2009年06月18日

アイシテル−海容− 最終話

『2つの家族・・・・それぞれの結末』

清貴(佐藤詩音)の墓前に手を合わせる聖子(板谷由夏)。
そこへ、さつき(稲森いずみ)がやってくる。

「あなたは・・・」と聖子。
さつきは聖子が清貴の母だと分かると、その場に土下座し泣きながら謝る。
「申し訳ありませんでした。」
「・・・」
「全て私の・・・私の・・・」
「・・・」
跪き、さつきの肩に触れる聖子。
「顔を・・上げてください。」
聖子の言葉にさつきは土下座したまま首を横に振る。
「お願いします。
 あなたが、どんなに苦しんでも、
 私は楽になれないんです。
 恐らく・・これからもずっと・・。
 娘の為に・・主人の為に笑いたいのに・・。
 笑う時間が欲しいのに・・。
 ですから・・お願いします。
 顔を上げて下さい。」
聖子の泣きながらの言葉に、さつきはゆっくりと顔を上げる。
「生きて。」とい聖子。
「・・・」
「生きて下さい。
 清貴の為に。
 あなたの、お子さんの為に。」
その言葉に号泣するさつき。
「お花ありがとうございます。
 もう二度と、会う事は・・。」
聖子はそう言い、その場を立ち去る。

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墓の入り口に秀昭(佐野史郎)が立っていた。
「パパ・・・」
「わかってる。」
聖子が持っていた水桶を受け取り、清貴の墓の方へ視線を一瞬送り、
秀昭は聖子と共に墓を出ていく。

墓前に花を捧げるさつき。
聖子の言葉を思い起こしながら手を合わせる。

1年後
高校生になった美帆子(川島海荷)は、相変わらず朝はバタバタ。
区役所で働く秀昭は、緑地化計画に力をいれ、その日も朝早くから出勤。
家族を送り出した聖子は、遺影の清貴を見つめて微笑む。

森田家に児童相談所の担当者たちがやってくる。
「この部屋を、智也には使わせるつもりでいます。」とさつき。
「なるほど。日当たりがいいですね!」
「智也君、カブトムシが好きなんですか?」
「ええ。」

「ご近所の方々には、母に力を借りて、智也の事は話してあります。」
「話されたというと・・」
「事件の詳細は伏せてありますが、施設に入っているということを。
 私のパートの勤め先にも、そのことは話しました。
 主人や母とも相談して、後で分かるよりも、先に話しておいた方が、
 智也の為になると思ったからです。」
「それで、反応は?」
「最初は驚かれましたが、皆さん、お子さんをお持ちのお母さん達なので、
 理解していただけて。 
 本当にありがたく思っています。」
「あの、学校のほうはどうなるんでしょう。」と敏江(藤田弓子) 。
「我々、児童相談所の方から、受け入れ先の校長先生にお話をします。
 先生方に対しては、校長先生の判断になりますが、
 児童や保護者には、伏せる事になると思います。」
「はい。」とさつき。
「あの、受け入れて下さる、学校は?」と敏江。
「それは施設の対処が決まってからに。」
「あの、智也は、いつ頃に?」と敏江。
「智也君の更正の具合と、保護者の環境など
 総合的に判断して決定しますので、
 今の段階では、まだ、何とも。」
「しっかり受け入れられるよう、最善を尽くします。
 よろしくお願いいたします。」
頭を下げて頼むさつきと敏江。

先輩社員の残業を快く変わってあげる和彦(山本太郎)。
「いつも悪いね。
 でもさ、ほんと良く働くよね。」
「いやー、頑張って働かないと。
 食べ盛りの息子がいますから。」和彦が笑う。
「そうだ。人事部の兼山さんが、休憩時間の時でいいから
 来てくれって。」
「わかりました。」

カブトムシの世話をしながら智也が死刑になると思っていたことを
考えるさつき。
「さつき、彩乃から絵葉書が来たわよ。」と敏江。
「彩乃から!?」
アフリカ象の写真のはがきには
『元気だよ。
 智也は元気?
 彩乃』
と書かれていた。
「3ヶ月ぶりの手紙がこれだもんね!」敏江が笑う。
「彩乃らしい・・。」さつきも微笑む。
「智也と彩乃、どっちが先に帰ってくるかしらね。
 この部屋を、二人で取りあいになったら楽しいのにね!」と敏江。

『前略
 彩乃、元気そうだね。
 こちらは、みんな元気にしています。
 あれから1年がたちましたが、智也はまだ施設にいて、
 でも、いつ智也が帰ってきてもいいように、準備はしています。
 彩乃に言われたこと、富田さんに教えられたこと、
 そして、被害者のお母さんが、言ってくれたこと。
 その気持ちに報いるために、しっかりと、生きていこうと
 思っています。』

森田家
「お母さん!和君、正社員になるかもしれないんだって!」
「え!?本当なの?和彦さん。」
「まだ正式に決まったわけじゃ。」
「でもそういう話出るだけでもね!」
「じゃあ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい!」

そこへ、電話が入る。児童相談所から智也の対処日が決まったとの
連絡だった。
「智也が・・・」

富田家
息子が散らかした漫画を片付ける富田(田中美佐子)。
「行ってきます!」
「あら?出かけんの!?
 せっかく休み貰ったのにー。」
「言ったじゃん。今日友達と遊ぶって。」
「え?そうだっけ?
 ちょっと何とかならないの?お昼食べに行こうよー。」
「やだよ、母ちゃんなんかと。」
「どの口がそんなことをぉ!」
「・・行ってきます。」
「あ、おいおい!ちょっとちょっと!」
「何だよー。」
息子の頬にチューする富田。
「何やってんだよぉ!」
「早く行っておいで!友達待たせるんじゃない。」
「ワケわかんねー・・行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」

富田の携帯が鳴る。さつきからだった。
「智也君のお母さん!?」
「ご無沙汰しております。
 お忙しいとは思ったんですが、智也の対処日が決まったので、
 お伝えしたくて。」
「そうですか!
 ・・1年以上、お母さんの元を離れて生活していたんです。
 愛情沢山注いであげて下さいね。」
「はい。そのつもりでいます。」
「また、何かあれば連絡を。
 ・・仕事としては、お会いできませんが、
 母親の先輩としてなら、何かお役に立てることも。」
「ありがとうございます。
 私、今度こそしっかり、智也を育てていきます。」
「そうですね。
 お母さんなら必ず出来ます。
 智也君の未来を、家族みんなで作っていってあげてください。」
「はい。
 それでは。」
「わざわざありがとうございました。
 それでは。」

「智也の・・未来・・。」
電話を切ったあと、さつきはそう呟く。

1ヵ月後
智也(嘉数一星)が施設から出てくる。
「智也・・」
「お世話になりました。」和彦が担当者に頭を下げる。
「おい。これからは親孝行するんだぞ。いいね。」と担当者。
「お世話になりました。」と智也。

「お帰り、智也。」とさつき。
「お帰り。」と和彦。
「・・・」
「これから、新しい生活が始まるけど、何も心配いらない。
 お父さんもお母さんも、ずっと智也の側にいる。
 そして智也と一緒に頑張るから。」とさつき。
「そうだぞ。
 俺達がついてる!」
「帰ろう!」
「・・・」

森田家
「お帰りなさい!」と敏江。
「おばあちゃん。お世話になります。」智也が頭を下げる。
「こちらこそ。
 さ、上がって上がって!」
靴を脱いだ智也は、ちゃんと靴を揃え直す。
その様子に複雑な表情を浮かべるさつき達。

「晩御飯はね、昨日、お母さんと一緒に、智也の大好きなものばかり
 用意したからね!」
「ありがとうございます。」
「すっかりお行儀良くなっちゃって。」敏江が笑う。

「そうだ。2階上がるか?自分の部屋見たいだろ?」
和彦は智也を部屋に連れていく。

階段を上がっていく智也を見つめるさつき。
「どうしたの?」
「智也、これからのこと考えると、たまらなく不安なんだと思う。」
「そうよね。
 学校にしろ何にしろ、慣れるまではね。」

智也の部屋
「お母さん、仕事がある日も、欠かさずにこの部屋を掃除して、
 お前が帰ってくるの楽しみに待ってたんだぞ。
 だから、リラックスしろ!ここはお前の家なんだから。
 誰にも気兼ねすることなんかない。」と和彦。
「・・・」
「そうだ!こっちおいで。
 こいつらもお前が帰ってくるのを楽しみに待ってたんだよ。」
カブトムシを見せる和彦。
初めて智也が笑顔を見せる。
その笑顔に嬉しそうに微笑む和彦。
「挨拶終わったら、下に下りてこいよ。」
和彦は先に部屋を出ていく。
智也の笑顔はすぐに消えてしまい・・。

小沢家
美帆子が帰宅する。
「もしかして、カレー?」
「そうよ。きよたんのジャガイモ入り!」と聖子。
「取れたんだ!!おいしそう!!」

「ただいま!」
「お帰りなさい!早かったのね。」
「仕事が一区切りついたから。」
「何か久しぶりって感じだね。パパと晩御飯食べるの。」
「そうだな。
 お!今日はカレーか!」
「そうよ。しかもきよたんのジャガイモ入り!」と聖子。
「取れたのか!そうか、こんなに沢山!」
「もう一年も経つんだね。」と美帆子。
「・・・去年のより大きいな!」じゃがいもを手に取る秀昭。
「確かに!おいしそうだよね!」と美帆子。

森田家
和江は電話で書道教室をやめたことを知人に報告しているのを耳にし
立ち止まる智也。
「あ!智也。丁度良かった。ご飯できたよ!」
「おいしそうだろ?じゃ、食べますか。いただきます!」
「いただきます!」
智也は箸を取ろうとしない。
「智也?」と敏江。
「・・いただきます。」
さつきは智也の様子を心配そうに見つめていて・・。

智也の部屋
ベッドで眠れずにいる智也。
さつきが様子を見に行くと、寝たふりをする。
さつきは智也の髪を幸せそうに撫でながら微笑み、
そして部屋を出ていく。

一人になると、智也はまた目を開き・・。
『お母さん、今度こそ智也を見失わない。
 もう二度と!』
さつきの言葉を思い出し、布団をすっぽりと被ってしまう。

和彦とさつきの寝室
「もう寝たか?」
「うん。小さく丸まって。」
「身に付いちゃったんだな、そういう生活が。」
「辛かったよね・・きっと、私達が想像できないくらい。」
「智也大丈夫かな・・飯もほとんど食べてないし、口数も。」
「和君・・私達、智也が何を考えているのか、何を欲しがっているのかって、
 腫れ物に触るようにしてきた。」
「さつき・・」
「それが、智也に伝わっているとしたら・・
 私達、変わらなきゃ。」
「変わる・・・俺達が?」
さつきが頷く。

さつきは智也を連れて学校に行く。
下級生の黄色い帽子に、智也は清貴のことを思い出し立ち止まってしまう。
「・・・今日は智也のスタートラインよ。
 だからって無理しなくていいの。
 普通にしていれば、自然に友達も出来る。
 おなかの底から笑えるってことだって。」
さつきの言葉に頷く智也。
「行こう!」

「どうぞ、よろしくお願いいたします。」
担任に深く頭を下げて頼むさつき。
「ご心配なく。よし、じゃあ行くか!」

担任と一緒に教室に入る智也。
担任がクラスのみんなに智也を紹介する。
「新しくクラスの仲間になる友達を紹介します。
 おい、自己紹介。」
「野口智也です。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いしまーす。」
「野口君の席はね、小原さんの隣ね。
 じゃ、野口君、そこに座って。」
クラスの子供達はもの珍しそうに智也を見つめ・・。

その日、美帆子は中学時代の友人たちとファミレスで会っていた。
友人の一人が携帯に夢中になっている。
別の一人がそれを取り上げて見てみると、
その掲示板には清貴を殺した犯人が東都小学校に編入したとの
書き込みが。
「・・・ごめん、帰る。」
美帆子は帰ってしまう。

小沢家
聖子が買物から戻ると、美帆子が泣いていた。
「美帆子・・・」

森田家
パートの仕事を終え急いで帰宅するさつき。
「ただいま!」
「お帰り。早かったわね。」
「お帰りって、智也に言ってあげたくて。」
「気持ちはわかるけど、急いで、今までの時間取り戻そうと
 しない方が。
 息切れをしちゃうと、智也の為にならないでしょ。」
さつきは母の言葉に素直に頷く。

そこへ智也が帰ってきた。
「お帰り!」
「・・・」
「どうだった?学校。」
「・・・」
「智也?」
「大丈夫。」

「智也お帰り!何か冷たいものでも飲む?」と敏江。
「今は・・」

小沢家
「忘れようとしてたのに・・
 どうして・・」と美帆子。
「美帆子・・・」
「どうして!?」
美帆子は聖子の胸に飛び込み涙する。

夜、森田家。
その日も、智也はほとんど夕食を食べなかった。
そこへ、和彦が帰ってきた。
「駅前で買ってきた! 
 通りがかったら目に付いちゃってさ!」
和彦はそう言いながら嬉しそうに買ってきた子供用Tシャツを
広げる。
「お!すげー似合ってる!
 今度学校に着ていけよ。」
「ありがとう。」
「あ、今度の日曜日休み取れそうだからさ、
 弁当持ってどこか行こうか?
 久々、家族水入らずで。」
「どう?智也。」とさつき。
「・・・」

「和彦さん、お風呂どうぞ。」と敏江。
「あ、すみません。
 智也、一緒にどうだ?」
「僕はあとでいい。」
「そうか。じゃあ・・お先。」

Tシャツを手に席を立つ智也。
「智也・・」
「宿題。」
智也はそう答え、二階に上がっていく。

智也の部屋
智也はTシャツをテーブルの上に置き、それを見つめ・・・。

小沢家
「小学校の名前が・・ 
 出てきたのか。たった1年で!
 で、美帆子は?」と秀昭。
「もう落ち着いて、眠っているはず。」
「そうか・・。
 いただきます。」

朝、無言で学校に出かけていく智也をさつきが呼び止める。
「智也・・」
「・・行ってきます。」
「いってらっしゃい。」

小沢家
「おはよう!」元気いっぱいな美帆子。
「おはよう。」
「ヤバいよ!朝練また遅刻!!」
「美帆子・・」と秀昭。
「大丈夫だよ、パパ。
 ショックだったけど、もう。」
「・・本当か?」
「うん!
 ママも心配しないで。
 行ってきます!」
「行ってらっしゃい・・。」

学校へ行く途中、公園で遊んでいた少年のボールが
智也の足元に転がってくる。
だが智也はボールを投げ返すことが出来なかった。
あの日の清貴のことを思い出したからだ。
母が自分と一緒に頑張ると言ってくれたこと、
祖母の書道教室の生徒が辞めてしまったこと、
父が日曜日どこかに遊びに行こうと言ってくれたこと、
そんなことを考え・・・。

その日、夕方になっても智也は帰ってこなかった。

智也は家庭裁判所にいた。
富田が智也の姿に気付く。

富田の知らせを受け、和彦が迎えにきた。
「はい。」
缶ジュースを差し出す富田。
「あ、温かいものがよければ何か他に?」
「・・・戻りたいんだ。
 施設に、僕、戻りたい。」
「・・・おばさん、その理由を聞けないんだ。」
「・・・」
「ほら、おばさん、智也君と何度も何度も話したでしょ?
 あれはね、お母さんから、智也君を預かっていたから。
 でも今おばさん、智也君をお母さんに返したの。
 だから、智也君が今思っていることを、お母さんに話してごらん?
 お母さんだって、きっと、智也君が話しかけてくれるのを
 待っているんじゃないのかな。」
「・・・」
「親子だってね、話さないとわからないこと沢山あるんだから。
 智也君が抱えているもの、お母さんならきっと受け止めてくれる。」
「・・・」

迎えに来た和彦に連れられ、智也が帰宅する。
「智也・・・」とさつき。
「さ、上がって。」と敏江。
「・・・」

「謝んなきゃな。心配掛けたんだし。」と和彦。
「・・・」
「智也?」と和彦。
「謝るのはあとでもね。
 お腹空いたでしょ?ご飯にしましょうね。」と敏江。
「僕・・ここにいちゃいけないんだ。
 だから、施設に戻りたくておばさんに。」
「戻りたいって・・」と和彦。
「僕は、お父さんやお母さんの側にいて、新しい服も買ってもらえて、
 美味しいものも食べられるのに・・・。
 だけど・・あの子は・・もう・・。」
「・・・ありがとう、智也。話してくれて。」とさつき。
「・・・」
「お母さん、智也が話してくれるのを待ってた。
 でも智也、智也が思っていることは、違うよ。
 どんな時でも清貴君のことを思う、その智也の気持ちは間違ってない。
 けど、智也が何もしちゃいけないってことじゃないの。
 いい?智也。
 これから先、智也は長い人生を歩んでいかなきゃならない。
 それは、笑ったり泣いたりして、色んなことを学んでいくことなの。
 もしそうしなかったら、智也は自分が犯した罪がどんなものだったのか、
 わからないままでいてしまう。
 それは智也の為にならないし、清貴君と、清貴君を失った
 お父さんとお母さんが、望んでいることじゃない。
 大切なのは、智也が清貴君の分も生きていくこと。
 生きて、今出来ることをすること。
 色んな経験をして、自分が何をしてしまったのか、知る事。
 そのためには、智也はここに、お父さんとお母さんの側にいていいの。」
「でも、僕がいたら迷惑が・・」
「迷惑って何言ってんだよ。」と和彦。
「ごまかさないで!わかっているんだ。」
「智也・・」
「知ってるんだ。
 おばあちゃんが書道教室を辞めたのも、
 お父さんが前の会社を辞めたのも、僕のせいだって。
 だから、僕はやっぱりここにいちゃいけないんだ。
 ここにいたら又迷惑が掛かって、」
「お前、もうよせ。」
「いいのよ、そんなこと誰も、」と敏江。
「いいんだ!僕わかってる!
 僕のせいなんだ!
 僕がいるから!
 だから、だから僕なんか生まれてこなきゃ良かったんだ!」
智也の頬を叩くさつき。
「生まれてきちゃいけない命なんてない! 
 どんな命だって・・生まれてきた意味があるの。
 智也がいなかったら、お父さんもお母さんも、生きていけないくらい、
 智也を愛しているの。」
「・・・」
さつきは泣きながら智也を抱きしめ・・。
「アイシテル・・・」
智也もさつきの胸で涙をながし・・。

「智也、眠ったみたいだ。」と和彦。
「私・・・」
「初めてだよな、智也を。
 でも、きっと智也には、さつきの気持ちは伝わったよ。
 智也だって、今まで溜まっていたものを吐き出せたんだと思う。」
「でも・・」
「子供の前じゃ、飾りなんていらないんだよ。
 たとえそれでダメだったとしても、何度でもぶつかっていけば
 いいじゃないか。」
「・・・」

智也の部屋
眠れない智也は天井を見つめ・・。

小沢家
朝、美帆子を起こしに行った聖子は、美帆子がいないことに気付く。

森田家
靴を履き玄関を出ていこうとする智也。
「・・行ってらっしゃい!」とさつき。
すると智也は振り返り、さつきの目を見て返事をする。
「行ってきます。」
そのことがさつきはとても嬉しくて涙する。

小沢家
「パパ!美帆子がいないの!!」

美帆子は小学校の前にいた。
目を凝らし、弟の命を奪った少年を探す。
「美帆子。」
「パパ、ママ・・。」
「見つけてどうするんだ?
 あの中にあの少年がいたら、どうするつもりだ?」
「・・・わからない。
 わからないけど、朝起きたらいてもたってもいられなくなって。
 でも、ここに来たら、顔も知らないのに何してるんだろうって
 思えてきて・・。」
「美帆子・・ママはね、こう信じたいの。
 あの子もきっと、私達と同じように苦しんでる。
 苦しんでいる子を憎んで、その先に何が生まれる? 
 ・・・何も生まれない。」
「ママの言う通りだ。
 憎むべき相手は、あの中にはいない。
 憎しみを持つ自分の中にしか、その相手はいないんだよ。 
 だからもう、あの子は、いない。」
「・・・」
「美帆子、ママ、見せたいものがあるんだ。」

学校
クラスメートにおはよう、と声を掛けられた智也は、
目を合わすことは出来なかったが、おはよう、と返事をする。

公園
「パパここ・・」
「今パパは、こんな公園を作っているんだ。
 家族が自然と集まって、子供達の笑顔が花のように溢れる場所だ。
 二度とあんな事件が・・被害者や加害者の家族が、生まれないようにと。
 きよたんは、色々な事をパパたちに気付かせてくれた。」
「美帆子が、私達に愛されてないと思いながら生きていたこと。」
「家族がバラバラになりかけたことも、何度かあった。
 だけどそのたびに、きよたんがパパたちを、
 つなぎとめてくれていたような気がする。
 家族の脆さも、尊さも。
 そして、親子の喜びも、みんなきよたんが教えてくれた。
 きよたんが亡くなった事を、無にしないためにも、
 しっかり生きていかなくちゃな。」
夫の言葉に頷くさつき。
「きよたん・・」と美帆子。
「きよたんが、これからも見守ってくれるわ。」
さつきはそう言い微笑み・・。

森田家
「ただいま。」智也が帰宅する。
「お帰り!」
「お帰り!」と和彦。
「お父さん・・」
「早く帰れたんだよ。
 智也、すんげー似合ってるよ、お前。」
自分が買ったTシャツを着てもらえて嬉しそうな和彦。
「今日は晩御飯まで一緒に遊ぼうか。
 そこに公園あるだろ?」
「僕、あの場所に行きたい。」
「あの場所?」
「・・・智也?」

3人は、事件現場へ。
あの看板は新しいものに帰られていた。
智也は手を合わせ、祈り始める。
さつきと和彦は頭を下げ・・。

1年後
病院の廊下、看護師に支えながら分娩室へと歩いていくさつき。
その後ろを心配そうに付いていく智也。
「大丈夫よ。お父さんと待っててね。」
智也が頷く。

分娩室の扉が閉まる。
「心配するな。
 お母さんは、お前を産んだんだぞ。
 今度だって無事に。」
「僕、あんな風に?
 お母さん、あんなに苦しんで。」
「お前だけじゃない。
 お父さんだってお母さんだって、ああやって生まれてきたんだ。
 みんなそうなんだぞ。」
「・・・」

分娩室から赤ん坊の声が聞こえてくる。
「産まれた!!」

3ヵ月後 森田家
赤ん坊をあやす夫妻。
「智也にそっくりだな!」
「そうだね。あの頃の智也もこうだった。」
智也が赤ん坊に手を伸ばすと、赤ん坊が智也の人差し指を
ぎゅっと掴む。
「・・・」
「わかるのよ、お兄ちゃんが!」とさつき。
智也の瞳には涙が。
「生きてるんだね・・。
 ・・・ごめんなさい。」
「智也・・・」
「ごめんなさい・・清貴君・・・僕は・・何てことを・・・。
 ごめんなさい・・。ごめんなさい・・。ごめんなさい・・。」
さつきは泣きながら謝り続ける智也を抱きしめ・・・。

『富田さん、ご無沙汰しております。
 早いもので、智也が我が家に戻ってから1年が経ち、
 この春から中学生になりました。
 まだ、未来への不安は抱いているようですが、
 最近では、少ないながらも友達を大切にするようになり、
 人との会話も少しずつですが、増えていっています。
 智也に対し、私は清貴君の分まで生きる事を、
 教え続けています。
 清貴君のお母様の、生きろ、という言葉に含まれた様々な思いを、
 今の智也に理解させるのは、難しいと思ったからです。
 ですが、生きていくことをお許しいただいた、小沢家の皆様への
 感謝の気持ちを忘れる日は、一日たりともありません。
 生きていくこととは何か。
 何が償いとなるのか。
 智也と共に、これまで以上に深く、考えていきたいと
 思っています。
 最後に、新しく家族が増えたことをご報告します。
 智也に弟が出来ました。
 もちろん、産む事に戸惑いがなかったわけではありません。
 新たな命に、十字架を背負わせてしまうこともわかっています。
 でも、授かった命のかけがえのなさを感じ、
 智也が未来へと目を向ける。
 その助けに少しでもなればと、思っています。
 そして、母として、愛する二人の子を見守りながら、
 私自身も、なすべき答えを探していきたいと思っています。
 富田さんには、大変お世話になりました。
 本当に沢山のことを教えていただき、感謝しきれません。
 ありがとうございました。
 野口さつき』

橋の上、道路を挟んだ通路を、野口家と小沢家がすれ違う。
どちらの家族も幸せそうに微笑んでいて・・。


施設から出てきた智也は、素直にさつきの胸に飛び込んでいく
ものだと思っていました。
まだ幼い智也は自分がした事とはいえ、色んなものを抱え、
それを吐き出すことが出来なかった。
どうしていいかわからずに頼っていったのは富田さん。
そして、施設に戻りたいと言い出した。

そんな智也に、富田は言いました。
「親子だってね、話さないとわからないこと沢山あるんだから。
 智也君が抱えているもの、お母さんならきっと受け止めてくれる。」

富田のお陰で自分の気持ちをさつき達に吐き出すことが出来た智也。
アイシテル。
さつきはやっと、智也にそう伝えることが出来ました。

そのあと、呆然と座り込むさつきがいました。
さつきが智也に手をあげたのは初めてだったんですね。

「私達、智也が何を考えているのか、何を欲しがっているのかって、
 腫れ物に触るようにしてきた。」

智也を迎える前に、さつきは自分たちが変わらなければと気付き、
努力し、行動を起こした。

「子供の前じゃ、飾りなんていらないんだよ。
 たとえそれでダメだったとしても、
 何度でもぶつかっていけばいいじゃないか。」

そんなさつきに掛けた和彦の言葉も素敵でした。
さつきも和彦も、親として大きく成長したんですよね。

被害者の母・聖子は、マリア様のようでした。
あんな風に憎しみを消すことが出来るなんて。

秀昭の心境の変化の描かれ方が、ちょっと物足りなかったかな。
家族が幸せな時間を過ごせる公園を作ることで、
心に変化が生まれたのでしょうか。

人を憎むことより、人を許すことの方が難しい。
憎しみを捨て去った小沢家、本当にすごいことです。
小沢家の変化がなければ、野口家が一歩踏み出すことは
出来なかったのかもしれません。

野口家の出産という展開にはびっくり。
きっと、智也に命の大切さを教えるために出産を決めたんでしょうね。

私ならどうしただろう・・。
そう考えさせてくれるドラマでした。



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公式HP

海容=海のように広い寛容な心で、相手の過ちや無礼などを許すこと。


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原作
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【キャスト】
野口 さつき - 稲森いずみ
野口 和彦 - 山本太郎
野口 智也 - 嘉数一星

小沢 聖子 - 板谷由夏
小沢 秀昭 - 佐野史郎
小沢 美帆子 - 川島海荷
小沢 清貴 - 佐藤詩音

富田 葉子 - 田中美佐子
富田 健太 - 吉川史樹

宮本(山崎画大)

森田 彩乃 - 田畑智子
森田 敏江- 藤田弓子

佐伯 正志 - 高山猛久
小泉刑事 - 小松和重

麻衣子 - 志村玲那
宏美 - 折山みゆ
野口真緒
猫背椿
ダンカン

【スタッフ】
脚本 - 高橋麻紀・吉本昌弘
原作 - 伊藤実 「アイシテル〜海容〜 前編・後編」
プロデューサー - 次屋尚・千葉行利
演出 - 吉野洋・国本雅広
音楽 - S.E.N.S. 「Forgiving」
制作協力 - ケイファクトリー


稲森いずみさんの主な出演作品



板谷由夏さんの主な出演作品


この記事へのコメント
ご無沙汰〜。(がんばってますね♪)

>野口家の出産という展開にはびっくり。
>きっと、智也に命の大切さを教えるために出産を決めたんでしょうね。
この展開には私も驚きました。
でも智也の成長に必要なことと分かり納得でした。

>私ならどうしただろう・・。
>そう考えさせてくれるドラマでした。
本当に、そう思います。
そういった意味では、聖子のキャラ設定に拍手を送りたいと思いました。

惜しむらくは、美帆子と健太がどこかで会って、「役者魂以来だね!」って表情を見せて欲しかった!

Fr:つばさにハマっている飯綱遣い…。
店の「ちりとて」手ぬぐいに注目よ♪
Posted by シャブリ at 2009年06月18日 08:28
一応・・・

>公園
「パパここ・・」
「今パパは、こんな公園を作っているんだ。
 家族が自然と集まって、・・・
・・・
 しっかり生きていかなくちゃな。」
夫の言葉に頷くさつき。
(聖子ですよ〜)

・・・見守ってくれるわ。」
”さつき”はそう言い微笑み・・。
(一応ね♪)
Posted by 飯綱遣い at 2009年06月18日 10:06
ちーずさんこんばんは、前半、智也が退所してきたときの腫れ物に触るような態度をとるさつきたちにイライラしました、家裁の決定で一年たらずで退所した智也、今回の事件は色々な要素が重なり起きてしまいましたが帰って来た智也の態度をみて叱る事は逆に萎縮させてしまいますが話し合うのが当然だと自分は考えました!一番小さなルールを家族の中で作ることが社会のルールを受け止める第一歩かな!この脚本だから後に黙って冨田に会いに行った智也を心配してのひっぱたくシーンが活きてきたのですが…

智也に尋ねてこられた富田のだした答えは素敵でした、自分だったら幼い子供が頼ってきたら少なくても自分の考えかたでアドバイスしてしまうかも…あなたの母親は全てを受け止めてくれる!私はあなたを返したなんて道が見えなくなった少年に怖くて言えないと思います!家族と向き合う事が最善だと考える信念、そんな事に気がついたときの思春期に差し掛かった息子の照れとの向き合いかたも素敵な女性に見えました!

「海容」の題名どうり聖子のさつきへの言葉は泣けるものが多くて…実際に当事者になったとき同じことが出来るかは自信ないけれど被害者と加害者の家族として子供を持つ母親の苦悩は十二分に伝わってきました、若い頃の話をするとバイクで出かけていく行く自分を帰って来るまで心配していた母親、この歳になってもスクーターで出かけると心配するみたいで気苦労をかけてます。男親と女親の違いも上手く表したドラマでした、稲森さんと板谷さんの母親役は自分の中でランクが上がりました!
Posted by けた at 2009年06月18日 20:22
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