2007年06月05日

プロポーズ大作戦 第8話

『年越しに流す涙は本物ですか』

「男の名前は岩瀬健。
 今、この男の本当の実力が試されている。
 過去に戻っても自分の思いを告げられず、
 二人が交際するのを歯止めなかった哀れな男である。

 かの有名なエイブラハム・リンカーンはこう言っている。
 あなたが転んでしまったことに 関心はない。
 そこから立ち上がることに関心があるのだと。

 失敗にめげず再び立ち上がるのか、
 教訓を得て別の道を目指すのか。
 それとも自分の不幸を嘆き続けるのか。
 果たして、この男に幸せは訪れるのであろうか。」


次にスクリーンに映し出された写真は、
礼(長澤まさみ)と多田(藤木直人)が初めて一緒に見た初日の出の写真。
礼と多田が嬉しそうに微笑む。

「人生で最悪の年明けだった。」礼と多田の幸せそうな笑顔。
その隣に、健が落ち込んだ様子で一緒に映っている。

「な、でもどうやって過去に戻るの?」
幹雄(平岡祐太)が健(山下智久)に聞く。
「いや・・妙なおっさんが、戻してくれるんだよ。」と健。
「妙なおっさん!?どれ?」

「もう無理だ。
 二人は付き合っているんだ。
 あきらめるしかない。
 ・・・でも、幹雄に手助けしてもらえれば、
 どうにかなるのかな?
 ・・・いや、いまさらどう頑張っても手遅れだって。」


その時照明が落ち、妖精(三上博史)が登場する。
「妙なおっさんね。」
「ごめんなさい、その、変な意味で言ったんじゃないんですよ。」
「変な意味じゃない妙なおっさんがいたら、是非会ってみたい
 もんだな。」
「何でそんなこと言っちゃったんだろうな・・」
「お前ほど後悔と葛藤が好きな人間、見た事がない!
 もう過去に戻るのは止めたって宣言したくせに、
 その友達に助けてもらえば、まだ可能性はあるかもしれないって
 そう思ってるんだろ?」
「自分でも、びっくりしますよね・・」
「いい加減、彼女の気持ちを変えるのはあきらめて、
 自分の気持ちを変えてみたらどうだ?」
「自分の!?」
「お前が、あそこの席に座る未来よりも、
 この披露宴に出席しない未来を作る方が、
 よっぽど簡単だということだ。」
「どういうことですか!?」
「本来人間には、忘れるという便利な機能が付いている。
 過去のお前が、彼女のことを忘れることができれば、
 今みたいな辛い思いをせずに済むとは思わないか?」
「忘れる・・」
「もう二人は付き合ってるんだろ?
 ここまで来てしまったら、忘れる努力をした方が
 懸命だと思うがな。」
「・・・」
「このキャビア貰うぞ。」
「あ・・」
「このキャビアがそんなに惜しいか?」
健が頷く。
「じゃ、過去に戻って、恋もキャビアも、
 綺麗さっぱり忘れちまえ!」
「えー・・・」
「求めよ。さらば与えられん。」
「・・・ハレルヤ、チャンス!」

2004年の12月31日、大晦日餅つき大会の会場に戻った健。
礼、エリ、尚が張り切って餅つきに挑戦している。
どうやらエリと尚はまだ付き合ってないらしい。
健は礼の笑顔を見つめ・・。

健は、豚汁を食べている幹雄を見つけて歩み寄る。
「アニョハセヨ!」
「うん?」
「未来から来た!
 ・・・未来からタイムスリップしてきました!」
「それで?」
「それでじゃねーよ。もっと驚けよ。」
「うわー、すごい!」全然相手にしない幹雄。
「だから本当なんだって!」
「そんなバカな。」
「信じろよ。」
「どうやって。」
「え・・・
 お前、将来、映像の製作会社に入る。」
「うん?そんなこと誰だってわかるだろ。
 もう内定貰ってるし。」
「じゃああの、北島康介の、『気持ちい!超気持ちい!』っていうの、
 本人より俺の方が先に言った!」
「万が一の偶然かもしれなし。」
「じゃ、何だったら信じるんだよ!!」
その時、幹雄の携帯が着信する。
「ユウコだ・・・」
「ちょ!!
 この電話で、いきなりユウコにプロポーズされる!」
「そんなワケないだろ!」
電話に出る幹雄。

「もしもーし。」
「ねー!私と結婚して!」
「悪い、あとで折り返す。」

「そんな大事な電話折り返すなよ!」と健。
「健お前・・・」
「そう!」
「超能力者だったんだな!!」
「だからタイムスリップだよ!!」

保のハンバーガーショップ。
宝くじの結果にガッカリする5人。
「もし3億円当たったらどうする?」尚が礼とエリに聞くが、
お金よりももっと楽しいことがあると考える礼は興味がない。

「健のパワーでさ、当選番号変えられないの?」と幹雄。
「だからエスパーじゃねー!」
「使えねーな!」

「じゃ、幹雄から。」とエリ。
「え?」
「3億円当たったら。」
「映画撮る資金にする。」
「おー。」
「さりげなーく夢語っちゃってますよねー。」と礼。
「無駄にラブシーン、多そうですけどね。」とエリ。
「うるさいよ。」幹雄が笑う。
「じゃ、次、健!」と尚。
「俺?・・・だってそんな急に言われてもな。」
「別にそんな真剣に考えなくてもいいからさ。」と礼。
「頭にぱっと浮かんだもの言え。」と尚。
「あるけど・・・金じゃ買えないしな。」
「何カッコつけてうんの!?」
「仲間と暮らす、大切な時間。プライスレス。」
尚がコマーシャルの真似をする。
「そういうガラじゃないんだから、やめなよ、二人とも。」
礼が笑う。
「私はこの雑誌に載ってるの全部買いたい!」
ファッション誌を手にエリが言う。
「ちょっと待って!」
メモを取り出す尚。
「買ってあげるの?」と礼。
「いくら位かかるかっていうのを、一応さ。」
「だってさ、一回やってみたくない?
 お店で、端から端まで全部下さい、みたいな。」
「あ、いいかも!それ。」と礼。
「このDKNYっていうのは何なの?」と尚。
「は!?そんなのも知らないの?」とエリ。
「は・・」
「話になんないんだけど!」
「健、知ってる?」
「俺は、知ってるに決まってんじゃないか。
あれだろ?
 ・・・ドント・ノック・ニューヨークだろ?」
「ドントノックかぁ・・・」メモを取る尚。
黙り込むほかの三人。
「それお前本気で言ってるの?」と幹雄。
「本気だよ!」
「恥ずかしい、ケンゾウ!!」
礼、エリ、幹雄は大笑い。
「ダナ・キャラン・ニューヨークだから!」とエリ。
「なんだよ、ドント・ノック・ニューヨークって!」と幹雄。
「恥ずかしい!ケンゾウ!」と尚。
「・・・バカ!!ダナ・カラン・ニューヨークと別に
 他にドント・ノック・ニューヨークってあるんだよ!!」
「おー!ドント・ノック・ニューヨークが!」と幹雄。
「ドント・ノック・ニューヨークがな!」と健。
「ケンゾウってそうやって知ったかぶりして墓穴掘るの
 得意だよね。」と礼。
「ブランドに弱いと女にもてないよ。」とエリ。

「お前ら大学生にもなってドント・ノック・ニューヨーク
 知らないのか?」店主の保が言う。
「そんなフォローしなくていいから。」と幹雄。
「健、保にフォローされたら終わりだぞ。」と尚。
「ねー、次、礼は?
 3億円当たったら?」エリが聞く。
「ドント・ノック・ニューヨークの、バッグ!?」礼が健をからかう。
「・・・」
「それは3億円あっても難しくない?」とエリ。
「俺もそれにする!」と幹雄。
4人はいつまでも大笑いしていた。

町を歩く4人。
寒がるエリに駆け寄ろうとした尚は、マラソンランナーに
ぶつかってしまう。
(準レギュラーのマラソンランナーさんです)

幹雄と並んで歩く健。
「言っとくけど、過去戻ってきたら協力するって言ったの
 お前だからな。」
「そんなこといつ言ったよ。」
「2007年の4月。」
「3年後の発言だろ? 
 文句あるなら未来の俺に言えよ。」
「ふざけんなよ!」
「そんなことより、2007年4月って何やってんの!?」
「礼と多田さんの結婚式。」
「冗談だろ!?」
「二人に結婚されたら困るからこっち戻ってきてんだろ。」
「へー。二人とも、付き合ってんのかなーとは思ってたけど、
 結婚するんだな。」
「・・・」
「礼ってさ、いまだに健が礼のこと好きだって、気付いてないんだろ?」
「・・・」
「結婚式って、お前そんなに進展するまで礼に何も言えなかったの?」
「言えてたら、ここにいねーっつーの。」
「はぁ・・・」

「何やってんだ。急がねーと始まっちゃうぞ。」尚が走ってきた。
「何が?」
「紅白だよ!大晦日恒例の紅白歌合戦!」
「紅白!?」

それは野球部恒例の、カラオケでの歌合戦だった。

北島三郎に扮し、『函館の女』を熱唱する尚。
和田アキ子に扮し、『二杯目のお酒 』を熱唱する伊藤先生。
学生服姿で『高校三年生』を熱唱するソクラテス。

「選曲古過ぎでしょ。」と礼。
「あいつはいつだって青春真っ只中にいるんだ。」と尚。

エリと礼は二人で『さくらんぼ』を熱唱。
尚は今度ははなわに扮し、『佐賀県』を熱唱。

そんな中、浮かない顔でため息をつく健。
「健、いつもの歌えよ。」と幹雄。
「そうだよ、今日モンパチ歌ってないじゃん。」とエリ。
「俺はいいよ・・」
礼が心配そうに健を見つめる。
「SAGA佐賀
 岩瀬健は、バカ。
 歴史的なバカ!」尚が歌う。

化粧室で話すエリと礼。
「ある意味羨ましいよね。
 一瞬にして、高校時代に戻れるなんてさ。」
「伊藤先生なんて張り切りすぎだからね!」
「一番弾けてるし。」二人が笑う。
「あ、ねー、今日多田先生は?」
「残業が終わってから、学部の教授たちと、
 温泉に行くんだって。
 若い講師とか、助教授は無条件で参加らしいよ。」
「へー。せっかくお正月なのになんか寂しいね。」
「ううん、別に平気。」
「まったー。寂しいくせに。」
「ほんとにそんなことないって。」
「あ、健には多田先生のこと言ったの?」
「・・・」礼がうつむく。
「まだ言ってないの!?年越しちゃうよ。」
「・・・」

カラオケルームでは、尚が歌う『昴』に、みんなも円陣を組み熱唱中。
「あーあ。何やってんだ俺・・・」

「審査員のみなさま、どうぞ!」
司会者・尚の言葉に審査員(参加者)が旗を揚げる。
双眼鏡で数を確認し、尚に耳打ちするソクラテス。

「あれ、必要か!?」幹雄が健に言う。

「勝者、白組!!」

外はまだ明るい。
『昴』を歌いながら歩く礼、エリ、尚。
その後ろを歩く健と幹雄。
「礼!ちょっと来て。」幹雄が礼を呼ぶ。
「どうする気だよ。」健が幹雄に言う。
「協力してほしいんだろ?」
「どうしたの?」礼がやって来た。
「健が、お前と二人っきりで話したいんだって。」
「え!?」
「いや・・」
「俺たち、コンビニ寄ってから行くから。」
「ああ・・」と礼。
「健、貸し一な。」幹雄は健にささやくと、エリと尚の下へ
走っていく。

「・・・」
「・・・ちょうど良かった。私も話があったの。
 ・・もう、気付いてたかもしれないけど、
 でも、ケンゾウには、ちゃんと自分の口から言いたかった。
 私・・・多田先生と付き合うことに決めたの。」
「・・・」
「駆け引きとか、計算とかなく、
 好きだっていう気持ちをストレートに伝えてくれたことが
 嬉しかった。
 あんな真正面からぶつかってきてくれる人、初めてだった。」
嬉しそうに礼が言う。
「告白されたからって、付き合うのかよ。」
「・・・ううん。
 自分で決めたんだよ。
 この人と、付き合いたいなって思って。
 ちゃんと、自分で決めたの。」
「・・・」
「・・・実はね、私・・・ケンゾーのこと好きだったんだ。」
「・・・」
「全然素直になれなくて、でも、気まずくなるのが怖くて、
 二十歳になるまでずっと、どっち付かずの状態だった。
 でも、変わりたい、変わらなきゃって思ったの。
 多田先生と出会って、ケンゾーに気持ちぶつけられなかったことって、
 逃げだったんだってわかった。
 だから今回は、逃げないで、ちゃんと多田先生と向き合おうって
 決めたの。」
「・・・」
「ずっと、ケンゾーのこと思ってた時期があったからこそ、
 今の自分があるんだって、やっと思えるようになった。」
「・・・」
「・・・こんなダメな幼馴染ですけど、
 これからもよろしくお願いします!」
健は礼に何も言うことが出来なかった。

健のアパートで毎年恒例の年越し。
健と礼がアパートに付くと、そこに多田も来ていた。
「どうして!?」驚く礼。
「ごめんなさい。予定変更しちゃいました。
 出発、明日の朝の便に変えました。
 教授の新年の挨拶には、間に合うと思うんですよね。
 やっぱり、一年の終わりと始まりは、
どうしても一緒にいたいなと思って。」
多田の言葉に微笑む礼。
健は複雑な表情を浮かべる。

23時58分。
エリたちが作り始めた手打ち蕎麦は、完成には程遠く、
結局カップメンで済ませることに。
「そもそもさ、年越し蕎麦を食べないで年越しちゃうと
 どうなんの?」とエリ。
「金運が下がるそうですよ。」
多田の言葉に、除夜の鐘の音を聴きながら慌てて蕎麦をすする5人。
お湯が間に合わなかった尚は、そのまま麺にかじりつく。
「あの・・冗談ですから。」と多田。
「わっかりづらいなー!!」
「普段言わない人が言っても冗談に聞こえないよ。」と幹雄。
「ごめんなさい・・」

テレビ画面に合わせてカウントダウンする6人。
多田が、礼の手を握り締めた。
驚きつつも笑顔で握り返す礼。
そんな二人のつながれた手を健は見つめ・・・

新しい年を迎えた。

「今年も、どうぞよろしくお願いします。」
礼が多田に挨拶する。
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。」と多田。

尚はエリに新年の挨拶をする。
エリが少し適当に返事をする。

幹雄には、ユウコから電話で新年の挨拶。
「あ、ユウコ?アケオメ。
 うん、折り返す。」

シャンパンで乾杯する6人。(除く運転手の幹雄)
シャンパンを見つめながら健は考える。
「過去のお前が、彼女のことを忘れることが出来れば、
 今みたいな辛い思いはせずに済むと思わないか?」
妖精が言っていた言葉を考えていた。

そして、初日の出を見に行くという段になって、
健は「行かない」と言い出す。
みんなは車に乗れと言うが、
「マジでいいから。
 ・・・ていうかもうこういうのよくない?
 二十歳過ぎてさ、わざわざ遠出して、
 一緒に太陽見て何なの?」
幹雄が車から降りてきた。
「お前本気で行かねーのか?」
「おう。」
「何もこんな日に一人でいることはないじゃないか。」
「いいから、ほっとけよ。」
「無理に忘れようと思っても無駄だと思うけどな。
 すぐに忘れられないから、好きってことなんじゃねーの?
 だったら、みんなで大騒ぎしてた方がよくねーか?」
「・・・」

その時、尚がクラクションを鳴らす。
「おい!行きたくないやつはほっとけよ!」

「もううるせーから早く行こうぜ。」幹雄が健に言う。
首を横に振る健。
「・・・わかった。」

車の中。
健のせいで、車の中の雰囲気は最悪だった。
「健も健なりに何かあるんじゃねーの?」幹雄が庇う。
「・・・僕、お邪魔してて大丈夫ですかね。」と多田。
「どうして?」とエリ。
「毎年、5人で新年迎えるって聞いてたんで、
 こんな所までご一緒してていいのかなって。」
「いいのいいの!どんな組織にも活性化は必要なんだから。」と尚。
「活性化につながるかはわかりませんが、
 じゃあ・・お言葉に甘えて。」
寂しそうな笑顔を浮かべる礼。

みんなが出かけた後、健は家に帰る気にもなれず、
あてもなく街に出る。

コンビニに立ち寄る5人。
尚がおでんを食べていると、
「また食べてるの!?」エリが声をかける。
「食べないと育たないだろ?」
「年明けて最初の食事がおでんでいいのかよ。」と幹雄。
「何を食べるかが問題じゃない。
 誰と食べるかが、重要なんだ!」
「私いらないよ・・
 でも、スープちょっと頂戴。」とエリ。
「うん!」スープを自分の口に含む尚。
「誰が口移しで飲むのよ!!」

多田と礼もコンビニから出て来た。
多田が、缶コーヒーを礼に差し出す。

「あー、いいなー、ああいうの・・・」エリが羨ましがる。

保の店で一人ビールを飲む健。
「健、お前本当に行かなくていいのか?」保が聞く。
「たまには一人になりたい時だってあるでしょ?」
「俺はほとんどこの店で一人だからな。
 そんな気持ちは全く理解出来ない。」
「たもっちゃん、お代わり!」

「お前たちが一緒にいないなんてこともあるんだな。」
「・・・まあ、もう二十歳過ぎてるし、
 ずっと一緒っていうのも限界あるんじゃない?」
「傍から見てると四十、五十でもつるんでそうな
 勢いだったけどな。」
「・・・
 さっきなんで庇ってくれたの?」
「何が?」
「ドント・ノック・ニューヨーク。」
「バカヤロウ。あれはな、俺のナンバーワン・フェイバレット
 ブランドなんだよ。」
「もういいって。」

車の中。
「健絶対後悔するよ。
 やっぱ、初日の出、行けば良かったって言いそうじゃない?」とエリ。
「そうなんですか?」多田が聞く。
「高校のとき、俺ら4人だけでお好み焼き食いにいったじゃん。
 次の日その話してる間、健だけ、ずっと不機嫌だったの覚えてる?」
と尚。
「対して面白いことあったわけじゃないのにね。」とエリ。
「何かあっただろうって、しつこかったなー。」と幹雄。
「ケンゾーって、昔から自分のいないところで面白いことが
 あるの、許せないんだよね。
 小学校の遠足で、遊園地に行ったときさ、
 熱でフラフラなのに、無理して来たことがあってさ、
 みんなは、はしゃいで大騒ぎしている中、
 一人だけ、ムスっとしたままジェットコースターに乗ったんだよね。
 辛いなら変えればいいのに。」
楽しそうに話す礼の横顔を見つめる多田。

「健っぽいね。」とエリ。
「あいつ、妙なことで頑固だからな。」と幹雄。
「ま、絶対後悔するな!」と尚。

保の店の帰り道。
「こうして礼と離れていれば、
 いつかは忘れられるんだろうか。
 礼を思い出すことのない未来なんて、
 本当にあるんだろうか。」


前から青年たちが、「センス悪い」と文句を言いながら歩いてくる。
彼らの手には、『Don't Knock New York』のバッグ。

「ドント・ノック・ニューヨークって・・マジであるんだ!
 ていうか保ちゃんどんな趣味してんだよ!」


「ねー!
 それ、どこで売ってるの?」健が男たちに聞く。

バッティングセンター。
「・・・しかも景品かよ。」
そのバッグは、ストラックアウトの景品だった。

「過去に戻ってきてまで何やってるんだよ・・」
健はそう呟きながら、ボールを投げ始める。

礼たちを乗せた車が海に到着。
「あー、まだ日の出まで3時間ありますよ。」と多田。
「待ってる時間がいいんだよ!」とエリ。
「流石に寒すぎるけどね。」と礼。
波打ち際ではしゃぐ幹雄と尚。
「多田先生も行こう!」
エリ、多田、礼が波打ち際へと走る。

「二十歳にもなって波打ち際ではしゃいでるんじゃないぞ。」と幹雄。
「うるせー。そういうこと言ってると投げるぞ!」と尚。
「ねーねー!あれ、いつだっけ?
 ツルと健が相撲とったやつ!」とエリ。
「あれ、一昨年じゃん?」と尚。

「何かあったの?」多田が礼に聞く。
「波打ち際で相撲やって、二人ともびしょぬれになったの。」と礼。
「あれは笑ったねー!
 服とか超濡れてるのに、勝った負けたって
 ギャーギャー言いあってんの。」とエリ。
「寒いし風邪引くよって言ったら、
 そんなことどうでもいいんだよって、
 逆にこっちがキレられて。」礼が笑う。
「勝ち負けなんてどうでもいいんだよ。」と幹雄。
「いいわけないだろ、お前!」と尚。
「で、結局どっちが勝ったんですか?」多田が聞く。
「もう一回取って、又二人で波に突っ込んでた。」と礼。

多田は、4人が寂しそうな笑顔を浮かべていることに気付く。

「健がいないとつまらん!」と尚。
「うん。なんか違うよね。」とエリ。
「・・・こうやって、当たり前になっていくのかな。
 誰かがこの場にいなくても、それが普通になって
 いっちゃうのかな・・・」と礼。
「まだ早くない?そういうの。
 社会人になったり、結婚とかしたらしょうがないかも
 しれないけどさ。」とエリ。
「僕も、そう思います。
 終わるのって、簡単なんですよね。
 終わるのって、ほんと、簡単なんです。
 年を取ってけば、自然と無くなっているもの、
 沢山あるんです。
 無理してやらなくていいこととか、
 やる必要の無いこと、
 たくさんあると思うんです。
 無駄とか、面倒の一言で片付けられること、
 これから、一杯出てくると思います。
 でも、記憶とか思い出って、そういう所で生まれるものだと
 思うんですよね。
 勿体無いと思います。
 傍から見てても、5人の関係って、羨ましいなって思ってたんで。」
多田の言葉に微笑む4人。
「なんか嫌だね。
 このまま段々距離が出来てきちゃうのってさ。」とエリ。
「寒い。車に戻るわ。」幹雄が、そして尚が、エリと多田が車に向かう。
礼は海を見つめ・・・。

バッティングせんたー。
無心に玉を投げ続ける健。
何度も玉を買い足していた。

「何でこんなことにムキになってるんだ。
 ただただ目の前に没頭することがあるという事実が、
 なんだか無性にありがたかった。」


車の中で日の出を待つ5人。
みんな無口だった。
エリが、『KEN'S BEST』と書かれたMDを見つける。
「これいつぐらいの?」
「うん?高校ん時のかな。」と幹雄。
MDを入れて見ると、モンパチの音楽が流れ出す。

球を投げ続ける健。

健の好きだった音楽を聴く5人。

「しょうがねーなー。」
幹雄がシートベルトを締めると、
助手席のエリも嬉しそうにシートベルトを締める。

「無心で投げ続けて、脳裏に浮かんできたものは、
 14年分の礼だった。」


礼の笑顔、礼の涙、礼とのキス。
礼の浴衣姿、礼のウエディングドレス姿。
「私、ケンゾーのこと好きだったんだ。」
礼の言葉。

最後のボールが、最後の一枚を落とした。

その場に座り込む健。健の瞳から涙が溢れる。
「重ねてきた年月の重さに、
 涙がこぼれた。
 この思いは消せない。
 忘れることなんて出来ない。
 やっぱり礼が好きだ。
 礼のことが・・・たまらなく大好きだ。」


景品のバッグを手に入れ、家へと力なく歩く健。

玄関の戸を開けると、4人がクラッカーを鳴らす。
「ハッピーニューイヤー!パート、2!!」
「遅いぞ、お前!
 ストーブつけずに1時間半だぞ!!」と尚。
「一人ですかしてんじゃねーよ!」と幹雄。
「そうだよ、大人ぶっちゃってさ!」と礼。
「そう簡単に一人になれると思ったら大間違いだからね!」とエリ。
「バカがいないと調子狂うんだよ、バカ!」
尚が健の腕を組み部屋の中に連れていく。
「ケンゾ−は本当に得してるよね。
 いっつもどっきり仕掛けてもらえてさー。」と礼。
「ちゃんとみんなに感謝しないと後々後悔するからね!」とエリ。
「ほら、俺にありがとうございますって、言え。」と尚。
「ありがとう、チビ!!」
「あ!お前な!大きくなるもん!!」
「あーー!それ!!」エリがDKNYのバッグに気付く。
「ああ。」
「ドントノックニューヨークじゃん!」と幹雄。
「本当にあるんだ!」と尚。
「だから言ったろ。」
「どうしたの?」とエリ。
「買ったの!」
「いくらで!?」と尚。
「2万8千・・200円。」
「たっか!!」
「レアもんでなかなか手に入らないんだよ。」
そう言い、バッグを礼の膝の上に置く健。
「え!?」
「やるよ。」
「あ・・いいよ。」
「欲しいって言ったのお前だろ。
 責任持って処分しろよ。」

「いいなー。幼馴染だとそんなことまでしてくれちゃうんだー。
 いいなー。」エリたちが羨ましがる。
微笑む礼。
「トイレ行って来る!」照れて席を立つ健。

トイレの戸を開けると、多田がクラッカーを鳴らす。
「うわっ!!」驚く健。
礼たちが笑っている。
「ハッピーニューイヤー・パート、3!!」
「多田さん・・」
「あ、ごめんなさい。驚かすつもりは全然なかったんですけど・・」
「いや嘘ですよ、そんなの。」と健。
「ねー、初日の出どうする?」と尚。
「大学の屋上は?」と幹雄。
「いいね!」とエリ。
「見えるかなー。」と礼。
「見えるか見えないかは問題じゃない。
 誰と見るかが重要なんです。」とエリ。
「仲間と過ごす、大切な時間。プライスレス。」と尚。
楽しそうに笑い合う6人。

エリと礼は健に断りもなく、ベッドの上の毛布を包み、
DKNYバッグに詰め込む。
「それ俺んだぞ。」
「いいじゃん、どうせ汚いんだし。」
「ケチー!」
「もう・・・」
文句を言いながらも嬉しそうな健。

大学の屋上。
太陽が顔を出す。

「今日はありがとね。」礼が多田に言う。
「こちらこそ。」

そんな二人のやり取りに切なそうな健。
初日の出を見つめ、手を合わせて祈り出す。

「過去と同じ、6人での、初日の出になったけど、
 過去よりも、気分が、少しだけ晴れやかだった。」


「ケンゾー、何祈ってたの?」礼が聞く。
「言わねーよ。」
「何で!?教えてくれたっていいでしょ。」
「バカ。言ったら願いが叶わなくなるんだよ。」
「ふーーん。そんなに叶えたい願いがあるんだ。」
「叶えたいに決まってんだろ。」
健はそう言うと、また手を合わせて願い出す。
そんな健に微笑む礼。

「おい!写真撮るぞ、写真!」尚がカメラの準備をする。
「お前写真ほんっとに好きだな。」
「イベントがある限り写真も続くんだよ!
 いくぞ。」
穏やかに微笑む健。
「あ!ちょっと!」
礼が慌ててDKNYバッグを手に取り、写真に映るように
肩から提げて微笑んだ。

フラッシュと共に現在に戻る健。
スクリーンに映し出された初日の出の写真を見つめる。

「戻ってきても無駄だったな。」幹雄が言う。
「え?」
「あの時の俺は相当協力してやったのになー。」
「お前何もしてねーだろ。」
「やっぱそう簡単には変わらないんだな。」

幹雄が離れていくと、照明が落ち、妖精が登場。
「一番辛い道を選んだな。」
「え・・」
「やりようによってはあの時点で、彼女と大きく距離を置く方法も
 あったわけだ。」
「ですね。」
「だが結局お前はここで、彼女のウエディング姿を眺める未来を
 選んだわけだ。」
「・・・」
「お前の辛いたびも、いよいよフィナーレだな。」
「どういうことですか!?」
「次のスライドが、最後だ。」
「最後!?」
「フィナーレにふさわしく、彼女がプロポーズを受けた日というわけだ。」
「・・・」
礼を見つめる健。
「ラスト!ハレルヤ、チャンス!」
妖精はそう言うと微笑み、指をスナップさせる。

会場の明かりが戻る。
スクリーンに、多田と礼がレストランで乾杯する写真が
映し出される。
その奥のウィンドーに、店を通り過ぎていく健の姿も映っている。

「こんなにずっと一緒にいるのに、
 ケンゾーは何もわかってないよ。
 何もわかってない。」


礼に言われた言葉を思い起こす健。

「礼の口から、もっとも聞きたくない言葉を聞いた。
 礼はそれ以来・・・一度もケンゾーと呼ばなくなった。」



※一部公式HPあらすじを引用しました。


礼は健のことをケンゾーと呼ばなくなっていた。
二人の間に何があったのでしょう。
健が一人で流した涙。最後の呟き。
切ないですね。

「仲間と暮らす、大切な時間。プライスレス。」
この言葉通り、いいなー、仲間って。
いろんなシーンでそう思わせてくれる第8話でした。

野球部員の年末恒例紅白歌合戦。
昔の仲間と集まれば、タイムスリップなどしなくても、
あの頃に戻れる。
礼や健たち5人も、そんな仲なのかも。
そこに多田が加わったことで、バランスが崩れ、
健は焦り出し、そして本物のタイムスリップ。
多田も、自分はここにいていいのか、と少しは感じているようですね。
大好きな礼と一緒にいたいと思う気持ちはわかりますが、
毎年恒例の5人の行事に入り込むのは、ちょっと大人気ない気が
しました。

健の小学校の頃の思い出を楽しそうに話す礼。
そんな礼の笑顔に、きっと多田は、礼が今でも健のことを
好きなのだと気付いたはず。
多田が身を引く、という展開が待っていれば・・・と思ってしまう。

タイムスリップ出来るのはあと1度だけ。
これは全部で何話なのかな?
1度のタイムスリップを、2話に分けて放送するのでしょうか。
やっぱり健にはちゃんと礼に自分の思いを伝えてほしい!

カラオケ大会、伊藤先生の弾けっぷりと、尚の多才ぶりが
楽しかったです。



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現在=2007.4.15
礼の生年月日=1983年10月29日
過去へ旅する写真
1枚目(2001年7月)
 タイトル=甲子園
 戻った写真=高校野球予選
 その他アイテム=紙飛行機
 妖精が食べたもの=エビフライ

2枚目
 タイトル=コーヒー牛乳
 戻った写真=健の誕生日
 その他アイテム=バース人形、文化祭
 妖精が食べたもの=ローストビーフ

3枚目
 タイトル=席替え
 戻った写真=多田、教育実習最後の日
 その他アイテム=相性占い、組体操、あだな
 妖精が食べたもの=クレソン

4枚目
 タイトル=第2ボタン
 戻った写真=卒業式
 その他アイテム=第2ボタン、寄せ書き、卒業証書、
 妖精が食べたもの=甘エビの寿司

5枚目 平成14年(2002年)6月
 タイトル=明日やろうは馬鹿野郎
 戻った写真=ワールドカップ観戦の日
 妖精が食べたもの=ハンバーグ
 ファーストキス。おじいちゃんとプリクラ。礼の設計図
 
6枚目 平成15年(2003年)10月28日 大学2年
 タイトル=10代最終日何を卒業しますか
 戻った写真=礼の20歳の誕生日前日
 妖精が食べたもの=ハンバーグ
 『決め付けはタブーだ』

7枚目 平成16年(2004年)8月15日 大学3年
 タイトル=恋と花火はいつ散りますか?
 戻った写真=花火大会、多田告白の日
 妖精が食べたもの=ゆで卵
『殻を破る』

8枚目 平成16年(2004年)12月31日
 タイトル=年越しに流す涙は本物ですか
 戻った写真=礼と多田が初めて一緒に初日の出を見た日
 妖精が食べたもの=キャビア



B000P12J8A明日晴れるかな (初回限定盤)桑田佳祐 ビクターエンタテインメント 2007-05-16by G-Tools




B000P28RT4フジテレビ系 月曜9時ドラマ「プロポーズ大作戦」オリジナル・サウンドトラック吉川慶 ビクターエンタテインメント 2007-05-16by G-Tools


4594053742ドラマコミックス プロポーズ大作戦(上)脚本・金子 茂樹/画・遠藤 さや 扶桑社 2007-05-22by G-Tools




B000N6SPJ4プロポーズ大作戦 (出演 山下智久、長澤まさみ) by G-Tools




キャスト

岩瀬 健 ・・・ 山下 智久
吉田 礼 ・・・ 長澤まさみ
* * *
奥 エリ  ・・・  榮倉 奈々
榎戸幹雄  ・・・  平岡 祐太
鶴見 尚  ・・・  濱田 岳
* * *
伊藤  ・・・ 松重 豊
根津重人 ・・・渡部豪太(ソクラテス)
西尾保 ・・・菊池健一郎(バーガーショーグン店長)
学生課職員(酒井敏也)
松木優子(原 史奈)
郵便局員(樋渡真司)
* * *
妖精  ・・・  三上博史
(特別出演)
* * *
多田哲也  ・・・  藤木 直人

ほか


スタッフ

プロデュース ・・・ 瀧山麻土香 / 三竿玲子
脚 本 ・・・ 金子茂樹
演 出 ・・・ 成田 岳 / 加藤裕将
音 楽 ・・・ 吉川 慶
(スピードスターレコーズ)
主題歌 ・・・ 「明日晴れるかな」桑田佳祐
(タイシタレーベル/
 スピードスターレコーズ)

制 作 ・・・ フジテレビドラマ
制作センター
制作著作 ・・・ フジテレビ


山下 智久さんの主な出演作品


長澤まさみさんの主な出演作品


この記事へのコメント
ちーずさんこんばんは、諦めモードの健が切なかった〜幹雄がせっかく二人にしてくれて礼もずっと好きだったと言ってくれたのに「俺も」がでないとは情けないぞケンゾー!

五人の中に入ってきた多田は確かに大人げないかも知れませんね!幹雄の彼女も一緒に居たいと思いますが友達付き合いを優先させてあげるところは、さすがに年上!違う理由かもしれませんが…

前にも書きましたが、健との思い出を楽しそうに話す礼の横顔をみる多田は過去を変えているように見えます!だからこそ心配で五人の中に割り込んでいるのかな?

ラストのスライド?早いですよね?タイムスリップで幹雄が印象深い一枚が出来るのか?それとも決定的な一枚が隠されているのか?
Posted by けた at 2007年06月05日 21:30
はじめまして、おはようございます。

毎回楽しみに拝見させていただいています。
いつも良くこれだけのレビューを、
短時間で書き上げてるなあと感心と感謝をしています。
そのお礼を一言、言いたかった、言わないと伝わらないから^^

礼ちゃんが多田先生と付き合ってると、ケンゾーに伝えるシーン・・・

ずっとケンゾーが好きだった、って何でいまさら言うんじゃあ?
多田先生と付き合ってるということだけを、ただ、言えばいいんじゃね?
もっともそれに対してケンゾー黙ってるのは、1回目から何も変ってねえ〜〜〜
礼ちゃんて、バース人形の隠し方といい、男の純情もてあそんでません?
それともタイムスリップしてない素のケンゾーってそんなにひどいんかなぁ?
ひどいかもな〜大事な誕生日に合コンだもんナ?

後悔だらけで、根性無しで、見栄っ張りで、しったかぶりで、ビール飲みすぎで
足遅い、明日野郎(他になんかないかな?)の大馬鹿野郎ですけど
そんなケンゾーが大好きだぁぁぁぁぁ

来週はいよいよ1回目から出てきていたあの場面がやっと見れます。

あのストラックアウトの後、へたりこんだケンゾーの涙、せつなすぎる・・・
Posted by 一年G組の健 at 2007年06月06日 10:27
こんにちは(・◇・;)ノ いつも見させてもらっています。今回は特によかったですね!!尚がぶつかったマラソンランナーは一話で走っていた人なんですねΣ(゚Д゚)この時はまだ選手じゃなかったてことですかね(笑)しかも28200を300で割ったら94!!!これは苦しむですね。こういうのがあったのかびっくりです。やっぱりドラマは面白いです。あと3回たのしみです(*´∀`*)v
Posted by ぁやか at 2007年06月07日 19:25
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