2009年12月31日

29歳のクリスマス 最終話

『誰のものでもない、私の人生』

コーヒーショップで朝食を食べる典子と木佐。
「どうするの?設計技師の人。」
「代わりを探すよ。
 それにそれ以外にも色々とあってね。」
「何?」
「協力してくれるって言ってた人間が、
 何人か手を引き出したんだ。」
「どうして?」
「木佐製作所と事を構えたくないんだろう。」
「どうするの?それで。」
「・・ここまで来たんだ。何とかなるよ。」
「何とかなるの?」
「大丈夫。俺には君がついているから。」
典子は木佐の言葉に明るく微笑む。

木佐の車で新谷家に戻った典子。
丁度彩も戻ってきたところだった。
「ただいま。」と典子。
「おかえり!」
「休み?」
「久しぶりにね。」
「ほぅーっ。」

彩は典子にヘッドハンティングしてきた会社から
電話があったことを伝える。
返事にまだ迷っている典子。
「断っちゃえばいいじゃない。
 木佐さんと結婚するようなことになったら、
 店長なんてやってられないでしょ。」
「そんなことわかんないよ、まだまだ。」
「大丈夫だよ、典子!
 人生悪いほうに考えない方がいいよ!」テンションの高い彩。
「・・・」
「あ、お昼ご飯食べる?」
「いい、朝遅かったから。」
「え?朝遅かったって・・。」
照れる典子と一緒になって喜ぶ彩。

そこへ、賢が香奈を連れて帰宅。
「・・色々と、ご迷惑かけて、すみませんでした。」
と香奈はしおらしく典子たちに謝る。
「俺さ、こいつの両親に会ってきたんだよ。」
「え・・」
「そんなところまで話進んじゃったの?」驚く二人。
「少しでも早く仙台に行きたいって言うからさ。」
賢はそう言うと、香奈を先に自分の部屋に行かせる。

「あれさ、ほかに結婚する相手いるって言ってたんじゃないの?」と典子。
「うん。自分でケリつけてきたよ。
 気持ち決めるとあいつやること早いんだわ。」
「・・・」

2階から聞こえてくる楽しそうな笑い声。
二人は着になってたまらない。
二階が急に静かになり、二人はエッチな想像をし
こっそり覗きに行くと、
ベランダに出ていた二人に見つかってしまい、
慌てて一階へ降りていく。

「典子。」
「うん?」
「浅葉、ボストンに行ったの。」
「いつ?」
「うん、昨日。」
「奥さんも一緒?」
「ううん。一人。」
「・・彩、あとからついていくって言った?」
「言わない。」
「どうして?」
「いやだから、やっぱり。」
「うん。そっか。
 彩がそれでいいなら、いいんだよ。
 彩の気持ちがそれでケリがつくなら、いいんだよ。」
「うん。ついた!」彩の晴れやかな顔。
「よしよし。良かった良かった!」
「典子もさ、転職するなんてごちゃごちゃ考えてないで、
 木佐さんと一緒になることだけ考えていた方がいいよ。」
「・・・彩?」
「うん?どうしたの?」
「そっちこそどうしたの?
 この間まで彩ここで、グジュグジュグジュグジュ。
 幸せなのは典子だけよー、なんて言ってたくせに。」
「人の幸せ僻んでもしょうがないでしょう?」
「・・・」

快食倶楽部
事務所からヘッドハンティングされた会社に連絡する典子。
「例の、件なんですけれども・・
 他にも色々と、決めなきゃいけないことがありまして、
 もしもお急ぎでしたら私、辞退させていただこうと。
 いえいえ、そんな実力私にはありませんから。
 待っていただけるのは大変嬉しいんですけれど、
 すみません、ご迷惑をお掛けして。
 ありがとうございます。」

店に賢がやってくる。
「彩のことなんだけどな。」
「あ、いいよいいよ、もうそんなこと気にしないで。
 あれはさ、私が勝手に仕切って、
 彩のこと仙台に連れてけとか言っちゃっただけなんだから。」
「そうじゃなくてさ。
 彩さ・・なんか様子変じゃないか?」
「変って?」
「浅葉、向こうに行っちゃったのにさ、
 なんか変に明るくないか?」
「ああ、それは私も思った!」
「・・・この間な、妊娠検査薬持っててさ。」
「妊娠検査薬!?」
「昔ほら、俺がお前に買ったやつだって、彩は言うんだけどさ。」
「子供できたのかな、彩。」
「・・え?」
「浅葉さんの子供!」

典子は彩の職場を訪ねていく。
「どうだった?妊娠検査薬の結果。」
「・・・」
「私の昔のヤツなんて、思い出したくもないから、
 引越しの時に捨てちゃったもん。
 で、どうだった?」
「・・・」
「隠してても、わかることだよ。」
「陽性だった。」
「・・・あ・・そう!そっかぁ!
 やっぱりねー。」
「え?」
「それで彩はこの間から、ウキウキしてたんだ。 
 彩、大腕振って浅葉さんと一緒になれるじゃない!」
「アハハ。」
「奥さんのことがどうとか、そんなの一気に吹っ飛んじゃうじゃない。」
「・・・」
「気持ち決まったんでしょ?」
「うん。」
「うん!うん!!
 賢ちゃんにも言っとく!」
「え・・」
「賢ちゃんね、彩が最近妙に明るいって、
 逆に気にしてたよ。」
「・・新谷には言わないで欲しいの、典子。」
「何で?」
「あいつさ、一人で幸せになるの気にしてるからさ、
 今私妙に心配されたくないの。」
「そっか。」
「そっとしてほしいんだ、今は。」
「わかったよ。頑張んなよ!」
「頑張る!」

帰り道、典子は本屋に立ち寄り・・・。

仕事に戻った彩、その表情は複雑で・・・。

快食倶楽部
「店長!」
「はい!」
部下に頼られ元気に返事をする典子の笑顔が輝く。

『みんなが幸福
 それが
 一番いい』


カフェで会う賢と上野。
「何だ?俺に話って。」と賢。
「上越香奈が、前島に結婚の話を断ってきた。」
「・・ああ。」
「お前と一緒に仙台に行くって。」
「そうだよ。」
「お前・・どんな手使ったんだ。
 どんな手使って彼女たぶらかしたんだ?」
「・・・手なんか使ってないよ。
 上野。」
「何だ?」
「お前は、勉強も出来たしいい会社にも入って、
 俺たちの間じゃ一番の出世頭だ。」
「それがどうした。」
「でもな、お前にはわからないことが人生には
 色々とあるんだよ。」
「・・・」
「じゃあな。」
伝票を手に席を立った賢だが、上野の元に戻って言う。
「俺香奈を愛してるんだよ。」

バー
典子が到着すると、木佐は真剣な表情で考え込んでいた。
「上手くいってないの?仕事。」
「どうして?」
「後姿でわかる。」
「・・・負けたよ。」
「え?」
「親父に負けた。
 鋼材の取引先までが、断ってきた。」
「・・・50億の借金を抱えて、立ち往生することになるの?」
「・・・」
「もし失敗したらそうなるって。
 どうするの?」
「親父が負債を、全部肩代わりするって言ってる。
 悔しいけど、それ以外方法はないんだ。」
「・・・そう。」
「俺が家に戻るっていう条件で。
 でも俺のほうも、親父に条件を出した。」
「条件?」
「君と結婚することだ。
 君に会いたいって親父が言ってる。
 一度家に来てくれないか?」
「・・・」
「借金の肩代わりだけはさせておいて、
 向こうの条件を聞かないってわけにはいかないからね。」
「・・・そうよね。」
「その代わり、こっちの条件も、絶対に譲らないつもりだ。
 頼むよ。親父に会ってくれ。」
「・・・」

新谷家
「やったじゃない、典子!」
「まだどうなるかわかんないよー。」
「大丈夫だよ。木佐がそこまで言ってるんだったら。 
 お前らが幸せになってくれたら俺安心して
 仙台行けるからな。」と賢。

「浅葉さんと連絡取った?」典子が彩にささやく。
「ううん。」
「取らなきゃダメだよ。」
「うん。」
「バビロニアフィルの事務局で聞けば、ボストンのどこの
 ホテルに泊まっているか、わかんじゃないの?」
「うん。」

「典子、ちょっとこれパタパタっとやってくれないか?」
台所で素飯の準備をする賢を手伝う典子。
「妊娠検査薬のことどうだった?」
「・・ああ、あれね。
 あれやっぱり、私のだった。
 引越しの時に、彩の部屋に紛れ込んだみたい。」
「そうか。」
「賢ちゃん。・・・あっそっか。そうだよね!
 賢ちゃん、自分が原因作ったんじゃないかって、
 それで心配してたんだ。」
「・・・バカなこと言ってんじゃないよ。」
「そりゃないわ!ないない!ない!
 大丈夫。賢ちゃん心配いらない!」
「そうか。」
「彩のことなら心配ない!
 賢ちゃんは余計な事考えてないで、 
 あの女のことでも考えてな。」
「そうか!」

「よし!じゃあ私も覚悟決めて、向こうの親に会ってくる!」

後日、木佐家の庭
「君が、矢吹君か。」
「はい。」
「裕之の生き方を変えさせたっていうから、
 どんな娘さんかと、ずっと興味を持っていたんだ。」
「生き方を、変えさせただなんて。」
「変わったわ、裕之は。あなたの影響で。」と真穂。
「真穂!」と木佐。
「真穂ちゃんは、子供の頃からうちに出入りしていたんだ。
 うちも、女の子がいなかったものだから。」と父。
「真穂ちゃんは、ずっと私の味方。」と母。
「親父もお袋も、俺の条件を飲んでくれた。」
「え・・」
「君と結婚できる。」
「裕之も、わがままな方だから大変でしょうけれど、
 よろしくね。」と母。
「ああ・・。」
「あなたのような方に来ていただくと、
 うちもにぎやかになるわ。
 ただし、こちらにも少し条件があるの。」と母。
「はい。」
「何だよ、母さん。」と木佐。
「お父様は確か、流通タイムズっていう会社にお勤めね。」
「はい。
 東洋新聞を定年退職しまして、小さな業界新聞なんですけど。」
「お父様に、ロンドンデイリーニュースに、
 お勤めを変わって欲しいの。」
「ロンドン、デイリーニュース・・。」
「英国の一流紙よ。」と真穂。
「あの、そのような所に父が行きましても、」
「一年ほどでいいの。」
「あの・・父は、そんな英語なんて出来ませんし、
 そのような地位を頂きましても、何も出来ないと思います。」
「何もしなくてもいいのよ。
 サラリーは、木佐製作所の方で出させていただくわ。」
「・・・」
「仕事もしないのに務めるなんて、
 そんなこと出来るわけないじゃないか!」と木佐。
「木佐家のお嫁さんが、小さな業界新聞の記者の娘さんでは
 困るのよ、裕之さん。」
「母さん・・・」
「うちに相応しい娘さんでいてほしいの。」
「何言ってるんだ。」
「あなたは、真穂ちゃんと一緒に、ロイヤルクイーンズ
 フィニッシングスクールに行ってもらいます、一年間。」
「は?」
「お行儀見習いの由緒ある学校よ。ロンドンの。」と真穂。
「ご両親と一緒に、ロンドンで暮らせるなんて
 丁度いいでしょう。
 あ、もちろん、費用の方は、私達の方で全て
 持ちますから。」と母。
「母さん!
 俺は、俺は今のままの彼女でいいんだ!
 無理してハクを付けることなんてないんだよ!彼女は!」
「結婚っていうのはね、二人だけの問題ではないのよ、
 裕之さん!」
「裕之。
 お前は、私の条件を飲んだ。
 私も、お前の条件を飲む。
 このお嬢さんも、母さんの条件を飲むぐらいの
 覚悟をしてもいいんじゃないか?
 本当にお前のことを、愛しているなら。」と父。
「・・・」

自分だけならまだしも、
両親をも巻き込むとなると辛いですね。


その日、典子は実家に寄り、木佐家の条件を両親に話す。
「・・・好きなのか?お前はその男が。」と父。
「ええ。」
「その家に、嫁に行きたいと、本当に思っているのか?」
「・・・ええ。」
「・・・考えておく。
 考えさせてくれ、少し。」
父が席を立つ。
「ごめん、お父さん。・・ごめん。」
「・・・」
父親は自分の部屋へ。

「ただ、ハクをつける為に、ロンドンの新聞社に勤めろなんて。
 お父さん・・英語も何も出来ないのに・・。」と母。
「・・・」

『ひとりだけなら
 どんなハードルでも
 越えてみせるのに』


新谷家
「蹴りな蹴りな!典子、そんな条件!」と彩。
「給料もらえて肩書きあっても、会社行って何もすること
 ないなんて悲惨だぞ、典子。」と賢。
「お父さんが今までしてきたことは、何の値打ちもないって
 そう言われているようなものじゃない!
 典子だって29になって、あの真穂って子と一緒に、
 お行儀見習いの学校なんか行ける?」
「今までやってきたことが何の価値もないことだって、
 お前だって言われてるようなもんじゃないかよ。」
「だって・・・。
 彼だって、ご両親だって、それなりに我慢をして
 条件を飲んでくれてるんだよ。
 私一人が何の条件も飲めないなんて、
 そんなわがまま言えない・・。」
「木佐さんとどっか行っちゃえば?」
「そうだよ。
 お前の事本当に好きだったら木佐だって家のこと
 放り出して二人でどっか行くって言うよ。」
「自分の失敗全部お父さんに押し付けて、
 私とどっか行っちゃうなんて、
 そんなこと彼はしない。」
「どうして?」
「自分がしたことのケリは、自分でつけたいって
 思っている人だから。
 それが自分の足で歩いていくことだって思ってるから。」
「・・・」
「彼が頑張ってくれてるんだから、私も頑張りたいの。」

バーで会う典子と木佐。
「今日お袋に、俺の作った借金を全部仙道家で肩代わり
 するって言われた。」
「仙道家って?」
「前に、親父とお袋が、俺を上流階級の娘と結婚させたがって
 いるって話をしただろ?」
「うん。」
「それがその家だよ。」
「・・・」
「でも仙道家に50億なんて金があるわけがない。
 形の上だけで、実際に保障するのは木佐製作所のはずだ。」
「どうして、そんなことを?」
「俺と仙道家の娘を結婚させることを、まだ諦めてないんだよ、
 親父もお袋も。
 君との結婚もダメになれば、俺がそっちを選ぶほか
 ないと思ってる。」
「・・・」
「お父さんを、何とか説得してほしい。
 何とか、みんなでロンドンへ行って欲しい。」
「・・・」
「それがどんなに酷い条件かってことは、
 俺もよくわかってるつもりだ。
 でも、君がその条件を拒否してくるのを、
 うちの人間はみんな待っているんだよ。」
「・・・」

典子が新谷家に帰ると、母が来ていた。
「お母さん!」
「お父さんがね、ロンドン行ってもいいって。」
「本当!?」
「早く、典子に伝えてこいって。」
「お母さん・・・」
「・・・」

夜道を歩く典子と母。
「ごめんなさい。
 お父さんに、辛い思いをさせて。」
「娘の幸福を考えてやるのが、
 親の務めだろうってお父さん。
 今まで、何もしてやれてなかったからって。」
「・・・」
「昔ね、典子。」
「何?」
「ある記事と引き換えに、100万円出すって話が
 あったのよ、お父さんに。
 人の提灯持つような記事。
 でもね、お父さんそれを断ったの。
 人からもらう100万円使うより、
 自分の稼いだ1万円の方が、はるかに価値があるって、
 そう言ってね。
 でもね、うちはおじいちゃんの病気で、
 お金が必要だったの。
 私、かっこつけたことばっかり言ってって、
 お父さんを恨んだわ。
 でも、今思うと、それがお父さんの生き方だったんだなって
 そう思うの。
 そんなお父さんを、今は、尊敬しているわ。
 ・・・娘の幸せの為にって、お父さんは言うけど、
 私ね、私は、あなたに、そんな結婚はさせたくない。」

『幸福は
 ひとから
 もらうものではない』


銀杏並木の下で会う典子と木佐。
「ごめんなさい、急に呼び出して。」
「いや。」
「父がロンドンへ行くって言ってくれたの。」
「そうか!」
「・・・でも私には・・・父が今まで生きてきた人生を、
 否定してしまうようなことは、出来ない。」
「・・・」
「父は目立ったことはしてこなかったけど、
 立派な新聞記者だったの。
 その誇りを奪ってしまうようなことは、
 私には・・出来ない。
 私一人のことだったらどんなことでも我慢するけど。」
「・・・」
「あなたが頑張ってくれたのに・・・ごめんなさい。」
「来週、フィラデルフィアの工場に行くんだ。」
「え・・」
「うちの工場の中で、一番採算の合ってないところでね。
 そこを立て直せって、親父にそう言われて。」
「もし、立て直せなかったら?」
「親父に対する借りが、もっと増えることになる。」
「私も行く!フィラデルフィアに。
 あなたの行くところならどこへでも行く。」
「俺は、親に隠れてこそこそと君と付き合いたくないんだ!」
「じゃあどうしたらいいの?
 あなたと離れていたくないもの。」
「フィラデルフィアの工場を、絶対に立て直してみせる。
 立て直したら、大腕を振って君を迎えにくる。」
「出来るの?そんなこと。」
「やるよ。やってみせる。
 俺は親父と戦って負けた。
 でもそのケリは、自分でちゃんと付けたいんだ。
 私は自分の足で人生を生きてきたのよって君は言った。
 あっちへぶつかり、こっちへぶつかりしながら、
 傷をいっぱい作って生きてきたって。
 でもそういう自分の人生を好きだって。
 俺も、自分の人生を好きになりたいんだ。」
そう語る木佐を典子は笑顔で見つめ・・・。

空港
「君とはよくケンカをしたな。」
「うん。」
「女と本気でやり合うなんて、俺には初めての経験だったよ。」
「私は気に食わないことがあると、相手にケリを入れるの。
 そんな付き合い方しか、私は出来ないから。」
「君のそのケリは、何度も俺のここ(心)に入った。
 堪えたよ。」
木佐の胸に拳を当てる典子。
「俺は、絶対に工場を立て直して見せる。
 誰が何と言おうと、絶対に立て直して見せる。」
「うん。」典子の瞳から涙がこぼれる。
「親父の借りを返したら、君を必ず迎えにくる。」
微笑む典子。
「工場を立て直すのに、何年かかっても、
 100年かかっても、
 君を必ず迎えにいく。」
「200年かかっても、私待ってる。」
ぎゅっと抱きしめあう二人。
「じゃあ。」
「じゃあ。」
繋いでいた二人の手が離れ・・・。
典子は涙を堪えて木佐を見送った。

『別れではない
 別れではない
 別れではない』


新谷家
夕食に鍋の準備をする3人。
「しかしさー、賢ちゃんが一番最初にこの家から出ていくとは
 思わなかったねー。」と典子。
「俺も思わなかった。」と賢。
「短い間だったけど、3人で暮らせて楽しかったね!」
「お前らのことはちゃんと話したから。」
「ありがとうごぜいますだ。」
「よきに計らえ。」

「ちゃんと借金払え、彩は。」
「半分減ったよ。」
「大丈夫か?お前。」
「大丈夫だよ。ちゃんとやってくから。」
「そうじゃなくてタレだよ。やたら時間掛かってないか?」
「今出来るの!」
「さっきからずーーっとタレ作ってんでしょう。」と典子。
「凝ったタレだから時間が掛かるんじゃないの!」
「凝ったタレなんか作るか?お前が。」
「この間食べたらすごく美味しかったから、
 最後の夜に賢ちゃんに食べさせてあげようと思って、
 タレの作り方しっかり聞いてきたんじゃないの!」
「お前が時間かけて料理作ったら、必ず失敗するじゃないかよ。」
「何失敗した?」
「ローストビーフ!」
「・・・言うな。」
「ガッチガチでな、バッサバサでな、食えやしない。」
「言うな!」

「木佐のことはどうするんだ?」
「うん?わかんない。
 私にはどうすることも出来ないことだもの。
 でもいいの。
 彼が自分の人生を、好きでいてくれたから。
 私も、自分の人生を好きでいられたから。」
「そうか。
 お前はどうすんだ?」
「いちいち仕切らなくていいの。」と彩。
「出ていくとなったら心配じゃないかよ。」
「大丈夫だよ、彩は。ね!」
「うん!
 出来たよー!」
「賢ちゃんの新しい人生を祝して、」
「エイエイ、オー!」
「乾杯!」

「・・・なんか寂しくなるね、賢ちゃんいなくなると。」と典子。
「そうだね。」
「随分長い間お前らと一緒だった気がするな。」
「色々あったからね。」
「・・・食べよ!」と彩。
「じゃあまずは、賢ちゃんから。」
「そうか?
 よし、じゃあ失礼して。
 ・・・うん、美味い!」
「でしょー!」
「タレうまいぞ。」
「あったりめーだ!」
「どれどれ?・・・ばっかみたいに、美味い!」と典子。
「うわ!!辛〜!」
「うわ!!だんだん後から・・・」
「辛い〜!!」

歯を磨きながら話す典子と彩。
「浅葉さんと連絡取った?」
「・・ううん。」
「どうして?
 ホテルわからなかった?」
「聞いてない。」
「なんでー。
 浅葉さん、奥さんと別れて彩のこと待ってんだよ。」
「・・・」
「ぐずぐずしてる場合じゃないんだよ。」

彩の部屋の電話が鳴る。
「もしもし。
 ・・・はい。元気ですか?
 ええ。私も元気です。
 本当!?良かった、成功して!
 ヨーロッパツアーにも行けることになったの?
 おめでとうございます!すごいじゃない!」

「浅葉さん?」典子の言葉に頷く彩。

「私?
 私は変わりないですよ。
 ええ。ええ。」

「彩!ちょっと貸してごらん。」典子が受話器を奪おうとする。
「ちょっと!いい!」
「彩が言えないなら私が言ってあげる。」
「いい!」
「いいから、貸しな。」
「いい!」
「いいから!」
「浅葉の子供じゃないの。」
「・・・」

「・・・ごめんなさい、なんか電話がおかしくなっちゃった
 みたいで。
 はい。・・・頑張って。はい。」

「・・・まさか、彩・・。」
「新谷には絶対に言わないで。」
「・・・」

『なんてこった
 なんてこった!
 なんてこった!!』


翌朝、香奈が賢を迎えにくる。
賢はまだ寝ていて、香奈は賢の部屋へと上がっていく。

「・・・賢ちゃんあの女と行っちゃうんだよ。」
典子の言葉に彩は微笑み・・・。

賢が荷物を手に降りてきた。
「じゃあ、行くわ。」
「うん。」
「・・・賢ちゃんちょっと待って!」と典子。
「何だ。」
「何でもないよ。賢ちゃん、気をつけてね。」と彩。
「どうしたんだよ。」
「賢ちゃんが行っちゃうとなると、やっぱり寂しいのよ。」
彩がごまかす。

「賢ちゃんの部屋まだ色々あるけど、
 私片付けに来ますから。
 夜むこうで歓迎会あるんでしょ?賢ちゃん。」と香奈。
「うん。」
「早く。」
「うん。じゃあ。」

「・・・賢ちゃん!」
「典子!」
「何なんだお前ら。」
「話ある!」
「典子!」
「どうしたんだ?」
「あ、浅葉からね、昨夜、電話掛かってきたのよ。」
「何かあったのか?」
「ぐうん、たいしたことじゃない。
 もう典子が勝手に心配してんのよ。
 賢ちゃんが、どう出来ることじゃないから。早く行きな。」

「行こう、賢ちゃん。」と香奈。
「早く行きなよ。」と彩。
「賢ちゃん、行こう!」と香奈。
「じゃ。」
「失礼します。」
二人が家を出ていく。

「彩!」
「・・・」
「何で言わなかったの。」
「・・・」
「黙ってて済むことじゃないんだよ。」
「言ったら新谷仙台行くの辞める。」
「だから?」
「あの女のことも諦めてしまう。」
「それでいいじゃない。
 それで当然じゃない。」
「新谷はやっとあの女を掴んだんだよ。」
「だから何なの?」
「あの女は新谷の人生だったんだよ。」
「だから?」
「その人生を私が奪うわけにはいかない。」
「・・・何いい子ぶったこと言ってんの?
 奇麗事言ってる場合じゃないんだよ!」
「・・・」
「・・・夜電話するよ、賢ちゃんに。」
「典子!」
「何?」
「これは私も問題なの。
 新谷とは関係ないの!」
「関係ないことじゃないでしょ?
 関係あることだからこうなったんでしょ?
 わけわかんないこと言わないでよ。
 私嫌いだからね。
 相手のこと思って、耐えて耐えて、
 ひっそりと陰でこっそりと、
 始末するとかそういうの嫌いだからね!!」
「典子。」
「あ?」
「私産むの。」
「は?」
「産みたいの。」
「何血迷ったこと言ってんの?」
「妊娠検査薬で、陽性だった時から私産もうと思ってた。」
「浅葉さんの子じゃないんだよ。賢ちゃんの子なんだよ。」
「新谷の子供だから産もうと思ったの。」
「彩・・・」
「浅葉の子供だったら産もうとは思わなかった。
 どうしてそうなのか自分でもわからないけど。」
「わからないって・・・。
 だったら、産むのなんかやめなよ。
 賢ちゃんが知ったらどう思う?」
「新谷には迷惑掛けない。」
「迷惑掛けないってね、産むってことは、
 迷惑を掛けるってことなんだよ。」
「新谷には絶対にわからないようにする!」
「そんなこと、出来るわけないでしょう!?」
「典子が言わなければ出来るわ。」
「・・・」
「私、典子にも言わないでおこうと思ったの。迷惑掛けるから。」
「迷惑迷惑ってね、そういう問題じゃないんだよ。」
「でも典子には知ってて欲しかった、私の気持ち。」
「・・・どんな気持ち?どんな気持ちよ!
 わかんないよそんな気持ち! 
 そりゃ今は、男はいらないけど、子供は欲しいって、
 そういう考え方する人は周りにいっぱいいるよ。
 だけどね、子供を産むってことは、そういう甘っちょろい
 ことじゃないんだよ!」
「そんなことわかってる。」
「犬とか猫飼うのとは違うんだよ?」
「そんなことわかってる!」
「子供産むって現実なんだよ!
 子供ってね、いつまでも、ちっちゃくて可愛いままで
 いてくれるわけじゃないんだよ。
 どんどんどんどん大きくなるんだよ。
 私とか、彩みたいに、親にとったら、憎たらしい存在に
 なるかもしれないんだよ。
 もしも男の子だったら、男親が、お父さんがいてくれたらって
 思うことだってあるよ。
 親戚だって、いっぱい居てくれたに越した事はないよ。
 周りの人みんなに祝福してくれたり、こしたことはないんだよ。
 お金だって必要だよ。経済的に大変だよ。
 彩ね、今の仕事だって辞めなきゃいけなくなるよ。
 そんな時にね、男いなくて、
 自分ひとりで、どうやってやってくっつーの?」
「私は、仲の悪いお父さんとお母さんを見て育ったの。」
「・・・それがどうした。」
「お父さんとお母さんがつかみ合いのするケンカを、
 押入れの中から見てたこともある。」
「・・・何の関係があるの?」
「結婚なんかしたくないってずーっと思ってた。
 でも、子供は欲しかった。
 大きくなったら、優しい人の子供を産むんだって
 ずーっと思ってた。
 世界で一番優しい人の子供を産むんだって。」
「だったら、どうして浅葉さんと付き合ったの?
 もっと優しい男を選べば良かったんじゃないの?」
「自分のことって、自分でもなかなかわからないじゃない。
 いろんなことがあって、やっとわかるってことあるじゃない。
 私は今、子供の頃の夢を掴んだの。
 世界で一番優しい人の子供を産むこと。
 私はその夢を放したくないの、絶対に!」
「そういうね、自分の勝手な思いで、
 子供を産むんじゃないの!」
「だから私は新谷は関係ないって言ってるじゃないの!」
「自分のエゴで子供なんか産むんじゃないの!」
彩の頬を叩く典子。
「・・・」
「産みたい産みたい産みたいってね、
 そんなに産みたいんだったら、
 あの女から、賢ちゃん取りゃいいじゃないよ!
 奇麗事言ってないで賢ちゃんの前で、
 あなたの子供を産みたいのってそう言ってやりなよ!」
「自分が勝手な事をするのに、
 相手を巻き込めると思う!?
 自分が幸せになれるんなら、
 相手を不幸に出来ると思う!?」
「だったら子供なんか産むのやめな!」
「私は産むの!
 それが今私が一番したいことだから。
 子供の頃からしたかったことだから!」
「いくらね、一番したいことでも、
 しちゃいけないことってあるの。
 出来ないことってあるの!」
「出来ないことなんかない。
 しちゃいけないことなんかない。
 それが本当に、自分が望んでいることなら!」
「・・・」

典子は部屋にある雑誌を持ってくる。
「読んでみな。
 シングルで産んだ子供が、どんな扱いを受けるか。
 戸籍にはね、彩の長男長女じゃなくて、
 男、女って書かれるだけなんだよ。
 住民票には、子って、子供の子って書かれるだけなんだよ。
 その子が大きくなっても、
 どういう子供かわかるように、
 はっきりとわかるようになってるんだよ!」
「・・・」
「母子の控除だって認められないし、
 その子が大きくなって、結婚だ、就職だっていった時に
 いろんな問題が起きてくるよ。
 今の日本っていうのはね、シングルマザーの産む子供なんか
 そんな風にしか考えてないんだよ。
 こういう扱いしかしてないんだよ!」
雑誌を典子の方に押しやる彩。
「日本の国がどう考えようと、
 どんな扱いをしようと、
 これは私の子供なの。
 私が産みたくて産む子供なの。」
「・・・」
「大きくなって、子供が文句言ったら、
 あなたは私が、欲しくて欲しくて欲しくて
 産んだ子供だって言う。
 幸せで、幸せで幸せで幸せで生んだ子供だって言う。
 それがお母さんの一番したいことだったって。
 自分の人生、好きでいたいって言ったじゃない、典子。」
「・・・それがどうしたの。」
「私は今まで、ずっと自分の人生が好きじゃなかった。
 浅葉のことは好きだったけど、
 浅葉のことを好きだった自分のことは好きじゃなかった。
 私は今、初めて自分の人生好きになれたの。
 新谷を好きな自分が好き。
 新谷の子供が産みたいと思っている自分も好き。
 それを典子にわかって欲しかった。」
「・・・わかったって・・・私にはどうすることも出来ないよ。」
「何もしてくれなくていいの。
 わかってくれるだけでいい。
 私は強いんだよ、典子!
 自分の人生好きになれたから。」

そこへ、賢が戻ってきた。
「新幹線の切符忘れちゃってさ、俺。
 何してるんだって香奈怒ってんだよ。
 じゃあな。」
「・・・」
「どうしたんだよ。」
「賢ちゃん。」と典子。
「なんだ。」
「賢ちゃん、自分の人生、好き?」
「え?・・好きだよ。」
「今までで、一番好き?」
「ああ。俺は、初めて自分の人生好きになった。」
「・・・」
賢の幸せそうな顔を見つめる二人。
「どうしたんだよ。」
「・・・ならいい!
 賢ちゃんには自分の人生、ずっと好きでいてほしい。」と典子。
「・・・お前も!」
「うん。」
「彩も。」
「私は好きだよ。今の自分が、今の人生が。」
「そうか。」
「うん!」
「じゃあな!」
「おぉ!」と彩。
「おぉ!」と典子。

「・・・産みな。」と典子。
「・・・」
「彩がそこまで腹座ってんなら・・・
 産みな。」
「典子?」
「もし、父親が必要だったら・・
 しょうがない、その時は、
 私がおとっつぁんになってやるか。
 親戚のおばちゃん必要になったら、
 おばちゃんでも、おじちゃんでもなってやるわ。
 ベビーシッター必要だったら、アルバイトしてやるよ。
 お金なくなったらね、どうしようかなー。
 残業でもガンガンやって、稼いでやるか。」
「典子・・・」
「戸籍のことで、ごだごだ言うやつなんかいたら、
 私すっ飛んでって一発ぶん殴って蹴り入れてやるわ。」
典子の言葉に笑う彩。
「・・・ずっと側にいるから。
 安心して産みな。」
「・・・」
「日本一の仕切り屋がついてるんだから、
 怖いもんないよ。」
「典子・・・。」
「自分の人生好きになれるって、
 一番幸せなことだと思う。
 彩の気持ち、子供だってきっといつかわかってくれる。
 自分の人生、好きになってくれるよ。」
「典子。」
「彩。」
「うん?」
「強くなりな。
 強くなろう。」
「うん。」

『自分で選んだ
 自分の人生
 誰のものでもない
 私の人生』


快食倶楽部
スタッフに挨拶する典子。
「私は、新しいお店の店長として、やっていくことになりました。
 今まで、私は、自分がやりたいことは、
 パブの店長じゃなくて、アパレルの仕事なんだって、
 ずっと思っていました。
 今の自分は本当の自分じゃなくて、もっとほかにある。
 そう思っていました。
 だけど、今まで、皆さんと一緒に頑張ってきて、
 それを評価してくれる人がいて、
 新しい仕事を任せるって言ってくれる人がいて、
 ひょっとしたら、これが、本当の自分なのかもしれない、
 そう思えるようになったんです。
 自分の人生を、好きになってみよう、
 そう思ったんです。
 だからもう一度、レストランの店長として、
 頑張ってみることにしました。
 アルバイトの皆さんも、学校卒業してから、
 いろんなことがあると思います。
 だけどどんな時でも、自分の人生を、
 好きだって思える、
 そんな生き方を、して欲しいと思います。
 私もいろんな人に教えてもらって、
 やっとそう思えるようになったんです。
 私は今、ここにいる自分が好きです。
 だから・・・とても幸せです。」
典子の挨拶にスタッフは涙を流し、拍手を送る。

夜、一人店に残り、名残惜しそうに店を見渡す典子。

店を出ると、彩が待っていた。
「ちゃんこでも食べに行くか?」と典子。
「うん!」
「女だけのクリスマスっていうのも、たまには、いいか!」
「うん。ごっちゃんです!」

そして二人は、クリスマスのイルミネーションに
飾られた街の中、楽しそうに歩いていく。

『今、ここにいる
 自分が好き
 だから、私は、
 世界で一番幸福
 
 絶対に!

絶対に!

絶対に!


『メリー
 クリスマス』



夢、プライド、誇り、生き方。
ドラマ中何度も使われてきた言葉やフレーズ。

自分の幸せの為に家族の誇りを奪う事は出来ないと
木佐家の申し出を断った典子。
アパレルの仕事に思いを断ち切り、レストラン店長という
新しい生き方を選んだ。

見栄やプライドの為でなく、愛を手に入れた賢と香奈。

賢の幸せを願い、一人で子育てしていく決意をした彩。
世界で一番優しい人の子供を産むこと、という
子供の頃からの夢をかなえた彩。

それぞれの道を選んだ3人ですが、
「自分の人生が好き」「今の自分が好き」
みんな、胸を張ってそう言っていました。
そう思える人生ってやっぱり幸せな人生なんだろうな。

典子、彩、賢の友情が羨ましかったです。
泣きたいときは一緒に泣き、
嬉しい時は一緒に笑い、
間違っている時は本気で叱り。

典子の本音が文字になって表されていて、
それにクスっと笑ったり感動したり涙したり。
素敵な演出でした。


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キャスト

矢吹典子(29):山口智子 快食倶楽部店長
新谷賢(31):柳葉敏郎
上越香奈(24):水野真紀
今井彩(29):松下由樹
深沢真穂(22):稲森いずみ
久保田(神保悟志)
上野係長
浅葉達也(30):竹下欣伸
長堀英明(45):近藤等則
矢吹美和(56):吉行和子
矢吹達夫(58):中村嘉葎雄
木佐三千子(51):星由里子
木佐裕之(29):仲村トオル


スタッフ

脚本 - 鎌田敏夫
演出 - 鈴木雅之、星田良子
企画 - 宅間秋史、石原隆
プロデューサー - 中山和記
音楽 - 石田勝範
制作 - フジテレビ、共同テレビ

※1994年10月20日〜12月22日22:00〜22:54にフジテレビ系列で放送

主題歌
マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」
B00005G924恋人たちのクリスマスマライア・キャリー ソニーレコード 1996-11-21by G-Tools



B000064PI929歳のクリスマス オリジナル・サウンドトラック瀬川英史 TVサントラ アンティノスレコード 1994-12-01by G-Tools




410133614829歳のクリスマス (新潮文庫)新潮社 1998-11by G-Tools




山口智子さんの主な出演作品



松下由樹さんの主な出演作品



柳葉敏郎さんの主な出演作品




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