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2007年05月15日

セクシーボイスアンドロボ VOICE 6

『ZI』

ガラスの割れる音。天井には晩御飯のステーキが突き刺さっている。
「私の青春返してよ!」
「食べ物をなんだと思っているんだ!」
ニコの父・竹男(塚本 晋也)と母・雪江(片桐 はいり)は
物を投げあい、大喧嘩!
ニコ(大後 寿々花)と姉・一海(村川 絵梨)はテーブルの下に
非難し食事中。
「ね、原因なに?」ニコが聞く。
「お父さんが勝手に定期預金解約したみたいよ。」
「え!?何に使ったの!?」
「友達に貸したらしいよ、50万。」
「50万!?そりゃ怒るわ・・」

翌朝。
部屋はめちゃくちゃ。
ケンカをしたまま、竹男は出張に出かけてしまった。
雪江は竹男が大切にしていた牛乳キャップをゴミ袋に詰め
捨てに行ってしまう。「いいのかな・・・」と一海。
「まずい・・だろ・・」とニコ。
「だよね・・」
「なんか・・今までにない展開だな・・」
「離婚ってさ・・こんな風にいきなり決まっちゃったり
 するんだよね・・」
家族写真を手に取りながら一海が呟く。
「え・・」
「ニコはどっちに着いて行く?」
「いや・・どっちって・・」
「私はこれを機会に一人暮らしする。
 ニコもさ、どっちに着いて行くか、考えておいたほうがいいよ。」
「離婚って・・・」

ロボ(松山ケンイチ)が家に帰ると、部屋の様子が違う。
飾ってあったロボットが全て消え、代わりに本が綺麗に並べられている。
「あれ!?・・・え!?うそ!?」
「はいはい、お帰り。」ロボの母(白石加代子)が声をかける。
「母ちゃん!!」
「あんた、あんあ子供のおもちゃみたいなの、
 まだ集めてたんだね!」
「あ”−−−−−っ!!どこやったのーーーっ!!」
「ガオガイガーも、ゼオライマーも、ゴーショーグンも、
 みんな捨てた!!」
「嘘ーーーっ!!」ロボが外へ飛び出していく。
「はー、やっと、大人の部屋らしくなった。
 あとは・・・ドストエフスキー全集だがあればいいかね。」
「どこへやったんだーー!!」
外から戻ってきたロボがすごい剣幕で怒鳴りつける。
「これ呼んだら教えてやる。」
母はそう言い、
『あなたも3分で大人になれる本〜サラリーマン編〜』
をロボに渡した。
「勘弁してくれよ、もーーーっ!」
「お前もいい加減、大人になれ。
 ほら見てごらん。賢そうな部屋になったじゃない。」
「・・・・スイッチ・オーーン!」
拳を握り締め、その怒りをテレビのスイッチを入れることで
紛らわすロボ。
録画しておいたマックスロボがブチっと切れ、韓国ドラマに変わる。
「あ”−−−−−っ!!」
「カンさまぁぁぁ!!
 良かったー!ちゃんと撮れてて。
 私暫くここに置いてもらうから。」

学校帰り。
ニコは真境名(浅丘ルリ子)に呼び出され、骨董屋・地蔵堂へ。
真境名は接客中。女性と話をしている。
「呼び出しておいていつまで待たせるのよー。」
「そういう人なんだって。
 はい、出来た!」
『ネイルアート始めました
 壱回五百円』
名梨(岡田 義徳)はニコの爪に青、緑系の模様と、
英・社・理・数・国の文字を書き入れる。
「・・・なんで5教科なのよ。」
「いいじゃないか、中学生らしくて。」
「ニコ。」真境名が呼ぶ。
「なによ・・人を犬みたいに、偉そうに。」
「だからそういう人なんだって。」

「今話したニコです。」
「お願いします!」女性客がニコの手を取る。
「は?」
「うちの主人、殺した犯人見つけて下さい!」
「こ、殺した!?え・・」
「殺し屋・ZIを探してほしいの。」と真境名。
「あ・・いいです、もう、殺し屋は、私。
 中学生ですし。」
「証拠は残さない。死体も残さない。
 ZIはね、絶対にしくじらない殺し屋なの。
 だから警察も動かない。
 誰も顔を見たことがない。
 声も聞いたことがない。
 わかっているのは、女だっていうことぐらい。」
「そんなの・・見つかるわけないじゃないですか。」
「でもどこかで暮らしているのよ。
 普通にね。
 のほほんと。」

その頃。
マックスロボの主題歌を歌いながら食事の準備をする女性(りょう)。
「おい、風呂の水止めようか?」男の声。
「お願い。」
米びつのフタに、銃が貼り付けてあった。

ニコが家に帰ると、誰もいない。
「ただいまー。
 誰もいないの?
 ・・・そっか・・誰もいないんだ・・。」
ガランとした部屋に、寂しく思うニコ。

「今のままがそんなにいいとは思っていないのに、
 この生活を壊したくないと思うのは、
 どうしてなだろう。」


家族写真を見つめるニコ。
落ちていた牛乳キャップを拾い、今度はそれを見つめる。
『ハピネス牛乳』
「お母さん本当に捨てちゃったのかなー。」

「怒りのステーキは、まだ天井にへばりついたままだ。」

コードネーム・ロボ。
女好きのロボットオタク。
コードネーム・セクシーボイス。
七色の声を操る女子中学生。
二人はスパイ。
この複雑な世界、そして闇の中で、
彼らは次々起こる難事件に挑んでいく。
夢と希望を追いかける二人の名は・・・
セクシーボイス
アンド ロボ
あなたの隣にスパイがいる!


朝ご飯を食べるロボの顔を微笑みながら見つめる母。
部屋には『冬のソナチネ』のポスターが貼られたいる。
「あ・・・あんたその横顔、誰かに似てるわね。」
「あっそ。」
「あ”−−−っ!!」
母親がカン様カツラを取り、ロボに被せ、
ポスターの前に連れていく。
「ほら、そっくり!!」
「えーーーっ。」
「あーー、カン様!!カン様!!」息子に抱きつく母。
「あんた母親だろ。」嫌がるロボ。

「ロボいるー!?」ニコがやって来た。
「威一郎の母でございます。」
「あ・・どうも。」
「いいから!」
「あれ?なんか男前じゃん。」とニコ。
「うるさい!!」
「ほら。今日一日そのままにしておけって。」
「うん!いいんじゃない?」とニコ。
「なんでだよ!」
「しておけ!!」母の命令形にロボ、逆らえず。

外。
「燃える勇気と、マックス、サンダーー!」
掛け声に合わせてカツラとめがねを外すロボ。
「はっはっは。ざまーみろ!!」
「お母さんの前でやれよ。」
「出来ない。絶対出来ない。」
「何で?」
「俺の話なんか聞くわけないもん。
 理解しようとする気全然ないんだから。」
「あ、そうだ。ね、話聞いて。
 で、ZIっていう殺し屋がいて、
 ・・ちょっとロボ話聞いてんの?」
「殺し屋とかそんな話どうでもいいよー!
 もうどこにやったんだよ、俺のロボット!
 かあちゃんのヤツー!!」
「・・そうだ。うちも殺し屋とか言ってる場合じゃないんだった。」
目の前にはNHという花屋。
「うん?・・・母の日か。
 よし!
 すみません、カーネーション下さい。」
「はい、これでいいかな?」女主人(りょう)が選ぶ。
「はい!お願いします。」
「ふーん。そういうことするんだ。」とロボ。
「今年だけだよ。今ちょっとごたついてるからさ。」
「ふーん。
 NH。お店の名前かね。」
「そうよ。」と店主。
「何かのイニシャルですか?」ニコが尋ねる。
「昔の恋人の名前なおん。」
「へー!」
「な、台所の洗剤、新しいのどこ?」店の奥から男性の声。
「流しの下にない?」
ニコとロボが女店主を見つめる。
「今の話、主人には内緒ね。」
「知らないんだ。」とニコ。
「そ!ヒミツ!」女店主が微笑む。

「行ってきまーす!」
店の奥から子供が出かけていく。
「車に気をつけんのよ。
 はい、お待ちどうさま。300円です。」

ニコの家。
「ただいまー。」
母は無言で電卓を叩いている。
「・・・ん。」ニコがカーネーションを渡す。
「え?」
「どうも。」
お辞儀をしてそう言うと、ニコが台所を出ていく。
「・・・なに?照れちゃって。」
嬉しそうに花を見つめる雪江。
花束には、ニコからのメッセージ。
『いつもありがとう
 ニコ』
裏を返すと、『ハピネス牛乳』のキャップだった。
牛乳キャップを捨てたことを思い出す雪江。
見知らぬ男が、珍しいと、その袋を持っていった。
「どうしよう・・
 私、取り返しの付かないことしちゃったのかも・・。」

カーネーションを手に戻ったロボを、
「カン様ーっ!!」母親の友達が取り囲む。
思わず逃げ出すロボ。

家を飛び出したロボは、歩道にダンボールを敷いて野宿。
ロボットを返してもらうため、母に渡された本を読んでいた。
「俺はなんて小さいんだろう・・・。
 母ちゃんと戦うことすら・・出来ない。」
落ち込みながら寝返りを打つと、そこには昼間行った花屋があった。
「・・・うん!?」
NHを横から見るロボ。
・・・ZI!!
「あーーーっ!!ZI!!」

地蔵堂。
「うわー、来ましたよ。
 やっぱモノホンはすげーなー!」
金塊を手に取り感激する名梨。
「でもなーんかちょっと下品じゃない?」
「え?だって、現金数えるの大変だから金塊にしようって言ったの
 社長ですよ。」
「そうなんだけどー。」
「大体、夜中に、現金数えている社長の姿、最悪ですよ。」
「うそ!?そんなに酷い?」
「誰にも見せらんないです。」
「でもね、夜ごと、一枚、二枚って数えているの楽しいのよねー。
 でもこれだとすぐ終わっちゃうじゃない、数えるの。」
「数えるのが好きだったんだ・・」
「うん。数えたい・・数えたい・・数えたい・・
 最悪でもいいから数えたい・・」
名梨の胸に寄り添い甘える真境名。
「そんなに甘えられても・・・。」

夜中。ニコの部屋にロボがやって来た。
「ニコ!見つけた!」
「あーん?」
「あーんじゃないよ。目を開けろ!」
「メロン開けるの?」寝ぼけるニコ。
「何言ってんのよー!!」ベッドを揺らすロボ。
「・・あれ!?何でロボがいるの!?」
「ZI、見つけたんだよ。」
「うっそっ!!」
「声が大きい!」
「どこで!?」

花屋の前。
首を横にして看板を読む二人。
「おー、ZI。ほんとだー!」
「でしょ!?」
「いやー、でも、こじつけって感じするよ。」
「間違いないって。ZIだよ。」
「でもね、単なる偶然だよ。」
寝袋に包まるニコ。
「あらやだ。せっかく人が見つけたのに、何でそんなこと
 言うかね!」
「私寝るからさ、ちゃんとロボ見ててね。
 おやすみ!」
「ちょっとー!寂しいじゃない、ねー!
 ねーってば、もう!!」

早朝。
ロボもニコも目を覚ますと、手足を縛られていた。
「なんじゃこりゃ!一大事だ!」
「イチゴ味!?」目ぼけるニコ。
「違う!起きろって!」
「もう!うるさいな!!
 ・・・あり!?動かない。何で!?」
「お前ら何者だ!!」子供が睨んでいる。
花屋の息子だ。
「小太郎!」女主人が店から飛び出してきた。

「本当にすみませんね。」
女主人とその夫が、二人に朝食を勧める。
「あーーーっ!!
 元気爆発、ガンバルガー!!
 おいお前!何であんなもん持ってるんだよ。」
少年のロボットを指差しロボが言う。
「お前ら、スパイだろ!?」と少年。
慌てて首を振るニコとロボ。
「違います、僕達スパイじゃありません!」
「そりゃそうだよね。
 うちみたいな家、見張っててもね。」と夫。
「普通の花屋だもんね。」と女店主。
「ですよね!エヘヘヘヘ。」ニコが引きつり笑い。
「こんな普通な家庭、見たことありません。」とロボ。
「さあ、いただきましょう。」「いただきMAX!」

その時、花屋の家に銃弾が撃ち込まれる。
女主人は子供を押入れに隠し、窓の外を伺う。
「あの女の人!」とニコ。
それは、地蔵堂で真境名に依頼をしていた女性たちだ。
「あいつら知ってんの!?」と女店主。
「ZIを探していた人だ。」
「・・・」
「旦那さんを、ZIに殺されたって言ってた。」
「それ嘘だよ。」夫はそう言い、妻にピストルを渡す。
「え、じゃああの女の人・・」
「私と同業ね。」
「・・・花屋じゃないよね・・。」
「殺し屋よ。」
「・・やっぱり、ZIって・・」
「そう。私がZI。」
ZIの指示で、ニコ達は押入れの隠し戸から逃げ出す。

車の中。
「お父さん。この人たちに、本当のこと言っちゃおうよ。」
「・・・」
「小太郎君、本当のことって、何?」ロボが聞く。
「お父さん、本当は、宇宙人なんだ。」
「え・・うそ・・」
「それを知ってる、悪いヤツが、時々追いかけてくるんだ。ね!」
「ああ・・」
「あの・・何星から来られたんですか?」とロボ。
「何で急に敬語になるんだよ!」
「ここでタメ口聞いたら、地球が滅ぼされちゃうかもしれないだろ!
 バカ!」
「バカってどっちがバカだよ!バカ!」
「バカ!」「バカバカ!」
「・・・しつこいわねー。」
ZIがバックミラーを見つめている。
ニコたちが乗った車は、ずっと尾行されていた。

倉庫に逃げ込む5人。
「敵のリーダーは、女?」ロボがニコに確認する。
「そう。」
「よーし、一か八か・・・」
ロボはカツラとメガネを付け、カン様になりきって笑顔を振りまく。
「こんにちは。カン・スンフォンです。
 あなたは、私の家族です!」
「・・・」
「ほーらやっぱり!韓流ドラマのファンだったんだよ!」
ロボがニコに言う。
「あなたを、包んであげたい!」両手を広げて一歩前に出るロボ。
敵の女が発砲してきた。
慌てて隠れるロボ。
ZIも発砲する。

ニコが地蔵堂に連絡する。
「いや、あの、だから、客が殺し屋で、
 それで今追われてて、それであの、狙っているのは、ZIで、」
「いや、違う。
 ヤツラが狙っているのは、俺だ。」と夫。
「え!?そうなの!?
 えっと、狙ってるのは、ZIの旦那さんの方で、」
「意味わかんねーよ。
 今すぐいくから待ってろ。」
たこやきを作っていた名梨が答える。

「あんた達、向こうへ行って。」ZIが言う。
ロボ、少年、夫が走る。
敵からの銃声は鳴り止まない。
「あんたもここにいたら危ないよ。」ZIがニコに言う。
「・・・」ZIを見つめるニコ。
「なに。」
「いや・・あの、女の人でも、こういうことするんだなーと思って。」
ZIが微笑む。
「あんたさ、ままごと好きだった?」
「・・・普通、かな。」
「私は大嫌いだったなー。
 お人形と遊ぶのも大嫌い。
 誰かの為に生きていくなんて、クソ最低だと思ってた。」
「今は・・違うんですか?」
「小太郎に服着せるのも好きだし、
 夕ご飯用意している時の感じとかも好き。
 窓から夕焼けが見えてさ、小太郎と、あの人の喋る声が、
 途切れ途切れに聞こえてきて・・。
 お皿の触れ合う音、ネギを刻む音、
 お鍋から上がる湯気。野菜を茹でる匂い。」
ZIが幸せそうに笑う。
「私は、そういうものを全部、失いたくないの!
 自分の為じゃない。
 誰かの為に、私は、生きていきたくなっちゃった。」
涙をこぼしながらそう言うと、敵に向かって発砲するZI。

「ニコ!ニコ!」ロボが心配する。
そこへ、名梨登場。
「派手にやってんねー!」
「遅いよ!!」名梨に抱きつくロボ。
「俺に任せとけ。」
そう言い、大きなバッグを開けると・・・
「うわ、俺マジ最悪!!」
中には黒電話、銅像、ガムテープなど、拡声器必要のないものばかり。
「マシンガンとかライフルは!?」
「俺、昔からあわてん坊さんって呼ばれててさ。」
「ばかじゃないのー!?」
「ヤバイ、向こうに走れ!!」
子供を抱えて走る夫の足に、銃弾が。
「誰かーーー!!」
ロボの声に気付くニコとZI。
敵が夫たちへ、じわじわと近づいていく。
「みんなで、お父さんのことばっかり狙って!
 僕がやっつけてやる!!」
おもちゃの銃を取り出す小太郎。
「ちょ!ちょっと待て!」ロボが止める。
「話せ!僕が!!」
敵がどんどん近づいていく。

「このままじゃ・・・」とZI。
「狙ってるのは・・・おじさんなんでしょう!?
 敵の注意をこっちに向けさせよう。」とニコ。
「どうやって?」
「私が何とかする!」
「え?」
「救えるのは・・宇宙で私だけ!」
ニコはそう言うと、男の声を使って敵に話し掛ける。
「こっちだ、何してる!こっちだぞ!」
「ちょっと!そんなことしたらあんたが危ない。」とZI。
「家族守りたいんでしょう!?」
ニコはそう言うと、男の声色で「こっちだ!」と叫びながら
走り出す。
敵がニコ目がけて銃を放つ。
「バカ・・」
ZIが銃を放ちながらニコに続く。
「お前らなんかに家族を殺されてたまるか! 
 一生懸命生きてるんだ!!
 お前らみたいなものにメチャクチャにされてたまるか!!」

ZIの銃の弾が全て無くなってしまった。
敵が近づいてくる。
「ごめんね。」とZI。
目を閉じるニコ。
敵が銃を構えたその時、サイレンの音。
「お前たちは、完全に包囲されている。
 無駄な抵抗はやめて、今すぐ出てきなさい!」
警察のシルエット。
「逃げろ!」女たちが逃げていく。

警察の正体は、ロボと名梨だった。
人型のダンボールを抱える名梨。拡声器を手にするロボ。
「愛と勇気と正義に、限界は、なーい!!」
「もう遅いよ!」
「こいつがバッジに凝っちゃってさ。」と名梨。
「完璧!」ロボが似顔絵入りの手帳を見せる。
「ダメダメ!」名梨が計算機を見せる。
「こんなの誰からも見えてないって。」とニコ。
「パトカーは?」とZI。
小太郎がおもちゃの銃の音を鳴らす。
嬉しそうに微笑み、小太郎を抱きしめるZI。

地蔵堂。
小太郎はZIの膝で眠っている。
「やつらが狙ったのは、この人です。」ZIが言う。
「だったら、何でZIを捜せなんて、回りくどいこと言ったんだ、
 あの女。」
「この人、死んだことになっているんです。
 私が殺したことに。
 でも殺せなかった。
 多分それがバレて、新しい殺し屋を差し向けたんだと思う。
 私と一緒にいることも、わかってたんでしょうね。」
「どうして彼を殺さなかったの?」
「もちろん殺すつもりでした。  
 それが私の仕事ですから。」

ZIが男に発砲していたその時、赤ん坊の泣き声がどこからか
聞こえてくる。
「おい!聞こえるだろ。
 俺は行くぞ。」
男は銃を捨て、ダンボールに駆け寄る。
男の赤ちゃんだ。
「おい!すごいぞ!
 ちっちゃいと、心臓の音が、ドクドク、手に伝わってくる。
 ほら。抱いてみろ。」

「絶対と言われた私だけど、赤ん坊を抱いた男は撃てなかった。
 明日こそ殺そうと思うのに、次の日になると、やることが山のようにあって、
 仕方ないから明日殺そうと思う。
 その繰り返しで。」
「逃げようとは、思わなかったんですか?」ニコが聞く。
「逃げて元に戻っても、新しい殺し屋が来るだけだ。
 だったら、ここに隠れていた方が安全じゃないかと。」
「私達、ハマったんだよね。」
「うん、そうだな。」
「家族っていうやつに・・・ハマっちゃったんです。
 こんなの背負い込んでどうなるかと思ってたのに、
 いつの間にか、手放したくなくなってた。
 家族って・・面白かったなー・・・。」
「そうだな。面白かった。
 でも・・・もうここには入れないな。
 俺がいる限り、次から次へと、殺し屋がやって来る。
 そんな家族、普通じゃないもんな。」
「・・・」

ZIの家。
押入れに篭った小太郎に語りかける父。
「小太郎。お父さんな、もう地球にいることが出来なく
 なったんだ。
 自分の星に、帰らなきゃいけないんだよ。
 お前もさ、自分の星は大事にしろよ。
 じゃあお父さん行くな。」
「・・・」
「空の上から、お前のことは、ずっと見てるからな。」
涙を流しながら父の言葉を聞く小太郎。
戸を開けると、父はもういなかった。

ロボとニコに父がいなくなったことを話す小太郎。
「そっかー。
 さよなら言えなかったのかー。」とロボ。
「本当は言いたかったんだ、さよなら。」とニコ。
「でも・・言えなかった。」
「今からでも言えるじゃない!」とロボ。
「どうやって?」
「だから・・・星にいるんだから、空から見えるように、
 人文字とか!」
「本当に!?
 人文字なら、お父さんに見える!?」
「見える!絶対に見える!」
「人文字って・・三人しかいないじゃん。」とニコ。
「大丈夫だよ、友達とか呼べば。」とロボ。
「そんなに友達いる?」
「いるよ!4人。」(あの友達かな?)
「私だって5人ぐらいしかいないよ。」
「・・・」落ち込む小太郎。
「いや!無理じゃない!!
 できる!絶対に!!」

テレビでは、極秘来日最終日、帰国するカン・スンフォンの姿が
中継されている。

「お願いします!!」
土下座をして母に頼み込むロボ。
「うん。で、何人いるの?」
「50人いれば、なんとか!」
「わかった!」

夜、マイクロバスが次々と到着。
中からロボ母の韓流仲間が降りてくる。
「みんな!」ロボ母が駆け寄る。

「すごい!200人はいるよ!」ニコが驚く。

まずはカン様そっくりなロボと記念撮影。
顔をひきつらせるロボ。

そして、人文字撮影。
「間もなく、カン様が乗った飛行機が、
 上空を通過します。
 カン様が見えるように、ペンライトを振ってくださーい!」
「はーーーい!!」

「お父さん・・見てくれるかなぁ。」
「小太郎!絶対に、見てくれる!」
ロボの言葉に嬉しそうに頷く小太郎。

ニコが、目の前のホテルに止まる小太郎の父に電話をする。
「西の窓、見て下さい。
 小太郎君からのメッセージです。」

電話はそこで切れた。
小太郎の父親がカーテンを開ける。

「来ました!あの飛行機です!
 あの飛行機に、カン様が乗っていますよー!」
ニコの言葉に、おばさま達が歓声を上げ、ペンライトを懸命に振る。

「さよなら!お父さん、さようならー!」小太郎が叫ぶ。

窓の外を見つめる父。
『サヨナラ』の文字が、キラキラと揺れていた。

「サヨナラ・・・小太郎・・・。」
涙を浮かべて呟く父。

おばさま達が帰ったあとも、ロボ、ニコ、小太郎は懸命に
ペンライトを振り続けた。

「これ、あげる。」小太郎がロボットを差し出す。
「え?・・・いいの?」
「今度は、僕がお母さんを守らなきゃならないから、
 もう子供じゃないから、いらないんだ。」
「そっか。」
ロボがロボットを受け取る。
星空を見上げる小太郎。
「家族がバラバラになるのは嫌だ。
 私は絶対に嫌だ。」ニコが呟く。
「でも・・・いつかはバラバラになる。
 それが、大人になるって、ことなんだよ。」
ロボはそう言いロボットを見つめる。

翌日。母を見送るロボ。
「あのさー、俺はカン様とは、違う人間なんだからさ。」
「そんなのわかってる。」
「いい加減目を覚ませよ。いい年してさ。」
「そんなことわかってるよ、言われなくたって。
 日々ばあさんだって身にしみてるよ。
 でも現実だけで生きていくのは辛いんだよ。」
「・・・」
「お前だってそうなんだろ?
 だからあんなおもちゃ、まだいじくってるんだろ?
 カン様が好きってことにしてると便利なんだ。
 父ちゃん、呆れて私のことほっといてくれる!」
母が笑う。
「お前もほっといてもらいたかったんだな。
 自分だけの世界持ちたかったんだな。
 今ならわかる。」
「・・・」
「もういいよ、ここで。
 ・・・じゃあな!」
母が帰っていく。
「なんで俺は・・・もっと大人になれないんだろうな。」
心を決めて頷くロボ。
「母ちゃん!」
ロボの声に振り返り驚く母。
カン様に扮したロボがいた。
「サヨウナラ!」とロボ。
「・・・アンニョイヒケセヨ。」嬉しそうに母が言う。
「アンニョン、ヒケセヨ!」
「死ななきゃそれでいい!
 死ぬまでロボットいじってろ。」
母はそう言い、大きく手を振り、帰っていった。

地蔵堂のウィンドーに牛乳キャップが飾ってあるのを雪江が見つける。
「あの!!すみません!!
 お願いです、あれ元はといえば、うちの主人のなんです。
 私勝手に捨てちゃって。
 このことバレたら間違いなく離婚なんです!
 家族もバラバラになるかもしれない!
 お願いです。譲って下さい!この通りです!」
「ああ・・そういうことならお返ししますよ。」と真境名。
「ほんとですか!?」
「あなたが捨てたのは、金で出来たフタ?
 それとも紙で出来たフタ?」
「何言ってんですか?
 この世に金で出来たフタなんてあるわけないじゃないですか。」
真境名が箱に一杯詰まった金のフタを見せる。
「・・・これ本物!?」
「もちろん!」
「本当だ・・牛乳のフタの形してる!」
『ハピネス牛乳』と彫ってある。
「あなたが捨てたのは、金のフタ?紙のフタ?」
「え・・・
 うん・・・
 紙の・・紙のフタです。」
「あなたは正直者だから、家族を返してあげましょう。」
ダンボール一杯の牛乳のフタを渡す真境名。
「ありがとうございます!」
「表のも持っていってね。」
「はい!!」

「あーあ、俺、なんか好きだったんですよねー、あの牛乳のフタ。」
「ねーよっちゃん。」
「何ですか?」
「家族ってそんなにいいものなのかしらね。」
「さー、どうなんですかね。」
「よっちゃんの家族はどうだった?」
「俺っすか?
 俺は、物心付いたときからいないから、よくわかんねーっす。」
「ふーん、そうなんだ。」
金のフタを数えだす真境名。
「ほら!その顔!数える時の顔、やめた方がいいっすよ。」
「大丈夫よ。絶対に人には見せないから。」
「俺には見せてるじゃないっすか。」
「よっちゃんはいいの!」
「何でです?」
「家族だから。」
「・・・いや。家族って・・。」
振り返ると、真境名が必死な形相で金のフタを数えている。
「だからやめた方がいいですってー。」名梨が微笑む。

ZIの店で花を選ぶ竹男。
「奥さんにですか?」ZIが聞く。
「いや・・ちょっとケンカして出てきちゃったものだから。、
 帰りづらくなっちゃって。」
「あ、じゃあ、ありったけ持って帰って下さい。
 ただでいいですから。
 うちね、店じまいするんですよ。」
抱えきれないほどの花束を渡すZI。

地蔵堂。
トランプをして遊ぶ名梨と小太郎。
ZIは、銃を金に変えていた。
「確かに。
 ・・・バラバラだった人間が、偶然出会って、
 家族になれるんですね。」
「どんな家族だってそうじゃない?
 知らないもの同志が、偶然出会って家族になる。」
「そっか。
 そうですね。」
「偶然出会って、時間が経てば、又ほどけてバラバラになっちゃう。
 どんな出会いも、そんなものでしょう?」
「はい。」

花でいっぱいの林家。
家族4人笑顔で賑やかに鍋を囲んでいる中、
天井からボトっと肉が落ちてきた。

「怒りのステーキは、時間が経って剥がれ落ちた。」

ロボの家に、ロボットが帰ってきた。
満足気にコレクションを見つめるロボ。
足元に落ちていた韓流ドラマのポスターを見つめ・・・
壁の目立たぬところにポスターを貼った。

「時間が経てばほどけてしまうのなら、
 ほどけるまでの間、私はちゃんと家族を続けようと思う。」


一海と一人暮らしは両親に却下される。
「あ、ニコ、来週誕生日だよな。」
「何ほしい?」
「うーん。・・・別に。」
「そういうの一番困るのよね。」
「いまどきの子供は、」

「本当はこう言いたかった。
 何もいらない。
 何も入らないからまだ私のこと、
 見ててほしい。」



※一部公式HPあらすじを引用しました。


ロボと母親。
ニコの両親の大喧嘩。
よっちゃんと真境名。
そしてZIの家族。

今回、いろんな家族が描かれていました。

ロボのオタクな趣味に、
「現実だけで生きていくのは辛い」
「自分だけのッ世界を持ちたかった」
「死ななきゃいい」
ロボのお母さんの言葉に共感しました。

ニコの家族。
些細なことで大喧嘩し、夫が一番大切にしているものを
捨ててしまった妻。
取り返しの付かないことにならなくて本当に良かった!

よっちゃんと真境名。
この二人も、家族なんですね。
金のフタと紙のフタ、楽しかった!
必死に家族を守ろうとしている雪江が羨ましかったのかな?
金貨数える真境名の表情も最高!


そしてZIの家族。
殺し屋だった女が、男と赤ん坊と一緒に暮らすことになり、
何気ない日常に、幸せを感じるようになった。
誰かの為に生きたいと思うようになった。
他人が、家族の絆で結ばれていった。

悲惨な事件、悲しいニュースがあったばかりなので、
余計に思うところが沢山ありました。


8話9話と連続物の話だそうで、
「プッチーニ」という謎の3人組の役を
小林聡美さん、もたいまさこさん、ともさかりえさん、
この3人が演じるようですよ!楽しみ!
視聴率のせいで打ち切りも心配でしたが、
プロデューサー日記に、11話最終回とあったので
安心しました。



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B000P6YM5S「セクシーボイスアンドロボ」オリジナル・サウンドトラックTVサントラ バップ 2007-05-30by G-Tools



原作
セクシーボイスアンドロボ
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キャスト
2人のスパイ
須藤 威一郎 (通称:ロボ) * 松山 ケンイチ
林 二湖 (通称:ニコ) * 大後 寿々花

ニコの家族
林 一海(ニコの姉) * 村川 絵梨
林 竹男(ニコの父) * 塚本 晋也
林 雪江(ニコの母) * 片桐 はいり

謎の組織 
名梨 秀吉 * 岡田 義徳
真境名 マキ * 浅丘 ルリ子 骨董屋・地蔵堂社長

高村君



第1話 
「三日坊主」 * 中村獅童
 玉子の殻
【生きてきた証。自分で決めなくてはいけない一歩】
 
第2話 
「ごぼ蔵」後藤 * 村上淳
 携帯の留守電メッセージ
【恋愛】

第3話
「お歯黒女」 *  香椎由宇
 未来の自分への手紙、人生ゲーム
【ありがとう】

第4話 「かんにん袋」 * 市川実和子
 笑袋
【何事も無駄なことはない】

第5話 「うしみつ様」
えりん * 黒川智花
チエ * 高瀬友規奈
入山法子
仲里依紗
木南晴夏
(ミカ、玲、まなみ)

第6話 「ZI」
ZI* りょう
【家族】



スタッフ
脚 本
木皿 泉 (「野ブタ。をプロデュース」「すいか」)

原 作
「セクシーボイス アンド ロボ」
 黒田硫黄/小学館(イッキコミックス刊)
(第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作)

音 楽
中塚 武

主題歌
「ひとつだけ」 歌 みつき
作詞・作曲 馬場俊英 / 編曲・プロデュース 小渕健太郎
(ワーナーミュージック・ジャパン)

演 出
佐藤 東弥

プロデュース
河野 英裕


松山 ケンイチさんの主な出演作品


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posted by ちーず at 22:22 | セクシーボイスアンドロボ

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