2009年07月19日

リミット−刑事の現場2− 第2話

『偽善者』

問題刑事・梅木(武田鉄矢)の監視役を命ぜられた
啓吾(森山未来)は面白くない。

二人は公園を不法占拠していたホームレスが、
焼死した事件の捜査を命ぜられる。
啓吾は早々に事故死と判断するが、
「面倒な事件だから手を抜いてもいいのか」
と梅木は釘をさす。

やがて梅木の強引な捜査で、放火した実行犯が明らかになる。

そして、犯行を依頼した闇サイトを調べると、
無関心を装っていた住人との関係が分かり、
啓吾は彼らの心の闇を見る。

公式HPより『満月の夜に
 何かが起きるって噂知ってる?』
『火あぶりの刑が
 実行されるんだって』
『汚いものが全部燃えてなくなるんでしょう?』

パソコンや携帯電話から、掲示板への書き込み。

その後、公園内にあるホームレスの小屋に火が放たれ、
ホームレスは焼死してしまう。

公園に集まった野次馬は、苦しむホームレスを誰も助けようとせず、
笑みを浮かべながら携帯を向けている人さえもいた。

近所の住民は、公園に住み着くホームレスに迷惑していたらしい。
「丁度良かったじゃねーか。」と言い放つ刑事・太宰。
「それはちょっと言いすぎじゃ・・」と啓吾が言うと、
「ジョークだよ、ジョーク。」

全然冗談に聞こえないところが怖い。
町の人たちの平然とした様子も不気味です。


梅木と啓吾は、町内会会長(森本レオ)に話を聞きにいく。
公園には、ホームレスが入れぬよう柵が設置されていた。
「もうホームレスは入れないようにしてあるんですね。」
「しょうがないんですよね。
 子供達安心して遊ばせることが出来ないって
 町内の皆さん、本当に、困っておられましたからねー。」
「すみません、わざわざお越しいただいて。」
「いえいえ。定年退職で暇をもてあまして、それで、
 町内会長をやっている程度のものですから。」
会長は穏やかに微笑みながら答える。

町内でのトラブル、学校内でのイジメ、リストラの恨み。
梅木と組まされた啓吾は現場周辺を当たっていくが、
ホームレスは公園内で自炊をし、タバコを吸っていたこともあり、
「あれは火事だったんでしょ?」
「自業自得!」
「あんな所に住んでるから!」
と人々の関心も薄く、目撃証言もなかった。

警察も、事件性はない、と判断。
啓吾はホームレスの担当を外れ、東野課長(杉本哲太)の元、
麻薬捜査に加わることに。

「ずいぶん嬉しそうだな。
 早く捜査の仲間に入れてもらって。
 ここでいいとこ見せりゃ、東野さんに認めてもらえるぞ。」と梅木。
「そんなつもりはないですよ!」
「ホームレスなんてどうでもいいや、か。」
「あれだけ聞き込みしても別に事件性があるとは
 思えなかったじゃないですか!」
「だったら何故、付近の住民には聞き込みをやって
 仲間のホームレスに聞き込みをやらなかった!」
「・・・」
「お前も上の連中と同じだ!この事件を舐めてる!
 ホームレスなんか公園を不法占拠する違法居住者だと決め付ける!
 そんなヤツラのために、真面目に捜査するのは、馬鹿馬鹿しいんだろ。」
「・・・」

啓吾の家
梅木の言葉が引っかかった啓吾は、茉莉亜に話しかけられても上の空。
「俺何のために中央署に来たんだろうな。
 ・・ちゃんと仕事がしたいだけなのに。」
「今やってる事件を精一杯やるしかないんじゃないのかな。
 啓吾にしか出来ないことが必ずあるよ。
 私だって、あの事件の時、啓吾がいなかったらどうなっていたか
 わかんないし。」
「・・・」
「私は、刑事としての啓吾を尊敬してる。
 応援する。」

警察署
ホームレスの事件は打ち切りになったが、啓吾は事件を調べ直し始める。
すると伊坂(細田よしひこ)は、掲示板の書き込みを啓吾に見せる。
東野に再捜査を申し出る啓吾だが、相手にされず・・。

「おい、行くぞ!」と梅木。
「どこにですか?」
「麻薬の取り締まりだよ。」
と言いながら、梅木は公園内の防犯カメラの写真を見せる。
そこには笑みを浮かべる若者達が映っていて・・。

パチンコ屋
梅木はある若者たちに声を掛ける。
「この間、公園のホームレスの小屋が焼けた。
 そん時お前たち、どこで何をやってた?」
「さあ。」「そんなことあったっけ?」
「防犯カメラの映像によ、こういうのが映ってた。
 これお前たちだよな?」
「・・・」
「なあ、お前らじゃねーだろうな?まさか。
 放火犯っていうのはニタニタ笑って現場にかならず舞い戻ってくるって
 言うからな!」
「違いますよ!」「俺達は、掲示板の書き込みずっと見てて・・。」

梅木たちは、彼らが撮ったムービーを検証。
そして、梅木は若者の背後に立つ男の姿に気付く。
「こいつもしかして・・。」

その男・田宮は以前強盗窃盗傷害で逮捕歴があった。
最近サラ金に多額の借金を返したという情報もある。
梅木と啓吾は、最近田宮が通っているらしいネットカフェを
訪ねていく。

「田宮!!」
梅木は大声で名前を叫びながら、個室の扉を次々と勝手に開け、
田宮を探し始める。
仕方なく啓吾も個室を一つ一つ調べていく。
すると、田宮が個室から飛び出してきた。

店を飛び出していく田宮を追いかける二人。

物陰に隠れて啓吾が走り去るのを見送る田宮。
「バイバーイ!」
走り去る啓吾に手を振り、振り向くと、梅木がいた。
梅木は田宮の腹を一発殴りと、
「田宮!」とニッコリ。

この笑みが怖い!

事件当日のアリバイを確認する梅木たち。
田宮はネットカフェにいたと言う。
「勘弁して下さいよ。
 大体なんで俺がホームレス燃やさないといけないんですか?」
「じゃあ何でさっき逃げた?」と啓吾。
「そりゃ・・刑事さんが、大きな声で怒鳴るからですよ。」
「・・・」
「ねえ、俺がやったって証拠はあるんですか?」
「社会に不必要なものは何でも処分します。
 お悩みの方ご相談下さい。
 アドバイス料、2万より。
 さっきのネットカフェでお前の部屋のパソコン調べてみたら、
 こんなもんが、出てきた。」
「冗談ですよ。こんなの本気でやると思います?」
「事件の一ヶ月前に同じサイトにこういう書き込みがあったってことも、
 わかってる!」

『お仕事あります
 不法に放置されている粗大ゴミを、
 撤去して頂けますか。
 08/12/22 22:07』

「だから何です?」
「そいつに頼まれてお前が火をつけた。
 このライターで、お前が火をつけた!」と梅木。
「知りませんよ、いい加減にして下さいよ!
 これは任意でしょう!?
 そんな質問答える必要ないし。帰りますよ!
 失礼しまーす。」
「待て!」
田宮の腹を殴りつける梅木。
「梅木さん!」
「こんなことしてタダで済むと思ってんのか、テメー!」
「うるせー!」
「本当に訴えるぞ!」
「被害者は熱かったろうな!
 被害者は、苦しかったろうな!」
梅木は田宮を背後から押さえつけ、田宮の目の前でライターの火を
ちらつかせる。
「梅木さん!!」
「邪魔するな!
 同じ目に遭わせてやっからな。
 熱かったろうな、おい。
 被害者は、苦しかったろうな。熱かったろうな!」
「熱い!熱いよ!!」

見かねた啓吾が二人にバケツの水を浴びせる。
「いい加減にして下さいよ!梅木さん!!」

「まさか死ぬとは思わなかったんだよ・・。
 許してくれよ!
 俺は頼まれただけなんだよ!!」
田宮が白状する。

梅木のやり方を責める啓吾。
「ああいうヤツは、放っておくと悪さするんだ。
 刑務所に入れることが一番いいんだよ。」と梅木。
「梅木さんのそういう考え方が周囲にどれだけ迷惑掛けてるか
 わかってない!
 課長にこれが又知られたら大変なことになりますよ!」
「言いたきゃ言えよ!
 東野に褒めてもらえるぞ。
 報告書に俺の悪口書けば、出世できるかもな。」
「・・・俺、梅木さんのこと誤解していましたよ。
 犯人を捕まえる時にはどんな手段も選ばないとかいうけど、
 結局そういう自分の勝手な思い込みで人に迷惑をかけたり
 傷つけたりしているだけでしょう!」
「何だと?」
「本当はきっとあなたのことを優しい人なんだろうなと思ってきたけど、
 そうじゃなかった。
 単に凶暴で人をいたぶったり苦しめたりするのが好きなだけだ。」
「・・・」
「俺は絶対に間違っていると思いますよ、あなたは!」
そう言い立ち去る啓吾。
梅木は窓ガラスに映った自分の顔をしばし見つめ、
ハンカチを投げつけると、「フンっ。」と鼻で笑う。

翌日、啓吾は東野に、放火事件の実行犯が見つかったと報告。
「主犯がいるようです。正式に調べたいんですが。」
「まさか梅さんヤバいことしなかったろうね?」
「・・・いえ。何も。」
「・・・わかった。もういいよ、お疲れさん。」
「それはどういうことですか?」
「それだけじゃまだ事件と言えるかどうか疑問だ。」
「被疑者が自白したんです!ある男から放火を依頼されたって。
 そのメールの相手を調べれば主犯が誰かわかるはずなんです!」
「例えそうだとしても、あのメールの内容じゃ、
 逮捕するのは難しいって言ってるんだよ。」
「どうしてですか?」
「自分は、粗大ゴミを始末してくれって頼んだだけで
 殺してくれとは言っていない。
 そいつがそうシラを切ったらそれまでだ。」
「・・・いやでも、」
「状況証拠だけじゃ逮捕出来ないことは常識だろうが。
 俺達はな!麻薬の方で必死なんだよ!
 めんどくさいこと持ち込むんじゃねーよ!」と太宰。
「・・・俺は!
 事件に面倒臭いものなんて・・一つもないと思います。」
「何?」
「被害者や家族に、同じことが言えますか?
 俺の知り合いに、突然、大切な人を失った人が、います。
 将来を共に生きようとしていた人が、突然、目の前で、
 何の意味もなく、殺されたんです。
 何とか立ち直ったように見えても、
 まだ事件の事が忘れられずに、苦しんでいます。
 俺達刑事も、その、不条理に殺された人たちの悔しさや、
 悲しさ、残された人たちの辛さや、やりきれなさを、
 忘れちゃいけないんじゃないでしょうか。」
啓吾は、茉莉亜の恋人が彼女の目の前でひき逃げされたことを
思いながらそう話す。
「・・・」
「・・失礼します。」
啓吾が立ち去ると、梅木が呟く。
「バーカ。」

考え込む啓吾に、筒井薫(若村麻由美)は飲みかけのイチゴ牛乳を
差し出す。
「むしゃくしゃする時はこれが一番よ。」
「・・いいです。」
「チキショー。間接キス出来ると思ったのにー。」
「・・・」
「あんた、すぐ感動して泣くタイプでしょ?
 運動会のリレーで、クラスが一番になった時とか、
 卒業式で、部活の先輩と別れる時とか、
 真っ先に泣かなかった?」
「何ですかそれ・・」
「でも・・嫌いじゃないよ私。そういうタイプ。
 何なら、結婚する?」
「・・・いや。」
「そんな分かりやすく困らないでくれる?
 せめて何で、私みたいな女が、独身なのか聞く気にならないわけ?」
「・・・なんでなんですか?」
「簡単に言うと、男の趣味が悪いのよね。」
「・・・梅木さんとも付き合ってたんですか?」
「そんな!そこまで趣味悪くないわよ私も!」
「あの人は・・結婚とかしてるんですか?」
「・・・昔、結婚を考えていた人がいたけど・・
 死んじゃったのよ。」
「・・・」
「ああ見えて、結構ナイーブで真っ直ぐだったから、
 その人のこと、忘れられないのかも。
 あれ?今気が付いたんだけどさ、 
 あんた、似てるかも。若い頃の梅さんに。」
「・・・やめて下さいよ。」

啓吾を呼び出す伊坂。
「例の実行犯にメールを送って、放火を依頼した相手、
 ちょっと調べちゃったら、わかっちゃったんです。」
「え!?」
「どうします?
 勝手に捜査して、課長にバレちゃったらまずいし・・。」
「・・・」

公園
啓吾はベンチに腰掛け、子供達が遊ぶのを眺める町内会長の隣に座る。
「よくいらっしゃるんですか?この公園には。」
「あ、まあ、はい、昔から、この公園で遊んでいる子供達見るのが、
 大好きでしてね。」
「・・・例の、火事の件ですが、放火だとわかりました。」
「・・あ、そうですか。」
「犯人は、この男なんですけれど・・
 見覚えは、ありますか?」
「いえ。なぜ、あんなことやったんでしょうね。」

そこへ梅木がやって来た。
「あんたに、頼まれたからだと言ってな。
 そいつの携帯には、あんたとのメールのやり取りが
 全部残ってた。
 報酬としてあんたから、30万もらったとも言っている。」
「・・・署まで、ご同行願えますか?」
「・・・私の・・せいじゃない。
 私の、せいじゃないんだ!
 ずいぶん前から何度も何度も、お願いしてたんですよ、
 何とかして下さいと!
 でも、警察も、役所も、生返事で先送りばっかりで、 
 何もしてくれなかったじゃないですか!
 ホームレスというのはね・・みんなの公園を不法占拠している、
 いわば・・犯罪者なんですよ!
 大体、ホームレスの家ったって、ただのゴミの山でしょうが。
 そんなもの、どう整理して、掃除しようが、いいじゃないですか。
 なぜ、罪に問われなきゃいけないんだ!」
「中に人がいることもわかってて放火を依頼したんでしょ?」と啓吾。
「・・・」
「殺してしまう可能性があったってことも、わかってたんじゃないんですか?」
「・・・」
「罪を認めて、自首してもらえませんか?」
「・・・この公園はね・・みんなで作ったんですよ。
 まだこの町に、公園も、遊び場もなかった頃、
 子供達は危ないのに、道路で遊んでいて・・
 私の孫はね・・車にはねられて・・大怪我を、負ったんですよ。
 二度とそんなことがないようにと、この町になんとか、
 公園を作ってきた。
 だから・・この公園が出来て、
 街の皆さんがね、楽しそうに遊んでいるのを見て、
 涙が出ました。
 この公園は、町の人たちの為にあるんです。
 ホームレスなんかのねぐらにする為にあるんじゃないんです!
 いいじゃないですか。あの人たちの一人や二人死んだって。
 誰が困るんですか!」
「・・・」
「失礼しますよ」
「なあ!
 あんたの言うとおりかもしれねーな。
 あんたのその理屈、聞かせたいやつがいる。
 ちょっと、付き合ってもらおうか。」
会長の胸倉を掴む梅木。
「乱暴はよしなさいよ。」
「付き合ってもらおうか。」
「・・・」

梅木は会長を、病院内の遺体安置所に連れていく。
「あんたが殺した男だ。
 身元がわからないから明日、福祉課に引き取られて
 こいつはもう一度火葬場で焼かれる事になる。
 弔うやつがいないから葬式も何もねー。
 ほれ、俺達で手向けの言葉を送ってやろうぜ。」
「・・何を言ってるんだあなたは。」
被害者に背を向けて立つ会長。
「ほらもういっぺんさっきのこと言ってやれよ、こいつに。
 え?お前なんか死んだって、悲しむやつは誰もいない、
 お前なんか、社会の厄介者だ、
 公園を不法占拠している犯罪者だ、
 死んで当然だって言ってやれよ!
 言ってやれよ、早く!」
「・・もう、十分だ!!
 出してくれ、助けてくれ!誰か!」
「もう一度さっきのこと言ってやれよ!え!?
 散々偉そうな理屈並べやがって、こいつはゴミか?違う!
 こいつは人間だ!
 こそこそ妙な事チンピラに頼まないで公園を綺麗にしたければ、
 自分の手汚して掃除すれば良かったんだ!
 こいつのダンボールの家に火をつけるんだって、
 堂々と火付けますよとこいつに言えば、
 こいつだって逃げる暇があった。え?
 生きてる価値はねーって言ってやれ、ほら!
 言ってやれ!早く言ってやれよほら!」

「梅木さん、もういいです!
 ・・俺も、あなたと一緒ですよ・・。
 ホームレスなんて、仕事もせずブラブラしているただの怠け者だって、
 俺だったら、あんなみっともない姿にまでなって、
 生きていようとは思わない。
 だったら・・死んだ方が・・マシだって。
 俺があなたでも・・同じような事を考えたかも・・しれません。
 でも・・でもね、やっぱりそれって、間違っていると思いません?
 だって・・あんなやつ死んじゃえって、みんな殺してたら、
 それこそ、それこそ動物と変わんないですよ。」
「・・・」
「大変なことだったかも・・しれないですし、
 簡単じゃなかったんだと思いますけど、
 あなただったら、ホームレスとか、色んな人たちとちゃんと話をして、
 何とか、何とかいい解決方法を見つけられたんじゃないんですかね?」
「・・・」
「俺達、人間なんですよ。」
「・・・」涙を流す会長。

「あんた、長いこと生きてきた割には大事な事を忘れてる。
 人間は、死ねば消えていく。
 だが、殺された人間は消えない。
 殺された人間は・・・死なねーんだ。
 殺した人間の側でずーっと生きてる。」
「・・・」
「ここで、罪を認めて、ここから人間らしく生きるか、
 それとも・・ここから逃げて、偽善者として生きていくか。」
「・・・」
「選べ!」
「・・・」
部屋から逃げ出そうとした会長は、立ち止まり、泣きながら訴える。
「私だけじゃない・・。
 みなさんも・・賛成してくれたんです・・。」

町内会長の提案に、町内会の人々は賛同し、
掲示板に例の書き込みをしていたのだ。

実行犯を伴った現場検証を見つめる町内の人々。
「町内会長さんも怖いことするわよねー。」と口々に噂する。

「どいつもこいつも・・勝手なもんだな。」と梅木。
「何なんすかね・・俺達の仕事って。
 何ですかね、刑事って。
 何なんですかね・・。」と啓吾。
「刑事を長いことやってると、わかる。
 人間の、善意や、良心なんて当てにならない。
 俺達の仕事は、人を憎むことだ。
 人を本気で憎んで憎んで、憎みきる。
 それが刑事の仕事だ。
 人を愛することじゃない。
 ・・お前には向いてねーな。
 人間は、もう、だめかもしんねーな。」
「・・・」

「偽善者が!」
「知ってるのよ、あんたの本当の正体!」
悪夢から覚める啓吾。

「また夢見た?」と茉莉亜。
「・・・何か、不安になって。
 こんな世の中に生まれてきて、本当に幸せなのかな。
 その子・・。」
「・・・私もたまに怖くなるときがある。
 自分みたいのが母親になれるのかなって。
 啓吾やこの子のことを、幸せに出来るかなって。」
「茉莉亜はいい母親になる。」
「そうかな。」
「・・・茉莉亜は本当に俺と結婚したい?」
「え?」
「俺といて幸せ?」
「当たり前でしょ。」
「あの絵を描いてもらった頃より?」
「・・・」
「・・ごめん!今のなし!今のなし!」
「ねえ、啓吾が置いておこうって言ったからそうしたけど、
 私は別に捨てても。」
「俺あの絵好きなんだもの。
 茉莉亜がそんな簡単に彼の事忘れられると思ってないしさ。」
「・・・」
「俺は、茉莉亜が側にいてくれるだけで幸せだから。」
「・・・」
「一緒にいてくれるだけでいいから。」
「・・・」
「本当だよ。」
「・・・」

放火事件に町内会長が関与か?と新聞に記事が載る。
中央署は麻薬取締りの数字が伸びず、太宰らは機嫌が悪い。

そこへ梅木が男を引き連れやってきた。
「職務質問をしましたら、大量の大麻を持っておりまして
 現行犯逮捕しました。
 こいつを締め上げれば相当な組織にたどり着けると思います。
 取調べを開始します。」

啓吾は東野に呼び出される。
「本部から散々嫌味言われたよ。
 お前はちゃんと捜査の指揮をやっているのかと。」
「・・・」
「言ったよな。
 梅さんが勝手な事しないように見張ってろと。」
「・・・」
「それとも今回は二人で力を合わせてやったとか?」
「・・・」
「これからは何かやる前に必ず知らせろ!
 お前達のせいで迷惑を被るのはもう御免だ。
 これは命令だ!」
「・・・課長!」
「・・何だ。」
「課長は何のために刑事をやっているんですか?」
「何?」
「また生まれ変わっても刑事やりますか?」
「・・・」
「教えてください。
 課長は何のために刑事をやっているんですか?」
「それは・・私の命令には従えないという。」
首を横に振る啓吾。
「俺はただ・・梅木さんと出会ってわからなくなっただけです。
 俺は一体どんな刑事になりたいのか。」
「・・・」

梅木のロッカールームを調べる啓吾。
そこには殺人未遂、暴行、傷害などのファイルが山積みされていた。

ロッカールームを出た啓吾は、梅木を見つけ、声を掛けようとする。

「梅さん。」啓吾よりも先に東野が声を掛ける。
「・・・」
「もしかして、加藤を自分のような刑事にしたいと思っているんじゃ
 ないでしょうね。
 それとも、昔の部下が課長になったことへの宛て付けですか?」
「いや、人間出世すると色々考えて、大変だな。
 ストレス溜まるだろ。」
「あいつもうすぐ出てくるみたいですよ。仮釈放が決まって。」
「・・・」
「いくらあなたの婚約者を殺した男でも、あれから18年も経つんです。
 まさか本気で殺そうなんて思ってないでしょうね?」
「・・・殺す!
 俺はそのために今日まで生きてきたんだ。」

啓吾は二人の会話を隠れて聞いていて・・。


今回も見ごたえありました!

第1話では、加害者と被害者の父。
第2話では、加害者と亡くなった被害者。
梅木は両者を引き合わせました。

現実的にはあり得ない方法だとは思いますが、
犯人に罪の重さを受け止めさせるには、
一番効果的だと思える方法を、梅木は実行してしまうのですね。

「あんた、長いこと生きてきた割には大事な事を忘れてる。
 人間は、死ねば消えていく。
 だが、殺された人間は消えない。
 殺された人間は・・・死なねーんだ。
 殺した人間の側でずーっと生きてる。」

このセリフも凄いです。すごく納得させられました。

森本レオさんの穏やかな笑みに、最初から犯人は彼なのだとは
わかりましたが・・
まさか、町内会の人々もグルだったとは!

町内会長のことを人事のように話す彼らは、罪に問われないのか?
会長がどう自白したのか気になります。


第1話のタイトルは『悪魔』。
それは、自分より弱い相手を無差別に刺し殺した犯人であり、
犯人に憎しみをぶつける梅木でもあった。

今回のタイトルは偽善。
町内会長の偽善の心と、啓吾の心の中に抱える何かが
リンクされているのでしょうね。

啓吾が夢に魘されるシーン。
第1話では、自分が茉莉亜の恋人にナイフをむける夢。
第2話では、「偽善者が!」「知ってるのよ、あんたの本当の正体!」
という人々の声。

偽善者と呼ばれる夢を見て魘されるのは、
きっと、啓吾自身に心当たりがあるから。

「ここで、罪を認めて、ここから人間らしく生きるか、
 それとも・・ここから逃げて、偽善者として生きていくか。」

梅木のセリフと重ねてみると、啓吾も何かから逃げ出し、
偽善者として生きている?

茉莉亜の恋人は茉莉亜の目の前で青信号を渡ろうとした時に
ひき逃げされてしまっていた。
その車を運転していたのが啓吾で、
罪の意識から茉莉亜を支えてきたということ?

正義感溢れる啓吾はそんなことはしないか。
刑事ドラマとして今後シリーズ課が終わってしまうのも寂しい。

茉莉亜の恋人を殺した犯人と何らかのつながりがあるのかな。
その負い目から茉莉亜をサポートするようになり、恋に落ち・・
そのことを茉莉亜に告白出来ずに苦しんでいるとか。


梅木の、犯人に対しての執念。
田宮の顔にピンと来たのは、ロッカールームにあった書類全てに
目を通し、記憶しているんでしょうね。
放火事件を捜査して、麻薬犯まで単独で捕まえてしまう。
優秀さの裏には人に見せない努力があるんでしょうね。


梅木が犯人をギリギリまで追い込み、
啓吾が犯人の思いに同意しつつ戒める。

梅木と出会い、梅木の言葉に、自分の信念が揺らぎ始めた啓ですが、
最強のチームワークが出来上がってしまっているようです。

梅木の愛する人の命を奪った犯人が、もうすぐ出所する。
その時、梅木は、啓吾は、どんなセリフを発するのだろう。
今からとても気になります!

けたさん、シャブリさん、
第1話の梅木のセリフの訂正ありがとうございました♪



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・梅木の行動
第1話
加害者と被害者の父。
第2話
加害者と亡くなった被害者。

・啓吾が見る悪夢
第1話
茉莉亜の恋人にナイフをむける自分の夢。
第2話
「偽善者が!」
「知ってるのよ、あんたの本当の正体!」


・啓吾が犯人に掛けた言葉
第1話
「君は一人じゃないから!」
「俺に何か出来ることがあったら、いつでも言ってくれないかな。」
「俺は、ここにいるから。」
第2話
「大変なことだったかも・・しれないですし、
 簡単じゃなかったんだと思いますけど、
 あなただったら、ホームレスとか、色んな人たちとちゃんと話をして、
 何とか、何とかいい解決方法を見つけられたんじゃないんですかね?」
「俺達、人間なんですよ。」



公式HP

B002AD9VFUCOME ON!斉藤和義ビクターエンタテインメント 2009-08-05by G-Tools


B001859AR0刑事の現場 DVD-BOX寺尾聰, 森山未來, 石倉三郎, 池脇千鶴POLYDOR(P)(D) 2008-06-25by G-Tools



キャスト
加藤啓吾(28):森山未來
青井茉莉亜(29):加藤あい
東野恵一(44):杉本哲太
伊坂 聡(24):細田よしひこ
細見監察官:本田博太郎
筒井薫(44):若村麻由美
太宰満(55):伊武雅刀
梅木 拳(59):武田鉄矢

黒川真治(38):?

第2話
 森本レオ
 榊英雄



スタッフ

作   
 遊川和彦
音楽
 coba
制作統括  
 磯 智明
演 出 
 渡辺一貴 
 松浦善之助



森山未來さんの主な出演作品



武田鉄矢さんの主な出演作品


この記事へのコメント
ふう・・・
「華麗なるスパイ」の諜報部に勤務する、青いコスチュームの女性たち(=ファッションモデルさんたち)に時間をとられましたが、やっとリミットを見ることが出来ました。
あ、まあそんなことはどうでもいいか・・。

今回も期待通りの迫力と説得力の武田さんでしたわ〜。
こんなに見入ってしまうとは…、「白い春」に匹敵する感覚でした。

もうご覧になったかもしれませんが、
公式サイトの動画、記者会見で若村さんが言っていた「ト書き」の話。
www.nhk.or.jp/nagoya/keiji2/movie/index.html
思い出しながら劇中の若村さんの演技を見るのも、このドラマの楽しみ方の1つ。なんて見方もしています。
Posted by シャブリ at 2009年07月20日 13:28
ちーずさんこんばんは、今回も武田さんの迫力ある演技に見入ってしまいました!

悪人を徹底的に憎む梅木がルールを破った捜査方法をする矛盾は婚約者を殺された過去があったからなのですね、悪魔の顔を維持する根源がガラスに写った自分の顔に投げつけられたハンカチが表していたようにみえました、罪を償った犯人を殺すために刑事を続けてきたと言う梅木、法廷では弁護士によって隠された事実を被害者の関係者は捜査に加われないと外され、自力で調べた事実があるのかな?ロッカーに隠した犯罪者の資料は独自の捜査をしても刑事の立場を守るための手段、犯人が出所するまで刑事は辞めないの意志かな、課の連中が右往左往するなか単独で麻薬の売人を捕まえてくる梅木の執念や感は凄いですね!

今回の事件も深かったですね〜公園が無い時に自分の子供が大怪我をしてしまい皆の協議で作られた公園、そんな公園を不法占拠したホームレス、火に包まれる姿を見物しムービーを撮る若者と住民、実行犯は過失致死に問われると思いますが、ドラマの内容では殺意を認めないと町会長は起訴できないかもしれませんね、住民たちが書き込んだ掲示板を調べても無理でしょうね〜自分たちが追い込んだ町会長を卑下する民衆の悪びれない怖さが伝わってきました!

啓吾の悪夢が気になりますね!正義感の強い啓吾が轢き逃げをするとも思えないし、偽善者とは?捜査にあたった啓吾が最愛の人を失った茉莉亜の心に入り込んだ事でしょうか、それとも友人だった茉莉亜の恋人が亡くなりそれまで抑えていた愛情をぶつけてしまった事なのか?

伊坂役の細田さんがこのままでは端役になってしまいそうです!エピソードがあることを期待!
Posted by けた at 2009年07月20日 20:31
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