2008年05月13日

CHANGE 第1話

『小学校教師が日本を変える!?政治の素人が最年少総理大臣に!!』

『WONDER Athletic and Sports』
「検索開始!」
SPたちが敷地内に不審物がないか調べていく。
パーティー会場、調理場、トイレ。
施設内には警察犬も配置され、
施設の周りの道路には、検問が行われる。

二瓶派会長の二瓶栄議員(神山 繁)、
垣内外務大臣(垣内達彦)、
小野田幹事長(中村敦夫)、
神林総務会長(寺尾 聰)、
厳重警備体勢の中、政治家が集り始める。

日本政友党のヘリコプターが敷地内に着陸。
降りてきたのは、テニスウェアに身を包んだ鵜飼内閣総理大臣(伊東四朗)。
右手にはラケット。左手で大きく手を振る。
「や!お待たせ!」
テニスウェアに着替えた垣内外務大臣、小野田幹事長、二瓶議員が
総理を出迎える。
「おはようございます!鵜飼総理。」と二瓶。
「防衛大学校の卒業式、いかがでした?」と小野田。
「ああ。楽しかった。」
「今日は、テニスですか?総理。お若いですな?」と二瓶。
「・・・神林君、君、テニス嫌いなのか?」
総理が神林総務会長に聞く。
「申し訳ありません。
 ご覧の通り、捻挫をしてしまいまして。」神林の手には包帯。
「ふーん。私の付き合うのが嫌なのかと思ったよ。」
「まさか。
 今日は私の代わりに、秘書がお相手を。」
「美山です。実は、テニスの経験は・・」
美山理香(深津絵里)が挨拶する。
「手加減はいらん!
 若いもんにはまだまだ負けん!
 さあ行くぞ!」WONDER Athletic and Sportに救急車が到着する。
ぎっくり腰で動けなくなった鵜飼総理は、担架で運ばれながら
何とかマスコミに笑顔を見せる。

「すみません!
 優しく、打ったつもりなんですけど。」理香が謝る。
「だからゴルフにしておけば良かったんだよ。」
小野田らがため息をつく。
その場を立ち去りながら手の包帯を外す神林。
彼の背中を見つめて理香が微笑み・・。

霞ヶ関を歩く理香。
「お早うございます。
 総務会長秘書の美山でございます。」
「美山です。時間変更?
 政府与党連絡会議の?
 ちょっと待って下さい。今、手帳を。
 お待たせしました。10時改め13時で。はい。
 場所の変更はありませんね?」
「11時半に取りにいきます。
 そう、カツサンドとシーフードサラダ。
 でもタコは先生がお嫌いなの。
 その代わりエビを多めに。
 確認して下さい。
 タコを抜いてエビを多めに。
 先週お願いした時は、エビを抜いてタコを増やしてたでしょう?
 あんな間違い二度としないで。」
次々とかかってくる電話に応対しながら、
理香は衆議院第一議員会館に入っていく。

神林の事務所
「おはようございます!」理香が挨拶すると、
「今日のスケジュール。」
首席秘書・近藤(風間杜夫)がすぐに書類を渡す。
「午前中は予定通り。
 午後は、中平財務副大臣との対談を15時20分に変更。」
「富山県知事の陳情は?」と理香。
「そのあとに時間取るから。」と近藤。
「じゃあ待ってもらいます。」

「昨日のテニスの件で取材の申し込みが。」と秘書・森繁()。
「神林先生が受けるわけないだろ。」と近藤。
「いや・・美山さんに。」
「私!?」
「グラビア取材だそうです。
 総理を悶絶させた、美人女性秘書。」
「美人!?」
「どうします?」
「やりたければ、先生の許可を。」と近藤。
「・・・文科省が、再来週のどこかでオリンピック誘致についての
 レクをさせてほしいと。」と理香。
「スケジュール調整しよう。
 じゃあ今日もよろしく。」と近藤。
「はい!
 先生にコーヒーを。」と理香。
「熱いのはダメだよ。」と近藤。
「もう人肌です。」
理香は買ってきたコーヒーを手に、神林の部屋をノックする。
「森重さん。
 グラビアは断って。」
理香はちょっと気取ってそう言うと、神林の部屋へ。

「ちょっと悩みましたね、あれ。」と森繁。

「おはようございます。
 若さをアピールするつもりが、完全に裏目に出ましたね。
 マスコミ各社の調査では、内閣支持率は全部10%を切っています。」
理香は新聞を読む神林にそう語りかける。
新聞の見出しは、『鵜飼首相が緊急入院』。
「この10年で最低の数字だな。」と神林。
「総理はまだ辞めないつもりでしょうか。
 今総選挙になったら、うちは野党に惨敗すると思います。
 派閥の力関係とかじゃなくて、国民投票で決めるべきですよ、
 総理大臣は。
 きっと、神林先生が選ばれます!」
「君。」
「はい!」
「熱すぎるよ。」
「・・・すみません。
 失礼します。」
理香が部屋を出ていく。

病院
「もう捻挫は治ったのか?」
鵜飼総理が見舞いに来た神林に聞く。
「ああ、お陰さまで。」
「ふーん。
 救急車を呼べと言ったのは君だそうだな。」
「本来なら、裏口から総理の車に乗っていただくべきでしたが、」
「当然だ!私はもう終わりだみたいに言われてんだぞ。」
「動かないで下さい、総理。」女医が脈を取る。
「はい。」
「隠れて病院に向かえば、勝手に記事を書かれて、
 総理が重病人にされていましたよ。
 今頃はもう総裁選が始まっています。」
「ったく入院入院と、大げさに騒ぎよって。
 私はな、居心地がいいからここに一泊したんだ。
 なあルミちゃん!」
「血圧も問題ありません。」と女医・月岡。
「ほら見ろ。私はビンビンだぞ!国民に伝えろ!」
「ピンピン!」と女医。
「ピンピンだぞ!伝えろ!」

病室から月岡が出てくるのを理香が待ち構えていた。
「月岡先生。総理は?」
「夕方から公務にお戻りになられるそうです。」
「そうなんだ。」
「残念そう。」
「何言ってるんですかー。」
「舌打ちが聞こえましたけど。」
「してません!」
「冗談でーす。」
「・・・ちっ!」

バーで一人ビールを飲む理香。
店の大画面テレビがニュースを流している。

「昨日ぎっくり腰の為に緊急入院した鵜飼氏は、今日退院し、
 公務に戻りました。」
「ついつい、無理をしてしまいました。」と総理。

「嘘ばっかり!1球目のサーブを空振りして
 ひっくり返ったんじゃない。」と理香。

総理はマスコミに向かって辞任をきっぱり否定。

「え、ここでたった今入ってきたニュースをお伝えします。
 日本時間の今日午後4時ごろ、ベトナム・ニャチャンで
 遊覧飛行中の小型機が墜落。
 日本人を含む6人全員が、死亡した模様です。
 現地からの情報によりますと、志望した日本人は、
 日本政友党の朝倉誠衆議院議員と、
 長男の朝倉正也氏である・・」

「朝倉先生・・」理香が呟く。

朝倉家
遺影に手を合わせる理香。
「本当に、ありがとうございました。
 きっと、朝倉先生も感謝しております。
 わざわざ福岡まで、先生方に来ていただいて・・。」
「神林先生にも、よろしくお伝え下さい!」
理香に頭を下げるのは、後援会の人々だ。
「後援会のみなさんのご心中、お察しいたします。」と理香。
「本当に・・うちの先生が死んだのか・・。」
「昌也君までな・・。」
「俺らどうすればいいべや・・。」
「あのー、昌也さんの他に、秘書の方は?」と理香。
「大事な仕事は、全部あの息子さんがやっておりました。」
「朝倉先生の死去に伴う補欠選挙は来月です。
 急いで先生の後継者を、」理香。
「だからそげなもんはおらんって言うとろうが!」
「後ば継ぐのは昌也君だと信じとったもんで・・。」
泣き出す後援会の人々。

東京
「私の秘書を、福岡に残しました。
 この数日のうちに、公認候補を立てねばなりませんから。」と神林。
「国交省の、イワマサアツキ君がいいんじゃない?」と垣内。
「垣内先生・・また言いなりになる官僚引っ張ってくるのかい?」と小野田。
「そうだ。若手の弁護士で、小手川大輔っちゅーのがおったな。」と二瓶。
「ご自分のお孫さんじゃないですかね。と垣内。

朝倉家
「では、奥様に出ていただくしかありまえせんね。」と理香。
「貴江さんに!?」
「無理やろ!ダンナさんと息子さんを一度に亡くして、
 寝込んどっとですよ、貴枝さん。
 今選挙に出したら血吐いて死んじまうわ!」
「じゃあ誰か!  
 今度の補選は、次の総選挙に影響する大事な選挙なんです。
 ここで政友党の議席を失うわけにはいきません!
 だれでもいいからいませんか!?」と理香。
「誰でもいっって言われても・・あれは話にならなしな。」
「あれって誰!?」と理香。
「いやいやいやいやいや。」
「いるんですか!?誰!?」
「・・先生に、勘当同然に、」
「勘当!?お子さんが他にいらっしゃるんですか!?」
「次男坊が。」
「次男坊!?」

長野の小学校。
そこに5年生の担任、朝倉啓太(木村拓哉)がいた。
子供たちにからかわれるとぼけたキャラクターながらも
子供たちに慕われ、大好きな天体観測も思う存分堪能し、
充実した日々を送っていた。

授業中、生徒にたぬきうどんはなぜたぬきうどんのかと質問され
考え込む啓太。
「考え込んじゃったよ。モジャ倉!」と生徒。
「・・・林君。
 朝倉だから。天パからかっちゃいけませんよ。
 はい。
 じゃあたぬきうどん置いといて、『夢』!」と啓太。
「えーーーっ!」生徒たちのブーイング。

生徒の中に山田夏海ちゃん発見!
 
啓太を訪ねて長野まで理香がやってくる。

その頃、教室では翌日に控えた6年生を送る会の飾り付け中。
啓太は脚立に上り、天井に画鋲で飾りを止めている。
「ちょろいよな、モジャ倉!」
そう言いながら一人、また一人、教室を脱走する生徒たち。
「ごめん、画鋲もう1個。」
「どうぞ。」理香が渡す。
「え・・」
「もう誰もいませんよ。」
「あ!あいつら!」
「はい、画鋲。」
「すみません。
 ・・・あの、ご父兄の方じゃ、」
「ないです。
 朝倉啓太さん・・」
「です。」
「私、衆議院議員、神林正一の秘書をしております、
 美山と申します。電話では何度かご挨拶を。」
名刺を差し出す理香。
衆議院、と聞いた途端顔色を変える啓太。
「・・・お断りしたはずですけど。
 僕立候補する気ないんで。」
「啓太さんは大変優秀で、人望が厚く、
 行動力のある立派な方だと伺いました。
 お父様の後を継げるのはやっぱり、啓太、」
「僕はそんな立派な人間じゃありませんから。」
「・・・」
「それに・・全然興味ないんです、政治に。」
「・・・」
「すみません。これ、今日中にやっちゃわないといけないんで。」
「・・・」

校舎を出た理香は、啓太の車を覗き込みながら電話をする。
車の中には立派な天体望遠鏡が入っている。
「美山です。
 公認候補は、彼以外あり得ません。」
「でも、朝倉先生に勘当された、不肖の次男坊なんだろ?」と近藤。
「子どもたちにも舐められるような、ぼーっとした男です。
 でも、顔だけはいいんですよ、これが。
 政治に疎い女性は絶対投票します。
 神林先生に、もう少し時間を下さいとお願いして下さい。
 絶対、口説き落としますから。」

子どもたちにせがまれて、5分だけの約束で
ドッチボールをする啓太。
子ども相手に本気で勝負!
理香はそんな啓太を見つめ・・。

夜遅く、星の観測に出かけた啓太は、
望遠鏡ではなく、携帯をぼーっと見つめていた。

『07/12/30 23:05
 朝倉昌也
 兄より
 啓太、元気なのか?
 親父がお前のことを気にしてた。
 たまには連絡してやれ。』

携帯を閉じると眼鏡をはずし、目を閉じる啓太。
(涙をこらえている?)
そして啓太は眼鏡をかけると、夜空を見上げ・・。

教室
「たぬきうどんが、何でたぬきうどんと呼ばれているか、
 先生調べてきました。」啓太が生徒たちに言う。
「えーーーっ。」
「たぬきうどんには天かすが入っているよね。
 天かすって、てんぷらの周りのところ。
 衣ってわかるよね。」
「うん。」
「てんぷらの、中身、エビとかイカとか、タネを抜いた、周りのところ。
 つまり、てんぷらの、タネ抜き。
 タネ抜き、タヌキ・・たぬきうどん。」
「・・・」
「・・・という説もありました。」
「えーーーっ。」「うそだーー。」「全然面白くない!」
「面白くないって・・。」
「じゃあ、きつねうどんは?」
「油揚げがキツネの好物だから。」
「じゃ、月見うどんは?」
「玉子がお月様に見えるから。もういい、」
「じゃあ、素うどんは?」
「・・・素うどん?
 何も入ってないから素、うどん。」
「ネギが入ってるよー!」「かまぼこもー!」
「それは後から自分で入れたんでしょ?」
「うどんが入ってますよ!」
生徒たちは大騒ぎ。
「はいうるさいうるさいうるっさいうるっさい!うるっさい。」

仕事を終え駐車場に向かう啓太。
携帯が鳴る。
「はいはいはい・・
 もしもし?
 あー俺俺俺。
 何もう起きられるようになったんだ。
 ・・・え?選挙!?」
「私が出ることにしたと。今度の補欠選挙。」
電話の向こうで弱々しい声で母・貴江(富司純子)が言う。
「え、何言ってんの?
 いや、折り返すわ。折り返す!」
車に乗り込もうとしたとき、啓太はワイパーに理香の名刺を見つける。
裏に、
『長野センチュリーホテル
 喫茶ルージュ』
と書いてあった。

長野センチュリーホテル喫茶ルージュに入ろうとする啓太。
「朝倉さん!」
理香は喫茶店の前のソファーで待っていた。
「どういうつもりですか、お袋引っ張り出すなんて。」
「じゃあ、あなたが立候補、して下さいます?」
「僕のこと何もしらないでしょ?」
「朝倉啓太。1973年3月5日生まれ。
 5歳の時にお父様が福岡県議会議員に当選し、
 その3年後、衆議院議員に。
 お兄様の昌也さんは、早くからお父様の後継者として育てられたけど、
 あなたは政治とは無縁の生活を送り、
 中学、高校と、天文クラブに所属。
 福岡からわざわざ信州大学に進学した理由は、
 星のきれいな所で暮らしたかったから。」
「それどうやって調べたんですか!?」
「そしてそのまま長野で教職免許を取り、小学校教師に。
 通勤の足は、中古のハイブリッド。
 でもその車にしたのは、エコを意識したわけじゃなく、
 単にガソリン代が安く済むから。」
「いけませんか?」
「車にはいつも望遠鏡を積んでいて、仕事帰りに天体観測を
 楽しむのが趣味。
 つまり、世の中のことには無関心のロマンチスト。」
「・・・そんな人間担ぎ出したって当選なんかしませんよ。」
「父親の医師を継いで息子が立つ。
 日本人は弔い合戦が大好きなの。
 しかも、小学校教師ならクリーンなイメージでしょう?
 残念ながら、あなた以上の候補者はいないんです。」
「僕は親父とは違います。
 ・・・嫌いなんです、政治の世界。」
「世の中が、良くなって欲しいと、思わないの?
 子どもたちに、希望ある未来を用意してあげたいとは思わない?」
「子どもとは関係ない、」
「そんなことの為に、今の生活を犠牲にするのはまっぴら?」
「・・・そんなたきつけたってダメですよ。」
「じゃ・・お母様に立候補していただくしかありません。」
そう言い席を立つ理香。
「失礼します。」
理香が歩き出す。
「・・・・・ちょっと待って下さい!」啓太が理香を追う。
「・・・もし僕が立候補して、」
「あり得ない話は時間の無駄。」啓太に背を向ける理香。
「もし僕が、
 ・・・僕が立候補して・・落選したら、諦めてくれますか?」
啓太に背を向けたまま、「よしっ!」と口を動かす理香。
そして振り返ると、「もちろん。」と静かに微笑む。

学校の体育館
「今日は、みなさんに、ご報告があります。
 実は、朝倉先生が、退職されることになりました。」と校長先生。
「えーーーっ。」
「福岡に戻って、選挙に、立候補されるそうです。」
「えーーーっ!」「政治家になるの!?」「モジャ倉が!?」
「みなさんは、投票できませんが、心の中で、朝倉先生を
 応援してあげましょう。」
「はい!」

飛行機が福岡に到着する。
乗客が次々と降りて行く中、座席に座ったまま憂鬱そうな啓太。
「さっさと降りる!」理香が通路を歩いていく。
「え、同じ飛行機だったんですか!?」

あさくら誠 後援会事務所
福岡に帰ってきた啓太を大歓迎する後援会の人々。
父親の代からのさまざまな応援者の中には宮本ひかる(加藤ローサ)も
いた。

「敵はコイツたい!」
「元県知事、外木場清光。
 革進党公認。」と理香。
「お茶どうぞ。」ひかるがお茶を配る。
「前回の選挙じゃ、親父さんが勝ったばってん・・」
「その差たった800票たい。」
「今回は事実上の一騎打ちやね。」
「頑張ってくれよ、啓太君。」と後援会の人々。
「はい・・。」
啓太にお茶を出したひかるは、彼を笑顔で見つめると、
自分を紹介しろと合図。
「ああ。
 俺の姪っ子たい。」と後援会の一人。
「宮本ひかるでーす!」
「今回こいつに、うぐいすばやらせるけん。」
「うぐいすやります!」
「うぐいす??」
「うぐいす嬢!」と理香。
「あ・・。良かですか?」タバコを手に取る啓太。
「禁煙!」と理香。
「・・・禁煙なんですか?」

理香は啓太に分厚い資料を渡す。
『朝倉啓太 候補
 政策集 参考資料
 (衆議院福岡 12区補欠選挙用)』
「政策?」と啓太。
「教育、福祉、環境を三本柱にして、具体案をまとめました。」
「美山さんが考えたんですか?」
「全部、覚えて下さい。」
「全部!?」

そこへ、韮沢勝利(阿部寛)が到着した。
「韮沢さん!」「韮沢さん来てくれたと!!」「待っとったよ!」
後援会の人々は大感激。
「青森県津軽郡軽石村。
 村議会選挙がやっと片付いたんで。」と韮沢。
「ご苦労様でした!で、結果は?」
「・・・もちろん圧勝ですよ。」
「すごーい!!
 ひかるちゃん、お茶!」

「誰?」理香がスタッフに聞く。
「選挙プランナーに韮沢さんたい!」
「選挙プランナー?」と啓太。
「前回もあの人の世話になったと。
 この選挙区のことなら、表も裏も、わかってるけんね!」

「政友党本部から参りました、美山です。」理香が挨拶する。
「東京から、わざわざ来てくれたとよ。」とスタッフ。
「大事な選挙ですから!」と理香。
「大事じゃない選挙はあるんですか?」と韮沢。
「・・・」
ふっと笑い、タバコを手に取る韮沢。
「禁煙です!」
「・・・候補者は?」
「あちらです。」
「どうも。朝倉啓太です。」
「この度は、お悔やみ申し上げます。
 でもご次男が後を継いでくれて、お父上もほっとなさっているでしょう。」
「でも期待しないで下さい。僕は親父みたいには、」
「父親は関係ない。」
「え・・」
「オファーの電話が5分遅かったら、俺は革進党についていた。
 運が良かったな!
 しかし親父を思い出して鑑賞に浸ってる暇はないぞ。
 これから全て、俺の言う通りに動いてもらう。
 あんた(理香)もだ!
 選挙は選挙のプロが仕切るんだ!
 俺は過去200回戦って199勝。
 負けた選挙は、最初の1回だけだ。」
そう言い神棚に手を合わせる韮沢。
「その一回はどうして?」と理香。
「・・・思い出せっていうのか?」
「・・・いえ。」
「・・・結構です。」呑気にお茶を飲んでいた啓太、韮沢に睨まれ焦る!

早速打ち合わせを始める韮沢たち。
「有権者1000人を対象にした電話調査の結果だ。」
「電話調査?」
『今度の選挙であなたは誰に投票しますか?』
「外木場清光、42%。
 朝倉啓太・・23%・・。」
「今の時点では惨敗だな。」と韮沢。
「はい。」と啓太。
「うそ!」とひかり。
「弔い合戦。
 朝倉先生が次男坊に期待していなかったのは周知の事実だからな。
 しかも今、政友党の支持率は最悪だ!
 この結果は、妥当だろう。」
「どうするの?」と理香。
「やめますか?」と啓太。
「はい!?」
「すみません・・」
「どうしたら勝てるの?絶対に勝たせて。」と理香。
「勝利への道は一つだ。
 組織票を固め浮動票を取り込む。
 全員死ぬ気になれば勝てる!」
「はい!」
「タフな戦いになるぞ!」
「はい!」
「仕事の割り振りだ。すぐに取り掛かれ!」
「はい!!」
「頑張って下さいね、みなさん!」と理香。
「はい!」
「何言ってんだお前もだよ!」と韮沢。
「え!?」
分担表をチェックする理香。
『政策チーフ
 美山理香
 (キャッチフレーズ)』
「キャッチフレーズ?」
「有権者に訴えるキャッチフレーズを考えるんだよ!」と韮沢。
「政策じゃないんですか?」と啓太。
「政策あんのか?」と韮沢。
「いやないです。」と啓太。
「あります!」と理香。
「なくていい。」と韮沢。
「は!?」
「そんなものはお前、当選してから考えろ!」
「いや、ちょっと待って。」
「短期決戦だぞ。
 小難しい政策が有権者に浸透すると思ってんのか!」
「・・・」
「あー、なるほど。
 やった!はい。」
啓太が分厚い資料を理香に返す。
「・・・」

選挙事務所に啓太の看板が掲げられる。
『若さで政治改革!
 あさくら 啓太』
「きたーーー。」笑顔で拍手を送る理香。
スタッフにお辞儀をする啓太と母・貴江。

「若さで政治改革・・」と韮沢。
「わかりやすい方が、いいでしょう。
 短期決戦ですから。」と理香。

「啓太が選挙に出るとば信じられん。
 やっぱり、カエルの子はカエルやね。」
貴江は嬉しそうに啓太のたすきを直す。
「元気になったね。」と啓太。
「政治家の妻、30年やってきたとよ。
 選挙と聞いただけで血が滾ると!
 よーし。頑張りんしゃい!」
貴江はそう言うと、集った人に挨拶して回る。

「選挙は戦争だ。」と韮沢。
「はい?」と啓太。
「法治国家に置いて面と向かって他人を攻撃できるのは選挙しかない。
 選挙こそが、唯一法律で許された、戦争なんだ!
 外木場に勝つぞ!」
「はい!!」と返事をしたのは理香。
「おー、びっくりした。」と啓太。

「ちょっと!何それ!」理香が啓太に言う。
「はい?」
「そのまま!?」
「え・・ダメですか?」
「何それ!
 何でポスターみたいに髪セットしないの!」
「時間かかるし思いっきり引っ張られて痛いんですあれ。」
「そんなの我慢して!
 投票用紙に、モジャ倉って書かれたら無効になるのよ!」
「今モジャ倉って言いましたよね。」
「ちょっと来て!」
「どこに行くんですか?」
「いいから!!」

後援会の人々が待ちくたびれる中、理香によってきちんと髪を
セットされた啓太が登場。
「うぉーーーー!!」
人々の拍手に恥ずかしそうな啓太。

選挙カーに乗り込む啓太たち。
「それでは、あさくら啓太、行ってまいります。」
みんなの拍手に見送られ、選挙カーが走り出す。
「頑張って!啓太!」貴江がエールを送る。
選挙カーを見送ると、韮沢は事務所の中へ戻る。

「日本政友党公認候補・あさくら啓太、あさくら啓太でございます。
 ただいま、立候補の届出を済ませ、いち、早く、
 皆様に、ご挨拶とお願いに参りました。」
うぐいす嬢のひかるが挨拶する。

「上手い!」と理香。
「プロ!」と啓太。

「あさくら啓太は、志半ばで、ベトナムの空に散った父・
 あさくら誠の意志を継いで、政治の世界に飛び込みました。」

「じゃ、候補!行きましょう!」と理香。
「僕が喋るんですか!?」
「あなたの選挙でしょう!」

「それでは、あさくら候補に、マイクを渡します。」
「・・・あ、こんにちは。」
「おはようございます!」理香が訂正する。
「・・・おはようございます。」
「もっと声張って!」と理香。
「・・・政友党・・公認候補の、あさくら啓太です。」
「もったり言わない!!」
キーン、とノイズを発するマイクに道行く人が耳をふさぐ。

石見駅前に車を止め挨拶をする啓太たち。
「おはようございます!
 行ってらっしゃいませ!」
必死にあくびをこらえる啓太。

選挙カー
「若さで政治改革を、」と啓太。
「あさくら啓太は、父の意思を継いで頑張ります!」とひかる。
「沿道のお母さん!ご声援ありがとうございます!!」と理香。
「若さで政治改革を、」と啓太。
「3階からの応援、しっかりと受け止めました!」と理香。
「若さで、政治改革を、」と啓太。

サラリーマンの帰宅時間には、駅前で挨拶。
「お帰りなさいませ。
 あさくら啓太です。」
「こんばんは。あさくら啓太です!」

仕事を終えた啓太はスタッフの車で自宅に。
車を降りた啓太は、夜空を見上げてみる。
「・・・少なっ!」

「食べんしゃい、とろろ。ネバネバは精がつくけ。」と貴江。
「ずっとこんなにキツイのかな・・。」
「お父さんも、大変な思いばしてきたとよ。選挙のたんびに。」
「親父みたいには俺しっけらん。(?)」
「そげなことば言って。
 あんたは人の期待に弱いタイプ。
 結局は、一生懸命やってしまうもんね。」
「・・・」
「ほら。ウナギ食べんしゃい!」
貴江が啓太を励ます。

駅前広場で演説する啓太。
「政友党・公認候補の、あさくら啓太です。
 教育、福祉、環境の、三本柱で、頑張ります。」

「お買い物中の皆様、こんにちは。
 革進党公認候補の、外木場、清光でございます。
 元福岡県知事、外木場清光でございます。
 ありがとうございます。ご声援ありがとうございます。」

ライバルのニアミスにむっとするあさくらスタッフ。

「あさくら候補も、ご検討をお祈りいたします!
 革進党公認候補・外木場清光でございます。
 ありがとうございます!」
外木場の選挙カーが啓太たちの前を通り過ぎていく。

「余裕!」とひかる。
理香は啓太の手からマイクを奪い取る。
「外木場候補も、頑張ってくださいっ!

 んにゃろーっ!
 
 あさくら、あさくら啓太です!
 よろしくお願いいたします!!」

後援会事務所
「よし!」と韮沢。
「お疲れ様でした!」と理香たち。
「明日は7時から、大和駅前で朝立ちだ。
 しっかり寝て、体力を温存しろ。」と韮沢。
「はい。」とい啓太。
「よしみんな!明日もよろしくね!」
「はい!」
「じゃ、お送りしましょう、候補。」
「あ、今日は、一人で、大丈夫です。
 ちょっと寄りたいところがあるんで。
 じゃあ、すみません、みなさん。
 お先に失礼します。お疲れ様でした。」と啓太。
「お疲れ様でした!」
ひかるは啓太がプラネタリウムの広告を見ていたことに気づき・・。

プラネタリウムを訪れるひかる。
思ったとおり、啓太がそこにいた。
ひかるは啓太から少し離れた席に座り、彼のことを笑顔で見つめる。

近藤と電話で話す理香。
「その韮沢って選挙プランナーは信用出来るのか?」
「いけ好かない男ですけど、でもこの選挙は、なりふり構って
 いられないってよくわかっています。」
「候補者の必死さをアピールするのは正解だ。
 最後まで息切れしないように。」
「はい。あ、神林先生の明日の予定に経団連との会合が入っていた
 はずですが、会議資料は私のデスクに。」
「先生はもう目を通されたよ。」
「あ・・そうですか。
 それと、金曜日の三役会議ですが、」
「美山君!こっちは大丈夫だから、君は選挙に専念しなさい。 
 じゃ、頑張って。」
「・・・あ、はい。」
電話を切った後ため息をつく理香・・。

物音に振り返ると、韮沢が立っていた。
「いたんですか!?」
タバコをくわえる韮沢。
「禁煙です!」
「・・・あんた、財務省の官僚だったんだって?」
「・・それが?」
「官僚が議員秘書に転職する一番の理由は、
 政治家になるためのステップだ。」
「・・・だから?」
「本当は自分が立候補したかったんじゃないのか?」
「・・・ここは、あさくら候補の地盤です。」
「政治音痴の小学校教師の二世なら簡単に立候補できる。
 まあ内心あいつにむかついているんだろうが、
 選対に入っている以上は、手を抜くなよ。」
「私、そんなに器の小さい人間じゃありません。
 お疲れ様でした。」

事務所を出た理香は、複雑な表情を浮かべて歩いていく。

プラネタリウムが終わった頃、啓太は眠ってしまっていた。
そんな啓太の寝顔を携帯で撮影するひかる。
啓太が目を覚ます。
「あ、終わりましたよ。」とひかる。
「ああ・・うん!?」

「あー、良かったなー。
 君も星好きだったんだね。
 なんか嬉しいな、びっくりした。」
「星好き!?
 あ・・星、好きです。」
啓太の写真を見つめていたひかるが慌てて話を合わせる。
「後援会長の姪っ子さんだよね。」
「はい。ひかる、です!」
「ひかるちゃん。」
「この春大学卒業したんですけど、就職しないで遊んでたんで、
 手伝わされているんです。
 でもどんなおじさん候補が来るのかと思ったら、
 あさくらさん来たからびっくりしちゃいました。
 恋人、いるんですか!?」
慌てる啓太。
「いるの!?」
「いない。」
「どうして?結婚相手がいてもおかしくないのに。」
「いや、前はいたけど・・」
「何で結婚しなかったんですか?」
「いいじゃん、そんなこと。」
「気になる気になる!」
「・・親父が、政治家だったから、
 結婚式とかそういう所には、そっち関係の人を大勢呼ばなきゃ
 いけないのかなーと思ったら、なんか気が重くなっちゃって。
 ていうか・・そこまで好きじゃなかったのかな。」
「ふーん。政治家、嫌いなんですか。
 じゃあ何で立候補したの?」
「無理やりさせられたの。」
「えー、じゃあどうして頑張ってるの?
 嫌なら辞めちゃえばいいのに。」
「うん・・。いや・・アウトになるってわかってても、
 全力で走れっていつも言っちゃってるから。」
「??」
「学校で。ソフトボールの時に子どもたちに。」
「あー、アウトなんですか?この選挙。」
「アウトでしょ。」
「やるからには、当選しなきゃ。
 子どもたちも応援してくれているんでしょう?」
「全然!
 もう今から落ちて帰ってくる僕のことをからかう気満々でいるから。」
「私は頑張っちゃいますよ!!」
「いいよ頑張んなくて。」
「じゃあ・・飲みにいきますか!」
時計を確認する啓太。
「いや・・。帰って寝ます。」
「ケチ!」

選挙事務所でお昼を食べる一堂。
「あ!演説ん時少子化問題さらっと言えよ。
 日本の人口1億2千万人のうち、15才未満の子どもは1700万人。
 じゃあ、ペットの犬猫の数は何頭だと思う?」と韮沢。
「犬猫!?」と理香。
「わかりません。」と啓太。
「ペットフードの消費量から推定される数はな、
 2300万頭だ!
 ペットより子どもの方が少ねーんだよ、この国は。」
「そう!」と理香。
「知らなかった。」と啓太。
「少子化問題はこの国の最優先課題です!
 それ以上語るな。ボロが出るから。」
「へーーー。」と理香。
「さすが199勝1敗。」と啓太。
「何で1敗?」と理香。
「それは自分で聞いて下さいよ。
 何で俺に聞くんですか?」
「・・・さ、出発!」

「情勢は?」近藤が電話で聞く。
「徐々に、手ごたえを感じています!」と理香。
その時啓太は主婦たちと共にバレーボールをしていた。
「やっぱり女性受けがいいんですよ!狙い通りです!」と理香。
「そうか!
 先生も期待していらっしゃる。頼んだぞ。」
「はい!」

有権者1000人を対象にした電話調査の最新の結果が出る。
外木場、40%。
啓太、29%。
「差が縮まった!」と理香。
「うぉーーっ!!」
「よし。下手に喋らせないでスキンシップ作戦で絞り込め。」と韮沢。
「はい!!」と理香。
「朝倉起きろ!」
「はい!」ソファーで寝ていた啓太が飛び起きる。
「いいか。選挙戦はマラソンと同じだ。
 ぶっ倒れんのはゴールのあとに!
 それまでは!!全力で走るんだ!」
「はい。」
「行け!!」
ドアの前で立ち往生する啓太。
「引けーっ!」

「あと1週間!絶対逆転してやる!!
 行ってきます!!」と理香。

商店街を挨拶に回る啓太たち。
「候補!こちらの方に握手!」と理香。
「どうも。あさくら啓太です。」
「頑張りんしゃいよ。」
「ありがとうございます!」
「候補!こちらも!走って!」
「ども。あさくら啓太です。」
「私ファンやけん!」
「僕も、お母さんのファンです。」
主婦はその言葉に大喜び。

「言うじゃない。」と理香。
「いや、勝手に口が!」

選挙事務所
「やっと候補者らしくなってきたな。」と韮沢。
「韮沢さんの言う通りに動いているだけです。」と啓太。
「選挙が終われば俺は消えてやるよ。」
「・・なんで、選挙プランナーになったんですか?」
「・・・」
「いや、ちょっと、聞いてみただけです。」
「この国で、4年間にどれだけの選挙があるか知ってるか?」
「いいえ。」
「国政選挙地方選挙合わせて、3700から3800だ。」
「3800!?」
「こんな食いっぱぐれのねー商売ないだろ。」
「で、日本中、飛び回ってるんですか?」
「がんがんマイル溜まるねー。」
「ご家族は?」
「・・くだらないこと聞くな。」
「・・・
 あ、あの、どこかで、ビールでも飲みませんか?」
「お前の当選が決まるまで俺は酒飲まないんだ。」
「・・・じゃあ僕が落選したらずーっとビール飲めないんですね。」
「・・・」
「・・・」
「ちょっと来い。」
「は?」
「来いよ。」
「・・え・・何・・え!?」
殴られる覚悟の啓太。

車に向かった韮沢は、後部座席からあるものを取り出す。
「滅多に人には見せないんだぞ。」そう言いそれを啓太に渡す。
それは・・・韮沢が25歳の時に無所属で立候補したときの写真だった。
「え!?」
「俺が唯一負けた最初の選挙だよ。」
「韮沢さんが!?」
「市議会議員29議席のところ、30人が立候補してな。
 負けるわけがないと思った。
 だが・・考えてみれば当然だよ。
 俺の選挙を手伝ってくれたのは、たったの5人だった。」
「・・・」
「しかしお前には、何十人もの選対スタッフがいる。
 後援会もあって、党の本部も応援してくれている。」
「みんな親父の支援者です。」
「・・選挙に出たくても出られない人間が山ほどいるんだぞ。
 神輿に乗れるっていうのはそれだけで選ばれた人間なんだ。」
「僕は政治なんて出来ませんよ。」
「どうしてわかるんだ。」
「田舎の学校で星を眺めて暮らすのが一番性に合ってるんです、僕は。」
「どうして決め付けるんだろうな!
 たまには黙って人の薦めに乗ってみろ。
 やってみりゃ出来るかもしれないじゃないか。
 自分には気づかない凄い能力があるかもしれない。」
「おだてはいいです。ちゃんとやりますよ、それでみんなが納得
 してくれるんなら最後まで。
 ・・おやすみなさい。」
「・・・」
「あの、選挙がそんなに好きだったら自分で出たらどうですか?
 本当ななりたいんじゃないですか?政治家に。」
「・・俺は裏でサポートする方が向いているんだ。」
「自分だって決め付けているじゃないですか。」
「・・・」
「・・・本当におやすみなさい。」
韮沢は一人タバコをふかし・・。

選挙の前日、最後の街頭演説に挑むことになったとき、
啓太の父、誠の過去の不正が新聞紙上に躍る。
対立候補の戦略だった。
『朝倉誠1億円不正利益』
「大同商事疑惑って・・。」と理香。
「この会社が未公開株で政治家に利益供与したって事件だ。」
「あんなの・・20年近く前の話でしょう!?
 それに、確かな証拠もなくて誰も起訴されなかったじゃない。」と理香。
「それが、今ごろになって蒸し返してきたったい!」
「この北九州タイムズは、元々外木場のシンパったい!」
「絶対あの人たちが書かせたんですよ!」とひかる。
「朝倉先生が1億円貰ってるって嘘ばっか!」
「俺たちに反論する時間を与えないよう、投票日直前に出して
 きたんだよ!」と韮沢。
「信じられない!こんなデタラメでっち上げて・・。」と理香。

東京
その新聞を目にする神林。
「しゃれになりませんよ。 
 この事件に関わった先生方、きっと慌ててますよ。」と近藤。
「しかしこれで、選挙は厳しくなった。」と神林。

家に戻った啓太は、貴江に聞いてみる。
「見たやろ、あの記事。」
「・・・」黙って食器を洗い続ける貴江。
「何で何も言わんと?」
「・・・」
「・・・」

翌日
啓太の登場を待つ人々の表情には不信感が満ちていた。

車の中
「あの記事は嘘だって、きっぱり否定して。」と理香。
「親父さんの名誉を守ってやれるのはお前しかいないんだぞ。」と韮沢。
「・・・」

時間になり、啓太が人々の前に立つ。
「政友党公認候補の、あさくら啓太です。
 ・・・こうやって、みなさんの前に立たせていただくのも、
 今日が、最後になりました。」
「親父のことば釈明せんか!」

「外木場陣営の人間だ。」と韮沢。

「はよう釈明ばせんか!!」
「・・・昨日、父である、朝倉誠に関する記事が出ました。
 18年前、父が大同商事から、不正な利益供与を受けたという内容です。
 ・・・僕は・・・僕はこの疑惑を、否定することは出来ません。」
人々がどよめく。
「父が金を受け取ったのは・・・本当だろうと、思います。」

「認めるのか!?」「お前の親父は俺らを裏切ったとや!」

「朝倉先生はそげな人じゃなか!」
「道路や病院ば作ってくれたとうが、あの先生でしょうが!」
スタッフが怒る。

「その裏で、私腹ば肥やしとっただろうが!」
「今息子が認めたやなかか!」

「やめさせて!
 マイクのスイッチ切って!」と理香。
「まだ話は終わってない!!」と啓太。
「・・・」
「すみません。」
啓太は理香に謝ると、話を続ける。
「18年前、父の疑惑が報道されたときのことを、
 僕ははっきりと覚えています。
 新聞に書かれている父の名前を見て、僕は尋ねました。
 これは本当かと。
 でも父は、何も答えてくれませんでした。
 ただ一言、政治には金が掛かるんだと、
 僕の目を見ずに・・・
 あの時から僕は政治が嫌いになったんです。
 だからここ、福岡を飛び出して、長野で、小学校の教師を・・。
 ・・・父には、応援してくれる人が沢山いました。
 そんな人たちは、父の不正を許してくれるかもしれません。
 奇麗事で政治なんか出来ない。
 いいことをするために、仕方なく不正に手を染めることだって
 あるじゃないかと。
 だから自分は、朝倉誠を責めない。
 でも僕は・・・世の中に、必要な悪があるなんて
 子どもたちに教えたくはありません!!
 ・・・実は、ずっと立候補したことを、後悔していました。
 でも今初めて、選挙に出てよかったと思います。
 こうやってみなさんに、謝る機会を頂いたので。
 父が皆さんを裏切ったことを、僕は息子として、謝ります。
 本当に申し訳ございませんでした。」
そう言い深く頭を下げる啓太・・・。
その様子に人々は静まり返り・・・。

選挙事務所
「神林先生にどう報告すればいいの・・」頭を抱える理香。
「確かにとんでもない演説だったな。
 選挙史に残るぜ。」と韮沢。
「冗談やめて!あれで負けが決まったのよ。」
「ならどうして止めなかった。」
「止めようとしたじゃない。」
「無理やりやめさせようと思えば出来たろ?
 だがあんたは、そうしなかった。」
「何が言いたいの?」
「俺初めて見たね。
 あんなに素直に頭を下げる人間を。
 あんたもそう思ったんじゃないのか?」
「・・・」

ニュースを付けると、外木場が啓太を批判している様子が流れる。
「あの候補者は、父親の意志を継ぐと言っています。
 しかしそれは、父親の汚れた政治を引き継ぐという意味なのです!」
続いて、啓太の影像が流れる。
「僕は、この疑惑を、否定することは出来ません。
 父が金を受け取ったのは、本当だろうと、思います。」
「なんと、父・誠氏の不正を認めたのです。」とアナウンサー。

「何で、この影像が!?」と理香。
「俺がビデオを送ったんだ。」
「え!?」
「まさかあいつが朝一の演説でマイクを置くとは誰も思ってなかったからな。
 あん時はまだ、どこの局も来てなかった。」
「どうしてそんなことしたの!?」

町の人々は、テレビから流れる啓太の演説に釘付けとなる。

そして、開票日。
朝倉、7500。
外木場、15000。

朝倉、25500。
外木場、40000。

対立候補に大きく票差を開けられていく啓太。

その頃啓太は、自宅で長野に帰る準備をしていた。
「親父のこと・・あげん言うてごめん。」母親に謝る啓太。
「ううん。あんたは、よう戦った。」
「・・・」

朝倉、59000。
外木場、70500。

差が縮まった!
「焼け石に水よ!」と理香。

朝倉、81300。
外木場、88000。
「また縮まった!」
「きたーーっ!」と韮沢。
「来ない!ここまでよ!」と理香。

朝倉、114500。
外木場、119400。
「よーし!いけー!」と韮沢。
「無理!絶対無理!!」と理香。

貴江は必死に祈り続け、
東京では神林らがインターネットで結果を見守り・・。

ようやくその差が縮まり、選対本部が盛り上がる中、
ニュース速報で、外木場の当選確実が告げられる。

やってきた啓太は、自分を応援してくれた人々に謝る。
「あの・・・すいませんでした、みなさん。」
「仕方なか。」「これが選挙たい。」
「・・すみませんでした。」
「1986年、メキシコワールドカップ。
 マラドーナは奇跡の5人抜きをした。
 あの競技場がどこだか知っているか?」と韮沢。
「・・・」
「メキシコシティー。アステカスタジアムだ。
 収容人数は世界最大の、11万4465人。
 甲子園球場の倍以上だ。
 それより多い人間が、投票用紙に、お前の名前を書いたんだ。」
「・・・」
「お前に期待した人間が、それだけいたんだ。」
「・・・」
「でも負けは負けよ。
 本当はほっとしているんでしょう。
 義務は果たしたって。」と理香。
「・・・僕のことはもう、忘れて下さい。
 そもそも僕みたいな人間が、政治家になったって。」

と、その時、ニュース番組で速報テロップの修正が報道された。
「全ての開票が終わりまして、あさくら啓太、12万7312票。
 外木場清光、12万7148票。
 わずか、164票差で、あさくら候補の当選が決まりました。」
「え!?」と理香。
「え!?」とひかる。
「・・・うそ。」「うそ!」「うそ!!」「うそだろ!!」と韮沢。
「・・はい!?」と啓太。
「・・・よっしゃーーーっ!!」
なんと、僅差で啓太が当選していたのだ。
静まり返っていた選対本部は沸き返る。
思わず胃を抑えて座り込む啓太。

「逆転勝利か。おめでとう。」と神林。
「神林先生!ありがとうございます!!
 はい!ありがとうございます!!」と理香。

後援会の人々の万歳三唱に戸惑いながらも
「万歳ー!」と叫ぶ啓太。

翌朝、二日酔いの頭でテレビを見てみると、
長野の小学校の生徒たちが啓太の当選を喜んでいてくれていた。
「がんばれ!もじゃ倉先生!!」

「こりゃあもうあんた、子どもたちを裏切るわけにはいかんね。
 こげん喜んでおるんやけ。
 気合ば入れて、東京に行かんと!」
貴江が嬉しそうに言う。
「東京・・・。」
大きなため意気をつく啓太。

東京
車を運転する啓太。
「相変わらずでっかいビルばっかりだな・・。
 あ!!」
啓太は車を降りると、目の前に聳え立つ国会議事堂を見つめ、
また一つため息。

「そこ!車停めないで!」
警官に怒られ、啓太は「ごめんなさい」と謝りながら
慌てて車を出す。


※一部公式HPあらすじを引用しました。


やーーっと始まりましたね!
これで本当にやっと、4月期ドラマが揃いました。
思ったとおり、楽しめそうな作品に仕上がっていました。

元県知事の外木場、わずかの票差で勝ってしまった啓太。
多分啓太は、自分なんかが勝てるはずないと思い、
引き受けたんでしょうね。
でもこの選挙活動中に、彼の奥底に眠っていた政治家のDNAが
目を覚ましたような場面がいくつかありました。
韮沢が言うように、「自分には気づかない凄い能力」を
彼は持っているんでしょうね。
でなければ、総理になんてなれないか!(笑)
子どもにまでからかわれるような啓太が、どのように
政治家として目覚めていくのか、楽しみです。

出来る女、理香。演じている深津さんが可愛らしい!
理香は闘志溢れる女性。
本当は自分が政治家になりたいと思っているんですね。

なりたくないのに政治家になった啓太。
なりたいのに政治家になれない理香、そして韮沢。

阿部さんのあの勢いに、『ドラゴン桜』を思い出しました。
カリスマ選挙プランナーな韮沢も、本当は落選の傷を引きずって
いるのかな。
啓太の影響を受けて、彼も、理香も、政治家に!?

それぞれ、役にハマっていていい感じです。



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キャスト

木村拓哉 … 朝倉啓太
深津絵里 … 美山理香
寺尾 聰 … 神林正一
加藤ローサ … 宮本ひかる
堀内敬子 … 月丘瑠美子
   ○
風間杜夫 … 近藤光輝   首席秘書
   ○
伊東四朗 … 鵜飼武彦   内閣総理大臣
(特別出演)
   ○
中村敦夫 … 小野田朝雄  幹事長
神山 繁 … 二瓶 栄   二瓶派会長
大林丈史 … 垣内達彦   外務大臣

森重()秘書
月岡()女医
朝倉昌也()啓太の兄
   ○
富司純子 … 朝倉貴江
阿部 寛 … 韮沢勝利


スタッフ
■演出
 澤田鎌作
■プロデュース
 後藤博幸
 清水一幸
■アソシエイトプロデュース
 石原 隆
■音楽
 延近輝之
■制作
 フジテレビドラマ制作センター
■制作著作
 フジテレビ


木村拓哉さんの主な出演作品



深津絵里さんの主な出演作品


21:35 | CM(2) | TB(9) | CHANGE | Edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちーずさんこんばんは、議員の父親と跡継ぎの長男が事故で他界するところから始まったドラマ、初回は人物紹介が主だったけれど視聴率は高いですね〜

啓太が父親の不正を嫌って長野の小学校教師になったのに母親が祭り上げられると知って候補に挙がったのは、父親の選挙の辛さを知っていたからかな?母親はもちろん父親や兄にも愛情は持っているみたいですね!

彼の信念が子供に嘘をつけない、政治の為の必要悪など要らないなので政治に興味のない人間が変わっていくストーリーは面白くなりそうです!

最終演説で父親を批判して涙を誘っての当選はチープでしたが、相手候補の当選確実のテレビの誤報道は以外でした、選挙違反の発覚で次選繰上げだと考えていたので〜

脇の役者さんが豪華ですね!美山理香は一癖ありそうな官僚上がりだし阿部さん演じる韮沢も立候補経験があるけれど選挙プランナーのほうが儲かると言いながら啓太の政策参謀になりそうなので『ドラゴン桜』のようなパターンも期待できます!

今の国会を思い切り風刺した作品になることに期待します!
Posted by けた at 2008年05月13日 21:57
ちーずさん、こんにちは。
待ちに待った、わけではないけど待たされた感じがあっただけに初回はどうしても期待しましたね。
出演者が豪華ですが、「華麗なる一族」ではキムタクも豪華出演者のうちの一人という感じだったのに比べ、今回のドラマは明らかにキムタクドラマですね。キムタクは相変わらずキムタクにしか見えない。そして深津絵里は深津絵里を演じ阿部寛は阿部寛を演じているような気がします。これからそれぞれがその役柄に見えるようになればいいなと思います。
けたさんは高視聴率と認識されてますが、待たせたわりに「ごくせん」や「篤姫」に負けてしまったのは誤算だったんじゃないでしょうか?このドラマが視聴率至上主義なのは間違いないと思うので、このまま引き下がるとは思えません。なりふり構わずテコ入れしてくるんじゃないかな?いったいどんな手を打ってくるのか、かえって楽しみです。
これから政治が舞台になってくるのも楽しみです。
Posted by マンデリン at 2008年05月14日 07:11
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Tracked: 2008-05-14 00:08

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Tracked: 2008-05-14 03:30

CHANGE 第1話
Excerpt: 世の中に必要な悪があるなんて、子どもたちには教えたくはありません!<br />父がみんなさんを裏切ったことを、僕は息子として謝ります。<br />本当に申し訳ございませんでした!!!こんなに素直に謝られたら<br />返す言葉がないっち..
Weblog: アンナdiary
Tracked: 2008-05-14 10:14

フジテレビ「CHANGE(新番組)」第1話:小学校教師が日本を変える!? 政治の素人が最年少総理大臣に!!
Excerpt: 脚本と演出とキャスティングと演技がうまく噛み合った文句なしのおもしろさでしたが、一番の功労者は、いい意味で主役を喰うほどの存在感を見せた阿部寛にあったと思います。
Weblog: 伊達でございます!
Tracked: 2008-05-14 16:16
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