「私は45歳。主婦。
最近重要な事を思い出した。
結婚して18年。
妻として、母として夢中で生きてきたから、
すっかり忘れていたけど・・・
私は、女だった。
思い出させてくれたのは、同窓会、
かつて淡い思いを抱いた人。
でも、世の中には忘れたままの方がいいこともある。
・・・今なら、まだ引き返せる。
今なら・・・。」
朋美(黒木瞳)や杉山(高橋克典)と別れた後、
山中湖の湖畔で福島(尾美としのり)真理子(宮地雅子)の車を
発見した大久保(三上博史)は、全速力で追いかける。
「待てよ!待て!!
福島!」
車を停め、窓を開ける福島。
「何で逃げるんだよ!
みんなお前ら心配して、探しに来たんだぞ!」
「・・・申し訳ない。」
「ごめん、大久保君。」
「謝るくらいなら、こんなバカなことすんなよ!!
家族や仕事はどうするんだよ!」
「・・・もう探さないでくれ。頼む。」
「無責任にも程があるぞ!
せめて、これからどうするつもりなのか、
ちゃんと答えろよ!」
「・・・僕たちは、人生を捨てたんだ…。
もう引き返せない」
福島はそう言うと、車を急発進させてしまうのだった。
「おい!福島!真理ちゃん!!
・・・お前らいくつだよ!
45だぞ!!」
東京へと戻った朋美と杉山はそれぞれ元の生活へと戻る。
しかし、その“元の生活”は以前とは少し違っていた。
結婚後、妻として母として夢中で生きてきた朋美は、
かつて淡い恋心を抱いていた杉山と再会したことで、
これを機に“女”として生きるべきか、
杉山への想いを封印して母と妻の生活へと引き返すべきか想い悩む。
かたや、杉山の妻・佳奈子(須藤理沙)は留守中に夫の部下・
竹原(八神蓮)が訪ねてきたことで、夫が家を空けた理由が
出張ではなかったことを知り、嘘をついた杉山に対して
疑念の炎がめらめらと燃えていた…。
佳奈子は杉山のスーツのポケットに高速バス乗車券から
彼が山中湖に行っていたことを知り・・・。
宮沢家
まだ返せていない、万引きしてしまった白いワンピースを
見つめる朋美。
それを洋服ダンスの奥に隠すと、洗濯物を畳みながら
考える。
「さっき別れたばかりで、もう電話を期待している自分が
おかしかった。
こっちからかける勇気も無いくせに。
でも、迷えば迷うほど、ためらえばためらうほど、
恋は本物に育ってしまう。
戻るのが難しくなる。」
それから数日後。
朋美は大久保が編集長を務める週刊誌の表紙に、
『ラブ・アゲイン症候群の甘い罠!
国交省エリート官僚同窓会で再会した女と失踪!』
といった衝撃的な見出しを見つけて愕然とする。
中には、福島をはじめ、朋美たちも写っている卒業写真とともに、
失踪事件のあらましが書かれていた。
それは紛れもなく大久保が書いた下品なゴシップ記事だった。
『国土交通省の次官候補とも言われていたFさん(45歳)が
失踪した。
なんと、中学校の同窓会で再会した同級生の女と
駆け落ちしたというから、開いた口が塞がらない。
僕達は人生を吸えた、もう引き返せないんだと語ったFさん。
45歳の大人の男、しかも、国の中枢で働いていた男の
言葉とは到底思えません。
恋で人生を捨てるなんて、最も無責任な卑怯な者の
やる事じゃないんですか?』
一方、杉山は記事を目にした上司に呼び出される。
「君、本当は福島の居所を知ってるんじゃないか?」
「・・・実は、失踪翌日に、一度だけ電話がありました。
無事だから心配するなと。」
「何故この前言わなかった!」
「深い内容ではなかったので。
しかし、勝手な判断でした。申し訳ありません。」
「これは国交省からの依頼だ。今後は隠し立てなく、
全面的に福島の捜査に協力するよう。いいね!」
「・・・お断りします。
福島和彦は、私の友人です。
警官ではなく、友人として、探したいと思います。」
「私の立場を考えた上でそう言っているのかね!!」
「申し訳ありません。」
友情を裏切るようなひどい記事に怒った朋美たちは、
亀村(六角精児)の店に大久保を呼び出す。
「今日はお前を制裁する会だ。」と亀村。
「勘弁しろよー。」
「勘弁できません!」と朋美。
「アイタ。相川までそういうこと言うの?」
「当たり前でしょう。こんなすき放題書いていいと思ってるの?
これじゃまるで、犯罪者じゃない!」
「好き放題じゃない。事実しか書いてない。」
「ていうかさ、このラブアゲイン症候群っていうネーミング
どうかと思うんだけど。」と陽子(斉藤由貴)。
「そっか?俺って天才って思ったんだけどな。」
「ふざけないで!陽子も!
そういう問題じゃないでしょ!?」
「・・・」
少し遅れて杉山がやって来た。
「・・・どういうことだよ。
お前二人に会ったのか?」
「さすが刑事さん。勘がいいね。」
「え?真理子と、福島君に会ったの?」と朋美。
「だから事実しか書いてないって言ったろ?」
「いつ!どこで会った!?」と杉山。
「はいはい、白状いたします。
私は山中湖で二人に会いました。
皆を送った後、一人寂しく夕焼けの湖を見ていたとき、
福島の車を見つけたんです。」
「・・・」
「どうしてすぐに連絡をくれなかった。」と杉山。
「書いてある通りだよ。
あいつら、人生を捨てたからもう引き返さないって
一言残して、すぐに逃げたんだ。」
「だったら黙って書いていいのか?」
「・・・」
「お前は二人だけでなくて俺たちのことも裏切ったんだぞ。」
「俺は、あいつらに呼びかけるために書いたんだよ。」
「呼びかける!?」と朋美。
「もう引き返せないなんて言ったって、
このまま一生逃げ回ることなんて出来ないよ。
金だって底を付く。
追い詰められて心中なんてことになったら洒落になんないだろ?
だから目を覚ましてやろうと、」
「奇麗事を言うな!!」
「・・・」
「純粋に目を覚ましたかったら、他にやり方があるだろ!?
え!?
お前は友達を仕事に利用したんだ!」
「ハッ!俺はジャーナリストだ。
これが俺のやり方なんだよ!
お前らが警察手帳ちらつかせるよりマシだよ。」
「いつ俺が手帳をちらつかせた!」
「いつもだよ!いつも!
正義感振りかざして、どこか人を見下してるじゃないか!」
「何だとこのヤロウ!」
「殴るなら殴れよ。
刑事さんなら、暴力も正当化されんだろ?ハハハ。」
少しの間のあと、杉山は大久保を思い切り殴りつける。
「・・・お前は、変わらないね。
中学の時から、ヒーロー気取りで、
無駄な正義感燃やしてた。」大久保が笑う。
「何だとお前・・」
「ちょっと!やめて!暴力はやめて!
大人げないわよ、杉山君!」朋美が二人の間に入る。
「君は引っ込んでてくれ!」
「大久保君が言った事は、一理あるわ。
あれ読んで、二人が目を覚ますことだってあるかも
しれないじゃない。」
「あんなもの読んで、目を覚ますことがあるわけないだろ!!
二人を追い込むだけだよ!」
「落ち着いてよ!
杉山君!ここは警察じゃないのよ!」
「・・・警官は平気で人を殴っているとでも思っているのか?」
「・・・」
「俺は仕事では極力暴力は使わないようにしている。
友達だから頭にきたんだ。
大久保だから殴ったんだ!
・・・君に何がわかる。」
「・・・」
「俺はお前のやり方を認めない。」
杉山は大久保にそう言うと、店を出て行ってしまう。
「杉山君!
・・・追いかけないの?
あとで文句なしよ!」
陽子は朋美にそう言うと、杉山の後を追う。
「私は彼のことを何も知らない。
彼の気持ちを、少しもわかっていない。
そう思うと、追いかけるのが怖かった。」
杉山と陽子が立ち去ったあと、店の前に加奈子がやってくる。
写真の裏に書いてあった店名を頼りに訪ねてきたのだ。
そこへ、朋美と大久保が店から出てきた。
佳奈子は二人を尾行する。
杉山を追いかけることができなかった朋美は、
殴られた箇所に貼る湿布薬を買うため、
大久保とドラッグストアへ。
「大久保君って実は、不器用なのね。」
「は?」
「だって言わなくていいことをわざわざ言うんだから。」
「フン。杉山ほど不器用じゃないよ。
山中湖で何があった?」
「・・・ううん。何も。」
「隠してもわかるよ。
男は何も無い女に、あんなキツイ言い方はしない。」
「・・・」
「45歳って危険な年齢なんだよな。
女は子育てが一段落して、急にやることがなくなる。
でも旦那は、ただの自分勝手でデリカシーのない親父に
成り下がってる。
男は男で、今まで見えなかった仕事の限界が見えて、
俺の人生これで良かったんだろうかとふと感じている。
でも女房は、色気なんかすっかり無くして、
文句と愚痴ばっかのオバハンに成り下がってる。
そんな二人が同窓会で再会して、
相手の中に、身も心も若くて美しかった時の自分を見るんだ。
ハハハ。こいつはハマるよ。
人生捨てたくなるのもあり得るね。」
「・・・かもね。」
「おぉ!とうとう認めますか。相川朋美さん。」
「杉山君に対して、そういう気持ちがあることは・・認めるわ。
でも一時的なものよ。思い出に浸ってるだけ。」
その言葉に大久保は笑い出す。
「私は人生捨てたりしません。
だって・・・家族が大事だもの。」
その言葉を、佳奈子は全て聞いていて・・・。
「強がりだった。
私は思い出に浸っているだけじゃない。
自分に嘘をついたあとは、余計に落ち込んだ。」
公園を歩く杉山と陽子。
「カッコ良かったよ。友達だから殴ったってやつ。」
「確かに大人げないけどな。」
「そんなことないよ。
この年になるとみーんななんか冷めて見ちゃうけど、
熱くなれる杉山君が一番素敵。」
「・・・」
「美味しいものでも食べに行く?」
「いや、仕事の途中だから。」
「・・・へー。誘ったのがもし私じゃなくて朋美だったら?」
「つまらない事言うのはやめろ。」
「冷たいねー。」
「・・・おい。悩んでることでもあるのか?」
「は?」
「何か、無理してないか?」
「・・・そんなことないよ。
私人生楽しんでるもの。」
「・・・ならいいよ。
ちょっとそう思っただけだ。
じゃあな。」
一人になった陽子は寂しそうに呟く。
「結局朋美なんだよね・・・。」
買物帰りの朋美。
「一瞬、自分の家がどこかわからなくなった。
無意識に、帰りたくないと思ったのだろうか。」
マンションから夫・誠一郎(吹越満)が飛び出してきた。
朋美を心配し、迎えに来たようだった。
誠一郎は子ども達にホットケーキを作っていてくれた。
「あら?ホットケーキ?」
「ああ。腹減ったっていうから、俺が焼いたんだよ。
結構上手く出来ただろ?」
「美味しいよ!ね!」と子ども達。
「そう?じゃあ・・ご飯急がないわね。」
「ああ、飯炊こうと思ったら、タイマーセットしてあったのな?」
「そりゃそうよ。帰ってからお米研いだんじゃ間に合わないもの。」
「明日からいいよ。飯ぐらい、俺が炊いておくから。
洗濯物も、干しておいたら俺が入れとくからさ。」
洗濯物はきれいに畳んであった。
「・・・」
「あれ?ありがとうの一言ぐらい欲しいよな。」
「・・・」
「どうした?何か気に障ったか?」
「そうじゃないけど・・・」
「けど、何?」
子ども達は気を利かせ、二階に上がっていく。
「はっきり言えよ。けど何だよ。」
「私は・・・ご飯なんか炊いてくれなくていい。
洗濯物も畳んでくれなくていい。
働いて欲しい。」
「働きたいよ。けど仕方ないだろ。
不況で、再就職先が決まらないんだから。」
「いつまで不況のせいにしてるの!?」
「・・・」
「その気であればどこでだって働けるはずよ!?
17年も家で主婦してた私が働いているんだから!」
「パートの出てるからって大きい顔するなよ。
助けてやろうと思ってこっちだって気を使ってるんだから。」
「カッコイイところ見せてよ!
何でもいいから、一生懸命男らしく仕事して、
頑張ってるところ見せてよ!
でなきゃ私、・・・」
「他の男に走るってか?
・・・勝手にしろよ。バカにするな。」
誠一郎は洗濯物を蹴飛ばし、部屋を出ていく。
同じ頃、朋美が不倫しているのではないかと疑う娘・
彩(大平うみ)は、再び杉山の息子・大地(竹内寿)との
接触を図り始める。
「あなたのお父様って、本当に酷い方ね。
人の家庭を壊そうとしている。」
「何の、ことですか?」
「知りたい?」
杉山家
朋美の言葉を思いながら、ワイシャツのアイロンを掛ける佳奈子。
BAR Tomorrow
元妻・麻美(芳本美代子)を呼び出した大久保は、
彼女に封筒を渡す。
そこには、1千万の小切手が入っていた。
「頭金には充分だろ?」
「半分返すわ。私500万でいいって言ったでしょ?」
「取っとけよ。部数が上がったから、ボーナスも出る。」
「何かあったの?」
「いいえ。」
「これでも戸籍上じゃあなたの妻よ。
普通じゃないってことぐらいわかるわ。」
「・・・言ったろ。俺長くはないんだ。」
「嘘ならもっと上手なのにして。」
「今惚れてる女に嘘はついても、昔の女にはつきません。」
「・・・ちょっと・・病気って、こと?
やだ。何の病気?」
「言っても無意味なことは、言わない主義なんです。
・・・心配すんな。君に迷惑は掛けないから。」
そこへ、亜紀(真野裕子)がやって来た。
「いたー!何で電話に出ないのよ!」
大久保は笑ってごまかしながら、麻美を紹介する。
「別れた女房。
破格な慰謝料の取立てに応じてたの。」
「酷い!」
「失礼するわ!」麻美が席を立つ。
「忘れ物。」
「お釣りは返すわ。お葬式代ぐらいあなたにもないとね。」
麻美が帰っていく。
「さすが俺の元嫁。」大久保が笑う。
西川家
「お帰りなさい。」
「ああ。」と夫・正隆(神保悟志)。
「どう?新しいお店は。」
「調子いいよ。内装に金を掛けた甲斐があった。」
「あなたがやることはみーんな上手くいくわね。」
「真奈は?」
「うん。やーっと寝た。
散々、私に文句を言って、くたびれたみたい。
捻挫の方も大分良くなったわよ。」
「あ、ちょっといいか?」
「何?」
「・・・陽子。別れてくれないか?」
「・・・は?」
「君が嫌になったわけじゃないんだが・・
真奈には・・母親が必要なんだ。」
「私・・母親のつもりだけど。」
「いや、良くやってくれているよ。感謝している。
しかしやはり、愛人の子を育てるなんて、無理だったんだ。」
「・・・へー。だから、私を追い出して、早苗さんと3人で、
暮らそうってわけ?」
「僕にとって、たった一人の、血を分けた子なんだ。
だから大事にしたいんだ。
わかってくれないか?」
「・・・わかるわけないわよ。
わかるわけないじゃない!!
私はあなたの・・あなたの妻なのよ!?
愛人に子どもが出来たから追い出すなんて、
そんな大奥じゃあるまいし!!」
「君には、それ相応のものを用意する。
このマンションと、3億円でどうだ?」
「・・・バカにしないでよ!!
何でもお金で済ませられると思ったら大間違いよ!」
「じゃあ何が欲しいんだ!!」
「・・・」
「君が欲しいものが、僕にはわからないんだ。」
「・・・私別れないから。
絶対!!」
「・・・」
真奈の寝顔を見つめながら涙する陽子。
宮沢家
一人で酎ハイを飲む朋美。
「みんな、曲がり角に差し掛かっていた。
もし、同窓会がなかったら、
こんな事にはならなかったのだろうか。」
バー
一人で静かに酒を飲む大久保。
「誰も悩むことはなかったのだろうか。」
犯人を追い詰めた杉山だが、上司の命令に逆らったせいで
手を出すことが出来ず・・・。
「翌朝、私は寝坊した。」
病院
待合室で順番を待っていた大久保は、
朋美が走っていくのを見かけ・・・。
脳の検査を受ける大久保。
「今日の検診の結果ですが、
先月から、進行はしていないようですね。
引き続き、投薬で様子を見ましょう。」
主治医の寅田(高橋ひとみ)の言葉にほっとする大久保。
「先生。奇跡ってありますか?」
「・・・」
「いや・・この爆弾が、消えて無くならないのはわかっています。
でも、爆発せずに、天寿を全う出来ることなんて、
ないのかなって。」
「・・・」
「おかしいですよね。
今までは散々、いつ死んでも思い残すことはないって
言っていたのに。」
「何か、心境の変化することでもあったんですか?」
「うん・・・しいて言えば、最近同級生と会うことがあって、
やつらと一緒に、年食っていくのも、いいかなーって。」
「大久保さん、あなた言いましたよね。
僕は真実を報道する仕事だから、全部真実を言って欲しいと。」
「はい。それは今も変わりません。」
「やりたい事、言いたいこと、会いたい人、
お元気な間に、思う存分おやりになって下さい。」
「・・・」
奇跡は起きない、という医師の答えに
大久保の表情が変わりました・・・。
診察室を出た大久保は、静かに鼻歌を口ずさみながら廊下を歩く。
ふと、今朝見かけた朋美の姿を思い浮かべ・・・
食堂に行ってみると、朋美が掃除をしていた。
「相川さん。
・・・宮沢朋美さん。」
「!!
・・・大久保君!!」
レストラン
陽子は誠一郎を呼び出していた。
「ね、朋美のどこがいいの?」
「はい?」
「私ね、中学時代どうしても朋美には叶わなかったの。
勉強一生懸命頑張っても、それでも男子は朋美の方を見ていた。
大人になって、あ、男って、勉強の出来る女は
好きじゃないんだってことに気が付いて、
で、今度はお洒落を頑張った。
甘え方も研究した。
で、上手くいって結婚も出来た。
でも・・・大人になって会ったら、
やっぱり朋美の方が幸せそうなのよね。
何でかしら。」
「・・・まあ、あいつは、妻としては最高ですよ。
家事は完璧だし明るいし。
何より、こんな僕のことを信頼して尽くしてくれますから。」
「こんな僕って何よ。」
「普通1年も失業してたら愛想つかすでしょう。
でもあいつは、辛抱強く、あなたの納得できる会社が
見つかるまで待つわと言ってくれているんです。」
「・・・ご主人外資系の損害保険会社に勤めてるんじゃなかったの?」
「え?え??え??」
病院の屋上
「へー。そういうことか。」と大久保。
「ごめん。嘘ついたわけじゃないんだけど。
同窓会で久しぶりに会った友達に、
夫が失業中だなんて言えなくて。」
「フン!嘘はついたんじゃない?
見栄を張ったんだよ。
立派な亭主と可愛い子供がいて、
幸せだって言いたかったんだよ。」
「・・・手厳しいのね。」
「責めてんじゃないよ。
人間なんてそんなもんだよ。
みんな嘘つきで、見栄っ張りで、
自分を大きく見せることに躍起になってる。」
「そこまで言わなくたって。」
「杉山だって、ひと皮むけば同じだよ。」
「どうしてここで杉山君の話が出てくるの?」
「だって君は、杉山を惹きつけるめに、見栄を張ったんだろ?」
「そんなつもりなかったわ。」
「じゃ、誰でも良かったのか?」
「何言ってるの?」
「・・・あの夜、一緒に帰ったのが俺なら・・
俺を好きになっていたか?」大久保の瞳に涙が光る。
「・・・」
「違うよな?」
「・・・どうかしてるわ!」
「おい!」
立ち去ろうとする朋美の腕を掴み、抱きしめる大久保。
「ちょっと・・やめて!!」
大久保はまるですがるように朋美を強く抱きしめる。
驚いた朋美は、バッグで大久保を殴りつける。
朋美を放し、天を見上げ大きくため息を吐く大久保。
「杉山と相川・・・
お二人さんに続けて殴られるとはな。」
朋美はそんな大久保の前から逃げるように走り去る。
大久保は一人、夕焼けを見つめ・・・。
その夜、杉山が帰宅すると
佳奈子は真っ暗な部屋の中でアイロンを掛けていた。
「なんだ、いたのか。
大地は?塾か?」
「・・・」
「風呂入って寝るよ。昨夜は徹夜で張り込みだった。」
「・・・」
「・・・おい。どうした?」
「昨日からどうしてもここのシワが伸びなくて。」
「昨日から!?」
「そう。ずっとやってるのに。」
「・・・佳奈子。」
「あの人だけはやめて。」
「え?」
「相川・・朋美って人。」
「・・・お前、どうしてその名前を。」
「あなた遊ばれてるのよ。」
「何だって?」
「・・・私は絶対嫌だから!!」
半狂乱になった佳奈子は、杉山を部屋から追い出してしまう。
「どいつもこいつも・・・。」
そう呟きながら、杉山は家を出ていく。
病院の帰り道。
朋美は杉山の携帯に電話を掛け、そしてすぐに切る。
「・・・何をしてるんだろう。
杉山君に言ってはいけない。」
折り返し、杉山から電話が入る。
「・・・もしもし。ごめんね。何でもない。
間違えたわ。切るねー。」
朋美はそう言い、電話を切る。
だが、そのすぐ後にまた電話が鳴った。
「分かれ道という言葉を思い出した。
この電話に出たら、私はきっと、
引き返す道を失うだろう。」
数時間後。
朋美はある競技場に駆けつける。
杉山はそこで朋美を待っていた。
「・・・来た。」と朋美。
「ああ。」
「・・・懐かしいね、ここ。」
「ああ。つい昨日のことみたいだな。」
「うん。」
「何があった。」
「・・・この間、私言いすぎたわ。
謝りたくて。」
「何があった?」
「・・・いいの。
もういいの。
会えたから、それだけで。」
見詰め合う二人。
杉山は朋美を引き寄せ、抱きしめる。
誰もいない思い出の競技場で、想いを確かめ合うように、
強く抱き合う朋美と杉山。
「私たちは、何もかも忘れて抱き合った。
私はもう・・・私じゃなかった。」
同じ頃、お互いの15歳の子ども同士が夜の街で
会っていることも知らずに……。
同窓会で再会した6人。
それぞれの見栄、プライドから生まれた嘘。
友達の嘘の姿に嫉妬したり、焦ったり。
でも、そんな嘘の仮面が少しずつ剥がされ、
本当の姿が見えてくる。
「やりたい事、言いたいこと、会いたい人、
お元気な間に、思う存分おやりになって下さい。」
医師にそう宣言されてしまった大久保。
自分が生きられる時間はあとわずか。
そして奇跡は起こらない。
大久保にしてみれば、幸せなふりをする同級生を
滑稽にも思うだろうし、愛しくも思うのかな。
彼らの歩く道はまだまだ先へと続いている。
でも自分の歩く道は、すぐそこで行き止まり。
夕陽を見つめる大久保に切なくなりました。
残された時間、彼は周りの人々にどんな言葉を
ぶつけていくのでしょうか。
失業中の誠一郎は、妻の心の変化に感付き、
料理をしたり、洗濯物を畳んだり。
ほんの少しの変化だけれど、誠一郎にとっては精一杯の努力。
そこを少しは朋美に認めて欲しかった。
でも、朋美の気持ちもわかります。
プライドを捨てて、どんな職種でもいいから働いて、
お金を稼いで、家族を養う。
そういう夫でいてほしい。
朋美はきっと、いい妻、いい母でいようとし過ぎたんですね。
だから、誠一郎も朋美の言葉に甘えすぎてしまっていた。
誠一郎には頑張って再就職し、度朋美の心を取り戻してほしい。
佳奈子も壊れてしまいました。
仕事を辞め、夫を支え、子どもを育てている佳奈子。
彼女が悲しむ姿は見たくありません。
次週、福島と真理子の失踪には何か秘密が!?
そして、大久保と陽子は関係を持つようです。
この二人が相思相愛になってくれると嬉しいのですが・・・。
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キャスト
宮沢朋美 - 黒木瞳 (幼少期:篠原愛実)
杉山浩介 - 高橋克典
西川陽子 - 斉藤由貴
大久保真一 - 三上博史
宮沢誠一郎 - 吹越満
亀村太一 - 六角精児
福島和彦 - 尾美としのり
板倉真理子 - 宮地雅子
杉山佳奈子 - 須藤理彩
江川麻美 - 芳本美代子
西川正隆 - 神保悟志
菊川早苗 - 野波麻帆
竹原俊太 - 八神蓮
高村亜紀 - 眞野裕子
宮沢彩 - 大平うみ
杉山大地 - 竹内寿
宮沢達也 - 嘉数一星
西川真奈 - 熊田聖亜
大野真弓 - 大島蓉子
島田珠恵 - 佐藤詩子
浩太 - 鈴木勝吾
スタッフ
脚 本
井上由美子
音 楽
神坂享輔
演 出
藤田明二、高橋伸之、秋山純
プロデューサー
黒田徹也(テレビ朝日)、清水真由美(MMJ)
制 作
テレビ朝日、MMJ
主題歌
阪井あゆみ 「ex-lover」(EMIミュージック・ジャパン)
黒木瞳さんの主な出演作品
高橋克典さんの主な出演作品
斉藤由貴さんの主な出演作品
三上博史さんの主な出演作品












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