「僕は、僕には、みんなとの温かい思い出があります。
 ちょっと不安だけど、この思い出があれば、
 なんだか頑張れる気がします。
 お師匠さん、僕の分まで、天竺に行ってきて下さい。」と八戒。
泣き出す法師。
「お師匠さん。返事しろよ。」
「なんです?」
「俺・・・寂しい。
 お師匠さんと別れるの、めちゃめちゃさみしい。
 だけどさ、俺、同じだけ、嬉しいんだ。
 嬉しくて嬉しくてしょうがねーんだ。
 自分の命よりも大切なものを見つけられたこと。
 ナマカが出来たこと。
 お師匠さんが教えてくれたんだ。
 お師匠さん。俺の分まで天竺に行ってくれ。
 世の為人の為に、天竺に行ってくれ。」と悟空。
「ありがとう、お師匠さん。」3人が言う。
法師が涙を拭う。
「ばかもの!
 それは私が言うことです。
 悟空、悟浄、八戒。
 世話になりました。」
「まあ又泣きそうになったらさ、悟浄の皿のことでも思い出してさ、」
三人が涙を隠すように笑う。
「悟空!悟浄!八戒!よしなさい。」そう言い微笑む法師。
「はい。お師匠さん。」三人が素直に言う。
「捲簾大将(けんれんたいしょう)、沙悟浄。
 蓬元帥(てんぽうげんすい)、猪八戒。
 斉天大聖(せいてんたいせい)、孫悟空。」
一人一人に鈴を渡す。
「お前たちの志は、この三蔵法師玄奘(げんしょう)が、
 胸にしかと受け止めました。
 ・・・さらば。」
そう言い三人に背を向け、法師は新たなお供と天竺目指し
歩き出した。
悟空たちは戸が閉まっても、そこから動けずにいた。

法師との別れに、寂しさを隠せない三人。
「終わったんですね・・・」
「もう、終わったんだ・・・」

「もう、一生会うことはないだろう。
 じゃあな。」悟浄が去った。

「悟空、実は僕、ちょっと悟空に憧れていました。
 じゃあ。」八戒が去った。

悟空は大きく伸びをしたあと、その場に立ち尽くす。

=天竺=
「その方、長安からここまで、歩いて参ったと申すのか?」
李玉(篠井英介)が言う。
「はい。」
「馬でもなく籠でもなく、歩いて。
 それはまぁ、物好きなことでござるのぅ。」
一同が笑い出す。その中に老子(大倉孝ニ)の姿もあった。
「そんな暇があれば、仏の道を学べば良いものを。」
「私は、旅の中で学びました。
 さまざまな国に行き、人々に出会い、
 その心に触れることで、」
「何を申す。
 人の心には何も書かれてはおらぬ。
 下々に生きるものたち、
 あれは、野蛮な生き者よ。
 そなたも、この山のふもとに住みつく者どもを、
 見たであろう?
 あのような貧しき民に、仏の教えは理解出来まい。
 旅をする?野蛮!
 そなたに、業を授けよう。」
「ありがとうございます!」
「三蔵法師。
 そなたが受け取るお経とは、その名のとおり、
 三蔵と申す。
 よいか?お経とは、そなた自身のこと。
 すなわちそなたはこれより、九十九日の修行に入り、
 その後、死をもってして、お経に転生する。
 その身体は滅びるが、お経となって、
 世の為、人の為に尽くすこととなろう。
 お喜びなされ。」

牢に入れられる法師に老子がそっと声をかける。
「・・・そういうことなんだ。
 何か、願いはあるか?」
「悟空、悟浄、八戒、」
「いや・・・助けを呼ぶわけには、」
「私の死を、彼らに話さないで下さい。
 私はお経を受け取り、元気に修行を続けていると。」
「・・・わかった。」

その頃悟空は、ふもとの人々に畑作りを指導していた。
「ずっとここにいてくれるよね。」
「何だかんだ言っても3ヶ月もここにいるもんなー。」と悟空。
「悟空が畑を作ってくれたおかげで、
 もうすぐ芋が食べられるようになるんだよ!」
「ま、お師匠さんだったらこうするかなーと思ってさ。」
「お師匠さんって?」
「聞きてー?聞きてーか!?」

悟空が話し出そうとしたとき、物音が。
振り返ると、凛凛(水川あさみ)が倒れていた。
「三蔵さんが・・・
 悟空、早く!
 三蔵さんが、死んでしまう・・・」
凛凛はそう言うと、気を失った。
そこに、老子が登場。
「じじい!」
「あ、聞いた?忘れろ。」
「どういうことだー!」

「死の儀式?
 そんなの妖怪がすることと一緒じゃねーか!
 ふざけんじゃねーぞ!
 そんなバカなことがあるか!」
飛びだして行こうとする悟空を老子が止める。
「三蔵は、逃げようと思えば逃げられたのだ。
 しかしそうはしなかった。
 お前たちにも知らせてほしくはないと言った。 
 世の為、人の為に死ぬ。
 それが三蔵法師の願いなのだ。
 お前は師匠の意思にそむく気か?」
「そんなの、ぜってーおかしいだろ!
 おいじじい!凛凛を頼むぞ!」
「は、はい。」

その頃八戒は、自分が産んだ子豚の世話をしていた。
八戒の住む小屋に、筋斗雲が突っ込む。
「おい!まだ旅は終わってねー!」

二人は悟浄の元へ。悟浄は金魚と暮らしていた。
「お師匠さんを助けに行くぞ!」
「待て。」
「怖気づいたか!?」
「ああ、怖気づいた。」
「なんだとー!?」
「お前!お師匠さんを天竺から連れ出すっていうことが
 どういうことだかわかっているのか?
 これまで俺たちは、世の中の人の為にと、
 菩薩様を後ろ盾に、妖怪たちと戦ってきた。 
 しかしこれは、違う! 
 神様仏様、人間様に刃向かう戦いだ。
 捕まれば、俺たちがしてきたように、
 天上界で罰せられるだろう。
 それに何より、お師匠さんは、俺たちに助けられることを
 望んじゃいねー。
 世の為人の為に、お経を持ち帰るというお師匠さんの願いを、
 今日まで頑張ってきたあの人の道のりを、
 あの厳しい旅を、
 全て、無駄にしてしまってもいいのか。
 それがどういうことか、よく考えてみてくれ。
 それでも、行くという者だけ、行けばいい。
 目を閉じて、3つ数えよう。
 その間に、行かぬ者は、立ち去ればいい。
 恨みっこなしだ。」
3人が目を閉じる。
金魚が目を閉じ、悟浄の武器で包丁を叩き数える。
1つ、2つ、3つ。
目を空けると悟空、悟浄、そして八戒が、そこにいた。
「行きましょう!」
「よし!
 悟空!お前は先に空から行って、あの山の門を
 内側から開けてくれ!」
「あぁ!
 筋斗雲ー!」
悟空は二人の家の窓をぶち破り、飛んでいった。

「ついでに天竺ってやつを上から見下ろしてあるか!
 ・・・なんだこれ。
 これが天竺大雷音寺・・・」

悟空が山の門を開ける。
「これより先は、俺たちは悪い妖怪だ。
 殺されたって文句は言えねー。
 死んだら間違いなく地獄行きだな。」と悟浄。
「地獄にも、美味しいものはありますかね。」と八戒。
「ないだろう!きっといい女もいねー。」
「覚悟は出来てる!」と悟空。
3人が、法師の元へと走り出した。

悟空は牢の番人を気絶させ、鍵を奪って中に駆け込む。
「お師匠さん!
 そんなに痩せちまって・・・。
 何も食わせてもらってないんだ・・・。
 今助けてやるからな。」
法師は瞑想を続けている。
如意棒で牢を叩くが、びくともしない。
「悟・・・空・・・。
 なぜ、ここにいるんです。」
「助けに来たんだ。悟浄も八戒も一緒だ!」
「なんて、ばかなことを・・」
「こいつが壊れねーんだよ!」
「これは、修行している私の心そのもの。
 自ら出ようとしない限り、壊れません。」
「だったら、早く出てきてくれよ!」
法師が首を横にする。
「馬鹿か!
 命と引き換えに手に入れたお経なんて、
 ちっともありがたくねー!
 そんなお経、クソ食らえだ!」
「なんてことを言うんです。
 私が残したのは、お経ではありません。
 悟空、私の心は、既にあなたの中にあります。
 あなたはもう、心を、持っているんですよ。」
「駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ!
 俺はお師匠さんがいないと駄目なんだよ!!
 俺は岩の中で500年待った。
 あんたが生まれるよりずっとずっと前から、
 あんたが生まれるのを、
 あんたが俺に会いに来るのを、
 ずーっと待ってたんだ。
 それをさ、それをこんな簡単にいなくなっちまうのかよ!
 そうだよな。
 そうすればいい。
 世の為人の為に命投げ出して、
 お経に名前が残る英雄になればいい!
 それをあんたが望むんだったら・・・さっさと死ねばいい!
 だけど忘れんな!
 500年経っても、1000年経っても、
 あんたの名前を思い出すたびに、
 死ぬことを選んだくそ坊主の名前を思い出すたびに、
 涙を流すやつがいるってことを!
 悔しくて悔しくて、
 悔しくて悔しくて!
 心と体がバラバラにくだけちまうヤツがいるってことを!
 ・・・出てきてくれよ・・・。
 出来てくれよ!
 おいこら!出ろ!
 出てきやがれ!
 このクソ坊主!」
法師が頭を下げる。
「わかって下さい。
 これが、私の使命なのです。」
そう言い手を合わせる。その手を掴み悟空が言う。
「お師匠さん、生きてよ。
 人の使命は・・・一番大切な使命は・・・
 生きることだよ。
 生きて、生きて、生きて!
 生き続けることだよ。」
悟空の手を包むように触れる法師。
「温かい手ですね・・・・。
 温かい・・・仲間の手なのですね。」
法師の涙が落ちたその時、牢の柵が次々と倒れていった。

「悟空・・・」
「お師匠さん・・・」
悟空が法師を抱きしめた。
「歩けるか?」
「はい。」
「行くぞ!」

捉えられた悟浄と八戒と共に、赤雲たちがやって来た。
「お迎えに参りました。
 今度は来客としてではなく、 
 妖怪を操る邪の者として!」
悟空が向おうとすると法師が止める。
「いけません、悟空!
 この方たちは、仏に仕える僧侶です。
 暴力を振るってはいけません。」
「何言ってるんだ、こんな時まで!」
「勇気とは、力のことではありません。」

「堕落した僧侶の成れの果て」
そう言い法師を笑う僧侶たち。
「欲の塊のような、妖怪どもと旅をするから
 このようなことになる。
 何を勘違いしたやら。
 妖怪ごときが、願いを叶えようとするなど、笑止千万!
 妖怪は妖怪らしく、地を這いずっていればいいのじゃ!」
「愚かなサル」「薄汚いブタ」「カッパのくせに!」

「ばか者・・・」法師が呟く。
「何と言いました?」
「ばか者。
 何度でも言いましょう。
 あなた達は、ばか者だ。」
「あり得ません!ありえまっせん!!」
「闇雲にお経だけを信じ、
 人々の生きるさまを見ようともしない。
 あなた達のそのお経には、何も書いてありません。
 大切なことは、人々の心の中に書いてあるのです。
 人々の笑顔、悲しみ、怒りの中に。
 田畑を耕すその汗に、赤子に乳をやる母の瞳に、
 大切なことは書かれてあるのです。
 私の弟子たちは、それを知っています。
 私のことは、いくらでもあざ笑えばいい。
 しかし、私の三人の弟子たちを笑うことだけは
 許しません!
 あなた達に、彼らを笑う資格はない!
 人を救うことを忘れたお経なんて、
 そんなお経など・・・クソ食らえです!」
「そなたのお経への転生の儀式は、取りやめといたす!
 出ていくが良い!」
法師は涙をこぼし、その場を後にした。

「あの愚かどもを、このまま世に戻すわけにはいかん!」

後ろ手に縛られ閉じ込められた悟空たちの牢の鍵を老子が開ける。
「おや、道に迷ったか。
 厠は・・・どこだったかなー。
 あーしかし、体がなまってしょうがないなー。
 なんだかとっても、体を、動かしたいなぁ。」
三人は老子の言いたいことが伝わり、縛られた手を向ける。
「アーーーチャー!」
老子は棒を振り回し、綱を切っていく。
「ありがとよ!じじい!」
「わ、わたしは、何もしておらんぞー!
 早く行け!」
老子の合図に、三人が牢を抜け出す。
「あんな連中の為に、何をしておるのかなー、私は。」

法師と合流する三人。
互いの無事を喜び合う。
「出ていけと言われてしまいました。
 ここにいる意味は、もうありません。」
「行きましょう!」
急ぐ一行。
ところが悟空が突然立ち止まり、怖い形相で後ろを振り返る。
「お前ら、先行っててくれ!
 おしっこ!もれそうなんだよ!
 あとで筋斗雲で追いかけるから。」そう明るく言い出す悟空。
「待ってるぞ。」「待ってますよ。」
法師たちが先に行く。

悟空が険しい表情で僧侶たちの部屋に向う。
僧侶たちは戦う支度をしていた。
「何が出てけだ!
 坊さんのくせにずいぶん乱暴な格好じゃねーか!」
「黙れ!妖怪め!」と赤雲。
「こらこらこら!
 クソ天竺!」
悟空が部屋の戸を閉めた。
「さぁー来い!
 たった今この扉に、この世で一番硬い鍵がかかったぞ!
 ウッキーーーーー!!」
「妖怪の分際で、この神聖なる大雷音寺に、
 足を踏み入れるとは!なんとおぞましい!」
李玉ら僧侶が、お経を唱え始める。
悟空の額の金の輪が、きりきりと締めつける。
「痛くねー・・・痛くねーぞ・・・
 そんなもん、ちっとも痛くねー。
 お師匠さんの心の篭ったお経に比べたら、
 こんなの・・・屁だ!
 くっせーくっせーただの屁だ!
 このくそ坊主ー!」
「お黙りなさい!妖怪退散!」
李玉の言葉を合図に、僧侶たちが襲い掛かる。
「さぁ良く聞け!
 俺様の名前は、斉天大聖(せいてんたいせい)、孫悟空様だ!
 三蔵法師の一番弟子とは、この俺様のことだ!」

法師たちは何とか門の外にたどり着き、ほっと腰をおろす。
すると、扉が閉まってしまった。
「悟空・・・」

悟空は僧侶たち相手に、どうしても止めを刺すことが出来ない。
「どうしてやり返さない!?」赤雲が聞く。
「おめーらが弱すぎるからだよ・・・」
「そろそろお師匠さん・・・逃げきったかな・・・。」
胸に閉まった筋斗雲を探すがない!
床に落ちていた筋斗雲まで滑り込む。
その手を踏みつける赤雲。
「貴様、人間になりたいらしいな。 
 妖怪の分際で、人間になりたいなどと、
 高望みもはなはだしいわ!」
「人間?人間か。
 もうそんなこと、どうでもいい。
 俺は、俺はもっと大事なことを見つけたんだ。」
僧侶たちが再び悟空に襲い掛かる。
如意棒を振り回しながら悟空が言う。
「おめーら勇気って何か知ってるか?」
「なに?」
「やっぱダメだ。
 おめーらじゃ頭の固いお師匠さんの弟子は務まらねー!
 やっぱ俺じゃなきゃ!」
僧侶たちが悟空を踏みつける。
「おめーら、お師匠さんがどんだけ頑固者だか知らねーだろ。
 泣き虫でよ!
 石頭でよ!
 めちゃめちゃ大変なんだぞ!
 あの石頭と比べたら、こんなもの!」
僧侶たちに殴られ、その場に倒れる悟空。
「ふとどきな妖怪め!
 あの世でほざけ。」
赤雲が剣を抜き、悟空の首に当てる。
「ごめんよ、お師匠さん。
 約束、守れそうにないよ・・・。」

赤雲が剣を振り上げた時、鈴の音が鳴り響く。
法師、悟浄、八戒が戻ってきたのだ。
「誰が石頭ですか。」
「長い、おしっこですね。」と八戒。
「この、バカ猿!」
三人が悟空に駆け寄る。
「なんで戻ってきたんだよ!」
「決まってんだろ。ナマカだからだ!」と悟浄。
「ナマカだからです!」と八戒。
「ナマカだからですよ。」と法師。
悟空は懐から鈴を出し、それを法師に渡す。

「おのれー!
 この大雷音寺を土足で踏みにじる行い!
 許されません!許されませんよー!」李玉が言う。
「土足の何が悪いのです!」と法師。
「何をー!」
「僕達のお師匠さんは、雨の日も、風の日も歩き続けて、
 砂漠の中を、山野中を歩き続けて、
 この足で、土を踏んで、泥を踏んで、歩き続けたんだ!
 僕たちのお師匠さんは、頑張ったんだ!」と八戒。
「俺たちのお師匠さんは、くじけなかった!
 お前たちのようにお山の上で、行儀良く座っているような
 やつらには、到底手に入らない、強い心を持ってたからだ!
 俺たちのお師匠さんは、頑張ったんだ!」と悟浄。
「頑張ったヤツは報われなきゃいけねーんだ。
 頑張ったヤツが報われる世の中じゃなきゃいけねーんだ。
 神様だろうが、人間だろうが、妖怪だろうが、
 そんなことは関係ねー!
 天竺だろうが、どこだろうが、
 この世で一番偉いのは、頑張ったヤツだ!
 頑張ったヤツが一番偉いんだよ!
 そんなお師匠さんに手を出すヤツは、
 例え神様仏様だろうと、この俺様が許さねー!
 さあ来い!
 お師匠さんには指一本触れさせねー!」
倒れそうになる語空を支える仲間。
にらみ合う一同。
その時、柔らかい光が悟空達を包み込む。
その波動に、僧侶たちが吹き飛ばされる。
「なんだこりゃ・・・」悟空。
「今だ!」と悟浄。
「逃げましょう!」と八戒。
「生き延びるんだ!」と悟空。
「はい!」と法師。
4人が部屋から飛び出す。
支えあい、微笑みあいながら、4人はその場を抜け出した。
過去の旅を思い出しながら・・・。

そして、4人は門の外にたどり着いた。

4人が廃墟へ逃げ込むと、一人の男が水を飲んでいた。
「おっさん!その水、くれ。」
突進する悟空を軽く交わすその男(堺正章)。
「愉快じゃー!愉快じゃー!
 愉快な妖怪たちじゃ!」(BGMは『モンキー・マジック』)
男は大笑い。
「何だテメー!」
悟空が如意棒を向けると、ひしゃくで軽く交わすその男!
そして如意棒を拾いあげ、見事に振り回してみせる!
「返せ!」
「なかなかの代物だ!
 お前、山野ふもとにある山門を、これで壊してきてくれるか?」
「俺様を誰だと思ってる!」
刃向かう悟空を慌てて止めに入る老子。
「お前たち、何をしてる!
 このお方を、何様だと、間違えた、どなた様だと
 思っておる!?」
「知るか!こんなおっさん!」
「お釈迦様だー!」
固まる一同。
「申し訳ございません。
 この者たちは、何もわからぬバカ者でして。
 しかし、良いところもあるのです。」
ひれ伏してそう謝る老子。
「どうぞ、お飲みなさい。」
「おめーが本当に、お釈迦様なのか・・・」
「よーく来たねー、玄奘さん。」

「すまねー!すまなかった!
 天竺で大暴れしたのはこの俺だ!
 お師匠さんも、あいつらも、何もしらねーんだ。
 この俺が勝手にやったんだ。
 地獄でもどこでも連れてってくれ!」悟空がひれ伏す。
「何を言う!
 お師匠さんに逆らって、こいつに暴れろと命じたのは
 この私です!」と悟浄。
「いいえ、違います!僕です!一番偉いこの僕です!」と八戒。
三人の言葉を微笑み聞いているお釈迦様。
「よしなさい。
 お釈迦様は、全てお見通しです。
 全ては、この私の責任。
 私を罰して下さい。」
「じゃ・・・そうすることにしよう。」
菩薩が老子に合図を送る。
老子が幕を引くと、そこにはお経の山が詰まれていた。
「あなたを、天竺に向わせたのは、
 旅の中で、このお経の本当の意味を、
 わかってほしかったからです。
 これを都に持ち帰り、
 あなた自身の心で、人々の心に書き記すのです。
 本当の、お経を。
 それが、あなた方への、罰です。」
「はい。」
「ウッキーーー!!」
「やったー!!」

「悟空さん、悟空さん。」
「ハイハイハイ!
 やめて下さいよ、悟空さんだなんて。」
「わかった。じゃ、サル!」
お釈迦様は自分の前に悟空を座らせ、お経を唱える。
すると、金の輪が外れた。
「痛いんだよねー、これ!」
金の輪を手に、みんなの前から立ち去る菩薩様。
一行がひれ伏し、見送った。

「それはまだ、空に竜が飛んでいた頃の物語。
 こうして、三蔵法師一行は、ありがたいお経を手に入れ、
 無事、長安へと帰りました。
 旅が終わって、旅が終わって?」

「今頃お師匠さんは都で、
 山ほどお経を読みながら、頑張っているんだろうなー。」
岩の上でリラックスする悟空の元に法師が現れた。
「お師匠さん!」
「悟空!」
「何してんの?」
「ぼやぼやしないで、行きますよ!」
「行くってどこに!?」
「旅です!」
「旅!?
 ちょっと待ってよ。
 何が何だかさっぱりわかんない!」
「これを御覧なさい。」
法師がお経の巻物を開く。
「真っ白!?何が起こってるんだー!?」
「菩薩様が、何者かにさらわれて、
 お経の力が消えてしまったのです。
 お釈迦様を、助けに行きますよ!」
そこへ、悟浄、八戒、凛凛もやって来た。
「よーし!行くぞー!」
「待ちなさい!忘れ物ですよ。」
法師が、金の輪を悟空の頭に乗せ微笑んだ。
「えーーーっ!?」

次週予告
『ーそして数年後ー
 物語を記した
 十一巻の巻物と
 ある秘密を記した一本の巻物
 そして悟空は
 なぜか台湾に!?
 一体何故!?

 春休み突入スペシャル
 西遊記ウッキー祭り!』



最終回が終わったばかりだというのに、スペシャル番組が
あるのですね!

さてさて、最終回の大目玉は、何と言っても堺正章さんの登場!
初代を見ていた者としてとても嬉しかったです。
如意棒さばきは見事でした!あざやか〜!

過去のシーンを振り返ってみると、
個性溢れる、豪華ゲストでしたね〜!
第一話の「ナマカ」「大丈夫」
その意味を、少しずつ理解し、成長していく悟空たち。

香取君版の『西遊記』、楽しかったです!




主題歌はこちら。今風なアレンジですね!
B000E0VPJQAround The WorldMONKEY MAJIK エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ 2006-02-22by G-Tools



元祖・MAGIC MONKEY。

B00005ELVK西遊記ゴダイゴ GODIEGO ミッキー吉野 コロムビアミュージックエンタテインメント 1993-10-21by G-Tools


saiyuki.jpg

1978年に放映された『西遊記』の主題歌。
ゴダイゴもこのドラマも大好きでした。
(孫悟空=堺正章 三蔵法師=夏目雅子 猪八戒=西田敏行 沙悟浄=岸部シロー)


こちらはサウンドトラック。
B000E0VPJG西遊記オリジナルサウンドトラックTVサントラ エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ 2006-03-01by G-Tools



慎吾君が読んでいた孫悟空の漫画。コロコロコミック連載中!
西遊記ヒーローGo空伝!


こちらは中国のテレビシリーズ。
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香取慎吾さん過去の作品


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この記事へのコメント
こんにちは。
堺正章が如意棒を自在に操るのはさすがでしたね。
頭のわっかのことといい、悟空にだけわかることをさらりと言ってしまうところは笑えました。
Posted by いわぴい at 2006年03月22日 07:00
凛凛はなぜ、天竺にきていたのでしょう。
もう自分の国での役目はおわったの??
Posted by hell at 2006年03月22日 19:16
 
すごく夢と希望の詰まったドラマでしたね!マチャアキ世代の自分は、シンゴくんもお釈迦様になれる未来を予想させて頂きました

 
 アンフェアにはまっていましたので、いまさらのコメントすみません
Posted by けた at 2006年03月23日 22:26
どうも、こんばんわ。

最後はマチャアキにおいしいところを持ってかれましたね。
悟空(香取慎吾)以上の棒裁き、すごかったです。

>hellさん
私もそれ思いました。何故?
Posted by さすらいD at 2006年03月23日 22:28
こんばんは。コメントありがとうございます!

★いわぴいさん★
堺さんの棒回し、さすがでしたね〜!
「痛いんだよねー、これ!」
初代悟空の独り言!?(笑)

★hellさん★
凛凛は先週でお別れかとも考えましたが、
三蔵法師の危機に、お母様が行ってこいとでも
言ったのでしょうか!?

★けたさん★
私もこのドラマにいっぱい笑いをもらいました。
また20年後ぐらいに、誰かが新たな悟空を演じる日が
くるんでしょうか!?
その時には是非慎吾君に菩薩様役を演じてほしいですね。

★さすらいDさん★
堺さんはさすがの存在感!
棒さばきも見事でした!
Posted by ちーず at 2006年03月24日 22:44
さくらです♪

当日見れなくて動画で落として、今日SPってことで昨日の昼間焦って見たので、コメント遅れました・・ごめんなさい。

それにしても、天竺ってもっと天国みたいなところって予想してたんですが、妖怪達の国である滅法国より酷いようなとこでしたね・・汗 一般庶民や妖怪を最初から完全に見下し、三蔵や悟空を汚らわしいと一笑に付す態度は、これまで出てきた悪い妖怪達とほとんど変わりませんでした。初代西遊記がどうだったのかわかりませんが、天竺ってもうちょっといいとこってイメージだったので、ちょっとがっかり・・。まぁ、現実の天竺なんて結局は高僧達が集るお寺なんで、天国みたいなとこではなく、今回のドラマで描かれたような場所だったのかもですね。それにしても、最低な天竺の人間達に・・暴力ではなく正当な言葉で立ち向かい、仲間を最後まで信じ抜いた、三蔵や悟空達の姿はかっこ良かったです。特に三蔵役の深津さんは、これまで余り目立つ見せ場が無かっただけに、悟空達のことを笑う天竺の高僧達に「バカもの」と説教するシーンは、かっこ良かったですよね。

堺さんは、流石初代悟空・・。今でも、あれだけ上手く如意棒を扱えるんですね。相等練習したんでしょうか?堺さんは、毎年元日のかくし芸大会で、他の芸能人達から名人と呼ばれてる方なので、あれくらいの棒術は簡単に出来ちゃうのかもですが。

今日、西遊記SPですね。最後に三蔵が言っていた、新たな旅の始まりのシーンが、SPに繋がるんでしょうか?最後にどんなSPになるのか、楽しみです。また、このメンバーでの西遊記パート2みたいなのも、個人的にはみてみたいなぁ。凛凛ちゃんや老子様もいいキャラでしたし♪
Posted by さくら at 2006年03月27日 17:00
さくらさん、こんにちは。
SP、最初の30分を見ていたのですが、
総集編メインなので途中から裏のドラマを見てしまいました。
一応ビデオには撮ってあるのですが、ストーリーの展開は
ありましたか?
Posted by ちーず at 2006年03月28日 11:21
SPは、総集編みたいな感じがメインでしたね。
最後に秘密の巻物の内容が明らかになったんですが
「西遊記 映画化決定」ということでした。
ようするに、映画化決定特番みたいな感じですね・・。
映画の話が、最後に三蔵が言った・・
お釈迦様がさらわれてしまって、経典が真っ白に
なってしまった後の冒険になるんでしょうか。

ドラマでヒットさせて、映画作って・・・
踊る大捜査線と同じような感じになってきてますね。
フジは第二の踊る大捜査線・・つくりたいのかな?w
でも、この西遊記はドラマでだらだらやるよりは
映画でまとめてやったほうが楽しめると思うので
映画のが楽しみかもですね♪
Posted by さくら at 2006年03月28日 23:08
さくらさん、こんにちは。
お返事ありがとうございます!
映画の宣伝だったんですね。
テレビで放映される時は見てみようかな。(笑)
きっとスケールの大きいものになるんでしょうね。
Posted by ちーず at 2006年03月31日 07:34
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