2007年07月22日

受験の神様 第2話

『漢字の書き取り』

道子が梅沢家に初めてやって来る日の前日。
広と共に、勉強のスケジュールを考える勇。
4時半起床。そしてランニング。
「気合が入っているところをガツン!と見せてやる!」
そう張り切る親子。

翌朝。
4時半に鳴る目覚ましを元気よく止める広。
出勤前の勇は、広と一緒に早朝ジョギングを行った。
楽しそうに走る二人。
「野球でも勉強でも、最後は根性だ。
 どんなに苦しくても、最後まで頑張れ通せ!いいな?」
「うん!頑張るよ!」
「おい広!50mダッシュ!」
「はい!!」
俄然張り切る二人。「朝4時半起きは、やっぱりキツかった。
 でも、こんなことでへこたれている暇は無かった。」


学校。
漢字テストの最中、
「イテーな。」
シャープペンを持つ手を振る広。
「そこまで!
 じゃあ隣の人と交換して。答え合わせ!」教師が言う。

広の隣は、恵美(小薗江愛理)。
恵美はハネなども厳しく採点していく。
広は文句を言うが、
「漢字は細かいところが大事なの!」と譲らない。

結果、広のテスト結果は、58点。

クラストップの西園寺義嗣(森本龍太郎)は、
テストの点数98点だというのに、
「ママに叱られる・・・」と酷く落ち込んでいた。

とある女子中学。
テストの結果が掲示板に張り出される。
トップは菅原道子。500点満点という成績だ。
「菅原!
 実はテレビ局が、中学受験の特集で、
 お前にインタビューしたいそうだ。
 これが企画書だ。」
玄関を出た道子に教師が書類を渡す。
ぱらぱらとめくっていく道子。
「実名や学校名は出さないし、顔を出したくなければ
 それでもいいと言っている。
 明日までに、」
「もう、全部読みました。」
道子はそう言うと、教師のポケットからライターを取り出し、
その書類に火をつけて捨てると、その場を去る。

勇は会議室で得意先の担当者と挨拶。
それは、勇の大学時代の後輩だった。
「先輩!お久し振りです!」
「室口!お前どうしてここに?」
「今度先輩の会社の担当になりましたので、ご挨拶に。」
室口は現在会社のラグビー部の監督もしているらしい。
勇は室口に、試合に来るよう誘われる。

放課後、テスト用紙を見せ合う広と和樹(荒井健太郎)。
「88点か。おまえやっぱりすごいな!」
「漢字は、入試の時確実に点が計算出来るから、
 しっかりやっておいた方がいいよ。」と和樹。
「・・・ああ。」落ち込む広。
「広!今日塾のない日なんだ。
 お前ちょっと時間ある!?」
「え?」

放課後、広と和樹は早田中のグラウンドに立ち寄る。
野球部の練習を隠れてみつめる二人。
「カッケーー!!」
「ここで一緒にやれたらいいな!!」
「うん!!」

「どうしても、ここに入りたい。
 改めて思った!
 今はまだ全然だけど、これから死ぬ気で勉強すれば、
 合格できる!
 自分を励ました!
 僕には、今日から受験の神様がついているんだ!」


家に帰った広は、勉強のスケジュールを棚に貼り付けていく。
「ただいまー!」勇が早めに帰宅した。
「おかえり!」
「まだ来てないな!あのロボット女!」
「うん。」
「おいおい広!お前片付けとけよ!」
「父さん!一応さ、先生って呼んでよね。
 教えてくれるんだもん。」
「わかったわかった。」
インターホンが鳴る。
「来た!!」二人が声を揃える。
ところが、やって来たのは宅配業者。
大きな荷物を次々と運び込む。
「菅原道子さまからです。
 着払いで、34,440円になります。」
「着払い!?」
そこへ、道子がやって来た。
「おいちょっと、これどういうことだよ。」
「支払い、お願いします。」
「頼んでないぞ、こんなの。」
「必要経費です。」
「」「」「」「」「」

道子が注文したものは、ホワイトボードだった。
仕方なくカードで支払う勇。

いきなり冷蔵庫に首を突っ込んだ道子。
「授業に必要なら必要って先に言ってくれないか。」
「・・・」
「先生!」
「・・・」
「菅原道子さん!」
冷蔵庫をパタンと閉める道子。
今度は勇が買ってきたスーパーの袋の中身を確認。
「何やってんだ。」
「はぁ・・・。」道子はため息をつき首を横に振る。
道子と目が合い慌てる広。
「僕の部屋こっちです。」
道子を部屋に案内すると、勇に敬礼してみせる。

「やめてくれないかなー。
 人んちの食材見てため息つくの・・。」
そう呟く勇。

広の部屋を見渡す道子。
「あの・・・まず何をすれば・・・」
「座って自分の名前を、書きなさい。」
「え?・・・ああ。
 ・・・書きました。」
「私に何を、教えてほしい?」
「受験する、他のヤツラに、早く追いつきたいんです。
 だから、一番効率的な勉強の仕方を、教えてほしいんです。」
「一番効率的。」
「はい。」
「わかりました。では、これを背中に入れて。」
道子が野球のバットを渡す。
「は?」
「背筋を伸ばして、姿勢を正しなさい。」
「・・・はい。」
「エンピツを持ちなさい。」
ペンを手に取る広。
「エンピツ!」
広は言われたとおり、ペン差しからえんぴつを選ぶ。
「そうじゃなくて!こう!」
「イテッ。・・・はい。
 あの・・背中気になるんですけど・・」
「自分の名前を100回書きなさい。」
「・・・は!?」
「自分の名前を100回、書きなさい。」
「・・・はい。」

台所。
ハンバーグを作る勇。
息子の様子が気になり、ブラインドから覗いて見ると、
広が机に向かっているのが見える。
背中のバットは道子の影で見えなかった。
安心して料理を続ける勇。
大根を買い忘れたことに気付き、買物に出かけていく。

ノートに名前をつづり続ける広。
「持ち方!」
道子がものさしで広の手を叩く。
「うわっ。
 あの、先生。まだ名前書くんですか?」
「不満?」
「いや。あの、僕は、勉強を教えてほしいんです。
 姿勢やエンピツの持ち方なら、自分で直します。」
「そう。じゃあ、次に移ります。」
道子はそう言うと、広の机の中身をぶちまけていく。

勇が買い物から戻ると、広の勉強机がリビングに置かれていた。
「やめろ!どういうつもりだ!」
「勉強部屋を、ここに移します。」
「ここに!?
 こんなところで、勉強に集中出来るわけないだろ!
 ・・・どうしたんだ!?何やってんだ、これ!」
広の背中のバットに気付いた勇が慌ててそれを抜き取る。
「姿勢を正しなさいって。」
「姿勢を正しなさい!?
 あのさ!広はパリコレに出るわけじゃないんだよ!
 受験するんだ!
 ホワイトボードだって強引に買わせておいて
 全然使ってないし!」
「そのうち使います。」
「そのうち!?
 そんな悠長なこと言ってる時間ないんだよ!」
「私の責任ではありません。」
「こっちは必死なんだ!無我夢中なんだよ!」
「・・・わかりました。
 土曜日は徹底的に、勉強を教えます。」
「頼む!」
「今日はここまで!」

梅沢家から去る道子を、次の家庭教師先の母親が
車で迎えに来ていた。

「結局、この日の授業は、背筋の伸ばし方と、
 エンピツの持ち方。
 それに、勉強机を、リビングに移動して、
 それを又、父さんと、僕の部屋に戻すと言う作業で
 終わってしまった。
 なんか、物凄く無駄な時間を過ごした気がした。」


居酒屋。
「リビングに勉強机!?」
勇の話に驚く由美(須藤理彩)。
「俺は勉強を教える家庭教師を雇ったんだよ。
 インテリアコーディネーターを雇ったわけじゃない!」
「でも絶対効果あるのよ!
 受験の神様が言うんだから!」と由美。
「そうかぁ?」
「あんた、うちも勉強机リビングに移すよ。
 行ってきて!」
由美が夫・晋作(大倉孝二)に命じる。
「今?俺が?」
「当たり前でしょ!早く行け!このでくの坊!!」
「でくの坊って・・懐かしい響きの・・言葉の暴力だね。」

「あいつ本当に受験の神様なのかなー。
 自分の名前100回書かせたり、意味ないだろ。」と勇。
「あるわよ!
 恵美なんて、この前テストで名前書き忘れて、
 0点よ、0点!」
「えー、でもそんな授業で本当にいいのかなー。」
「いいのよー!」

その頃、勉強机に向かってはいるものの、
マンガを広げて居眠りする恵美。
ノックの音に飛び起きる。
「入るぞ!」
「なんだパパか。何?」
「リビング!?うちのどこにリビングがあんのよ。」
「え?あっそっか!
 うちのリビング下の店だもんな。」
父親を追い出そうとする恵美。
「わかった。じゃあ、夜食、これね。
 で、マンガは、ママに見つからないように。」
「はい。」
恵美は父にケリを入れて追い出した。

店に、西園寺公嗣(森崎博之)がやって来た。
「おー!教育パパのお越しか!」と勇。
「・・・」
「どうしたの?義嗣君の勉強、見なくていいの?」と由美。
「平日はカミサンの担当。
 俺は土日担当。
 とりあえず、生。」
「あいよ!
 あんた、生一丁。」
「はい。 
 ・・・自分では・・やらないんだ。」
「なんだって!?」
「いいえ!!」
「委員長、元気ないな。」勇が西園寺に言う。
「・・・もうダメだー!!」
「どうしたの!?」と由美。
「義嗣・・塾でクラス落ちしてさ・・。」
「あっそう。」
「受験は難しいなー。
 ここに来て偏差値5つも落としちゃって。」

西園寺家。
「すごいわね!忠嗣は!
 いっきに4つもクラスが上がって!
 お兄ちゃんなんて、学校のテストで満点も取れないし、
 6年になって特進クラスから落ちちゃって!
 あなたは、お兄ちゃんみたいに落ちこぼれになっちゃダメよ!
 ・・・病院は忠嗣に継がせることになるのかしらねー。」
母の言葉を正座して聞いていた義嗣は、爪を噛み・・・。

勇が帰ると、広はまだ机に向かい、問題と格闘していた。
背中にはバット。
「夜食買ってきたぞ。
 カラ、アゲアゲエブリナイト!DJOZMAな!」
広が笑う。
「な、広が頑張ってる姿見てると、お父さんうれしいぞ。」
「うん!」
「父さんに出来ることがあれば、何でもやるからな!」
「ありがとう!」
「頑張れ!」
「よっし!頑張るぞ!
 ・・・っと・・・。」

11時半。
皿を洗い、洗濯物を畳む勇。

夜食を食べながら勉強を頑張る広。
12時を過ぎても、眠さと闘いながら努力する。

そして早朝、マラソンする二人。

弓道場。
弓を放つ道子を見つめるクラスメートの少女。
道子の持つ弓の弦が切れた。
クラスメートの視線に気付く道子。
「菅原さん!ご飯まだでしょ。
 お弁当、余分に作ってきたの。
 良かったら、一緒に食べない?」
「・・・」
「気に入らない?」
道子は、彼女の手からお弁当を奪うように受け取る。

お弁当を頬張る道子。
「良かった!」女子生徒がほっとする。
「お茶は?」と道子。
「え?」
「お・茶!」
「ごめんなさい。気が付かなくて。
 持ってくる!」

授業中、居眠りする広。
「こら!授業中寝るな!」
怒られたのは広ではなく、義嗣だった。
「寝てません!」
「寝てただろ!」
「寝てません。」
「・・・まあいい。」
机に隠しながら携帯を操作する恵美。
「授業中にメールは禁止だって言ったよな!
 これは、帰るまで預かっておくからな。」
「返して下さい!」
「ルールはルールだ。」
「だったらもっと面白い授業をして下さい。」
「何?」
「授業が退屈なんです! 
 塾の先生の授業の方が全然楽しい!」
「お前塾の授業あんま聞いてないじゃん。」とクラスメート。
「何よ私のことばっか見てるわけ!?」
「見るか!お前みたいなブス!」
「このメガネ!」
教室中を走り回る二人。クラス中大騒ぎ。
「おい!いい加減にしなさい!!」
そんな中、黙々とペンを動かす義嗣・・・。

放課後の下駄箱。
「お前さ、あんなこと言うなよ。
 先生だって、立場ってもんがあるんだからさ。」
広が恵美に言う。
「だって本当のことだもん。」
「そんなに塾の授業って面白いのかよ。」
「うん。
 私勉強は嫌いだけど塾の授業は面白いから好き!
 ね、義嗣君!塾の勉強面白いよね。」
「別に。」
「今塾でどんなことやってんの?」広が聞く。
「お前には関係ないだろ。」
「つっめたいなー。
 俺も受験するんだから、仲間だろ!?」
「お前なんか仲間じゃない。」
「教えてくれよ。ね!ね!」
「1学期で、6年生でやる単元、全部終わらせるから、
 大変なんだよ。」
「1学期で、6年の勉強全部!?」
「知らなかったの?」と恵美。

「ショックだった。
 僕の焦りは、ピークに達した。」


勇の勤める会社。
上司・天木(西村雅彦)が勇を呼ぶ。
「ノルウェーの生産会社へのプレゼンの件だけど、
 先方の都合で来週の頭、急きょ来日することになった。
 うちのプレゼンは、水曜の朝一だ。」
「来週ですか!?ちょっと待って下さい、まだ何も準備が、」
「とにかく、資料と契約内容を詰めて間に合わせろ。」
「はい。」
「実力の、見せ所だな。
 入社してから、一度も見たことないけどな、
 俺は、絶対だ。気が重いなー。」
天木はそう言いながら立ち去った。

「来週の水曜ですか?」山本(黒田勇樹)が聞く。
「ああ。
 みんな、金曜で予定があるかもしれないけど、
 緊急事態だ。
 全員でがなろう。」
「・・・はい。」「さよなら・・私の合コン・・・。」

勇は広に、遅くなることを連絡。
由美たちの店で食事を済ませておくよう伝える。
電話を切った広は、バットを背中に入れて勉強に励む。

「その晩、僕は夢を見た。
 前を走る、義嗣や、恵美や、和樹を、
 必死で追いかけていたが、
 いつの間にか、霧が立ちこめ、
 気が付くと、森の中にポツンと一人、
 取り残されていた。
 すごくリアルで、怖い夢だった。」


朝4時半前に起き、朝食、昼食、夕食の準備をする勇。
4時半、二つの目覚ましに、広が起きてきた。。
「なあ、今日は一人で行ってこい。」
「・・どうして?」
「土曜だけど会社行かなきゃいけないんだ。
 それまでに、飯作って、掃除して洗濯しなきゃな。」
「・・わかった。」
「よし!行って来い!
 あ、広!
 今日ロボット女の授業のある日だよな。
 気合入れてけ!」
「OK牧場!」
「気をつけてな。」
「うん。行ってくる!」

辛そうにジョギングする広。
いつも挨拶する新聞配達員に声をかけられても、
返事をすることすら出来なかった。

参考書を広げながら問題に悩む広。
疲れもたまり、大あくび。

「今日は、これを全部やってもらいます。」
道子が広に、膨大な枚数の漢字書き取りプリントを渡す。
その数、300枚。
「全部出来るまで、今日の授業は終わりません。」
「・・・」
「どうしたの?勉強したいんじゃないの?」
「・・やります!!
 よーし!
 むがむちゅう・・・どっちの"む"だっけ・・。」

「出来た!
 先生、お願いします!」
「やり直し。」
「はい。
 あの・・何が間違ってるんですか?」
「自分で考えなさい。」
広は仕方なく、辞書を広げる。
広が消しゴムを手に取ると、
「消さないで、となりに書きなさい。」と道子。
「はい。」

仕事の目処がついた勇たち。社員たちは大喜びだが、
「じゃあ次の作業に入るぞ。
 明日、ニチニチ電工のラグビーの応援に、みんなで行く。」
「え・・」
「で、だ。
 応援グッズをこれから作る。
 でっかい応援旗とかな!」
「えーーーーっ!!」
「営業は根性だ!少なくても俺はそう思ってる。
 さ、やるぞー!」

梅沢家の電話が鳴る。
「はい、梅沢です・・」疲れきった声の広。
「もしもし、父さんだ。
 飯食ったか?」
「まだだけど・・」
「そっか。
 父さん、今日も遅くなりそうだから、
 しっかり勉強して飯食って、 
 風呂入って寝るんだぞ。」
「うん・・わかった・・。
 じゃあね・・」
「じゃあな!」

「電話、終わった?
 早く来なさい。」
「はい。」
道子の声に、気合を入れる広。

部下を励ましながら応援グッズを作る勇。

「やり直し!」道子が広にプリントを突き返す。
「はい・・」

午前2時少し前。
頭をかきむしりながら机に向かう広。
その横で読書する道子。

机に突っ伏して眠る広。
「眠そうねー。寝る?」と道子。
「寝ません!」
道子が布団を広げる。
「あ、寝ませんって・・。
 最後までやります。」
広の腹が鳴る。
「ご飯食べる?
 もっと眠くなるけど。」
「食べません!」

「正直、キツかった。
 でも、ここでやめたら、
 自分にも、この、ロボット女にも
 負ける気がした。
 それに、父さんの為にも、頑張らなきゃって思った。」


3時過ぎ。
応援グッズを作り上げた社員たち。
「よーし、本当にお疲れさん!
 じゃあ11時に再集合して、応援しに行くからな!
 はい、解散!」
「マジで・・。」戸惑う社員たち。

日曜の早朝、徹夜の仕事を終えて帰宅した勇。
「おはようございます。」と道子。
「おはよう。
 ・・・お前どうしているんだ!?
 まさか!!」
慌てて広の部屋に駆け込む勇。
広は机に突っ伏して眠っていた。
「広!」
バットを背中から抜く勇。
「お帰り・・」
「お前・・・」
広を抱きかかえてベッドに運ぶ勇。
道子が梅沢家を出ていく。
その後を追う勇は、テーブルに置いておいた料理が
一つも手を付けられていないことに気付く。
「あの野郎!!」

「ちょっと待て!!」
「何か?」
「何かじゃないだろう。広に何やらせてる!」
「あなた、時間がないって言いましたよね。」
「だから!?」
「彼は、早く他の子に追いつきたいと言いました。」
「そりゃ言うだろ。」
「だから土曜日は徹底的に、勉強を教えると言ったはずです。」
「だからって徹夜はないだろ!?
 お前、俺の息子に飯も食わせなかったろ!
 俺の息子殺す気か!?」
「・・・それで。」
「それで!?
 何がそれでだよ。
 お前はもうクビだ!二度と来んな!」
「あなたが作る料理は、油を使いすぎているようですね。」
道子はそう言い立ち去った。

「ふざけんな!!」怒り心頭の勇。

ラグビーの応援に参加する勇たち営業部。
営業部社員たちが居眠りする中、勇は一生懸命声援を送る。
眠った社員たちを必死に起こす勇を、勇の後輩・室口が見ていた。

「頑張れ!負けるなー!」勇が声援を送る。

「頑張るな!トライさせろ!トライさせるんだ!」と室口。

試合終了後。
「おめでとうございます!」勇が取引先に挨拶する。
「梅沢君の応援のお陰で勝たせてもらったよ。」
「いえいえ。
 契約の件、よろしくお願いします!」
「前向きに考えておくよ。」

「先輩、なんか、変わりましたね。」室口が勇に言う。
「え?どこが。」
「ミーティングがありますから、これで失礼します。
 今日は応援、ありがとうございました!
 失礼します!」
「お疲れ様。いい試合だった!」
勇が室口を見送る。

勇が家に戻ると、母・信子(八千草薫)が料理をしていた。
「母さん!どうしたの!?」
「いいわねー、氷川きよし君は。 
 カワイイのに、華があるのよね!」
信子は氷川きよしのコンサート帰りのようだ。
「ねー広、何で、日曜の昼間から、
 あんなに疲れ切って寝てるの?」
「あー、受験勉強で、いろいろあってね。」
「受験なんてどうでもいいじゃないの。
 ちゃんと寝かせなさいよ。
 昔っから寝る子は育つって言うでしょ。
 あなた小さい頃、寝てるときに、背が伸びる音まで聞こえたのよ。」
「聞こえたね、バキバキって。
 でも全然伸びなかったよ。」
「そんなに背が低くてよくラグビー出来たわね。」
「ラグビーっていうのはさ、団体スポーツの中で一番人数が多いんだ。
 俺みたいな背の低いやつ、体重の重いやつ、
 それぞれの役割が協力し合う、素晴らしいスポーツなんだよ!
 ちなみに、俺の好きな言葉はスクラム!」
「ほんっと、昔っからあなた、ラグビーの話をしている時だけは、
 いい顔してるわねー!」
「・・・」

夜。
ラグビー部の写真を見つめながら、室口に電話をする勇。
「なー、室口。俺変わったかな。」
「すみません、先輩。
 あまり深い意味は無いんです。
 気になさらないでください。」
「・・・お前、試合の途中、頑張るなって選手に言ってただろ?
 あれどういうことだ?」
「ああ、あれはですね、相手の方が体がでかいんで、
 下手に頑張ると、こっちが消耗しちゃうんです。
 ワントライ相手にやっても、体力温存した方が効率的だと
 思いまして。」
「勇気がいる作戦だな。頑張るな、なんて。」
「先輩が教えてくれたんじゃないですか。」
「俺が!?」
「ええ!
 大学時代。」

大学時代。
ラグビーの試合中、室口が怪我をしたことに気付いた勇。
「シーズンもうすぐ始まるんです!頑張らないと!」
そう言い張る室口に、勇はこう言ったのだ。
「気持ちはわかるよ。
 でもな、今は頑張るな。
 休む時はしっかり休め!
 頑張らないことが、近道になることだってあるんだ。」

「頑張らないことが近道!?」
「俺あの時無理してたら、潰れてたと思うんです。
 だから今の俺があるのは、先輩のお陰です。
 ありがとうございました!」

電話を切った勇は、広の訂正だらけの漢字プリントを見つめ・・・。

「あ・・寝ちゃった!どうしよう。続きやんなきゃ!!」
広が飛び起きる。
「いいんだいいんだ。広、いいんだ。
 今日はもう勉強しなくていいから、ご飯食べて寝ろ。」
「でも・・」
「これから、朝のジョギングは、6時からにする。
 夜は11時にはもう寝るんだ。」
「それじゃ他のヤツラに追いつかないよ!」
「追いつかなくてもいいんじゃないか?」
「え・・」
「広って名前はな、広い心と、広い視野を持った、
 大きな男に育ってもらいたくてつけたんだ。
 でも・・名前を付けた父さんが、広い視野がなくなって、
 お前に、目先のことばっか押し付けて。
 お前をこんなに追い込んだのは父さんだ。
 すまない・・。
 勇、許してくれ・・。」涙する勇。
「父さん・・・」
「お前は頑張り屋だ。
 頑張れることは、お前が、誰にも負けない才能だ。
 父さん、それを誇りに思うぞ。
 だけど、時には頑張らない勇気っていうのも必要なんだ。」
「頑張らない・・勇気?」涙をこぼす広。
「ああ。
 遠回りでいいじゃないか。
 あんまり頑張り過ぎるな。」
「うん・・」広は涙をぽろぽろとこぼしながら頷いた。

「父さんに、頑張るなって言われて、
 すごく、気持ちが楽になった。
 無意識のうちに、自分を追い込んでいたことに、
 初めて気付いた。」


学校。
漢字の書き取りテストが始まる。
「嘘!?」
道子にしごかれて覚えた漢字の問題が、そこにあった。
綺麗な姿勢で答案用紙を埋めて行く広。

「昨日、一日たっぷり寝たら、すっきりした。
 それに、気のせいかもしれないけど、
 姿勢をよくして、エンピツの持ち方を変えたら、
 疲れなくなって、集中出来た。」


道子を待ち伏せる勇。
「ちょっと一緒に来てくれないか?」
「は?」
「頼む!」
勇は道子の腕を掴み歩き出す。

「先生!こん・・ばんは!なんちって!」
田村正和の真似で出迎える広。
「こちらへどうぞ!!」
リビングは、道子が変えようとしたとおりの部屋に戻されていた。
「試しにこっちに移してみたら、広も気持ちがゆったりして
 いいって言うんでね。 
 あと、こっちもいろいろ変えてみた。」
「先生のイスは、こっち!」
「クッションもつけておいたから。
 それから、一日のスケジュールも、無理の無いものに変えたんだ。
 勉強も大切だけど、食事や睡眠は、もっと大切だってことが
 わかったんだ。
 虫がいいかもしれないけど、
 もう一回、家庭教師お願いします!」「お願いします!!」
頭を下げる勇と広。
「・・・」
「君は、俺が目先のことばかりこだわって、
 間違ってるってことを教えたかったんだろ? 
 やっとわかったんだ。
 だから、」
「何か、勘違いなさっているようですね。」
「勘違い!?」
「私は彼の家庭教師であって、あなたに何も、教えるつもりは
 ありません。」
「・・そうか。
 でも、広に徹夜をさせたのは、あんな状態で教えても、
 覚えられないってことを教えたかったんじゃ。」
本をバンと叩く道子。
「一昼夜でたったプリント30枚!
 こんなに最低な生徒は始めて。
 これは、私が4年生の時、3時間で全問解いた問題です。」
「3時間・・」
「そっか。君も頑張ったんだな。」
「はっ。」
「4年生で、これを3時間で解くなんて。
 3時間で出来るものを、広の為に、徹夜してくれたんだよな。
 そうだ。君の親御さんに、お詫びの電話しないとな。」
勇が電話を手に取ると、道子は置いてあったコーヒーを勇にぶっ掛ける。
驚く広と勇。
「では水曜に。」
道子は平然とそう言い、梅沢家を出ていった。

「僕も、父さんも、暫く、声が出なかった。」

橋の上。
振り返り、梅沢家のあるマンションを見つめる道子。

「僕は、受験の神様の考えていることが、
 全然わからなくて、混乱した。

 そして、新たな敵が、二人も現れることを、
 僕達は、まだ知らなかった。」



※一部公式HPあらすじを引用しました。



前半、国語の漢字テスト中、広が手を痛がっていたのは、
姿勢のせいだったんですね。

まずは自分の名前を書かせる道子。
広のペンの持ち方は、ペンをギュっと握り締めるような持ち方。
だから書き取りの時、手がすぐに疲れてしまっていたんですね。
道子はそれを見抜き、まずは姿勢を直そうと、バットを背中へ!
そしてエンピツの正しい握り方を覚えこませようと、
100回名前を書くよう言いつけた。

子どもが小学生のうちは、リビングで勉強した方がいいと
テレビで特集しているのを見たことがあります。
恵美ちゃんなんて、勉強机に向かってはいるものの、
マンガ広げて、居眠りしていましたしね。(笑)

誰にも見られていなくても、自主的に道子の言いつけを守り、
バットを背中に入れて頑張る広。健気だ〜!

姿勢、そして食生活。
まずは基本的なことから改善させようとする道子。
ロボットのように無表情な道子ですが、
一瞬、仮面が剥がれかけました。
「そっか。君も頑張ったんだな。」
勇にそう言われた時の、道子の「はっ。」
怒っているというよりは、びっくりした、という感じでしょうか。
コーヒーをかけたのは、家に電話をしようとしたから?
まだまだ謎だらけの道子です。

母親に弟と比較されて追いつめられた義嗣が心配です。
母親は、闘争心に火をつけようとしているのかもしれないけれど、
彼こそ、「頑張らなくてもいいよ」の言葉が必要なのかも。




=お知らせ=
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ブログの引越を機に、ドメインを取得してみました。
それに伴い、ブログのアドレスが変更となります。
度々の変更、申し訳ありません。
変更予定日:7月29日
新アドレス:http://www.dramanote.com/



※明日は予定が立て込んでいる為、【ライフ4話】の感想は
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キャスト

梅沢勇(山口達也)
菅原道子(成海璃子)

梅沢 広(長島弘宜)
西園寺義嗣(森本龍太郎)(ジャニーズJr.)
手塚恵美(小薗江愛理)

西園寺公嗣(森崎博之)
西園寺文江(宮地雅子)
松岡浩介(海東 健)

山本真一(黒田勇樹)
西田真理(小川奈那)
和田沙織(石橋杏奈)
西園寺忠嗣(森本慎太郎)(ジャニーズJr.)
中尾和樹(荒井健太郎)

天木茂雄(西村雅彦)

手塚由美(須藤理彩)
手塚晋作(大倉孝二)

梅沢信子(八千草薫)


スタッフ

脚本:
 福間正浩
主題歌:
 『本日、未熟者』TOKIO(ユニバーサルミュージック)
 作詞作曲・中島みゆき
演出:
 岩本仁志
 大谷太郎ほか
プロデューサー:
 西憲彦(日本テレビ)
 鈴木聡(ケイファクトリー)
 渡邉浩仁(日テレアックス
音楽:
 池頼広
制作協力:
 日テレアックスオン
製作:
 日本テレビ


【6年A組】
飯島夏美
岩沼佑亮
大野真緒
岸 彩海
鬼頭歌乃
黒沢ともよ
甲野優美
小坂友覇
小堀陽貴
齋藤隆成
櫻木麻衣羅
志賀谷ゆい
高畑 翼
田中 輝
田中雄土
仲谷みなみ
中原知南
松岡茉優
松林啓太
松原菜野花
路川あかり
恵 隆一郎
守山玲愛
吉原拓弥
渡辺 悠


【東外物産・社員】
武藤晃子
越村友一
佐藤 仁
林 洋平
伊藤竜也
康 喜弼
のぞみ


菅原道子の決め台詞

「あなたは、受験したいの?それとも勉強したいの?」
「やる前から、諦めるの?」「負け犬の発想ね。」
「私は、狙った的は外さない。」
「私に任せるのなら、私が法律です。
 服従の証として、土下座、して下さい。」
「自分の罪に気付かないのが、一番の罪です。」




山口達也さんの主な出演作品



成海璃子さんの主な出演作品


01:08 | CM(1) | TB(2) | 受験の神様 | Edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちーずさんこんばんは、ちっちゃい真矢ですね〜感情を出さない姿はロボット!いやターミネーターですね!

道子の感情は両親が無くしたのでしょうか?それとも親じたいが不明とか?教えられたり勉強した事は学習能力は高いけど、人間関係には弱いようですね!同級生が作ったお弁当に反応した道子、一瞬にして栄養素やカロリー計算をした?体育会系の勇の食事も油が多すぎてダメだというし…ご馳走してくれた同級生にお茶まで求めるとは〜彼女も友達になって欲しいです!

勇の友達の夫婦、医者のほうは両親そろって息子を追い込み弟と比べて体罰、居酒屋のほうは口は挟むが皆ダンナ任せの母親、救われるのはダンナがマンガを読んだり居眠りしていることが解っていることかな?

広と勇の親子の涙をぶっ壊す道子の機械的な言葉は、いい意味で裏切られます!八千草ばぁちゃんの経験がうまく効いてます!
Posted by けた at 2007年07月22日 20:30
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