2006年06月13日

トップキャスター 第九話

『突然のクビ宣告!』

「椿木さん事件です!椿木さん事件です!」
・・・という望美(矢田亜希子)の声に起こされる春香(天海祐希)。
それは望美が吹き込んだ目覚まし時計の声だった。

ドアの向こうから望美が母親と電話で話す声。
「本当だって!私本当になれるんだよ!
 夕方のニュースでね!
 すごいでしょー!?
 信じられないけど私も。でも本当だから!」
そんな望美の報告に、春香は嬉しそうの微笑む。

局へ行くと、スタッフたちが望美を早くもキャスター扱い。
望美は照れながらもとても嬉しそう。
「絶対また抜きかえすから!」
怖い顔で見つめる芽衣(松下奈緒)が、次の瞬間笑顔を浮かべ、
花束をプレゼント。仲間のチャンスを祝福した。「行くわよー。」いつもと変わらない態度の春香。
「え?」
「10時から取材だったでしょ。」
「そうでした!」
「あんたの企画じゃない。」
「・・・はい。」

春香たちは、望美の企画した“ふれあいの森売却問題"を巡る、
加治木市と市民の対立を取材に向う。

昔から市民の憩いの場所であるこの森を、
役所が何の相談もなく売却を決めてしまったのだ。
住民は反対運動をおこしている。

「でもこういうの難しいからね。
 せっかくキャスターの声がかかっているのに
 余計なことしない方がいいんじゃないの。」
角高(矢島健一)の言葉に
「椿木さん、やっぱりやめましょうか!?」と望美。
「さっさと歩く!!」

現地では、市民たちが『売却反対』のプラカードを掲げ
役所の職員に詰め寄っていた。
そんな中、一人の子供が柵を越えようとして転んでしまう。
役所の職員・山田正夫(渡辺哲)が駆け寄り、少年を優しく
助け起こす。
その様子に気づいた春香が微笑む。
「何やってるんだ!早く来たまえ!」
上司に言われ、市民の前に戻る山田。
市民に詰め寄られ、申し訳なさそうに頭を下げる。

「ねえ、さっき子供が転んだところ撮れた?」望美が聞く。
「うん。撮ったよ。」と蟹原(玉木宏)。
「使えるかも。」
望美の言葉に春香は・・・。

春香が『ふれあいの森』の件をニュース番組で伝える。
だが、子供を助け起こすシーンは春香の意向でカットされていた。

番組終了後、望美が春香に詰め寄る。
「どうしてですか!
 どうして役所側の肩を持つようなことをするんですか!」
「肩なんて持ってないよ。
 あの状況であれを流したら、視聴者は役所側を悪者だと
 決め付ける恐れがある!」
「だって役所は森を売却したんですから!」
「そのことと子供は関係ないでしょう。
 あの子はたまたま転んだだけで、
 職員に突き飛ばされたわけじゃない!」
「でもあの映像はインパクトがあります!」
強気な望美の態度に驚くスタッフたち。
「役所を糾弾するために、使えるじゃないですか!
 売却反対の世論だって大きくなるかもしれません!」
「・・・ふーん。
 だったらあの子が大怪我でもすれば、
 もっと面白い絵になったかもね!」
「え・・・」
「あんた自分が何言ってるかわかってる!?」
「だって、椿木さんが行政の見方をするなんて、
 そんなの長いものに巻かれろってことじゃないですか。」
「ふーん。あっそう。」
春香はそう言い、望美ニュースキャスター起用の企画書を破り出す。
「ちょっと!何するんですか。」
「この話はなかったことにしてもらうわ。
 キャスターの話はナシ!」
「なかったことって・・・」
「あんたにはアシスタント続けてもらう!」
「だってせっかく・・・」
「もうこの話は終り!帰るよ!」
「そんな・・・」呆然となる望美・・・。

スクープの為に、していいことといけないこと。
春香は望美にそれを教えようとしているんですね。
望美が電話で誰かに嬉しそうの報告するのを
あんなに嬉しそうに微笑んでいた春香のことを
望美に教えてあげたい!


春香は望美のキャスター抜擢を断り、アシスタントを続けさせると
柴田局長(児玉清)に報告。
柴田もそれを受け入れる。

望美もスタッフも、春香が本気だったことにショックを受ける。
「口答えしたぐらいで何も」
「自分がアシスタントいないと困るから」
「望美さんがだんだん頭角をあらわしてきたら
 怖くなったんじゃ」
「また椿木春香伝説が生まれたぞ!
 後輩の出世を潰してまでも自分は生き残る!」
スタッフたちが噂していると、そこへ春香がやって来た。

望美が思い切って春香に話しかけようとしたところへ、
蟹原が駆け込んでくる。
「大変です!
 加治木市役所の都市計画化の係長が、
 昨夜、市役所の屋上から飛び降りて、
 亡くなったそうです!
 遺書めいたメールがあったそうです!
 山田さんの携帯から送信され、所属部署の職員だけが
 受け取れるアドレスに届いていたようです。」

『住民との話し合いに疲れました。
 責任を果たせず、残念に思います。
 死んでお詫び申し上げます。
 都市計画課 山田正夫』

「あんな大勢から責められたら普通嫌になるよな。」
「死者が出たとなれば反対運動も沈静化されるだろうな。」
「結果的に、山田さんの自殺のおかげで
 森が売られるってことか。」

そこへ結城常務(谷原章介)と柴田局長がやって来た。
「ふれあいの森の問題は、うちの番組だけが取り上げた。
 我々の放送が、自殺の引き金となった可能性がある。」と結城。
「だからやめた方がいいって言ったんだ。」と角高。
「椿木さん、さきほど山田さんのご遺族から連絡がありました。
 椿木春香さん、あなたに、お目にかかりたいと。」
「わかりました。」

山田家を訪れる春香、望美、柴田。
父の遺影の前で娘が言う。
「みなさんを責めたくて、御連絡したわけではありません。
 父は、自ら命を絶つはずはないんです。
 父は、自殺なんかじゃありません!」
「どうして、そう思われたんですか?」
「私、来月結婚することになっていたんです。
 昨晩も、父と二人で食事することになっていました。」
「山田さんが、亡くなる直前に出された、
 遺書のようなメールは、ご覧になりました?」
「ええ。
 でも、あれは、遺書と言えるんでしょうか?」
「どういうことですか?」
「あのメールには、私のことは何一つ書かれていなかったんです。
 父の頭に最後に浮かんだのは、家族のことでなく、
 仕事のことだったんでしょうか。」

その後三人はヤキトリ屋へ。
「私も違和感感じていました。
 あのメールは出来すぎてるって。」と春香。
「出来すぎ、ですか?」
「まるで住民の反対を静める為に書かれた遺書に見えたんです。」
「そんな・・・」と望美。
「お嬢さんのおっしゃるとおり、遺書の中に、
 家族に対する言葉が一切ないっていうのはさ、」
「でも、男の人の中には家族よりも仕事の方が大事っていう
 人もいます。」
「そうね。でもね、」
「ずいぶんと前ですが、私も娘を嫁に出しました。
 亡くなられた山田さんがどんな方か存じませんし、
 今回の真相が何であるかもわかりません。
 しかしこれだけは言えます。
 父親というのは、例えどんなに辛い目に合おうと、
 どんな、厳しい立場に立とうと、
 娘が嫁に行くとき、父親は自殺しません!」
柴田の言葉に春香と望美は考える。

加治木市役所。
「たかみね地区の計画地図の閲覧がしたいんですけれど。」
そう職員に頼む春香。
山田のデスクには、花束と、まだ幼い頃の娘と一緒に映る
山田の写真が飾ってある。
冠婚葬祭マナーの本、結婚式のスピーチの本もある。

局に戻った春香に、望美の件で何とか言ってくれとスタッフに言われた
石場(生瀬勝久)が春香に話しかける。だが春香はそれを遮り
「山田さん自殺じゃないと思うの。 
 単なる事故死かもしれない。
 みんなで手分けして取材しましょう!
 だってね、あの日山田さん、娘さんと食事する約束を、」
「関係ないな。
 山田さんは精神的に参ってた。」と角高。
「その証拠は?」
「ある。証言が出たんだ。 
 山田さんは最近、昼休みや、仕事終りになると、
 屋上に出て何か独り言をブツブツ言っていたそうだ。
 相当追いつめられてたんだな。」
「じゃああのメールは!? 
 最後の手紙とも言えるものをどうして家族にでなく
 所属部署宛に出したの!?」と春香。
「それは、仕事一筋の人だったからですよ。」と芽衣。
「仕事一筋って言ったのは、役所側でしょう?
 娘さから聞いた山田さんとは違う!」
「そりゃ家族はそう思うっしょ。」と伊賀(松田翔太)。
「ていうか、そういう椿木さんだって遺書書くとしたら、
 仕事のこと書くじゃないですか。」と令子(須藤理彩)。
「ていうか、椿木さんは彼氏も旦那さんもいないから、
 仕事のことしか書けないんじゃないですか?」と芽衣。
「自分のアシスタントの夢まで潰すぐらいだからな。」と石場。
「椿木さん、望美の夢を返してやって下さい!」と蟹原。
春香が望美を見つめる。
「何が夢よ。
 そんなにアシスタントが嫌なんだったら、
 辞めればいいわ。
 もういらないから。」
「いらないのは、あんただ!・・・あなたです。」石場が言う。
春香は何も言わずにその場を去った。

山田が屋上で呟いていたというのは、机の上の本が関係していると
思うなー。


春香の部屋に戻った望美。
「椿木さん。」
「ん?」
「あの、申し訳ありませんでした。」
「何が?」
「椿木さんに、口答えしたことです。
 それから、私が出した企画のせいでこんなことになってしまって。」
「別にそんなこと。」
「お願いします!許して下さい!
 キャスターの話、無くさないで下さい。お願いします!」
「ニュースの仕事に興味ないって言ってなかったっけ。」
「あの頃とは違います。」
「何が?」
「私、この仕事が好きになりました。
 ニュースの仕事が大好きになりました!
 なのに、今更あきらめろだなんて。
 椿木さんなんですよ!
 お天気お姉さんだった私を無理やりニュースにつかせたのは、
 椿木さんなんですよ!
 ニュースの面白さや難しさや、
 みんなで頑張ることの大切さを教えてくれたのは、
 椿木さんなんですよ!
 私がキャスターに憧れたのは、
 椿木さんに憧れたからなんですよ!
 なのに・・・どうして奪うんですか!」
「わからない?
 あんたさ、子供が転んだ絵を取って、
 役所を糾弾する為に使えるって言ったよね。」
「はい。」
「亡くなった山田さん、悪人だった?
 糾弾すべき人だった?」
「・・・」
「あんたが言ったことは、森を売却する為に、
 人の死を利用することと同じよ。
 報道の人間として、最低のことよ!」
「・・・」
「私、前に言ったよね。あんたをアシスタントにした理由。
 あんたは、変に報道ズレしてなくて、真っ白だったからって。」
望美が頷く。
「確かに、あんたはあの頃とは違う。
 ・・・すれちゃダメなんだよね。
 人の心を、材料として思うようになったらおしまいなんだよ。
 慣れちゃダメなんだよ。
 私たちの仕事は、人の心を、命を扱っている仕事なんだから!
 ちょっとでも、そんな思いのある人に、
 キャスターをやってほしくない。」
望美は一礼し、春香の部屋から飛び出していった。

春香の部屋を飛び出した望美は、局へ向った。
仮眠を取っていた蟹原が、望美に熱いお茶を入れる。
蟹原からのプロポーズを思う望美。
「この間の話なんだけどさ、」
「別に、返事を急いでいるわけじゃないし。
 そういう気になった時にでも・・・」
「そういう気かもしれない。今・・・。」
「え?それって、俺のプロポーズを、受けるってこと!?」
望美が頷こうとする。
「断る!」
「え?」
「無理!」
「何言ってんの?
 自分からプロポーズしていて、訳わかんない!」
「今の望美は、カニで言うと、まっすぐ走ってる。
 カニはさ、普段、横に歩くだろ?
 だけど、怖くて逃げるときは、真っ直ぐ走るんだよ。
 俺は、そんなカニは嫌いだ。
 俺が好きな望美は、ちゃんと、横に歩いている望美だ。
 夢を見ている望美だ。
 もとの望美に戻ったら、また、考えてくれ。」
「うん。」望美が素直に頷いた。

屋台に並ぶ春香と結城。
「めずらしいな、君から誘いの電話をかけてくるなんて。」
「間違えてかけちゃったの!」
「ふーん。
 まあ俺も丁度飲みたい気分だったしな。」
「何かあった?」
「会長とちょっとね。」
「親子喧嘩か。」
「そっちは?」
「アシスタントとケンカ!」
「ふーん。」
「あんたに一つ、確認しておきたいことがあるんだけど。」
「ん?」

翌日。
「ね、加治木市役所の取材、誰か一緒に、」
春香がスタッフに声をかけるが、スタッフたちは全員無視。
春香が一人で出かけていく。

結城が望美に、夕方のニュースの件で話があるとやってくる。

春香が市役所に行くと、山田の娘が父の亡くなった場所で
手を合わせていた。
春香も並んで手を合わせる。
「デスクに残っていた父の備品です。」
「何か、気になるものとかありました?」
「特には・・・。
 あ・・・。一つ、気になると言うか、見当たらないものが。」
「見当たらないもの?」

山田の娘は父の上司・横山を見かけて駆け寄る。
「すみません!横山さん。」
「またいらしたんですか・・・。」
「どんなことでも構いません。
 何かご存知ありませんか?」
「そんなことをしても、お父様は浮かばれませんよ。」
「え・・・」
「こう言っては失礼ですが、係長止まりだった山田さんが、
 危ぶまれていた森の売却という大仕事を成し遂げられた。
 素晴らしい功績です。 
 亡くなられた理由など、二の次で良いのではありませんか?」
「そんな・・・」
「それは違うんじゃないでしょうか!」春香が立ちはだかる。
「なんですか、あなたは。」
「山田さんの人生は、役所のものではありません!
 山田さんとその家族のものです!
 山田さんは平凡な方だったかもしれない。
 出世も望まない方だったかもしれない。
 だからと言って、その人の人生の価値を、
 他人が決めてもいいんですか!?」
横山は無言でその場を去る。
警備員に止められ、春香はそれ以上追及することは出来なかった。

結城が望美に言う。
「君を夕方のニュース番組で、メインキャスターとして招きたい。」
「え!?」

その様子に聞き耳を立てるスタッフたち。
「どういうこと?
 椿木さんが断ったはずなのに。」
「椿木さんは断ってはいませんよ。」柴田がやって来た。
「いや、むしろ、飛びあがらんばかりに喜んでいました。」

「私には、キャスターになる資格なんて。」と望美。
「彼女に言われたよ。
 今回の君の起用に関して、一つ確認しておきたいことがあるって。」

屋台で結城と会った時、春香は結城にこう言った。
「あの子、失敗するかもしれない。 
 今キャスターになっても、まだまだ満足に取材も出来ないし、
 局のアナウンサーにはもっと上手い人がいるわ。」
「やっぱりダメか。」と結城。
「ダメでいいと思う。
 あの子は、飛鳥は、まだまだ優柔不断だし、弱虫だし、
 自分を見失ったりする。
 でもね・・・いいの。ダメでいいのよ。
 どんなに取材が出来たって、どんなに話が上手くたって、
 一番大事なのは、ここ(心)なんだから。 
 キャスターにとって、一番大事な資格は、 
 熱くなれるかどうかなんだから。
 ・・・だから、あなたに聞きたいの。
 飛鳥望美を、本気でキャスターとして育てる気がありますか?
 軽い気持ちで起用して、
 一度や二度失敗したからといって、
 使い捨てにする気じゃないでしょうね!? 
 もしそうだったら、 
 あの子をダメにしたら、
 今度こそ絶対に許さない!!」
春香を真剣に見詰める結城。
「・・・任せてくれ。」
「・・・任せた。」微笑を浮かべ、春香が答えた。

その時の様子を聞く望美たちは・・・。

市役所の前で横山を待つ春香。
横山を載せた車に、雨に濡れるのも構わず駆け寄るが、
車は止まらずに立ち去った。

そこへ、CNBテレビの車が止まる。
車からみんなが駆け下り、春香を取り囲む。
「椿木さん、あの・・・
 傘持ってきました!」石場と同時にみんなが自分の傘をと
春香に差し出す。
「いや、多すぎるって!」と石場。
「椿木さん、俺にも取材手伝わせて下さい!」と蟹原。
「私も手伝います!」と芽衣。
「ガンガンいきましょう!ガンガン!」と伊賀。
「警察関係なら私に任せて!」と令子。
「俺がいないと何も出来ないだろ?」と角高。
春香はみんなを見渡し嬉しそうに微笑む。

みんなと少し離れたところにいた望美が、ゆっくり近づいていく。
そして春香を自分の傘に入れ、望美が言う。
「椿木さん。私、やっぱりこの仕事が好きです。
 椿木さんに負けないくらい好きです。
 だから椿木さんに認めてもらえるまで、
 安心して見送ってもらえるまで、
 絶対諦めません!」
春香の瞳が潤んでいる。
「何よみんな。仲良しごっこしてるんじゃないわよ。
 早く、スクープ取ってらっしゃいよ! 
 遅いのよ、来んの!びしょびしょよ、もう!」
自分の思いを隠すように、いつもの調子でそう言う春香だった。

役所の職員、反対市民、警察。
スタッフたちが取材を続ける。

そんな中、春香は山田の娘を訪ねていく。
「このカバンは、父の誕生日の時に私がプレゼントしたものなんです。」
娘が春香にカバンを見せる。

「横山に対して、警察が動いている様子がある。
 ふれあいの森売却に絡んで、賄賂を受け取っていた!」と角高。
「最初に山田さんの遺体を発見したのは、横山部長でした。」と蟹原。
「ということは・・・」
「あの遺書メールを出したのは、横山部長かもしれない!」と春香。

遺体を発見した横山が、自殺に見せかけて、住民の声を静めようと
したのでは。
山田の死を利用して、ふれあいの森売却を企んだのは、横山だろう。

首をかしげる春香。
その時、望美が言う。
「まだわからないことがあります。
 どうして山田さんが亡くなったのかがわかりません。」
春香が頷く。
「だからそれは、椿木さんが言うように、
 事故だったんじゃないの?」と令子。
「だとしても、どうして山田さんは屋上なんかに行ったんでしょう。」
「だから、屋上に頻繁に出入りして、
 独り言を言っていたっていうから。」と角高。
「何を言ってたんだろう。」と春香。
みんなが考える。
「あ、わかった。
 実はさ、椿木さんみたいなキャスターに憧れて、
 練習してたとか!」と石場。
「マジメに考えろ!」と令子。
「・・・それだ!!
 山田さんは屋上で練習してた!」
「練習?」
「ほら、山田さんの備品から無くなっていたテープレコーダー!」
「山田さんは、テープレコーダーを持ち歩いていて、
 毎日自分の声を録音して練習していたそうなんですよ。」と望美。
「何を録音していたの?」
「娘さんの結婚式でする、新婦の父親のスピーチ! 
 山田さんは、毎日人気のないところに行っては 
 繰り返し繰り返しスピーチを練習していた!
 多分役所でも昼休みや、仕事終りになると 
 一人で屋上に行って練習してた!
 その姿が、周囲からは仕事のことで悩んでいるように見えたのよ!
 多分、亡くなったあの夜も・・・」
「ひょっとしたら、そのテープレコーダーに、
 山田さんが亡くなる最後の瞬間が
 録音されているかもしれません。」と望美。
「だから自殺に見せかけたかった横山がそれを!!」と角高。
「隠した!!!」
「何としてでもそのレコーダー手に入れて!
 そこに、山田さんが残した本当のメッセージがある!」
春香の言葉に、スタッフたちが飛び出していく。

市役所前には大勢の報道陣が集まっている。
スタジオから春香がカメラに向って真実を伝える。
「逮捕された横山容疑者は、山田まさおさんの死を自殺と見せかける
 偽装をしていました。
 しかし、真実は、山田さんが残されたテープレコーダーに
 隠されていたのです。 
 山田さんの事故死を裏付ける音声と共に、
 娘さんに残した、最後の言葉が、録音されていました。
 私たちは、そのテープを独自に入手いたしました。
 お聞き下さい。」

「えー。えー。ただいまご紹介に預かりました、花嫁の父であります。
 山田まさおと申します。
 私は、何の取り得もない男です。 
 大きな夢を見たこともなく、似たような毎日を送り、
 たいした仕事もしてまいりませんでした。
 ただ、こんな私にもたった一つだけ夢がありました。
 人生において、最も大仕事と考えていることがありました。
 それは、今日この日のことです。
 娘を無事に嫁に送り出すことは、
 妻を早くに亡くした私にとって、人生の全てでした。
 この子の幸せな花嫁姿を見ることが出来ればいいと、
 今も、こうして目を閉じれば、娘との日々が思い出されます。
 カナ。お前は覚えていないと言うけど、
 小学校1年生の頃、夜中にお腹が痛いと言って泣き出した時は、
 お父さん、近所の病院までお前をおんぶして、
 走って行ったんだよ。
 何でもないですよ、とお医者さんに言われて、
 本当にほっとして、涙が出た。
 高校の頃、近所のパン屋さんでバイトをしてたね。
 最初のお給料で買ったのが、お父さんへの誕生日プレゼントだったね。
 今でも、そのときに貰ったカバンは、お父さんの一番の宝物だ。
 妻を早くに失くした私を、心配して今日まで嫁にもいかなかった。 
 カナ。でも大丈夫。
 これからは、自分の幸せを第一に考えてくれ。
 カナ。ありがとう。
 カナ。お前はお父さんの誇りだ。
 お前がお父さんの、人生の全てだ。」

テレビから流れる父の声。映し出される父の写真。
自分と一緒に楽しそうに笑う父の姿に涙を流すカナ。
カナに付き添う望美も、番組スタッフたちも、涙をこぼす。

「お聞きいただいた音声ののち、山田さんは、テープレコーダーを
 落としてしまい、それを拾おうとして、誤って、
 屋上から転落してしまったものと推測されます。
 その一部始終が、テープレコーダーに、収められていました。」
春香が、声のトーンを落とし、ゆっくりと真実を伝えた。

CM中、春香は天井を見上げ・・・。

放送終了後、望美は春香に呼ばれてスタジオへ。
怒られる覚悟でスタジオに行く望美。

「お疲れさまです。」
「お疲れ。」
「あのー。何か。」
「乾杯しよっか。」
「乾杯?」
「キャスター、飛鳥望美に、乾杯!」
春香が缶コーヒーを望美に転がす。

「あん時あんたさ、何て言ったか覚えてる?
 テレビばっか見てたらバカになるっつーの!って言ったのよ!
 バカになるって!」
「言いましたっけ?」
「あり得ない!普通、クビだよ、クビ!」
「まー、クビになるよりももっと酷い目に合いましたけどね!」
「よく言うよ! 
 誰のおかげで、キャスターの声がかかるまでになったと 
 思ってんのよ!?」
春香に言われ望美が笑う。
「あんたさ。」
「はい?」
「キャスターやる自信ある?」
「・・・全然ありません。
 正直、私でいいのかなって思うし、まだ迷ってるし。
 不安だし、怖いです。
 だけど・・・
 自信なくても信じてみる。
 迷ったらやってみる。
 不安だったら飛び込んでみる。
 怖かったら走ってみる。 
 それが、椿木さんに教わったことだから。 
 しっかりここ(胸)にしまって・・・行ってきます!」
「いいんじゃない!」春香が嬉しそうに微笑む。
席を立つ望美。
「ありがとうございました!」とちゃんと礼を言う。
「何言っちゃってんのよ。
 そういうのは成功してから言いなさいよ。
 大体あんたさー、カメラ見るときにいろいろ癖があるのよねー。
 ・・・ま、いいや。」
「ちょ、ちゃんと教えて下さいよー!」
「やだ!
 これからはライバルになるわけだし!」
「・・・ライバル!?」
「そうよ!」
「やったー!」
「何がやったよ!?」
「え、だって、それって私のことを認めてくれたってことですよね!」
「ちゃうちゃうちゃうちゃう!
 あんたと私はカニとカニかまぼこぐらいの差がある訳よ!
 いいから、お代わり!」
「ライバルか〜!やったね〜!」
望美が嬉しそうに、飲物を買いに行く。
「飛鳥望美さん。」優しい声で春香が呼び止める。
「はい?」
「なんでもない。」
望美がスタジオから出ていくと、春香は「どうもありがとう。」と
呟いた。
「どういたしましてー!」
春香の呟きはしっかり望美に届いていたらしい。
春香は思わず笑ったあと、
「アンニャロー!」と顔をしかめた。

結城は会長(伊武雅刀)に付く役員を外させ、報告する。
「妙なものを手に入れました。
 シンガポールにある、少々きな臭いダミー会社のデータです。」
「お前の希望通り報道に行かせたのは間違いだった。
 余計なことばかり身につけとる。」
「出来ればもう1度現場に戻していただいた方が、」
「もう遅い。
 社長のイスを継ぐということは、
 会社のやましを継ぐということだよ。」
会長はそう言い、データを結城に返した。

そこへ、春香と望美が楽しそうに話しながらやってくる。
「あれ?あんたこんな所で何してんのよ。」
春香は結城に話しかけたあと、そこに会長の姿を見つける。
「会長!」
「ああ、椿木さん!
 久しぶりですねー。いつも見てます!」
「ありがとうございます。」
「報道はテレビ局の要です。
 今後も、とことん真実を追究して下さい。
 期待しています。」
「ありがとうございます。」
会長が春香に握手を求め、春香がそれに答える。

会長が立ち去ると、結城がやってきた。
「ちょっと時間あるか?」
望美が気を利かせ、先にヤキトリ屋へ向う。

東京タワーの見えるビルの屋上。
結城は春香を、8年前春香がプロポーズの返事をした場所に
連れていく。
「あそこからやり直すんだ。」
「え?」
「君はここに立って。
 僕はここに立って。
 君が返事した。」
「・・・」
「君が返事した。」
「いいんじゃない?」
「違う。もっと素直な感じだった。」
「そうかなー。
 ・・・
 うん。結婚しましょう!」
「ありがとう。」
「いや別にこれは、前の私が言ったことで
 今の私が言ったことじゃ。」
「だったら今の君の・・・
 今の返事を聞かせてほしい。」
「え・・・」
「本当は、もう遅いのかもしれない。」
「遅くは、ないと思うよ。」
「もしかしたら、君はまた僕を憎むようになるかもしれない。」
「別に、もう怒ってるわけじゃないし。」
結城が春香を見つめて言う。
「結婚しよう。」
結城の言葉に、春香はそっと瞳を閉じる。
二人の唇が重なろうとしたその時、春香の携帯が鳴る。
仲間たちからの呼び出しの電話だった。

胸の鼓動を抑えながら春香が言う。
「反省会、早く来いって。
 反省なんか全然してないのにねー!」
「じゃあ今日は。」
「うん。歩いていくから。」
春香が歩き出す。
「春香!」
「うん?」
何か言いたげな結城だが、その言葉を飲み込むそぶり。
「気をつけて。」
「うん。」

春香宛に、ニューヨークから書類が届く。
気になることがあり、ニューヨーク時代の仲間に問い合わせた
その返事だった。
「日本じゃ隠された情報も、
 海外と押せば意外と筒抜けになったりするもんなの。」
そう言いながら書類のページをめくっていく春香。
「へー。」すかさずメモをとる望美。
「シンガポールのヤミ会社を通して、政治家にヤミ献金が 
 渡ったらしいの。 
 この名簿に名前が載っている人間は、
 贈収賄の可能性があってね。 」
そのリストに、春香は HIDEO YUKIという名前を発見する。
それは、CNBテレビの会長でもある結城の父。
おもわずそのリストを望美から隠す春香だった。

社に着くと、沢山の報道陣が集まっている。
応対に出ていた柴田が春香たちに言う。
「今朝、臨時の取締役会がありまして、
 そこで、結城雅人さんが我が社の社長に就任されました。」
春香はそれを聞き、不安を覚えるのだった。

そこへ結城がやって来た。
春香にいつものように微笑むが、春香は
「君はまた僕を憎むようになるかもしれない。」
と言った結城の言葉を思い出す。
春香の複雑な表情に、結城の笑顔も消え・・・。
そして専用車に乗り込んだ。




車に乗り込むシーンが、なんだか逮捕されていく様子と
重なってしまいました。
会長役には伊武雅刀さん登場!
最終回に向けて、大きくことが動きそうですね。
春香と結城の恋が切ない!

今回のニュース。
殺人事件に発展するのかと思いましたが、そうではなく。
それでも横山という男のしたことは許せません。
春香たちのおかげで真実が明かされて本当に良かった!
もしも彼女たちがいなければ、山田さんは自殺として
娘さんの心に深い傷を残したままだったでしょう。

『ブスの瞳に恋してる』に『ギャルサー』。
どちらも不器用な父親の愛を熱演!
味のある素敵な役者さんです。

そんな渡辺さんのブログはこちら!
http://watatetsu.exblog.jp/



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椿木春香  ……  天海祐希 飛鳥望美  ……  矢田亜希子
蟹原健介  ……  玉木宏  結城雅人  ……  谷原章介
野原芽衣  ……  松下奈緒 伊賀俊平  ……  松田翔太
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この記事へのコメント
あのー、ちょっとよろしいでしょうか?
□今回のタイトルが空白(『』)になっていますが、『突然のクビ宣告!』では?
□【「肩なんて持ってないよ。
 あの状況であれを流したら、試聴者は役所側を割るものだと 決め付ける恐れがある!」】という箇所の、
「試聴者」は、
「視聴者」、
「割るもの」は、
「悪者」では?
□【「望美さんがだんだん同格をあらわしてきたら
 怖くなったんじゃ」】という箇所の、
「同格」は、
「頭角」では?
□【『住民との話し合いに疲れました。
 責任を果たせず、残念に思います。
 死んでお詫び申し上げます。
 都市計画化 山田正夫』】という箇所の、
「都市計画化」は、
「都市計画課」では?
□【「え?それって、俺のプロポーズを、受けるってこと!?」
望美が頷くこうとする。】という箇所の、
「頷くこうとする」という部分が意味不明なのですが...
Posted by 老婆心 at 2006年06月13日 16:46
渡辺さん引っ張りダコですね!やはり素敵な役者さんです、音声だけでも感動しました、娘を思う父親の役すごく伝わってきました、ちーずさんが見つけたテツさんのブログも見てきましたが、役者さんの日常がみえて面白かったです

望美にキャスターとしての説教をしている時いつ「イメージできる!」のフレーズがでてくるのか待ちましたが結局なし!チャンネル違うか?

さて、恋する娘天海ネーさん早くも来週臨戦態勢ですが、結城を傷つけずにハンサムウーマンの本領発揮に漕ぎ着けるのでしょうか?
Posted by けた at 2006年06月13日 20:47
こんばんは。コメントありがとうございます!

★老婆心さん★
いつもすみません。。。
変換ミスには自分でも笑ってしまいます。(汗)

★けたさん★
渡辺さん、素敵な役者さんですよね。
頑固親父風な方が見せる笑顔はとても和みます。
今回私も一瞬、春香が真矢に見えた瞬間がありました。(笑)
結城の辛い気持ちを、春香がわかってあげてくれると
嬉しいです。
Posted by ちーず at 2006年06月14日 21:40
最後にどたばたと、しはじめました。
春香は、結城とむすばれるのでしょうか?
キャスターとしてのポリシーは、きょうかんできるのですが、その他はまったくだめな人ですね(笑)
Posted by mari at 2006年06月15日 02:01
mariさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!

『離婚弁護士?』でも恋が実らなかったので
今回は天海さん演じるキャラクターに幸せになって
ほしい!
Posted by ちーず at 2006年06月15日 20:21
初めまして、どらま・のーと楽しく読ませて頂いてます。
ところで、望美が朝話していた相手は母親のようですよ。
セリフに「あっ、かあさん」ってありますが・・
Posted by yume at 2006年06月16日 15:57
yumeさん、こんばんは。コメントありがとうございます!
あの電話の相手、お母さんでしたか。
聞き逃していました。
訂正しておきますね。
Posted by ちーず at 2006年06月17日 21:02
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