2008年11月28日

風のガーデン 第8話

『フロックス』

朝4時半(画面が暗くてちゃんと確認出来ません)、
電話で音で目を覚ます貞三(緒形拳)。
看護師からの電話で、貞三は患者への指示を出すと、
白衣に着替えて部屋を出る。

部屋を出ると、岳(神木隆之介)が出かけようとしていた。
「やあ、早いですね。
 もうガーデンに行くんですか?」
貞三に声を掛けられビクっとする岳。
「今日はいっぱい仕事があるので。」
「送りましょうか?」
「いえ、結構です。」
岳はそう言うと足早に立ち去り、ガーデンへと向かう。

ガーデンに着いた岳は、貞美(中井貴一)の姿を探す。
「ガブさん!ガブさん!」
だが貞美の姿はガーデンにもグリーンハウスにも森の入り口にもなく・・。貞美は、森でエゾエンゴサクの球根を掘っていた岳の前に姿を現す。
「ガブさん・・」
「しばらくです!」
「もう来てくれないかと思っていました。」
「なぜです?」
「いろいろ・・この間失礼をしたからです。」
「そんなことありません。」
「僕の事、怒っていますか?」
「全然。」
「良かった。」
「ちょっと、遠くへ行っていたんです。」
「知ってます!
 三沢のおじいちゃんを送り届けに行ってたんでしょ?あっちに。
 夕べ亡くなった三沢さんを、天国に連れていくために、
 ガブリエル様はお迎えにいらしたんです。」
「・・誰が、そう言いました?」
「うちのおじいちゃんです。」
「なるほど。」
「三沢さんは無事に天国に着きましたか?」
「はい。・・もう、本当に楽しそうに。船酔いも全くされないで。」
「天国には船に乗っていくんですか?」
「途中で大きな川を渡るんです。」
「何という川ですか?」
「三途の川と呼ばれています。」
「サンズというコンビニが町にあります。」
「・・多分、そっから取った名前でしょう。」
「勉強になりました。」
「・・・岳君は何をしてたんですか?」
「エゾエンゴサクの球根を掘っていました。」
「エゾエンゴサク?」
「春先に森の中にいっぱい咲く花です。
 青くて小さなラッパみたいで、
 ルイが一番大好きな花です。
 去年もガーデンに植えたんだけど、
 鹿にほとんど食べられてしまいました。
 だから来年は鹿が食べきれないほど植えようって、
 球根を掘っています。」
「そりゃいいですね。」
「一面に咲くと本当に綺麗です。」
「どうぞ仕事を続けて下さい。
 作業しながら話しましょう。」
「はい。失礼して作業を続けます。
 エゾエンゴサクの花言葉は、妖精たちの秘密の舞踏会、です。」
「ほー。」
「5月の始め頃咲くんですけど、その頃はまだ花が少ない時期で、
 他に咲くのは水仙とプルモナリアぐらいです。
 プルモナリアはうちのガーデンには2種類埋まってて、
 ラズベリースプラッシュとルイスパルマーです。
 ラズベリースプラッシュの花言葉は、小学生の淡い初恋。 
 初恋、わかりますか?」
「はい、何となく。」
「ルイスパルマーの花言葉は、早熟な乙女は割りとすぐふける、です。」
「なるほど!心裡をついてますね。」
「心裡って何ですか?」
「・・何といいましょうか。
 物事の核心を述べる・・というか、」
「核心・・」
「岳君は何でも知ってるんですね。」
「花言葉は僕の専門分野です。」
「ほぅー。そういう花言葉は本か何かで覚えるのですか?」
「僕の花言葉は全部おじいちゃんが作っています。」
「・・おじいちゃんは花言葉を作るんですか?」
「はい。
 おじいちゃんはおばあちゃんが死んでしまって、
 一人で寂しいので、気を紛らわすために花言葉を作っています。」
「・・・」
「なんだそうです。
 ルイがそう言ってます。」
「これが、エゾエンゴサクの球根ですか?」
「そうです。
 そこら一帯は間違いなく球根がいっぱいあります。」
「ガブさんにも掘り方を教えてくれますか?」
「どうぞどうぞ。
 これを、こうやって草をはがすんです。
 どうぞ。」
「お借りします。
 ・・イテ。」
「意外とガブさん不器用ですね。」
「あった!あった!」
「そうです!
 ちょっと小さいけど、まあいいでしょう。
 大きい方がいい花が咲きます。」
「あー、これ!あったあった、ほら、あった!」
「それです!
 初めてにしては筋がいいです。
 僕はルイから一日千個は掘れと言われています。」
「千個ですか!?」
「はい。」
「ルイさんは相当厳しい人ですね!」
「女としては、かなりだと思います。」
「アハハ。
 で、これをどうやって植えるんですか?」
「今あったのと同じように埋めるんです。」
「それで、来年咲きますか?」
「きちんと植えれば、ちゃんと咲きます。
 タニヤで買うと大きいの一つ、500円くらいするんです。
 だからこうやっていっぱい取って植えると、
 ルイが何よりも喜びます。」
その時、貞美の携帯が鳴る。
携帯の音に不審な表情を浮かべる岳。

少し離れて電話に出る貞美。
「ちょっと失礼します。
 ああ、大丈夫だ。
 何が?
 ・・・ちょっと2、3分待ってくれ。すぐ掛けなおす。」

「失礼しました。ちょっと呼び出しです。」
「神様からですか?」
「・・はい。」
「神様も携帯使うんですか?」
「・・最近は、あっちでも流行ってきています。」
「ここはauしか通じないんですか?」
「・・・ヘブンコールと、あっちでは言っています。」
「ヘブンコール?」
「すみません。ちょっと、失礼します。」
森へと立ち去る貞美。
「ヘブン・・コール・・。」岳が呟く。

電話は水木(布施博)からだった。
森の中で電話を掛けなおす貞美。
「どうだ?具合は。」
「何とか今のところ麻薬が効いている。」
「仕事の出来る状態か?」
「仕事?」
「実は今、富良野の西病院が緊急手術で麻酔科医を探している。
 交通事故で運び込まれた頭部外傷の開頭手術に、
 麻酔科医がいなくて困っているんだよ。
 どうしても手配がつかなくて、たまたま俺のところに連絡があった。
 もし可能なら、やってもらえないかな。」
「・・・」

貞美はその依頼を引き受ける。
手術に立ち会った貞美の見事な施術に感謝する医師ら。

術後、院長ら(半海一晃)は貞美に、麻酔科医確保の難しさを訴え、
緊急時だけでも助けて欲しいと願う。
「ご事情はお察しします。
 ただ・・実は今、体調を崩しておりまして、
 静養も兼ねてこちらに来ております。」
「伺っております、水木先生に。」
「・・・伺ってるとは、どういう風に?」
「過労を休めるために、こちらにいらしていると。
 そういうときにこういう無理をお願いするのは
 私どもとしてもまことに心苦しいのですが、
 緊急の場合だけでも、何とか先生のお力をお貸しいただけないでしょうか。」
「まあ・・もともと生まれ故郷のことですし、
 何とかお役に立ちたいんですが・・。」
「お願いします!」
「・・・」

帰り道、ひどく疲労した貞美は、運転中に激しい睡魔に襲われる。
信号待ちをしている間に眠ってしまい、クラクションの音で目を覚ます。
ラジオから流れる曲『ガッツだぜ』『リンダリンダ』を大声で歌い、
なんとか睡魔と戦いながら脇道に寄せる。
車を止めると、シートを倒してそのまま仮眠を取る貞美。

その頃、ルイ(黒木メイサ)はさゆり(森上千絵)にこれまでの貞美との
いきさつを話していた。
「おじさまが?いつから?」
「7月の中ぐらいから。」
「会ったの?」
「最初は逃げちゃった。
 だって、朝早くガーデンに行ったら、ピアノとチェロの音がして、
 何だろうってコテージに入ったら、
 父さんと岳が二人で合奏してんの!」
「岳は父親だってわかってたの?」
「天使ガブリエル様って信じ込んでる。」
「話が飛躍していてよくわかんない。」
「だからー、最初は、岳の方から父さんに、天使ガブリエル様ですかって
 聞いたらしいの。それで父さん、びっくりしちゃったらしいんだけど、
 ハイって頷いちゃったらしくて。
 せっかく天使って思ってるんだから、そのまま通そうって。
 まったく、調子いいったらありゃしないんだから。」
「ハハハ。おじさまらしいわ!」
「笑い事じゃないよ。」
「それでおじさま、何しに来てるの?」
「それがわかんないの。
 だってもう、かれこれ1週間ぐらいキャンピングカーで暮らしてるのよ。」
「キャンピングカーで?」
「ガーデンの沢の向こうの森の中にキャンピングカー止めて、
 そこからこっそり私たちのこと見てたらしいの。
 しばらくこっちにいる気らしいんだけど、
 そのことをおじいちゃんに言うなって。」
「・・・」
「ねえさゆりちゃん、私どうしたらいいと思う?」

夕日のまぶしさに目を覚ます貞美。
痛みに耐えながら車でキャンピングカーに戻ると、
麻薬パッチを胸にあて、薬を飲む。

そこへ、電話がかかってきた。
「はい・・」
「エリカ。」エリカ(石田えり)だった。
「ああ・・」
「来週の木曜あけて。あんたの歓迎会開くから。」
「ちょっと待てよ・・」
「もう決めた。みんな張り切ってる。
 木曜の夕方6時、迎えに行く。いいわね?」
「強引だな・・」
「どこにいるの?」
「いいよ、こっちから出向きますよ・・」
「わかった。じゃあ、うちの店に来て。6時。
 いいわね。逃げっこなしよ。」
「わかりました・・」

電話を切ると、今度は誰かがキャンピングカーをノックする。
カーテンを開けて覗いてみると、ルイとさゆりだった。

「どうぞ。」二人を招き入れる貞美。
「・・・すごい!病院の診察室みたい。」とさゆり。
「診察室だよ。これで移動して、患者を診るんでね。」と貞美。
「そうなんだー。」
「狭いけど、座って。」
「どうしてこんなところに隠れてるんですか?」とさゆり。
「うん?」
「何でおじいちゃまに会いに行かないんですか?
 せっかくここまで来てるんだから。
 もう仲直りしたらどうですか?
 私、いつでも間に立ちますよ。」とさゆり。
「・・・」
「何ならうちのおばあちゃんに出てきてもらいましょうか。
 おじいちゃまもおばあちゃまには頭が上がらないんだから。
 そうしないとルイが可哀想ですよ。」
「わかってるよ、さゆりちゃん。
 わかってるんだ、俺だって。
 今考えているところなんだ。
 だけどこればかりは、」
「おじさま。」
「君たちに間に立ってもらわなくたって、
 自分でちゃんと、詫びを入れようって。
 ただ、」

その時、またドアがノックされる。
「ルイ!いるんだろ。わかってんだ。」
訪ねてきたのは修(平野勇樹)だった。
「あいつだ・・」
「誰?」とさゆり。
「蜂屋の不良息子。」
「何それ。」
「ルイ、ちょっと出ろ。話があるんだ。」

外に出ていくルイ。
「今はダメ!」
「ちょっと待って!」
「何!」
「やっぱりいたな、このヤロウ。
 ガブリエルっていうのはやっぱりコレだな。」
「違います!」
「誰なのあんた!」とさゆり。
「あ・・」
「どなた?」貞美も顔を出す。
「あ・・」
「どなたですか?」と貞美。
「おい!俺はルイのフィアンセだけどよ。」
「ちょっとあんた嘘!」とルイ。
「それは大変だ・・。」と貞美。
「あんたは誰よ!」と修。
「ルイの父親ですが。」
「・・・えっ・・お父様・・」
「はい。」
「失礼しました。」
その場から逃げ去る修。
「婚約したの?」貞美がルイに聞く。
「嘘よ!あのバカ!!」

慌ててガーデンを走り抜けていく修。
岳はそんな修にお構いなしに、花の手入れをしていた。
「フロックスは北海道では、お盆の頃に綺麗に咲くので、
 盆花と呼ばれることもあります。
 ピンクとか白とかのもありますが、
 うちのガーデンのフロックスノーラレイは、
 白い花びらにピンクの斑点が付いており、
 おじいちゃんの作った花言葉は、
 妖精たちの新盆の迎え火、です。」

8月7日
貞美はエリカと合流し、歓迎会へと向かう。
「お待たせ。すぐそこだから、歩いていこう。」
「なんだ葬式行くみたいな衣装だな。」
「そう?」
「どこに集まるの?」
「西本のヒロちゃんの寺。」
「おぉ、あいつあそこの住職継いだのか。」
「うん。」

お寺では、誰かの葬儀の準備がされていた。
「誰か死んだの?」
「シーッ。」質問をはぐらかすエリカ。
「しー、じゃねーよ。」

受付でエリカがお香典を渡す。
「え?え?誰!?
 持ってこなかった、ごめん。
 エリカ!白っぽいの着てきちゃったじゃないか!」

友人達はみな喪服で集まっていた。
そして・・『故・白鳥貞美先生 生前葬』と書かれている!
「本日は、ようこそおいで下さいました。
 本日、先生は仏ということになっておりますので、
 一切口を開くことは出来ません。
 どうぞ、あちらの仏の座に。」と中川葬儀社のナメちゃん。
思わず笑ってしまう貞美。
「仏は笑わない!」・・ナメちゃんに怒られてしまった。

「えー、それではこれより、突然あの世に召されました、
 今は亡き同窓生、白鳥貞美君の、葬儀式を挙行いたします。
 導師、入堂。」
住職となった同窓生の姿に噴出す貞美。
「厳粛に!」とナメちゃん。

「えー、少々異例ではありますが、
 時間の都合もありますので、お経はこの辺で割愛いたしまして。
 本日、ご参列のみなさまから順次、
 忌憚なく、故人への思い出を、弔辞に書いて、語っていただきたいと
 思います。
 ではまず、西本和尚さまから。」
「南無阿弥陀仏・・南無阿弥陀仏・・
 えー、貞美君。」
「はい。」
「故人はいちいち返事しなくて結構!」とナメちゃん。
「突然の君の死に、引導を渡す事になった、私の立場・・
  諸行無常を感じます。」
「ヘヘヘ。」笑い出す貞美をナメちゃんが睨みつける。
「君は、この故郷を出て、20数年あまり、
 あまりにも早く生き急ぎ、その間、人類の種の繁殖に、
 人生のほとんど全てを捧げた。
 少しだけ、医者として浮世に貢献され、
 男としてあっぱれ!人として・・渇!」

「ありがとうございました。
 続きまして、塚田マコトさま。」

「あなたは、当時富良野高のスキー部のキャプテンで、
 しかし、一度も入賞することなく、
 ただ、ひたすらに直滑降で女性に向かって突進し、
 私の愛した、佐伯トモミ、旧姓、村上トモミさんをも、
 スキーに誘って、」
「違うって!」と貞美。

「仏は黙って!」

「貞ちゃん。小学生の頃からあなたは医学への道を目指し、
 お医者さんごっこがだいすきで、
 カズちゃんと二人で私のことを患者に見立てて、
 問診、触診、」とトモミ。
「・・・」

「お前が、亡くなった今だから言えるんだ。
 お前に借りたアダルトビデオを親父に発見されて、
 殴り飛ばされ、」

「あなたは、ユリゲラーの催眠術を教えてやると私を誘い、
 脱ぎたくなる、脱ぎたくなる、もっと脱ぎたくなる、
 思えばそれが、麻酔科医への、」

「あなたがいつも誘い込むのは、なめこ山の神社の、」

「サチコの場合も同じ。なめこ山の神社の裏の森に誘って、」
「ちょっと待て!それは嘘!」
貞美の反論にみんながクスクス笑う。
「静かに!」とナメちゃん。

「では、最後になりましたが、
 お待たせしました。 
 16歳にして、故人に乙女の花を散らされ、
 それがきっかけで、数奇の人生を辿る事になって、
 いまや富良野のマリリン・モンローと歌われる、小玉エリカさまに、
 当時の赤裸々なご記憶を、はなむけの言葉として、
 語っていただきたいと思います。」
みんなが拍手する。
「葬儀式なので拍手はご遠慮願います。」とナメちゃん。

「貞ちゃん。
 みんなボロクソにあんたのこと言うけど、
 あの頃のあんたってホントはとってもロマンチストだったんだよね。
 私、あんたが大好きだった。
 それにものすごく歌が上手くてさ。
 空知川の柳の茂みの中で歌ってくれた歌、今でも覚えてる。」
顔色を変える貞美。
「あの時、貞ちゃんが私の肩を抱いて・・耳元でそっと歌ってくれた歌。
 今は亡き貞ちゃんに、歌ってあげるね。」

「エリカ!エリカ!ちょっと待って!」
席を立つ貞美を
「仏は諦めて往生する!」
ナメちゃんと住職が押さえつける。

「むつんで 開いて 手を組んで むつんで
 マタ開いて 手をあけて その手が 胸にー」
友人たちは慌てふためく貞美を見ながら、手を叩いておおはしゃぎ。
友人たちの懐かしい笑顔に、貞美も一緒になって笑い出す。

「みなさま、心温まるご弔辞、誠にありがとうございました。
 これで故人も心置きなく、あの世に旅立たれる事と思います。
 ではここで、異例ではございますが、仏より一言、賜りたいと思います。」
「え・・」
住職が貞美を立たせる。
「拍手はご遠慮!場をわきまえて!」

「えー、本日は、私の為に、このような盛大な、
 心温まる、葬儀を営んで下さいまして、
 心置きなく、あの世に旅立てます。
 30年近く富良野を離れ、ふるさとというものを忘れておりました。
 故郷がこんなにも、優しく・・温かく・・
 自分を忘れずに、迎えてくれる場所だということを、
 私は愚かにも・・忘れておりました。
 ・・・えー、・・・私は今情けなく・・
 ・・・あまりにも情けなく・・
 泣けてまいります。」
「泣くな!」
「はい。
 ・・・今日は本当に・・良いときがすごせました。
 みんなに会えて・・・ホント嬉しかった・・。
 ごめん。なんだか涙が出てくる・・。」
貞美に温かい拍手を送る友人たち。
貞美は溢れる涙を拭い・・。

往診を終え帰ってきた貞三は、自宅前で貞美が手術を手伝った病院の
看護師(須藤理彩)と遭遇し、貞美の帰省を聞いた。
「この間、若先生にお目にかかりました!
 西病院で、交通事故の患者さんの開頭手術が緊急であった時、
 若先生が麻酔担当されたんです!」
「・・・」
「それは鮮やかなお手際でした!
 あんなすごい息子さんがいらしたんですね!」
「・・・」

貞三はルイの部屋に行く。
「ルイさん・・」
「はい。」
「一つ・・教えて下さい。」
「何でしょう。」
「君の、父さんのことについて・・
 最近、何かありましたか?」
「・・・」
「おじいちゃんが知らないことを、何か知っていますか?」
「・・・」
「おじいちゃんに・・何か・・隠していますか?」
「・・・」
「父さんが、富良野に来てるんですか?」
「・・・」
「返事をしなさい。」
ルイが頷く。
「動作じゃなくて言葉に出しなさい。
 人間は喋れる。
 それが動物との違いです。」
「はい。」
「・・・会ったんですね。」
「はい・・。」
「・・・おじいちゃんは・・君をお父さんから離しました。
 離したのには、理由があります。
 君らの父さんには、君らを育てる、資格も力もないと思ったからです。
 だからおじいちゃんは、君たちを、きちんとした人間に、
 育てようと思ってやってきました。
 それは・・覚悟のいる事でした。
 同時に、責任の重いことでした。
 でもおじいちゃんは、不完全ながら、それをずっと、
 やってきたつもりです。
 きちんとした人間に、育ててきたつもりです。
 だから返事ぐらい、きちんと、言葉でしてほしいんです。」
「ごめんなさい。」
「君は・・父親に会いたいだろうことは、
 おじいちゃんにもよくわかります。
 君の父親は、おじいちゃんの息子です。
 君が、父親に会いたいのと同じに、
 おじいちゃんだって、息子に会いたいです。
 父さんに・・富良野に近づくな、と言った事を・・
 おじいちゃんは時々・・夜中に悔やみます。
 あんなこと言うべきじゃなかったと・・時々、悲しい気持ちになります。
 いつかきちんと、許すべきだと、そういう風に思う時が、あります。
 おじいちゃんは・・いつまでも、生きていません。
 君らの父さんより、先に死にます。
 このままで死んだら・・おじいちゃんはきっと・・
 幸せには死ねないでしょう。
 おじいちゃんは・・誠に・・心の狭い・・
 許すべからざる、情けない人間です。
 あいつがここにいて・・会いにこれない・・。
 その原因は・・おじいちゃんにあります。」
「・・・」
「あいつは今・・富良野のどこにいますか?
 どこに泊まっているか・・教えてくれませんか?」
「キャンピングカーで、寝泊りしています。」
「その・・キャンピングカーは、どこに、停めてあるんですか?」
「ガーデンの沢向こうの、林の中です。」
「・・・」部屋を出ていこうとする貞三。
「私が連れていきます!」
「これは、おじいちゃんと父さんの問題です。」
「父さんを怒鳴らないで挙げてください。」
「怒鳴りませんよ。
 仲直りに行くんです。」優しい笑顔でそう言う貞三。
「・・・」
「沢向こうっていうのはイッセン沢林道ですね。」
「はい。」
白衣を脱ぎながら貞三が部屋を出ていく。

貞美がキャンピングカーで暮らしていることを知った貞三は
車で1人森へ向かう。

懐中電灯を照らしながらキャンピングカーへと向かう貞三。
ドアには鍵が付けっぱなしで、ドアは少し開いていた。
「お邪魔するよ。」

キャンピングカーに入ると、靴が脱ぎ捨てられている。
貞美は、点滴を打ちながら熟睡していた。
散らばった麻薬パッチの箱や台紙、
そして、水木クリニックの封筒の中のエコー写真。
懐中電灯で照らしながらその写真を見た貞三、
貞美の寝顔を見つめ・・
呆然となりながらキャンピングカーを出ていく。

キャンピングカーの前には、貞美が友人から貰った"弔辞"が
落ちていた。


※あらすじは一部公式HPを引用しています。



同窓会のあと、貞美は車の鍵を外すことも出来ない位の痛みに襲われ、
ほんとうにやっと、キャンピングカーにたどり着いたのでしょうね。

今の貞美の深刻な状態を知ってしまった貞三。
その動揺はかなり激しく・・。

貞三はずっと自分のことを責めていたんですね・・。
貞三の言葉に胸が苦しくなりました。
貞三と貞美、早く会わせてあげたい・・
そう願っていたら、予告での再会のシーンの貞三のあの優しい笑顔!!
予告だけで泣けてきます。


それにしても、すごい同窓会でした。
天使になったり仏になったり。
それを笑って許してしまう貞美って、なんだかすごい!

もしも自分が余命わずかで、友達におふざけで生前葬をやられたとしたら、
貞美のように笑ってはいられないだろうなー。
でも貞美は一緒になって笑っていました。
これは貞美が慕われている証拠なのかな。
女たらしと言われる貞美ですが、全部が真実というわけでもないようで、
かえって、健全な普通の男の子って感じがしました。

でもこの生前葬、貞美の病気のことをあとで知ったら
同級生たちはみんな自分たちのことを責めるでしょうね。

貞美の旧友、葬儀屋さんに続いて今回はお寺さんの息子が登場。
貞美の最期は、仲間たちに見送られるんでしょうね・・。


「拍手はご遠慮!場をわきまえて。」
ナメちゃんのこのセリフに、前回、亡くなった夫に拍手を送る
おばあさんの姿がよぎりました。
貞美の本当の葬儀の時、この人たちは、拍手するのでしょうか・・。

ヘブンコール。
天国へと旅立った父親と、岳はauで話をしようとするのかもしれません。


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風のガーデン2009カレンダ−





貞三先生の花言葉ポストカード





B001EUGSF6ノクターン/カンパニュラの恋平原綾香DREAMUSIC( C)(M) 2008-11-12by G-Tools



B001HWIC8Mフジテレビ系ドラマ オリジナル・サウンドトラック 風のガーデンTVサントラ ポニーキャニオン 2008-11-19by G-Tools



4652079400風のガーデン―SCENARIO2008倉本 聰理論社 2008-09by G-Tools



B001FADKK6風のガーデンに咲く花々~富良野から~ (Blu-ray Disc)趣味ポニーキャニオン 2008-11-28by G-Tools



貞三の花言葉集
・スノードロップ『去年の恋の名残りの涙』
・プルモナリア・ラズベリースプラッシュ『小学生の淡い初恋』
・プルモナリア・ルイスパルマー『早熟な乙女は、わりとすぐ老ける』
 プルモナリア・ノーザンライツ『オーロラの贈り物』
・ブルンネラ ジャックフロスト『冬の天使の涙の跡』
・スイセンアイスホリス『北風に恋した村娘』

・エゾエンゴサク『妖精たちの秘密の舞踏会』

・ブルーメラ『女王陛下の衣装箱』

・ゲラニウム・ジョンソンズブルー『大天使ガブリエルの哀しい過ち』
・オリエンタルポピー『女の盛りは40過ぎからよっ!』
・リクニス・フロスククリホワイトロビン
  『アルツハイマーの冬将軍が、忘れていった雪の結晶』

・ウェディングベル『孫娘を嫁に出す日』
・チェリーベル『花園の小人の禿かくしの帽子』
・カンパニュララクチフローラ『花言葉は、行きおくれ女の危険な色気』

・デフフィニウム・ブラックナイト『大天使ガブリエルの青いマント』
・エリンジウム=『大天使ガブリエルの贖罪』
・ネペータ・クランディフローラシックスヒルズジャイアント
 (キャットミント)=『大天使ガブリエルの飼い猫』 
 
・バーベナ・ハスタタ・ピンクスピアーズ=
 『どうせあたいは田舎者。街の女にゃなれないの』
・ダイアンサス・ナッピー= 『しのぶ恋ほどばれやすい』

・フロックスノーラレイ=『妖精たちの新盆の迎え火』

 

キャスト

白鳥貞美 …… 中井貴一
白鳥ルイ …… 黒木メイサ
白鳥 岳 …… 神木隆之介

二神達也 …… 奥田瑛二
二神香苗 …… 国仲涼子

石山 孟 …… ガッツ石松 養蜂経営
石山 修 …… 平野勇樹(新人)

白鳥冴子()貞美の自殺した妻
谷口冬美(木内みどり)貞美の姉
上原さゆり(森上千絵)貞美の姪

老患者 …… 織本順吉
娘 …… 中島ひろ子

小玉エリカ …… 石田えり
佐伯智美(ふせえり)貞美の同級生。花屋
中川()ナメちゃん。中川葬儀社
西本のヒロちゃん。寺の住職

水木三郎 …… 布施 博
バーテン(中村靖日)
宮内明(白石雄大)ルイの不倫相手

氷室 茜 …… 平原綾香

桂木院長(小野武彦)
西 院長(平泉成) 霞ヶ関病院の医師
海野正平 …… 田中哲司 (検事)

内山妙子 …… 伊藤 蘭
内山 …… 利重 剛

白鳥貞三 …… 緒形 拳


第8話
富良野西病院スタッフ(半海一晃)
富良野西病院看護師(須藤理彩)

スタッフ

脚  本 …… 倉本 聰

統括プロデュース …… 中村敏夫(FCC)

プロデュース …… 若松央樹
浅野澄美(FCC)

主 題 歌 …… 平原綾香「ノクターン」(ドリーミュージック)

演  出 …… 宮本理江子

制作協力 …… FCC

制作著作 …… フジテレビ



中井貴一さんの主な出演作品



緒形 拳さんの主な出演作品


12:01 | CM(4) | TB(0) | 風のガーデン | Edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。
風のガーデンは毎週楽しみにして観ていました。
ところが昨日予約をしたはずが
今朝見て見ると無いことのおどろき
それと同時にショックを受けておりました。

ここへたどり着き
その様子がよくわかりました。
ありがとうございました。
Posted by さくら at 2008年11月28日 14:33
ルイと話す貞三がおじいちゃんと父親の二つの立場や責任感で岳やルイを育ててきたことが伝わってきました!はじめの数行のセリフは貞美との関係をルイに説明するのではなくルイに育ててきた覚悟を説き返事は言葉にしろと、優しいけれど厳しい言い回しに引き込まれました、「富良野に近づくな!」と言ってしまったことを悔いていた貞三の「おじいちゃんは、いつまでも生きていません、君らの父さんより、先に死にます」がドラマと現実が重なってしまい…こんな長ゼリフを感情豊かに表現する役者の死とドラマ上の息子の早すぎる死を知ったときの表情に複雑な気持ちになりました〜

生前葬を行う旧友たちの暴露合戦は笑えました!久しぶり会った友人たちの手荒い弔辞も四半世紀もたっているのに記憶にのこるのは人気や人望があったのを伺わせる良い脚本でした、自分の置かれた状態や旧友の優しい受け入れに涙する貞美、やっとの思いでキャンピングカーに戻った貞美と対比するようにエンドロールに宴の席ではしゃぐ姿を持ってくるのも、余韻がのこりました!今回手術を手伝った病院の看護師から貞三が貞美のことを知ったように狭い町なので貞美の病気のこともすぐに広まりそうですね!エリカたちの後悔にどんな対応をみせるのでしょう!

自分は余命が決まっていて友人も知っていたら生前葬がいいかな、弱ってきてから見舞いにきてもらうより元気なうちに会いたいし話したいです!きっと自分の友達は10分くらいで、ただの飲み会になるとおもいますが〜
Posted by けた at 2008年11月28日 19:53
緒形さん演じる貞三が、孫たちにいつも「〜です。ます」調で話すのが、とても感じがいいです。おそらく、もともとそういう「おじいちゃん」だったのだろうと想像しますが、「君たちをきちんとした人間に育てようと思ってやってきた」という台詞と響き合って、孫を息子から切り離した父親の辛い気持が胸に迫りました。

若い人の言葉づかいや礼儀を非難するよりも、こちらが丁寧に話しかけたらいいのではないか、と私は常々思っています。職場などでは、丁寧に話すと丁寧に返事をする若者がやはり多いように思います。このドラマを観ていると、私もこんな「おばあちゃん」になりたくなります。

で…次回貞三は、貞美にも「〜です。ます。」調で話すのでしょうか?もしそうだとすると、謹厳実直な父の息子が、非行(?)に走るのはわかるような気もするのですが…。
Posted by やすこ at 2008年11月30日 12:07
緒形拳さんが絶賛していた遺作
本当に綺麗な富良野の風景と風物まで描いた宝物。
そんなドラマですね。
一話ゝ大切に見せて頂いています。
中心となる『緒形拳さん』、『中井貴一さん』、『黒木メイサさん』、『神木隆之介くん』も本当にステキですネ。
大好きなドラマです。
Posted by まさかず at 2008年11月30日 21:58
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