2008年05月19日

トップセールス 第6回

『転機』

1981年2月
橋本が所長に就任し、谷口がマネージャーとなることが決まる。
所長代行を務めてきた柴田は、アメリカに行くことが決まったらしい。
久子は相変わらず好調に車を売り続け、
暮れも正月も働きづめでいた。

「あんまり無理すんな。 
 所長代行としてではなく、昔なじみとして言っている。」と柴田。
「無理なんかしてないよ。
 それより、大変ね、アメリカに赴任なんて。」
「うん。」
「どれ位行ってるの?」
「4、5年かな。」
「そんなに?
 やっと去年高村君が帰って来たと思ったのに。」
「・・・なあ。お前こそ、大丈夫か?」
「え?」
「ここで働き続けるの、つらいんじゃないの?」
「・・・ここがあるから大丈夫なの。
 この営業者があるから。」
「槙野・・。」バー
「来年から、インディアナの工場も本格的に動きだすことになった。
 俺も販売計画の担当者として、暫く向こうに行くことになった。」
柴田が高村(大沢健)に言う。
「そうか。
 ミヤケ自動車も、いよいよアメリカでの現地生産に
 力を入れるわけだな。
 ・・・気をつけろよ。
 日本車進出のあおりで、ビッグ3の工場は閉鎖が続いてる。
 解雇された連中の中には、日本人に恨みを持つやつもいる。」
「用心するよ。」
「・・槙野はどうしてる?」
「・・・かなり、参ってる。」
「え?」
「岡野所長は、あいつにとっちゃかけがえのない存在だったんだ。」
 ・・なあ。お前に、頼みがある。
 あいつを、助けてやってくれないか?
 誰かが支えてあげないとあいつ・・
「5年前、俺は槙野に頼んだよ。
 シカゴに一緒に行ってくれとな。
 俺の身にもなってみなよ。」
「・・・」

夜、事務所で岡野のノートを広げ一人涙する久子。

柴田家
「パパ行ってきます!」
「あれ?出かけるの?」柴田が妻・真理子に聞く。
「人形教室。
 ごめんね、たまの休みなのに。」
「そっかー。な、ちょっといいか?」
「え?」
「俺はね、これがいいと思うんだけど。」
「え?」
「向こうでさ、環境のいいところいくつか探してもらったんだけど、
 これかなって。
 そこだと、香が学校に行くようになってからも、
 車ですぐだし。
 うちにいるのは、俺よりも、お前と、香だろ?
 だから二人が気に入る家がいいかなと思ってさ。
 な、香。」
「・・・一緒に行かなきゃダメかな。」
「うん?」
「前に話したでしょう?人形。物になりそうだって言われてるの。
 今度の展示会で認められたら。」
「アメリカで続ければいいじゃないか。」
「今勉強中なのよ?
 ここで日本を離れたら、途中で諦めることになっちゃう。」
「・・・」
「あなた知ってる?
 香にだって、仲吉野尾友達がいるのよ。ねー!」
「・・・」
「別れさせるの、可哀想よ。
 日本に戻ってきたとき、馴染めなくて繰ろうするかもしれないし。」
「日本に・・残りたいのか?」
「急にどうしたの?今までほったらかしだったのに。
 私達が一緒に行くこと、当たり前だと思ってる?」
「・・一緒に行くのは、嫌か。」

香と出かけていく真理子。
「香とママは、ここに残ろうか。」
「どうして?」
「パパ・・心から言ってるわけじゃないから。
 本当に一緒に行きたかったら、絶対についてこいって言うよね。
 無理にでも来い、連れていく、
 そう言うよね・・。」

「3月の末、柴田君は、単身、アメリカに赴任していったのです。」

1981年4月
幸田留美子という女性が営業所に入社する。
ミヤケカーコンパニオン。
営業所に一人か二人置き、店頭専門でセールスをするのが
彼女の仕事だ。
「一人だけいい制服着ちゃってさ!」不満気な晴美。

そんなある日、高村が営業所を訪ねてくる。
「結局、柴田は単身赴任だってな・・。」
「うん。真理子、どうして一緒に行かなかったんだろう。」
そこへ、留美子が書類を持ってくる。
「しっかりしてるな、彼女。」と高村。
「4年制の女子大出ているだけあって、これがなかなか仕事できるのよ。
 入社半月でもう車売ったのよ!」
「すごいな。」
「私なんか最初の1台売るのに3ヶ月かかったのに。
 あーあ、負けてるなー。」
「あの頃と今じゃ状況が違うだろ?」
「そりゃそうだけど。
 ね、どういう風の吹き回し?
 高村君が車買いに来るなんて。」
「少し、余裕が出来たから、槙野の営業成績に
 貢献してやろうと思ってね。」
「助かります!
 若いもんには負けられませんから、先輩営業マンとしては。」

セールスマンたちが営業所に戻ってくる。
「やっぱり影響力が違うわ。」と久子。
「え?」
「彼女にいいところ見せようと思って、張り切っちゃってるの!」
「なるほど!それが会社の狙いだな。」
「まんまと上の思惑に乗せられて。
 ま、お陰で営業所が、活気ついたけどね。」

「けれど、それはやがて、思わぬ事件の火種となったのです。」

細谷OA機器
谷口は留美子を連れて挨拶に行く。
「カーコンパニオンか。」と専務・細谷。
「これからは売るほうも、女性の感覚を大事にしないと。」と谷口。
「男性客も増えるんじゃないの?
 こんな素敵な女性がカウンターにいて。」
「そうだといいんですけど。」と留美子。
「御社の、営業車入れ替えの件、幸田にアシスタントをやらせます。
 不慣れでご迷惑をおかけするかもしれませんが、
 よろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いいたします。」
細谷はじっと留美子を見つめ・・。

営業所
「入社1ヶ月で3台か・・。」
「可愛い顔して凄腕だなー。」
男性セールスマンたちが成績表を見て感心する。
「邪魔!そこどいて下さい!」と不機嫌な晴美。
「期限悪いな、晴美ちゃん。」と佐々木。
「ルミちゃん、谷口さんと出かけたから。」と森。
晴美が二人をきっと睨みつける。
「でも、珍しいなー。谷口、1桁どまりかー。」
4月の販売台数1位は槙野で11台。
2位は谷口で9台。
3位は佐々木で8台。
「幸田さんに肩入れしているせいじゃないですか?」
「そうだな。」
「マネージャーの仕事ほっぽらかして留美子ちゃんにベターっと
 取り持ちみたいに。あれでは売れねー。」
「仕事一筋で来た人ほど、のぼせると深みにはまるって言うからね。」と藤山。
「やってられねーわ。俺帰りまーす。」と森。
「お疲れ様。」
社員たちの会話に複雑な表情を浮かべる晴美・・。

バーで話す谷口と留美子。
「細谷さんってすごいですよね!あの若さで専務だなんて。」
「社長のご子息だからね。
 いずれ会社も継ぐだろうし。」
「サガンの小説で、キャフェにカシス入りの白ワインを
 飲みにいくっていう場面があるんですけど、
 すごくお洒落な感じがしたんですよねー。
 高校の頃夢中で読んだなー。」
「本好きなの?」
「フランス文学とか、フランス映画とかが好きです。
 英語は、トリュフォーかな。
 谷口さんお好きですか?トリュフォーの映画。」
「う・うん・・そうだな。
 あ、今度の契約だけど、上手く取れたら、何台か君の成績に
 つけるよ。」
「本当ですか!?嬉しい!」
谷口にしなだれかかる留美子。

営業所
晴美が戻ってきた谷口を呼び出す。
「何?話って。俺これから日報を読むんだけど。」
「幸田さん・・店頭専門ですよね。」
「は?」
「細谷OA機器の仕事、アシスタントに付けるのは
 おかしくないですか?」
「・・・別に・・実務教育の一環だよ。
 大体なんで君にそんなこと言われなきゃならない。
 営業の口を挟むな。」
「谷口さんらしくないです!」
「え?」
「谷口さん・・誰よりも仕事には厳しいじゃないですか。
 ずっとトップセールスの座を守ってきたのに。」
「・・・」
「幸田さんに振り回されて、4月の売り上げ、一桁どまりじゃないですか!
 みんな噂してます。
 谷口さん、すっかり骨抜きにされてるって。」
「その噂君が流してるんじゃないのか!?
 ずっと槙野を敵視してきて、今度は若い女に嫉妬か?」
「・・・」
事務所に戻ろうとした谷口は、そこに久子の姿に気づき、
外へ出ていく。

「・・・私辞める。」と晴美。
「え?」
「何もいいことないもん。
 辞めるこんなとこ!」
「晴美さん・・。」

1981年5月 インディアナポリス
「工場が動き出す前に、こっちの客のニーズを、
 しっかり掴んでおいてくれ。」
上司にそう言われる柴田。

テレビでは、日本車が労働者によって破壊される影像が流される。
「またやってるぞ・・。」と柴田の上司。
「デトロイトですね。」
「政府としては、輸出の台数を規制することで、合意したと言っても・・。」
「現場の労働者の感情は、また別なんですね・・。」
「・・・柴田君、明日からデトロイトの視察だったよな。
 気をつけていってこいよ。」
「はい。」
「案内は、山川君に頼んである。
 彼、デトロイト生まれの日系二世。
 町の事情に詳しいから。」
「柴田です。よろしくお願いします。」
「山川です。お任せ下さい、柴田部長。」
「奥さん、いつこっちに来るんだ?」と上司。
「・・・」
「早いとこ来てもらえよ。」
「家内は、子どもと日本で。」
「ずっと単身赴任のつもりか?」
「ええ。そのつもりですが。」
「敵地で孤軍奮闘じゃ、身が持たんぞ。
 支えになるのは結局のところ家族だ。
 悪いことは言わん。早く来てもらえ。」
「・・・」

「デトロイトには、不況の嵐が吹き荒れていました。
 工場の閉鎖が相次ぎ、多くの労働者が職を失い、
 売れの追った車は、どざらしとなっていたのです。
 かつての、自動車の都は、自動車の墓場と、化していたのです。」


デトロイトのバー
「驚きましたか?デトロイトを見て。」と山川。
「想像以上でした。」と柴田。
「工場が閉鎖された地区は、いまやゴーストタウンですよ。」
「世界有数の自動車工場が・・まるで廃墟だ。」
「遅くならないうちにホテルに戻りましょう。
 私、車を回してきます。」
「お願いします。」

酔った客が店にやって来て、柴田を指差しヒソヒソ話している。
『お前、日本人か?』
『YES。』
男たちが柴田に殴りかかる。
「何すんだよ!」殴り返す柴田。
店員は必死に止めるが、柴田は男らに羽交い絞めにされ・・。

ホテル
「山川です!大丈夫ですか?」
「まあ・・」
「申し訳ありません。あんな場所であなたを一人にした
 私がうかつでした。
 柴田さんを襲ったの、自動車工場を解雇された連中だそうです。
 みな、殺気だっているんです。
 この辺りでは、三人に一人が仕事をなくしていて。」
「だから、こっちに生産工場を作って、現地の人を雇おうと
 しているんじゃありませんか。
 大体ね、こっちの人は業績の低迷を日本のせいにするが、
 原因はそれだけじゃないんだ。
 経営判断のミスや、努力不足のせいでもあるんです。」
「・・・」
「日本は努力をする。
 ネジ一本に至るまで厳しくコスト管理をして、
 血の滲むような努力を重ねて、
 安くて性能のいい車を作ってきたんだ。
 なのに・・逆恨みもいいとこだ!」
「・・・私の父も、解雇されました。」
「・・・」
「30年、真面目に働き続けて、何の落ち度もなく・・
 クビを言い渡されました。
 日本人は、みな言います。
 日本車が売れるのは性能がいいからだ。
 日本人が頑張ってきた結果だ。
 ・・そのとおりです。間違ってない。
 でもそれ・・勝った人の理屈です。
 ・・・クビになれば、明日から暮らしが立たない。
 彼らは日本の車に、未来を奪われている。
 それがこおの現実なんです。」
「・・・」

山川が帰ったあと、一人酒を飲みながら考え込む柴田。
そこへ、部屋の電話が鳴る。
「ハロー。」
「さっき会社から電話があったの。
 怪我はどう?大丈夫?」真理子からだ。
「ああ・・平気だ。
 たいしたことないんだ。ちょっと頭を打っただけだ。」
「ちゃんと検査しなきゃダメよ。」
「うん。
 ・・・あのさ、真理子。」
「怖い町だねー。デトロイトって。
 怪我も心配だし、私なるべく早くそっちに行くから。」
「うん。・・あいや、来なくていい。」
「え?」
「それ程の、怪我じゃないし。
 やっぱり、こっちは危ない。
 日本でもさ、日本車が叩き壊されるニュースが流れているだろう?
 何かあったら困るし。
 来なくていいよ。心配だから。」
「勝手なこと言わないで!
 自分が心配しなくてすめばそれでいいの!?
 私が平気でいると思うの?
 心配していないと思うの!?
 離れて暮らしてて、そっちの様子がわからないで、
 怪我したって聞いた時・・どんな気持ちがしたと思う!?」
「・・・真理子。」
「ねえ、言ってよ!」
「え?」
「すぐに来いって言って!
 そばにいろって言って!」
「・・・」
長い沈黙のあと、柴田は言う。
「来てくれ、真理子。
 側にいて欲しい。」

長い間がありました。
この時の柴田の表情には、感謝と、決心のようなものが見えました。
この家族はやっと大丈夫になったような気がします。


営業所
カウンターに座りながらウォークマンから流れる松田聖子を口ずさみ、
雑誌をパラパラとめくる留美子。
「幸田さん!仕事中よ。」久子が注意する。
「はい?」
「ヘッドフォン!ヘッドフォン外しなさい!」
「はい。」
「仕事中に音楽聞くのはやめてね。」
「でも、お客さんいないと暇なんです。」
「そういう問題じゃないでしょ。」
「はい。すみませんでした。」
「うん。
 あ、お客様からお電話があって、不具合があるから、
 車取りに来て欲しいって。」
「あーそれ、整備の人に言ってもらって下さい。
 私、外回りはしませんから。」
「・・・でも幸田さんのお客様よ。」
「・・・」
「車のセールスはね、売った後が大事なの。
 私、前の所長に何度も言われた。
 売って1年、お客様はお前を見てる。
 ちゃんと対応すれば、次も必ずお前を指名してくださる。」
「次って・・5年くらい先のことですよね。」
「ええ。」
「私5年もいませんよ。
 若くないと、商品価値ありませんから。コンパニオンは。」
「商品価値?」
「会社だって、2年か3年で辞めると思ってるから、
 私達を安心して雇うわけでしょ?
 企業が考えてる、女子の戦力化なんて、その程度のものですよ。」
「幸田さん、車売りたくてうちに来たのよね?」
「はい。車は好きですよ。」
「だったら、」
「それに、一応名前の通った会社だし。
 制服も可愛いし!
 売り上げ上がれば、普通の自分よりもお給料もいいし。
 でも、私槙野さんみたいな営業、やりたくないんですよね。」
「え・・」
「休み無しに働いて、結婚できないなんて。
 なんか嫌なんですよね、そういうの。
 寂しい女の、一人旅、みたい?」
「・・・」

そこへ藤山がやって来た。
「槙野さん、電話。高村さんって人から。」
「・・・」
「あれ??どうかした!?」
藤山を見つめて泣きそうになる久子。

留美子という新人類に、久子、ノックアウトされちゃいました。

柴田家に集る久子、高村、大森。
「本当言うと心配してたんだよ。
 このまま、柴田は単身赴任かって。」と高村。
「今回のことがなかったら、私、向こうには行ってなかったと思う。」
「え?」と久子。
「電話で話しているときにね、私は今、この人を支えてあげなきゃ
 いけないんだって、そう思ったの。」
真理子の決心に複雑ながらも笑顔を浮かべる大森。

帰り道
「柴田のところも、これで一安心だな。 
 お前、本当は少し残念なんじゃないか?」と高村。
「バカ言え。」と大森。
「いいやつだよ、吾郎は。」
「・・そうでもないさ。
 でも敵わないだろ。
 側にいて欲しいなんて、柴田に言われちまっちゃさ。」
「・・・
 飲みなおすか!」

柴田家
食器を片づける真理子と久子。
「向こうの家、台所広いんでしょう?」と久子。
「うん。オーブンとか食器洗い機もついてるみたい。」
「憧れたなー。アメリカのホームドラマに出てくるような家。
 庭とベランダがあって、広くて明るくて。」
「その家に、私と香だけだったら、寂しいでしょう?」
「え?」
「ホームドラマみたいな家に、二人だけで取り残されたら・・
 寂しすぎるじゃない。」
「真理子・・」
「そうなるのが怖かったの。」
「・・・私ね、今日、若い女子社員から、
 槙野さんみたいになりたくないって言われちゃった。」
「なんで?」
「結婚しないで、働き続けるなんて、寂しい女の一人旅だって。」
「酷いこと言うのね!」
「グサっとやられました。
 真理子・・寂しいっていうのは、一人旅につく言葉だよ。
 真理子は違うじゃない。」
「・・・」
「・・・私ね、本当は、一緒に歩きたいと思った人、いたのよ。」
「え・・」
「すごく尊敬してた。
 ずっと一緒にいられると思ってた。」
岡野所長のことを思い浮かべる久子。
「・・・でもね、・・・亡くなったの、その人。」
「・・・」
「亡くなったの・・。」
「つらかったね・・。」
真理子に抱きしめられ涙する久子だった・・。

1981年6月 営業所
谷口は細谷専務が留美子に寄り添っている姿を見つけ、
慌てて二人の元に駆けつける。
「何してるんですか!こういうことは困ります!
 君は中に入ってろ。」留美子を助けたつもりの谷口。
だが留美子はすぐに谷口の背後へ。
「別に構わないでしょう?
 コンパニオンと客がプライベートで付き合っていても。」と細谷。
「付き合う・・」
「谷口さん、やっぱり留美子にのぼせてるのか?
 彼女、迫られて迷惑しているんですよ。」
「・・・どういうことだ。」
「だって、・・何か、勘違いしていませんか?
 私は、谷口さんに、特別な感情は、ありません。」と留美子。
「・・・」
「君、結婚まで考えているらしいけど、
 それはあり得ないでしょう。
 彼女クラスの子が、たかが車のセールスマンと結婚するわけがない。」
その言葉に谷口は細谷を睨みつける。
「もう少し世間体のいい、マシな職業の男を選びますよ。」
「マシって何だ!
 たかがセールスマンって何だ!」谷口が細谷に掴みかかる。
「放して下さい!」と留美子。
「バカにするな!」
「放せ!」

営業所のスタッフたちが飛び出してきて、二人を止める。
「何がいけないんですか?
 私はただ・・細谷さんを選んだだけです。」
留美子の言葉に谷口は悔しそうに唇を噛み締める。
晴美は心配そうに谷口を見つめ・・。

「2日後、所長が、ミヤケモータース本社に
 呼び出されました。
 クレームが、社長の耳にまで届いたのです。」


本社から戻った橋本所長がみんなに報告する。
「マネージャーの職を、解かれることになりました。」
「降格か・・」と佐々木。
「クビになるよりマシかね・・。」と藤山。
「俺だって殴りたくなりますよ!
 セールスをミジメな仕事みたいに言われたら!」と森。
「人一倍この仕事に誇りを持っているからな。谷口は。」と佐々木。

谷口が別室から出て来た。
「私はクビですか?降格ですか?」
「降格です。
 わかりました。
 お手数をお掛けして、申し訳ありませんでした。」
谷口はそう言い、日報と辞表を所長に差し出す。
「顧客情報は整理してあります。
 引継ぎ、よろしくお願いします。」
「谷口君・・なにもこんな・・」
「こういう噂はすぐに広まりますから。」
「・・・」
谷口は一礼し、社を去ろうとする。
「待って下さい!
 谷口さんがいなくなったらこの営業所は誰が支えていくんですか!?」と久子。
「槙野がいるだろう。
 岡野所長は、ここを君に託していったんだ。」
「谷口さん!!」
「何なの・・カッコつけちゃって。」と晴美。
谷口が立ち止まる。
「辞めてどうするつもりですか!?」
「・・・」
「車売る以外、出来ることあるんですか!?」
「・・・」
「しがみついて下さいよ!
 車売るの好きなんでしょう!?
 それしかないんでしょう!?
 やり直せばいいじゃないですか。
 もう1度ここで。
 みんなだってきっとわかってくれてますよ。」
「人の気持ちのわからない女だな。
 俺は同情されるのも、見下されるのも御免だ。
 やったことは責任を取る。
 君に指図される覚えはない!」
谷口はそう言い営業所を出ていく。
晴美は目に涙を溜めて出ていく谷口を見つめ・・。

久子は晴美をアベベに連れていく。
晴美は仕事を辞め実家に帰ると決めたようだ。
「この店ね、私が高校生の頃からやってて、
 所長代行だった柴田君もよく食べにきてた。」
「何でアベベ?」晴美が聞く。
「東京オリンピックの時にね、生で走ってるの見て、
 感動したらしいよ。」
「仲いいんですね、お母さんと。」
「どうかなー。ケンカばっかりしてる。」
「私あまり好きじゃないんです。親のこと。
 子供の頃に、愛嬌がないとか可愛げがないとか言われて。」
「・・・」
「姉がいるんですけど、全然似てないの。
 癪に障るぐらい明るくて。
 ちょっと槙野さんに似てる。」
「私に?」
「姉のお下がりとか着せられるでしょう?
 よく言われるんです。
 お姉ちゃんの方が似合ってたって。
 晴美はダメねって。
 女の子らしい服着せても、ちっとも似合わないねって。
 営業所に入ったばっかりの頃、所長が言ってくれたんです。
 晴美が来てから、営業所が明るくなったなーって。
 女の子がいると、いいもんだなーって。
 嬉しくて泣いたの、あの時が初めて。」
「・・・どうしても辞めるの?」
「残る理由ないですから。
 所長もいないし、谷口さんも・・・。
 谷口さんには元々相手にされてなかったけど。」
「・・飲んで!」
ビールを一口のみ、明るく笑う晴美。

晴美が帰るのを見送る久子。
店の外に、谷口が待っていた。
「藤山さんから、聞いて・・。」と谷口。
「あ、どうぞ!中に入って下さい!」と久子。
「いや。ここで。
 中野君。酷いこと言って、悪かった。
 本当は、自分に腹を立ててた。
 君に痛いところ突かれて、カッとなった。
 このとおり済まなかった。」
そう言い頭を下げる谷口。
「谷口さん・・」
「実家に、帰るんだってね。」
「はい。」
「君なら、どこでも必要とされるよ。
 安心して仕事を任せられるから。
 俺も随分助けられた。
 本当にありがとう、今まで。
 俺この先、どうなるかわからないけど、
 決まったら連絡する。
 必ず連絡するから。」
「・・はい。」
「槙野。営業所のこと、頼んだぞ。」
「・・はい。」
「元気で。頑張れよ。」
谷口が走り去る。

「連絡くれるって・・言ってくれましたよね。」
「うん。」
「ありがとうって・・・言ってくれましたよね。」
「晴美さん!」
晴美が久子に抱きつく。
「私頑張らなきゃ・・。
 頑張らなきゃ・・。」泣きながら繰り返す晴美。
「うん・・うん・・」久子が晴美を抱きしめる。

「上手くいくかね。あの二人。」と母・光枝。
「そうなるといいけど・・。
 実家帰ったら、お見合いさせられるって言ってたなー。」と久子。
「ふーーん。」
「今を逃したら、後妻の口しかないって親にせっつかれてるんだって。」
「そう・・。
 あんたは?どうするつもり?」
「え?」
「結婚・・」
「ああ・・」
「臆病になってほしくないのよ。
 ダメになること怖がって、初めから諦めてしまうような、
 そういう生きかただけは、あんたにしてほしくない。」
「お母さん・・」
「私達みたいに、壊れてしまう夫婦ばかりじゃないのよ。」
「うん。わかってる。
 でも・・これから忙しくなりそう。
 私、みんなに支えられて今までやって来たじゃない?
 所長に、谷口さんに晴美さん。営業所の人たち。
 これからは、私が支えていかなきゃ。」
「それでいいの?
 ずーーっと仕事で。」
「もしもね、この先も一人で、働いて生きていくことになっても、
 それはそれで、寂しいことでもミジメなことでもないと思うんだ。」
「・・・」
「お母さん見てるからそう思えるの。」
「久子・・」
「一人旅でも走ってみる!もう少し先まで。」
娘の言葉に微笑む光枝。

1986年1月
大森が高村を訪ねていく。
「何々?機械情報制作局 企画総務課 筆頭課長補佐!
 お前完全に出世コースだな・・。」
「そんなことはない。」
「30代半ばでこのポジションっつったら、
 将来の通産省事務次官候補じゃないか。」
「次官になるのは、同期で一人だけだ。
 俺より出来のいいやつはゴロゴロいるよ。」
「度の過ぎた謙遜は嫌味だぞ!」

高村の元に、新聞記者たちが詰め寄る。
「高村さん!そろそろ情報流して下さいよ!
 例の制作、本決まりなんでしょ?」
「毎朝さんはどこで情報を仕入れてくるのかな。
 今度逆に取材させてもらいたいですよ。」と高村。
「何言ってるんですか。紙面開けてるんですからお願いしますよ。」
新聞記者に取り囲まれる高村を見つめ、大森は静かに去っていく。
高村の名刺を握りつぶし・・。

ミツダ電子
ミツダの社長を取材する大森。
「通産省が何か産業を起こすわけじゃないでしょう?
 民間が起こす産業に、規制を掛けるだけの役所なんて、
 用済みです。」と社長。
「手厳しいご意見ですね。
 昨年の急速な円高で、輸出が打撃を受け、
 景気の減速傾向とも言われてますが。」と大森。
「うちは電子部品を売りにして、円高で大儲けしましたよ。」
「ミツダ電子さんの急成長は、いまや業界中が注目していますよ。」
「今に業界だけじゃない。
 もっと広い世間が我社に注目するようになるでしょう。
 注目じゃないな。我社を中心に、動き出すんだ。
 パリの三ツ星フレンチが銀座に提携店をオープンしたのはご存知ですか?」
「ええ。」
「あそこでディナーを食べ、ちょっとしたワインを注文したら
 いくら掛かると思いますか?」
「さあ。」
「一人、5万円は下らない。
 それでも半年先まで予約で埋まっている。
 貿易黒字442億円。
 世界第二位の経済大国になったというのはこういうことです。」
「それは一部の富裕層の話で。」
「今に日本中がこうなりますよ。
 通産省などは、日本人がおからだの煮しめだのを食っていた時代の
 遺物に過ぎません。」
「聞かせてやりたいな、通産省の知り合いに。
 いやね、出世コースに乗っているんですがね。」
「・・・大森さん。
 その人に引け目を感じていますね。」
「・・・」
「わかりますよ。僕だって、キャリア官僚になれる学歴じゃない。
 何度かどん底に落ちて、挫折も味わいました。」
大森の後ろに回り肩を揉み始めるミツダ社長。
「でもね、官僚や大企業が国の舵取りをする時代は
 とっくに終わったんです。
 ・・・金ですよ。金が金を生むんです!
 錬金術の秘密を握ったものだけが、世の中を動かす力を持つことが出来る。
 下克上ですよ、大森さん。」
「・・・」

1月の販売実績台数、久子がダントツのトップで15台。
続いて佐々木が9台。
営業所では、久子が初の女性所長になると、みんな浮かれていた。
久子は、トップセールスの槙野と、業界で知られるほど。
みんなが久子が所長になると信じていた。

橋本所長が戻ってきた。
「港北営業所でマネージャーを務めていた、笠井さんです。
 来月から、所長として、この営業所に赴任することが決まりました。」

その言葉にみんなは驚き・・。

「納得できませんね!」藤山が橋本に文句を言う。
「・・・本社の決めたことですから、私にはどうにも・・」
「上の言いなりですか!
 この人事はおかしいと言ってやらなかったんですか!?」
「藤山さん、所長を責めても。」久子が止める。
「あんた悔しくないの!?
 私は悔しいよ!
 岡野さんならこんな時、自分のクビ賭けても上と戦ってくれたのに。
 槙野さんの、どこが不足だって言うんですか!?」
「前例がないんです。」と橋本。
「え?」
「女性が、所長になったという前例がない。
 槙野さんを繰り上げる案、役員会で却下されたそうです。」
「女では・・ダメだということですね。」と久子。
「そういうことです。」

「1986年、男女雇用機会均等法の実施が、目前に迫っていました。
 けれど、現実はまだ、均等というには、
 程遠いものでした。」


「藤山さん。」笠井が呼ぶ。
「はい・・」
「あなた、半年後との嘱託契約だね。」
「そうですけど。」
「来月の3月末が期限だけど、
 次は契約の更新はしません。」
「え!?」久子が驚く。
「お払い箱ってことですか。」と藤山。
「待って下さい、所長!」と久子。
「なんだ。」
「藤山さんは、岡野所長と一緒にここを作ってきた、
 営業所の生き字引みたいな人です。
 いなくなられては困ります!」
「槙野さん。」藤山が止める。
「かけがえのない人間なんて、職場にはいらんのだよ。」
「え・・」
「仕事は、マニュアル化して誰がやっても同じに出来るようにする。」
「でも!」
「佐々木さんとの契約も3月末で終了だ。
 工場長の山田さんもな。」
「・・・」
「代わりの人員は、手配してある。
 業務に支障はない。」
「そうでしょうか。
 車を売る仕事は、人間対人間ですよ。
 頭数さえ揃えばトントンみたいな、そんな仕事じゃ、」
「だからこの営業所は体質が古いと言われるんだよ。」
「古い!?」
「岡野さんがどういう理念を掲げたか知らないが、」
「お客様の未来を一緒に作ることです!
 車を希望に代えて、喜びと共に売れと、
 私はそう教わりました。」
「車は、利益を出すために売る。
 営業マンは客を買う気にさせる技術があればいい。
 代わりはいくらでもいる。」
「・・・」

レストランで会う久子と高村。
「大変なことになったな。」
「ごめんね、グチ聞かせちゃった。
 今日はね、車検のご案内と、新車のカタログをお届けに伺いました。」
「違う道も、考えてみたらどうだ。」
「別の仕事ってこと?無理無理!
 私は車を売りたいの。」
「今の営業所だけが、車を売る場所じゃないだろ。」
「・・・」
「例えば、ドイツ社の、SuBだ。」
「シュタイウントブルンベ。
 外車の中では人気ナンバー1よね。」
「独自の販売網を作って、日本でも確実に売り上げを伸ばしている。」
「ええ。」
「槙野の腕があれば、輸入車でもやっていけるんじゃないか?」
「・・・」
「外資系は、日本の企業と比べれば、男女の雇用差別も少ない。
 女性も、正当な評価を受けるチャンスがある。」
「うん。」
「今も営業所に、思いいれがあるのはわかるよ。
 でもな、組織の壁と戦っても、結局は負け戦だ。」
「・・・考えたこともなかったなー。ミヤケモータス離れるのって。」
「一度覗いてみろよ。SuBの店。」
「そうね。」

そして久子は、SuB販売店を訪れる。
セールスマンが客に話している。
「SuBの真情は、走る楽しさ、車と調和する喜びです。
 お客様に相応しい車で、走る楽しさを存分に楽しんでいただく。
 それが、車を売るものの喜びですから。」
その言葉に聞き入る久子に、セールスマンが気づき会釈をする。
久子も会釈を返し・・。

ミヤケモータース営業所
久子は岡野が残したノートと、岡野が大切にしていたミヤケのミニカーを
カバンにしまい・・
「ありがとうございました。」
深く一礼し、営業所を立ち去った。

アベベで『ミヤケモータース城南営業所解散会』が開かれる。
『熱き心に』を熱唱するスタッフたち。

「解散ってことは、営業所がなくなっちまうのかい?」常連客が聞く。
「建物はありますよ!
 中身の心がなくなるってことです!」と森。
「よくわかんねーな。」
「だから方針が変わってメンツも変わって、
 昔の面影がなくなると。そういうことだろ?」ともう一人の常連客。
「槙野さんも、藤山さんも、佐々木さんも、山田工場長も
 いなくなる・・。
 岡野所長のミヤケモータースは、事実上解散です!!」

「すみませんね、やかましいのが大勢で。」藤山が光枝に挨拶する。
「とんでもない!
 長い間、久子が御世話になりました。」
「私のほうこそ御世話になって。
 思い出しますね。最初に営業所に現れたときのことを。」
「突拍子もないことする子で、随分ご迷惑おかけしましたでしょう?」
「励まされることの方がずっと多かったですよ。」
「藤山さん、これからどうなさるんですか?」
「息子も嫁もいい加減に楽隠居しろってうるさいんですけどね。
 孫の世話して1日過ごすなんてまっぴらで。」
「まだまだ働けますもんね。」
「お好み焼き屋でも始めるか!」
「え!?」
「アハハハハ!」豪快に笑う藤山。

「ミヤケモータース城南営業所は、本日を持って解散いたしますが、
 みなさんには、本当に、長い間・・長い間・・」
言葉に詰まり酒を飲み干す佐々木。
「ミヤケモータース城南営業所は、永遠に不滅です!」
そう言い倒れこむ佐々木。
「俺はまだまだやるぞ!
 俺はまだまだやるんだ・・」
佐々木を悲しそうに見つめる久子。

一同が歌いながら帰っていくのを見送る久子。
藤山が涙ぐみながら笑顔を浮かべ挨拶する。
そんなみんなの姿を、涙を浮かべて見つめる久子。
「転職、よく決心したね。」と光枝。
「うん。
 車を売ることは、お客様の未来を、一緒に作ること!
 それを信じて働けるなら、そこが私の・・
 ミヤケモータース、城南営業所だから!
 ・・・また、1から出直しだ!」
そう言い上を向く久子の頭を、光枝が優しく撫でる。
母に頭をつけて甘える久子。

SuB営業所
久子は店長に、先日のセールスマン(金子昇)を紹介される。
「こちらね、槙野久子さん。
 今月からうちで働いてもらうことになった。
 ミヤケモータースで5年連続金バッジに輝いた、
 トップセールスだよ。」
「槙野です。よろしくお願いします。」
「末長です。」
「彼、うちのトップセールス。
 SuBの直販ディーラーの中で、年間100台以上売り上げるのは、
 彼一人だよ。」

店長が電話で席を外す。
「あの。」と久子。
「はい。」
「先日、あなたが、ここで営業しているところを拝見しました。」
「ああ。」
「あなたの営業を見て、私、こちらへ入れていただこうと
 思ったんです。
 よろしくお願いします。」
「無理なんじゃないかな。」
「え・・」
「日本車のトップセールスの人、今まで何人も来たけど、
 みんな全然売れなくて辞めていきましたよ。
 あなたも無理でしょう。」
「・・・ちょっと!」
「まだ何か。」
「名刺。1枚いただけますか?」
「・・ええ。」
「年間何台売ったんですか?」
「102台ですが。」
久子は末長の名刺に何かを書き込み、それを渡す。
『1987年4月1日
 103台』
と書いてある。
「何ですか?これ。」
「果たし状です。」
「え?」
「1年で私、あなたを抜いて見せます!」

「1986年、株価は上昇を続け、
 バブルの時代が、始まろうとしていました。」



※一部公式HPあらすじを引用しました。


久子の岡野への愛。
谷口の留美子への愛。
晴美の谷口への愛。
真理子の柴田への愛。
大森の真理子への愛。
このドラマには沢山の愛が描かれていますね。

愛する所長の死と、所長が久子に託した営業所。
車を売ることの喜び。

久子世代の女性の、仕事に生きるという決心。
周りから寂しいとか惨めとか、そんな偏見を持たれるし、
仕事をいつまで続けられるかという不安もあるでしょう。
それを乗り越えての彼女の決断。
すごいと思います。
結婚を逃げとせずに、今の仕事を遣り通す。

高校時代に仲の良かった柴田、大森、高村、久子に真理子。
社会人となった彼らは、あの頃のままでいられるはずもなく。
真理子と柴田の結婚も影響を与えましたが、
今度は高村の出世に大森は引け目を感じてしまい、
心に出来たその隙間にミツダの社長が入り込んでしまいました。
大森がどうなってしまうのか、心配です。

所長に託された営業所を去ると決めた久子。
「車を売ることは、お客様の未来を、一緒に作ること!
 それを信じて働けるなら、そこが私の・・
 ミヤケモータース、城南営業所だから!」
この言葉が素敵でした。
きっと岡野も久子の決断を天国で喜んでいることでしょう。

末長は、客と思っていた時の久子への視線と、
同じセールスマンとしてみたときの久子への視線が
全然違いました。
強力なライバル登場!
末長に果たし状を渡す久子がカッコよかったです。



※来週第7回は、総合テレビのみ午後9時30分スタートとなるそうです。


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B001340ZZM孤独の向こう平原綾香 川江美奈子 藤井理央 DREAMUSIC( C)(M) 2008-04-16by G-Tools



【キャスト】

槙野久子(夏川結衣)
昭和24年生まれ。
10歳のときに、父が借金を背負い失踪。母・光枝に女手一つで
育てられる。高校卒業後、一流企業の興亜化繊のOLとなるが
不文律の定年25歳を前に居場所を失う。
一生懸命働ける場所を求めて、自動車セールスの世界へ。
「女に車が売れるはずがない」という常識を覆して
トップセールスマンに成長する。
のちに外資系の輸入車ディーラーに転職。社長へと上りつめていく。

柴田隆男(椎名桔平)
久子の幼なじみ。
高校時代、久子の気持ちに気づかず、仲間の一人・真理子と
つきあい始め結婚。
大学卒業後、ミヤケ自動車(メーカー)に就職。
ディーラーに出向しているときに久子と同じエリアの担当になる。
メーカーに戻ってからは、アメリカ勤務をへて購買部次長として
部品の購入やコスト管理を担当。
平成7年、日米自動車協議の時には渉外担当として通産省の方針と対立する。

柴田(野沢)真理子(石田ひかり)
久子の高校時代の同級生。
久子と隆男が実は互いに想いをよせていることを知りながら、
久子に隆男との仲をとりもつように頼んだ。
結婚式で久子たち同級生と再会し、再び不安になるが、その想いを
封じ込め幸せな家庭を作るために努力する。
人形づくりにめざめ、次第に生きがいを見いだしていく

大森吾郎(山口馬木也)
高校の同級生。
明るい人柄で仲間の潤滑油的存在だが、マドンナだった真理子に
恋心をいだいていた。
一浪一留して小さな経済関係の出版社に就職。
取材で知り合ったミツダ電子の社長に見込まれ秘書に転職。
ミツダ電子はバブル景気にのって急成長し、のちに贈賄事件と
不正融資事件で転落の道をたどる。

高村雅之(大沢健)
高校の同級生。
東大法学部を卒業し、通産省のキャリア官僚となる。
久子のことをずっと思い続けていて、独り者を通している、
日米自動車協議では、WTOに提訴しようとする対米強硬派の
一翼を担い、メーカーを守ろうとする隆男を対立する。

槙野光枝(十朱幸代)
久子の母。
料理屋の娘だったが、仲買人として店に出入りしていた久子の父・
浩太郎と駆け落ち同然で結婚。
久子が10歳のとき、浩太郎が借金を抱えて失踪してからは行商を
しながら久子を育て上げた。
小さなお好み焼き屋「アベベ」を開き、久子の仲間たちのたまり場に
なっていた。愚痴は言うのも聞くのも大嫌い。久子のよき手本である。

槙野浩太郎(石橋蓮司)
久子の父。
青物の仲買人をしていて、幼い久子をよく市場につれていった。
久子が商売を好むのはその影響。
失踪する前に、車を購入し、最初に久子を乗せる。
そのたった一度のドライブの感動が、久子が車のセールスを始める
きっかけとなる。
久子がトップセールスの表彰をうけた記事を見て、再び久子の前に現れる。

岡野英二(蟹江敬三)
久子が働くミヤケモータース城南営業所の所長。
特攻基地の整備兵として終戦を迎えた。
セールスの現場にいたころは、「一日に一台車を売る男」として
有名だった。
人を見る目は確かで、組織作りにも岡野なりの信念がある。
久子は父のように慕う。

谷口克彦(鈴木一真)
ミヤケモータース城南営業所不動のトップセールスマン。
ひたすら売り上げを上げるべく、信念をもってセールスに励む男。
久子とは営業方法が違い、対立することもあるが、次第に認め合う
間柄になっていく。

藤山邦子(梅沢昌代)
ミヤケモータース城南営業所経理担当。
営業所のことは全て知っている。岡野も邦子には頭があがらない。
戦争未亡人で、働く女性の先輩。
久子には好意的で何かと味方になってくれる。

中野晴美(佐藤仁美)
ミヤケモータース城南営業所の事務担当。
適当な年齢で結婚相手を見つけて主婦になりたいと願っていて、
働きまくる久子を敵視している。谷口を思い続けている。

佐々木義男(塩野谷正幸)
営業所の古参セールスマン。
「すっぽん」どあだ名される粘り腰で、好成績をあげている。

森達郎(櫻井章喜)
営業所のセールスマン。
いつも成績は最低レベルだが、全く気にしないお調子者。

阿部幸雄(塩谷瞬)
久子と同期中途入社の気弱なセールスマン。
ぜんそくを患ってきた母を思い、売りにくい排ガス規制対策車を
売ろうとするがうまくいかない。

営業マネージャー・相川(モロ師岡)

八重(秋野暢子)
浩太郎(石橋蓮司)
幸田留美子(浅見れいな)
部長(磯部勉)
三澤(山本龍ニ)
北川(上田耕一)
笠井(上杉陽一)
細谷(細見大輔)
ヒロ山川(パク・ソヒ)
末長智史(金子昇)
満田恵介(剣持直明)


【スタッフ】
作…山本むつみ
音楽…栗山和樹
主題歌…「孤独の向こう」平原綾香
演出…吉村芳之 西谷真一(NHKエンタープライズ)
制作統括…岩谷可奈子(NHKエンタープライズ)



夏川結衣さんの主な出演作品


この記事へのコメント
城南営業所解散式のシーンは、泣けました。(本当に泣いたわけではないけれど)

お客様を人間として見て、「人間」に車を売っていた時代が終わりただの数字としてしか見なくなったとき、その職場で働いている人も「人間」ではなくなって簡単に首を切られてしまう。
私はバブルの頃は少しお姉さんで、遊ぶ暇はなくあまり恩恵も受けなかったのですが、あぁあの頃からこんな風になってしまったのか・・・とあらためて考えてしまいました。
今、私の職場でも「人間」を人間扱いしない出来事が横行しています。これからまずます登り詰めていく久子さんが、「人間」をどこまで守ってくれるのか、注目したいと思います。
Posted by やすこ at 2008年05月19日 13:18
ちーずさんこんばんは、久子がミヤケを辞める展開になるとは〜

所長が亡くなり人情とか貢献度などを無視した人事などバブル突入の時期はきっと岐路に立たされる人達も多かったのでしょうね!藤山の契約更新をしなかったり谷口や晴美の退社、岡野商店の終わりが辛いです!

久子の選んだ新しい道 外車ディーラー確かに実力主義、女性でも成績次第でも昇れる環境ミヤケの前例がないとは違って認めてくれるでしょうね、只日本車の性能が世界的に認められてきた時代に外車を売るのはきつそうです、いままでストーリーの中に出てきた久子の顧客が代替するときに外車を選ぶのか心配です!

久子が所長を好きだったことが明かされ、意思を次いでいきながらの成長が楽しみです、昇りつめてもいちセールスマンとしてお客と接するのかな?

今期のドラマは女性の自立や仕事と恋愛の狭間で揺れる姿が目立ちます、いまも昔と同じでタテマエだけは国際的に会社は男女均等と言ってますが、あまり変わってないのかな!
Posted by けた at 2008年05月19日 19:16
ちーずさん、こんにちは。
久子と晴美のシーンは何気によかったです。佐藤仁美は本当にいい女優さんになりましたね。ちょい太めですがそれが逆にリアリティある演技の支えになってる気がします。
それから藤山邦子役の梅沢昌代さんも良かった〜。十朱幸代との二人のシーンは味わいがありました。「お好み焼き屋でもはじめるか」のあとの豪快な笑いが最高でした。
ミヤケモータース城南営業所が解散し、次週からはまた新局面ですね。いよいよバブルかぁ。ミツダ電子の社長のようにギラギラした感じの奴、あの頃の日本人にはたくさんいましたね。ちょっともう、ずいぶん昔の話になりました>バブル時代。日本が最も裕福だった時代なのでしょうか?その頃わたしは、よりによって貧乏学生でしたw
Posted by マンデリン at 2008年05月19日 20:52
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