2010年11月28日

フリーター、家を買う。 第6話

『母さんを悲しませることすんなよ』

武誠治(二宮和也)は、父・誠一(竹中直人)の会社を訪れた。
誠一を誘って一緒に飲みに行こうと思ったのだ。
だが、そこで誠治が目にしたのは、見知らぬ若い女性・
島田彰子(玄里)と仲良さそうに歩く誠一の姿だった。
誠一たちの後を追った誠治は、ふたりがアパートに入るのを見届けた。
ほどなく、部屋の明かりが消えたのを見た誠治は、ショックを隠しきれない。

彰子の部屋
「誕生日、おめでとう。」と誠一。
「ありがとうございます。」
「ロウソク消す前に、願い事忘れずに。」
「はい。」
彰子は願いごとをしたあと、ロウソクの火を吹き消す。
「おめでとう。」
「・・・武さん?」
彰子は誠一の表情が暗いことに気付く。
「え?」
「私、無理させてるんじゃ。」
「そんな、心配しなくていいから。
 ケーキ食べよう。」
「・・・はい。」

誠一が帰宅すると、誠治が部屋から顔を出す。
「・・・なんだ?」
「いや・・遅かったな、と思って。」
「たまには俺も会社の連中と付き合うこともあるんだ。」
「あ、それって、あの・・男?女?」
「・・・男だよ。」
「・・・」
「何だ?」
「・・・あのさ。
 ・・・」
「何だよ!」
「あいや・・」
「はっきりしないヤツだな、お前は。」
誠一は部屋に入ってしまう。

翌日、大悦土木
生まれたばかりの子供の写真を嬉しそうに仲間たちに
見せる真田勝也(嶋 大輔)。
星野あかり(岡本 玲)は豊川哲平(丸山隆平)を意識しつつ、
食事に誘われてもいつものように断ってしまう。

「誠治。ズボンの裾出てるよ。」真奈美(香里奈)が注意をする。
「ああ・・ 
 何の意味があるんだよ。」
「安全の為に決まってんじゃん。」
「結婚している人を・・好きになって何の意味があるんだよ。」
「・・何急に。」
「別に。」
「わたしと山賀さんは何の関係もないって言ったよね?」
「今のところはな。」
「これからも絶対ない。」
「そんなのわかんないだろ。」
「何で誠治にそんなこと言われなきゃいけないの?」
「・・・家族の気持ち・・ちゃんと考えろよ。」
「・・・は?何なの?意味わかんない!」

そのようすを見ていた社長の大悦貞夫(大友康平)は、
仕事を終えて帰ろうとしていた誠治を呼び止める。
「誠治、コーヒー飲むか?」
「・・・あの、職長。
 若い女、好きっすか?」
「・・・好きだよ。大好き。」

「ふーーん。親父さんが若い女とね。
 羨ましいな。」
「いやちょっと・・ふざけないで下さいよ。」
「俺さ、金髪にしてみようかと思ってんだけど、どう思う?」
「はい?」
「仕事も家庭も、それなりにはした。
 でも、俺の人生、このまま終わっていっちゃうのかなって
 思うと、いてもたってもいられなくなっちゃう時って、
 あるんだよな。」
「そ・・それで、金髪ですか?」
「本当は若い女とよろしくやりたいよ。」
「職長!」
「親父さんのこと、残りの人生が見えちまった中年が、
 焦って、あがいているだけだと思ってよ、
 大目に見てやれよ。」
「・・・」
「俺なんか娘に、若い女の子にモテてるみたいなこと言うと、
 バカじゃないの見栄を張っちゃってって、
 見栄も張らしてもらえねーんだ。
 張らせろよ、見栄ぐらい。」
「・・・でもやっぱり許せないですよ。
 だって、親父がお袋にワイン飲ませて、大変なことになって、
 お袋・・・死にそうになったんですよ。
 そんな・・・許せるわけないじゃないですか。」
「・・・」

その頃、誠一は一人、病院に訪れていた。
「失礼します。・・・こんにちは。」
「こんにちは。どうぞ。
 ご主人、お一人で?」と主治医。
「はい。
 実は、先生に、お伺いしたい事がありまして。」
「どうぞ。」
「・・・妻の病気を治すには、どうしても、
 引っ越さなければいけませんか?」
「出来れば、環境を変えていただいた方がいいと思います。」

寿美子の病室
「いてくれたの?」寿美子が目を覚ます。
「ああ。」
寿美子が起き上がろうとすると、誠一は寿美子の腕に手を置き、
「寝てなさい。」と優しく声を掛ける。
「はい。」
寿美子は嬉しそうに微笑むと、また目を閉じた。

誠治が帰宅すると、誠一が何かを探していた。
「ハンドクリームどこだ?」
「ハンドクリーム?」
「寿美子の。」
「何で?」
「いや、明日病院に持ってってやろうと思って。
 どこだ?」
「いいよ別に、やんなくて。」
「は?」
「親父はやんなくていいって言ってんの。」
「何でだよ。」
「つーかさ、何でそんなこと急に言ってんの?」
「何なんだよ一体。」
「だってそうだろ?」
「いけないのか?」
「何でって聞いてんの。」
「いいよもう。人が折角!」
「なんか、やましい事でもあんのか?」
「やましい事?」
「自分に、聞いてみたらいいじゃん。」
「何なんだ一体!」
「別に。」
「言いたいことがあるならはっきり言えよ!」
「別にないって言ってんじゃん!」
「・・・バイト先で嫌な事あったのか?
 就職先が見つからないから、俺に八つ当たりしてんのか?」
「・・・」
「お前はいつもそうだよ!
 何を聞いてもはっきり言わない!だからダメなんだよ!」
「じゃあ聞くけどさ、あの女誰だよ。」
「あの女?」
「靴買って、ケーキまで買ってさ、それで、」
「・・・お前・・・つけてたのか?俺を。」
「誰だよあれ。」
「お前に言う必要ない。」
「そういう訳にはいかねーだろ。
 家の引越し費用出さないって言ってんのに、
 あんな女の為に金まで使ってさ。
 黙って見てるわけにいかないだろ。」
「あんな女?」
「じゃ、どんな女だよ。」
「・・・お前には関係ない!」
「母さんを悲しませるようなことすんなよ!」
「・・・」
「何とか言えよ。」
「・・・」
「自分は散々偉そうな口叩いておいて、
 何なんだよ。」
「・・・」
「何やってんだよ。」
「・・・」
「・・・黙ってんだったら・・・出てってくんねーかな。」
「・・・」
「この家から・・出てってくれよ。」
「・・・わかった。」

その頃大悦は居酒屋で山賀(眞島秀和)と飲んでいた。
「真奈美に、設計部門に来ないかって話したんです。」
「ま、それが千葉の為になるんならいいけどな。」
「俺の下でやらせようと思ってますから。」
「あのさ、千葉の気持ちわかってんだろ?」
「・・・」
「お前のことただの先輩だと思ってない。
 それ以上の気持ち持ってるよ。」
「・・先輩後輩として、これからもやっていきます。」
「そう言うけど、千葉が気持ちぶつけてきたら、
 きっぱりノーって言えんのか?」
「真奈美は・・・そういうこと言ったりするやつじゃないですよ。」
「そうは言うけど・・
 とにかく千葉はさ、木島建設の社員だけど、
 ずーっと俺らと一緒に現場にしてたんだ。
 傷つけるんじゃねーぞ。」
「・・・」
「タダでさえ、事故のことが傷になってる。
 仕事で傷を作って、男でも傷を作って、
 そんでも強がってる。
 そんな千葉見てられねーんだよ。」
「・・・わかってます。」

その真奈美は、あかりと共にケーキバイキングにいた。
「ほんっとにいつも、一人で来るんですか?」あかりが聞く。
「うん。」
「私、ずっと千葉さんのこと羨ましいって思ってましたけど、
 そうでもなかったかも。
 私、寂しいと甘いものドカ食いしたくなるんです。」
「え、何?じゃあ、あかりちゃんから見て私は今
 すごい寂しい女ってこと?」
「かなり痛いです。」
「痛いのはあかりちゃんでしょ。」
「後悔してませんから。」
「強がっちゃって。」
「不倫女に言われたくないですー。」
「不倫女?不倫なんかしてないし。
 騙され女にそんなこと言われたくないです。」
「騙されて、もうすっきりですから。
 不倫も出来ない人とは違うんです。」
「いやいや、不倫はしちゃダメでしょ。」
「本当はしたくせに!」
「山賀さんはそんな人じゃないし。」
「そうやって誤魔化さないで下さい。」
「誤魔化してないです。」
「誤魔化してる!」
「誤魔化してない!」

「言いたくても、言えない気持ちがある。
 家族だからこそ、言えない気持ちがある。」


武家
誠一が家を出ていった。
カップめんをすすっていた誠治はそのことに気付きながらも
父に声を掛けることはなく・・・。


職安
「随分と、お疲れのようですね。」
「疲れているように見えます?」と誠治。
「ええ、かなり。」
「ま、気疲れってやつかな。」
「武さんが気疲れ?」
「え?そりゃ俺だって、周りに疲れる人いっぱいいますから、
 俺自身も疲れちゃいますよ。」
「へー。最近の若者は、ちょっとしたことで人付き合いを
 大変がりますからね。
 人間関係を築くことを面倒臭がり、どんどんコミュニケーション
 能力が衰えていく。」
「・・・まあ俺の周りは、自分のせいで妻が死に掛けて入院
 してんのに、その自分は若い女とチャラチャラしているような
 男だとか、隣りの主婦を10年以上も苛め続けてうつ病にしちゃう
 オバサンとか、弁護士なのに人格がまあ最低な男だとか、
 真剣に職を探している人をコバカにするような就職斡旋所の
 男とか。
 なんかねー、そういう人ばっかなんですよねー、俺の周り。」
「・・・」

大悦土木
「・・・お疲れ。」真奈美が誠治に気まずそうに挨拶する。
「・・・お疲れ。」

「あかりちゃん!今日飯食いにいけへん?」と哲平。
「・・・なんで、なんでそんなに私のこと。」
「わからん。
 いつの間にか、いつもあかりちゃんのこと目で追うように
 なってて、それってもう好きになってもうてるってわけやから。
 理由なんてわからへん。」
「・・ふーーん。」
「ちょっと待ってよ。
 好きになろうと思って好きになるわけじゃないってことは、
 俺のこと好きになって欲しいって思っても、
 無理かもしれへんってことか?」
「私のこと諦めるの?」
「諦めへんで。」
「でも、無理かもよ。」
「俺、諦めへんから。」
哲平が立ち去ると、あかりは嬉しそうに微笑んだ。

仕事後、真奈美は誠治のことを待っていた。
真奈美が焼き芋を一つ誠治に渡す。
「あの・・本当に思ってないから。
 不倫するとか、そういうの・・マジで思ってないから。
 あの・・本当に・・・ごめん。」
「・・・許す。」

公園で焼き芋を食べる二人。
「美味しい。」
「うん。
 ・・・皮ごと食ってんの?」
「・・・」
「まだ、怒ってんの?」
「本当はね、不倫とか出来ちゃう人が羨ましい。
 昔から揉め事起きないように、いっつも自分の気持ち
 押し込めるところ、本当はあまり好きじゃない。」
「・・・そうなんだ。
 いや、でも・・・不倫は良くない・・と思う・・かな。」
「うん。」
「うん。」
「皮食べないの!?」
「え?ああ、うん。」
「皮も一緒に食べると、お腹にガスが溜まらなくていいんだよ。
 焦げたところは私も食べないけどさ。」
皮を食べてみる誠治。
「なんか・・本当に、皮って感じ。味がしない。」
「皮だけ食べてるからでしょ。」
「うるせーな。いいじゃないかよ別に。
 焼き芋ぐらい好きに食わせろよ。」

誠治は、姉の亜矢子(井川遥)とともに、入院中の寿美子(浅野温子)を見舞う。

寿美子の手にクリームを塗る誠治。
「ちゃんとご飯食べてる?」
「食べてるよ。」
「洗濯は・・」
「大丈夫。してるよ。」
「そろそろアイロン掛けないと。
 お父さんの、ハンカチ。」
「大丈夫だって。アイロンぐらい掛けなくたって、
 どうってことないよ。」
「・・・でも。」
「ちゃんと掛けるから心配しないで。」と亜矢子。
「ありがとう。 
 ・・・お父さん、今日は来るのかな。」
「あー・・・どう、かな。」
「・・・」
「あ、でも、ハンドクリーム持ってってやれって言ったの、
 親父だから。」
その言葉に嬉しそうに微笑む寿美子。

「こんにちは。」主治医がやって来る。
「先生。まだ、退院できませんか?」と寿美子。
「そうですね。
 この週末問題がなければ、週明けにでも退院しましょう。」
「良かったね、お母さん!」
嬉しそうに微笑む寿美子。

病院の廊下
「あのさ・・・
 やっぱ母さんが退院する時・・親父・・家にいないと
 まずいよな?」と誠治。
「うん?」と亜矢子。
「あ・・親父・・家出てった。」
「はぁっ!?」

武家
「あのお父さんに女だなんてあり得ないわよ。
 絶対あり得ない!
 もし、あり得るとするならば・・お金!相当貢いでるわ。
 まあ、それならあり得るか。
 いや、でもちょっとやそっとのお金じゃ無理なんだから、
 めちゃめちゃ貢いでる。
 それしかあり得ないわ!
 全くどんだけ貢いでるって話よ!
 情けない!」
「っていうことは親父、引越しの費用出さないんじゃなくて
 出せないってこと?貢いでるから。」
「うん。辻褄が合ってるわ。」
「なんだ。最低だな、それ。」
「あの、クソ親父が!」
「で、どうすんだよ。」
「乗り込むわよ。今度の日曜。」
「乗り込むって、女のとこに?」
「当たり前じゃない!」
「なんか・・楽しそう・・だ・・」
「どこが!楽しくないわよ!」
「いや・・何となくだよ。」

庭の手入れをする隣人・西本幸子(坂口良子)。
武家から伸びてきている木の枝を憎憎しげに見つめると、
「家に勝手に入り込まないで頂戴!」
と呟き切り落とす。
そこへ、セールスマンがやって来た。
「親子関係などうまくいってらっしゃいますか?」
幸子はそのセールスマンの言葉に表情を変え・・・。

大悦土木
哲平を目で追うあかり。
その視線に気付く哲平。
「・・・何?」あかりが誤魔化す。
「別に。今日飯食いに行かへん?」
「・・行くわけないじゃん。」
「そっか。」

そんな二人を見ていた大悦と真奈美。
「あかりのやつ、完全に弁護士のこと吹っ切って、
 前に進みだしたな。」
「はい!」

夜、西本家
「和彦。たまにはご飯食べてって。
 いつも荷物取りに来るだけで。」
「俺の顔が見られただけでもありがたいと思えよ。
 本当は絶縁したいくらいなんだから。」
和彦はそう言い捨て、車に乗り込む。
「・・・」

日曜日、誠治と亜矢子は、彰子のアパートを訪れる。
やはりやめようと言い出す誠治を無視し、アパートの呼び鈴を
押す亜矢子。
「どちら様ですか?」
「中田と申します。」
「どちらの、中田様ですか?」
「武の、娘です。」
彰子がドアを開ける。
「父が、大変お世話になっています。」
「・・・」

「どうぞ。
 座布団も、ないんですけど。」
テーブルの上の参考書や問題集を片付ける彰子。

同じころ、真奈美は大悦土木で事務作業をしていた。
そこへ山賀がやって来る。
「お疲れ様です。」
「ああ、真奈美。来てたのか。」
「ちょっと、報告書が溜まっちゃって。
 山賀さんは?」
「ああ。こっちに置きっぱなしの図面を取りにね。」
「そうですか。」
「あれから、設計部門に来る話、考えてみた?」
「・・・」
「設計やりたくてうちの会社入ったんだろ?」
「はい。」
「まあ、ゆっくり考えればいい。
 ただ、今回のチャンスを逃すと、次、いつ異動のチャンスが
 くるかわからないぞ。」
「・・・」

彰子の部屋
「あの、父は、出かけているんですか?」
「今日は、こちらには。」
「ここに泊まってるんじゃないんですか?」
「え?」
「じゃあ、どこに?」
「わかりません。
 あの、武さんお家帰ってないんですか?」
「母が、入院しました。
 手首を切ったんです。」
「・・・」
「父から手を引いてください。」
「・・・武さんも、そのつもりだと思います。
 今まで、武さんのご好意に甘えてしまって、
 本当にすみませんでした。
 お二人にこんなこと言うのは本当に失礼なんですが、
 私のこと、娘のように本当に良くして下さいました。」
「娘のように?」
「はい。」
「今更父との関係を、綺麗にまとめようとするんですか?
 はっきり言って、ただの援助交際ですよね。」
「公認会計士を目指しているんですが、その学費を援助して
 いただいたり、あとは、簿記の勉強を教えていただいたり
 していました。」
「その見返りに、あなたは父に何を?」
「何も。」
「何の得も無いのに、他人のあなたにただ金銭的な援助を
 してたって言うんですか?」
「・・・」
「そんなこと何のためにするのよ。」
「・・・」

インターホンの音。
訪ねてきたのは誠一だった。
彰子は二人をベランダに隠し、ドアを開ける。
「突然すまない。」
「いえ。」
「昼ごはん食べた?」
「まだです。」
「これ、良かったら一緒に食べようと思って。」
「あ・・・ありがとうございます。」
「都合悪い?」
「いえ・・・どうぞ。」
「お邪魔します。」

大悦土木
橋の図面を見せながら真奈美に仕事の話を楽しそうにする山賀。
「自分の考えたものが、一つ一つ形になっていき、
 最終的には巨大な構造物になる。
 技術者にとって、これ以上の醍醐味はないよな。」
「・・・」
「真奈美、どうした?」
「やっぱり・・・山賀さんの下では仕事出来ません。」
「・・・どういう理由か、知らないが、」
「好きだからです!・・・山賀さんのことが。」
「・・・」
「ずっとそうじゃないって、思おうとしてきました。
 先輩として、尊敬しているだけだって。
 それだけだって・・・ずっと思おうとしてきました。
 でも・・ダメだった。」
「・・・」
「このままじゃ・・・前に進めないんです。」
「・・・真奈美。お前の気持ちには・・応えられない。」
「・・・良かった。
 ちゃんと言ってもらって、良かったです。
 じゃあ・・・お先に失礼します。」
「ああ・・。」
「・・・お疲れ様でした。」
真奈美は無理に微笑み、帰っていく。

帰路についた真奈美は、涙を堪えることができなかった。

ベランダから彰子と父の様子を見守る誠治、亜矢子。

「武さん。初めてお話した時のこと、覚えてます?」
「もちろん。」

カフェで公認会計士の勉強をする彰子に誠一がアドバイス
したのが、二人の出会いだった。

「今まで、ありがとうございました。」
「・・・」
「もう、終わりにした方が。」
「本当は、試験に合格するまではと思っていたんだけど。」
「いえ。武さんのお陰で夜のバイトを辞めて
 勉強に専念することが出来ました。
 試験、絶対合格します。」
「・・・こちらこそ、ありがとう。」
「そんな。私は何も。」
「いや。君は、僕を頼ってくれた。」
「え?」
「俺は、経理部の部長で、部下が作成した書類をチェックしている。
 ただチェックしている。
 チェックは出来るが、書類を作成することは出来ない。
 なぜなら、コンピューターを上手く使えないからだ。
 部下は、俺のことを見下している。
 誰も俺を、頼ってはくれない。
 ・・・うちには、良く出来た妻がいる。
 その妻が、うつ病になった。
 何故なら、10年以上も、近所の人に苛められていたからだ。
 妻は、心配掛けまいと、家族には一切そのことを言わなかった。
 俺が、そうさせてしまったのかもしれないけど、
 もっと俺を頼って欲しかった。
 娘はいつも、俺に対して攻撃的で、何でも言いたい放題だ。
 酷い時には、俺のことをアンタ呼ばわりする。
 関係は悪い。でも、悪いなりにコミュニケーションがあった。
 実は、それが救いだった。
 その娘も、7年前に結婚して、家を出ていった。
 息子との関係も悪い。
 口を開けばすぐケンカだ。
 息子は、俺の存在を全面否定している。
 父親とは認めていない。
 原因はわかっている。俺が、あいつのことを否定ばかりして、
 認めてやらないからだ。
 本当は、あいつのことをもっと、尊重してやるべきだってことは
 わかっているんだ。・・・なかなかそれが出来ない。
 そんな時、君が僕を頼ってくれた。
 誰かに、必要とされているようで、とても嬉しかった。
 ありがとう。」
「・・・」首を横に振る彰子。

亜矢子と誠治は誠一の言葉に考え込み・・・。

武家
ソファーに横になり考え込む誠治。
そこへ、亜矢子から電話が入る。
「父さん、帰ってきた?」
「ああ、まだ。」
「どこにいるのよ。」
「知らねーよ。」

誠一は、カプセルホテルに泊まっていた。

武家
「威勢良く家を出てって、のこのこ帰ってくるのが
 カッコ悪いと思ってんのよ。
 どんな顔して帰っていいのかわからないの!」
「何だかんだ言って姉ちゃん、親父のことよく
 わかってんだな。」
「え?」
「いや。親父のやつ何やってるんだろう。全く。
 どこまで手のかかる親なんだよ。」
「何か言ってきたら、すぐにこっちに連絡頂戴。
 私がガツンと言ってやるから。
 じゃあね。」

その夜、誠治は、誠一に電話をする。
「・・・何だ。」と誠一。
「あ・・あのさ・・・。」
「何だ。」
「明日・・・母さん退院するからさ。」
「・・・」
「退院したときに、親父が、家にいなかったら、
 母さん、・・・心配すると思うからさ。」
「・・・」
「じゃあ。」

家の掃除をする誠治。
そこへ、誠一が帰ってくる。

「言いたくても、言えない気持ちがある。
 家族だからこそ、言えない気持ちがある。」


「おぉ。帰ってきてやったぞ。」
「・・・」
「女とは別れた。
 泣きつかれて参ったよ。」
「・・・やるじゃん。」
「うん?」
「やるじゃん親父。意外と。」
「まあな。」

あくる朝、大悦土木では、いつものように哲平があかりを食事に誘った。
「オムライスがいいな。ふわふわのプリン付き。」
決まって断るはずのあかりが、OKを出した。豊川は大喜びだった。
 
そして真奈美は山賀に笑顔で挨拶する。

西本家では、幸子が、怪しげな訪問販売員・相沢(ムロツヨシ)に、
実印を見せていた。
「やっぱり。息子さんとの関係が上手くいかないのは、
 この印鑑が原因です。
 新しく作り直さないと、取り返しのつかないことになりますよ。
 30万円ほど掛かりますが。」
「30万・・・。」
「更なる不幸を呼び込まないための30万です。安いものでしょう?」
「・・・」

病院から寿美子を連れて帰宅した誠治は、大悦土木に電話を入れた。
そこで誠治は、現場で事故が起き、豊川が救急車で運ばれたことを知り…。


誠治、亜矢子は父が孤独だったことを初めて知りました。

部長という役職にいても、コンピューターが使えないことで
部下に見下されていた誠一。
出来た妻は自分に心配掛けまいと頼ってくれず、
関係は悪くても救いであった長女は嫁いでいき、
長男とは意地を張り合ってしまい。
誠一はとても不器用で、家族との間に壁を作ってしまっていた。

「君は、僕を頼ってくれた。」

そんな時、彰子に出会い、彰子を助けることで
誠一は自分の存在をやっと保っていたのかも。

たとえ見返りは求めていなかったとはいえ、
誠一が彰子に救いを求めていたのは違うと思う。
誠一自身、そのことに気付いていたようですね。

父の弱さと直面した誠治、亜矢子。
これからは父親に対する思いも少しずつ変わっていくでしょう。

「言いたくても、言えない気持ちがある。
 家族だからこそ、言えない気持ちがある。」

家族だからという甘えから、言わなくてはいけないことを
省略してしまったり、家族だからこそ言いづらかったり。
家族だから、強がってしまったり、本音を言えなかったり。

でも、家族だからこそ、言わなければならない時もある。

誠治は大悦社長に「見栄ぐらい張らせてやれ」と言われたことを
ちゃんと覚えていて、父親の嘘を否定せず、誠一に見栄を張らせて
あげました。

「やるじゃん、親父。」
「まあな。」

この流れがとても素敵でした。



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公式HP

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キャスト
武 誠治(二宮和也)
千葉真奈美(香里奈)
永田亜矢子(井川 遥)
豊川哲平(丸山隆平)
手島信二(井上正大)
星野あかり(岡本 玲)
西本和彦(横尾 渉)
島田彰子(玄里)
大悦貞夫(大友康平)
永田則子(鷲尾真知子)
永田文也(七海智哉)
永田智也()
北山 雅彦(児嶋一哉)ハローワーク職員
山賀亮介(眞島秀和)
北山雅彦(児嶋一哉)
岡野忠志(田中壮太郎)
塚本 学(山本龍二)
真田勝也(嶋 大輔)
西本幸子(坂口良子)
西本和彦(横尾渉)
武 誠一(竹中直人)
武 寿美子(浅野温子)

スタッフ
原 作
 有川 浩
 「フリーター、家を買う。」(幻冬舎刊)
脚 本
 橋部敦子
音 楽
 高見優
主題歌
 嵐「果てない空」
挿入歌
 西野カナ「君って」
編成企画
 瀧山麻土香
 水野綾子
プロデュース
 橋本芙美
演 出
 河野圭太
 城宝秀則  
制 作
 フジテレビ
 制作著作
 共同テレビ


二宮和也さんの主な出演作品




浅野温子さんの主な出演作品





この記事へのコメント
ちーずさん、こんにちは。

先が見えちゃった中年男の最後のあがき
第三者としては解らなくもないけど
女性に走るのは妻としては許せんです。。。

不器用でプライドが高く、そのくせ弱くて現実逃避!
こういう男性、多いかもしれないですね。

なかなか家を買うスタートが見えないのが気になりますが
応援しているドラマです!
Posted by ビビ at 2010年12月02日 12:43
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フリーター,家を買う。 (竹中直人さん)
Excerpt: 竹中直人さんは、フジテレビ系列で毎週火曜よる9時から放送されている連続ドラマ『フリーター、家を買う。』に武誠一 役で出演しています。 一昨日は第6話が放送されました。 ●あらすじと感想 これまでに武誠..
Weblog: yanajun
Tracked: 2010-11-29 00:41

『フリーター、家を買う。』第5話〜第7話を観て・・・(*^.^*)
Excerpt:  紅葉も先月で終わり、嵐山をはじめとする観光地は、あの混雑はどこへ行ったのか、と
Weblog: ひろくんのほのぼのコラム ( ^_^)_∀
Tracked: 2010-12-05 16:29
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