2007年04月25日

セクシーボイスアンドロボ VOICE 3

『お歯黒女』

「親の言うことってよくわからない。
 みんなと同じでなきゃダメだと言っておきながら、
 人とは違う能力を伸ばせ、と言ったりする。
 一体どっちなんだ?」


ニコ(大後寿々花)は縁側でタバコを吸う父・竹男(塚本晋也)に聞いてみる。
「ねえ、何の声?」
「別に何も聞こえないけど?」
「お歯黒女の泣き声だったりして。」
顔にパック中の姉・一海(村川 絵梨)が会話に加わる。
「お前も聞こえるの?」
「聞こえない。 
 ニコは特別耳がいいの。」
「そっか・・・お歯黒女の泣き声か。」
「何だよ、お歯黒女って・・」
「何って・・
 黒と黄色の縞々のスカートはいて、ネバネバの液かけてくるんだよ!」
「何のために・・」
「そうやって、人を襲うの。」買物帰り、夜道を一人で歩く母・雪江(片桐 はいり)。
「ずっと一緒にいてくれる?」
振り返ると・・・女が立っている。
微笑んだ女の歯は真っ黒。お歯黒女だ!!

「でね、その時返事したら・・・どうなるんだっけ?」
「さらわれて、生き埋めにされるんだよ。」
「そうそう!お歯黒女の養分になっちゃうんだよね!」
「な、何だよそれ・・」怯える父。
「噂だよ!」
「そういうのみんな好きなの!
 いわゆる都市伝説ってやつ?」と一海。
「なんだ。嘘なの?作り話か・・」
恐怖に身震いする父。

早足で歩く雪江。
後ろから女が着いてくる。
振り返ったとき、女の姿は消えていた。
ほっとして歩き出そうとすると、自分の目の前にお歯黒女が!
「ずっと一緒にいてくれる?」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
逃げる雪江に、女がなにやらネバネバな液体を投げつける。
雪江の首を抱えて連れ去ろうとする女。
雪江は必死に逃れ、買物袋から落ちた野菜を投げつけて攻撃。
女が雪江の手を掴む。
雪江が握っていた、3980円の牛肉に気付くと、女はそれを手に走り去った。
「に、肉!!待てーー!!肉ーー!!」
地団駄を踏み悔しがる雪江。

「23円って・・・」
道端にしゃがみ込み、サイフの中身を確認するロボ。
雑草を手に取ると、
「食べれるのかな、これって・・。」
口に入れ、食べてしまう。
目の前で女性が座り込んでいる。
「気分でも、悪いんですか?」
すると女性は、持っていた肉のパックを放り出し、
逃げ去った。
「ちょっと!忘れ物!!
 あ・・・肉。」

ニコの家。
「スキヤキで、肉なしって・・・。」
「だから何度も言ってるじゃない!
 お歯黒女に襲われたって!」と雪江。
「本当にお歯黒女なの!?」と竹男。
「縞々のスカート履いてたわよ!
 ベチャベチャになったんだから、お母さん!!」
「お母さん流行者に弱いからね。」と竹男。
「見たような気になっただけなんじゃないの?」と一海。
「大体戦うかなー、お歯黒女と。」とニコ。
「・・・本当に襲われたの!!!
 ・・・信じてない!まだ信じてないの!?」
「もう、養分になっちゃえば良かったのに。」
竹男の言葉にニコも一海も大笑い。

ロボの家。
すきやき鍋に肉だけ煮立てるロボ。
「人が落としたものを、こうやって平気で食える俺って、
 人間としてどうなんだ?
 プライドはないのk?
 本当に食べてしまうのか?
 おい、本当に、
 あれ、口が・・・
 美味ーーーい!!」

ニコの家。
トイレに篭る母・雪江。
「みんなの為に戦ったのに、誰も信じてくれない!!」
「わかった、信汁!!」竹男の言葉に雪江がドアを開ける。
必死に笑いをこらえる父と娘たち。
「その顔は信じてない!!」
雪江がバタンと戸を閉める。
「ダメだよお父さん、半笑いじゃん。」一海が笑う。
「ダメ?」
「私はなんて孤独なの!?」

「特別な能力を身につけた孤独な人生がいいのか、
 それとも、みんなと同じで安心だけど、平凡な人生がいいのか。
 泣きたいほどの孤独と、
 何もない平凡な自分になってしまうのと、
 どっちが怖いんだろう・・・。」


コードネーム・ロボ。
女好きのロボットオタク。
コードネーム・セクシーボイス。
七色の声を操る女子中学生。
二人はスパイ。
この複雑な世界、そして闇の中で、
彼らは次々起こる難事件に挑んでいく。
夢と希望を追いかける二人の名は・・・
セクシーボイス
アンド ロボ
あなたの隣にスパイがいる!


学校でも、お歯黒女の噂で持ちきり。
他校では行方不明になった学生もいるらしい。
テレビのワイドショーでも、
『中二男子行方不明
 「お歯黒女」の仕業か!?』
と取り上げられるほど。
ニコが食い入るようにそのニュースを見ていると、
突然矢が飛んできた。
窓の外を見ると、塀を乗り越えていく松葉杖の男が
チラっと見えた。
矢は母が持っていたポスターに穴を開け、鴨居に突き刺さる。
母がカメラを取りに言った隙に、矢についている手紙を取るニコ。
矢を抜き取りと、ニコは走る。

「あの、弓矢で呼び出すのやめてもらえますか?」
「だって急用だったんだもの。ね?」と真境名(浅丘ルリ子)。
「はい。」と名梨(岡田義徳)。
名梨は、松葉杖をつき、頭や腕に包帯を巻いている。
「どうしたんですか?」
「あ・・口では言えないくらい、いろんなことが
 ありまして・・。」
「よっちゃんもこんなだから、代わりに仕事をしてくれる人を
 探しているんだけど、あなたやってくれないかしら?」
「そんなの無理に決まってるじゃないですか。」
「決まってるじゃないですかって、自分で決めている
 だけじゃない?」
「無理です。」
「どうして?」
「私子供だし。」
「私子供だし。」真境名が笑う。
「報酬、弾むわよ。」
「お金とか、興味ないし。」
真境名が名梨に合図を送ると、名梨は頷き、100万円の束を置く。
「・・・本物?」
「触っていいわよ。」
「私別にお金なんて。」
真境名の合図に、名梨はもう400万円そこに置く。
「簡単な人探しをお願いしたいの。
 見つけて連れてきてくれたら5つ。」
「5つって・・5百万・・」
「居場所を見つけたら、まずは1つ。
 いい話だと思わない?」
「いい話なら自分でやればいいじゃないですか。」
「頭いいわね。」
「何で私に頼むんですか?」
「だって私には、あなた程の能力がないもの。」
「私能力なんてないです。」
「あるじゃない?
 人の声を聞き分けられる力。
 色んな声を出せる才能。」
「そんなことお金になるのかな。」
「なるのよ。」
真境名の合図にパソコンを開く名梨。
そこから聞こえてくる声に、
「お歯黒女・・・」ニコが呟く。
「なんだ。知ってるんじゃない!
 なら話は早いわ。」
「探す人って・・お歯黒女・・」
「そう。
 それ持って帰って、じっくり考えてみて。」
「持って帰るって、このお金を?
 いいです。」
「ダメなら返してもらうから。」

ロボの家。
「じゃ、いよいよ、最終ラウンドだ!」
ロボは仲間と共に、お宝フィギュアを見せ合い、
点数を付け合っていた。
ロボが特殊なルートで入手した『MAXロボ』を披露していると、
ニコがやって来た。
「ロボいる!?」
ロボも男たちも無視。
「ロボ!!」
「ちょっと待って。今大人の会議してるから。」
「どこが大人よ!!
 ロボットで戯れているだけじゃない!
 何で私こんなの受け取っちゃったんだろう・・・
 ねー見て!ねー見て、これ、ねえ!!」
100万円を手にロボに訴え続けるニコ。

仲間の4人を駅まで送り届けるロボ。
そこへ、美しい女性(香椎由宇)が「待って!」と叫びながら
走ってきた。
どうやら走り出したワゴン車を追っているらしい。
「車で追いかけよう!!乗って!」
ロボが愛車のドアを開ける。

「マックス、オーバー、スピーード!!」
『GO TO HEAVEN』と窓に書かれたワゴン車を追うロボ。
隣に座る女性の寂しげな表情に見とれる。
「前の車の行き先は?」
「さあ・・」
「え?知らないの?」
「・・・もういいよ。」
「え?何で?」
「もういいから停めて!」
「まだ頑張れば追いつくよ!?」
「別の方法考えるからいい!」
「・・・本当にいいの?」
車を停めると、女性は礼も言わずに降りてしまった。

ニコの家。
風呂上り、ニコはテーブルの上に置いてある封筒を手に取る。
父親の明細書が入っているらしい。
あたりを気にしつつ開けてみると、
『現金支給額 ¥285,606』
「あー・・・100万ってやっぱり大金だよな・・。
 返そう。
 私に100万円の仕事なんて無理だよ・・。」
そこへ父がトイレから戻ってきた。
慌てて明細を封筒に戻すニコ。
「・・・見た?」
「ううん、見てないよ。」
「あー・・・本当は、見た?」
「見てない。
 あ、集団自殺だって。」
「若いやつは簡単に死ぬよなー。」
テレビのニュースが集団自殺があったと伝えていた。
『男女7人遺体で発見』
ワゴン車の窓には『Go to Heaven』の文字!

ロボの家。
歌いながらフィギュアを並べるロボ。
テレビのニュースに気付き、驚く。
集団自殺に使われた車・・・
女性に頼まれて追っていた、あのワゴン車だ!
「えーーーっ!!
 死ぬ気だ、あの人!!
 どうする?どうする?ガイン。俺どうしたらいいの!?
 あー、愛と勇気と正義があっても、
 どうすりことも出来ないじゃないかー!
 ガインーー!!」

神社の境内。
土の下から子供の声がする。
「苦しい・・誰か助けて・・
 助けて・・助けてよ・・。」

学校帰りのニコを名梨が待ち伏せしていた。
名梨は車椅子に乗っている。
「今回の件、社長が是非引き受けてほしいと。」
「引き受けない!」
「あーもうそういうこと言うんだー。
 報告する身にもなってよねー。」
「社長に言っといて!
 あのね、お金で何でも出来ると思ったら
 大きな間違いだって。
 だからお金もちゃんと返す!
 ・・・あれ?ちょっと待って。 
 あれ・・」
カバンの中、お金を探すニコ。名梨が笑う。
「やる?仕事やる?」
「・・・」
「もうやるしかないよね。」
ニコが歩き出す。
「ね、社長になんて言ったらいいの?」
「・・・」

喫茶店の前。
コーヒーの匂いをかぎながら、パンの耳をかじるロボ。
店から出て来た店員は・・あの女性だった!

女性はロボに、サンドイッチと袋にいっぱい詰まったパンの耳を
プレゼントする。
「美味い!!
 美味いわけだ。
 だって・・・パンに具が入ってるもん!!ほら!!」
「そんなことで幸せになれるんだ・・。」
「・・・自殺はダメですよ。」
「・・・」
「自殺しようとしてたでしょ?」
「ダメなの?」
「そりゃダメでしょ、自殺は。」
「私ね、死ぬって決めてから、とても心が安らかなの。
 生きなきゃいけないって思った時は、すごく辛かった。」
「・・・」
寂しげな表情の女性を見つめるロボ。
「どうしたら死ぬのをやめてくれますか?」
「何でやめさせたいのよ。
 あなた関係ないじゃない。」
「それは・・あなたが美しすぎるから。
 そして俺が、愛と、勇気と、正義の、使者だから!!」
「愛と勇気と正義だけじゃ食べていけない。
 現に、あなたお腹ペコペコじゃない。」
「・・・
 どうしたら、自殺やめてくれますか?」
「・・・
 100万円頂戴。」
「ひ、100万!?」
「そう。
 愛と勇気と正義だけじゃ、無理でしょう?」
「・・・」
サイフの中身を開けるロボ。
1円玉、10円玉、そして釘しか入っていない。
「ね!無理なの。
 誰にも止められないの。」

ロボの家。
窓から身を乗り出してため息をつくロボ。
「はー・・・100万円・・・」
「ロボいるー?」ニコがやって来た。
「あー。」
「ね、100万円見なかった?」
「百万円?」
「ここに落としたかもしれない!!」
「この部屋に100万円あるの!?どこ!?どこにあるの!?」
「それがわからないから探しているんでしょう!?」
必死に探す二人。
「ない・・。」

パンの耳を上げて砂糖をまぶすロボ。
「これだけ探してもないんだから・・ないな。」
「やっぱり仕事引き受けるしかないかー。」
「仕事って?」
「お歯黒女を捕まえるって仕事なんだけど。」
「ふーん。」
「上手くいったら500万出すって言っててさ。」
「え!?500万!?」
「ロボ手伝う?
 うーん、成功したら200万あげるよ。」
「200万!?」
「やる?」
「マックス、パーーーン、チ!」
「それはやるってことだな?」
ロボが頷く。

公式HPあらすじによると、
早速、“手下”のロボ(松山ケンイチ)を利用することにした。
とあります。ロボは手下なんですね。(笑)


インターネットでお歯黒女について調べる二人。
「火曜日に目撃した人が集中しているな・・」とニコ。
「生捕りにするの?」
「生捕りにして500万。」
「捕獲の網が必要だな。
 じゃ、敵の弱点は?」
「シイタケに弱いって。」

ニコの家。
家族の目を盗み、干ししいたけを持ち出すニコ。

学校。
バレーボール用のネットを持ち出すニコ。

ロボの家。
シイタケを刺したヌンチャク。
シイタケを発車させる武器を作るニコとロボ。
ニコの動きが止まる。
「お歯黒女の泣き声だ!」
窓を開け、耳を澄ます。
「ロボ!出動だ!」
ロボが頷く。

武器を装備し走る二人。
干ししいたけをポロポロと落としながら走り続ける。

神社の境内を歩く少年。
その背後にお歯黒女が!
「ずっと一緒にいてくれる?」
「うわっ!!こないで!!」
女がネバネバした液体を投げつける。
「うわーーーっ!!」少年が悲鳴を上げる。

「助けて・・・苦しい・・・」
ニコがその声をキャッチする。
「こっちだ!!」
「おう、こっちか!!」

少年を連れ去ろうとするお歯黒女。
「助けて・・」
お歯黒女はニコとロボの姿に気づくと、少年を離し
逃走する。
「大丈夫?」「どっち行った?」
少年に聞き、後を追う二人。

土手を物凄い勢いで走り去るお歯黒女。
「早すぎる・・・」
「チクショウ。これさえ、取り付けられれば・・」
「何それ?」
「探知機・・」
そこへ、車椅子の名梨が登場!
「おい!貸せそれ!」
ロボの探知機を口にくわえ、お歯黒女を追う七誌。
猛スピードで追い上げ、女に探知機を付けることに成功!
「よっしゃー!」
名梨、ニコたちの方に振り返り、ガッツポーズ!
喜ぶニコとロボ。
「あーーーっ!!」
ロボの叫びも間に合わず、名梨、『通行止』の足止めに激突。
名梨が土手を転げ落ちていく。
「大丈夫!?」
「早く追え!!」
ロボが鼻に触れてから親指をつきたてると、
名梨も同じ様に返して二人を見送った。

探知機でお歯黒恩なのすみかを見つけ出した二人。
「ロボ、作戦は?」
「あえて作戦は、ないとの作戦に出る。
 作戦がない故、各自の努力と精神力を、
 今まで以上に発揮せざるを得ないという、
 画期的な作戦だ。」
「・・・」

部屋で膝を抱えるお歯黒女。
部屋にある果物ナイフに手を伸ばし・・・。

その時、ロボが激しく部屋の戸をノックする。
そして部屋の戸をけり倒し、ロボとニコが姿を現す。
「お歯黒女、覚悟!!」
お歯黒女は部屋にあるものを次々と二人に投げつける。
「一旦引け!
 ・・・今だ!
 マックス、バズーカ、発射ー!!」
球(シイタケ)を連射するロボ。
「この一撃に、全てを賭ける!
 マックス、バズーカ、シイタケ、アタック!
 バズーカ、発射ーーー!!」
逃げ惑うお歯黒女。
「ロボ、網は?」
「網?網は・・重いから置いてきちゃったよ。」
「持ってこなかったの!?」
その隙に、女は果物ナイフを手に取り、自分に突き立てる。
慌ててナイフを奪い取るロボ。
フードが外れたお歯黒女は・・・自殺を考えていた女性だった。
「え・・」驚くロボ。
「何?」ニコが聞く。
「何で?」

お歯黒女が笑い出す。
「何でお歯黒女なんか・・」ロボが聞く。
「・・・みんなに覚えていてほしかったからよ。
 私が死んでからでもずっと、嫌な思い出でもいいから、
 私が生きていたことを忘れないでほしかった。
 でも・・500万か!」女が笑う。
「ツチノコっていくらだっけ?1億!
 結構頑張ったんだけどなー。
 500万か・・・。」寂しそうに笑う女。
「俺にとっては、500万はすごいと思うよ。」
「私はもっと価値のあるものになりたかった!」
「何の為に?」ニコが聞く。
「だって・・だって世の中そうじゃない! 
 価値のないやつは踏みつけられて、
 価値のある人だけのほほんと生きてる。
 私はしょぼいまま生きるのは嫌だ。
 でも、しょぼいまま死んでいくのはもっと嫌だ!!」
「だから、子供をさらったの?」
お歯黒女は微笑み、部屋の隅を見つめる。
そこには、土のついたスコップが。
「え・・ちょっと・・嘘でしょう?
 そんなことしてないよね・・」とロボ。
「ねえ、知ってる?
 子供の首ってね、案外簡単に折れるのよ。
 ここにいるかもね・・・」
女が涙が浮かんだ瞳で笑う。
「え・・・」

土の下から声がする。
「助けて・・助けて・・助けて・・
 誰か・・助けて・・・」
それに気付いたのは、買物帰りの雪江。
目印らしき岩に、ネバネバの液体が付着している。
雪江は悲鳴を上げながら走り去る。

家に駆け込む雪江。
「う、うま・・埋まってる!!」
「埋蔵金か?」竹男が言う。
「違う!!子供!!男の子!!」
「あー、なるほど。」
「お父さん!ちゃんと聞いてよ!」
「聞いてるじゃない。」
「そうだ。警察!!」
「やめときなさいって。」
「お父さん・・私のこと信じてないんだ。」
「うん。信じてない。」
「・・・」雪江、号泣。
「あ・・あれ・・」

『助けて・・・』
声のする場所を掘っていく雪江と竹男。
「お父さん。」
「うん?」
「こんなバカなこと信じてくれるの、
 世界中でお父さんだけかもね。」
「だろうな。」
「ありがとう。」
「何が?」
「信じてくれて。」
「信じるしかないじゃない。
 今まで二人で、頑張ってきたんだからさ。」
スコップが何かに当たる。スーツケースだ。
恐る恐る開けてみると・・・
声の主は、カセットテープだった。

お歯黒女の部屋を探るニコとロボ。
「何でそんな必死なの?」女が聞く。
「どこにいるのよ!」
「・・嘘よ。子供なんてさらってない。」
「本当に?ほんとにほんと?
 ・・・良かった・・良かった・・な!」とロボ。
「どこがいいのよ!
 私が平凡で弱くて何も出来ないのがそんなに嬉しい!?
 誰にでも出来ることしか出来なくて、
 代わりなんていっぱいいて、
 私が死んだって誰も困らない。
 私何の為に生きてるの・・・」
「それは、・・・奇跡を見るためだ。」とロボ。
「何それ。」
「小3の時、俺に奇跡が起こった。
 アニメで見ていたロボットが、3次元、ていうか立体の形で
 売られてて、それがまた、よく出来てて。
 すげーと思った。
 だって、どんなに好きでも、アニメの中に人間は
 入っていけないわけじゃない?
 手の届かないと思っていたヒーローが、
 自分と同じ空間にあって、
 しかもそれ、思う存分いじれるわけ。
 こんなことあるのかと思ってびっくりした!
 絶対無理だと思ってあきらめていたことが
 無理じゃなかった!
 この先も、きっと、そういう奇跡は、起こると思う!
 だから!生きていける!
 それが俺の、生きてる、原動力なんだ!!」
「いい話じゃん。」とニコ。
ニコが席を立つ。
「人生ゲームだ・・・。」
ゲームを開けると、手紙が入っていた。

『十年後の私へ 山野月子
 
 私は今十さいです。十年後の私は、何をしていますか?
 みんなと仲良くやってますか?
 もし元気がなかったら、ふろくの電池をあげます。
 どんな時も元気の出るまほうの電池です。
 がんばってね』

ニコが月子にふろくと書かれた箱を差し出す。
箱を開ける月子。中には『まほうの電池』とラベルの貼られた
乾電池が2本。
「頑張れないよ・・・。
 もう遅いよ・・・。」
「いや、何事も遅すぎるということは、ない。」とロボ。
「お歯黒女は、自殺しちゃえばいいんじゃない?」とニコ。
「うん?お!!脱皮脱皮!
 こう、さっと、脱皮して。」
「脱皮?」

お歯黒女の衣装を木に吊り下げる三人。
「お歯黒女は、脱皮して人間になったんだね。ね!」
「・・・」

帰り道。
「人生ゲームって、一番お金を儲けた人が勝ちだと思ってた。
 でも違うんだね。」月子が言う。
「今度さ、三人で人生ゲームしない?」とニコ。
「いいね!!俺の部屋で?」
ロボが振り返ると、月子がいない。。
「あれ?」
「月子さん?」
人生ゲームの金を残して、月子は姿を消してしまった。
「月子さーーーん!!!」

骨董屋・地蔵堂
カニを頬張るニコ、名梨、真境名。
「居場所は突き止めましたけど・・・
 逃げられました。
 で・・・預かったお金なんですけど・・」
「大丈夫。ここにあるから。
 腕のいいスリを頼んで盗ませたの。」
「・・・」
「だってこうでもしなきゃ、仕事してくれそうに
 なかったからね。」
「そういうのなんか嫌だな。」
「何が?」
「人に無理やり押し付けられるの。」
「押し付けられるのが嫌なんだ。」
「誰だって嫌です。
 自分を殺すっていうか、
 自分がなくなるっていうか・・・」
「自分のやりたいことをやるのが、自分らしく生きることだって
 思ってるんだ。」
「違うんですか?」
「違うわね。全然違う。
 気の進まない仕事でも、押し付けられたことでも、
 自分のやり方でやり通す。
 それが自分らしく生きるってこと。」
「・・・」
「山野月子さんのお父様が、是非渡してほしいって。」
真境名がお金を差し出す。
「頼んだの、お父さんだったんだ。」
「娘が子供をさらってないって知って、ほっとしたって。
 心から、お礼を言ってくれって。
 ありがとう。」
「・・・ありがとうと、お金と、両方もらえるんだ。」
「そう。それが仕事。」

メイドのコスプレのはずが、お歯黒女の衣装を着せられ
むっとする5人のコンパニオンたち。4人は怒って帰ってしまう。
担当者の男が泣き出す。
残った一人は、一海だった。
「もう!泣くなって。
 わかった。二人でちゃっちゃと配っちゃおう!」
「え・・いいんですか?」
「いいも悪いも仕事なんだからしょうがないでしょ。」

しいたけ料理を頬張るロボ。
「うーん、さすがにシイタケも飽きたなー。」
そこへニコがやって来た。
「ロボ!豪遊だ!」
「うわ!すげー!」
「全部使っちゃおうぜ!」
「預金しろよ。」
「だって、」
「何だよ。」
「この間さ、お父さんの給料明細見ちゃったんだよね。」
「うん。」
「全部使ってしまわないとお父さんに悪いじゃない、ね!」

すし屋のカウンター。
「白紙に戻そう遣唐使。
 ね、お金があるときってさ、みんなすごーく親切に 
 思えるよね!」
「怖いぐらいにな。」
「ってことはさ、お金がないと親切にされないって
 ことなのかな。」
「うーん。
 うーん・・。」
「いい国作ろう鎌倉幕府。
 ね、ここっていい国なのかな。」
「いい国だろうが、悪い国だろうがさ、
 とりぜず、生きていかなきゃいけないんだよな。」
「泣くよウグイス平安京。」
「月子さん、泣いてなきゃいいけどな・・。」

一海から試供品を配られる月子。
それは、乾電池だった。
月子は振り返り、一海を見つめる。
一海も気付いて月子を見つめる。
「バイバイ!」
月子が手を振ると、一海は真っ黒な歯を見せて微笑み返した。

プラモデルショップで買い捲るロボ。
「他あと何買う?」
「もういらない。」
幸せそうにロボが答える。

残りの金は、『世界の子供を救う会』に現金書留で寄付をした。

「結局、お金は使いきれなかった。
 このあと、一度だけ月子さんを見かけた。
 月子さんは泣いてなかった。
 泣かずに、汗をかいていた。
 そのことをロボに言うと、ロボは大泣きした。」


ゴミの清掃の仕事をする月子を見かけるニコ。

「良かったー・・・月子さん生きていたんだ・・
 良かったーー!!」

数日後、ニコの元に、『世界の子供を救う会』から
『ありがとう』の手紙が届いた。

「10年後の私は元気だろうか。
 元気の出る魔法の電池は、
 多分、ありがとうという言葉だ。」


雨の中、お年寄りを背負い走るロボ。
「ありがとね。」お年寄りが繰り返す。

「あの時は、ありがとうございました!!」
コンパニオン会社の男が、一海の姿に気づき頭を下げる。
微笑む一海。

妻にお茶を入れる竹男。
「ありがとう。」
夫の行動に驚きながらも感謝する雪江。

骨董屋・地蔵堂
「棘抜けました!」
「ありがとう、よっちゃん!」

男が失くした書類を一緒に探す月子。
「これですか!?」
「これです!!ありがとうございます!!
 命の恩人です!!
 良かった、本当にありがとう!!」
男の言葉に嬉しそうに微笑む月子。

「月子さん、新しい人生ゲームは、
 楽しいですか?」



※一部公式HPあらすじを引用しました。



「親の言うことってよくわからない。
 みんなと同じでなきゃダメだと言っておきながら、
 人とは違う能力を伸ばせ、と言ったりする。
 一体どっちなんだ?」
「特別な能力を身につけた孤独な人生がいいのか、
 それとも、みんなと同じで安心だけど、
平凡な人生がいいのか。
 泣きたいほどの孤独と、
 何もない平凡な自分になってしまうのと、
 どっちが怖いんだろう・・・。」
思春期真っ只中のニコが抱える矛盾、悩み、迷い。
ニコは優れた聴覚という特別な能力を持つことに、
孤独を感じているんでしょうか。

泣きたいほどの孤独を抱えていた女性は、
「嫌な思い出でもいいから、
 私が生きていたことを忘れないでほしかった」
という理由で、お歯黒女になった。
人の記憶に残りたかった。
価値のあるものになりたかった。

価値のある人、価値のない人。
なんだか悲しい言葉でした。

お歯黒女は、脱皮して、自分らしく生きる道を選びました。

「気の進まない仕事でも、押し付けられたことでも、
 自分のやり方でやり通す。
 それが自分らしく生きるってこと。」
ニコも、自分らしく生きるとはどういうことなのか
学びました。

一海ちゃんは宅急便の配達に、今度のようなチラシ配り。
すごい頑張りやさんですね。
それに、仕事に対する姿勢も素敵です。

元気の出る魔法の電池は「ありがとう」の言葉。
ありがとうと言われて微笑むそれぞれの笑顔が素敵でした。



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B000P6YM5S「セクシーボイスアンドロボ」オリジナル・サウンドトラックTVサントラ バップ 2007-05-30by G-Tools



原作
セクシーボイスアンドロボ
セクシーボイスアンドロボ小学館 2007-04-20売り上げランキング : Amazonで詳しく見るby G-Tools



4091882315セクシーボイスアンドロボ1黒田 硫黄 小学館 2001-11-30by G-Tools



4091882323セクシーボイスアンドロボ 2 (2)黒田 硫黄 小学館 2003-02by G-Tools



キャスト
2人のスパイ
須藤 威一郎 (通称:ロボ) * 松山 ケンイチ
林 二湖 (通称:ニコ) * 大後 寿々花

ニコの家族
林 一海(ニコの姉) * 村川 絵梨
林 竹男(ニコの父) * 塚本 晋也
林 雪江(ニコの母) * 片桐 はいり

謎の組織 
名梨 秀吉 * 岡田 義徳
真境名 マキ * 浅丘 ルリ子 骨董屋・地蔵堂社長

高村君



第1話 
「三日坊主」 * 中村獅童
 玉子の殻
【生きてきた証。自分で決めなくてはいけない一歩】
 
第2話 
「ごぼ蔵」後藤 * 村上淳
 携帯の留守電メッセージ
【恋愛】

第3話
「お歯黒女」 *  香椎由宇
 未来の自分への手紙、人生ゲーム
【ありがとう】


スタッフ
脚 本
木皿 泉 (「野ブタ。をプロデュース」「すいか」)

原 作
「セクシーボイス アンド ロボ」
 黒田硫黄/小学館(イッキコミックス刊)
(第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作)

音 楽
中塚 武

主題歌
「ひとつだけ」 歌 みつき
作詞・作曲 馬場俊英 / 編曲・プロデュース 小渕健太郎
(ワーナーミュージック・ジャパン)

演 出
佐藤 東弥

プロデュース
河野 英裕


松山 ケンイチさんの主な出演作品


この記事へのコメント
ちーずさんこんばんは、今回も楽しめました!

月子が社会にでて受けたことが描かれなかったので感情移入は出来ませんでしたが抱えている矛盾は伝わってきました、最後は未来の自分に宛てた手紙と魔法の電池、人間でも電池切れることありますよね!見つけたところが人生ゲームは上手かった〜

毎回ニコの抱える思春期の疑問、相談されたら答えられないかも?いいも悪いも自分の受けた教育や常識でしか答えられないから…マキが凄い

ロボはニコの手下なんだ!いいこと言ってるけど叫びながら椎茸撃ってるだけなので…ただの車線変更だし!香椎由宇さんだから椎茸苦手?結構べただが面白い!

ラストの「ありがとう」でしめてくれたのは良かったです!
Posted by けた at 2007年04月26日 19:44
ちーずさん、こんにちは。
香椎由宇、ヤバいくらい奇麗でした。留学で女優を休業しているようですが、早期の復帰を希望します。
ニコの継ぎはぎの柄物の服も超可愛い。弓矢で呼び出されたとき着ていた服、ほんとうに可愛い。
そして今回も楽しめたストーリー。わたしにとって宝物のようなドラマです。愛しいです。視聴率は想像を絶する苦戦を強いられているようですが、なんとか最後まで頑張ってほしい。心の底から応援しますよ。万が一にも打ち切りになんてならないように、今のうちから日テレにメールを送っておきます。みなさんも応援してください!
Posted by マンデリン at 2007年04月26日 23:10
こんばんは。コメントありがとうございます!

★けたさん★
このドラマ、『野ブタ。』と同じ様にアイテムが上手に
使われていますよね〜!
ニコの、若さ故に感じる疑問。私も答える自信がありません。
でもニコは、毎回自分でちゃんと答えを見つけ出しているんですね。
すごいです。
ありがとう、という言葉の持つ優しさを再認識させてくれました。

★マンデリンさん★
香椎さんは留学中でしたか。
彼女がかもし出す寂しい雰囲気がとても良かった。
早く復帰してほしいです。
見れば見るほど味の出るドラマですね。
私もこういうドラマ、大好きです。
視聴率に惑わされず、このまま突進んでほしいです。
Posted by ちーず at 2007年04月30日 18:37
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