2007年05月22日

プロポーズ大作戦 第6話

『10代最終日何を卒業しますか』

「人間とは、物事が上手くいかなかったときに、
 理由を求める生き物である。
 状況やタイミング、天気や運勢、
 様々な言い訳を引っ張り出しては自分を慰める。
 こんなはずではなかった。
 もう1度やり直せればと。
 やり直せれば本当に上手くいくのだろうか。
 一度目で出来なかったことが、二度目で出来る自信は、
 どこから来るのだろうか。

 男の名前は岩瀬健。
 今、この男の本当の実力が試されている。
 
 キスには成功したものの、肝心の告白を避けていては、
 結婚はおろか、恋愛に発展するはずもない。
 果たして、この男に幸せは訪れるのであろうか。」
スクリーンには、礼の20歳の誕生日の写真。
多田(藤木直人)と礼(長澤まさみ)の2ショットだ。
「礼さん、大学2年の秋。
 礼さんの誕生日がきっかけで、お二人の距離が、
 徐々に近づいていくのであります。」
司会者が言う。

「おい!何で急に飛ばしてるんだよ。
 何で急に1年以上も飛ばしてるんだよ!
 もっと大学1年のときの写真いっぱいあったろ!?」
健(山下智久)が幹雄(平岡 祐太)たちに言う。
「どうしたんだよ、急に。」
「しかも俺映ってねーし・・」
「お前の結婚式じゃないだろ。」
「ふざけんなよ・・」

「今考えると、すっごい寂しい誕生日だよね。」礼が微笑む。
「20歳の誕生日に、研究室でビールじゃね。」
「あまりにも寂しくて、泣けてきたの覚えてる。」
「あれ?本当に泣いてなかったっけ?」
「そうだっけ?」
「私の10代って、何だったんですかねって
 言ってた気がするけど?」
「もう覚えてないよ。」
「でも、この日頑張ったお陰で、コンペで大賞取れたんだし、
 無駄じゃなかったんじゃない?」
「・・今思えばね。」そう言い微笑む礼。

「礼が二十歳を迎えた瞬間、一緒にいたのは多田さんだった。
 何で無理してでも会いに行かなかったんだろう。
 どうして真っ先に祝ってやれなかったんだろう。」


切ない表情で健を見つめる礼。
健はうつむいて考え込んでいる。
気持ちを切り替えるように、スクリーンに視線を戻して微笑む礼。
そんな礼の微笑みを見つめる健。

「戻りてーなー。
 戻って礼の誕生日を祝ってやりたいけど、
 写真に俺映ってねーし。」

会場の照明が落ち、妖精(三上博史)が姿を現す。
「あ・・俺映ってないんですけど・・」
「よく目を凝らせ。
 あそこにいんだろ、あそこ!」
写真の中の研究室に、みんなでワールドカップ観戦をした時の
写真が飾ってある。
「あんなんでもいいんですか!?」
「誰がダメだと言った?」
「ないとダメなのかと思った。」
「勝手にダメだと決め付けてチャレンジせずにあきらめる。
 ま、お前の限らず、人類全般に言えることだな。」
「はぁ・・」
「ぶつかりもせずに自らの手で奇跡の扉を閉じていては、
 幸せなど舞い込むわけがない。
 当たって砕けろという言葉があるが、
 本当に砕けた人間なんて見たことがあるか?」
「むしろ見てみたい気がします。」
「人間は丈夫な生き物だ。
 相手に気持ちを伝えたくらいで、砕けはしないよ。」
「・・・ですね。」
「このハンバーグ、貰うぞ。」
「でも、それこの間も食べてましたよ。」
「同じものを食べないと誰が決めた!?
 いいか、決め付けはタブーだ。
 よく肝に命じとけ。」
「はい。」
「求めよ、さらば与えられん。」
「晴れるや、チャンス!」

健はなんとかタイムスリップに成功。
が、戻った過去で女性に睨まれ焦る健。
「浮気したんでしょ!?」と問い詰められる。
そこはハンバーガーショップ。
その女性は、幹雄の恋人・優子(原 史奈)だった。
「だから浮気なんてしてないって言ってんじゃん。
 昨日の夜は健の家にいたって。」
「いっつも都合が悪くなると健の家って嘘ついて!」
「嘘じゃないって。な?」
「ああ・・」
「じゃあ何してたのよ!」
「レンタルビデオ屋に行って、健がビデオを借りるのを
 付き合ってた。」
「嘘でしょ!?」
「嘘じゃない。」
「じゃあ何借りたのよ。」
「何って・・」
「タイトル教えなさいよ。すぐ答えて!」
「それは俺の口からは言えないよ。な?」
「???」
「あー、これは完全にアダルトだー!」と尚(濱田 岳)。
「最低!」と礼。
「誤解だってば!」と健。
「健はどんなのが趣味なの?」とエリ(榮倉 奈々)。
「昨日は、熟女もの!」と幹雄。
もへぇーボタンを押し捲る店長・保(菊池健一郎)。
「ヘぇーはヤバイだろ。」と健。
「バーカ。今めちゃめちゃ流行ってるじゃねーかよ。」と店長。
エリも尚もへぇーボタンに大喜び。
「いい加減にして!!
 私別れる。
 うちからすぐに出てって。」と優子。
「二人とも、少し落ち着いて話した方が、」と礼。
「OKわかった。じゃあ合鍵ポストに入れておくわ。」
幹雄の言葉に、優子は水の入ったピッチャーを手に取る。
素早くかがむ幹雄。
ずぶ濡れになる健!
「何で俺なんだよ!」

おかげで健は風邪を引いてしまった。
そんな中、幹雄の引越しを手伝う仲間たち。
「じゃあ、鍵置いてくるわ。」と幹雄。

車に乗り込む礼、尚、エリ、健。
「幹雄たちってどれ位付き合ってたの?」と礼。
「3年ぐらいかな。
 つーか終わる時はあっけねーな。」と尚。
新着メールを確認し、ため息をつくエリ。
礼がそんなエリの様子に気付く。

幹雄が戻ってきた。
「ようやく姿を現しました、幹雄選手。」と尚。
エリが車のエンジンをかける。
「幹雄!」優子が追ってきた。

「あ!優子が追いかけてきた!」と尚。

優子は幹雄の頬を引っ叩く。

「うぉー!」驚く一同。

引っ叩いたあと、幹雄に抱きつく優子。

「えーーーっ。」又驚く一同。

幹雄が優子を抱きしめ、グルグル回り始める。

「出た。必殺メリーゴーランド。
 1回、2回、3回ー!」呆れたように尚が言う。
「何なの、あれ・・」と礼。

見詰め合う二人。
優子が幹雄のおでこにキスをした。

「あー、おでこにチューだ!」
 白昼堂々おでこにチュー!」と尚。

幹雄が優子の頬を掴み、口を近づけていく。

「あーーっ!!」
みんなはそれ以上見るのをやめた。
「一番ダメージ大きいの健な。
 無駄に水被ったもんな。」
礼はバックミラーで健を見つめていた。

学校。
引越しの手伝いのお礼にランチをご馳走することになっていた幹雄。
奢ってもらったのがかけうどんだったことに不満を漏らす尚と健。
「奢るって言ったら普通アレだろ!」
『すき焼き定食1000円』のメニューを指差す。
「そんな金ねーよ。」
学食で会計するマラソン選手。
「あーあ、俺らいつになったらすき焼き定食卒業出来るのかね。」と尚。
「俺一回食ったことあるよ。」と健。
「あ!裏切り者!
 お前なんか、もう友達じゃないぞ!」
「すき焼き卒業する前に、まずは童貞卒業しろよな。」
「あ!お前!すき焼きの方が絶対大事!!」
「おかしいって。」と健。
「おかしくないよ!」
「ちっちゃいって。」
「大きくなるもん!!」

すき焼き定食を注文するソクラテス(渡部豪太)。
「黒く濁った海から牛肉を救い出し、
 卵の黄色い湖にそっと浮かべる。
 ああ・・・これ以上の芸術が存在するであろうか!
 なあ、マスター!」
「その芸術を俺にもくれ!」と尚。
「アッハッハッハ。
 青年に捧げたいことはただ3言に尽きる。
 すなわち、働け!
 もっと働け!
 あくまで働けだ。
 BYビスマルク。」
「???」

ため息をつくエリ。そんなエリを心配する礼。
「幹雄の彼女すごくなかった?」とエリ。
「うん。普通はなかなか出来ないよね。」
「あそこまで出来るってある意味すごくない!?」
「私には無理。
 人間には向き、不向きがあると思うし。」
「多分さ・・向いてるとか、向いてないとかじゃないんじゃないかな。」
「え?」
「失いたくないものがあるときにさ、
 かっこ悪くても、思い切って一歩が踏み出せるかどうか・・・
 なんだろうね。」
「・・うん。」
「あのね礼。」
「うん?」
「今日さ、」
「吉田さん。」そこへ多田がやって来た。

構内を歩く礼、多田、そして健たち。
「私が、ですか?」
「コンペに出品する予定だった3年生が取りやめたんで、
 是非、吉田さんにと思って。」

「あの時のコンペか・・」

「すごいじゃない!
 これ、副賞が本場米沢牛すき焼きセットだって!」とエリ。
「うわー!ほんとだ!」尚、大はしゃぎ。

「この年、礼は最年少でコンペの対象を取った。
 そして、希望だった大学院の推薦をもらった。
 そうだ、礼の人生にとって、このコンペはすごく大事な意味を
 持っていた。」


「あ、でも締め切り今日の消印有効って書いてある。
 間に合うのか!?」と尚。
「この間、吉田さんに出してもらった課題ありますよね。
 あれに、多少手を加えれば、このコンペのテーマに合うと
 思うんです。
 中央郵便局なら、24時までに出せば消印押してくれますし、
 時間的にもギリギリ間に合います。
 大賞も、狙えると思うんです。」
「・・・」
「でも、誕生会は?」と尚。
「誕生会?」多田が聞く。
「今日は礼の10代最後の誕生日だから、
 みんなで夕飯食べて、そのあとカウントダウンパーティーの
 予定だったんですよね。」とエリ。
「そうだったんですか・・」
「・・・焦らなくても、本当は、来年とか、再来年とか。」と礼。
「チャンスなんだろ?
 やった方がいいよ。」健が礼にそう言う。
「・・・うん。」礼が素直に頷いた。
「そうだね!明日にでも又仕切りなおすか。」とエリ。
「そうしよう!」と尚。
「ほんっとごめん。」と礼。
「ほんっとみなさん仲がいいんですね。」と多田。
「ただの腐れ縁ですよ。」と尚。
「じゃあ、この前の課題見てみます。」
「そうしましょうか。」
二人が研究室へと歩いていくのを複雑な面持ちで見つめる健。

研究室。
封筒を見つめる礼。
ドアの開く音に慌てて封筒を手帳に隠す。
「なんだ、ケンゾーか・・」
健がくしゃみをする。
「もう!うつさないでよ!
 私、風邪引いた二十歳の誕生日迎えるの
 絶対に嫌だから!」
「はい。」サイフから何かを取り出して礼に渡す健。
「何よ・・」
「まだ、ご利益全然使ってないから。
 それで大賞取れよ。
 すき焼きとか食いてーし。」
健が礼に渡したのは、おみくじだった。
「中吉って。」

「人生の重要な時間を戦っている彼女を邪魔する権利なんて、
 俺にはなかった。
 頑張っている彼女に何もしてやれない自分が、
 もどかしかった。」


「あ!!
 誕生日プレゼントこれで済ませようと思ってるんでしょう!?」
「それじゃ終わらせねーよ。」
「携帯の料金も払えない人が、よく言うよ。」
「え・・」
「ケンゾーなんかに構ってる場合じゃないの!
 今日中に間に合わなかったらどうするの!?
 お金ないんだからさ、せめて、時間止めるとか、時間戻すとか。」
「そんな・・ミラクルがあるわけないだろ、バカ・・」
慌てて部屋を出ていく健。

財布の中身は空っぽ。
「ていうかいつも金なさ過ぎだろ、俺!」

「遠いなー、幸せ。」エリがやってきた。

「今日で10代終わっちゃうぞ。
 そんなんじゃ、20代も変わらないよ。」
「・・・」
「礼ってさ、今まで勝負賭けたことある?」
「・・・一回、だけある。
 しようと思ったこと、一回だけあるよ。」
「へー。全然ないのかと思った。」
「中学3年の、卒業式前に、手紙書いてさ。
 好きだった人を待ち伏せしてたのね。
 今日こそ渡すぞ。今日手紙を渡さなきゃダメだって決意して。
 ずーっと待ってたけど、その日に限って、そこに来なかったの。
 その時、私達ってこういう運命なのかなって思っちゃったの。
 それでもいつか渡そうと思って、
 ずっとその手紙持ってたんだけど、
 渡せないままずっときちゃった。」
「そっか・・・」
「ばーかだよね。10代最後の日まで、ずるずる引きずったまま。」
礼が微笑む。
「ちゃんとぶつからないと、永久に引きずっちゃうのか・・。」
エリが呟く。

銀行の預金残高を調べる健。
残高、777円。
「スリーセブンって、全然うれしくないし!!」
この日付によると、平成15年10月28日13時12分。

健は幹雄に、日払いで出来るバイトを紹介して欲しいと頼み込む。
「お前風邪引いてんじゃん。無理だって。やめとけよ。」
「幹雄のせいだろ!!
 頼む!!」
健の真剣さに携帯を取り出す幹雄。

「ねえ鶴!」尚を呼び止めるエリ。
「よ!何、何〜!?」
「付き合ってほしいところあるんだけど!」
「・・・きたーーーっ!!」

研究室。
行き詰まりため息をつく礼。
「まだ、締め切りまで時間がありますし、
 そんなに焦らなくても平気ですよ。
 吉田さんの作品の場合、各ボリュームのつながり方を
 表現することにポイントを絞っていけば、
 すごく目を引くものに鳴ると思うんですよね。
 あ・・ごめんなさい。
 自分に一から向き合わないと、納得行く答えなんて
 見つからないですよね。」
「・・・例えば、例えばなんですけど・・
 先生だったら、ずっと答えの出ない問題が目の前にあったら、
 どうしますか?」
「答えが出ない問題・・・」
「ここ何年か、平行線のままで、ずっと答えの出ない問題が
 あるんです。」
「僕だったら、とことんやってみますね。
 それでダメだったら、又、別の問題を探します。
 数学にも存在するんですよ。答えの出ない問題っていうのが。
 でも、やってみなければ、答えがあるのかもないのかも
 わからない。 
 だから、やってみるしかないんです。」
「・・・」

バチンコ屋でバイトする健。
伊藤(松重 豊)が玉を一箱抱えてやって来た。
「伊藤先生!」
「まだ2千発も足らねーよ。」
「え・・」
「あのろくろセットだよ。」
視線の先には、景品の『ろくろ職人』。
「陶芸の道はまだまだ厳しいなー・・・」
「絶対間違ってるって・・。」

控え室。
風邪で具合の悪そうな健。
「お前さー、たまに妙に優しくなるときがあるよな、礼に。
 そうやってコロコロ態度変えるのって、作戦なの?」
「そんなんじゃないよ。」
「どちかにしてやれよ。
 たまに優しかったりするのって、余計相手を傷つけるんだよ。」
健が咳き込む。
「もう帰れって。」
「買いたいもんがあるんだよ。」
「そこまでして何が欲しいんだよ。」
「お前だって50万もする業務用のカメラ買う為に
 必死でバイトしてんじゃん。」
「な、なんで知ってんの!?」
「何でって・・」
「何で知ってんの!?俺まだ誰にも言ってないんだけど!」
「・・・さ!バイトしよう!」
「・・・」

オフィス街のベンチに座るエリと尚。
「聞かないの?」とエリ。
「え?」
「ここで何してるんだって聞かないの?」
「そんなのいいの!
 俺は、こうやって二人でいれればそれでいいの!」
「・・・ごめん。」
「なんだ、気持ちわるな。」
「実はさ・・彼氏を待ち伏せしてるんだ。」
「・・おう、ゲリラ作戦か。
 じゃ、とりあえず、パンチしてやるか?」
「いいよそんなことしなくて。
 逆にぶっ飛ばされると思うし。」
「何言ってんだ!俺、脱いだらすごいぞ。」
「いいの?向こう空手3段だよ。」
「あっぶねー。」

エリが恋人を見つける。
恋人もエリを気付き立ち止まる。

パチンコ屋。
玉を運んでいた健が躓いて倒れる。
「すぐ片します!」幹雄が店長に謝る。
「健、もう帰れ。」
「大丈夫。」
「無理だろ。」
「何の為にこっち戻ってきてると思ってるんだよ。」
「こっちってどっちだよ。」
「過去だよ。」
「過去!?」
「・・・」健の意識が遠のいていく。

店長に帰るよう言われてしまう健。
店長は働いてくれた分と言い、健に『つくね4姉妹』のぬいぐるみを渡す。
「なんでこんな時に風邪引いてるんだよ・・」

幹雄が礼に連絡する。
「ケンゾーそんなに悪いの!?」
「仕事中にぶっ倒れてさ。
 あいつ普段金無いときは、貸してくれって言うのに
 今日に限って働くって聞かないんだよ。
 やめろって言ってんのにすっげー無理してんの。
 もう寝てるし、大丈夫だとは思うんだけど。」
「うん・・」

エリと恋人が話し合う。
「やっぱさ、学生の時みたいにはいかないよ。」
「会えなくても我慢する。
 もうわがままも言わないから!
 それでも・・・ダメ?」
「ごめん。」男が歩き出す。
「いやだ!別れたくない!!」
「今の俺には、もうエリと向き合うだけの気力残ってないんだ。」
男はそう言い、去った。
その場に立ち尽くすエリを見守る尚。

エリが尚の元に戻ってきた。
「隊長!ゲリラ作戦、失敗であります!
 負傷者一名、相当なダメージであります!
 ・・・バッカみたい。
 バカだなー、私。帰ろう!」
「バカじゃねー!
 お前は全然、バカじゃない!
 大体な、お前がバカだったら俺はどうなっちゃうんだよ。
 バカじゃなくて、スーパーバカか!?」
「あー、泣きそう。
 泣いてもひかないでよ。」
「もうここから、こっから向こうに行かない!
 一歩も行かない!大丈夫!」
「もうわかった。」エリが少し笑う。
「・・・ずっと!
 ずーっとそばにいてやる!」
「・・・ありがとう。」
エリが微笑んだ。
「よしこい!さあ来い!」
両腕を広げてエリを待つ尚。
エリは笑いながら涙をこぼす。
そんなエリを尚は見守っていた。

健のことが気がかりで作業がはかどらない礼。
健がくれた中吉のおみくじには、
『待ち人 時期に来ます
 恋愛 自分の気持ちに
 縁談 あせらず』


自分の部屋のベッド。熱に苦しむ健。

「礼の誕生日をちゃんと祝ってやったことは、
 一度も無かった。
 祝ってもらっているばっかりで、
 おめでとうの一言も言ったことがない。
 過去に戻ってきても、
 こうしてじっと寝ていることしか出来ないなんて。
 結局俺たち二人の歴史は、
 こんなことの繰り返しだ。」


『岩瀬健三』と書かれた消しゴムを手に取り見つめる礼。
それを貰った時のこと、
中学の時、手紙を手に、好きな人を待っていたこと、
エリの言葉、多田の言葉を思い起こす。
手帳から、あの手紙を取り出す。
宛名には、『ケンゾーへ』の文字。

「ごめんなさい。
 私、やっぱりちょっと行ってきます。
 10代のうちに、どうしても解いておかなきゃいけない問題が
 あったのに、今日まで、本当の答えを知るのが怖くて、
 ずっと逃げていました。
 でも思ったんです。向き合わないまま、二十歳になるのは
 嫌だなって。
 でも、今日で最後にします。
 じゃないと、20代もカッコ悪いままな気がするんです。」
礼が多田に言う。
「それは、課題を出してから遅いんですか?
 このコンペを犠牲にしてでも、行く価値のある問題なんですか?」
「勝手なことを言っているのはわかっています。
 でも、10代最後の今日、きちんと向き合っておかないと、
 きっと、一生後悔すると思う。」
「・・・そうですか。わかりました。」
「本当にごめんなさい!」
「あ、いえ。
 自分の気持ちに素直であるということは、決して悪いことでは
 ないと思います。
 吉田さんの思うとおり、悔いの無いようにやってみるのが一番です。
 もし、そこに答えがなかったとしても、
 又、別の問題を見つければいいんですから。」
「はい!」

健の家へと走る礼。
玄関の前で、深呼吸をし、インターホンを押す。
「ケンゾー。
 礼だけど・・薬買ってきたよ。」
返事がない。
「・・・もう出会って、12年とか経つでしょう?
 なかなか素直に言えないこと、沢山あってさ。
 ・・・私・・・私・・
 ケンゾーのことがね、
 ケンゾーのことがずっと、」
健の家の電話が鳴る。
礼が部屋に入っていく。
「ケンゾー?」
電話が留守電に切り替わる。

「健?ふざけんなよ!
 携帯ずっとつながらないし、
 お前今日の合コン連絡ないってことはちゃんと向かってんだよな?
 待ってるからな!」「待ってまーす!来てね!」

メッセージにショックを受ける礼。

その頃件は、郵便局の前にいた。
「ちょっと、あんたさ、夕方から来てるけど、
 こんな時間まで何してんの!?」局員が聞く。
「すみません。もう少しだけ待ってもらってもいいですか?」
「でももう0時だしさ、閉めたいんだよねー。」
「もうすぐ礼が!
 僕の知り合いが来るんですよ。
 どうしても今日の日付の消印を押してもらわないと
 困るんです!」
「そんなこと言われてもさ・・
 ほら、ここにも書いてあるでしょう。
 24時に閉まるって。」
「お願いします!!
 あと10分だけ!あと10分でいいんで待って下さい!!
 お願いします!!」
土下座して頼む健。

健のアパートの階段で健を待つ礼。
自分が昔書いた手紙を開けてみる。

『ケンゾーへ
 はじめて手紙書きます。

 高校でも、また私たち一緒だね。
 合格発表のとき、自分のより、ケンゾーの番号の方が
 気になりました。
 番号を見つけたときは、本当にうれしかったです。
 口では、何で高校も又一緒なの、とか、
 真似しないでよ、とか言ってるけど。
 会うと、なかなか素直になれなくて、
 あんな言い方になっちゃいます。
 許してください。ごめんね。

 小学校3年で転校してきたとき、消しゴムなくって困ってた
 私に、半分くれたの覚えてる?
 あの日から、私にとって岩瀬健は、
 ケンゾーっていう、特別な人になりました。
 出会った頃からずっと、側でケンゾーを見ていました。』

健の家から歩き出す礼。

郵便局員が健に、もうこれ以上は待てないと告げる。

『野球が好きなのに、あんまり足が速くなかったり、
 一杯食べると、すぐにお腹壊したり、
 私にすぐムキになったり、
 本当は優しいのに、そっけないフリをしたり、
 ケンカもいっぱいしたし、頭にくることも沢山あったけど、
 ケンゾーは、私にとって、ずっと、ずっと一番大切な人です。
 大切なので、言わなくていいことも、ついつい言っちゃいます。
 だから、本当に言いたかったことが、
 どんどん言い辛くなってしまいました。
 ケンゾーと、今までどおり話せなくなったら嫌だなって
 思ったら、なかなか言いたいことが言えませんでした。
 でも今日、言います・・・
 ケンゾーのことが、ずっと好きでした。
 ケンゾーのことが、大好きです。』

郵便局の前でだんご4姉妹のぬいぐるみを抱え、礼を待つ健。
シャンパンとグラスも用意していた。

礼は健へのラブレターで紙飛行機を折り、
川を目がけて飛ばしてしまった。
どこか吹っ切ったような表情を浮かべる礼。

礼に会えずに家に戻った健は、
礼が持ってきてくれた薬と置き手紙を見つける。
『お大事に 礼』
健が家を飛び出していく。

大学に戻った礼を、多田が待っていた。
「吉田さん!
 コンペの委員会に電話をしたら、
 明日の朝までに直接持ってくれば、受付を認めてくれるそうです。」
「・・・」
「やりませんか?
 やっぱり、あきらめるのは勿体無いと思うんです。」
「・・・はい!」
多田に微笑む礼。

大学へと走る健。

礼が作品を完成させる。
「お疲れ様でした!」
多田が飲み物を渡す。
「今日、誕生日なんですよね。」
「ああ、はい。」
「祝う相手が、僕なんかで申し訳ないんですけど。」
「いえ。」
「誕生日、おめでとうございます。」
「ありがとうございます!」
「乾杯!」「乾杯!」
「そういえば、問題のほう、どうでした?
 納得行く答えは、出ましたか?」
「・・・答えは、ありませんでした。
 でも、もうすっきりしました。
 ずっと引きずっていたけど、今日やっと終わりました。」
微笑を浮かべて答える礼。
「僕、小学校2年の時、空に浮かんでいる雲をどうしても捕まえたくて、
 親に、ねだりにねだって富士山に登ったことがあるんです。
 富士山に着いて、目の前で雲を見て、
 大興奮でした。
 リュックからビニール袋をいっぱい取り出して、
 雲を詰め込もうとしたんですが・・・
 そこで、愕然としました。
 雲って捕まえられないんだって気付いたんです。
 座り込んでワンワン泣いたんですよ。
 せっかく登ったのに、無駄だったってね。
 でも、今思うと、そういうことが出来て良かったなって。」
多田の話を聞きながら、礼が涙をぽろぽろとこぼす。
「あ!ごめんなさい。」多田がハンカチを差し出す。
「あ、ごめんなさい。」ハンカチを受け取る礼。
「もしかして、泣かせてしまうほど、退屈でした?」
「違うんです。」礼が笑う。
「ちょっと、10代の頃のことを思い出しちゃって。」
「なんか、カッコイイですね!
 若い頃の、桃井かおりかと思いました。」
「桃井かおりですか?」
微笑みあう二人。

大学構内を走る健。

「これ飲んだら行きましょうか。
 会場まで、車で一時間かからないと思うんですけど。」
「はい。」
「写真撮ってあげますよ。二十歳の最初の記念に、撮ってあげますよ。」
「・・一人じゃ恥ずかしいんで、一緒だったら。」
「僕でいいんですか?」
「はい。お願いします。」

研究室に明かりがついている。
健が研究室へと急ぐ。

カメラのレンズの覗き込む多田。
「行きますよ。」
タイマーをセットする。

研究室への階段を駆け上がり、廊下を走る健。
研究室の戸を開けたとき、窓の向こうでフラッシュが光る。

次の瞬間、健は披露宴会場にいた。
スクリーンの写真、多田と礼の後ろ、ブラインドのかかった窓に、
健がうっすらと映っている。

「・・・」落ち込む健。

会場の照明が落ち、妖精が登場する。
「タイムスリップする前に話したこと、覚えてるか?
 思い込みの話だ。
 お前は、彼女の為を思い、課題が提出し終わってから
 祝ってやろうと思ってたわけだが、
 それもただの思い込みだったわけだ。
 彼女が本当に望んでいたことは、コンペに受かることじゃ
 なかった。
 お互いに相手を思うあまりすれ違ってしまうなんて
 皮肉なもんだな。
 恋愛なんて、自分勝手以外の何者でもない。
 そう思っても、自分本位に行動できないのは、
 相手のことが好きだからだろうな。
 ふふふ。厄介な話だ。」
「・・・」
「そう気を落とすな。
 まだ二人が付き合ってしまったわけでもないだろ?
 チャンスは残されていると思うが?」
「そうっすかね・・」
「ま、戻るか戻らないかは、お前次第だからな。」
妖精が微笑み、指をスナップさせる。

会場のスクリーンに次の写真が映し出される。
浴衣姿の礼と、多田の笑顔。そして尚、幹雄、健の写真。

「この日、礼は多田さんから告白された。
 この日を思い出すたび、胸に激痛が走る。」


※一部公式HPあらすじを引用しました。


とても大切なときにすれ違ってしまった二人。
今の健は礼の為を思って次々と行動を起こしているけれど、
昔の健が情けない!
礼の誕生日に合コン!?
でも、この時健は自分の気持ちに気付いていなかった・・・
と言うよりは、気付かないようにしていたのだから
仕方ないか・・・。

礼は健のことがずっと好きだった。
一生を左右するコンペよりも、健のことを選んだ。

今の健は礼のことが大好きで、
自分の思いよりも、礼のことを考えてコンペを優先させた。

なのに二人はすれ違い、
礼は自分の今までの健への思いを捨て、
新しい問題を見つけようと踏み出してしまった。

次の写真を撮った時に、健は自分の礼への思いの深さに
初めて思い知らされるんですね。
頑張れ、健!まだ告白するチャンスは残っているはず!

幹雄の浮気問題発覚。
その日幹雄は本当に健とアダルトビデオを見ていたのか!?
もし嘘だとしたら、水を被った健は可哀想すぎ。
幹雄と優子のラブラブっぷりが見られて満足。

エリと尚も少し距離が縮まったようでうれしいです。

今回戻ったのは、平成15年10月28日。
・・・ということは、前回登場した礼のおじいちゃんは
亡くなってしまったのかな。



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現在=2007.4.15
礼の生年月日=1983年10月29日
過去へ旅する写真
1枚目(2001年7月)
 タイトル=甲子園
 戻った写真=高校野球予選
 その他アイテム=紙飛行機
 妖精が食べたもの=エビフライ

2枚目
 タイトル=コーヒー牛乳
 戻った写真=健の誕生日
 その他アイテム=バース人形、文化祭
 妖精が食べたもの=ローストビーフ

3枚目
 タイトル=席替え
 戻った写真=多田、教育実習最後の日
 その他アイテム=相性占い、組体操、あだな
 妖精が食べたもの=クレソン

4枚目
 タイトル=第2ボタン
 戻った写真=卒業式
 その他アイテム=第2ボタン、寄せ書き、卒業証書、
 妖精が食べたもの=甘エビの寿司

5枚目 平成14年(2002年)6月
 タイトル=明日やろうは馬鹿野郎
 戻った写真=ワールドカップ観戦の日
 妖精が食べたもの=ハンバーグ
 ファーストキス。おじいちゃんとプリクラ。礼の設計図
 
6枚目 平成15年(2003年)10月28日 大学2年
 タイトル=10代最終日何を卒業しますか
 戻った写真=礼の20歳の誕生日前日
 妖精が食べたもの=ハンバーグ
 『決め付けはタブーだ』


B000P12J8A明日晴れるかな (初回限定盤)桑田佳祐 ビクターエンタテインメント 2007-05-16by G-Tools




B000P28RT4フジテレビ系 月曜9時ドラマ「プロポーズ大作戦」オリジナル・サウンドトラック吉川慶 ビクターエンタテインメント 2007-05-16by G-Tools




キャスト

岩瀬 健 ・・・ 山下 智久
吉田 礼 ・・・ 長澤まさみ
* * *
奥 エリ  ・・・  榮倉 奈々
榎戸幹雄  ・・・  平岡 祐太
鶴見 尚  ・・・  濱田 岳
* * *
伊藤  ・・・ 松重 豊
根津重人 ・・・渡部豪太(ソクラテス)
西尾保 ・・・菊池健一郎(バーガーショーグン店長)
学生課職員(酒井敏也)
松木優子(原 史奈)
郵便局員(樋渡真司)
* * *
妖精  ・・・  三上博史
(特別出演)
* * *
多田哲也  ・・・  藤木 直人

ほか


スタッフ

プロデュース ・・・ 瀧山麻土香 / 三竿玲子
脚 本 ・・・ 金子茂樹
演 出 ・・・ 成田 岳 / 加藤裕将
音 楽 ・・・ 吉川 慶
(スピードスターレコーズ)
主題歌 ・・・ 「明日晴れるかな」桑田佳祐
(タイシタレーベル/
 スピードスターレコーズ)

制 作 ・・・ フジテレビドラマ
制作センター
制作著作 ・・・ フジテレビ


山下 智久さんの主な出演作品


長澤まさみさんの主な出演作品


この記事へのコメント
いつもドラマ『プロポーズ大作戦』の翌日、貴プログを拝読するのを楽しみにしています。
 1.見る楽しみ
 2.聞く楽しみ
に加え、読む楽しみが増えて喜んでいます。
最終回まで宜しくお願いします。
Posted by 松下 琢治 at 2007年05月22日 14:14
ちーずさんこんばんは、お体のほうは良くなりましたか?

決め付けていました、料理の品数で妖精が現れるのかと思っていました、全品食べ終わったら、ハレルヤ・チャンスも終わりかと!最終回には食材を探して駆け巡るのかと思っていましたがハンバーグ好きとは!バーガーショウグンが、いきるのでしょうかね?

今回の健は礼の将来とかを願っての行動!しょうがなかったかも?礼が研究室で健への手紙を手にするシーンのバックの額縁に「愛に形がないように 形にも愛はないんだよ」ってサラっと有りましたが、健が早ってプレゼントを買おうとしたのが失敗でしたね!中吉のおみくじでも愛さえこめておけば〜

幹雄も今回のカメラ購入の件でタイムスリップに気がついたようですね!メリーゴーランド抱きのバックの笑い声はウケタ〜

ツルもエリの信頼を得たようです!負傷者一名に始めて可愛くみれました。

多田の天然ぶりがいいですね!礼を慰める言葉が優しい、やっぱり一歩リードかな!

ハレルヤ・チャンスを使う度に歴史は少しだけ変わっているのかも!つくね四姉妹だし、じぃじも健在だといいですね!
Posted by けた at 2007年05月22日 20:02
>この日付によると、平成15年
なるほど、明示されていましたか。
登場するアイテムから自分の記事内で推測したことが、なんだかむなしい(笑)
Posted by 特に個性の無いブログ at 2007年05月22日 21:37
子育て真っ只中で早寝しちゃう私にとって、ちーずさんのどらま・のーとはとっても素敵な存在です(^^)

記事などは一切転用していませんが、ブログで紹介させていただきました。どうぞよろしくおねがいします。
Posted by ひまわり at 2007年05月23日 20:46
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