2007年10月07日

ジャッジ〜島の裁判官 奮闘記〜

『新天地』

三沢恭介(西島秀俊)は大阪地裁で知的財産権の事件を扱う高度な専門知識を持つ裁判官のエースとして超多忙な日々を送っていた。だが、その代償として妻・麗子(戸田菜穂)は、8歳の娘・麻衣子(桝岡明)を連れて実家に帰り、家庭は崩壊しようとしていた。そんなある日、突然、鹿児島県の大美島への転勤の内示が出る。島に行けば、たった一人の裁判官として刑事から民事、家事から少年事件まで全てを担当する。支部長として行政職も務めなければならない。知財訴訟専門を目指す恭介にとっては、不満の多い内示だった。恭介は妻の実家を訪ね、いっしょに島に行こうと麗子を説得しようとするのだが、娘の「島に行きたい」のひと言で、崩壊しかけた家庭を立て直すラスト一回のチャンスを得た。そしていよいよ、恭介の大美島での裁判官勤務が始まる。ところが法廷では、老齢の弁護士・平正明(寺田農)が恭介を驚かす。再犯である被告人を初犯であると誤って弁護し、ろれつも怪しい。書記官に尋ねると、どうやら黒糖焼酎を2、3杯飲んできたようだと教えられる。また、幼い息子の親権を争う離婚調停を受け持ち、夫婦同席の調停を試みるが、互いに一歩も引かず恭介は困惑する…。

公式HPより=裁判官・三沢恭介の転勤3回目の赴任地は、鹿児島県の離島。
飛行機の窓に広がる海、そして島の美しさに感動する麻衣子、麗子。
その隣で、本を読みながら眠ってしまった恭介をたたき起こす麻衣子。
タクシーの中での三人の笑顔、島を自転車で回る三人の様子に
三沢家は仲の良い、温かい家族なのだと思っていました。

所々、妻・麗子の語りが入ります。

「こんな風に、親子三人、南の島で暮らすことになるなんて、
 3ヶ月前には想像もしていませんでした。」


「億単位に上る損害賠償事件など、企業が存亡をかける法廷では、
 裁判官には、最先端の技術や知識を正確に理解し、
 迅速に判断することが、強く求められます。」


大阪地裁で知的部で活躍していた三沢。
法廷中、判事が三沢の意見を聞くシーンもありました。
とても有能な裁判官なのですね。

「夫は、ここでキャリアを積み、将来は東京に新しく作られた
 地財高裁(知的財産高等裁判所)に勤務したいと考えていました。」


ところが、三沢に打診されたのは、鹿児島県大美島。
幅広い見識を身につけることも大切、と所長。
大美島に内定していた東京地裁の判事補・塚本(三沢の同期)が
胃の全摘手術をしたため、三沢に回ってきたのだ。

東京へ見舞いに駆けつける三沢。
塚本は大美島赴任を迷う三沢に、
「いいじゃないか。知財高裁が逃げてなくなるわけじゃあるまいし。
 島はいいぞ。島に行ったら裁判官は一人だけだ。
 刑事も民事も家事も少年も全部一人でやれる。
 こんな経験、他じゃ絶対出来ない。
 裁判官として、一回りもふた回りも成長できる、
 絶好のチャンスだ。
 やっと念願が叶ったと思ったら・・・
 さあ、大美島へ行けよ!」
とアドバイスする。

こうして三沢は赴任を決断したのですね。

島を自転車で回る三沢家一家は、教会で行われていた葬式を
見かける。
大勢の人が集まった葬式。
遺影を手にした女性の涙。

この女性が、浅野温子さん。久し振りにドラマで拝見します!
ほんの数秒のシーンで、泣きはらした目で涙をボロボロとこぼす。
さすがです!


島の町内会長・池田里見は、居酒屋店主。
入浴中の三沢に「支部長さん、またあとでねー!」と声掛け。
狭い浴槽に膝を抱えて入浴中の三沢もこれにはびっくり!

その日、里見の居酒屋で三沢家の歓迎会が開かれる。
大美島支部の主任書記官・野見山修をはじめ、大美島支部の人たちは
エリート裁判官・三沢を大歓迎。

ヤー・・・あなた
テゲテゲ・・・のんびりして、万事いい加減
方言や島唄『一切りあさばな節』がいいですね〜!
居酒屋の壁に貼られたメニューにも、並んだ料理にも、
心惹かれます。(笑)


「夫の職場の人たちと、こうして食事をしたりするのは、
 初めてのことでした。
 そして、夫のこんな笑顔を見るのも、本当に久し振りのことでした。
 実は、島に来る前、夫と私は離婚の危機にあったのです。
 大阪での夫は、知的財産部のリーダーとして、
 連日連夜、仕事に没頭していました。
 そしていつしか、私達家族の時間は、どこにも無くなっていました。
 小さな夫婦喧嘩を重ねた上に、別居。
 私達夫婦の絆が切れるのは、時間の問題だと思っていました。」


三沢の母・早苗から電話が入る。
早苗は、東京・駒込でもんじゃ焼きを経営。
「まだ仲直りできてないの?」
「うん。」
「まったくお前ときたらさ。
 だから母さん言ったじゃないか。
 夫婦ってものはね、」
「母さん、俺、4月から、大美島に赴任するかもしれない。」
「大美島?大美島ってどこだっけ?」
「鹿児島県の離島。」
「鹿児島県の離島って!あんた何か悪いことでもしたのかい?」
「え?」
「島流しだろ?」
「島流し!?」
「お前って子はね、子どもの時から、不器用で愛想がなくてさ、
 何か一つのことに夢中になっちゃうと周りが見えなくなっちまって
 イノシシの突っ走りだろ!
 そういう融通のきかないのが、昔から、遠くの島にサーっと
 流されちまって、」
「違うって。
 島の裁判官っていうのは、一応、一人でいろいろ判断の出来る、
 一人前と認められた判事補がやるもんなの。
 変な心配するなよ、もう。」
ほっとした早苗は、三沢に、これが最後のチャンスと、
妻と子どもを一緒に連れていくよう諭す。

麗子と話し合う三沢。
「鹿児島の離島の支部なんだ。
 裁判だけじゃなくて、支部長として、
 職員の人事なんかも含めて、
 まあ部下を持った支店長みたいなもんかな。
 そういうこと、あんまり得意じゃないし、
 不安がないわけじゃないけど・・・
 いい機会かもしれないと思って。」
「いい機会?」
「ああ。」
「何が言いたいん?」
「決まってるだろう。忙しい中こうして来てるんだ。」
「・・・どうしてそういう言い方しか出来へんの?
 私帰る。」
「ちょっと待てよ!」
「いい加減にしてよ!
 仕事の為仕事の都合!
 何であなたの都合ばっかりなん!?
 何でいっつもあなたの都合に私が合わせなあかんのよ!
 ・・・今まで一度だって、私と麻衣子の気持ち、考えたことある?」
「・・・」
「麻衣子の運動会、授業参観、一度だって来たことある?
 結婚記念日いつだったか覚えてる?
 たまに早く帰ってきても、資料睨み難しい顔してご飯食べて、
 ご馳走様も言わんと、部屋に戻って真夜中までまた仕事。
 麻衣子な、あなたが家にいる時、気使って大きな声で喋らんように
 なったんよ。
 気付いてた?
 ・・・もう、一緒にいるのあかんようになって、
 大切な仕事してるんやから、我慢せなあかん、
 普通の暮らし、諦めようって、そう思ってきたけど・・・。」
「・・・すまない。
 すまなかった、麗子。謝るよ。」
「・・・」
「・・・勝手なことばかり言って、本当に済まない。
 でもやり直したいんだ。
 島に行って、もう1度やり直せたらって思ったんだ。
 君と、麻衣子と一緒に、もう1度、家族三人で暮らせればって。」
「・・・」
二人に駆け寄る麻衣子。
「島へ行ったら、みんな一緒に家に住めるの?
 麻衣子、島へ行きたい!
 パパ、麻衣子な、島に行っても、静かにしてるからな。
 麻衣子も連れてって!」
「麻衣子・・・」

こうして、家族三人、大美島に来ることになったのですね・・。
家族の再生を賭けて。

美しい海の色をバックに、自転車で島を回る三沢の姿に
Dr.コトーが重なります。
コトー先生も、辛い過去を持っていました。


窓のある法廷。窓の外は美しい海。
開放感のある法廷に、三沢も感動した様子。

支部長室には、積み上げられた書類の山。
未済事件(継続中の事件数)は、民事で100件、
刑事、家事、少年は含まれていない。
「民事だけで100件。それなら普通か。
 民事で、一年以上経っているのは何件ですか?」
三沢に聞かれて書類を調べる泉書記官。
「一年以上の未済事件は、32件です。」
「32件!本当ですか!?
 いまどき考えられないな。3分の1が一年以上だなんて。
 いいですか?これからは、1年以上の未済事件は、ゼロを目指します。
 スピーディーに行きましょう!」

泉から三沢のこの発言を聞いた大美島支部の一同は、
「頼もしい!」と嬉しそう。
そんな中、久美子だけシビアな顔。

6年ぶりの傷害事件。
緊張気味に、一人支部長室でメモを見ながら予行練習する三沢。

傷害事件の第一回公判が始まる。
泥酔した客に絡まれてやむなく暴行に及んだ、と主張する被告人。
前科はない、という平正明弁護士の発言に驚く三沢。
「弁護人!被告人には前科があります。」
「あ・・そうでしたそうでした。失礼しました。
 二回目でした。」と書類を見直し笑い出す平弁護士。
「執行猶予中ですよ!」と三沢。
「あ、そうですそうです。
 えー、被告人には、小学1年・・じゃない、小学2年の・・
 ちょ、長女ではない、」

裁判終了後。
「この島にはああいう先生が多いんですか!?」あきれ返る三沢に、
「この島には弁護士の先生は三人しかいらっしゃいませんが。」
「さん・・いやそうじゃなくて、
 あの先生ちゃんと記録読んでたのかな。」と久美子。
「平先生は・・今日も黒糖焼酎を2、3杯は飲んできたみたいですね。」
「黒糖焼酎!?」
「度忘れもしょっちゅうで、裁判の日取りを勘違いして、
 来られなかったこともありました。」
「冗談でしょう!?」
「本当です。」

支部長室。
「黒糖焼酎を3杯も!?嘘だろう!?」
三沢が憤慨していると、女性、平田かおりが泣きながら
乗り込んできた。
別居中の夫が子どもを奪ったと訴える。
「いきなり何ですか!」

島の裁判所でなければ、離婚調停の当事者が直接、支部長室に
直訴しに来るなんてあり得ないことでしょう。


調停室。
かおりから事情を聞く三沢と谷川。
子どもを取り返してほしいとかおり。
「親権が決まっていない段階で、裁判所にそんなことは出来ません。」
「前の裁判官が早く決めてくれんから!
 警察に言えば返してくれるね?」
かおりが家裁調査官・谷川に聞く。
「警察だって介入出来ませんよ。」
「じゃあどうすれば・・どうすればいいかい!!」
「・・・出来るだけ早急に、調停の手続きを、」と三沢。
「何が早急ですか!もたもたして!
 何のための裁判官か!役にも立たん!」

「大美島支部は、家庭裁判所でもあります。
 夫が離婚調停を受け持つのは、初めての経験でした。」


かおりが帰ったあと、三沢と谷川は調停室で話を続ける。
「島では単なる夫婦喧嘩まで、事件として受け付けているんですか?」
「ああ。」と谷川。
「夫は・・漁師ですか。」
「ええ。でもあまり仕事をしないで昼間から酒を飲んでることが
 多いようです。」
「それじゃ子どもは育てられないでしょう。」
「夫の母親が面倒を見ているんです。
 調査に行きましたが、おばあちゃんが孫を可愛がっていて、
 それがおばあちゃんの生きがいになっているようでした。」
谷川の言葉に大きなため息をつく三沢。

学校。
島の子どもたち、リカ、エミ、翔太は転校してきた麻衣子を
温かく迎える。
「麻衣ちゃん!一緒に遊ぼう!」
麻衣子の手を取り走る翔太。

その日、夕食時間に帰って来た夫に驚く麗子と麻衣子。
「とんでもないところに来てしまった・・・」
三沢は呆然とそう呟く。

翌日。
三沢は谷川に、平田夫婦同席の調停を提案する。
「その方が手っ取り早いでしょう。」と三沢。
「手っ取り早い!?」
「・・いや、言葉が過ぎました。
 ただ、いずれにせよ、一刻も早く決着をつけてあげるのが、
 当事者の為でしょう。」
「・・この夫婦の場合、同席は避けた方がいいと思いますが。」
「今まで個別でやっていて埒が明かなかったんでしょう?」
「しかし、本当に仲の悪い夫婦で、つかみ合いのケンカになりかねません。
 こういうケースは別々に話を聞くのが普通でしょ?」
「そんなことはわかってます!
 でも、同席で上手くいった事例があるのも事実でしょう!」

「現場を知らなさ過ぎる!
 何が上手くいった事例があるだ!
 どこの本に書いてあったのか知らねーけど、
 付け焼刃で調停が出来ると思ってんのか!!
 全く!!」
谷川が一人大声で文句を言うのを、クールな表情で耳にする久美子。

宮之浜。
谷川は平田透に、調停の日にちを早めさせてもらえないかと
頼みに行く。
苛立たしそうに酒を煽る透。
母親が、孫と楽しそうに遊んでいた。

調停の日。
平田夫妻は三沢、谷川、調停委員たちの前で言い争いを始める。
「こいつは料理も出来ん!
 悟に何食べさせてたんだ?」
「ちゃんと食べさせてたよ!」
「菓子パンかカップラーメンばっかりだろ。
 それじゃ可哀想だろうが!
 裁判長、この女はね、子どもほったらかして、
 平気で夜遊びするような女だよ。」
「夜遊び!?
 悟の為に働いてるんど。
 そっちこそロクに仕事もせんで、昼間っから酒飲んで、
 どうやって悟を育てられるっていうのよ!!」
「オッカンが、ちゃーんと面倒見てるから心配ない!
 悟は、オッカンの手料理を毎日腹いっぱい食べてるんだ。
 お前なんかより、オッカンに育てられた方が悟はちゃんと育つ。」
「おばあちゃんが亡くなったらどうすんのよ。」
「勝手にオッカン殺すな!!
 悟は、ヤーのとこなんか帰りたくないっち、
 そう言ってるんだよ。」
「嘘っちば!嘘に決まってる!
 悟がそんなこと言うはずありません!」
「嘘じゃないっちば!
 裁判長、そういうことだから、さっさとワンに親権認めてよー。」
「悟を返してっちば!
 返してくれなければ生きていけないっちば!」
妻は号泣しながら、ボールペンを握り締め夫に突進。
谷川や調停委員らは必死に二人を引き離すが、
谷川は怪我をしてしまった。

調停室の非常事態を知らせるランプに、書記官たちが駆けつける。
突然の出来事に、三沢は何もすることが出来なかった。

「やれやれ。着任そうそう事故なんて。
 エースって聞いてたのに・・・大丈夫かや。三沢支部長・・・。」
野見山らが落胆する。

支部長室。
怪我の手当てをする谷川。
「申し訳ない・・・」と三沢。
「だから言ったでしょう。ずっとこんな調子で、
 お互いどうしても譲らないんです。」
「あの・・」
「はい!?」
「子どもは本当に、母親を嫌がっているんですか?」
「それは、・・・はぁ・・。
 報告書にも書きましたが、母親は実際夜仕事に出てしまうんで、
 寂しい思いをしていたんじゃないでしょうか。
 その分、おばあちゃんに懐いて甘えていたんじゃないかと
 思いますが。」
「・・・」
三沢は報告書に目を落とし・・・。

自転車を止め、浜に座りながら報告書を読む三沢。
報告書をカバンにしまい、立ち上がったとき、
ある女性が海を真っ直ぐ見詰めている姿に気付く。
葬儀で泣いていた女性だった。

三沢家。
報告書に再び目を通す三沢。
報告書には、悟が祖母に愛情いっぱいに育てられていることが
描かれていた。

「パパにお休みって言っていい?」
「今お仕事中やから、はよ寝なさい。」
娘と妻の声に、三沢は部屋から顔を出す。
「コーヒーが飲みたいな。」
「パパお休み!」麻衣子の笑顔。
「ああ、お休み。」

転居のハガキに宛名書きをしていた麗子は、夫を笑顔で見つめ、
そしてコーヒーを入れる。

「私に聞いているの?」と麗子。
「ああ。事件のことだから、詳しく話せないんだけど。」
「4歳の男の子と、離婚調停中のお母さん・・
 普通それ位の子どもが母親を嫌うってことは、 
 考えにくいと思うけど。」
「そうだよな・・。
 でも、父親の気持ちもわからなくはないんだよな。」
「けど、子どもには母親が必要よ。」
「父親は必要ないってこと?」
「そうは言わへんけど。」
「4歳の子をはさんでにらめっこか。
 難しいよ・・。」
「けど、子どもがいるからこそ救われるってこと・・」
「え?」
「・・・」
「・・・」

大美島支部。
三沢は谷川に、悟を母親に会わせてみようと提案する。
「私は反対です。」
「なぜですか?」
「あの父親が承諾するとはとても思えませんし、
 それに子どもに選択をさせるというのは、」
「子どもに選択をさせると言っているわけではありません。
 父親の主張していることが本当かどうか、それを知りたいだけです。」
「しかし、息子が父親を怖がって、言われたとおりに振舞う可能性も
 あります。」
「そうかもしれません。でもそれは見ていればわかるでしょう。」
「しかしですね、」
「とにかく、提案してみてもらえませんか?」

プレイルーム。
おもちゃで遊ぶ悟を、マジックミラー越しに見つめる透の母。
親権は渡さないと頑なな透。

かおりがプレイルームに入室する。
「悟・・」
「ママ!!」
抱き合って再会を喜ぶ二人。

その様子に、透は俯く。

「これが、ママ。
 これが、おばあちゃん。
 これが、パパ。
 ワンのお家に、みんな一緒に住むの!」

悟の言葉に涙ぐむ透の母。

かおりは幼い息子を力いっぱい抱きしめる。

そんな様子をじっと見つめる透。

「返してやれ。透。」
「おっかん・・」
「子どもは、母親と一緒に、いたがるもんど。」
母の言葉に涙ぐむ透。

「透さん、あなた、おばあちゃんの為に、悟君を奪い返したんじゃ
 ないんですか?」と三沢。
「・・・」
「透!やあ、そうなのか?」と母。
「ガキの頃から悪いことばっかりしてきて・・
 オッカンに心配ばっかりかけて・・
 親孝行一つしとらん・・。
 でも、そんな俺に、オッカンは(よく聞き取れず)
 それなのにこんなことになってしまって・・。」
泣き出す透。
「みっともない。
 男のくせに、泣くな。」

「・・・お気持ちはよくわかりました。
 皆さんが、悟君のことをこれだけ大切に思っておられるんですから、
 悟君の為に、みんなで一番いい道を考えましょう。」
三沢の言葉に、透が頷く。

三沢は、悟を膝に乗せ、絵本を読むかおりを見つめ・・・。

海を見つめる三沢。
「支部長!」谷川が声をかける。
「どうしてわかったんですか?
 透さんがおばあちゃんの為に悟君を奪い返しただなんて。」
「谷川さんが教えてくれたんじゃないですか。」
「え?」
「悟君といることが、おばあちゃんの生きがいみたいになっているって。」
「ああ・・・」
「報告書も何度も読み返しましたが、
 実に丹念に調べてありました。
 透さんがいかに母親思いか。
 だからわかったんです。
 というか、正直、もしかしたらって思っただけですが。」
「・・ま、今回はたまたま結果オーライでしたが。」
「そうですね。
 私ももっと勉強しmさう。」
「・・お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした。」
深くお辞儀しあう二人。
谷川は三沢に微笑み、そして立ち去る。
三沢もまた、微笑みを浮かべて谷川を見送った。

海岸。
翔太が麻衣子に貝殻をプレゼントする。
嬉しそうに微笑み会う二人。

三沢家。
三沢は麗子に、平田夫妻は暫くは別居を続け、次の調停までに
これからどうしたいのか、考えをまとめてくる、ということに
なったと報告する。
「もしかしたら、元のサヤに納まることもあるかも。」
「本当!?」
「いや、漠然とした心証なんだけど。」
「そうなるといいね。」
「うん。」
妻をしばらく見つめていた三沢は、テーブルの上の貝がらに気付く。
「綺麗な貝がらだな。」
「麻衣子がね、お友達に貰ったんだって。」
「そう!もう友達が出来たんだ。」
「うん。こっちの人は人懐っこいから。」
「そうか。
 ・・さて、俺はもう少しやるよ。
 引継ぎの未済事件を、早く片付けたいんだ。」
「うん。じゃあおやすみなさい。」
「お休み。」

夫の背中を見送る麗子は、笑顔だったけれど、
少し寂しげで・・・。


畑夏海(浅野温子)がある工場を訪ねていく。
「紬は島の特産品ですが、工場の経営は、どこも大変で。
 5つあった工場も、二つ閉鎖しました。」
土下座をする豊原社長。
「ワンの生命保険で借金は返せても、従業員のことを考えると
 死んでも死にきれんのです!
 あなたのお父さんに、民事再生法でなんとかしましょうと
 言っていただいたときは、神様に出会った気持ちでした!
 その矢先に・・・亡くなられて・・・。」
「豊原さん。父に代わって、私が引き継がせていただきます。」
「本当ですか!?」
「だから死んでお金を返すなんて、二度と口にしないで下さい。」
豊原はその場に泣き崩れる。

この、畑夏海が、葬式で泣いていた女性でした。
父親の葬式だったんですね。


畑法律事務所。
父のデスクに座った夏海は、ロケットペンダントを開いてみる。
幼い自分と父が仲良く一緒に映った写真が入れられていた。

裁判所に夏海が挨拶にやって来る。
「初めまして。私、弁護士の畑と申します。」
「三沢です。」
「民事再生手続き開始の申し立てと保全処分の申し立てで伺いました。」「民事再生?この島で、民事再生ですか?」
「島にも再生すべき会社はあります。」
「・・失礼しました。」
「手形の決済日が差し迫っていますので、迅速な審議を
 よろしくお願いします。」
「・・はい。」
「法廷を拝見しても?」
「どうぞどうぞ。」と泉。
「では、失礼します。」

夏海の名刺を見つめる三沢。
「東京?」
「つい最近亡くなられた、畑先生の娘さんです。
 畑先生は長く、東京におられたんですが、
 5年前に、故郷のこの島に戻って、開業されていました。
 素晴らしい弁護士さんでした!
 その娘さんも弁護士さんというわけで。
 でも、お葬式に戻ってこられただけだと思ったんだけどなー。」
「・・・ああ!」

第2回公判期日(判定宣告)
三沢は、被告人に判決を言い渡す。
傍聴席には、被告人の妻と子どもがいた。
子どもは、麻衣子と仲良くしてくれていた翔太だ。

「被告人を、懲役10月に処する。
 被告人はこれまで、相当期間拘留されていますから、
 そのうち、30日間を今言いました刑から差し引くことを、」

傍聴席で泣き出す妻。

「・・・静かにして下さい。」と三沢。

「パパ!!」
翔太が怒りに満ちた目で三沢を睨みつける。

「それは、私達一家が、少しずつ、島の暮らしに馴染んでいこうと
 していた矢先のことでした。」


学校。
男子生徒二人にランドセルを取り上げられる麻衣子。
「翔太の父ちゃん可哀想っちば!」
そこへ翔太がやって来た。
翔太は二人からランドセルを奪い取る。
麻衣子が喜んだのもつかの間、翔太は麻衣子を睨むと、
ランドセルをひっくり返し、投げつけた。
仲良くしてくれたリカ、エミも、冷たい視線を残して立ち去った。
ランドセルを抱えて泣き出す麻衣子・・・。



真面目に勉強し、専門知識を増やし、自らの夢に近づこうと
仕事に没頭してきた三沢。
今度は専門知識ではなく、絡み合う複雑な感情に、
裁判官として答えを出していかなければなりません。
人の感情で起きたトラブルは、三沢の美徳とするスピード解決と
いうわけにもいきません。

悟を膝に乗せ、絵本を読むかおりの姿に、
三沢は自分の妻と娘の姿を重ねていたのかもしれません。
家族と一緒に住んではいても、一緒に暮らしていなかった家族。

谷川と三沢は性格は違いますが、いいコンビになってくれそうですね。
今後、友情が深まっていくのかな。

久美子は最初から三沢に対して島の人たちとは感じ方が別のようで、
彼女が抱えている過去も気になるところ。

小さな島ということで、これから起きる裁判の中には、
被害者、加害者が知り合い、というケースも増えていくでしょう。
そうなった時、裁判官の立場は普段以上に難しくなりそうですね。
娘の麻衣子ちゃんが辛い思いをするのは可哀想です。

裁判官が身にまとうは黒い法服。これは、
『「どんな意見にも左右されない」≒「どんな色にも染まらない黒」』
という意味があるそうです。
Wikipediaより=

三沢の母親の言葉にあったように、子供の頃から不器用だった
主人公が、島の人々とふれあい、家族の絆をどう修復させ、
そしてどう成長していくのか。
楽しみな番組となりそうです。
エンディングの海、島の映像にも音楽にも癒されます。


土曜日は本職が忙しいので、レビューの時間をとることが出来ず、
金曜、土曜のドラマからお気に入りのドラマを1〜3本選んで
日曜にレビューすることにします。
今のところの期待度は『SP』『モップガール』『ジャッジ』。
『歌姫』も良さそう。
『死化粧師』は初回録画しそびれてしまいました。
第2話を見て決めたいと思っています。

この『ジャッジ』、現段階ではとても気に入り、
今回は比較的丁寧にあらすじを追って記事にしましたが、
他ドラマ視聴後、感想のみの記事、もしくはレビューなしでの
視聴になる可能性もあります。ご了承ください。



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キャスト

三沢恭介(36歳)…西島秀俊
三沢麗子(33歳)…戸田菜穂
三沢麻衣子(8歳)・・・桝岡明

野見山修(56歳)…小野武彦(大美島支部の主任書記官)
谷川淳一(36歳)…的場浩司 (家裁調査官)
鈴元久美子(28歳)…市川実和子(書記官)

泉 孝之・・・松尾敏伸(書記官)
瀬戸幸彦・・・橋爪 遼
塚本隆史・・・北村有起哉
水谷恵子・・・安 めぐみ(小学校教師)

平田  透・・・博多華丸
平田かおり・・・重泉充香
平田  悟・・・堺 翔太
悟の祖母 ・・・路井恵美子

添田 博・・・藤木勇人
添田美那・・・八田麻住
添田翔太・・・土井洋輝

検事・・・村上かず
紬工場社長・・・南条好輝

大阪地裁・裁判長・・・山西 惇
大阪地裁・所長・・・芝本 正

夏海の父(写真)・・・鈴木瑞穂

池田里見(40歳)…国生さゆり(居酒屋『里美』の女将。官舎の町内会長)

三沢早苗・・・大山のぶ代

平正明(68歳)…寺田農(島の弁護士)

畑夏海(43歳)…浅野温子(敏腕弁護士)


スタッフ
脚本:中園健司
検出:本木一博
   櫻井 賢
   大原 拓
音楽:羽毛田丈史


エンディングテーマ
B000VUSILW種をまく日々中孝介 エピックレコードジャパン 2007-11-14by G-Tools




西島秀俊さんの主な出演作品



浅野温子さんの主な出演作品
この記事へのコメント
あまり観る気のなかった『ジャッジ』。昨日になって、あら西嶋秀俊さんじゃない!(気づくのが遅い)とあわてて録画予約をし、今第1話を観おえたところです。
感想は、ちーずさん同様とても見ごたえありそう!
とくに、主人公自身の家族の問題とからめてドラマが展開していくところが、すごくいいと思いました。都会で「知的財産権」などという、やや浮世離れ(?)した問題に取り組んで、エースと言われていた主人公が、人口7000人の島(地方の中地方)で、ものすごく人間くさい状況の中で変わっていく物語。

人口7000人の南の島、なんていう設定だと「田舎」が強調されそうですが、私が住む人口8万人の地方都市だって、似たりよったりです。小学校のPTAに行けば、かつての同級生と保護者同士として出会う。偶然知り合った人が、よく知っている人の知人だなんていうことはしょっちゅうで…都会育ちの夫は、非常に驚いています。

東京のような大都会が、日本のすべてだと思っている人たちに、観てもらいたいドラマですね。だって、大美島みたいなところに住んでる人の方が、日本の人口の上では圧倒的に多いわけですから…。

私の住む市の隣の村なんか、人口6000人で島ではないけどほとんどこの大美島と同じです。これくらいの規模だと、早い話ほとんど全員「知り合い」です。

田舎はいいぞ〜。主人公の三沢さんだって、風呂敷残業はしているものの、大阪にいるときよりは毎日早く帰宅している。私の町も、8時にはみな家に帰っています。西島さん演じる三沢さんが、成長する姿が楽しみです。戸田さん演じる麗子さんが、幸せな笑顔をたくさん見せてくれますように。麻衣ちゃん、これから苦労も多いみたいだけど、パパがついてるから大丈夫だよ。

ちーずさん、せめて感想だけでもよろしくお願いします。
Posted by やすこ at 2007年10月07日 22:36
ちーずさんこんにちは、西島さんがいいですね〜飛行機や自転車のシーンの気をぬいた表情と裁判のときの張り詰めた表情が素敵です

専門的な役職についていた三沢にとって全ての案件に関わるのは、また勉強のしなおしになって家族との時間が減りそうですね!でも島の体質で家に帰るのは早くなりそう麗子に意見を聞いてみたり麻衣子のおやすみに応えたり民事に携わることで家族に対する気持ちも見つめなおすのかな?

麻衣子が可哀想ですね!狭い島のなかのことなので裁くほうも裁かれるほうも顔見知り、ただ翔太にも罪に対して余計な感情をいれて重くしたり軽くすることはないことを解ってほしいですね!

脇の皆さんも魅力的です夏海とはどう絡むのでしょうか敵対するのか協力するのか楽しみです、三沢のお母さんは見たことあるのですが誰だかわかりませんでした、ドラえもんだったとは〜
Posted by けた at 2007年10月08日 11:15
たびたびのカキコ失礼します。

土曜ドラマの枠は、やはり安定して見ごたえありますね。私実は、『マチベン』『新マチベン』は観たのですが、なんとあの『ハゲタカ』はノーマークで見逃してしまい、先日の再放送で観て、すっかりはまってしまいました。(昨日も最終回を見直したくらい)

土曜ドラマは、これから注視することにいたします。
Posted by やすこ at 2007年10月08日 12:56
おはようございます。
コメントありがとうございます!

★やすこさん★
裁判官という立派な立場にある主人公の未熟さに
心惹かれました。
これからどう成長を見せてくれるのか、楽しみですね。
私も生まれも育ちも東京なので、主人公と一緒に
学ぶことが多そう。
じっくり考えたいドラマなので、カテゴリーを作って
毎回記事にしたいと思っています。
私も今まであまりNHKドラマを意識していませんでしたが、
今後も注目していきたい枠です。

★けたさん★
さすがけたさん、主人公の表情までしっかりチェックしていらっしゃる!
島の人たちと親しくなるにつれ、出さなければいけない
決断に苦しむのでしょうか。
本当に、翔太君にもいつか三沢の気持ち、罪を償うことの
意味、大切さをわかってくれるといいですね。

大山さんの声はやっぱり所々ドラえもんに聞こえてしまう!(笑)
Posted by ちーず at 2007年10月10日 08:52
★やすこさん★
大変申し訳ないのですが、『ジャッジ』のレビュー、断念します。
金曜の『歌姫』が予想以上に面白く、力を入れてレビューしたいのと、
来週『ジャッジ』はお休みということで、今期楽しみにしている
『SP』と2週重なってしまうのが痛い!
せっかく楽しみにして下さっているのにごめんなさい!
Posted by ちーず at 2007年10月14日 16:15
はじめてコメントいれさせていただきます。
ジャッジは無しになったんですね(笑)
なかなかジャッジの記事を書いてくださってる
レビュアーさんがいなくて楽しみにしてたのですが残念です。
お時間がある時など感想だけでも聞かせていただけたら
嬉しいです。
よろしくお願いします。
Posted by みえ at 2007年10月14日 20:44
今回も凄く良かったのでレビュー断念は少し寂しいです、まだ始まっていないドラマもあるのでちーずさんの体調やお仕事を考えるとしょうがないです!

恭介が考えていたスピード解決は今回の少年事件で考えを変えたようですね!谷川の助言に今までやってきた専門分野とは違い人の心情が絡むことを身をもって知ったようです、少年が逃げたときのうろたえようは上手いな〜と思いました!

多忙のなかでも麻衣子のSOSに気づく恭介は良いパパです!普通なら気がつかない脚本が多いなかキッチリ娘の表情の変化に気がつくとは…マングローブのなかカヌーに乗る親子、夫婦はとても別居していたとは思えませんでした!島に渡って色々な勉強をしなくてはいけないけど家族のもとへ帰り時間を共有するわずかな時間が麗子の気持ちも変えたのかな?

麻衣子と島の子供たちのわだかまりが、すぐに治まって良かった〜狭いから噂が広まるのも早いけど逃げ場がないだけに本音でぶつかればかえってくるのかな?

次回は老夫婦が介護に疲れての殺人?夏海が担当するのかな?今回も先回りされた恭介との対決?も見ごたえありそうです、お母さんも心配ですね!

次回も感じたことをココに書き込ませていただきますね!お邪魔でなければ…
Posted by けた at 2007年10月14日 20:47
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Excerpt: 鹿児島県の南に浮かぶ大美島。 その地方(家庭)裁判所支部に支部長として赴任した三沢恭介。 彼と家族の新しい生活が始まった〜第1話『新天地』
Weblog: 三毛猫《sannkeneko》の飼い主の日常 〜ドラマ編(仮)
Tracked: 2007-10-07 16:59

・「ジャッジ・島の裁判官奮闘記」第1話(10/6)
Excerpt: <br />2007年10月6日(土)21時から、NHKで、「ジャッジ・島の裁判官奮闘記」第1話(「新天地」)が、放送されました。(ちなみに、全5回です)<br />と言う訳で、今晩から、NHKで、始まったドラマ。西島秀俊さ..
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