2008年03月27日

プロポーズ大作戦SP

『14年越しの恋に、永遠を誓う瞬間は訪れますか?
 ハレルヤチャンスinハワイ!
 親友ツルと水からの恋のため再び健が全力疾走!!
 伝えたい言葉はひとつ』


「男の名前は岩瀬健。
 結婚式場に現れた、哀れな男である。
 これまで何百という結婚式を見てきたが、
 新婦に対してここまで未練を持った男は初めてだった。
 歴代見て来た人間の中でも、意気地のなさと往生際の悪さは、
 群を抜いていた。

 幼なじみであるが故、彼女への思いをずっと伝えられなかった男は、
 スライド写真を見ながら過去をやり直したいと強く願った。
 見るに見かねた私は、写真の時代に戻ることを許可した。
 私とは、無論、この教会に住む妖精である。
 男は、必死に過去のふがいない自分を変えようと努力した。

 しかし、一度目で出来なかったことは簡単にやり直せるわけもなく、
 躊躇、いや、空回りの繰り返し。
 次々とチャンスを逃していった。

 そして男は気づいた。
 過去をやり直しても、結局自分は自分でしかないんだと。
 そして男は思った。
 過去を嘆く今よりも、今を変えようとする、未来への意志が
 一番重要なんだと。

 男は現在に戻り、15年目にして始めて、彼女への思いを伝えることに
 成功した。
 それは状況やタイミング、常識や体裁を言い訳にし続けてきた男が、
 初めて自らの殻を破った瞬間でもあった。

 男の願いも虚しく、奇跡の扉が開く事はないかと思われた。
 が・・・
 その重い扉は遂に、女の手によって開かれたんだ。
 果たして・・この二人に・・
 幸せは訪れるのであろうか。」



B0016HV2B2プロポーズ大作戦 スペシャル (2枚組)山下智久, 長澤まさみVictor Entertainment,Inc.(V)(D) 2008-07-25by G-Tools
健(山下智久)が必死に車を押していると、あの懐かしい声が、
懐かしい呼び方で後方から聞こえてきた。

−「ケンゾー!」−

振り返る健は、笑顔に…。もちろん、その呼び声の主は…。

「・・・何してんの?」と健。
「・・・そっちこそ何してんの?」と礼(長澤まさみ)。
「え?」
「何でタクシーなんか押してんの?」
「・・・暇だから。」
「暇だとタクシー押すんだ。」
「マンガ喫茶行くかタクシー押すか、相当迷ったけどね。」
「バカじゃないの。」礼が笑う。
「ウエディングドレス着て汗だくな人に言われたくありません。」
汗を拭う礼。
「そっちは何してんの?」
「え・・・ジョギング!?」
「・・その格好で?」
「目立つから、道路走ってても、轢かれる心配ないし。」
「走りにくくない?」
「まあ・・ちょっとだけ。 
 でも、健康にいいし。」
「そっか。」
「うん。」

その後ガソリンを満タンにしたタクシーに乗り込む二人。
「結婚生活は急な車線変更なしでお願いします。」
運転手の言葉に沈黙する二人。
「あれ・・何か不味いこと言っちゃいました?」
「いえ・・ありがとうございます。」
「お幸せに。
 結婚生活は、くれぐれも、愛情満タンでお願いします。」
「・・・」

運転手さん、上手い!


寒そうな礼に、健は自分の上着を着せてあげる。
「何で海なのよ。」
「この格好で他にいけるところないだろ。」
「そうだけど・・」
「ゲーセン行くには派手すぎるし、
 ラーメン屋行ったらドレス汚れるし。
 それにまだ家に帰るわけにもいかないでしょう。」
「・・・」
「冷静に考えるとさ、その格好で海にいるのもおかしくない?」
「映画の撮影みたいだよね。」
「じゃあ今どんなシーンの撮影してんの?」
「え?
 ・・・
 用意されているはずのボートがなくて、途方に暮れている二人。」
「じゃあ俺らこのあと掴まるんだ。」
「別に追われてる設定じゃないから。」
「じゃあどんな設定だよ。」
「ボートで・・・ハネムーンに飛び立とうとしていた二人。」
笑い出す健。
「何でそんなに笑ってんの?」
「いまどきハネムーンって使うか?」
「使う人は使うでしょ。」
「普通に新婚旅行でいいだろ。」
「・・・」
「パスタのこと、未だにスパゲッティーって言うのお前ぐらいだよ。」
「いちいちうるさい!」
「昔からどっか言うことが古臭いんだよな。」
「ケンゾーみたいに、鈍くさいよりマシだと思うけどー。」
「俺別に鈍くさくないもん。」
「自分が鈍くさいこと気づかないくらい鈍くさいでしょ。
 もっといろんなこと敏感になった方がいいと思うよ。」
「そういう説教くさいところが、古臭いって言ってんの!」
「もう、くさいくさい、うるさいからー。」
「・・・」
「どうしたの?」
「俺らってさー、」
「うん?」
「こんな日でも言い合いしてるんだなーと思って。」
「・・・」
「結婚式飛びだして、砂浜に二人きりで、
 すげー綺麗な夕日が目の前にあるのにさ、
 ・・・ごめんな。」
「ううん。こっちこそ・・ごめんね。」
「・・・」
健が礼を抱きしめる。礼も健を抱きしめる。
二人は見つめあい、キスをしようとしたその時!
大きな波が二人の足を濡らし、二人は驚いて離れる。
「ない!」礼の右足の白い靴が波にさらわれてしまった。
健は必死にその靴を探す。
「もういいよ!」
「よくないだろ!」
「見付からないって。ほんとにいいから!」

結局靴は見付からず。
「・・そんな顔すんなよ。」
「じゃあどんな顔すればいいのよ。」
「自分が失くしたんだろ。」
「誰が海に連れてきたの!?
 海じゃなくたって良かったでしょ!」
「こっちはな、気ー使って連れてきてんだから、
 そんな言い方すんなよ。」
「だってさ・・こんなドレス着て、片足裸足で・・
 なんか・・すごい惨めだし。」
「・・・早くしろよ。」礼の前にかがむ健。
「え?」
「裸足じゃ歩けないだろ。」
「いいよ・・」
「いいから早くしろよ。」

礼を背負って歩く健。
「あーあ。ハイヒールに名前と住所書いておけばよかった。」
「まだ言ってんのかよ。」
「あそこで見つけられないのがケンゾーだよね。
 あった!ってカッコよく見つけてくれたら、
 すぐにでもお嫁さんになってあげたのに。」
「いつか世界中の海探し回って、あのハイヒール見つければいいんだろ。」
「言ったからね!絶対だからね!」

1年後。
二人は、お互いに思いは通じ合っているものの、
新たな一歩は踏み出せずにいた。

2008年4月
エリ(榮倉奈々)とツル(濱田岳)の結婚式がハワイで行われることに
なり、先にハワイに来ていた健が、当日到着する礼を空港に迎えに行く。
リムジンタクシーの中で着替える礼。
「礼!」振り向いた健に
「見ないで!」と平手打ち。

健、礼、そして幹雄(平岡祐太)らが海辺の教会を訪れた。
ところが予定の時間を過ぎてもいっこうに式が始まらない。
なんとかごまかそうとするツルだったが、
礼が無理やりエリが支度をする部屋に入ってみると、
ウエディングドレスを着ていたのは・・
なんと、ソクラテス(渡部豪太)!

妙にお美しかったです!(笑)

『ツルが私のことを
 本当に思ってるのか
 わからなくなっちゃった。
 ゴメンね
 エリ』
エリは置き手紙を残し姿を消していた。

「ドレスあるのに花嫁いないってどういうことだよ。」と健。
「成田離婚は聞いたことあるけど、
 ハワイ離婚はかなり斬新だな。」と幹雄。
「もう、何でこんなことになったの?」と礼。
「そんなの俺が聞きたいよ!
 こんなにエリのこと思ってんのに・・。」
「朝まで一緒だったんだろ?」と健。
「でも・・起きたらいなかったからおかしいなとは思った。」
「おかしいと思ったらどうして探さなかったの!?」と礼。
「だってドッキリだと思ったんだもん。」
「女の子が、結婚式当日にそんなバカみたいなことすると思う!?」
「だよね・・。」
「それでソクラテスでどうにかごまかそうと思ったわけだ。」と健。
「だってわざわざ休み取ってハワイまで来てくれた人に
 申し訳ないじゃん。」
「人間追い込まれると何でもやるんだな。」と幹雄。
「ごまかしきれるわけないでしょ!」と礼。

「ごまかすつもりはなかった!
 本物に成りきれなかった、私の力不足だ!
 坂東玉三郎だったら、この女形、完璧に演じきれていた
 はずなんだ!
 無念の一言に過ぎる・・。」落ち込むソクラテス。

「どうしていいかわかんないよ・・。」とツル。
「心当たりないの?」と健。
「あるわけないだろ。」
「こっち来てエリに内緒で羽目外してたんじゃないの?」と健。
「そんなことするかよ。」
「じゃあただのマリッジブルーだろ。
 それかツルと結婚するっていう現実に、今更ながらブルーに
 なってるか。」と健。
「どっちも考えられるな。」と幹雄。
「エリの気持ちちゃんと考えないから、こういうことになるんだよ。」と礼。
「考えたよ。
 今日までずっと俺はエリのことしか見てなかったし。
 エリに幸せになってほしいから、家のことだって結婚式のことだって、
 やりたいようにやらせたし。」
「任せっきりにしてただけでしょう!
 それが一番困るんだからね。」と礼。
「もうどうすりゃいいんだよ・・。」

参列者に謝るエリの両親や落ち込むツルの姿を見つめる健たち。
「親御さんは気の毒だよな・・。
 結婚式で、わざわざハワイに来て、これだもんな。」
幹雄の言葉に何も言えない礼。
「・・余計なこと言ってんじゃねーよ。」と健。
「あ、別に、礼のこと責めてるわけじゃないって。」と幹雄。

「参列者に謝り続けるエリの両親は、あの日置き去りにしてきた
 礼の両親を思い起こさせた。
 ツルの痛々しい横顔は、あの日一番辛かったはずの
 多田さんの姿とダブって見えた。
 あれから一年になろうとしていたが、
 お互いにあの結婚式のことを口にするのは、
 なんとなく避けていた。
 あの日、式場で礼の両親がどんな思いをしていたのかも、
 今の俺たちのことをどう思っているのかも、
 正直怖くて聞けないでいた。」


ホテルに確認すると、エリは朝一の便で日本に帰ってしまっていた。
激しく落ち込むツル。
礼はひとまずチェックインしにホテルに戻ることに。
そんな礼を追う健。
「幹雄が言ったこと気にするなよ。」
「え?・・ああ、全然気にしてないよ。」
「ならいいけど。」
「そんなこと言って、ケンゾーが一番気にしてるんじゃないの?」
「俺は・・全然平気だけど。」
「上手くいかないよね。
 ツルとエリまでこんなことになっちゃうなんてさ。
 あの二人なら・・きっと大丈夫だって思ってたのに。」
「そう・・だな。」
「じゃあ、あとでね。」

教会
「せっかくスライドまで用意したのに、もったいねーな。」と健。
「日本から機材持ち込むのすげー大変だったんだぞ。」と幹雄。
「ツルにあそこまで凹まれると、こっちまで凹むわ。」
「さすがに両親のあんな姿見たらしょうがねーって。
 あの二人どうなっちゃうんだろうな。
 ・・・あ!!ウエディングケーキ!!」

二人は控え室に置いた特大ケーキに駆けつける。
コンコン、とノックする健。
すると・・・
カラオケマイクを握りしめた、女装(和田アキコさん)した
伊藤先生(松重 豊)がケーキの中から出てきた。
「どうした!予定の時間過ぎてるぞ!」
「実は・・」
「何かトラブったか?」
「エリが日本に帰っちゃって。」
「何しに?」
「いやだから、披露宴中止になったんです。」
「あっそっかー。」
「リアクション薄いなー。」と幹雄。
「え!披露宴中止!?」と伊藤先生。
「気づくの遅いなー。」と幹雄。
「え・・中止ってことは俺の出番ないのかー。」
「残念ながら。」と健。
「じゃ、引き出物の湯のみも無駄か!?」
「先生作ったの!?」
「バカヤロー、俺陶芸家だぞ。
 ろくろ、失敗!100円ショップだろ。」
「作ってないじゃん!」と幹雄。
「しかも100円ショップ!」と健。
「ハワイまで来て中止ってないよなー。」
ケーキの中に戻る伊藤先生。
「先生何してんのー。」
「暫く落ち込んでくる。」

礼がホテルにチェックインすると、エリからメッセージが残っていた。
『ごめんね
 エリ』

披露宴会場
自分の席にあったメッセージを広げる健。
『健。ちゃんと礼を幸せにして
 あげなきゃ許さないからね。
 次は健と礼の番だよ。
 これからもずっと仲良くしようね。
 ツル&エリ』

「残るは健と礼だけだと思ったのになー。」と幹雄。
「え?」
「結婚だよ。」
「幹雄だってまだじゃん。」
「俺はもともと結婚する気ゼロだもん。」
「でも、優子は結婚したがってんだろ。
 大体なんでこっちに連れてきてやんなかったんだよ。」
「連れてなんかきたら、結婚願望強くなるだけだからメンドクセーって。」
「ていうか何で結婚しないの?」
「わざわざ結婚する意味が全くわかんねー。」
「意味なんて結婚してから考えればいいんだよ。」
「人のこと心配する前に、お前らどうなんだよ。
 付き合ってもう、一年経つんだろ。」
「・・うん。」
「礼は、結婚のこと何か言ってんの?」
「・・・まだ、話してない。」
「え?」
「そういう話はまだ何も話してない。」
「・・・そういえば、この前礼も、同じ様なこと言ってた。
 結婚の話とかしたことないって。
 二人とも似たもの同志だからなー。」
「似てねーだろ。」
「そっくりじゃん。
 意地っ張りなくせに、肝心なとこは気が弱い。」
「・・・」
「よし、行こうぜ。
 ・・・せっかくだから、ちょっとこれ見ていこうか。」
「おぉ!見ようぜ!」

礼はエリに電話をしてみる。
「もしもし。エリ?礼だけど。」
「・・・礼。」
「平気?今どこ?家にいるの?」
「私大変なことしちゃった・・。」
「どうしたの?何があったの?」
「ごめんね。わざわざハワイにまで来てくれたのに。」
「ちゃんと話して。エリ。」
「・・・一ヶ月前ぐらいから・・急に帰りが遅くなったり、
 部屋に篭ってメールとか電話している回数が増えたから・・
 変だなとは思ってたの。」
「うん。」
「それで昨日の夜・・ツルが別行動したいって言うから。
 おかしいなと思って・・悪いとは思ったんだけど、
 後つけちゃったの。
 そしたら、知らない女の人と会ってて。」
「見間違えたんじゃないの?
 だって、あの、ツルだよ。」
「でもね、夜にはちゃんと早く帰って来たし、
 何でもなかったんだって思ったの。
 私大丈夫だって思ってたのね。
 ちょっとぐらいのことなら、我慢して乗り切れるって思ってた。
 でもなんか急に、このまま結婚していいのかなって思っちゃって。
 本当の問題はツルじゃなくて私なのかもしれない。
 私がツルのこと信じられなくて、後つけたりして・・。
 なんか、結婚する資格なんかないように思えてきてさ・・。」
「一回、ちゃんと話した方がいいよ。」
「・・・」

披露宴会場
スライドを見る健と幹雄。
『高校に入学し二人は出逢った
 エリは学園一のアイドル』
「よくよく考えるとさ、俺たち5人が今まで友達の確率って、
 結構すごくない?」と健。
「偶然同じクラスになって、同じ野球部に入ってたってだけだもんな。」
「ちょっと学力が違えば、違う高校行ってたし。
 俺なんて小さい時バースのホームラン見てなかったら、 
 野球部入ってないからな。」
「俺だって小学校の時サッカー部だったら野球部なんか
 やってなかった。」
「何なんだろうなー、こういうめぐり合わせって。」
「不思議としか言いようがない。」
「な。」
「最初に会った時、俺たちここまで続くって思ってた?」
「全然。
 ツルなんてマジウザかったし、
 幹雄なんて一番苦手なタイプだったし。」
「お前それマジで言ってんの?」
「大体そんなもんじゃない?
 最初にいいなーって思った友達なんて、
 結局ひとりも残ってないし。」
「礼はどうなんだよ。」
「え?第一印象なんて最悪だよ。
 最初に言われた言葉が、ケンゾーだもん。
 名前間違ってるし。
 ・・・」

礼が転校してきた日のことを思い浮かべる健。
消しゴムを貸して上げたときの礼の笑顔。
怪我をしてしまった礼に、自分が責任を取ると母親に宣言したこと。
「よろしくお願いします。」礼の笑顔。

「何回見ても懐かしいなー。」と幹雄。
「ああ。」

『3年間共に戦った仲間たち』

「あー、これ!健のせいで負けた日!」
「だから俺のせいじゃないって。
 どっちみち負けてたの。」
「まだ言ってんのかよ。いい加減認めろ。」
「いい加減信じろ。」
笑い合う二人。

「エリとツルが積み重ねてきた思い出の隣りには、
 礼との忘れられない日々があった。
 いつも一番近くにいたはずの礼が、日に日に遠ざかっていき、
 手の届かない場所に行ってしまうあの切なさが、
 記憶と共に蘇ってきた。
 あれ程の思いをして取り戻したはずの二人の時間は、
 結局のところ止まったままで、
 次の一歩がなかなか踏み出せないでいた。」


「出発直前にみんなで飯食ったろ?」と幹雄。
「お好み焼き?」
「今思うとエリ、無理に明るく振舞ってたような気がするんだよな。」

その時の写真が映し出される。
みんなとの集合写真。
エリの隣りで、ツルは
『エリのことが世界で一番好』
と書かれた紙を手に、幸せそうに笑っている。

「こんなにも幸せそうに笑っているツルが、
 一週間後の今日、こんなにも辛い日を迎えているなんて、
 考えもしなかった。
 何でよりによってツルがこんな思いをしなきゃなんないんだろう。
 あんなにエリの為に一生懸命生きてきたツルが・・
 どうして幸せになれねーんだよ。
 おかしいよ。
 絶対おかしいって。
 どうにかしてやりてーよな。
 出来る事なら・・
 出来る事ならこの日に戻って教えてやりてーけど・・。」


そう強く願ったとき、眩い光と共に、久しぶりにあの妖精(三上博史)が
現れた。
「久し振りだな。」
「妖精!何で!?」
「お前ってやつは本当に情緒がないな。」
「いや・・」
「せっかくの感動の再会が、台無しだよ!」
「なんでここにいるんですか?」
「引っ越したんだよ。
 日本で働くのをやめて、こっちの教会に住むことにしたんだよ。」
「もしかして、優雅にセミリタイヤ気取っちゃったりして。」
「バーカ、違うよ。
 日本での仕事がめっきり減ってな。
 最近の日本はお前みたいな往生際の悪い人間がなかなか現れなくて
 暇になったんだよ。」
「相変わらず言うことキツイっすねー。」
「それより、お前らの仲間内では、結婚式を台無しにするのが
 流行ってんのか?
 次から次へとドラマじゃあるまいし。」
「気にしてるんですから言わないで下さいよ!」
「気にしてんのか。」
「・・・」
「まさかお前、スピーチしたこと後悔してるんじゃないだろうな。」
「・・・」
「・・・」
「・・・今日のツル見て改めて思ったんですけど、
 あんなにたくさんの人に迷惑をかけた俺が、
 結婚する資格あるのかなーって。」
「ったくお前は本当に成長しない男だな。
 何のためにあんなに何度も過去に戻してやったと思ってんだ?
 世界で一番好きな人を、幸せにするためにじゃなかったのか?」
「・・・」
「彼女のことを幸せに出来るのは自分だけだと大口叩いてたよな?」
「いや・・その気持ちは・・今でも変わってないですけど・・。」
「変わってないけど何なんだ。
 周りの人間を不幸にしてまで、結婚したくありませんって、 
 言い訳でも言うか?
 それとも、結婚は、勢いとタイミングだっていう常套句を、
 ここでも持ち出すか!?」
「・・・」
「あの日のお前は、少なくても覚悟があったはずだ。
 どんなに険しい道でも彼女を守って、共に歩く覚悟があったはずだ。
 お前を信じて、式場を飛び出した彼女の気持ちを少しは考えろ!」
「・・・」
「彼女はあの日、勇気を振り絞って、お前を選んだんだぞ。
 残念ながら、男の趣味がいいとは思えないがな。」
「それ俺に失礼ー!」
「で?今度は友達の為に戻りたいのか?」
「え!?」
「友達をどうにかしてやりたいんだろ。」
「マジで戻れるんですか!?」
「俺を誰だと思ってんだよ。」
「妖精!」
「・・前から言おうと思ってたんだけどな、
 呼び捨てってどうなの!?」
「そうですよね。今度からちゃんとさん付けにします!
 妖精さん!お願いします。俺ツルのこんな姿見てんの
 辛いんです。
 せめてこうなることだけでも教えてやりたくて。」
「俺にしてみたら、お前の煮え切らない姿の方がよっぽど
 見てられねーけどな。」
「とりあえず今はツルのことを何とかしないとなっていうのが
 あります。」
「そんなに行きたいなら・行け!」
「ありがとうございます!
 久々だとなんかワクワクしちゃいますね!」
「例の事覚えてんのか?」
「当たり前じゃないですか。」
「よし!」
「行っちゃいます!」
「求めよ!
 さらば与えられん。」
「ハレルヤー!チャンス!
 ノーーーー・・・???
 あれ?」
「あ、すまん。日本人と話したらつい、日本語で話しちまったよ。
 ここはアメリカだった。」
「そういうの関係あるんですか?」
「郷に入っては、郷に従え。」
「前から思ってたんですけど、ことわざとか格言とかメチャメチャ
 詳しいですね。」
「電子辞書は実に便利だ。」
「そういうの持ち歩いてるんだ・・」
「嘘に決まってるだろう。」
「いい加減にして!」
カクテルについていたパイナップルをかじる妖精。
「Ask!
 And it shall be given you!」
「OK!
 ハレル〜ヤ〜、チャーーンス!
 ノーーーー!!」

健が目を開け、ゆっくりと顔を上げると・・・
「え・・」
多田哲也(藤木 直人)が立っている。
「た・・た・・多田さん!!」
健は多田に土下座をしていた。
「岩瀬君。」
「はい!」
「殴ってもいいですか?」
「・・・え!?」
「冗談です。」
「もう!全然冗談に聞こえませんから・・。」
「土下座なんて、やめて下さい。
 謝られても、困ります。」
そう言い黒板を消し始める多田。

「そうだった。
 あの日以来、初めて多田さんの前に現れた俺は、
 何も言葉を発することなく土下座して、
 逃げるように去ってしまったのだった。」


多田に背を向け歩き出す健。
立ち止まり、そして振り返る。

「心の奥に固く押し込んでいた多田さんの存在は、
 月日が経つほどに頭から離れなくなっていた。
 このまま避け続けて、礼と付き合っていていいのだろうか。
 どこかで罪の意識を感じている自分がいた。」


健の視線に気がついた多田、
「建築の世界では、偶然という観念はあり得ないです。
 一つ一つのことを積み上げていくことでしか、
 結果は生まれない。
 全てが、必然なんです。
 僕は、岩瀬君に謝ってほしいなんて思ったことは、
 一度もありません。
 あの日のことは、結局は、僕が決めたことなんですから。
 あの日、吉田さんが流した涙は、はっとするぐらい綺麗でした。
 でも、残念ながら、あの涙は、僕たちの結婚に向けられたものでは
 なかった。
 だから、最後の最後の瞬間、吉田さんの手を離してしまったのかも
 しれません。」
「・・・」
「強がりに聞こえるかもしれませんけど、僕は、自分が出した結論を、
 後悔してないです。
 岩瀬君も、迷ったり、振り返ったりしないでほしい。」
「・・・」
「いや・・これってやっぱり、強がりですよね。」
「・・・」
チャイムの音。
「あ、行きましょうか。」多田が教室を出ていく。

「哲!」女性が多田に声をかける。
「ああ!」
「あ、ごめんなさい。」
女性は健の姿に気づき謝る。
「僕、もう帰りますから。」と健。
「あれ?もしかして、スピーチしてた人?」と女性。
「あ・・うん。」と多田。
「本当に!?」
「彼女も、式に来てたんです。」と多田。
「柴田幸子です。こんにちは。」幸子(紺野まひる)が健に挨拶する。
「こんにちは。」と健。

バーガーショーグン
「健おっせーな!」と幹雄。
「ちょっと遅れるって言ってた。」と礼。
「おまたせー!」西尾店長(菊池健一郎)が何かを運んでくる。
「頼んでないよ。」と礼。
「え?サービスサービス!食え食え!
 トローピカルな新作。」
「完全にバツゲームだな・・」と幹雄。
「幹雄食べてね!」と礼。
「礼食べなよ。」
「お前たちそんなこと言ってさ、この店結構好きだろ?」と店長。
「日曜日なのにこんなガラガラに空いている店って、
 ここぐらいしかないから。」と礼。
「今打ち合わせ中なんだから邪魔しないで。」と幹雄。
二人はハワイガイドブックを真剣に読んでいる。
「相変わらずキツイね、お前たちは。」
「これ食べて、元気出しなよ!」と礼。
「これも食べなよ。元気消えうせる味だけど。」と幹雄。
「最低だな!ほんとうに!」
楽しそうに笑う礼。

大学
「驚いた。一年前のライバルが一緒にいるところに遭遇するなんて
 思いもしなかった!」と幸子。
「そんな嬉しそうに話すことじゃないでしょ?」と多田。
「だって、またこの2ショットが見れるなんて考えもしなかったもの。
 ほら、48時間のパート2やった時、エディ・マーフィと
 ニック・ノルティエディーのコンビが又見れるって興奮した時の
 あの感覚!?
 1の方が圧倒的に面白かったんだけどね!」
「彼女、僕の幼なじみなんです。
 唯一の、腐れ縁っていうか。」と多田。
「昔からこの人、私がいないと何も出来ないんですよ。」と幸子。
「今の言葉、もう20年以上ずっと言い続けているんです。」
「哲が全く成長しないから、使い続けるしかないんです!」
「ずっとこの調子で。」
「あ、ここのシュークリーム美味しいから食べて。
 じゃあ、ごゆっくり。」
幸子が帰っていく。

「あ、覚えてますか?
 確か、教育実習のときに話しましたよね。
 人生で、僕のことをあだ名で呼んだ、唯一の人だって。」と多田。
「ああ・・」と健。
「僕が、吉田さんとああいうことになって、一人だけ笑ってくれたのが・・
 彼女でした。
 人の顔指差して、ダッサイって。
 ちょっと救われたんですよね。
 あの後から、仕事の合間に、ちょくちょく顔を出すようになって。
 もうたいして話すこともないのに、居酒屋に引っ張り出されて、
 無理やりカラオケで歌わされたりした。」
「・・・」
「もう大丈夫だからって言ってるのに、今日みたいに差し入れ持って
 時々来るんです。
 まあ、暇なだけだと思いますけど。
 ・・・吉田さんにも、よろしくお伝え下さい。」
「・・・」
「いや、やっぱり伝えなくていいです。
 なんか、カッコつけてそういうこと言ってると、
 また彼女から、ダッサイと笑われそうなので。」
「・・・」
「それじゃあ、失礼します。」
多田の言葉に深く頭を下げる健。
「よかったらこれ。」多田がシュークリームの箱を差し出す。
「いえ・・大丈夫です。」
「そうですか。
 じゃあ・・。」
多田が去っていく。

「多田さんの言葉がズシンと胸に染みた。
 本当はどこかで気づいていたのに、
 本質から目をそらそうとしていた自分がいた。
 前へ進めないのは誰のせいでもない。
 俺自身の問題なんだ。」


本当なら、多田の前から黙って立ち去っていた健は、
その後、自分がそうしてしまったことを後悔していたんですね。
だから二度目では、逃げ去らずに振り返った。
そのお陰で、多田の本心に触れ、そして幸子と会うことも出来ました。

幸子は笑い飛ばしながらも、実は多田を一番心配し、
手土産を持っては彼を訪ねてきたんですね。
こういう人が側にいてくれてよかった!


バーガーショーグン
ガイドブックに載っている結婚式の写真をぼーっと見つめる礼。
「お前らも一緒に結婚式挙げればいいじゃん。」と幹雄。
「は?何言ってんの!?」と礼。
「だっていずれはするんだろ?」
「そんなのわかんない。」
「へー、わかんないとか言っちゃうんだ。」
「そんなの・・わかんないじゃん。」
「一年も付き合ってればそういう話するだろ?」
「しないよー。するわけないでしょ。」
「でもさ、幼なじみだったら、実家に遊びに来たりするんだろ?」
「・・・」首を横に振る礼。
「どうして?」
「・・・なんか、気にしてるみたい。」
「え?」
「だから・・うちの両親に合わせる顔がないって思ってるみたい。」
「えー、そうなんだ。」
「だって・・私が選んだんだし、ケンゾーがどうこう思う必要ないのに。」
「気にしてるのって、健だけなんだ。」
「え?」
「礼は、健が両親に会うのって、全然平気なんだ。」
「・・・」

健はバス停で幸子と一緒になる。
「シュークリーム食べなかった?」と幸子。
「・・はい。」
「どうして食べなかったの?あそこのすっごく美味しいのに。」
「・・・」
「もしかして意地悪された?」
「そんなわけないじゃないですか。」
「そうだよね。あの人いい人だもんねー。」幸子が笑う。
「・・・」
「彼女と、まだ結婚してないの?」
「・・はい。」
「哲のこと気にしてる?」
「そういうわけじゃないんですけど・・。」
「私がこういうこと言うの、変だけど・・
 もう気にしなくていいと思うよ。
 ほら、今更気にしてます、躊躇してますって言われても、
 どうしようもないじゃない?
 うん。
 彼女はさ、哲と別れたくて式場を飛び出したんじゃないよ。
 君と一緒になるため。
 ま、私がこんなおせっかい焼く必要ないんだけどね。
 それにしても来ないなー、バス。」
「あの・・一つ聞いてもいいですか?」
「うん。」
「多田さんのこと好きなんですか?」
「え?」
「いや・・何となく。」
「もうね、私達、好きとか、嫌いとか、そういう状況とっくに過ぎてるから。」
「僕も・・礼とそうだと思ってたんですよ。
 けど・・無理にそう思おうとしているだけだったんです。」
笑顔で頷く幸子。
「略奪愛に成功した男は言うことが違うわ。
 参考にしとく。」
健の携帯に礼からメールが届く。
『ケンゾーー!!!
 遅い!
 もうとっくにショーグンに
 いるんだけど!(−_−メ)
 rei☆彡♪』
「・・・失礼します。」
健が走り去るのを、幸子は笑顔で見送った。

ショーグン
「アンニョンハセ・」「ヨ!」
健が到着。
「健、おせーよ。」と幹雄。
「悪い悪い。」
「披露宴まで一週間しかないんだからね!」と礼。
「大丈夫だって。そんな焦んなって。」
「やっぱりケンゾーじゃ、披露宴の司会無理だって。」と礼。
「じゃあ礼も一緒にやれよ。」
「え・・だったら私一人でやるよ。」
「バーカ。俺意外と司会とか上手いから!」
「どこが上手いの?むしろ苦手でしょ。」
「何言ってんの?」
「中学校ン時の学級会の司会やった時だって、
 見たことないぐらいグダグダだったし!」
「あれは生徒に問題があったの!」
「今回の新郎新婦にも相当問題があるぞ。」と幹雄。
「・・・そうだよ、問題あるんだよ!」立ち上がる健。
「そんな立ってまで言うこと?」

そこへ、ツルが写真の束を持ってやって来た。
「頼むな!」
「もっと厳選してから持ってこいよ。」と幹雄。
「被写体が良すぎてさ、選べないんだ。
 おい保!牛乳くれ!」
「小さすぎて肉眼じゃ確認できないんだろ。」と幹雄。
「・・・はいそこの独身の君、黙る。」
「お前そんな風に調子乗ってるから痛い目にあうんだぞ!」と健。
「はいそこの独身も、黙る!」
「話聞けって!」と健。
「はいそこの独身、だまーる!だまーる!」

「あ、幹雄はさ、スライドショーと、写真撮影以外仕事ないの?」と礼。
「それで充分だろ。」と幹雄。
「お前!花嫁を監視しとけよ。」と健。
「は?何それ?」と礼。
「式当日に逃げられたら困るってこと?」と幹雄。
「ばっかだなぁ、礼じゃあるまいしエリはそんなことするわけねーだろ!」とツル。
「・・・」落ち込む礼。
ツルの頭を叩く健。
「何微妙な空気にしてんだよー、お前・・」
「お前が余計なこと言うからだよ。」
「まあでもツルとエリならありえる話だな。」と幹雄。
「だろ?」と健。
「いやねーな。」と幹雄。
「どっちだよ。」

「ツル!ツル!」エリの声の着信音。
「お、うちのワイフからだ。」ツルが電話に出る。
「気持ち悪いからその言い方やめなよ。」と礼。

「もしもし?
 あー、急に仕事入っちゃってさ。外せないんだわ。
 だからちょっとね、今日夜遅くなると思う。
 うちのダディーと、パピーには、キャンセルの電話しておいたから。
 うん、わかったってよ。うん、そういうこと。じゃーね!」

「ダディーもパピーもどっちも親父だよ!」と健。
「・・・わかってるし。」
「わかってなかったろ?今。」
「知ってるし!
 ・・もう嫌だな、独身は。」
「お前・・マジで痛い目に遭うからな!」
「何だよ、独身!」
「マジで痛い目に遭うから!」
「わかったよ、独身!」

その頃、携帯を閉じたエリは大きなため息。

ショーグン
「お前本当に仕事なのかよ。」健がツルに聞く。
「いや今忙しいんだよ。」
「牛乳屋が休日に忙しいなんて聞いたことねーぞ。」
「だから新商品開発だろ。あとまあ大人の事情とかもろもろあるんだよ!」
「社員二人しかいないのに、何の事情があんのよ?」と礼。
「人の仕事いちいち口挟んでくんな!
 よし!
 お、そうだ。次に会うのはハワイか!」とツル。
「だな。」と幹雄。
「ああ、じゃあ、モロモロ頼むな!」
ツルが店を出ていく。

「よくよく考えると相当怪しいな・・。」

「ツル、怪しくね?」健が礼と幹雄に聞く。
「何が?」と幹雄。
「あいつが休みの日に仕事なんて、見たことないだろ。」
「別にどっちでもいいよ。」
「行っちゃいましょう!」と健。
「もう、そうやってすぐサボろうとする!」と礼。
「そうじゃないだろ。あの二人には幸せになってもらいたいだろ?
 エリの不安、取り除いちゃいましょう!」
「エリの不安って?」と幹雄。
「不安だよ。」
「!!そういえば、結婚式の準備とか全然やってくれないとは言ってた。
 披露宴で使う曲も、席順も、全部エリに任せっきりだって。」と礼。
「そうなんだ。」と幹雄。

「そう。これをどうにかしなきゃ戻ってきた意味がありません!」

「傷口が広がる前に、止めちゃいましょう!」と健。
「そうだね!」と礼。
「レッツゴー!」と健。
「行こう、幹雄!」礼が幹雄の手を引き先を急ぐ。
「手ー繋ぐな。」と健。
「また来るね!」礼が店長に言う。
「つけといて!」と幹雄。
「何もお前頼んでないぞ。」と店長。
健は、店の隅に追いやられた『Don't knock New York』の看板に気づき・・
そして店を出て行く。

ツルを尾行する三人。
「なんかワクワクするね!」と礼。
「どうする?見知らぬ女が現れたら。」と健。
「変なこと言わないでよ。」と礼。
「来たぞ!見知らぬ女!」と幹雄。

女性と楽しそうに話すツル。

「本当に来ちゃったよ・・」と健。
「誰あれ?」と礼。
「見知らぬ女。」と幹雄。
「職場の人?」と礼。
「職場には、男と乳牛しかいないって言ってたよな。」と健。
「そうだとしても、あんなデレデレした顔はしないだろ・・」と幹雄。
「じゃあ誰なの!?」と礼。
「多分・・見知らぬ女?」と幹雄。
「もしかして・・まさかの・・」と健。
「浮気!?」
「・・・アハハハハ。」一斉に笑う三人。
「あり得ないあり得ない!」

そこへ、エリからの電話。
「どうしよう・・」戸惑う礼。
「とりあえず、出て。」と健。
「もしもし?」
「もしもし礼?今何やってる?」
「え!?・・今・・」
「あの良かったらさ、今晩みんなでうちにご飯食べに来ない?」
「ご飯!?あー!ご飯、いいねー!
 丁度お腹空いてたし、いくいく!」
「良かった。まだ三人でショーグンにいるの?」
「・・ケンゾーと、幹雄も、ペコッペコ、だって。
 あとで三人で行くよ。
 あ、ちょっと待ってて。」

「そっか・・思い出した!
 ショーグンからエリの家に行って飯食ったんだよなー。」


「来る時に、小麦粉買ってきてくれない?
 久々にみんなでお好み焼きやろうと思って。」とエリ。
「うん!わかった。」
「じゃあ待ってるね。」
「エリ・・」
「うん?何?」
「・・ツルって、今何やってるの?」
「え・・会わなかったの?」
「ううん、会ったけど、そのあと、どうしたのかなーと思って・・。」
「仕事って言ってたけど。」
「ふーん・・そうなんだ。」
「うん。」
「本当に、仕事なの?」
「え?どうして?」
「・・ううん。いや、何となく・・」
「ああ、ご飯?
 仕事で遅くなるって言ってたから、先に食べちゃって大丈夫だよ。」
「うん・・そうだね。」
「じゃああとでね。」
「うん、じゃあ・・あとでね。はい。」

「行くね。」エリが健と幹雄に言う。
「どこに?」
「エリが心配だから先に行く。」
「エリに余計なこと言うなよ。」と健。
「余計なことって何?」
「だからツルのこと。まだ何も言わなくていいから。」
「だってエリは仕事だと思ってるんだよ!」
「言葉が足りなかっただけかもしれねーし。」
「それならエリがツルに確認するべきだと思うけど。」
「確認する必要ないって。」
「どうして!?」
「付き合いたてのカップルじゃないんだから誰とどこで何してるかなんて
 いちいち報告しないっつーの。」
「夫婦になったって言うこと言わなきゃ伝わらないと思うけど!」
「何も言わなくてもわかり合える二人だから結婚するんです!」
「絶対そんなことない!
 男の人は黙ってるのがカッコイイって思ってるかもしれないけど
 女の子は言葉にしてくれなきゃわかんないの!」
「別にカッコイイとかじゃなくて何となくわかんでしょ?」
「何となくって何よ。全然わかってないんだから!」
「はいはい、続きはまた今度。
 ツル動いたぞ。」と幹雄。
にらみ合う礼と健。

「もーーう!何でツルの為に頑張ってんのに礼とケンカしなきゃ
 いけねーんだよ・・。」


ツルを尾行する幹雄と健。
ツルに電話をしてみると、ツルは健からの電話をブチっと切ってしまう。
そして又、別の女性と会うツル。

「また別の女かよ!」と幹雄。
「これってやっぱ浮気!?」と健。
「結婚前の男は最後に羽目外したくなるって言うからな。
 かなり必死だな。」
「どんだけ貪欲なんだよ・・。」
ツルが会っているのは、明かにずっと年上の太った女性!
「あいつ!大リーグ張りにストライクゾーン広すぎじゃね!?」と幹雄。
「ハードル下げすぎー!」と幹雄。

その頃、礼はエリの家に到着。
「早かったね。健と幹雄は?」
「もう少ししたら来る。
 どうしたの?この料理!」
「結婚したら、いいお嫁さんになるっとこ、みんなに見せたくて。
 ・・・嘘。
 本当はね、ツルのご両親が今日泊まりに来る予定だったの。」
「そうだったんだ・・」
「張り切って昨日から準備してたのに・・
 ツルがいきなりキャンセルしようって・・。
 ご両親もさっき聞いたみたいで、
 心配になって電話くれたりしたんだけどさ。
 最近残業って言って帰ってくるのも遅いし、
 休みもしょっちゅう一人で出かけちゃうんだよね。
 結婚式もさ、エリの好きなようにやっていいから、って言って、
 全然手伝ってくれないし。」
「うん・・」
「ツル私のことどう思ってんだろう・・。」
「え!?」
「言えばなんでも言うこと聞いてくれるし、
 私のことすごく大切に思ってくれてるって、ずっと思ってたんだけど・・
 実は私、ツルのことよく知らないんじゃないかと思って・・。」
「・・そう思うなら、いろいろ聞けばいいじゃん。
 うやむやなまま結婚するのは、よくないと思うよ。」
「・・・礼はさ、健に聞けないことってないの?」
「え・・」
「健に何でも聞いたり出来る?
 秘密とかないの?
 お互いのこと全部知ってる?」
「うん・・」
そう答えながらも戸惑う礼・・。

ツルを尾行する二人。
次に向かった場所は、とあるクラブ。
だが入口で入店を拒否される。

「あれ絶対高校生と思われてるよ。」と幹雄。
「いや、中学生!」と健。
「ほんっと必死だな・・。」
「自分の才能じゃ口説けないことに気づいて最後の手段に出たな。」

身分証明書を見せ、めでたく?店に消えていくツル。

「たいして金もないくせに!」と幹雄。
「あんなにがむしゃらになれるものかね。」
「ま、結婚する身になってみないとわかんねーけどさ。」
「てーか結婚すんのに何でこんなことすんだよ。意味わかんねーよ。」
「健も躊躇してないで、さっさと結婚すればいいじゃん。」
「またその話?」
「は?またっていつ話ししたよ。」
「・・・気のせいかなー。気のせいだ。」

「ヤッベー。この話したのハワイだった!」

「健!健!
 お前・・もしかしてさ・・
 お前、もしかして・・」

「戻ってきてることバレた!?」

「結婚する気ないの!?」

「何だよ、ビビらせんなよ。」

「あるよ。あるけど・・」
「・・自分たちの前に、ツルたちのことをどうにかしないとって?」
「そう。」
「それで又懲りずに過去に戻ってきたんだ。」
「えーーーっ!気づいてたの!?」
「やっぱりそうなんだ。」
「・・・」
「大体さ、健が人の為にどうにかしてやろうって思ってる時点で
 不自然すぎるって。」
「そうか?」
「大学で花火やった時もそうだろ。
 あんなに必死にツルの背中を押したのも、ツルが後悔するって
 知らなきゃ、絶対にしないって。」
「俺ってそんな白状か?」
「で・・ツルたちどうなんの?結婚式で大喧嘩するとか?」
「エリが、式の前に日本に帰ってきちゃうの。」
「は!?何それ!」
「わざわざハワイに行っても式は中止。
 お前が作ったスライドも、無駄!ってわけ。」
「じゃあ俺準備しなくていいんだ!」
「そうじゃねーだろ。二人が無事に結婚式挙げること考えろよ。」
「じゃ・・そろそろ止めた方がよくね?
 浮気未遂じゃすまなくなるぞ!」
「そうだよ、行こうよ。」

クラブ店内
いつか一緒に走ったマラソン選手・ゲルグーグ(TRAORE ISSA)の姿に驚く健。
席に付いた二人は、店員のテンションの高さに引きつつ、ツルを見張る。
ツルはユカリという女性を指名。
「あいつ指名なんかしてるぞ!」と幹雄。
「調子乗りすぎだ!」と健。
自分たちの席に女の子たちが来ると、デレ〜。

幹雄が女の子たちの気を引き、健はツルを見張ることに。
ツルは女性と共にどこかへ消えてしまう。
慌てて追いかける健と幹雄。
二人はロッカールームにいた。
女性がツルにキスをする!?
「ツル!」健が声をかける。
女性が顔を近づけたのは、ツルが手荷物レコーダーにだった。

エリの家
結婚式のBGM作りを手伝う礼。
「ごめんね、手伝わせちゃって。」とエリ。
「ううん。ツルがやらないなら、私がやるしかないでしょ。」
「ありがとー!」
「あ、これは?」
「なんか定番過ぎない?」
「入場は無難な方がいいでしょ。」
「え、でも私これも気になるんだよなー。」
楽しそうに笑う礼。
「何?」
「昔のエリは、もっと潔かった気がするけどなー。」
「そうかな。」
「ま、エリも、大人になったって、ことかな?」
「そうですよー。
 ・・結婚って何なのかね。」
「うん?」
「昔はさ、結婚って、綺麗なウエディングドレス着て、
 みんなに祝福されて、いいなって思うぐらいだったでしょ?」
「あー、私も小さい頃は、結婚って、エプロンつけて容易して、
 旦那さんが帰ってくるのを待つことだと思ってた。」
「わかるそれ!
 あとさ、結婚したらどんな名前になるかって考えなかった?」
「すっごい考えた!」
「でしょ!
 私は、岡さんと結婚したら、お帰り、になっちゃうから、
 絶対やめようって思った。」
「可愛いのにー。」
「やだよー。もう。
 あ、お茶入れてたんだ。ちょっと待って。」
「うん。
 ・・・結婚式だけやるってわけにはいかないのかねー。」
「結婚生活も週に3日とかね!」
「ツルが聞いたら悲しむよー。」
「だって・・ドレス着るまでがこんなに大変だとは思わなかった。」
「これからもっと大変なこと一杯あるのに。
 そんな今から暗い顔しててどうすんの?」
「・・・礼はどうすんの?」
「え?」
「結婚したいって思うの?」
「ま・・エリの見てたら、ちょっとは考えちゃうなー。」
「健と結婚とかの話にはならないの?」
「エヘヘ。ならないよ。」
「え?」
「ならないならないー!
 お、卒業アルバムじゃーん。
 ・・・わかんない。
 もしかしたら、そういう話になるのをずっと避けているのかも
 しれない。」
「・・・」
「エリと一緒かもね。なんか怖くてさ。
 自分からそういうこと聞けないし・・
 前にああいうことあったし、親のこともあるし・・
 自分からそういう話をする勇気がないのかも。
 ・・・あ、ツルは将来の夢かなえちゃうんだね。」
「うん?」
「だって書いてあるよ。
 俺の将来の夢は、エリと結婚して、世界一幸せなお嫁さんにするって。」
「ほんとだ。」
卒業アルバムを懐かしそうに見て行く二人。
「・・・私会社に電話してみる。」とエリ。
「え?」
「ちゃんと確認してみる。」
エリの決意に微笑んで頷く礼。

「もしもし、鶴見尚をお願いしたいんですけど。」
「あ、鶴見君?今日は休みですけど。」
「え・・仕事って言ってたんですけど。」
「鶴見君が日曜に仕事するわけないでしょう。
 今まで一度だって残業したことないのに。」
「え!?」
「失礼ですがどちら様ですか?」
「・・・」

車をエリの住むマンションの前に止める幹雄。
「あいつは限度ってものを知らねーよなー。」と健。
「まだ帰るわけにはいかないって言われてもなー。」と幹雄。

その時、エリが家から飛びだしてきた。
「エリ!ねえエリ!」エリを追う礼。

「なんだあいつら。」と幹雄。
「やっべ。」と健。
「え?」
「ツルの嘘バレたのかも!」
「マジで!?」
「・・・」
健はカセットテープを見つめ・・。
「行ってくるわ。」
「おい、健!」

二人を追いかける健。

「一年前も、全力で走っていた。
 過去に戻る度、礼の為に何度も何度も、
 全力で走ってきた。
 礼の泣き顔を、どうしても笑顔に変えたくて、
 全力で走った。
 礼にたまらなく会いたくなった。
 全力で走った。
 礼に第二ボタンを渡したくて、全力で走った。
 礼に、どうしても後悔してほしくなかったから、全力で走った。
 礼の二十歳の誕生日を、まっさきに祝ってやりたくて、全力で走った。
 礼に、好きの一言を伝えたくて、全力で走った。
 礼がどうしても忘れられなくて、全力で投げた。
 礼にプロポーズがしたくて、全力で走った。
 礼を失うのが怖くて、全力で走った。
 一年前、俺は礼の為に全力では知り続けた。
 礼とはなれるのが嫌で、
 どうしても好きの一言が伝えたくて、
 世界で一番幸せにしてやりたくて、
 全力で走ってきた。
 あの頃の気持ちが次々と蘇ってきて、
 思わず泣きそうになった。
 まだ遣り残していることがあるのに、
 この一年間ずっと逃げ続けてきた自分に、
 なんだか無性に腹が立った。」


公園
「私やっぱダメみたい。
 ・・・もう無理だよ。」
エリが礼に言う。
健が二人の姿に気づく。
「エリ、覚えてる?
 多田さんの授賞式の夜、エリが私に言ってくれたこと。
 どんな決断をしても、私はそれを応援する。
 礼の幸せだけを願っているからって。
 結婚式の日、あの言葉があったから、
 思い切って走り出せたんだと思う。
 ケンゾーだって、何も言ってくれないよ。
 不安だし、もどかしい時もあるけど、
 本当は私のこと、どう思っててくれてるか・・
 わかる。
 不器用だし、ちょっと抜けてるとこもあるし・・
 だからお互い、言い合いばっかりだけどさ、
 この人と・・・一緒に生きていくんだなって・・そう思える。
 ツルもきっとそうだよ。」
「・・・」
「本当は、エリもわかってるんでしょ?
 私も、エリの幸せだけを祈ってる。
 本当に好きな人と、一緒に生きてってほしい。」
礼の微笑みに、エリも微笑む。

「そこの二人!」健が二人に声をかける。
「ちょっと、行きたいとこあるんだけど、
 付き合ってくんない?」

健は二人をショーグンに連れていく。
「ちょっとケンゾー、何なの?」と礼。
「健、本当のこと知ってるんでしょう?話してよ。」とエリ。
「それは言えない。」
「どうして?」
「男の約束だから。」
「そうやってごまかさないでさー。」とエリ。
健は黙ってカセットをラジカセに入れる。
「結婚式用のいいテープ見つけたんだ。」
「ケンゾー!」
「シーッ。」

『お忙しいところお時間作ってもらってすみません。』ツルの声。
『別に、いいんですけど。
 でも私、幼稚園の年長の時だけですよ、エリちゃんと同じクラスだったの。』
『あーもう、いいんです。
 どんな言葉でもいいんで、よろしくお願いします!』
『エリちゃん、幼稚園のユリ組で一緒だった、フミエです。
 覚えてるかな?
 結婚、おめでとう。
 でも、ほんと優しそうな彼で良かった。』
『エヘヘヘヘ!』
『今度、うちにも遊びに着てね。旦那と一緒にさ!』
『ハイ!』
『絶対、絶対しあわせになってね!
 本当に、結婚おめでとうございます!
 ・・こんな、感じでいいのかな?』
『ありがとうございます!』

『ほんとは、今までの人生でエリが関わった人全員から
 祝福のメッセージ貰いたいんですけどね。』
『・・そうなんだ。でも、何でこんなことやってんの?』
『いや・・俺、一生忘れないような結婚式にしてやりたいんです!
 エリもう、すっごい結婚式楽しみにしてるんで、
 もっともっと、思い出に残るものにしてやりたいんです。』
『あー、そっかー!』
『あ、だから、当日まで絶対内緒にしたいんです!
 あいつ喜んで泣いてくれたら最高なんっすけどね!』
『じゃあもう、私なんかでよければ喜んで協力するから!』
『ありがとうございます!
 あ、じゃあ、こちらの方に。は、回った!
 お願いします!』
『ウン、エ、エリさん、あの、高校の購買でパン売ってた、
 三枝と言います。』

「購買のおばちゃん!」と礼。
「あいつよく見つけたよな。」と健。

温かいメッセージに泣き出すエリ。
「これ全部ツルが?」
健が頷く。

健と幹雄に見付かり、ツルは二人にこう話していた。
「俺は俺なりに祝ってあげたい。
 エリにはすっげー感謝してるからさ。
 あんないい女がおれみたいな男と結婚してくれるなんて
 すっげー感謝だ。
 俺さ、結局、エリが幸せになってくれれば何だっていいなーって
 思った。
 だから、エリが生まれてからこれまで関わった人たち?
 俺は、その全部の人に感謝してんの。
 もし、その人たちがいなかったら、
 俺たちをこうめぐり合わせてくれなかったかもしれないじゃん。
 だからまあ、お前たちにもこう、少なからず、
 少なからず、もう、ちょっとは感謝してる。」

人間必死になればたいていのことは敵うと、ツルは一人でエリと
縁のある人たちを探し出し、メッセージを集めていたのだ。
ツルが落としたカセットを手に健は思う。

「ツルの愛情は、昔と変わらずエリにとことん真っ直ぐで、
 少しだけ不器用だった。
 一度でも本気でツルを疑った自分が・・・
 無性に恥ずかしくなった。」


ショーグン
カセットを聴き終えて涙を拭うエリ。

エリたちの部屋
「何やってんるんだ?」幹雄が聞く。
「今日撮る写真もさ、スライドショーに絶対に入れてね!」
ツルはそう言いながら、マジックで紙に何か書いていく。
「あ!入んないし!」
『エリのことが
 世界で一番好』
「また女子かよ・・」と幹雄。
「なんだ又って。」
「高校の卒業式の時もグラウンドに書いただろ?
 あん時心捕まれないって言ってたエリが、
 ツルと結婚しちゃうんだもんなー。」
「まああん時は必死だったの!」
当時の事を思い起こす二人。
「本当にたまにみんながびっくりするようなホームラン打つよな。」
「なんだそれ。」
「いいんだよ、お前は知らなくて。」
「あ、あのさ、お前テープのことエリに絶対内緒にしておけよ。」
「わかった。」
「でもさ、エリに黙ってるの超辛いんだよね。」
そう言いながら、紙に
『きだ〜』と小さい字で追記するツル。
『エリのことが
 世界で一番好きだ〜

「・・・うわーーーっ!!」
字がカーペットに写ってしまっていた!
「見た!?」
「見た。」と幹雄。
「もう絶対言わないで、これ!」
「わかった。」
「ヤバイ!あ、そうだ。隠そう!」
ソファーをずらしてそれを隠すツル。

ショーグン
「エリ。
 俺は・・ツルのこと尊敬してる。
 体はちっちゃいけど、誰よりデカイ男だと思ってる。
 もしかしたらさ、あいつハワイ行っても、この続きやると思うんだよね。
 急に別行動したい、とか言い出すかもしれないし。
 でもそんなの、全然心配ないからな!」
健の言葉にエリが頷く。
「俺さ、ツルにこのこと黙っといてくれって言われてんだけど、
 俺何も喋ってないよな。」
「喋ってない。」エリが微笑み、頷く。
「うん。何にも喋ってない。」と礼。
「あとさ、式当日は、このテープ初めて聞いたような顔してやって
 くんないかな。」
「こんなの何回聞いても泣いちゃうって。」
「なら大丈夫だな。」
「ありがとうね。」
「全然!」
「いいなー。エリは愛されてて。」と礼。
幸せそうに微笑みながら婚約指輪をかざすエリ。
「いいなー!!」

お好み焼きパーティーをする一同。
ツルとエリは、大阪風を。
健と礼は、広島風を。
味見する幹雄は、どちらも美味しそうに頬張るも、
「こっち(礼&健)の方が美味しい!
 でもこっち(ツル&エリ)の勝ち!
 作るまでの過程とか、あとチームワークも、採点に含まれる。」
ツルとエリ、大喜び!
負けた二人は、デザートを買出しに出かけていく。

ベランダに出た幹雄は、優子に電話をする。
「あ、もしもし?優子?今平気?
 お好み焼きってさ、広島風と関西風以外に何かあるんだっけ?
 チヂミ?それ韓国だろ。」
仲良く食器を片づけるエリとツルの様子を見つめる幹雄。
「ま、チヂミでもいっか。
 え?
 今度一緒に作ってみんなに食べさせようぜ。
 別にどうもしねーけど。
 ちょっと、結婚っていいなーと思ってさ。
 だから優子とは結婚しないって。
 まあ・・今すぐにはな。」

コンビニで買物する礼と健。
仲良くシュークリームを食べながら、車に乗り込む。
「ツルってほんと男らしいとこあるよね。」
「たまにな。」
「たまにってケンゾーが言えることじゃないでしょ。」
「それは俺が男らしくないって言いたいわけ?」
「どうでしょー。」
「俺が結婚するときはあんなもんじゃないから。」
「へー、そうなんだ。
 まーでも、ケンゾーも男らしいときあったよね。」
「うん?」
「あのスピーチやった時だけは、男らしかったよね。」
「だけって何だよ。」
「あん時がピークだったなー。」
「これからもっと上、あるから。」
「絶対ないよ。」
「全然あるから。」
「そのあとの海も最低だったしねー。」
「散々人におんぶさせといてよく言うよ。」
「ふふーん!
 ・・・ツル、エリのことちゃんと幸せにしてくれるかな。」
「大丈夫だよ。
 あいつなら、大丈夫。」
「・・うん。」
運転席でしばし考え込む健。そして車を走らせる。

「どうしたの?
 エリの家こっちじゃないでしょ?」
「ちょっと、行きたいとこあるんだよね。」
「え!?
 どこ?」
「・・・」
「黙ってちゃわからないでしょ。」
「言わなくても、わかるでしょ。」
「いやわかんないでしょ。」
「じゃ・・テレパシー送っておく。」
「バカじゃないの?」
「・・・」

健が向かった場所は、吉田家。
「ケンゾー!
 どうしたの?急に。」
「急にじゃないよ。
 前からずっと思ってた。
 一度ちゃんと会って、挨拶しなきゃなって。
 でもさ、男はやっぱ、多くを語らない方がカッコイイかなと思って、
 ずっと胸に秘めてた。」
「また・・そんなこと言って。」
健が、そして礼が車を降りる。

インターホンを鳴らす健。
礼の母親()が戸を開ける。
「ケンゾー宮崎美子君!」
頭を下げる健。
玄関を覗き込む父(森本レオ)。
健はもう1度頭を下げ・・。

居間
「ご無沙汰しております。
 ・・・あの日・・お二人にどれだけご迷惑をおかけし、
 辛い思いをさせてしまったのか・・。
 考えれば考えるほど・・こちらに来ることが出来ませんでした。
 どんなに言葉を尽くしても、決して償いきれないと思っています。
 でもあの日、かけがえのない存在を失わないでよかった。
 本当に良かった。
 その思いは、これから先もずっと変わりません。
 黙ってあとをついて来てくれた礼さんを幸せにすることが、
 僕にとって、精一杯の償いだと思っています。」
健の言葉に微笑む母親。
父親は難しい顔をしたままだ。
ソファーから立ち上がる健。
「本当に・・申し訳ございませんでした。」
頭を下げて謝罪する。
「突然お邪魔して、すみませんでした。」
健が部屋を出て行こうとした時、
「待ちなさい!!」
大声で怒鳴る父に、礼もびっくりする。
「・・・待ちなさい。
 礼は・・私達にとって、大切な、娘です。
 あのまま結婚していたら・・あるいは・・つつがなく、幸せに
 なっていたかも・・しれない。
 君がやろうとしていることは、決して、簡単なことでは、ないと、思う。
 君にとっても・・礼にとっても。
 礼の、周りの人にとっても。
 そのことを君は、一生、肝に銘じて、下さい。」
父親の言葉を受け止める健。
父の言葉に微笑み、健を見つめる礼。

帰っていく二人を母親が見送る。
「すみません、わざわざ見送りまでしてもらって。」
「いいのよ。全然気にしないで。」
「お父さんあんな言い方しなくてもいいのにね。」
「あの人、自分が、私の父親に会いに行ったときに
 痛い目にあっているから、それで厳しい顔をしたいだけなのよ。」
「そうかなー。」
「本当はね、口で言ってるほど心配してないんだと思う。
 また遊びにいらっしゃい。
 今度はご飯でも食べに来なさいよ。」
「はい。」
「じゃあ、もう行くね。」
「そんなに遅くならないでね。
 お父さん、礼が帰ってくるまで起きてるって言い出すから。」
「うん。わかった。」
「じゃあ、失礼します。」
「うん、じゃあね!」
笑顔で二人を見送る母親。

車の中
二人同時にラジオをつけようとし、微笑みあう二人。

「それからエリのマンションまで二人は無言だった。
 何を話していいのかわからなかったというよりは、
 何も話さなくてもいいような空気がそこにはあって・・
 ラジオを聴くでもなく、外の景色を眺めるでもなく、
 でも幸せな時間が、そこには確かに存在した。」


エリの部屋
ツルのリクエスト、ババロアの代わりにハバネロを渡す健。
健の悪戯に飛びかかるツル。
その表示に、隠しておいたカーペットの汚れがエリに見付かってしまった。
「ツルー!」
「あとで、ちゃんと消すね!」
「離婚だ。」と健。
「離婚だ!」とエリ。
「それだけは勘弁して下さい!」土下座するツル。
「じゃあ早く消してよ!」
「消さないでいいじゃん。
 せっかくの夫からの愛のメッセージ!
 とっておきなよ!」と礼。
「嫌だよ。こんなの恥ずかしいよー。」
「うちのワイフ照れ屋さんだからね!」
ツルを睨むエリ。
「はい、並んで並んで。
 ほらエリ、怒ってないで。
 後ろ二人も。」
ツルがエリへの愛のメッセージを綴った紙を広げる。
「はい、OK!」
タイマーをセットし幹雄も並ぶ。
「また字間違ってる!」とエリ。
「え?ちゃんと、好き、だぁ〜って書いてあるよ。」
礼の笑顔を一瞬見つめる健。
フラッシュが光り、シャッターが落ちる。
「ノーーーーー!!」

目を開けると、健はマイクの前に立っていた。
花嫁のエリと花婿のツルが笑顔で見つめている。
エリの家で撮った集合写真。
「ヨッシャーーーッ!」と叫ぶ健。
「ちょっと!何大きな声出してんのよ!」と礼。
「だって、エリとツルがあそこに座ってるからさ。」
「結婚するんだから当たり前でしょ!」
「バーカ。俺がいなかったら今頃あいつらあそこに座ってないから!」
「もう何言ってんのよ。
 ・・・頭、大丈夫?」
「大丈夫とかじゃなくて、俺がいなかったら、あそこに、」

その時、会場の照明が落ち、妖精が登場。
「そんなに必死に説明したって、わかるわけないだろ?」
「そうなんですけど、一生懸命頑張ったのに、悔しいじゃないですか。」
「誰かに褒めてもらいたくて自らアピールする姿ほど
 醜いものはない。」
「誰か僕に優しくしてくれる人いないっすかね。」
「・・・次に会うのは、スペインだな。」
「スペイン!?」
「ハワイも、そろそろ飽きたし、今度はスペインに住もうと思ってな。
 だから、お前たちの挙式は、スペインでやってくれ。」
「いや俺たちの式には別に参加して貰わなくて大丈夫です。」
「え!?恩人に対してそういうことを言うようになったか。
 人間の白状さは恐ろしいな。」
「わかりましたよ、考えておきます。
 でもうちの、コレが何ていうかね。」
「ちゃんと、幸せにしてやれよ。」
「はい。」
「お前も、幸せになれ。」
「はい。」
妖精は帽子を被り、指を鳴らす。

スライドショーが終わり、会場に明かりがつく。
礼に叩かれ、司会を進める健。
「続きまして、新郎からみなさまに、ご挨拶がございます。」

「えー、本日は、お忙しいところ、僕たちの結婚式にご参加くださって、
 誠にありがとうございます。
 エリは、高校の頃から、学年一の、人気者でした。
 そんなエリが、僕と付き合ってくれるっていうだけで、
 もう、本当に、嬉しくて、
 で、今度は、結婚してくれるって言ってくれて・・
 もう何ていうか・・世界、もう、僕は、宇宙一の、幸せ物です。
 で・・こんな僕が、エリにしてあげられることって、
 あの・・本当に少ないかもしれないけど、
 でも、この場をお借りして・・感謝の気持ちを込めて、
 エリへ、プレゼントを贈りたいと思います。」

会場に特大ケーキが運ばれてくる。
「まだ!まだ!!」慌てる健。
ケーキが開き、女装した伊藤先生登場。
口をあんぐりと開けるツル。
伊藤先生、『あの鐘を鳴らすのはあなた』を熱傷。

「ちょっと!プレゼントってこれ!?」とエリ。
「いや!絶対違う!違う違う違う違う違う!
 いや・・どうしよう・・!」とツル。
「止めてよ。」
「無理だ!止まられないよ!」
エリはなんだか楽しそう。
先生は気持ち良さそうに歌い続け、
その側でソクラテスは着物から片腕を出して踊り・・・。

エリの笑顔。ツルの笑顔。
健の笑顔。礼の笑顔。幹雄の笑顔。

海岸を歩く礼と健。
「こんなに長くエリとツルといるのにさ、
 二人とも今日が一番幸せそうな顔してたよね。」
「うん。」
「結婚式ってすごいんだねー。」
「そうだな。
 ね、」
「うん?」
健が、浜辺に置いてあるボートを指差す。
「え?どうかしたの?」
「俺らが去年乗り損ねたボートじゃね?」
「は?」
「ハネムーンに飛び出すためのボート。」
「古臭いって散々バカにされたけどね!」
「乗っちゃおうぜ。」
「え?」
「ハネムーン行っちゃおうぜ。」
「何言ってんの?
 ちょっと、やめなって。
 何してんの?」
ボートから何かを取り出す健。
それは、白いハイヒール。
「・・・え?」
「あの日約束したろ。
 失くしたハイヒール、世界中探して見つけてやるって。」
「・・・」
「やっぱハワイまで流れ着いてたんだなー!」
「・・・」
「ちゃんと突っ込めよ。」
「だって・・」
礼をボートに座らせ、白いハイヒールを履かせる健。
サイズが合わずにブカブカで、礼が楽しそうに笑い出す。
「・・・」
「ねえ、ブカブカって、シンデレラ的には、アウトだからね!
 普通彼女の足のサイズぐらい把握してると思うんだけどなー。
 そういうとこ、ほんと抜けてるよね。」
ブカブカの靴で歩き出す礼。
「ケンゾーがくれるものは、いっつも、ブカブカだ。
 なんでいっつも、こう、ブカブカなんだろうね。」
振り返った礼の手には、いつかの指輪。
「何で持ってんの?」
「不思議だよね。」
「だって、俺・・」
「私もあの時、エリから受け取ってびっくりしたんだよね。」
指輪を受け取り、握りしめる健。
「・・・礼。」
「うん?」
「幸せにする。」
「・・・」
「俺が・・・お前のことを、絶対に幸せにする。
 これからもケンカすると思うし・・
 文句も沢山言うと思うし・・
 口きかなくなる時もあると思うけど・・
 ずっと俺の側にいてほしい。
 俺が一生面倒見るから。」
「・・・」
「俺と、・・・俺と結婚して下さい。」
礼の瞳から涙がこぼれる。
「・・・よろしくお願いします。」笑顔でそう答える礼。
幸せそうに微笑む二人。
健は礼の左手の薬指にブカブカのリングをはめる。
「ブカブカ。」と健。
「ほんとに。」
涙をこぼしながら微笑む礼。
健は礼の涙を指で拭い・・・しっかりと抱きしめ・・・
そして二人はキスをした。

そんな二人を妖精は笑顔を浮かべて見守っていた。


※一部公式HPあらすじを引用しました。


総集編ばかりのSPかな、と思っていたので、
期待が裏切られて嬉しかった!

ツルの男らしさが光ったSPですね。
こんなに自分の為に一生懸命になってくれル人がいたら、
幸せですよね〜!

SPでは友達の為に過去に戻る、というのが新鮮でした。
そのお陰で、彼はこの一年ずっと逃げてしまっていた大切なこと、
多田さんと、礼のご両親に謝ることが出来、
ツルと礼はめでたく結婚、
そして健も、やーーっと、礼にプロポーズ!
礼のプロポーズのお返事が、子供の頃と同じ、
「よろしくお願いします!」だったのにもやられました。
冒頭の白いハイヒールと、本編のブカブカの指輪のエピソードが
絡んで、余計に感動的でした。

メインの5人、みんなそれぞれ幸せを見つけ、
多田さんも幸子さんと幸せになれそうだし、
ソクラテスや伊藤先生たちが一段と楽しくて、嬉しかったです。

この後、スペインの教会で妖精さんと再会!
そこで妖精さんの秘密が明かされる!とか、
そんな展開も見てみたいです。


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この記事へのコメント
ちーずさんこんばんは、本編のラストの「ケンゾー」からの繋がり上手かったですね!すこし忘れかけていたストーリーをじわじわと思い出させてくれました!

ツルエリの結婚になぞっての健の逃げていた一年を思い返すスタイルもいいですね、まさかの妖精の引越し、健を心配し続けていたのかな?

藤木さんは出演しないのかと思っていたので嬉しかったです、健と礼のような関係の幸子の存在は大きいですね、本編ではかわいそうな男で終わったので安心しました!
Posted by けた at 2008年03月29日 20:20
ちーずさん、こんにちは。
思い出しますね〜、本編を。わたしはあの最終回が少し不満だったのですが、今回満たされた思いです。
多田さんにせめて新しい恋を予感させるような終り方をしてほしかったと思っていたので、今回紺野まひるが登場して一安心しました。大団円ですね。
Posted by マンデリン at 2008年03月29日 22:48
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