2010年03月01日

君たちに明日はない 最終回

『人にやさしく』

真介は、ホームレスとなった平山(村田雄浩)の姿にふれ、
高橋に、リストラされた人たちの再就職を支援する事業を
提案するが、高橋は全く受け入ない。

高橋社長は、オモチャ会社DONDOの社長に謝罪するため
すし屋にいた。
「結局、切って欲しい人材を抱える羽目になって、
 ご立腹なんだよ。」
高橋社長の言葉に真介は返す言葉が見つからず・・・。

帰り道、真介は平山と話したことを思い起こす。
平山は、退職金で株を始めたが、調子が良かったのは最初だけ。
有り金全てを失い、ホームレスになっていた。
「もう・・終わってるよな、俺の人生。」
「・・・終わってるなんて言わないで下さい。」
「は?」
「そんな・・・終わってるなんて・・。」
「もう、いいんだって!」
平山はそう言い、真介の前から立ち去った。

一方、故郷に帰る決意を固めていた陽子に、
石綿事務局長(前田吟)は、建材協会会長・相川(夏八木勲)
を伴い、次期事務局長のポストを薦めるが、
あまりの大役に驚く陽子。
「会社人としての評価には、社内的評価と、社外的評価の
 二通りがあると私はおもっています。
 社内の人間関係や、しがらみ含みでの社内的評価は、
 本当に仕事が出来るかどうかを表してはいない。
 しかし、社外的評価は、そんなものを抜きにした、
 やつは出来るか出来ないか、だけです。
 あなたが企画したプロジェクトの評判が相当いいのは、
 あなたご自身も、認識しているでしょう?」と相川。
「あの・・こんな大社長にお褒めいただいて、
 もう、天にも昇る気持ちですけど・・
 私は・・実際はそこまでの人間じゃないと思います。」
「人に対する評価は、自分で下すものじゃない。
 他人が下すものですよ。
 違いますか?」
「・・・」

真介は、すし屋に戻っていく。
「失礼します!
 一言、社長さんに謝罪したくて参りました。」
「どういうことだ?」
「おい、いきなり失礼だろ!」と高橋。
「緒方さんの面接を担当したのは自分でして。」
「え?」
「彼の、おもちゃに掛ける情熱、それから、
 おもちゃを作りたいという理由。
 彼を知れば知るほど、DONDOという企業にとって、
 大事な人材なんじゃないかと思えて仕方なくて。
 どうしても、リストラ出来ませんでした。」
「村上!もういいからやめろ!」
「今君は、緒方を残した事について、
 正当性を語りにきたのか?」とドンド社長・大橋。
「いえ、そうではなく・・」
「高橋社長。」
「はい。申し訳ありません。」
「こんなことを聞かせたいために、私を食事に呼び出したんですか?」
「申し訳ありまえん!!
 自分に、未熟な部分があったのは事実で、」
「村上、もういい!」
「緒方を切らなかったのは、高橋社長の独断じゃなかったんですね?」
「・・・申し訳、ありません。」
「どういうことですか!?」と真介。
「いいから!」高橋は村上を個室から追い出してしまう。

アジアンレストラン
「でも、部下のせいにしなかったんでしょ?」と陽子。
「そうです・・。」と真介。
「その状況でさ、社長としては同意できないよね?
 そんな失敗を正当化するような新部門立ち上げるには。」
「別に失敗を正当化しようとか、そういうんじゃなくて。」
「自分が切った人をほっとけなくなったんでしょう。」
「・・・正直、向きあうなら、とことん向き合うべきとうか。」
「とことんか。
 いつか辛くなるかもよ。」
「そうかもしれないですね・・。」
「でもやりたいんだ。」
「はい!」
「そうか。
 でもね、事業として会社にメリットあるの?」
「不動産投資会社に働いている友達に相談したんですけど、」

「かなりあるよ!
 リストラ会社だから出来る就職の斡旋っていうの?
 同業他社とは違う存分にアピール出来ればな。」
真介に相談された山下はそう答えた。

「でも企業側も体裁あるだろうし。
 首切り会社に転職っていうか、
 再就職まで面倒見てくれって頼むかな。」と陽子。

「そりゃむしろ逆に頼むだろ。
 外資に勤めてて思うけどさ、日本の会社は、
 本音と建前の間で苦しんでるだろ?
 つまりさ、終身雇用が日本企業の売りで、
 それこそ、身を粉にして働いてきたのにさ、
 今更急にやめろっていうのはないだろ?
 で、そういった理屈を実は会社もそれなりに理解している
 わけじゃない?」と山下。

「会社側に良心の呵責があるってこと?」と陽子。
「おおいにありますよ。」と真介。

「だから再就職もパックで付いてたら、
 会社も罪の意識から随分逃れられるわけだろ?
 ありがてーよ。
 昨日キャバクラの姉ちゃんも、みんなナイスアイディアって
 言ってたぜ。」と山下。

「えーーーっ。最後の一言余計じゃない?
 ていうか、一気に今までの素晴らしい発言の価値
 なくしてない??」と陽子。
「まーまー、会社側はありとして、リストラされた側としては、
 首切り会社に次の勤め先を世話になるっていうのは・・
 果たしてありなのかってとこなんですよ。」
「どうなんだろう。
 自分を切った人に、新しい勤め先紹介されるのは、
 ちょっと微妙かも。」
「じゃあ、もし、陽子さんならどうですか?
 リストラ会社に、事務局長のポストがありますがって言われたら。」
「そんなこと言われたらリストラじゃなくてヘッドハンティングよ。」「え?そんなにすごいことなんですか?」
「うんまあ・・お給料は安くなるけど、
 ある意味、大事な、ポストだからね。」
「じゃあ、何を迷っているんですか?」
「・・・簡単に言えば、自分で務まるかって。」
「うわ、珍しい!弱気な陽子さんとかって初めて見た。」
「これでも、か弱き乙女の端くれだっつーの。」
「ふーーーん。」
「・・・ちょっと、何よ。」
「いえいえ。
 陽子さんも、そういうこと言ったりするんだなーと思って。」
「どういう意味よ!」
「あ、でも、妹さんだって、転職話、喜んでくれてません?」
「・・・それがさ!うちの妹なんだけどさ。」
「え?何かあったんですか?」
「この間、彼氏の、ミッキーの家にご挨拶に行ったんだけど。」

数日前、陽子のマンション
妹の泰子は陽子に恋人の実家、三木家へ行ってきたことを話す。
「待って!ミッキーって、苗字だったの?」と陽子。
「あれ?知らなかった?」
「じゃああんた普通に苗字で呼んでたってこと?」
「そうね。」
「ちなみに、下の名前は?」
「それがね、」

三木家
「彼女来たの!?ノリスケ!!」母親の声。

陽子のマンション
「ストップ!!
 のりすけ!?三木のりすけっていうの?ミッキー!?」
「ご飯のお供みたいだよね。」
「ちなみに、ご両親は?」

ミッキーの両親は、三木のりお、のりこ。

「嘘だ!それは絶対に嘘だ!!」
「嘘じゃねーんだって。私もびっくりしたんだけど。」
「どこまでリアルなんだよ。」
「リアルはリアルよ。実際漫才やっているんだし。」
「・・・漫才やっている人!?」
「・・・」
「全部マジだったら、微妙に引くね。」
「かなり引くでしょ?」
「ま、ミッキーのご両親ってことなら納得だけど。」
「納得も何も、ぶっちゃけあの一家と家族になる自信がないって
 いうか・・。」
「え?いきなりマリッジブルー!?」

帰り道、真介は緒方のお掃除ロボット『リストラ君』が
全米で大ヒットした、というニュースをする。

日本ヒューマンリアクト
「いやあもう、問い合わせと注文でてんやわんやです。
 この、不況の時代に、本当に夢の様な話で。」と大橋社長。
「この、5年間のリストラ計画、必要なかったかもしれませんね。」と高橋社長。

「失礼します。」真介が挨拶する。
「いやいや、先日は、大変失礼しました。」と大橋社長。
「いえ。」
「あなたの判断は間違ってなかった!
 それどころか、会社を救ってくれた。」
「・・・会社を救ったのは、緒方さんです。」
「業績の回復次第では、出来ることなら、
 リストラをしてしまった社員の中からもう一度、
 募集をしたいと、そう考えています。」

大橋社長が帰ったあと。
「参ったな。
 結果的にはお前の判断が正しかったか。」と高橋。
「いえ、これは正しいということではないような。」
「俺も、俺の信念を曲げるつもりはない。」
「はい。」
「信念を曲げたら、経営なんてものは出来なくなる。
 でも、俺以外の信念の持ち主を、全部否定するつもりもない。」
「・・・」
「立ち上げてみるか?」
「・・・ありがとうございます!」

関東建材業協会事務局
「引き受けてくれませんか?事務局長。」と石綿。
「この間のお話で、年齢的な部分、社内的な評価のことは
 納得したんですけど、
 私以外にも適任者はいると思うんですね。
 むしろ、私よりもっと適任の方が。」
「よし、嘘をついても仕方がないし、腹割ったつもりで、
 本当のことを言います。」
「ありがとうございます。」
「適任と、思われる方は何人かいました。
 実際に会って、話した人もいる。
 しかしね、みなさん、安定しているんです。
 つまりは、出来る人たちですからねー。
 現場の生活に、大変満足している。」
「そうですよね。」
「しかしね、この業界には、保守的な気持ちになりがちな
 男性よりも、あなたのような、女性のような適任だと
 今そう思っています。」
「私のような、と言いますと?」
「自分がいいと思ったら、わき目も振らずまっしぐらタイプ!
 この業界の社長さんたちは、みなさん、程度の差こそあれ、
 今のままじゃいかん、そう思っている。危機感を持っているんだ。
 あなたの為じゃない。この業界の未来の為に、
 事務局長、引き受けてもらいたいんです。」
「・・・すみません。」
「ダメですか・・。」
「いえ、答えを引っ張ってしまって、申し訳ありません。
 即答すべきでした。」
「いやいや・・。」
「事務局長、やらせていただきたいです。」
「本当ですか!?」
「この業界の為に私が出来ること、一生懸命やらせていただきます!」
「ありがとう!ありがとう!」

数ヵ月後、関東建材業協会・定期総会で、陽子は就任の挨拶をする。
「本日は、お忙しい中、ご列席賜わり、誠にありがとうございます。
 数ヶ月前、森松ハウスで、リストラ候補にされていました、
 芹沢です。
 若輩者である私に、不安を感じていらっしゃる方も多いと
 思いますが、この業界の発展のために、
 精一杯、汗をかいてまいりたいと思います。」
「しっかり頑張って下さいよーっ!」と声。
「みなさんも、しっかり、頑張って下さい。」
会場からは笑いと大拍手。

レストラン
「すごいじゃないですか。」と真介。
「良かったのは、そこまで。」
「そうなんですか?」
「そのあと懇親会になったんだけど、
 なんだかもう全く、お客様扱いっていうか・・
 本当の大事な話は聞かれたくないって感じでさー。
 こっちから懸案事項とかの話題振ってもさー、」

大事な話ははぐらかされてしまい、
カラオケでは、円陣を組み『あの鐘を鳴らすのはあなた』を熱唱!

「長かったですが、これが強烈な二日酔いの言い訳。」
「でも陽子さん、なんかいきいきとしています。」
「そう?
 あなたも相当いきいきしているわよ。」
「そうですか?
 そうだ。これ、見てください。
 やっと出来たんです。」
「パンフレット?」
『再就職支援事業について』と書かれたパンフレット。
「明日、これを平山さんのところに持っていこうと思っています。」
「・・・そう。」

翌日、真介は公園で古雑誌を並べる平山に声を掛ける。
「・・・こんにちは。」
「・・・」
「自分、こんなこと始めました。」
「・・・」
「自分に出来ることが少しでもあればと思って。」
「・・・」
「気が向いたら、お待ちしています。」
真介はパンフレットを置き、頭を深く下げるとその場を去る。

真介がいなくなると、村上は置いていかれたパンフレットを見つめ・・。

帰り道、真介の携帯が鳴る。
「陽子さん。どうしました?」
「あなたのとこ、優秀な人材本当にきちんと紹介してもらえる?」
「何かありました?」
「うちの職員がご主人の急な転勤で、退職したいって。」
「それじゃあ急いで探さないと。」

真介は高橋社長に相談する。
「関東建材業協会・・業界取りまとめている団体からの依頼か?」
「はい。動いてもいいでしょうか?」
「俺も挨拶に行こう!」
「え?」
「明日の午前中にアポ取れるか?」
「あ、いや・・社長がわざわざ出向く程の仕事じゃ。」
「バカ。
 そこはその業界の社長たちが出入りしたりする所じゃないのか?」「はあ、まあ。」
「はあ、まあって・・お前もまだまだ青っちょろいなー。
 本当に優秀な人材をうちで紹介したら、
 出入りしている社長さんたちからも、
 いい人が入ったね、どこで見つけてきたのってことになるだろ!?」
「なるほど・・。」

夜、電話で陽子と話す真介。
「経営者っていうのは、やっぱり違いますね。」
「ていうか、ちゃんと他人のフリしてね。」
「大丈夫ですよ。それじゃ、明日午前中。よろしくお願いします。」
「はい。じゃ。」

「お姉ちゃん結婚するの!?その人と。」と泰子。
「え?しないよ別に付き合ってるわけじゃないし。」
「それじゃ、他人に、他人のフリしてねって言ってんの?」
「え・あ・・いや・・」
「おかしいじゃんよー。」
「人のことはいいから。
 結局泰子はどうすんの?ミッキーと。」
「結婚する。でもって、当初の予定通り、鹿児島に帰るわ。」
「え!?どうしたの?やめる勢い、いっぱいだったのに!」
「本当の愛に、気付いちゃったのよ。」
「何それ。」
「実はね。」

数日前、泰子はミッキーの父と会っていた。
「私もこれで、芸能界に40年身をおいてきました。
 多少息子のことで、役に立つ知り合いがいないわけでは、
 あーりません。」
「はい・・」
「実は、最近あの子に、とあるレコード会社の人間を紹介したんです。」
「え!?聞いてないです!」
「言えなかったんだと思います。」
「どういうことですか?」
「ソロでならデビューさせてもいいと、言われたらしいんです。」
「・・・」
「しかし息子は、断ったそうです。」

「自分は、泰子と一緒だから、ここまでやって来れたんです。
 一緒に出来ないなら、自分の目指す音楽は出来ません。」

陽子の部屋
「私なーんにも知らなくてさー。」
「いやー、すごいね、ミッキー。男だね。」
「うん。で、鹿児島での生活、ミッキーと一緒なら、
 楽しくやっていけるかと思ってさ。」
「でもいいの?
 ミッキーはあんたのせいでメジャーデビューの話、
 棒に振っちゃったわけでしょう?」
「私のせい?
 だってうちら新しい夢見つけちゃったんだよー。」
「いや、ミッキーとしたら、」
「だからー、鹿児島ライフしか、私たち興味ないし。
 ていうか、音楽やっているヤツの方が偉いとか
 そういう意味で言ってんの!?」
「あんたら音楽が、この世の全てって、一番偉いって
 今まで言ってきたじゃない!」
「勘弁してよー。
 仕事に偉いとか偉くないとか、ないっしょ?」
「・・・あんた本当にバカっていうか・・ある意味天才っていうか。」
「ま、とにかく、やっぱ生きていくのに必要なのって、
 結局愛なんじゃねーかなーってね!」
「クサ。
 結婚前にすると違うね、やっぱ。」
「お姉ちゃんの充実してるからって、
 仕事仕事ってなってると、結局最後は孤独死するよー。
 ・・を最後に歌いまーす。」
「だからいらないって。」
「私が側にいなくなったら、寂しくなるよ、絶対。」
「せいせいする。」
「その人との結婚も、ありだと思うけど?」
「その人って?」
「他人じゃない、他人!」
「・・・まあ、他人じゃなくなったら、考えますわ。」
「惚れた男より、惚れられた男かもよー。」
泰子の言葉に微笑む陽子。

翌日
「早速ですが、求人に際して、ご希望の条件などがありましたら。」と高橋。
「基本的には、事務仕事です。
 各企業から集計されてきたデータの管理、
 それから、会合のセッティングなどです。」と陽子。
「事務仕事以外も、その、協会員の方々と何かと接するでしょうし、
 対人関係能力は、必要でしょうね。」と高橋。
「そうなんです。
 協会員のほとんどが社長さんなので、
 癖の強い方が結構多いんです。
 ちょっとした物言いや、接客でへそを曲げる方もいますし。」
「営業、またはそのアシスタントのキャリアで、
 業種は、不動産や建設関係に務めていた方なんかいかがでしょう。」と真介。
「ベストです!
 あとは私が留守の場合も多いので、
 臨機応変に仕事がさばけるような、
 頭の回転の速い、機転の効く方だったら、
 まあ、多少、気が強いくらいでも構いませんし。
 年齢は、仕事が出来る方だったら私より上でも構いませんので。」
「わかりました。」
「よろしくお願いします。」
「でも、事務局長、一ついいですか?」と女子社員。
「どうぞ。」
「そちらが紹介するのは、基本的に一度どこかしらの会社を
 リストラされた人なんですよね?」
「確かに、そうです。
 しかし、リストラされたといっても、
 その人の適正を会社が把握してなかったケースが数多くあります。
 つまり、その会社では必要がないと判断されたとしても、
 会社が変われば、しっかりと働ける可能性が充分にあります。
 そしてその人の適正は、リストラした我々だからこそ、
 一番良く分かっているつもりです。」と真介。
「こちらはこちらで、紹介された人にきっちり、
 面接させていただきますから。」と陽子。
「必ずご満足いただける方を、紹介させていただきます。」と真介。
「何卒、よろしくお願い致します。」

帰り道
「なーんか、見覚えがあるんだよなー、あの事務局長。」と高橋。
「え・・」
「あ!!森松ハウスのリストに入っていた女性じゃないか!」
「・・・」
「もしかして、担当村上か?」
「いや・・いや・・その・・」
「まさか・・プライベートでの付き合いがあるのか!?」
「・・・すみません!」
「・・・」

居酒屋
「結果、バツとして減俸。」
「マジで!?」と山下。
「マジで。」
「しかし恐るべき記憶力だなー。
 しかも真介が担当したってことを覚えてるなんて。」
「そう!しかも大分経つよ、森松ハウスのリストラ。」
「経営者ってのは、一つ一つの仕事に対して根本的に考え方が
 違うから、忘れねーんだよ。」
「仕事って何かって、自分の世界観もきっちり持ってるしね。」
「この間まで散々、社長のことボロクソ言ってたのに、
 最近リスペクトしまくってんな。」
「ま・・新事業やらせてくれたから・・」
「アハハ。わかりやすいなお前ほんと単純っつーかよ。」
「ウルセー。」
「でもよ、この仕事上手くいったら、かなりポイントアップじゃないか?
 おばさんの彼女に。」
「彼女じゃねーって。おばさんでもねーし!」
「いつまでグダグダしてんのよ。
 結婚考えてるって言ってなかったっけ?」
「すみません、生お代わり!」
「まさか、心のどこかで前の彼女がちらついているとか?」
「んなわけねーだろ。」
「よしじゃあ!
 この仕事が上手くいったらプロポーズな!
 んで、俺はその真介の勇気貰ってプロポーズする!」
「え?もしかして例のキャバクラ嬢?」
「お前ね、キャバクラ嬢は女の子の間で人気の職業なんだよ?
 知らねーの?なりたくてもなれねーんだよ。
 狭き門なんだよ、狭き門!
 とくにあの子は・・特別なんだよ特別!わかるかぁ!?」
「すみません、生急いで・・」
「分かってたまるかってんだよ。もう!!」

日本ヒューマンリアクト
真介のもとに、高橋がやって来る。
「どうだ?いい人材見つかったか?」
「・・はい。必ずものにして見せます。」
「ネットでちょっと、面白い記事見つけてね。
 旅回りとかする大衆演劇の劇団が、この不況で仕事を無くした
 人たちの為に、劇団で働く人の募集を始めてる。」
「食うとこ寝るとこ心配無用・・ですか。」
「粋な事をするよなー。芝居やってる人間ってーのは。」
「本当ですね。」
「それから、関東建材業協会に斡旋する人材だが、」
「はい。」
「せいぜい5、6人の世帯だ。
 船頭は2人いらないぞ。」
「どういうことですか?」
「その辺だけはこだわっておけ。」
「・・・」

「とてもいい人が見つかりました。」と真介。
「どんな人?」と陽子。
「最高の人材です。」

その女性・白井(野波麻帆)を面接に連れていく真介。
「頑張りましょうね、白井さん。」
「はい!!」

「前の会社には何年いらしたんですか?」と陽子。
「5年です!」
「失礼ですけど、なぜリストラの対象になったのでしょうか。」と社員。
「業績悪化に伴う人員削減で、実際、事務方はパートや派遣に
 完全に切り替えまして、それで。
 ですが、前の会社では一通りのスキルは身に付けたつもりです!」
「うちでは、逆にこうした方がいいっていう、
 フォーマットの変更点があったら、積極的に改善して下さいね。」
白井が頷く。
「えー、白井さんから何か質問はありませんか?」
「へ?・・え・・えーっと・・」
「何でも、結構ですよ。」
「あ・・じゃあ・・
 服装の制限とかってありますか?」
「服装?あ・・まあ、制服じゃなくても大丈夫ですけど、
 ジーンズとか、カジュアルすぎるのはやめてくださいね。」
「あ、了解です!」
「・・・他には?」
「あ・・じゃあ・・
 残業で遅くなることはありますか?」
「そうですね。会議の前日などは、資料作りで遅くなることも
 あるかもしれませんね。」
「それって、結構な時間の残業でしょうか。」
「と言いますと?」
「いや、その後予定を入れたりしていたら、遅くなっちゃったり、
 行けなくなっちゃったりするのかなと思って。」
「・・・
 予め、会議の日程はわかりますし、
 そのために、事前に準備も進めますので、
 実際そこまで遅くなるっていうことはないと思います。」
「あ、了解です!」
「・・・・・」

「何なのよ!あの子は!!
 仕事に対するモチベーション低すぎでしょ!!
 何あの返事!
 あ、了解です!」
「まーまー落ち着いて。
 本人も緊張してたみたいで。」
「人のことバカにしてんの!?
 どこがいい人材なのよ!」
「そんなに悪い子だったかな。」
「いい子かもしれないし、社長の受けはいいかもしれないけど、
 それだけじゃない!」
「彼女はやれと言われたことはきちんとこなしますよ。
 だから残業だっていい加減に出来ないから、
 帰りの時間だって気にしてたんです。」
「帰りの時間って、私は下手すりゃ帰れませんけど!
 ていうか、知り合いだからって手抜きで済ませて
 お金貰おうとか思ってんじゃないの!?」
「僕は手抜きしたつもりないです!」
「あれで!?」
「・・・僕の意図、簡単には理解してもらえないと思いました。
 まあここまで怒るとは思いませんでしたが。」
「私の希望を無視するからでしょ!」
「・・・この際だからはっきり言います。」
「何よ。」
「僕は、陽子さんが好きです。
 本当に、大好きです。」
「・・え?」
「その短気なとこ、単純さ。正しくありたいという誠実さ。
 完ぺき主義なとこ。熱いとこ。」
「・・何の話?」
「でも、そんな陽子さんを苦手だなと思う人も世の中にはいる。」
「そりゃあね!」
「多分、陽子さんとぶつかるのは、陽子さんと似たタイプですよね。
 友達ならそれもいいかもしれない。
 そういうことを繰り返し、固い絆が生まれてくるかも
 しれないし。
 でも、職場ではそうはいきませんよね。
 かなり、イニシアチブを握りたがる人が2人いたとしたら、
 仕事は絶対上手くまわらなくなりますよね。」
「・・・そりゃあね。」
「でも陽子さんはそんな人を希望していました。」
「・・・」
「小さな職場に船頭は2人いらない。
 陽子さんの指示を的確に、責任持ってこなしてくれる部下が
 いればいいんじゃないか。」
「・・・それが、彼女ってこと?」
「人あしらいが上手くて、素直で、仕事は真面目。
 自分から何か動こうとはしないけど、
 言われた事はきちんとこなす。
 陽子さんの教育次第で、最高の部下になってくれると
 思いますけど。」
「・・・」
真介の言葉の気付かされた陽子は、小さくため息を吐くと、
真介に微笑みかけ・・。

その知らせを聞いた白井、
「ありがとうございます!!
 いきなりリストラされて・・
 もう私の人生どうなるんだって思ってましたから・・・
 短大時代に貰った内定よりよっぽど嬉しいです!」
と心から真介に感謝する。
「これからが本番ですから、白井さんのいいところ、
 思う存分、仕事で発揮して下さいね。」
「はい!本当にありがとうございました!!」

真介は、白井が採用されたことを高橋社長に報告に行く。
「そういえば、森松ハウスの平山さんって覚えてるか?」
「平山さん、どうかしましたか?」
「汚い格好で、やってきたらしいぞ。お前に会いたいって。」
「来たんですか!?」
「リストラ担当したのは、お前だったよな。
 お前が、声掛けしたのか?」
「・・すみません。」
「罪滅ぼしか?」
「・・・」
「俺はな、仕事には二通りあると思うんだ。
 手段としての仕事と、目的としての仕事。
 金を稼いでくる手段として仕事をしているやつは、
 決して、楽しくはないだろうし、
 やりたい仕事というわけじゃないかもしれない。
 でも、家族を養うため、仕事以外の時間での、
 趣味を楽しむために働く、つまり、手段だ。
 それともう一つは、その仕事自体が好きで働いているやつもいる。
 もしかしたら、金にはならんかもしれないがな。
 これは、仕事が目的だ。
 ま、どちらがいいとか悪いとかじゃない。
 でもな、どちらも、そんな自分に誇りを持っていないと
 辛くなる。
 好きな仕事への誇り。
 稼いでくる自分への誇り。
 俺が、容赦なくクビを切れるのは・・
 誇りを持ち続けている人間は、必ず、どこかで復活してくる。
 そう、信じてるからだ。」
「・・・」

真介は、劇団を訪ねていく。
平山はそこで働き始めていた。

「お客さんの笑っている顔を見ていると、もう嬉しくて。
 いいシーンで、お客さん泣いているでしょう?
 袖から、それこっそり見ていると、こっちまで泣けてきて。
 この間なんて、スタッフの僕にまで、
 また来てくださいね、なんて泣いているおばあちゃんがいて。
 ・・・この仕事に出会えて・・・本当に良かった。
 紹介してくれて、ありがとうございました。」
「いえ。」
「仕事はあるのに、選り好みしていたんですよね。
 結局自分は、肩書きとそれに見合った給料にこだわっていたんです。
 ま、それも、一つの人生でしょうけど。
 ・・・実は、この前・・浜松に公演に行ったとき、
 営業所時代の取引先の人が見に来てて、
 もう、何年ぶりの再会で。」
「びっくりしてたんじゃないんですか?」
「何ていうんだろう。
 哀れむような目っていうのかな。
 どうしたんですか!?って言われたんだけど・・
 全然悔しくなくて。
 むしろ、今の自分が誇らしくて。
 人生で、最高のときを送ってますって、
 つい、言っちゃいました。」
2人は笑い合い・・。

川沿いのカフェ
「なんか、よかった。」と陽子。
「良かったですよね。」と真介。
「平山さんさ、森松の時、いつもしかめっ面で、
 笑った顔なんか見たことなかったかも。」
「あれは、心からの笑顔でしたよ。」
「誇り、取り戻したんだね。」
「僕もある意味、平山さんに誇り取り戻してもらった感じです。」
「よし、私も誇り持って頑張ろう!」
「頑張りましょう! 
 それじゃ、そろそろ行きますか?ご飯食べに。」
「うん。ちょっと、お化粧室行ってくる。」

「ごめん!待った!」
その声に、真介ははっとする!順子だ!
「お待たせ。」
順子は真介の隣りのテーブルに座る男性に声を掛ける。
「おせーよ。」
「ごめんね。出掛けに電話が掛かってきたんで。
 タクシーで行こうか。」
「ああ、じゃあその前にちょっとトイレ。」

背中合わせに座る二人。
「・・・順ちゃん。」
「・・・!!」
「久しぶり。」
「嘘・・・」
「元気、そうだね。」
「うん、まあ・・。」
「急にいなくなったから、心配したけど。」
「・・・」
「今の人、彼氏?」
「え?」
「随分若いね。」
「・・うん、彼、26。素敵な子でしょ。」
「さすがだなー。順ちゃん。」
「・・・」

「ねえ、払っちゃうね。」会計から陽子が声を掛ける。
「あ、出しますよ。」

「・・・じゃあ、行くね。」
「うん。」
「お元気で。」
「・・・真介もね。」
「・・じゃあね、順ちゃん。」
真介はそう言い、陽子の方へと歩き出す。

順子は悲しそうに川を見つめ・・・。
そこへ、男が戻ってきた。
「お待たせ。」
「あ。行こうか。」
「ねえ、今話してたの、お袋の知り合い?」
「見てたの?
 お母さんにあんないい男の知り合いいるわけないでしょ。」

「ねえ陽子さん。」
「何?」
「僕と結婚してくれませんか?」
「うん。・・・え!?何言ってんの!?」
「ですから、ぼ、・・・あ!!」
真介は、階段で困っている車椅子の人に声を掛ける。
「手伝いましょうか?」
「すみません。ありがとうございます。」

そんな真介を、陽子は微笑みながら見つめ・・・。

ミッキーと泰子の結婚式。
「これからー、末永く2人を、お見守り下さいー!
 よろしくお願いしまーーす!!」
「2人じゃなくて、3人かもーっ!!」
「え!?それってもしかして、赤ちゃんできたってこと!?
 超ファンキーだ、やっちゃん!」
2人は抱きしめあって喜びを分かち合う。

日本ヒューマンリアクト
「美代ちゃん、派遣から正社員になる気ない?」と真介。
「え!?
 ・・・いや、でも結局派遣のほうがいいかもしれないです。」

キャバクラ
「え!?本当に結婚してくれるんですか!?
 やったーーーっ!!
 マジで!?」
「冗談はさておき、延長されます?」
「はいします・・・」

日本ヒューマンリアクト
「新しいクライアントは、会食産業最大手の、株式会社翼だ。
 今回も、人材紹介を合わせて希望しているぞ。」
「はい!!」

陽子は白井をしっかり指導。

ある会社の面接室
「というわけで、これを機に、外の世界を覗いてみるのも
 いいんじゃないでしょうか。
 本当に、あなたを必要としている会社があるんです。
 このまま、この会社にいても、
 君たちに明日はない。」


君たちに明日はない。
最初聞いたときは、残酷な言葉だと思いましたが、
本当の意味は違いました。
今の場所から、本当に自分に合った場所へと
背中を押す言葉だったんですね。


真介が連れてきた白井という女性。
「あ、了解です!」
これで大丈夫なのかなぁと陽子のようにも不安になりましたが、
真介はなぜか余裕の表情。
陽子の性格をわかっているからこその、
ベストな人選。真介のポイントアップか!?

ヒントは、高橋社長の「船頭は2人いらない」という言葉。
高橋社長、頼もしいです。

手段としての仕事と、目的としての仕事。
高橋社長のこの言葉も心に残りました。
私は、今は手段としての仕事。
そのことに誇りを持っていられるのは、家族がいるから。
でもいつかは目的としての仕事がしたいな。


順子との再会。
順子にはあんなに大きな息子がいた。
彼女はきっと真介の人生を考えて、彼のプロポーズから
逃げ出したんでしょうね。
最後まで本当のことを言わずにさよならした順子も
素敵な女性だと思いました。


やっと過去と決別出来た真介。
お互いの仕事のことを何でも話し合える陽子と真介。
きっと恋人、夫婦になっても上手くやっていけそうです。

泰子とミッキーはめでたく結婚!そして赤ちゃんも!
真介の親友・山下さんも素敵な人でした。

また続編で見てみたいです。



ランキングに参加中!応援クリックよろしくお願いいたします。
人気blogランキング    TV Drama Ranking



公式HP

主題歌
B002MHA3YWTomorrow Waltz(初回生産限定盤)(DVD付)
久保田利伸
SE 2010-01-27

by G-Tools


原作
4101329710君たちに明日はない (新潮文庫)
新潮社 2007-09-28

by G-Tools


4101329729借金取りの王子―君たちに明日はない〈2〉 (新潮文庫)
新潮社 2009-10-28

by G-Tools


4104750034張り込み姫 君たちに明日はない 3
新潮社 2010-01-15

by G-Tools



4408171611君たちに明日はない (1) (マンサンコミックス)
笠原 倫
実業之日本社 2008-12-25

by G-Tools


4408171751君たちに明日はない 2 (マンサンコミックス)
笠原 倫
実業之日本社 2009-04-27

by G-Tools



B00322P8VO君たちに明日はない (坂口憲二 主演) [DVD]


by G-Tools



キャスト
村上真介:坂口憲二(日本ヒューマンリアクト社員)
芹沢陽子:田中美佐子(森松ハウス、課長代理)
芹沢泰子:須藤理彩
山下隆志:北村有起哉
川田美代子:吉田桂子
順子:麻生祐未
高橋栄一郎: 堺正章(リストラ請負会社・日本ヒューマンリアクト社長)

平山和明:村田雄浩
和久井:小磯勝弥
人事部長:谷本一
部長:須永慶
社長:伊藤延広
得意先社長:田口主将
男:徳井優
重役:石山雄大
老婦:森康子

スタッフ
脚本:宅間孝行
音楽:松本晃彦



坂口憲二さんの主な出演作品




この記事へのコメント
ちーずさんこんばんは、初回では血も涙もないリストラを請け負う会社のトップ社員の真介の過去が自分もリストラされていて過去に支えててくれた女性を偲びリストラ対象になった陽子に彼女の影を重ねて少しずつ人間味のある対応をしていくストーリーは感動できました!

自分の仕事、リストラ会社の一員としてトップの成績を残しながら深い不安感を抱える真介をうまく演じていた気がします、支える役の順子、重なりながらも最後は陽子の強さに、再会した順子が息子でありながら彼女の再生で勘違いながら未練を断ち切る姿がリストラした人物を再雇用まで支援していく部署の設立に重なってなっていたり、陽子のヒントで自分の生活や苦悩を克服していく姿にパートナーの力を感じさせられるドラマでした!

今期の「エンゼルバンク」と重なる題材ですがリストラを請け負う会社の存在がNHKの重さが勝ったかな?向こうも中盤なので分かりませんが堺さん友人の北村さん妹役の須藤さんとの絡み、なぜ身を引いたのか分からずじまいの麻生さんの演技も光っていました!
Posted by けた at 2010年03月04日 01:44
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

君たちに明日はない 最終回 (田中美佐子さん)
Excerpt: ◆田中美佐子さん(のつもり) 田中美佐子さんは、NHKで毎週土曜よる9時から放送されていた土曜ドラマ『君たちに明日はない』に芹沢陽子 役で出演しました。 昨日は第6話(最終回)が放送されました。 ..
Weblog: yanajunのイラスト・まんが道
Tracked: 2010-03-01 20:27

「君たちに明日はない」を見終わって
Excerpt: 果たしてどうなるのかな、と思ってみていた NHK土曜ドラマ「君たちに明日はない」
Weblog: Kei 's Notes
Tracked: 2010-03-04 23:58
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。