2007年04月27日

わたしたちの教科書 第三話

『女教師の秘密の顔』

「元気にしてらよ〜。
 母ちゃんはどうしてら?
 なーんも困ったことだきゃないよ。
 結婚!?なーんもなんも。 
 東京のおなごは、30過ぎても結婚してない人
 いっぺーいるよ。
 お盆には帰るから。」
青森の方言で電話の母親と話す早紀(真木よう子)。

珠子(菅野美穂)は、裁判官とともに喜里丘中学校を訪れた。
東京地方裁判所の決定書に基づき、校内に残されている
藍沢明日香(志田未来)に関するすべての資料の証拠保全を
するためだった。
会議室で応対した副校長の雨木(風吹ジュン)は、関連書類と
ともに、コインロッカーで発見された明日香のカバンも
珠子たちに提出する。
しかし、珠子や耕平(伊藤淳史)が発見したときにはその中に
入っていたはずの教科書やノートはなかった。
雨木を見つめる珠子。「雨木さん、」
「はい?」
「中身が入っていません。
 教科書やノートが、ここに入っていたはずですが。」
「・・・」
「どこに置いてあるのですか?」
「わかりません。」
「・・・わからないってことは、」
「何分、急だったものですから。」
「元から空だったっていうことも考えられるんですか?」
と裁判官。
「はあ・・そうかもしれませんね。」
雨木はそう答え、書類のコピーを取りにいこうとする。
「雨木さん。」
「はい?」
「もう一つだけ、お伺いしたいことがあります。」
「何でしょうか。」
「藍沢明日香さんが亡くなられたのは、
 学校内でのいじめが理由だったのではありませんか?」
「・・・いいえ。
 この学校にはいじめはありません。」
雨木はそうきっぱりと答える。

会議室を出た珠子は、耕平に理科室の鍵を返しに来た
朋美(谷村美月)という生徒を見かける。

会議室。
「どうして、隠すんですか?
 カバンに入っていたものをお見せして、
 専門家に判断してもらった方が良かったんじゃないですか?」
耕平が雨木に言う。
「専門家?生徒に関する専門家とは誰です?
 我々教師でしょう?
 なぜ外部の弁護士にゆだねる必要があるんです。」
「・・それはそうですけど。
 だけど、あの人が言う通り、藍沢さんはいじめを苦に
 自殺した可能性だってあるはずです。 
 なのに、いじめがないと決め付けるのは、」
「間違っていると?」
「・・・いえ。」
「あなたの仕事は、教師でしょう?
 もっとご自分の仕事に、自信と誇りを持って下さい。」
「・・・」
「学校の問題は、学校で解決すべきです。」
雨木はそう言い会議室を出ていく。

裁判官を見送る珠子。
そこへ耕平が駆けてきた。
「積木さん!
 あなたのやり方は間違ってる!
 学校の問題は、学校で解決するべきなんだ!
 法律で強引に解決しようだなんて間違ってる!」
「あっそう。」
「だけど、目的は僕も同じです!
 もっと人を信じて下さい。
 あのクラスにいじめがあったのだとしたら、
 藍沢さんを守れなかったのは、僕の責任です。
 嘘をついたり駆け引きをしたり、そんなことしなくても、
 僕も手伝います!
 あなたと一緒に調べます!」
「・・・あの副校長は、証拠を隠滅する気よ。
 明日香のカバンの中身は、もう二度と出てこないかも
 しれない。」
「そう思いたくは・・」
「学校はいじめを認める気なんてないの。
 こっちがしなければならないのは、
 学校と戦うことなの。
 それを、一教師であるあなたに出来るの?」
「・・・」
耕平は振り返り、学校の校舎を見つめて答える。
「出来ます!」
校舎を見つめる二人。

学活の時間。
生徒たちは楽しそうに運動会のリレー選手を決めている。
窓際に立ち、生徒たちの様子を見つめながら珠子の言葉を
思い出す耕平。
『生徒を疑うの。
 明日香を苛めたのは、あなたのクラスの誰かなのかも
 しれない。』
生徒を一人一人見ていく耕平。

珠子は子供たちが描いた絵をめくりながら、
日野医師(小市 慢太郎)に質問する。
黒く塗りつぶされた絵。顔のない肖像画。
「今、子供たちに何が起こっているんでしょう。」
「今、多くの大人が感じているはずです。
 子供が何を考えているのかわからない。
 それは子供も同じです。
 大人が何を考えているのかわからない。
 大人はたやすく口にする。
 努力すれば幸せになる。
 未来に希望を持て、夢を持て。
 では、幸せとは何でしょう。
 今の大人は、子供に示してあげることが出来ません。
 希望を歌う歌に希望はありますか?
 夢を語る物語に、夢はありますか?
 子供たちは既に気付いているんです。
 そんな言葉は、とうに賞味期限が切れたまやかしだ。
 大人と子供の世界は、同じ場所に生きながら、
 真っ二つに別れてしまった。
 積木さん、今この国で起こっているのは、
 大人と子供の戦争です。
 いじめ、自殺、今子供達がしていることは、
 自爆テロです。」

耕平は職員室にいる教師たちに、この学校にいじめはなかったか
聞いてまわる。
「いじめなんてありませんよ。
 いじめなんて大抵、生徒同士、じゃれ合っているだけです。」
と熊沢(佐藤 二朗)。
「くだらない話をしている暇があったら
 少しは机の上を片付けて下さい!」と早紀。
「大城先生今日はご機嫌斜めですね。」
希美(酒井 若菜)が小声で戸板(大倉 孝二)に言う。
「欲求不満!」
「彼氏いないのかな。」
「出来るわけないでしょ!」
「ま、でも、噂があるんですよ。
 大城先生、前にいた学校で、生徒の父親と不倫していたらしい!」
と八幡(水嶋 ヒロ)。
「えー!?」
「それがバレて、前の学校を辞めさせられた。」
その噂話に耕平も驚く。

ある日、耕平は、理科の授業中に英語の自習をしている
山藤拓巳(登野城佑真)に気づく。
「山藤、今は理科の時間だぞ。」
「チッ。」
「コラコラ、しまいなさい。」
取り上げた参考書で軽く頭を叩いて注意する。
すると拓巳は耕平を睨みつけると、教科書をまとめて席を立つ。
「何をしているんだ?」
「受験勉強させてもらえないなら、意味ないんで。」
「何言ってんだよ。山藤!」
「社会科の大城先生からは、文句言われませんでした。」
そう言い教室を出て行ってしまう。

早紀の社会の授業を見つめる耕平。
するとほとんどの生徒が、英語や数学、国語の勉強を
しているのだった。

珠子の家にひなぎくの家から送られてきた明日香の荷物が届く。
お小遣い帳を開いてみる珠子。
その中には携帯電話もあった。
アドレス帳を開いてみるが、何も登録されていなかった。

そこへ、直之(谷原章介)が帰ってきた。
慌てて荷物を片付ける珠子。
「ただいま。」
「お帰り。」
「親父がさ、君になら安心してうちの事務所を任せられるって
 喜んでたよ。」
直之は机の上にあった
『さわだ市「いじめ」自殺事件判決について』
と書かれた書類に気付く。
「いじめ裁判。」
「ちょっと、勉強してるの。」
「ふーん。
 勝つの難しいんだろうな。」
「みたい。」
「いじめを立証しろっていったって、証拠は出にくいだろうし、
 教師も生徒も保護者も、学校を敵に回すような証言は
 拒むはずだし。」
「そうね。」
「ま、うちみたいな事務所が受けるとすれば、
 むしろ学校側の弁護だけどね。」
「・・・」

直之が部屋を出ていったたと、珠子は携帯電話のバッテリー蓋の
裏に貼られたプリクラを見つける。
そこには、明日香と朋美が一緒に笑顔で写っていた。
『あすか ともみ
 トモダチ』
と書いてある。
あの時、耕平を探していた少女だ・・・。

職員室に山藤の母親がやって来た。
「あ、山藤君のお母さんですか!
 丁度今、お電話さしあげようと思っていたところです。
 山藤君、今日は欠席でしたが、どうかなさったんですか?」
耕平が聞く。
「この方、ご自分のしたことをまるで反省なさって
 ないようですね。」
母親が、耕平の隣に座る早紀に言う。
「申し訳ありません。」と早紀。
「え?」
「山藤君の頭を殴ったそうですね。」
「え!?
 ああ・・はい。
 確か、参考書で、軽く、ぽかっと。」
「どういうつもりですか!?」
「いえ、ただ、ポカって。
 それにそれは、山藤君が、授業に関係ない勉強を
 していたからで。」
「受験勉強です!」
「理科の授業中ですよ?」
「どうして理科の授業中に受験勉強したらいけないんですか!?」
「ダメに決まってるじゃないですか!」
「はぁ・・。」
「申し訳ありません。」早紀が謝る。
「何謝ってるんですか?僕は、」
「この学校では、生徒の自主性を踏みにじるんですか!?」
「自主性ってそういう問題じゃ、」
「あの子が受験に失敗したら、あなたが責任取って
 くれるんですか!?」
「そんなメチャクチャな・・」
「加地先生!
 申し訳ありませんでした。」

廊下を歩く早紀と耕平。
「保護者の言うことにいちいちけんか腰になるのは
 やめて下さい。」
「けんか腰っていうか、だってあの人は、」
「あの方は、入学以来給食費の支払いを拒否なさっています。」
「え?」
「こっちが頼んで学校に行かせているわけではないから、
 払う必要はないと。そういう方なんです。
 あなたが何を言っても無駄です。」
「ほっとけということですか!?」
「そうです。」
「・・・どうして大城先生は、生徒が授業を聞いていないのに
 注意しないんですか?」
「・・・今している授業が、受験とは関係ないからじゃ
 ありませんか?」
「そんな他人事みたいに・・
 だったら、何の為に先生は授業をしているんですか?」
「・・」
「何の為に学校はあるんですか!?」
「・・・わからないわ。」
そう言い立ち去る早紀。

図書館。
朋美が手を伸ばそうとした本を先に抜き取る珠子。
「どうぞ。」優しく微笑む珠子。
「いえ・・」
「いいのよ。私は何度も読んだんだから。」
朋美が本を受け取る。
「ラフマニノフ、興味あるの?」

並んで帰る二人。
「あの、本当に積木さんの家でピアノ弾かせてもらって
 いいんですか?」
「いいわよ!」
「ありがとうございます!!」
メモを握り締め朋美が帰っていく。

「ピアノなんか弾けるんですか?」
珠子の後ろに耕平が立っていた。
「弾けるわよ!チューリップとか・・チューリ・・」

洋食屋『ぶらじる』
ラフマニノフの本を読む珠子。
「ピアニストだなんて大嘘ついて!!」
「正直に話したら口閉ざされちゃうでしょう?」
「勝手にうちの生徒に近づくなんて!」
珠子は耕平に明日香と朋美のプリクラ写真を見せる。
「あ・・友達だったんだ・・」
「友達じゃなくても、プリクラぐらい撮るとは思うけどさ。
 その子、どんな子なの?」
「仁科朋美は、都議会議員さんの娘です。
 成績もいいし、友達も多いみたいだし、
 普通の子です。」
「でも何か・・知ってるかもしれない。」
「困ります!そういうの困ります!
 生徒を巻き込むの、やめて下さい!」
「あんた達に任せててもらちが開かないから!」
「そんなことして、藍沢さんの事故に疑問があると
 生徒たちに伝わりでもしたら、又混乱させてしまいます!」
「混乱しているのは教師だけかもよ。」
「え?」
「生徒たちは、いじめがあったと知っているのかもしれない。
 明日香がいじめで死んだと、知っているのかもしれない。」
「そんな・・」
「14才は子供じゃない。
 まして天使でもない。
 仮面の下に悪魔の顔を隠しているのかもしれないわ。」
「・・・ダメです。
 やっぱりダメです。」
「あんたみたいの、バカ正直って言うのよ!」
「そうかもしれません。
 でも、僕は教師です。
 疑うことからはじめちゃダメなんです。
 とにかく信じてみる。
 そこから始める仕事なんです。
 今度のホームルームで、生徒の声を聞いてみます!
 何を知っているのか、
 何を知らないのか、
 必ず聞きます!
 だから、生徒と個別に会うのはやめて下さい!!」
「・・・わかったわよ。」

朋美と並んで歩く珠子。
信号が変わるのを待つ間、
『今から行きます。
 部屋にあなたの写真があるなら、
 しまっておいてください。』
携帯でそうメールを打つ。

山藤家。
「恐れ入ります、喜里丘中学の担任の加地です。
 拓巳君とお話が、」
インターホンに向かって耕平はそう話すが、
母親はガチャンと切ってしまった。
「えーー・・」
もう1度インターホンを鳴らしてみる。
「あの、ここで待ってますので、」
又切られてしまった。
「参ったな・・・。」

夜になっても、耕平は山藤の家の前にいた。
そこへ早紀がやって来た。
「大城先生!」
「山藤君のお母さんから学校に連絡がありました。
 一体どういうつもりです?」
「山藤と、話し合いたいと。」
「無意味です。」
「無意味じゃありません!」
「無意味です。」
「僕達の仕事は無意味じゃありません!」
「学校なんてなくたって、勉強したい子は塾に行けば
 いいんです。」
「・・・僕が教師になったのは、中学の時の先生に、
 憧れたからです。
 その先生は、保健体育の先生でした。」
「保健体育ですか・・」
「正直言って、授業のことは覚えてません。」
「受験と関係ありませんからね。」
「だけど、僕が部活のメンバーに選ばれなくて落ち込んでいた時、
 気付いてくれたのは、その先生でした。
 親父が病気で倒れたとき、真っ先に声をかけてくれたのは、
 その先生でした。
 僕達が卒業する時、僕達と一緒に泣いてくれたのは、
 その先生だけでした。
 黒板に向かう、チョークまみれで、ヨレヨレの先生の背中を、
 僕は、今でも忘れません。
 それが、学ぶということだと、信じています。
 だから、学校には、学校の、」
耕平と早紀は、インターホンから聞こえるノイズに気付く。
「受話器が上がってる!今の話聞いてたのよ!」と早紀。
「山藤!山藤か!?」
インターホンは切られてしまった。
二人が立ち去ろうとすると、玄関のドアが開き、
拓巳が出てきた。
「負けたよ先生には。
 こんな時間まで待っててくれて。」
「当たり前だろ!」
「明日、学校に行くよ。
 先生の授業もちゃんと聞く。」
「本当に?」早紀が聞く。
「心からぶつかってきてくれたのは、
 加地先生が始めてだった。」
「大城先生!だからあきらめちゃダメなんです!
 大切なことは、ぶつかっていくことなんです!」と耕平。
「ええ・・」感動した様子の早紀。
「あ、そうそう。さっき、学校の先生全員にメールしたんだけど。」
拓巳がポケットから紙を取り出す。
「何を?」
「これ。」
早紀が受け取る。

『淫乱教師大城早紀
 〜不倫所教師と呼ばれて〜
 生徒の父親と不倫
 不倫現場を押さえた証拠写真
 不倫現場だ!!!』

「僕が作ったんだ。よく出来てるでしょ!」
「・・・」
「ね、すごい問題になったんだって?
 ネットでさ、先生が前にいた学校の子たちに呼びかけてみたんだ。
 そしたら、この写真送ってくれてさ。」
「何で・・・なんでこんなことを・・」耕平が聞く。
「え?面白いからだよ。」
不気味な笑みを浮かべて拓巳が答える。
「・・・」
「じゃ、又明日学校で。」
「待ちなさい!」
巧巳を殴りつけようとするその手を、耕平が止める。
「そんなことしたら、又クビになるよ。」
「おい、山藤!!」
拓巳が家に戻っていく。

ピアノを弾く朋美。
『ごめん。もうすぐ終わると思うから、
 待ってて。』
珠子は山先南にメールを送る。
「見事ね。
 そんなの上手なのに、どうしてやめちゃったの?」
「・・・積木さんのピアノ、聞かせてもらえませんか?」
「私?・・・私は・・・今日は銚子が悪いっていうか。」
「あなた誰ですか!?」
「え?」
「ピアニストじゃないですよね。」
「・・・弁護士よ。」
珠子が名刺を差し出す。
「・・・この指じゃ・・・ラフマニノフは弾けません。
 怪我したんです。
 私のピアノを聴けば、ちょっと耳の良い小学生でも、
 わかることです。」
「実はさ、」
「ありがとうございました。」
「藍沢明日香のことなの!」
「・・・」
「友達よね。あなたに、聞きたいことがあるの。
 もし何か知っていることがあるなら、
 友達だったんなら、」
「友達じゃありません!
 私達、友達じゃありませんでした。」
「でも、」
「私たちは、透明人間だったんです。」
「え?」
「失礼します。」
悲しそうな表情でそう答えると、朋美は帰っていった。

エレベーターの中、自分の左手を見つめる朋美。

繁華街。
「飲みすぎですよ!帰りましょうよ!
 こんなとこ保護者に見つかったら大変なことに!」
耕平が酔っ払った早紀の腕を引いて歩く。
「あんた面白いこと言うわね。
 あんなもん学校に送られて、今更大変も何もないでしょ!」
「いやでも・・」
「私はもうクビよ!
 正直に言いなさいよ、あんただって思ってるんでしょう!?
 不倫教師だって。淫乱教師だって!」
「思ってませんって!」
「好きになっちゃいけない男を好きになったのよ・・」
「・・・」
「加地先生。」
「はい。」
「ホテル入ってみようか。」
「えぇ!?」
「さ、入りましょう!」
早紀が耕平の腕を引っ張る。
「ちょっと、やめて下さい!!
 大城先生はこんな人じゃないじゃないですか!」
「あんたにオラの何がわかるの!?」
「え・・」
「・・・もう辞め時だったのよ。
 淫乱教師は田舎に帰るわ。」
「え?」
「どうだっていい。
 ね、あんたに明日こっそり返してあげようか。」
「何をですか?」
「藍沢明日香のカバンの中身。」
「え・・」
「明日辞表を出すから、その後で。
 おやすみ。」
「大城先生!」

「加地先生!」
後ろから声をかけられ、ゆっくり振り返ると・・・
メイド服姿の山田加寿子(鈴木 かすみ)が立っていた。
「こんなところで、何してるんだ?」
「すぐ近くに、同人誌のショップがあるの。フフフ。」
「見てなかったのか・・」
「何を?」
「何でもない。
 何時だと思ってるんだ。早く帰りなさい!
 じゃあな。」
「加地先生、
 ホテル、入ってみようか。」
「み、見てたんじゃないか!!」
「入ってみようよ!!」
ポーが耕平の腕を引っ張る。
植え込みの陰から、二人を覗く視線での映像。

翌日。
退職願を手に、会議室をノックする早紀。
「失礼します。」
机の上には巧巳が作ったチラシ。
「お世話になりました。」
早紀が雨木の前に辞表を置く。
雨木はそれを手に取ると・・・

職員室。
ネットで巧巳が作ったサイトを見る八幡。
熊沢もチラシを見ている。
そこへ早紀が戻ってきた。
「大城先生!」耕平が声をかける。
「はい。」
「昨日お話した、藍沢のカバンの件なんですが、」
「何のことでしょう。」
「え・・」

「そんなものは捨てて下さい。」雨木が教師たちに言う。
「大城先生にはこれまでどおり、この学校にいていただきます。」
「ほんとかよ・・」「責任問題なんじゃ・・」
「何の責任です?
 大城先生はよくやっていただいています。
 何の問題もありません。」
「でも、こんなものが、教育委員界に見つかったら、」と八幡。
「教育委員会には既に話をしました。
 当校はこのような卑劣な行為に屈するつもりは
 ありません。
 その生徒と保護者には、出席停止の措置もあり得ることを、
 私から話しておきます。
 では本日も、よろしくお願いします。」
「ちょっと、待ってください。
 これを、みなさんに見ていただきたいんです。」
耕平が雨木と教師たちに書類を配る。
『いじめに関するアンケート』
「今日、2年3組のホームルームで、このプリントを配ろうと
 思っています。
 生徒たちの、本当の声を聞こうと思っています。」
「なんだよ、いきなり。」と戸板。
「当校ではこれまで、いじめはないと考えられてきました。
 しかし、本当にないと言いきれるのでしょうか。」
「生徒を、疑うんですか?」と熊沢。
「違います。信じているからこそ、彼らの目を見、
 耳を傾け、問いかけるんです。
 一人ほとりが、いじめについてどう考えているのか、
 僕達はそれを知るべきなんです。」
「・・大変素晴らしい提案だと思います。
 しかし、今の段階では必要ないでしょう。
 このプリントは、まだ配らないで下さい。」
「え・・ではいつ。」
「検討いたします。」
「待って下さい!どうして認めていただけないんですか!?」
「認めないわけではありません。
 時間をかけて検討する必要があるといううことです。」
「ごまかさないで下さい!」
問い詰める耕平を教師たちが落ち着けと止める。
「時間はもうないかもしれないんです。
 僕達には見えてないだけかもしれないんです!
 今こうしている間にも、生徒たちの中で、
 何かが起こっているのかもしれない!
 今彼らの声を聞かなければ、
 今話し合わなければ、取り返しのつかないことが!
 ・・いえ、もう既に起こってしまった。
 すでに一人の生徒が・・
 だから、だからこそお願いします!!」
必死に訴える耕平だったが、雨木は黙って立ち去った。

ホームルームの時間。
「じゃ、早速、ホームルームを始めて下さい。
 議題は・・・」
アンケート用紙の入った封筒を見つめる耕平。
「・・・掃除当番の振り分けだったな。」

クライスラー事務所。
珠子が裁判所に向かうとエレベーターを待っていると、
そこから朋美が降りてきた。
「・・・いらっしゃい。」

会議室。
「学校は?」
「・・・」
「別に良いけど・・・何か用があったんじゃないの?」
「・・・」
「用がないなら、私も忙しいし。」珠子が席を立つ。
「明日香の・・」
「うん?」
「明日香のことが知りたいんですか?」
「ええ。」
「どうして?」
胸の、バッジの場所に触れる珠子。バッジはそこにない。
「藍沢明日香は、いじめられてた。
 あの学校にイジメはあるの?」
「・・・」
「誰にも・・・誰にも言わない?」震える声でそう言う朋美。
珠子は朋美の隣に座り、彼女の震える手を握り締める。
「私は弁護士です。
 あなたの許可なく、第三者にお話を漏らすことはありません。
 学校の先生にも、生徒にも、誰にも話しません。
 私があなたを守る。」
珠子を見つめる朋美。
「必ず守る。」
「・・・自分が誰なのかわからなくなるの。
 ある日、昨日まで友達だった子に話しかけたら、
 返事が返ってこなかった。
 聞こえなかったのかなと思って、
 肩に手をかけたら、すっと避けられた。
 あ、無視されてるって気がついた。
 私が話しかけても聞こえないふりをする。
 私が目の前にいても見えないふりをする。
 誰にも聞こえない、誰にも見えない、
 ここにいるのにいない。
 一週間、2週間、1ヶ月続くと・・
 自分でもだんだんそう思えてくる。
 私・・いないんだ。
 私・・ここにいないんだ・・
 私・・透き通っているんだ・・。
 私、存在しないんだって・・。」
涙をこぼして語る朋美。
「無視されること。それが、透明人間なのね。
 あなたも、明日香と同じ様に・・・」
「私・・・一年のとき、いじめられてた・・。」
「あなたと明日香は・・いじめを受けているもの同士で
 つながっていたのね。」
珠子が朋美を抱きしめる。
「ありがとう、話してくれて。
 よく話してくれたね。辛かったね。」
彼女の背中をさする珠子。
「大丈夫。あなたは透明なんかじゃない。
 大丈夫。ちゃんとここにいる。」
珠子の肩で泣き続ける朋美。

ホームルーム。
「先生、決まりました。」
「ああ・・
 じゃあ、残った時間は自習に。」
アンケートの封筒を見つめる耕平。
「・・・ごめん。ちょっと、みんなに考えてもらいたい
 ことがあるんだ。
 これから、あるプリントを配ります。
 みんなの、一人一人の意見を聞かせてほしい。」
プリントを取り出すと・・
一番上に、ホテルの前でポーが自分の腕を引っ張る
写真が置かれている!
「・・・」

弁護士事務所。
「大丈夫。大丈夫よ。
 ・・・教えてくれる?
 誰なの?」
「・・・」
「誰があなた達をいじめていたの?」

学校。
慌ててプリントを封筒にしまう耕平。
「先生、どうしました?」
「・・・」
生徒たちの笑顔を見渡す耕平。

弁護士事務所。
朋美が珠子を、珠子が朋美を見つめる。
朋美の口がゆっくりと動く。


※一部公式HPあらすじを引用しました。



後半、ストーリーが急速に動き出しましたね。
イジメはあった。いじめていた人物は!?
続きが気になります。

ちょっと違う風に考えてみました。
気になったのは、日野医師の言葉。

「今この国で起こっているのは、
 大人と子供の戦争です。
 いじめ、自殺。
 今子供達がしていることは、自爆テロです」

日野医師の言葉をドラマに当てはめると、
生徒たち全員が力を合わせて、教師たちに戦いを挑んでる?
そんな風に思えてきました。
ドラマ『QUIZ』を思い出します。

巧巳の目的は早紀を追いつめるため。
ポーはホテル前で耕平と2ショット写真を撮らせるため。
写真を撮ったのは、茂みからの視線と同じ角度でした。
その写真を別の生徒が撮っていて、封筒に写真を忍ばせた。
何のため?
『生徒諸君!』と被りますが、生徒たちは大人を信用して
いないんでしょうか。

自分はいじめられていたと語る朋美と
朋美から真相を聞きだそうとする珠子。
朋美は珠子担当なのかも。

「明日香のことが知りたいんですか?
 どうして?」
朋美に聞かれたとき、珠子は胸に手をあてました。
そこは、弁護士バッジをつける場所。(その時はついておらず)
弁護士として知りたいのか、母親として知りたいのか、
自分に問いかけていたように感じました。
「私は弁護士です。
 あなたの許可なく、第三者にお話を漏らすことはありません。
 学校の先生にも、生徒にも、誰にも話しません。」
珠子は明日香にそう約束しましたが、
あの時の彼女が弁護士ではなく、一人の母親としてなら・・・。

明日香も本当はいじめになど遭っておらず、
むしろ、クラスの中心人物で、人の良さそうな耕平に目をつけ、
自分の死を持って、学校を変えようと、
それこそ自爆テロを起こした?
二度の悲鳴は、明日香を止めようとした生徒たちのもので、
あのあと生徒たちは、明日香の死を無駄にしない為にも
テロを続けようと意志を固めた・・とか。
そして、もしかしたら雨木校長はそのことに感づいているのかも。

追記:第2話を見直してみたら、ラストに珠子は同じ様に
胸に手を当てていました。
そして、幼い頃の明日香の手紙のナレーション。
きっと珠子は胸に明日香の作文を忍ばせているのかも。
そして、コメント欄でlalaさんが書かれたように、
今度もボイスレコーダーのスイッチを入れた可能性もありますね。



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取り上げられている問題
給食費未納
受験優先
体罰
親に文句を言えない教師
見て見ぬふりをする大人

教師の秘密


学校とは・・・


キャスト

積木 珠子(30) ・・ 菅野 美穂
◇◇◇
加地 耕平(24) ・・ 伊藤 淳史
大城 早紀(27) ・・ 真木 よう子 (過去に生徒の父と不倫)
吉越 希美(25) ・・ 酒井 若菜  (キャバクラ)
戸板 篤彦(29) ・・ 大倉 孝二  (借金)
八幡 大輔(25) ・・ 水嶋 ヒロ  (指導記録隠し)
熊沢 茂市(45) ・・ 佐藤 二朗  (家庭問題)
雨木 音也(20) ・・ 五十嵐 隼士
宇田 昌史(30) ・・ 前川 泰之
大桑 久雄(40) ・・ 戸田 昌宏
日野 圭輔(?) ・・ 小市 慢太郎

◇◇◇
瀬里 直之(36) ・・ 谷原 章介
◇◇◇
藍沢 明日香(14) ・・志田 未来

雨木 真澄(53) ・・ 風吹 ジュン

【 2年3組 】
仁科 朋美 ・・ 谷村 美月 (明日香の友達?)
山田 加寿子 ・・ 鈴木 かすみ (ポー)
須藤 彩佳 ・・ 柳田 衣里佳
山西 麻衣 ・・ 伊藤 沙莉
野部 千春 ・・ 山本 ひかる
兼良 陸 ・・ 冨浦 智嗣
本多 雅樹 ・・ 池田 晃信

山藤拓巳・・登野城佑真(早紀の過去を暴露)

洋食屋『ぶらじる』コック ・・・・ 土田 アシモ
洋食屋『ぶらじる』おばちゃん ・・・・ よしの よしこ



スタッフ

■脚本■
 坂元 裕二
 (『東京ラブストーリー』『愛し君へ』『ラストクリスマス』
  『西遊記』『トップキャスター』ほか)

■音楽■
 岩代 太郎

■主題歌■
 BONNIE PINK 「Water Me」
 (ワーナーミュージックジャパン)

■ディレクター■
 河毛 俊作
 (『抱きしめたい!』『ギフト』『沙粧妙子最後の事件』
  『きらきらひかる』『人間の証明』
  映画「星になった少年」ほか)

 葉山 浩樹


菅野 美穂さんの主な出演作品


この記事へのコメント
ちーずさん、こんにちは!
ドラマレビューいつもありがとうございます。

珠子が上着の胸元に手をあてるシーン。
わたしはこう確信しました。

あれは『ボイスレコーダーにスイッチを入れるしぐさ』ではないか?と。

珠子は明日香のために動いているように見えて
実は、自分の過去にケリをつけたくて(?)戦っているようにも見えました。

明日香を養護施設に「捨てた」22歳の珠子・・・
何故、司法試験に受かることだけを考えたのか。
弁護士になった目的は何なのか。

第4話で明かされるのでしょうか。楽しみです。
Posted by lala at 2007年04月27日 15:24
ちーずさん、こんにちは!

もし推察の通り、明日香の死が子供たちの共謀による自作自演の自爆テロだとしたら、ホントに「QUIZ」を彷彿させますね。

そう思うと珠子が桐子のようにも思えてきました。
教師の中に誰か共犯先生がいるのかも?
もしかしてそれは雨木副校長だったり・・・
Posted by 小龍 at 2007年04月27日 20:36
今日は近くで放火事件があって友人の家のそばだったのでこんな時間にコメントです幸い友人たちに被害がなかったのでよかった!卑劣な犯行ですね…

ドラマに戻ると雨木の外部に頼らず、生徒のことを一番知っているのが教師ですが恐かったです!外部監査が入らないで、ナアナアや癒着が露呈した省庁が多くある中の発言このドラマの凄さを感じました!まぁ監査機関が機能していない場合も多いのですが!

加地の発言のなかに自分の責任と言う言葉がよくでてきますが、一見熱い発言のように見えますが弁護士である珠子の前で使う言葉では無いような…裁判になったら矢面に立たされるのは加地のような気がします!

日野医師の自爆テロに確かに明日香の死が自殺のように捉えられがちですが一話めのカメラワークではまだまだ決め付けられませんね!そして山藤の加地に心を許したようで大城を脅迫する態度も!しかしセクロボでも有った人間の裏の悩みや苦悩がうまく描かれていますね、本当に壊れているのが珠子だと悲しいですね…

大城もはじめは加地のように熱い気持ちをもって教職についたのかな?一瞬加地の言葉に反応しましたね、あとから出てきてホテルに誘う生徒の繋ぎ役には見えなかったけど、ひとつずつの偶然でさえ陰謀に見えてくるのはアンフェアとおなじですね!

軽く頭を叩いただけで問題になる制度や給食費の問題も勝手に大人が作ったルールというかレールに乗ってきた優等生が作ったマニュアル、考え方はいろいろ有るけどお金があって給食費を払わないなら私学に入れればって感じです!自分達が思ったとおりの教育なんてなさそうですけど…

来週は原告探しで珠子の辛い過去がまた露呈しそうですね!今回あった弁護士バッジを探す仕草はまだ母親としてか弁護士として事件に当たるのか迷っているようですね?当初思ったとおりに実の母親では無かったですが告発する人間と弁護する人間は同一ではいけないのかな?

奥が深いドラマになりそうですね!先週から始まった「生徒諸君」古いタイプの学園ドラマに今抱えている問題を無理やりくっつけたような脚本ですが意外と見入ってしまう古い人間なので〜どこまでコチラについていけるか見ものです!

ながなが、済みませんでした火事でテンションがあがったようです!
Posted by けた at 2007年04月28日 03:41
きょうは発見しなかった?
しかしちーずは決定しなかった。
Posted by BlogPetのぶるーじーん at 2007年04月28日 11:00
珠子の胸に手を当てるしぐさは私は単純に胸ポケットにあの作文が入っている、明日香の思いが届くように願っているなどと考えていました。
しかし奥深い。出てくる人皆が犯人に見えてきてしまった。みんな闇を心にもっているから疑ってみえてしまうのでしょう。そして善人設定である耕平のふりかざす正義感が空回りしていて虚しい。
次回の展開も楽しみです。
Posted by ぷうわん at 2007年04月28日 21:51
こんばんは。コメントありがとうございます!

★lalaさん★
ボイスレコーダーのスイッチ!
なるほど!と思い、耕平の言葉を録音するとき、同じ仕草があるのではと
第2話を見直してみました。
残念ながら発見できず。
その代わり、雨木と向かい合ったとき、珠子は胸に手を置きました。
そしてその直後、明日香の手紙の朗読。
あの胸ポケットには、明日香の手紙がしまってあったのかな。
でも今回もきっと、録音しているはずですね!
珠子の過去との決別・・・そうですね。
珠子は明日香を”捨てた”ことを後悔しているのでしょうか。
第4話、楽しみです。
また遊びにいらして下さいね!

★小龍さん★
珠子が桐子・・・
そして共犯は雨木先生・・・
なんか、あり得そうですよね。
明日香が飛び降りる前に、生徒との何らかの会話があり、
そして明日香は自ら飛び下りたのでは・・・
そんな気がしてなりません。

★けたさん★
放火事件とは・・・大変でしたね。
お友達の家が無事で何よりです。

加地の力強い言葉、まだ信用出来ませんね。
なんだか彼はすぐに雨木副校長らに丸め込まれてしまいそう。
でも、彼の信念は本物だと信じたいです。

大城先生は、あんな形で雨木に救われて、
これまで以上に雨木の思い通りに動いてしまうことでしょう。
青森から出て来たばかりの頃は、けたさんがおっしゃるように、
大城先生も、加地や八幡のように、希望に満ち溢れて教師になったのかも。

「生徒諸君」2話は見そびれてしまいました。
そちらの感想も、是非お聞かせ下さい!

★ぷうわんさん★
私も第二話を見直して、珠子の胸ポケットには明日香の手紙が忍ばせて
あったのだろうと思いました。
今珠子は、あの時出来なかった分も、明日香の為に自分が出来ることを
やらなければ、と戦っているのですね。
教師も、そして生徒も、心に闇を抱えている。
耕平のふりかざす正義感・・・本当に、言葉だけが独り歩きしているように
感じてしまい、寂しいです。
Posted by ちーず at 2007年04月30日 18:14
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