2006年05月09日

トップキャスター 第四話

『消えた大スクープ』

出勤前、椿木春香(天海祐希)が取材資料の本を探している。
こういう表紙、と言いながら紙にイラストを書いてみせる春香。
その紙を逆さまにしても何の絵だかわからない飛鳥望美(矢田亜希子)。
それは馬の絵だった。
「下手過ぎる〜!なにこれ!?」

そこで望美は春香に猿の絵を書かせてみる。
「猿なんて子供だって書けるのよ。
 こんな忙しいときにこんなことさせないでくれるー!?」
文句を言いながらも、ささっと絵を描く春香。
その絵に、「怖っ!」と望美。
「今まで誰かに言われたことないんですか?
 椿木さん、絵、下手過ぎます。
 大変!これ、みんなに見せなきゃ。」CNBテレビのスタッフたちは、アート界のアカデミー賞を受賞した
服部圭吾(葛山信吾)が授賞式をドタキャンした、という
新聞記事に盛り上がる。
「なんだコイツ!?」と石場プロデューサー(生瀬勝久)。
「賞金100万ドルを拒否!」
「もったいねー。」と石場。
「大のマスコミ嫌いでその素顔は謎に包まれている。」
「もったいぶりやがって!」と石場。
「ハリウッド女優との浮名を流す。」
「うらやましい!」
「しかもイケメン!
 服部圭吾、カッコイイ〜!!」
野原芽衣(松下奈緒)と紺野令子(須藤理彩)が盛り上がる。

そこへ、望美が駆け込み、みんなに春香の絵を見せる。
「これ、椿木さんが書いたんです。
 なんだと思います?」
「ん???」
「わかった!・・・寝言だ!」と石場。
「寝言じゃありません!これは絵です~。」と春香。
ヤマユゲ!?ベベルマ星人!?
「地球上にはこんな生き物、いません!」一同が声を揃える。
角高孝男(矢島健一)まで、「吐き気!?」と真剣に答える。
「吐き気は、絵で表現出来ませんから!!」

そこへ、結城雅人(谷原章介)が、服部圭吾のエージェントと
アポイントが取れたと知らせにくる。
グループ会社のミュージアムがその作品を落札したからだ。
まだ受賞拒否の理由はどこにも語られていない。
彼の動く映像もどこにも撮られていない。
もし通れば、世界的スクープ!?
スタッフたちが盛り上がる。
もちろん春香もこの話に飛びつく。
が、「椿さんには関係のない話ですから。」と石場。
「あの絵じゃね。」と令子。
「私の絵と仕事は関係ないでしょ。」と春香。
「ありますよ!」みんなが声を揃えて言う。
浮き立つスタッフたちに、
「インタビュー受けてもらえるかどうかは
 今後の交渉次第だ。
 むしろこれまでのケースを考えて、
 可能性はないに等しい。」と結城常務。
「なに、だらしないわねー。
 わかった!私が服部圭吾を口説くから。」と春香。
「え・・・。」
「何よ。」
「いや、確かに、椿木さんは仕事は、出来ます。
 出来るんですけれども、この絵に関しては。」
「無理だって言うの?」
「無理です!!」と一同。
「彼女の絵がどうかしたの?」と結城常務。
「あの、これ、なんだと思います?」
みんなが笑いながら春香の絵を差し出す。
その絵を逆さまの状態で受け取った結城が即答する。
「馬だろ。」
「え・・・。」
「ほーーーーら!」と春香。
「お二人とも、が合いますね。」と石場。
まい!!」
自分たちのダジャレに満足し、みんなが解散する。
「とにかく、このスクープ取るからね!!」

圭吾のオフィスに向う春香、望美、芽衣、伊賀俊平(松田翔太)。
世界で今最も注目されている日本人らしく、モダンな自社ビルだ。
「私も注目しています!」芽衣がリサートノートを春香に見せる。
「ふーん。よく調べたじゃない。」
芽衣のリサーチノートを誉める春香。
「石場さんも言ってました!
 堅苦しく交渉するよりも、
 若くて、美人のコンビがやった方が、
 アーティスト系は落としやすいって。」芽衣が望美に並んで言う。
「若くて美人のトリオね。」春香が微笑みビルに入っていく。
「コンビですって!!」

自分に任せろ、と豪語する芽衣。
現れたのが外人スタッフで、たじろぐ。
堂々と英語で挨拶を交わす春香に負けまいと、
「あの!トゥデイ イズ グッドウェザー。
 アイ、ライク、ケイゴ。
 ヒー、イズ、ベーリー、フェイマス!」と言ってみる。
「・・・なに!?」と外人スタッフ。
「日本語話せますよ。
 君、圭吾のタイプかもね。」
外人スタッフが芽衣に触れると、俊平がガードする。
「でもそれと、ビジネスは別。
 これ、無理だと思いますよ。」
「あの、ご本人に直接会わせてもらえますか?」と春香。
「圭吾は誰とも会いません。」
スタッフは企画書を受け取り、春香たちの前から立ち去った。

ガラス張りの別室に、圭吾の姿を見つけた望美。
次の瞬間、芽衣が動く!
「落とす自身あるの?」と春香。
「若くて美人ですから。」
「ちょっと芽衣ちゃん!」と俊平。
「いいのよ。あれだけ勉強したんだから悔しいんでしょう。」

大きなキャンパスの前で腕を組みながら考える圭吾。
ドアのノックに
「ニック。まだ何も出来てない。」
「あの、」
「誰?」
「はい。 
 ・・・じゃなくて・・・
 させて下さい!!
 インタビュー、させて下さい!!」
「おいニック!」
「私、昔からファンなんです。
 雑誌も全部見ました!
 個展にも行きました!
 お願いします!服部さん。
 ほんの少しでもいいんです。
 どんな小さなことでもいいんです。
 お願いします!インタビュー!」
スタッフに引きずられながらそう説得を試みる芽衣。
「あ、あんた、もしかして!」
「はい!CNBテレビの、野原芽衣です!
 見てくださっているんですか?」
「いつも見てるよ。」
「そうですか!」芽衣の嬉しそうな表情!
だが圭吾は芽衣を通り過ぎ、春香の前へ。
「椿木春香さんだよね。
 ニューヨークのニュース番組でよくレポートしていた。
 今日本でアンカーウーマンやってる。」
「ええ。」
「あんた面白いよ!
 ずっと会いたかった!」
圭吾が春香に手を差し出し、二人は握手した。
芽衣は春香をきっと睨みつける。

ヤキトリ屋。
石場は最新型の家庭用ビデオカメラで娘のお遊戯会のをチェック。
この日の為にわざわざ買ったビデオカメラだった。
『にじのくに幼稚園おゆうぎ会』
「うちの子が一番可愛い!
 お遊戯が一番上手かった!
 持って生まれた可愛さなのかなー。
 妖精?天使?地上に落ちたティンカーベルか!?」
お姫様役の少女のアップ。
「この、お姫様ですか?」
「バカ!隣だ隣!」
石場の娘は背景の木から顔をのぞかせていた。
蟹原健介(玉木宏)に編集させようとする石場。
「私用で使っていいの!?」と令子が睨むが気にしない。

そこへ、春香たちが、なんと圭吾を連れてやってきた。

圭吾は春香と座敷に上がり、春香の今までのレポートを
褒め称える。
「世界のプレッシャ−の中で、初めて学べることが
 沢山あって。」と語る圭吾に
「あなたのそういうインタビューをね、
 うちの番組でやらせてもらえませんか?」と春香。
「テレビ?あり得ない。」
圭吾はそう言い、また春香の今までのレポートを誉め出す。

「お邪魔します!」芽衣が、彼の画集を手に座敷に上がりこむ。
「邪魔だよ。」
「え・・・」
「僕は今、彼女と話しているんだ。」
「私、昔っから服部さんのファンだったんです!
 とくに、この頃の絵がすっごく好きで。」
「邪魔だって言ってるのが聞こえないのか!?」
「・・・!!
 私の母も、
 ・・・私の死んだ母も、あなたの大ファンでした。」
「え?」
「病気で亡くなった母が、あなたの絵が大好きで、
 いつも新しい画集が出るたびに、
 病室の届けていました。
 この画集も、ベッドの上でページをめくりながら、
 素敵ね、素敵ねって、すっごく喜んでいました。」
「僕の絵は暗いし、元気は出ないよ。」
「母は言っていました。
 夜明け前が、一番暗いのよって。
 服部さんの絵は、そんな絶望の中から浮かび上がってくる
 希望を表現しているのよって。
 この東京タワーの絵も暗いけど、母は言っていました。
 彼はいつか必ず、明るい火をともした、
 希望に満ち溢れた東京タワーの絵を描くに違いないって。」
芽衣の言葉に、自分の絵を見つめる圭吾・・・。

その話は、芽衣の作り話だとスタッフたちがこっそり話す。

「だから何?」
芽衣は諦めて席を立つ。
「インタビュー受けてもいいよ。」
「本当ですか!?」
「ただし、条件がある。」
圭吾が芽衣に耳打ちする。
「え・・・。」
「ダメか。
 別の店に行こう。」
圭吾が春香に言う。
「その条件、受けます!
 だから、インタビューお願いします。」
春香に負けたくない芽衣がそう言った。
「ああ、いいよ。」
「芽衣ちゃん、すごい!!」スタッフたちは大喜び。
「ただし、インタビューするのは今、ここで、だ。」
スタッフたちが静まり返る。
「いいじゃない、ここでやりましょうよ。」と春香。
蟹原がカメラクルーを呼ぼうとすると、今すぐでなければ
ダメだと圭吾。
カメラだけでもあれば・・・。
そのカメラがあった!石場のマイ・カメラが!
石場は娘のビデオを守ろうとしたが、春香の合図に
スタッフたちが石場からカメラを強奪!
そしてその場で、インタビューが始まった。
「さて、本日はスタジオを出まして、
 ビッグなアーティストをお呼びしています。」

インタビュー終了後、圭吾が芽衣に「行こうか。」と声をかける。
「どこに行くの?」俊平が聞く。
「約束通り、彼女の裸体画を描かせてもらう。」
「ら・・・裸体!?芽衣ちゃん!」
「あんたには関係ないでしょ!」
芽衣はスタッフたちに圭吾をホテルに送ってくる、と言い
店を出ていった。

「明日は、AGM賞受賞拒否で、世界中をあっと言わせた、 
 あの服部圭吾さんの独占インタビューをお送りいたします。」
圭吾インタビューの告知でその日のニュース番組を終わらせた春香。

結城常務も柴田局長(児玉清)も芽衣のお手柄に大喜び。
受賞拒否理由ははぐらかされてしまったが、楽しい話を
沢山聞けたと芽衣が二人に伝える。
局長は、明日は番宣CMを集中的に流すようにする、と約束する。

「やったー!これでまた一歩メインに近づいた!」
俊平はそんな芽衣を心配そうに見つめる。

圭吾に話していた母親の話は真実なのか、春香が芽衣に聞く。
「あんなの嘘に決まっているじゃないですか。
 私のおかげでインタビュー取れたんですから、
 文句ないですよね。」
笑顔でそう言いきる芽衣。
「うわぁ、調子乗ってる!何あれ。」望美が呟く。
春香は芽衣を少し心配そうに見つめていた。

仕事の帰り、芽衣は俊平に声をかけられる。
俊平がこれから分室でこれから圭吾のインタビューの編集と知ると、
「私あの時前髪ちょっと乱れてたかもしれないの。
 もしそうだったらさ、ちょっとカットしてほしいから、
 見して〜。」
「ここじゃ危ないですよ。」
やんわりと拒否する俊平にお構いなし。
芽衣は無理やりカセットをケースから取り出し、歩道の下に
落としてしまう。
「大丈夫です。落としたぐらいじゃね。」
慌ててカセットに駆け寄る二人。
だが走ってきたトラックがその上を通り・・・。
カセットは完璧に壊れてしまった。
「もう告知しちゃったのに・・・。」と俊平。
「どうしよう・・・。
 もうダメだ。 
 こんな失敗したら私もうメインになんかなれない。
 どうしよう・・・。」
「芽衣ちゃん。大丈夫。
 俺が、一人でやったことにするから。」
「そんなんじゃ、あんたが・・・。」
「大丈夫!俺もともとこういうキャラだし、 
 全然平気っす!」
俊平が芽衣にそう言った。

スタッフに土下座して謝る俊平。
「タイトルにも出ちゃってるのよ!」
「芽衣ちゃんがあんなに必死になって撮ったインタビューなのよ!」
石場たちが責める。

「ねえ、今こんなことやっててもしょうがないよ。
 早くなんとかしようよ。
 もう一回服部圭吾に頼みこんで、インタビュー撮らせてもらおう。」
春香の提案に、みんなが動き出す。

春香は芽衣、俊平、望美と共に、圭吾のオフィスに訪ねていく。
だが圭吾は昨日から連絡が取れずにスタッフも困っている状態。
携帯も持っておらず、連絡は取れない。
春香たちは圭吾が行きそうな心当たりを聞き、片っ端から
探し始める。

石場プロデューサーは結城常務に平謝り。
「謝る必要はありません。
 今更放送は変えられないんです。
 予定通り放送して下さい。」
結城はそう言い、春香からの電話を奪う。
「困ったことをしてくれたようだな。」
「え?何が?
 予定通りインタビュー放送するわよ。」
春香の言葉に微笑む結城。
「楽しみにしているよ。」

柴田局長は、朝のニュース班の人たちを手伝いに回した。
「やまない雨はないと言います。がんばりましょう!」
「はい!!」

圭吾はホテルにも戻っていなかった。
咳き込む芽衣に、俊平と望美は戻って休むよう言う。
二人の言葉に甘えて芽衣が帰ろうとすると、春香が呼び止める。
「芽衣ちゃん。
 あなたさ、服部圭吾をこのホテルまで送ってきたのよね。
 その時の彼の様子は?」
「いや・・・。」
「思い出して。
 彼ね、制作に行き詰っていたようなの。
 何か言ってなかった?」
「いや、わかりません。」
咳き込む芽衣に、俊平が自分たちだけで続けようと言いかける。
「検証してみよう!」
「検証!?」

4人はやきとり屋へ行ってみる。
「健介んちのやきとり屋なんか来るより、
 探した方が早いんじゃないですか?」と望美。
「それは、蟹ちゃんたちがやってくれてる。
 私たちは、服部圭吾の心の中を探ろう!
 あなたの心の中もね。
 思い出して。
 服部圭吾とあなたとこの店を出たのが、確か12時過ぎだったわね。」
「・・・はい。」芽衣が答える。
「伊賀ちゃんが、服部圭吾。
 飛鳥さんが、芽衣ちゃん。」
芽衣になりきり、咳き込む望美。
「ダメ!芽衣ちゃんは、まだ風邪を引いていませんでした。」と春香。

「で、彼は、私の手を握りました。」と芽衣。
「えー。」ヤキモチを焼く俊平。
「握る!」春香が指示を出すと、俊平は芽衣に手を差し出す。
春香は俊平を芽衣ではなく、望美と手をつながせる。

「で、急に走り出しました。」と芽衣。
「走って!走って!!」春香が指示する。
「何で私がこんなこと。」文句言いながら走る二人。
「戻って!
 逆だって!」
「えーーー!!」

そのあと、圭吾と芽衣が食べた激辛ラーメンを食べさせられる
望美と俊平。
その次に、口直しに入った別のラーメン屋でも、二人は同じように
食べさせられる。

その後、圭吾と芽衣が向ったのは公園。
「子供の頃の話して、で、逆上がりしました。」
「逆上がり、行ってみよう!」

「思い出した?」
「何も思い出せません!」
「どうして?
 どうして服部圭吾はあの夜、インタビューを承諾したの?
 彼、何か交換条件を出していたわよね。
 それは何だったの?
 あれは何だったの?」
庇う俊平を一喝し、春香が追求する。
「・・・私の絵を・・・私の裸体を描かせてくれたら、
 インタビュー受けてくれるって。」
「そんな・・・。」驚く望美。
「あなたそれを承諾したの?」
芽衣が頷く。
「それで?」
「それでって?」
「ここに来たあとよ。
 あなたはそれを描かせたの?」
「・・・服部さん、ここで言い出したんです。
 そろそろ行こうか。絵を描きに行こうかって。
 でも私、服部さんが、ジャングルジムに登ったりしている
 隙に、うちに帰りました。」
「逃げたのね。
 約束破ったのね。」
「だって、そんな絵を描かせるなんて!」
「最低ね。」
「仕方ないじゃないですか、そんな約束。」望美が庇う。
「だったら!
 最初からそんな約束しなきゃいいのよ。
 ・・・まあいいわ。それが聞きたかったから。」

春香は角高に連絡をし、圭吾が絵のモデルを探している
可能性がある、と伝えていると、芽衣が倒れてしまった。

三人は芽衣を春香の家に連れ帰り、ソファーに寝かせて看病する。
40度もの熱。
風邪も嘘だと思ったら、これは本当でしたね。

圭吾がモデルを探していた、という形跡は見つからなかった。
春香が芽衣のノートを読んでいると、芽衣が呟く。
「もう嫌。
 椿木さん、私のことバカにしているんです。
 たかが女子アナに、何が出来るんだって。
 バカにしてるんです。
 みんなだってそうよ。
 私がどんなに勉強したって、どんなに下調べしたって、
 結局回される仕事はニコニコ相槌を打つことだけ。
 毎朝全部新聞読んで、その日起こったこと全部下調べして
 スタジオに行っても、
 お前にはわかりませんって顔して、
 ニコニコ愛想振りまいてりゃいいんだよって。
 だったら、私の席に、人形か花でも置いておいて下さい。」
望美と俊平が、そんなことない、と慰める。
「そうね!今日からそうするわ。
 あんたの席にはリカちゃん人形でも置いとく!」と春香。
春香に抗議する望美たち。
「甘えてんじゃないわよ!!
 そんなに頑張ってるんならさ、最後まで責任持って
 やりなさいよ。ほら。」
芽衣を引っ張る春香。俊平が庇うと、春香が彼に言う。
「ねえ、あのテープダメにしたの、あんたじゃないでしょ?」
「・・・」
「そんなとこで庇ってもさ、
 何にもこの子の為になんなによ。
 嘘で取った仕事なんてさ、所詮嘘よ。
 嘘の先には、もっと大きな嘘が待っているだけ!
 あんたが認めてもらえないのはね、
 他の誰でもない、あんたのせいよ。
 認めてもらいたいなら、立ちなさいよ。
 勝ちたいなら、もっと頑張りなさいよ。
 ・・・今は、無駄に見える努力でも、
 いつか価値が出るの。
 無駄な積み木を積み重ねて、初めて見える景色があるの。」
春香はそう言うと、芽衣のノートを手に公園に戻っていった。

「芽衣ちゃん、俺もノート作っているんだ。
 まだなーんの役にも立っていないんだけどね。
 俺さ、もっと、もっと頑張って、早く偉くなる。
 それでディレクターになってさ、
 この手でニュースを作るんだ!
 その時は、芽衣ちゃん、キャスター席の真ん中に座ってくれよ。
 一緒にニュース、やろう!」
俊平は芽衣にそう言い、春香と望美を追った。

午後7時過ぎ。局に戻らなければ放送に間に合わない。
芽衣のノートには、服部圭吾は半年前、病気で母親を
亡くしている、と書いてあった。。
「それをきっかけに、彼の創作のスピードはガクンと落ちて、
 作品へのモチベーションが、失われたと思われる。」
 芽衣ちゃんが彼についた嘘を覚えてる?」

『私の死んだ母も、あなたの大ファンでした。』

「彼女がそれを踏まえて嘘をついたとは思わないけど、
 取材したことが頭にあったのね。
 彼女は咄嗟に、自分の母親が亡くなったと嘘をついた。」
「じゃあ、服部さんは芽衣ちゃんのお母さんの話と、
 自分のお母さんダブらせて・・・。」
「そう!
 彼女の嘘は、服部圭吾の胸に届いていた・・・。」
春香は圭吾がしたように、ジャングルジムに登りだす。
「!!
 やっぱりそうだ。
 彼はきっとあそこにいる!」
春香の視線の先には、東京タワーがそびえたっていた。
「行くわよ!」
そこへ、芽衣もやって来た。
「すみません。遅くなりました。」
春香が笑顔で頷いた。

タクシーで東京タワーに向う4人。
「服部圭吾は、あのジャングルジムの上で、東京タワーを見つけたの。 
 彼が芽衣ちゃんを描きたいなんて言ったのは、
 ただの照れ隠しだったのよ。
 彼が本当に描きたかったのは、それは、
 あの夜、あの公園で見つけた、東京タワーのことだったのよ。」

「そうだな。描いてみるか。
 そろそろ、描きに行ってみるか。
 君のお母さんの言う、」
圭吾の言葉を最後まで聞かず、芽衣はそこから逃げ出してしまった。
「希望に満ち溢れたか・・・。」
圭吾は東京タワーを見つめ、そう呟いた。

「彼はね、あなたの嘘を信じたの。
 明かりのついた、東京タワーの絵が見たいって
 お母さんが言っていたっていう、嘘を信じた。
 あなたのお母さんのために、
 そして、自分の母親の為に、
 もう1度東京タワーを描こうと思った。
 希望に満ち溢れた、まぶしいまぶしい、東京タワーを、ね。」

東京タワーの近くの公園で、圭吾は絵を描いていた。
暗闇に聳え立つ、希望に満ち溢れたまぶしい東京タワーが
キャンバスに描かれていた。

「これであんたの亡くなったお母さんにも、
 喜んでもらえるかな。」圭吾が言う。
「・・・」
「あなたのお母さんも。」春香が言う。
「あんたの最近の絵は、妙に小難しいばっかりで暗いのよ。
 こんなんじゃ、ちっとも元気になりゃしないわって。
 それが死ぬ間際のお袋の口癖だった。
 これでやっと、誉めてもらえるかな。」
「それで・・・
 お母さんのことがあったから、受賞を拒否されたんですね。」と春香。
「俺は、母親に誉めてもらいたくて、絵を描き始めたんだよ。
 最近の絵で賞なんて貰ったら、何て言われるか。」
望美が春香に時間を知らせる。
「あの・・・実は・・・あなたのインタビューを収録したテープ、
 破損してしまったんです。
 すみません!
 で、お願いがあります。
 もう1度収録する時間はありません。
 これから一緒に来て、スタジオで、生出演していただけませんか!?
 お願いします!!」3人が頭を下げる。
「ちょっと待って下さい。
 その前に、服部さんにお話しなくちゃいけないことがあります。
 ごめんなさい。
 私、嘘をつきました。
 私の母は、生きてます。
 ごめんなさい。ごめんなさい。」
泣きながら謝罪をする芽衣。
「・・・良かった。
 だったらこの絵を、君のお母さんに見てもらうことが
 できるんだ。
 何泣いてるんだよ。
 あんたのおかげで、この絵を描く気になれたんだ。
 感謝しているよ。
 さ、行こうか。」
「え!?」
「時間ないんだろ。ザ・ニュースは9時からだろ?」
「そ!!時間ないの。
 ね、このまま走って!」

「服部さん。
 今夜が初出演ということでしたが、いかがでしたか?」
「やっぱり疲れるよね、こういうのは。」

中継を見守るスタッフたち。
「悪ぶっているけど、結構いい人なんですよ。」
望美がスタッフたちに言う。
「そういう人間、うちにもいたなー。」結城常務が呟く。

「それでは最後に。
 服部さんにとって、絵とは何でしょう?」
「自分が生きている、証かな。」
「ありがとうございました!
 それでは又明日、この時間に。」

放送が無事終わった。

春香は机に突っ伏してしまった芽衣を背負い、局内を歩く。
「どいてどいて!危ないから、もう!!」
「椿木さん・・・」
「今病院行くからね。」
「ごめんなさい、私・・・。」
「何言ってるの。
 あんたの取材ノートで、彼を見つけられたの!
 よくやったじゃない!
 ね、あんた名がいいよね。」

「よくやるよな。」結城が微笑む。
「椿木さんも芽衣ちゃんもすごいです!
 すごく頑張ってます。」
「ああ。」
「私・・・私も椿木さんみたいになりたい。
 あんな人になりたい。」と望美。
「なりたいと思ってもなれないよ。
 越えようと思わなければ。」
「越える?」
「うん。」

春香が車を豪快に止める様子に、
「・・・無理です!」と望美が言い、結城と笑い出す。

「ちょっとー!そこの爽やかな二人ー!!
 手伝いなさいよーー!!」
「はーい!」
望美と結城が車に駆け寄る。
「今の話、椿木さんには内緒にして下さいね!」
「ああ!」

助手席に乗り込んだ春香が「GO!!」と指示を出した。


消えた大スクープ。
どういうことかと思ったら、ビデオテープの破損でしたか!

望美と俊平に、芽衣と圭吾の足取りを辿らせる春香。
そのたびに春香は芽衣の顔を覗き込み、「思い出した?」と
聞いていました。
春香は芽衣が隠し事をしているのに最初から気づいていて、
真実を聞き出すために、"検証"していたんですね。

そして、真実を知った春香は、芽衣を叱り飛ばしました。
春香の言うこと、最もです。

今までの芽衣は、いつかトップに!と野望を抱いていて、
春香を蹴落とそうと願う、したたかな女性ではあったけれど、
それなりに感情移入は出来ました。

でも今回、圭吾の気を引こうと「死んだ母が」と嘘をつき、
インタビューを引き受けた圭吾との約束を破り、
自分の失敗を、自分を慕ってくれる男の言葉に甘えてしまった。
「だったら!
 最初からそんな約束しなきゃいいのよ。」
そういう選択をするべきだったのに、メインにこだわる彼女は
約束を守らずに逃げてしまったんですね。

春香は、芽衣を庇い自分の責任にした俊平のことも叱りました。
「そんなとこで庇ってもさ、
 何にもこの子の為になんなによ。」
その人のことを本当に思うのなら、罪を背負うのではなく、
もっと別の方法を考えるべきだったんですね。

「嘘で取った仕事なんてさ、所詮嘘よ。」
この言葉にも納得!
さすが春香、一流のアーティスト・服部圭吾が認めるだけのことは
ある!きっと世界でもこういう姿勢でレポートしていたのが、
認められてきたのでしょう。

そして春香が芽衣にきつい言葉を投げかけたのは、
彼女を買っているから。
春香のポジションを目指し、越えようと努力し続けてきた芽衣、
まだ未熟なところもあるけれど、春香の元で何が大切なのかを
学んでいけば、可愛いだけの女子アナから、立派なキャスターに
成長していくことでしょう。



ランキングに参加中!応援クリックよろしくお願いいたします。
人気blogランキング    TV Drama Ranking



主題歌です。
Dear friend
Dear friendSowelu Yoshihiko Nishio DefSTAR RECORDS 2006-05-10売り上げランキング : Amazonで詳しく見るby G-Tools



B000F9UDCGドラマ「トップキャスター」オリジナル・サウンドトラックTVサントラ DefSTAR RECORDS 2006-05-24by G-Tools






この記事へのコメント
椿木の一言一言は今の社会人みんなに言えることで
結構ぐさっときましたね。
私もやることちゃんとやって文句言わなきゃ!
って思いました。
やることもろくにやらないくせに文句だけ一人前はダメですよね。
なので椿木の一言は「ごもっとも!」と思わず
いいたくなることばかりでした。
Posted by みのむし at 2006年05月09日 11:27
つばきが行った、東京タワーの画面を見て、

思わずアンフェアを思い出しちゃいました☆彡
Posted by ぷー at 2006年05月09日 18:46
服部は絵を描くことにいきずまり、ゴーストライターでも使っているのだろうと思っていましたが、またまたハズシてしまいました、このドラマかなり高いレベルで構成されているし、ひとつずつのコネタを考えているうちに終わってしまいます

服部が素敵な考えの人で終わってよかった

結城も第一回のときの印象とかなり変わってきましたね、春香の馬の絵をさかさまに見て馬と見れるとは恐るべき感性!
Posted by けた at 2006年05月09日 19:57
私もアンフェアじゃん!って思いました。
弁護士のくずのときも思いましたが。
篠原さん、髪切りましたね。

毎回は見れないけどおもしろいと思います。天海さんは女王で好きになりました。
Posted by 夜色 at 2006年05月09日 20:34
ちーずさん こんばんは!

椿木の芽衣への叱責、ジーンときちゃいました。
なかなかいないですよ、思っててもここまでハッキリ言ってくれる先輩って(苦笑)

相変わらず冒頭の笑いネタ。。。滑ってます。
今回は「馬」でしたが。。。中途半端で笑えない。
アハ。
Posted by アンナ at 2006年05月09日 22:07
こんにちは。服部さんの部分はさらりとした感じで描かれ、納得ができました。椿木キャスターと張り合うのはこれくらいの器でなければつりあわないということですね。
Posted by ドラマの視点 at 2006年05月10日 09:40
こんにちは。コメントありがとうございます!

★みのむしさん★
椿春香の言葉に、私も身が引き締まる思いです。
こんな人が側にいたら楽しいし、いい影響受けるだろうなー。

★ぷーさん★
今、東京タワーがブームのようですね。
私も『アンフェア』を思い出しました!

★けたさん★
服部がゴーストライターとまでは考えが回らなかった
けれど、本気で沙織を狙っているのかと思っていたら、
とてもいい人で、良かったです。
結城も今ではすっかりいい人ですね!
あの絵が通じるのは、やっぱり愛!?

★夜色さん★
くずにも東京タワー登場しましたね!
篠原さんはカツラのようですよ。
ショートもお似合いですよね!

★アンナさん★
そうですよね〜。
こんな風に叱ってくれて、しかもそれはその人のことを
思うからこその言葉で。
すごく素敵な上司です!
名前、訂正しておきました。^^
私も経験あり!(笑)どうぞお気になさらずに!

★ドラマの視点さん★
服部さんの部分がドロドロとさせず、爽やかに終わって
嬉しかったです。
登場する人たちそれぞれ魅力的で、いいですよね!
Posted by ちーず at 2006年05月11日 14:13
え、あれカツラなんですか!?
地毛だと思ってました;

高校は大変であまりドラマが見れないです><
入試前のがよっぽど見てた(笑)
Posted by 夜色 at 2006年05月12日 21:40
こんばんは、ご無沙汰しちゃいました。
このところ見逃してしまうドラマが多く、こちらで見たような気分にさせて貰い、
ちーずさんにはとっても助けられています。(てるてる等々)

このドラマはのめり込むほどではないけど好きな一つです。
見る前は、テレビ界を舞台に愛だの恋だの?なんて思っていたのですが
皆それぞれ仕事に一生懸命向き合っている感じが伝わるというか、
上に目指すものがあるようで、いいですね。

ただ、東京タワーと突き止めたところはいいけれど、
あんなにすぐ見つかるなんて、それもタワーのすぐ側で。
そこだけちょっと突っ込みたくなりました^^。
Posted by tenten at 2006年05月14日 02:24
こんばんは。コメントありがとうございます!

★夜色さん★
高校生活、大変そうですね。
もうすぐ中間かな?
でも大人になった私が振り返ると、高校生活も
楽しかった!
どうか充実した高校生活を送ってくださいね♪

★tentenさん★
お久しぶりです!
お役に立てて、光栄です。

このドラマ、面白な部分と、真面目な部分と、
どちらもとても好きです。

東京タワーのすぐ側の公園でしたが、それでも本当なら
探すの、とても大変ですよね。(笑)
Posted by ちーず at 2006年05月15日 00:43
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。