2006年06月20日

トップキャスター 第十話

『暴走するオンナ』

朝、目覚ましの音で起きた望美(矢田亜希子)は落とした箱から
古い携帯を見つける。
それを手に、春香(天海祐希)を起こしにいくと、
春香はリビングで調べものをしたまま眠ってしまったようだ。
『贈収賄疑惑〜民生党 岡山泰三幹事長〜』と表に書かれたノート、
『国会便覧』など本や資料の山、
結城雅人(谷原章介)を取り上げた新聞などが散乱している。
春香を起こす望美。
「グリンピースは嫌!嫌だって!」寝ぼける春香。

朝食をしっかり取る春香は、望美が見つけた携帯に気づく。
「なにこれ!懐かしい!8年前まで使ってたやつだ。
 でもカメラないね。
 これってまだ使えるのかな。」と充電し始める。望美は春香に遅くまで何を調べているのか聞いてみる。
「このところずっとそうじゃないですか。
 しょっちゅういなくなるし。
 何か大きな取材でもしているんじゃないですか?」
「ね、今日もまた先に行ってて。」
「ほら!絶対そうだ!絶対何かスクープ見つけたんでしょ!
 どうして内緒にするんですか?」
「まだよくわかんないのよ。
 いってらっしゃい!はいいってらっしゃい!」
「・・・いってきます。」

一人になると、春香は贈収賄疑惑のリストにCNBグループ会長・
結城秀雄の名を見つけたこと、
それが結城雅人(谷原章介)の父親であること、
そして、結城が社長に就任したことを考え込み、大きなため息をつく。

春香が結城のオフィスを訪ねていく。
「先日の国会で、エネルギー開発に関わる法案が提出されたわね。
 その法案作成の際、民生党の岡山幹事長は、
 いくつかの企業に有利に働くように、圧力をかけていたの。
 シンガポールにあるダミー会社を通じて、
 ヤミ献金を受け取っていたからよ。
 その企業の中に、あってはならない名前がそこに書かれていた!
 この一週間、ずっと取材を続けてきたの。
 まさかそんなはずはないと思って、何度も確認した!
 だけど、探せば探すほど、疑惑は真実に変わっていった。
 考えても考えても、答えは一つしか出なかった! 
 ・・・ヤミ献金を渡していたのは、」
「言うな。」
「CNBグループ会長、」
「言うな!」
「結城秀雄!!
 ・・・あなたの、父親よ。」
結城は目を閉じ、ため息をつく。
「知ってたんだよね。」悲しそうにそう聞く春香。
「・・・忘れろ。」
「え?」
「君は何もしらない!
 こんなことが明るみに出れば、CNBテレビは危機に立たされる。
 俺の父親も、逮捕される。」
「報道して、謝罪すべきよ!」
「・・・」
「出来るわ。
 あなたが今も、報道マンとしての気持ちを持っているなら!」
「・・・また俺との結婚よりも、ニュースを取るのか?」
「嘘をついたら、あなたのことを嫌いになるから、
 それ以上に・・・自分のことを嫌いになるから・・・。」
結城が春香に歩み寄る。そして・・・
「椿木さんがお帰りだ!」
秘書が外側からドアを開ける。
「君がキャスターじゃなければ良かったのにな・・・。」そう呟く結城。
「そうね。でも私、キャスターなの。」
春香はそう言い部屋を出ていった。

結城会長は、春香が伝えるニュース番組を見ながら結城に言う。
「嗅ぎつけられたか・・・。
 わかってるだろうな。
 万が一にも、公にしようとしたら、
 その時はザ・ニュースを打ち切る。
 椿木春香にも消えてもらう。」

放送後、望美は春香が何を調べているのか問い詰めるが、
春香は話そうとしない。
「椿木さんが教えてくれないのなら、自分で調べます!」
「あんたに出来るわけないでしょう!」
「角高さんに手伝ってもらいます!」
それを阻止する春香。
「ニュースのことだったらどの道みんなに知らせることに
 なるじゃないですか!
 どうして一人で抱え込むんですか!?
 今までずっと一緒にやって来た仲間じゃないですか!」
春香が仲間を見つめて微笑む。
「そうね・・・。」
望美がうなずく。
「やめとく!」
「椿木さん!!」

ヤキトリ屋に移動した春香たち。
店主である蟹原夫妻は映画を見に行っていて店は貸切状態。
「椿木さん、話してください!」と望美。
他のスタッフたちも力強くうなずく。

そこで春香は資料をみんなに見せ始め、贈収賄の裏が取れたことを
伝える。
「大スクープ!」「政界がひっくりかえる!」
「賄賂を贈った企業を追いつめることだって出来る!」
スタッフたちは大興奮!
だが、その企業が自分たちの会社と聞かされ、みんなが黙り込む。
「これは私たちCNBテレビのスキャンダル。」と春香。
「どの程度表に出てる?」角高(矢島健一)が聞く。
「おそらく、まだ私しか知らない。」
「上には?」
「社長には話した。」
「では社長に任せよう。我々には関係ないことだ。」
「関係ない!?」
「そうですよ!
 椿木さんは、何も見ていない!
 椿木さんだけでないぞ。
 俺たちも、何も見ていないんだからな!」と石場(生瀬勝久)。
「見たじゃない!」
「椿木さん、これを告発しようとしているんですか?」と望美。
「するべきでしょう?
 私たちは、報道の人間よ。
 もし、会長がこれを隠蔽し続けるなら、ザ・ニュースで取り上げる!」「バカ言ってんじゃないよ!
 あんたどこの局のキャスターだ!?CNBだろ!!
 自局のスキャンダル告発するバカがどこにいるんだ!?」と角高。
「そんなニュースないわよね。」と令子(須藤理彩)。
「自分の会社だからするの。
 自分のニュースだからするの!
 よそのスキャンダルは暴いといて、
 自分のスキャンダルは隠しますじゃ、おかしいでしょう!?
 身内のスキャンダルだからこそ、報道しなきゃいけない!」
「これは例外!」と角高。
「真実に例外はない!!
 今ここで、見て見ぬふりをしたら、
 私たちの仕事は、ただ、人を貶めるだけの仕事になってしまう!
 何が嘘で、何が真実なのかわからなくなってしまうのよ!!」
すると、石場がお茶漬けをすすりながら言う。
「何が真実なんて、どうでもいいじゃないですか。
 椿木さん。あなた、ご立派だ。おっしゃるとおりです!
 しかしね、正義感にね、給料払ってくれる会社なんて
 ないんですよ!
 正義感じゃ、飯は食えないんですよ!!
 こんなもの告発したらね、あなた間違いなくクビですよ!」
「そうね。」
「そうねじゃない!
 あんただけじゃない。ここにいる全員が、職を失うことに
 なるんだよ!」
それぞれが、自分が職を失った時のことに不安になる。
「・・・みんなには迷惑をかけない方法を考える。」
「うちの会社の事件なんだ!どうやったってかかるんだよ!!」と角高。
「何もかも失ってまでして、そんなに真実が大事なんですか?」と石場。
「・・・」
「お願いします!ほんと考え直して下さい。」
そう言い残し、石場が、角高が、みんなが帰っていった。

家に戻った春香が望美に呟く。
「昔だったら気にもしなかったかもね。
 実際8年前の私は気にもしなかった。」
「前回、降板させられた時の事ですか?」
「うん。あの時も私ね、どういても報道するってツッパってね。
 私だけが処分されるのかと思ってたら、
 大半のスタッフが、飛ばされたり、辞職に追い込まれたりした。
 また同じことの繰り返し。
 また私が壊しちゃった。
 あんたはマネしちゃダメよ。」悲しそうに微笑む春香。
望美が資料を読み始める。
「何してんのよ。」
「あー、この国会での質問がキーになってるんですね!」
「あんたは見ない方がいいって。」書類を奪う春香。
「何言ってるんですか!
 見なかったら一緒に取材出来ないじゃないですか!
 二人っきりになっても、チームはチームですよね!」
春香はそう言い書類を奪い返す。
「あんた今一番大事なときなのよ!これからキャスターになるっていう、」
「逃げろって言うんですか!?
 今逃げたらキャスターになんかなれるわけないじゃないですか。
 一番大事なのは、キャスターのイスじゃなくて、
 こっち(心)です!」
「・・・なーによ、偉そうに。」
そう言いながらも嬉しそうに微笑む春香。
「ねえ、あんたどう思う?」
「ここの日にちの流れはどうなってるんですかね。」
「っこで、岡山幹事長に対して、最初の接触があったの。」
「ということは、代表質問の間に、お金のやり取りが行われたって
 いうことですね。」
「そう。そこで・・・」
資料を確認していく二人は、そのままソファーで眠ってしまう。
「ニンジンは嫌だ!」望美が寝言を言う。
春香は穏やかな寝顔を浮かべていた。
傍らには、8年前まで使っていた携帯電話・・・。

この件を巡って春香は社内で孤立無援に。
みんな、クビを恐れてのことだった。
望美がコピーを手伝おうとすると、春香はそっと首を横に振る。

そこへ結城がやって来た。
石場に本日行こうのニュースラインアップを確認する結城。
「今後も特別なスクープの取り扱いはない、ということですね。」
「・・・はい。ございません。」
「では結構です。」結城はそう言い立ち去ろうとする。

「待って。」
「何か御用ですか?」
「本当にそれでいいと思ってんの?
 こんなことじゃ私たち、報道を名乗る資格なんて
 なくなるのよ!
 スクープするわ!
 誰が何と言おうとスクープします!」
みんなが止めるのも聞かずに春香はそう宣言する。
「君は正直者は馬鹿をみるという言葉を知っているか?」
「知ってるわ。一番嫌いな言葉よ。」
「しかしそれが現実だ!!」結城が声を荒げる。
「そんな現実!」
「どうしても従えないと言うんだな!」
「ええ。」
「だったら辞めてもらおう。」
「・・・」
「君はCNBテレビと契約しているんだ。
 会社の方針に不満があるなら、辞めるのが筋だろう。
 どうする?」
「・・・わかったわ。」

そこへ柴田局長(児玉清)が駆けつける。
「椿木さん。諦めてください。」
今までいつも応援してきてくれた柴田にそう言われ、驚く春香。
「これは、会社の方針です!
 あなたも、従ってください。」
柴田はそう言い部署を出ていった。

春香が柴田を追う。
「局長・・・。
 私は間違っているんでしょうか。
 ・・・どうして答えてくれないんですか?」
「あなたが辞めても何も変わりませんよ。」
「だからって!
 このまま何もなかったようにキャスターを続けるなんて
 出来ません!」
「椿木さん。あなたの人生はまだまだ長い。
 将来のことも考えて、今は少し休むべきです。
 現実を受け止めて、見逃すべきです!!」
「どうしてですか・・・。
 局長らしくありません!
 局長!!」

結城の表情から春香への愛はもう読み取れず。
以前と同じような冷たい表情に。
でもきっと、結城なりに春香を守ろうとしているんですよね。
そしてそれは、柴田局長も同じ・・・。
二人は春香のキャスター生命を、守ろうとしている。


ヤキトリ屋。
いつも春香の味方だった局長までも、春香を庇わなかった。
スタッフたちもそのことに動揺する。

「望美はどうすんだよ。」蟹原が聞く。
「私は・・・報道するべきだと思う!」
「二人してクビになっちゃうぞ!
 まあ望美は俺が面倒見るとして、
 椿木さんはどうするんだよ。」
「うーん。・・・って何であんたが私の面倒を見るのよ。」
「いいや。こうなったら椿木さんの面倒俺がも見てやる!
 やめちゃえ!」
蟹原が美味しそうにオムライスを食べる姿に微笑む望美。

その頃、社では春香がコピー機と格闘中。
そこへ石場がやって来た。
領収書を片付けながら石場が言う。
「夕べね、ちょっと早く帰れたもんですから、
 子供に、絵本を読んでやったんですよ。
 "ちゃっかりねずみ"っていうんですがね、ご存知ですか?」
「いいえ。」
「一匹のネズミがいましてね。
 こいつが、我侭な王様をあの手この手で騙して、
 出世していくっていう話なんです。
 最後には、こいつが王様になるんですけどね。
 これがまた、嘘つきなネズミで。
 子供の絵本っていうのは意外と真実突いてますよ。
 生きていく上で、嘘も大事です。」
「・・・」
「まっすぐ歩いているだけじゃ、壁にぶつかる。
 汚れるのを恐れていては、外にも出られなくなる。
 曲がったり、汚れたりすることも、
 生きていくうえで、必要なんじゃないんですか?」
そう話しながらコピー機を直す石場。
「ありがとう。」
石場の言葉、優しさに感謝する春香だった。

結城の自宅前。会長が車の窓を開ける。
「君か?なんだね。」
そこには柴田局長が待っていた。

会長が結城に電話で何かを伝える。

「柴田局長に、異動の内示が出た!!
 報道局長を外されて、関連会社に異動だそうだ!」
角高の知らせに驚くスタッフたち。
「局長が、夕べ会長の自宅へ行って、進言したそうだ。
 今回のスキャンダルを自主的に公表すべきだって。」
「どうしてそんなことを!?」
「私の身代わりになったんだ・・・。
 私が辞める代わりに、 
 全てを背負って訴えてくれたのよ・・・。」と春香。
「局長は?」
「先ほど出て行かれたそうだ!」

春香が柴田を追おうとすると、会長が秘書と共にやって来た。
「椿木さん!お元気そうですね。」
春香は会長を無視して走り出す。
「失礼いたしました。あ、な、なんですか?」石場が聞く。
「いや、たいしたことじゃないんだ。
 報道局長のポストに空きが出ることになってね。」
「さきほど、伺いました。」
「石場君!次の局長には君を推薦しておこう。」
「はぁ!?」
「嫌かね?」
「あ、いえ。頑張らさせていただきます!」
「頑張らなくてもいいんだよ。
 今までどおりに、何もしなくていい。
 君のような男が、テレビには一番向いているんだ。」
「・・・ですよね。」愛想笑する石場・・・。
スタッフたちはそれぞれ表情をこわばらせて考える。
「ですよね・・・。」石場がもう1度呟いた。

「局長!!」
「・・・会長には、聞き届けていただけませんでした。
 力及ばず。申し訳ない。」
「局長・・・」
「私はもう局長じゃありませんよ。
 ・・・もし、私のことをまだ局長と思って下さるのなら、
 あなたに、一つ命令があります。
 私の後を追うようなことは、絶対に止めてください。
 石にかじりついてでも、この局に残ってください。
 それが、キャスターとしての、あなたの責任です。」
「・・・」
「以上。私からの、最後の命令です。
 では、これから、家内に事情を説明しなければならないので。」
そう言い立ち去る柴田局長を見つめる春香。
その後ろで、結城もまた柴田を見送っていた。

春香が結城の姿に気づく。見詰め合う二人。
春香を追ってきた望美が二人を心配そうに見守る。
春香は結城へ歩み寄り、頬を叩く。望美が思わず「あ!」っと叫ぶ。

「汚いやり方してくれるじゃない!
 局長じゃなくて私を処分しなさいよ!!」
「・・・」
「そうやってあなたは、自分だけ安全な場所にいて逃げ回るのよ!」
悲しそうな目で黙って春香を見つめる結城。
「最低な男!!」
怒りに満ちた目で結城を見つめる春香。
結城は、何も言わずに立ち去った。

「椿木さん、局長の移動を判断したのは、社長の判断ではありません。
 会長が独断で決めたのを、社長が必死で止めようと怒鳴っていたのが
 秘書室まで聞こえていたそうです。」
望美の言葉に春香は驚く。

スタッフたち全員が、真剣な表情でニュース番組を放送していく。

放送後、春香は結城が会長を止めようとしてくれていたことを考える。
そこへ望美がやってくる。
「椿木さん!」
「あ、あんたまだいたの?早く帰りなさい。」
「社長と、もう1度話してみたらどうですか?
 社長だって、椿木さんが求めていたチームの一人なんじゃ
 ないですか?
 信じあえる仲間の一人なんじゃないですか?
 話し合えば、きっといい方法が・・・。
 お願いします!社長と話して下さい!」
望美の顔を見つめる春香。
そして春香はバッグの中から携帯を取り出す。
「げっ!間違えて持ってきちゃった。」
それは、8年前使っていた携帯・・・。
「使えないかなー。」電源を入れてみる春香。
「使えるわけないじゃないですか。」と望美。
「契約だって切れてるのに。」
春香が望美に携帯を渡す。
望美はそこに伝言メモが残されていることに気づく。
「伝言メモ!?」
それを再生してみる望美。
「あれ?結城社長の声!?
 これって、多分、8年前の伝言メッセージじゃ!?」
「知らない、そんなの。」
「・・・・・
 椿さん・・・もしかして、このメッセージを聞かずに
 ニューヨークへ旅立ったんじゃないんですか?」
「ニューヨーク着いたっきり、放っぽりだして、
 今までダンボールの中に入れてたんだもん。」
望美の真剣な、悲しそうな表情に思わず席を立つ春香。
望美がその携帯を渡す。

『春香!
 ・・・春香、行くな。
 ニューヨークに行くのは待ってくれ。
 今、上層部と話し合っているところだ。
 俺が君を守る。スタッフ全員、俺が全員守ってみせる!
 だから、もう少し時間をくれ。
 頼む。
 これを聞いたら局に戻ってきてくれ。
 もう1度、もう1度俺を信じてくれ!!』

「結城社長は、やっぱり、信じあえる仲間だったんですね!」
春香の瞳から涙がこぼれる・・・。

夜の公園で会う二人。
「私・・・」
「うん?」
「あなたを信じてみる。
 あなたが、答えを出すのを待ってみる。」
「・・・その結果報道するなと言ったら?」
「・・・仕方ないわ。それが、あなたを信じた結果なら。」
「・・・覚えてるか?初めて俺達が組んで仕事した頃のことを。」
「私はレポーターだった。」
「俺はAD。」
「あなたさ、全然使えないくせに偉そうなんだよね。」
「君もあの頃から強情だった。」
「ね、下着泥棒追っかけたねー!」
「ゲイバーに潜入したり!」
「六十階!ビルの六十階まで走って上った!」
「総理大臣に怒鳴られた。」
「毎回ケンカしてたねー!」
「なんでこんなのと付き合う羽目になったのか、
 いまだにわからない。」
「ほんとよー。よりによって、一番ムカツク男とよ!」
「よりによって、一番ムカツク女とだ!」
笑いあう二人。
「あれは恋人って言わないね。」
「戦友?」
「ああ。戦友・・・かな。」

結城が春香に封筒を差し出す。
「会長がダミー会社を通して金を入金した証拠だ。
 これでCNBのスキャンダルを告発しろ。」
「そんなことしたらあなたが!」
「これでいいんだ!
 ・・・いいんだ、これで。
 春香・・・。君の好きに生きろ。
 君らしく生きろ。
 そんな君を好きになったんだから。」
結城の言葉に思わず泣き出す春香。
結城は春香に近づき、キス。そして去っていった。
春香は目を閉じたまま、自分から遠ざかっていく結城の足音を
しばらく聞いていた。
目を開くと、涙が一筋流れていく。
そして春香は決意を固めるように、逆の方向へ力強く歩き出した。

CNB局内。
ヒールをかき鳴らし、険しい表情で歩く春香。
「椿木さん!私も一緒に行きます。
 CNBスキャンダルを告発するんですよね?
 私にも手伝わせてください。」と望美。
「バカ言ってんじゃないわよ。
 あんたを巻き込むつもりはない!」
「私はここで生きていくんです!
 ニュースが私の居場所だと決めたんです。
 だから、自分の力で守りたいんです!
 よろしくお願いします!」
望美の真剣な思いに春香が微笑む。
そして春香が望美に握手を求めた。
「一緒に守ろう。」
「はい!!」望美がその手をがっちりと掴んだ。

「今夜の放送で、CNBスキャンダルをスクープします!」
「私も、椿木さんと一緒に、キャスター席に座ります。」
「これは、私たちキャスターの暴走。
 みんなは何も知らなかった。
 そういうことで。」
春香と望美を呆然と見つめるスタッフたちを残し、
二人はスタジオ内へ向おうとする。

「椿木さん!」石場が声をかける。
「黙ってさえいてくれればいいの。」
「私・・夕べ、娘に絵本を読んで聞かせたんですよ。」
「そんな話すんなよ。」とスタッフたち。
「いいから聞け!」石場が声を荒げる。

「夕べ読んだのは、"お人よしキツネ"というお話なんです。
 これはあの、"ちゃっかりネズミ"とは違って、
 わがままな王様の命令を聞かず、
 本当のことを正直に話したばっかりに、村を追い出されて
 一人ぼっちになってしまったキツネのお話なんです。
 そしたらね、そのお話を聞いた娘が言うんですよ。
 この間読んだ絵本と違う!
 "ちゃっかりネズミ"のお話と言ってることが違うって言うんです。

 ちゃっかりネズミと、お人よしキツネ。
 確かに全然違うお話です。
 一方では、生きる為に嘘をつけと言う。
 一方では、何があろうと、正直に生きろと言う。

 娘がね、聞くんですよ。
 お父さん、ネズミさんとキツネさん、どっちが正しいと思うって。
 私は、ついつい、本音で答えてしまいました。
 キツネさんの方が、正しいと。
 大事なのは、正直に生きることだよ。
 たとえ、苦しかろうとも、笑われようとも、
 貧しくなろうとも、
 何よりも大事なのは、正直に生きることだよって。
 ・・・お父さんが、嘘ついちゃダメじゃないですか。

 いいかお前ら!俺たちは会社員じゃねー。報道マンだ。
 この仕事に、埃持って働いてるんだ。
 俺は、椿木さんに賛同する!
 今から3つ数える!
 文句があるやつは、今すぐここから出ていけ!
 ひとーつ!」第二のぼりカッコよく決める石場。だが誰も動かない。
「ふたーっつ。」少し勢いを弱めて石場が言う。
「みっつ。」今度は小声で。
だが誰も動かない。

「石場さん!」伊賀(松田翔太)が沈黙を破る。
「だからお前!
 あ、今、石場さんって言った?」
伊賀が微笑み頷く。
「僕も、石場さんと同じ意見です。
 一緒にやらせて下さい!」
「水臭いじゃないですか。
 そんな面白い話独り占めしようなんてズルイですよ!」と令子。
「そうですよ!椿木さん言ってたじゃないですか。
 積み木を重ねれば、遠い景色が見られるって。
 私にも見せて下さい。」と芽衣(松下奈緒)。
「俺はキツネさんが好きだ。
 たとえ村から追い出されたとしても。」と角高。
「大丈夫!ここにはキツネが8匹いますから!
 一人ぼっちには、なりまーせん!」と蟹原。
「おーっ!」みんなが拳を上げる。
「まあな。キツネにしたって死ぬわけじゃないし、
 おし!じゃあ俺がな、飲み屋でも開いて、
 お前ら全員雇ってやる!よろこんで〜!
 じゃ、会議始め!!」
石場の言葉にスタッフが笑顔で会議室に向う。

「石場さん。ありがとう。」
「あ、いえ。」
「私もその、キツネの絵本見たいな。」
「あ・・・無理、ですね。」
「え?」
「嘘ですから。」
「え・・・。
 ずるいなー、プロデューサーって。」
「人を騙すのが仕事みたいなもんですから。」
石場がスタッフたちを集める。
「全員集合!お前らまとめて心中だ!」
「はい!!」
春香と望美も、その輪に加わった。

放送の準備を進めるスタッフたち。
8時48分。蟹原が望美を、そして春香を呼びにいく。
厳しい表情で無言のまま春香が控え室から出てきた。

全員がクビを覚悟で放送に挑む。
春香と望美がキャスター席についた。
春香はあの指輪をはめ・・・。

「本番、15秒前!」
春香と望美が力強く頷きあう。
「本番、10秒前!
 8、7、6、5秒前、4、3・・・」

ザ・ニュースが始まった。
「こんばんは。
 今夜は、まず初めに、私共CNBテレビが関与している、
 重大な疑惑について、お伝えします。
 CNBグループの結城会長から、民生党の岡山泰三幹事長に、
 一億円のヤミ献金が渡っていたことが、
 ザ・ニュースの取材で、明かになりました。
 議員会館前では、野原さんがいます。」
「はい。衆議院第一議員会館です。
 CNBグループからの、ヤミ献金を受け取った疑いが持たれる
 民生党岡山幹事長は、現在この建物の中にいるという情報が
 ありますが、その姿は現在確認されていません。
 先ほど、真田会長が会館入りしましたが、
 疑惑についてはコメントを避けました。」

ヤキトリ屋からニュースを見守る柴田。

そして結城は社長室から、同じように見守っていた。
「社長、ご覧になっていましたか!
 今、止めに入っています。」
「止める必要はありません。」
「え?」
「これは私が、」
「お前のせいか! 
 お前が、こんなことをさせたのか。」
会長の声に結城が振り返る。
「私が許可しました。」
会長を見つめてそう答える結城に、会長が掴みかかる。
「自分が何をしたかわかってるのか!!」
「わかってます。
 あなたがしたことが間違っているからです!会長!」
会長は結城を掴んでいた手を放し呟く。
「終わったな・・・。」
「覚悟して下さい。
 僕と一緒に罪を受け入れましょう。
 彼らもまた、全て投げうつ覚悟をしたのですから。」
「お前たちは、何もわかっちゃいない。」
「何をですか?」
「・・・これは誤報だ!
 椿木春香は、誤ったスクープをしたんだ。」
会長の言葉に戸惑う結城・・・。


誤報とは!?
次週予告を見ると、柴田局長は戻ってきたようですが
春香は去っていくようですね・・・。

今日は石場さんがカッコ良かった!

石場が子供に読み聞かせたという2つの物語。
これは、石場の作り話でした。
さしずめ、"ちゃっかりネズミ"は自分たちスタッフで
"お人よしキツネ"は真実を明かにしようとする春香。
石場は何が正しくて何が間違っているのかちゃんとわかっていて、
自分の中の迷いをあんなストーリーにして聞かせたんですね。

黒いスーツをきちっと着こなした春香。
まるで呼びに来た蟹原も目に入らないような緊迫のオーラ!
戦に向う戦士のようです。

8年前の伝言。結城の思いを始めて知った春香。
前半の結城の冷たさの中に見せる悲しそうな表情が切なかった。
二人の思いが同じほうに向いたことが嬉しいです。
そんな二人の恋の行方も気になります。




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椿木春香  ……  天海祐希 飛鳥望美  ……  矢田亜希子
蟹原健介  ……  玉木宏  結城雅人  ……  谷原章介
野原芽衣  ……  松下奈緒 伊賀俊平  ……  松田翔太
蟹原珠子  ……  田丸麻紀
紺野令子  ……  須藤理彩 角高孝男  ……  矢島健一
石場小吉  ……  生瀬勝久 柴田勝俊  ……  児玉清


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主題歌です。
Dear friend
Dear friendSowelu Yoshihiko Nishio DefSTAR RECORDS 2006-05-10売り上げランキング : Amazonで詳しく見るby G-Tools



サウンドトラック
B000F9UDCGドラマ「トップキャスター」オリジナル・サウンドトラックTVサントラ DefSTAR RECORDS 2006-05-24by G-Tools



天海さんの主な出演作品


この記事へのコメント
あのー、ちょっとよろしいでしょうか?
□【椿木さんだけでないぞ。
 俺たちも、何も見ていないんだからな!」と
石場(石場小吉)。】という箇所の、
「石場(石場小吉)。」は、
「石場(生瀬勝久)。」ではないでしょうか?
□ところで、番組冒頭の【『国会便宜』など本や資料の山、結城雅人(谷原章介)を取り上げた新聞などが散乱している。】という箇所の、
「『国会便宜』」という書名はこれで確かでしょうか。
「『国会便覧』」という本なら知っていますが...
ドラマ化にあたり、実在する書名を避けたのかな?
Posted by 老婆心 at 2006年06月20日 10:40
こんにちは。ちーずさん
タニショーさん苦渋の決断だったけど、
会長の誤報ってなんだろうって思いました。
石場さんやっとかっこよく決められましたね。
もういいこというやん!もっと早くから
言えばいいのに!って思っちゃいました。
Posted by みのむし at 2006年06月20日 16:54
ちーずさんこんばんは、結城は八年まえから春香を守るつもりがあったのですね!社長に就任した彼は自分の力を使って春香に真実の報道を願い自分の進退も掛けてチームをまもる姿はカッコイイ!

誤報って何だろう!春香に送られてきた資料自体が会長の仕掛け?春香が調査しているのはCNBだけではなく、もっと大きな事件例えばインサイダー取引による政治家の私服肥やし、それを斡旋する企業の癒着など!いままで確信をついてきた春香が怖くなって追放する企みなのでしょうか?

石場のついた嘘はついてもいい嘘、伊賀ちゃんもやっと尊敬できる上司として認めましたね!

予告で春香が出て行くシーンがありましたが今回のニュースをみた各国からオファーがありザ・ニュースのキャスターに望美を推薦スタッフは今のチーム夕方の番組には渡さないというラストかな?
Posted by けた at 2006年06月20日 20:29
こんにちは。コメントありがとうございます!
今日、クランクアップの様子が放送されていました。
春香の恋と仕事のバランス、どうなる!?

★老婆心さん★
いつもありがとうございます!

★みのむしさん★
石場さん、カッコいいところ見せてくれましたね。
令子も惚れ直しちゃったかなぁ。
誤報・・・何なんでしょう。
取材し切れない部分があったんでしょうか。
気になりますね。

★けたさん★
春香に詰め寄られたときの結城の悲しそうな目が
印象に残りました。
でも8年前の携帯のおかげで、誤解が解けて良かったです。
春香の勇気ある行動は、他のマスコミや世間では
大きく評価されるはず!
伝説のニュースキャスターとして、最前線を歩いていって
ほしいですね。
Posted by ちーず at 2006年06月22日 09:41
さくらです♪

天海祐希さんといえば、元宝塚のトップスターで・・卒業した時から女優さんとして期待されてたわけですが、女王の教室といい、このトップキャスターといい、一段といい女優さんになってる気がします。でも、どうしても女王の教室の真矢先生とかぶらせて見ちゃいますね。なんたって、天海さんと生瀬さんは女王の教室特別編の夫婦役。エリカちゃんのお母さん役だった黒田福美さんも途中でてましたね。鬼教師阿久津真矢と伝説のキャスター椿春香、表に出てる部分では氷と炎くらい両極端に違うキャラですが、内面は結構似てる気がします。どっちも、大事にしてるもの(真矢は子供、春香は真実)を守るためには・・暴走だってしちゃうキャラだし・・。だから、周りはハラハラしちゃうんですが・・・。

今回の話でカッコよかったのは、石場Pと結城社長ですね。ちゃっかりネズミとおひとよしキツネの話は・・聞いた事がなかったんで、どこの話?とか思ってたら、全部石場Pの作り話。でも、ああいう話がぱっと状況にあわせて出てくる人って凄いです。作り話と知ってか知らずか、全てを投げ打っても真実を報道しようとする仲間達もいい感じでしたね。医龍がチームドラゴンなら、こっちはチームハルカみたいな。でも、一番カッコ良かったのは結城社長だと思います。最後に春香に報道するように言って、自分の罪も認めた上で一緒に罪を受け入れましょうという結城社長のラストシーンは凄い良かった。春香ももし見てたら、惚れ直したんじゃないでしょうかwただその後の・・会長の、これは誤報だっていう発言は気になりますが・・。春香は綿密な調査の上、結城社長から裏金の証拠も手に入れて・・スクープしたはずですが、それを誤報と言い切れるだけのものをまだ会長はもってるってこと??最終回が気になりますね。
Posted by さくら at 2006年06月22日 17:21
さくらさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!

石場さんの絵本の話に感動していたら、
あれが作り話だったとは!
なんとか春香のために、と思い作り上げたんでしょうね。
石場さんも結城さんも素敵でした。
誤報・・・どういう意味なのでしょう。
一体何が隠されているのか、気になりますね。
Posted by ちーず at 2006年06月22日 22:22
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