2010年02月19日

曲げられない女 第6話

『リスクだらけの女の幸せさがし』

『色々なものを失ったけど・・・・・・
 手に入れたものもある。
 それは・・・・・・友だ。
 これで、心おきなく
 勉強出来ると思ったのに・・・・・・』

“曲げられない女”=早紀(菅野美穂)は、恋人と別れ、
仕事を辞め、母にも先立たれてしまったが、
璃子(永作博美)と光輝(谷原章介)のおかげで、
自分を取り戻すことができた。

しかし再び司法試験に向けて集中しようとした早紀は、
突然倒れてしまう。

光輝も慌てて病院に駆けつけるが、原因はただの過労だった。

「すみません。心配を掛けて。
 バッテリーが切れたようなもので、
 チャージをしたのでもう大丈夫です。」
「何やってるんだよぅ。」
ベッドから起き上がろうとする早紀を光輝が止める。
「帰って勉強しないと。
 もうすぐ模擬試験もあるし。」
「何言ってんのよ、そんな無理してまた倒れたら
 どうするの?」と璃子。

「大丈夫ですか?ハギワラさん。」と看護師。
「オギワラです!」
「すみません。
 検査しますので、血液取らせてもらえますか?」
「・・・いえ!もう大丈夫です。
 点滴も外していただけますか?」
「この際だから悪いところがないか検査してもらった方が
 いいんじゃないか?」
光輝が早紀の腕を押さえ、看護師に協力。
「そうよ、あんたちゃんと人間ドックとか受けてんの?」
「いえ!健康には自信があるので!」
「あんた、もしかして注射怖いんじゃないの?」
「・・・」

近づいてくる注射器にブルブル震える早紀が可愛い!

早紀のマンション
「じゃあ、退院祝いってことで、乾杯!」
光輝の料理に早紀も「元気が出る」と幸せそう。
「でもさ、大丈夫なの?結局検査受けないで帰ってきて。」
「大丈夫です!今まで、風邪以外病気をしたことがないので!」
「そういうタイプに限って大病するんだよ。」
「今度だって私がいなかったらワイドショーねたになってた
 ところよ。
 一人暮らしの独身女性の寂しすぎる孤独死とか。」
「色々気をつけたほうがいいよ。
 最近若い女性が襲われる事件が連続して起こってるし。」
「嘘。どうしよう、早紀、襲われたら。」
「・・・」
「その顔は、何か難しい問題を考えている時の顔だっけ?」と光輝。
「どうしてこのごろ、女性や子供のような弱者を狙う事件が、
 増えてしまったのでしょう。」
「・・・」
「でも良かったじゃない。
 私たちは何かあったらコウちゃんが助けに来てくれるし、ね。」
「もちろん!」
「いいの?
 そんな事件があったのにこんな所でのんびりしてて。」
「事件が起きてもやることないから。」
「嘘!普段どんな仕事してるの?警察署長って。」と璃子。
「一番大事なのは自分の署を宣伝すること。
 あとは、部下にハッパ掛けて検挙率を上げて
 自分の成績を上げて上司にアピールをして、
 自分だけ出世をして、定年の時に退職金をがっぽり貰う。
 それが警察官僚の生きる道。」
「前から聞きたかったんだけど、」と早紀。
「何?」
「藍田は、どうして警察官になったの?」
「・・・」
「確かに。そういうタイプじゃないもんね。」
「それは・・父親も警察官僚だったし、
 それに、受験勉強だけはよく出来たから、俺。」
「・・・」
「何、その、取調べの警察官みたいなその目は。」
「何か隠しているような気がして。」
「・・・」

璃子の夫・善隆から荷物が5箱以上届く。
「全部私のだ。
 きっとこんなの邪魔だから送りつけてやりなさいとか
 言ったのよ、向こうのお母さんが。」
「ほんと追い出しに掛かってるわけだ、あんたのこと。」
「くそっばばぁ。」
「これからどうすんの?」
「決まってるじゃない。だんなの浮気を証明して、
 慰謝料とか養育費とかがっぽり取って、
 子供たちを引き取るの。」
「そんなに簡単にいくかなー。ね、オギワラ。」
「・・・」
「あんた、さっきから何じーっと見てるの?」
「荻原のオギが、間違っている。」
早紀は伝票を見つめていた。
「あれ?オギってどう書いたっけ?」
「のぎ偏ではなく、けもの偏です。」
「あーそうか。
 ってそんなことより私のこと心配してよー。」
「さっきは調子のいいことを言っていたみたいだけど、
 とりあえず仕事を見つけて、
 子供たちの扶養能力を証明しないと、
 何も始まらないと思います。」
「わかってるんだけどー、私の才能に合う仕事が何なのか、
 なかなか思い浮かばないのよー。」
「あんた昔一流商社に勤めてたんだろ?
 そん時の資格とかコネとかないわけ?」
「受付嬢だから資格なんてないしー、
 旦那のいる会社にすがるのもシャクだしー。」
「何か昔、やりたかった仕事とか?」
「就職は結婚相手を見つけるための手段だったからー。」
「これから何かやりたいとか思わないわけ?」
「34にもなってそんなのあるわけないでしょ。
 この頃なーんにも興味がわかなくてさー。
 つくづく自分はおばちゃんだったなーって感じ?」
「あー、確かにねー。」
「もっと、自信持ったら?
 蓮美が嘘をついて人を騙そうとしている時って、
 いきいきしてるし。」
「そうだよ!あんたに向いてる仕事、絶対にあるよ!」
「・・そぅお?ね、例えば??」
「・・・ご馳走様でした。」と早紀。「・・・デザート食べる?」と光輝。
「え・・ちょっと・・何よそれ。何で二人とも逃げるわけー?」
「・・・」
「あっそ。
 じゃあ言わせてもらうけど、
 そんなに勉強しててなんで司法試験に9年も落ちるわけ?早紀。」
「!!」
「ずーっと前から疑問に思ってたんだけど、
 そういうことなし崩しにしていると、
 今年も又、落ちるんじゃないのー?」
「言えてる。」と光輝。
「一ついいですか?」
「何?」
「なし崩しというのは、ほったらかしにするという意味ではなく、
 物事を少しずつ解決する、という意味なので、
 今のは言い方は間違って、」
「だーかーらーそういうのはもういいから。」
「すみません。正確に言っておきたいので。」
「・・・」

中島剛志法律事務所
璃子に言われたことが気になった早紀は、模試の結果を中島に
見せてみる。
どこがいけないか、と聞かれた中島は、
「うーーん。ま、大丈夫だよ。
 私だってなれたんだから。
 知り合いにはね、15年も連続で、
 落ちた人もいるんだよ。」と答える。
「その方はどうなったんですか?」
「・・・」
「どうして黙ってるんですか?」
「えっと、刑法の・・どこやったかな。」
「・・・」

そして璃子も、重い腰を上げて職探しを始める。
贔屓にしていたブティックやレストランを訪ねてみるが、
相手にされるはずもない。

この時点では、社会勉強だとか、趣味を生かしてなど、
体裁のいい理由をつけながらの職探し。


防犯対策のイベントに笑顔を絶やさず参加する光輝。
「さすが署長!盛り上がりましたね!」
「いいんですかね、こんなことしてて。」
「え?」
「パトロールを強化したり、事件の防止策を検討することを
 考えた方が。
 そういえば、例の若い女性が襲われる事件、どうなりました?」
「署長がご心配なされるような、ことでは。」
「・・・ですよねー。」

光輝のこの笑顔は、職探し中の璃子と同じ笑顔に
見えました。


仕事の帰り道、早紀は後ろから近づいてくる足音に気付く。
いきなり肩をつかまれ、思わずその相手を突き飛ばす。
それは、正登だった。
「イテ。」
「あ・・」

喫茶店
「ったく、相変わらずバカ力なんだから。」
「ごめん、この辺りで事件が起きてるからつい。
 ・・でも、どうしたの?正登。」
「璃子さんにこれ渡してくれるかな。」
「どういうこと?」
「俺ご主人の代理人になったから。」
「・・・え?」
「うちの事務所に向こうの家から依頼が来て、
 ボスに担当するよう命令されたんだ。
 それ読んでもらえばわかるけど、
 こちらとしては、子供の親権を渡す気は一切ないし、
 多少の金額は払うから、早く離婚届に判を押して欲しい。
 璃子さんにそう伝えてくれる?
 じゃあ。」
「一つ聞いていい?」
「・・・何?」
「正登・・前に言ったよね。
 私は絶対に弁護士になれないって。」
「・・・」
「根拠は何?」
「俺が言いたかったのは、いつまでも弁護士にこだわる必要が
 あるのかってことだよ。
 その・・この前大学の同窓会に行ったんだけど、
 弁護士になるのを諦めて司法書士になった人が結構いたんだ。
 みんな、700とか800とか、いい給料貰ってたよ。
 そろそろそういう選択肢も考えてみれば?
 早紀ならすぐ慣れると思うし、司法書士。」
「・・・」

マンションに帰ると、璃子は就職情報誌をパラパラめくっていた。
「ただいま。」
「お帰り。遅かったね?何やってたの?」
「・・・そういえば、面接どうだったの?」
「うーん、やめた!」
「やめたって?」
「だってさー、コンビニのパートで時給800円よ?
 私的には絶対無理。
 日本人の平均収入って400万だっていうけどさ、
 あれ絶対嘘よね、あんなの。」
「じゃあ・・どうするの?」
「うーん、ま、焦らず探すわよ。
 なんかこう、あると思うのよね、私に向いてる仕事が。」
「そんな呑気な事言ってる場合?」
「大丈夫。当面の生活費あるし。」
封筒の中には大金!
「どうしたの?これ!」
「服とかバッグとか、リサイクルショップに売ってきたの。
 結構辛かったんだからね、どれも思いいれあるしー。」
「・・・もしかして、それでその高いチーズ買ってきたの?」
「美味しそうだったんだもん。早紀も食べる?」
「・・・さっき正登が持ってきた。
 向こうの代理人になったって。」
「え!?嘘!」
「読めばわかるけど、向こうはこっちの主張など聞く気は
 一切ないみたいよ。
 近く話し合いをすることになると思うから、
 それまでに考えておいて、どうするか。」
「・・・」

本を手にトイレに入る早紀。
「どうしよう・・
 えー・・
 話し合い?
 それって、もうちょっと先延ばしにならないのかなー。」と璃子。
「逃げる気?」
「いや、そうじゃないけどさー。
 うーーーん、そんなこと言うから私までトイレに行きたく
 なっちゃったじゃないのよもう。
 ねーちょっと、早く出て。」
「問題を一問解くまでは出ないって、決めているので。」
「ちょっとー、そういうこと勝手に決めないでよもうー。
 大体さー、あんたはわかったわけ?
 何で司法試験に落ち続けるか。」
「!!」
「昔からいたわよね、勉強するだけで満足しているやつ。
 模擬試験があるとか言ってたけど、どうだったのー?結果ー。」
「・・・」

夜中、模試の結果を一人で見つめる早紀。
結果はB判定、合格率は50%。
「50%ってどっちなのよ・・。
 受かるの?落ちるの?
 ・・・ふぅっ。」
紙くずを丸める早紀。
「よし。これが入ったら、絶対に受かる!」
そう呟き、ゴミ箱に投げ入れようとするが・・・
大きなため息をつくと、ゴミ箱まで歩いていき、
紙くずをそっと捨てるのだった。

『どうしよう、今やってることが
 無駄になったら・・・・・・』

上の部屋からの騒音に、璃子が起きてきた。
「例の上の階の大学生です。」
早紀はそう言うと、他の人も迷惑しているからと
文句を言いに行く。

大学生の部屋
「すみませんが、静かにしていただけませんか?」
「は?」と大学生。
「マンション管理規約、第十条八号では、
 居住者は、近隣の迷惑となるような騒音を、
 立ててはならないこととなっています。」
「そうだそうだ。近所迷惑だぞ。」早紀の後ろに隠れながら璃子が言う。
「うるっせーんだよ!前から人のやることいちいち!」
大学生の声に、部屋の中から仲間が出てきた。
早紀たちを怒鳴りつける大学生たち。
そこへ光輝がやって来る。
「仲間の諸君、暴力はやめましょう!」
「何だよテメー。」
「あ、申し送れました。私、こういう者です。」
光輝が名刺を渡す。
「警察署長!」
「すみませんが、すぐに音楽を消して彼女達に謝って
 もらえますか?
 それとも・・署まで一緒に来ます?」
「・・・」

早紀の部屋
「あー、気持ちよかった! 
 あいつらコウちゃんが警察だってわかった瞬間
 急に大人しくなっちゃって!」
「うん、ありがとう。助かった。」
「いや、いいよ別に、礼なんか。」
「で?どうしたの?コウちゃんこんな時間に。」
「ああ、今日のイベントで使った防犯グッズを二人に持ってきた。
 これが、犯人に投げつけるとペンキが出るボール。
 これが切っても破れないTシャツ。
 で、これが、防犯ブザー。
 ここ引っ張ると音が出るから。」
「へー、こんなものあるんだー!」
「・・・」
「その顔は何かあった?もしかして。」と早紀。
「え?何で?」
「なんか元気ないから。」
「・・・そんなことないよ。
 じゃあ、帰るわ。」
「え?お茶ぐらい飲んでいけば?」と璃子。
「うん、いいよ。新しい彼女とのデートがあるから。
 じゃ。」
光輝が帰っていく。

中島剛志法律事務所で、璃子と善隆の話し合いが行われる。
「奥様、先日お渡ししたこちらの希望は、確認して
 いただけましたね?」と正登。
「う、うん・・・はい。」
「親権をこちらに認めてくだされば、それなりの慰謝料を払う
 準備もあるし、お子さんと月に一度会えることも保証します。
 悪い条件じゃないと思うし、離婚届にサインしてもらえませんか?」
「・・・」
「うちの事務所としては、二人がもめて裁判になったほうが
 本当は利益になっていいんです。
 でも、無駄な争いを避けて、円満な解決を探るのも、
 弁護士の仕事だと思うから。」
「なんか、この間早紀が言っていたみたいなセリフね。」
「・・・いいんですか?
 裁判になったらお金も掛かるし、嫌な思いもいっぱいしますよ?
 仕事だって決まってないし、お金もないんでしょ?璃子さん。」
「・・・」
夫・善隆が考え込んでいるのに気付く早紀。
「ま、とにかくね、もうちょっと、ご当人同士、
 話し合った方がいいんじゃないんですか?」と中島。
「いや、でも。」と正登。
「旦那さんだって、まだ迷ってるみたいだし。
 離婚すべきかどうか。」
「いや・・そんなことは・・」と正登。

善隆の携帯が鳴る。母親からだ。
「な、頼む!
 母さんに謝ってくれないか?
 そうすればさ、全部水に流してくれると思うんだよ。」
善隆は電話に出る前に璃子にそう言う。
「謝るのはそっちでしょう?
 ていうか、その前に、女と別れるのが筋なんじゃないの?」
「ちょっと失礼。
 もしもし。」

「善隆さん!
 ちゃんと言いたいこと言った!?
 絶対うちの子は渡しませんからね!
 あの嘘つき女に!!」
「・・・」
「これ以上騙されたらダメよ!
 どうせ何も出来やしないんだから、あの女!!」

「おかーさーん。全部聞こえてますよぉ。」と璃子。

「ちょっと善隆さん?何?今の。」

「冗談じゃないわよ!
 裁判でも何でもやってやるわよ!
 絶対に負けないからね!!
 覚悟しておきなさいよ!!この、クソババァッ!!」

璃子、やっと言えました!
大きく一歩前進!


正登を見送る早紀。
「一体何なんだよ、璃子さんも。
 俺は良かれと思ってやってんのに。」
「・・・」
「あれ?早紀聞いてる?」
「あ・・ごめん、ちょっと気分が悪くて。」
「・・何だよそれ・・。」

そこへ、光輝がやってきた。
「どうしたの?」
「いや、ちょっと近くで仕事があったから
 顔でも見ようかと思って。
 ・・・忙しそうだからまた来るわ。
 お邪魔しました。」
「今日仕事終わったら時間ある?」
「え?」
「良かったらちょっと、話さない?」
「わかった。電話する。」光輝が帰っていく。

「何であんなやつと付き合ってんだよ。」
「友だちだから。藍田も蓮美も。」
「何であの二人なんだよ。
 早紀のことなら俺のほうがずっとわかってんのに。」
「・・・」
「いい年して友情ってさ、そういうの偽善だよ、
 自己満足だよ。
 そんな関係すぐにダメになるに決まってる。」

「先生。頼まれた書類持ってきました。」と秘書。
「ありがとう。
 はい。」
その書類を正登は早紀に渡す。
「知ってるだろ?その事務所。
 早紀がもし、司法書士になるつもりなら、
 いつでも大歓迎だって。
 資格取るまでアルバイトで採ってくれるっていうし、
 相談に行ってみたら?」
「・・・」

「何か美味しいものでも食べに行こうか。」
正登が秘書に言う。
「いいんですか?」
「うん。今日はもう予定ないし。
 じゃ。」
正登が帰っていく。

レストラン
「相変わらず嫌な感じだねー。正登。
 で?まさか弁護士になるの諦めるんじゃないだろうな?」と光輝。
「うん・・」
「何だよはっきりしないなー。
 そういえば、今日はチーズにも全然興味示さないし。」
「なんだか食欲がなくて。」
「大丈夫かよ。どっか悪いんじゃないか?やっぱり。」
「ちょっと疲れただけ。
 それより、そっちこそ何かあったんじゃないの?」
「・・・」
「仕事の事?」
「・・・昨日例の事件の犯人が捕まったんだ。」
「うん。それなのに、なんで浮かない顔してんの?」
「襲われた被害者の女性が大怪我をして、
 ・・・通り魔事件だと思ってたら、実はストーカーだったんだ。
 彼女前から、何度も狙われてて、
 うちの署に、助けを求めていたらしくて。
 殺されるかもしれない、助けてくれって。」
「担当の人は何て?」
「いくら聞いてもこっちには落ち度はないって。
 何かあったら110番してくれって被害者にも伝えてあるし、
 近くの交番には、巡回増やしてくれって要請してある。
 警察にはそれ以上介入できないって。」
「・・・」

帰り道
「全てはリスクヘッジというか・・
 市民よりも、組織を守ることに躍起になってるわけ、警察って。」
「・・・」
「前にさ、何で俺が警察官になったかって聞いたことあったよな?」
「うん。」
「実はさ、」

向こう側から酔っ払った若者達が騒ぎながらやって来る。
「すみませんが、道を開けていただけませんか?」
早紀が注意をすると、男達は早紀や光輝に金を貸せと絡んでくる。
「やめたほうがいいわよ、この人は、」と早紀。
「それはいいから。」光輝が早紀の言葉を止める。
「俺は、君たちのことを知らない。
 だから、金は貸さない。
 もう絡むのやめてくれるかな。じゃ。」
すると男達は光輝を突き飛ばし、殴りかかる。
「ちょっと!!
 やめて下さい!!
 やめたほうがいいわよ!その人は警察、」
「余計な事言うなーっ!!」
光輝はそう叫ぶと、殴られ続け・・。

早紀が防犯ベルを鳴らすと、若者達は慌ててその場を逃げ出した。
早紀は逃げる男の一人にカラーボールを投げつけ・・・。

早紀のマンション
光輝の怪我の手当てをする璃子。
「何でさっき警察だって言わなかったの?」と早紀。
「・・・」
「もしかして、警察官になろうとした理由と関係あるとか?」
「・・・前にさ、二人のこと、虫に例えたの覚えてる?」
「早紀がフンコロガシで、私が蝶のフリした蛾で、
 コウちゃんが、キリギリスだっけ?」
「俺は、キリギリスっていうより・・弱虫なんだ。」
「うん?どういうこと?」
「高校の頃、好きだった女の子と初めてデートしたとき、
 今日みたいに、不良グループにカツアゲされたことが
 あったんだ。
 ・・・殴られるのが怖いもんだから、無抵抗で、
 有り金全部出して許してもらった。
 そしたら・・・
 彼女がこう言ったんだ。
 ・・・見掛け倒し・・って。
 それからは、臆病な自分を隠すのに、必死だった。
 警察官僚になったのだって、制服着てればそれがバレないって
 思ったからで。」
「・・・」
「お殿様みたいに家来に守られて、
 安全な陣地にいるけど、
 いざとなったら、外に出て戦う勇気もないし。
 さっさと逃げるしかないわけ、俺なんか。
 荻原に付き合うの断られるの、当然だ。
 友だちになってくれとか言ってたけど、
 失敗だったよそんなの!」

「・・・私だって、本当は暴力は怖いわよっ!!
 病気とか将来のこととか、不安だし、
 うー、注射だって怖いわよっ!!」


「・・・」「・・・はい、シャッター開いた!」

「けど、私たちが本当に戦わなきゃいけないのは、
 そういう弱い自分となんじゃないの!?」


「・・・」
「・・・私も、ずっと逃げてた。
 いつまでも弁護士を目指していることを人にとやかく
 言われたくないし、
 いちいち自分の思いを説明するのが面倒だから、
 心のシャッターも閉めてた。」
「そうなんだー。」と璃子。
「知ってしまった・・シャッターの秘密・・。」
「・・・私だって、何で9年も司法試験に落ちたのか
 まだわかんないし、
 でも・・・将来の事を不安に思ってくよくよ悩んでも
 何も生まれないじゃない。
 私たちに今出来ることをやるしかないよ。」
「・・・」
「いいじゃない!少々失敗したって!
 失敗って、失って敗れるって書くけど、
 別に何も失わないし、負けてもいないんだから!」
「・・・」
「もしかして、それお母さんが言ったの?」と璃子。
「いえ、これは何かの本で、夏樹マリさんが。」
「・・そうですか。」
「すみません、正確に言っておきたいので。」
「・・・」
「・・・私が、どうして藍田と友だちになりたかったのかわかる?」
「・・・」
「あなたは、頭ごなしに私の生き方を否定しなかった。
 一番最初に興味を持って・・・理解してくれた。」
「・・・」
「あなたは、誰とでも分け隔てなく向き合える、
 優しくて強くて、愛をいっぱい注げる強い人なの。」
光輝の瞳から涙が溢れる。
「見掛け倒しなんかじゃない。」
「うん、コウちゃんといると楽しいし。」と璃子。
光輝の腕をぎゅっと掴む早紀。
「自分を卑下したり、恥ずかしいと思うことは、
 あなたにはもう必要ありません。」
「・・・いつ以来だろう、泣いたの。
 もしかしたら、母親が死んで以来かもな。」泣きながら微笑む光輝。
そんな光輝を2人は見つめ・・・。

警察署
「このペーパーどおり、話していただけますか?
 被害者家族に、くれぐれも、謝罪だけはしないで下さい。
 訴訟になると面倒ですし、こちらには何の責任も、
 ないので。」
「いやです。」と光輝。
「は?」
「子供の頃教わりませんでした?
 悪いことをしたらごめんなさいと謝りましょうって。」
「・・・やだな!
 どうせまた、冗談です、楽しんでいただけましたって、
 仰るでしょう?」
「いえ、いたって真面目ですよ、僕は。」
光輝はそう言うと、原稿用紙をくしゃっと丸め、
ゴミ箱に放り投げる。

中島剛志法律事務所
「困ったなー。」
「どうしたんですか?」
「いや、友達の司法書士が新しい事務所探してて・・
 紹介してあげたくても、いいところ知らなくて。」
「この事務所、紹介してあげて下さい。」
「いいの?」
「はい!」
「助かった。」

中島弁護士の友人の話は、作り話かなぁ。
早紀にもう一度試験を頑張らせる為の嘘だったり?


ストーカー傷害事件記者会見場
「質問にお答えする前に、まずは被害者と、そのご家族の方に
 お詫びしたいと思います。
 今回の事件で、被害者の方の声にもっと真剣に耳を傾けて
 いれば、この事件は防げたかもしれません。
 大切なご家族をお守りする事が出来ず、
 本当に、申し訳ありませんでした。
 今回の責任は、誰よりも所轄の署長である私にあります。
 その責任を取って、私は警察官の職を辞したいと思います。」

光輝が謝罪するのを、早紀も、璃子もテレビで見ていて・・・。

そんな璃子はコンビニのバイトの面接を受けていた。
「明日からでも来ていただきたいんですけど、
 うちは安いですよ。800円しか出せませんけど。」と店長。
「うん、大丈夫です。
 1分、800円ですよね?」
「・・・」
「冗談です。楽しんでいただけました?アハハハハ。」

1分800円!時給4万8千円!

警察署
「一体、どういうおつもりですか?」
「気付いただけです。
 僕は、人のことを取り締まったり管理するより、
 楽しませたり幸せにしたりする方が、好きだって。
 これ、すみませんけど自宅に送っておいてもらえますか?
 お世話になりました。」
「私たちノンキャリと違って、大人しくしていれば
 次は本庁に行って、黙ってても出世出来るというのに
 それを捨てるバカがどこにいるんですか!」

警察署を出た光輝を、早紀と璃子が待っていた。
「もしかして心配してくれた?」
「まあね。」
「これであんたと同じプーになったよ。」
「残念でした。私は明日から、働きます!」
「え?そうなの?」
「もう逃げない覚悟したから。コウちゃんみたいに。」
「そう。」
「これからどうするの?」
「ゆっくり考えるよ。
 元々俺には警察署長は役不足だったし。」
「一ついいですか?」
「え?」
「役不足というのは、その役が自分にとって重荷だという
 意味ではなく、軽すぎるという意味なので、
 今の使い方は間違っています!」
「今日も絶好調だね。」
「すみません、正確に言っておきたいので。」
「なんだか荻原と初めて会った時のことを思い出すよ。」
「え?何それ?」
「もしかしたら、今が人生で最も素晴らしい瞬間かもしれない。」
早紀に迫る光輝、それから逃れようとイナバウアー状態の早紀。
「な、何?いきなり。」
「俺さ、子供の頃、自分の頃守ってくれる天使がいるって
 本気で信じてたんだ。
 もしかしたら荻原は、本当に俺のことを救いに来た
 天使だったりして。」
「・・・な、何言ってるの、そんなこと・・」
「・・・」
「・・・」
「なーんかあんた達怪しくない?
 もしかして早紀も、友だち以上のものをコウちゃんに
 感じ始めてたりして!」
「・・・ちょっと!何言ってんのよ。」
「そうやってすぐ人のことからかうの悪い癖だってば!」
「あー、2人ともテレちゃって、可愛い!
 はい、並んで並んで。写真撮ってあげる!」
「ちょっと!やめて!」慌てて離れる二人。
「いいじゃなーい。子供たちに送るんだから。
 ママの友だちですって言って。
 はい、並んで。はい、チーズ!」
カシャ。
「じゃ、次、3人で!」
「私に撮らせて。」と早紀。
「大丈夫?」
「いいから、はい、えーと、チーズ。」
早紀が撮った2人の写真はピンボケ。
「あんた本当に下手だよねー。ちょっと貸して。私が撮る。」

現像した写真を見つめて嬉しそうに笑う早紀。
早紀はその写真を母の辞世の句、両親の写真と一緒に
日記にはさんだ。

「ねえ、私わかったの。
 何で早紀が司法試験に9年も落ちたか。」と璃子。
「・・え?」
「あ、その顔は信用してないでしょう。
 ていうか、どうせ又くだらないこと言うとか思ってるよね?
 明らかに。」
「そんなことは・・」
「じゃ、教えてほしい?」
「うん。」
「じゃ、教えてって言って。」
「・・・ごめん、勉強しなきゃいけないんだけど。」
「ほら、その顔がいけないのよ。」
「え?」
「落ちた原因は、その、顔!」
「・・・もしかしてケンカ売ってる?」
「違うわよ。
 自分が裁判に巻き込まれるかもしれないって思ったとき、
 気付いたの。 
 あんたみたいな仏頂面した顔の人に、弁護は任せられないって。」
「・・・」
「弁護士って、人と関わっていく仕事なんでしょう?
 頭でっかちになって知識を詰め込むことばっかり考えてないで、
 もっと、弁護する人の気持ちをわかろうとする、
 努力をした方がいいんじゃないの?」
「・・・」
「早紀に必要なのは、知識じゃなくて、ハート。
 あ、なんか私今、かなりいいこと言ってない?
 遠慮しないで、日記に書いていいのよ。
 じゃあね。おやすみ!」
「・・・」

『蓮美のやつ、ムカつく
 でも、案外当たってるかも・・・・・・』

日記を書き置えた早紀は、鏡を取り出し、微笑んでみる。
「弁護士の荻原です。
 ・・・ふぅ。
 ハギワラではなく、荻原です!
 ・・・」
落ち込む早紀・・・。

気を取り直し、『ビリージーン』を踊りだす。
そこへ璃子が戻ってきた。早紀はフリーズしてしまう。
「何やってんの?」
「・・・ダ、ダンスですがぁ。」
「うん、それはわかるんだけど、なんで?」
「勉強する気が出ないとき、こうするとやる気が出るので
 昔から・・」
「はぁ・・」
「・・・」

また早紀のことを一つ知りました。(笑)

銀行帰りの光輝。
「もっと貯金しておけば良かったなー・・・。」
綺麗なお姉さんとすれ違い、ナンパしようと振り返るが、
立ち止まり、携帯を取り出し、
『20〜25歳女性』に登録されたリストを全て削除。
続いて、『26歳〜35歳女性』のリストも全て削除。
光輝のアドレス帳の『友人』リストには、
『日本一賑やかな主婦』と『日本一表情の分かりにくい女』。
それを見つめながら、光輝は幸せそうに微笑むのだった。

彼が必要だったのは、綺麗なお姉さんたちではなく、
本当の友だち。
素敵なシーンでした。


子供たちに手紙を書く璃子。
『夢、望へ
 元気にしていますか?
 写真を撮ったので送ります。
 ママの、お友だちです。』

その頃早紀は、人間ドックを受けていた。
「ハギワラさん、ハギワラサキさん。」
「オギワラです。」
「・・すみません。血液採りますね。」
「・・・」

採血中目をギュっと閉じながら、
ヒッヒッフーって、お産か!?(笑)
怯える表情がまた可愛い!


「健康面には全く問題がありませんね。」と医師。
「そうですか。」ほっとする早紀。
「ただ、一つだけ。」
「・・何ですか?」
「おめでたかもしれません。」
「・・・あの、今、何て?」
「気が付きませんでした?
 妊娠している可能性があります。」
「・・・」

えーっ!?早紀が妊娠!?

今回、食欲がない、体調が悪いとありましたが、
まさか妊娠とは!?
でも医師の言葉は「可能性があります」だから、
まだ確定ではないんですね。
妊娠しているとしたら正登との子。
うーん、そうだとしたら、早紀はシングルマザーに?

物語がそういう展開になるとは想像していなかったので
びっくりです。
お母さんになる早紀も見てみたいけれど、
早紀の9度目の司法試験と、璃子や光輝との友情、
そして恋。
話がぶれなければいいなーと思っています。



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主題歌
B00326NFTM戻れない明日
aiko
ポニーキャニオン 2010-02-03

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B0031246NQ曲げられない女 オリジナル・サウンドトラック
池頼広
バップ 2010-02-24

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キャスト
荻原早紀(32) - 菅野美穂
藍田光輝(36) - 谷原章介
坂本正登(29) - 塚本高史
今田健治(19) - 市川知宏
横谷里美(25) - 能世あんな
増野所長(55) - 西岡徳馬
荻原 光(56) - 朝加真由美
長部璃子(34) - 永作博美
長部 夢(7) - 松浦愛弓
長部 望(3) - 滝田匠
長部善隆(38) - 山口馬木也
長部富貴恵(60) - 高林由紀子
中島剛志(平泉成)

スタッフ
脚本: 遊川和彦
チーフプロデューサー: 櫨山裕子
プロデューサー: 大平太、山本由緒、太田雅晴
演出: 南雲聖一、吉野洋、木内健人
音楽: 池頼広
制作協力: 5年D組
製作著作: 日本テレビ


菅野美穂さんの主な出演作品





この記事へのコメント
ちーずさんこんばんは、早紀、光輝、璃子の三人の個性が素晴らしく、お互いを親友だと分かり合えた時に本当の気持ちを伝え、これ以上はルールを決めて立ち入らないと言いながらも心を許してしまう三人お互いの欠点を言いながら成長するのが面白いです。

三人の未来の生活がたのしみです!








Posted by けた at 2010年02月19日 20:19
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曲げられない女 (谷原章介さん)
Excerpt: ◆谷原章介さん(のつもり) 谷原章介さんは、毎週水曜よる10時日本テレビ系列にて放送されている連続ドラマ『曲げられない女』に藍田光輝 役で出演しています。 昨日は第6話が放送されました。 ●あらす..
Weblog: yanajunのイラスト・まんが道
Tracked: 2010-02-19 00:35
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