2010年12月26日

フリーター、家を買う。 最終話

『母さんが、笑った』

武誠治(二宮和也)は、母・寿美子(浅野温子)と彼女につきまとう
悪質な訪問販売員・相沢(ムロツヨシ)との関係を終わらせるために、
必死で貯めてきた100万円を手渡す。

事情を知った千葉真奈美(香里奈)たちは、弱者を狙うその手口に憤りを
覚えながらも、誠治があまりにも気の毒でかける言葉すら見つからなかった。

そんななか、大悦土木の職長・大悦貞夫(大友康平)は、誠治を呼び出す。
「実はな、うちで事務と営業をやってくれる正社員、
 雇おうかって考えているんだ。」
「・・・」
「俺としては・・・誠治が来てくれねーかなって思うんだ。
 うちは、誠治が就職試験受けているような会社と比べると、
 規模も小さいけど・・・
 一度考えてみてくれないかな。
 給料とか、条件は、これに書いてあるから。」
「・・はい。」

ふたりの話を偶然聞いてしまった事務員の星野あかり(岡本玲)は、
真田勝也(嶋大輔)、塚本学(山本龍二)、手島信二(井上正大)の3人にそれを話した。
真田たちは、誠治が大悦土木に入社すると知って喜んだ。

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真奈美と帰る誠治。
「正直戸惑ってるよ。
 ・・あいや、あの・・大悦土木はさ、ずっといる場所だとは・・
 考えていなかったから。」
「断るの?」
「いや・・断って、それで就職決まんねーのも最悪だしさ。」
「できれば大悦土木よりも規模が大きくて、安定した会社がいいってこと?」
「・・・」
「いいんじゃない?それが自分の基準なら。」
「基準?」
「どこの会社に入るかは、誠治の基準で決めることだから。」
「・・・」

誠治が家に戻ると、亜矢子(井川遥)が息子の智也(橋本智哉)を連れて来ていた。
亜矢子は、姑の則子(鷲尾真知子)とぶつかって、家を出てきてしまったらしい。
それを知った誠一(竹中直人)は、どうせ大した理由じゃないんだろう、と言って
亜矢子を責めた。亜矢子は返す言葉が出ない。
 
するとそこに、誠治が最終面接をすっぽかしてしまった会社・ナミキ医療技研から
電話が入る。もう一度、誠治と会って話がしたい、という電話だった。

あくる日、誠治は、ナミキ医療技研を訪れ、改めて面接を受ける。
「実は、欠員が一名出たのでお呼びしました。」と担当者の木田(小木茂光)
「ありがとうございます。」
「面接を受けられなかった理由を聞かせてください。」
「・・・それは・・家の、事情と言いますか。」
「何か、やむを得ない事情があったんですか?」
「はい。・・・母親が、うつ病でして。
 その母親から、電話があり、状態が、普通ではないと思ったので。
 せっかくの、最終面接のチャンスをいただいたのですが、
 家に戻ることにしました。」
「それで、お母様は?」
「はい。大事には至らず、大丈夫でした。」
「そうですか。
 では、志望動機を伺いたいと思います。」
「はい。」

結果は合格だった。
それを知った大悦たちは、誠治が去ることを寂し思いながらも、
自分のことのように喜び、誠治を祝福した。
 
帰宅途中の誠治は、土手に座り考え込み・・・。

帰宅した誠治は、誠一たちにも合格を伝えた。
と同時に、大悦土木からも誘われたことを打ち明ける。
「お前、まさか迷ってるんじゃないだろうな
 迷う必要なんかない。ナミキ医療技研に行け。」と誠一。
「命令すんなよ・・。これは俺の就職だからさ。」
「俺は、お前を土方にする為に、大学に入れてやったわけじゃない。」
「・・何だよその差別的な言い方。
 一生懸命働いている人たちを、見下すような言い方すんなよ。
 差別は良くないって、子供のころ教えてくれたのはどこの誰だよ!」
「・・うるさい!」
「・・・」
「俺に良くしてくれている人たちに謝れよ!!」
「・・・」
「おい!おい謝れよ!」
「・・・」
「俺にあんたを軽蔑させないでくれよ・・。」
「・・・」
「俺はあんたを・・
 親父を・・・」

「親父を尊敬したいんだ。
 ・・・そう言いたかった。」


誠治はそれ以上言えず、部屋に戻っていく。

「いつか家族の気持ちが一つになれる日が来るのだろうか。」

不動産屋
中古物件の案内を見つめる誠治。

「いつか、母さんが安心して暮らせる家を買える日が
 来るのだろうか。」


武家
ナミキ医療技研の資料に目を通しながら考え込む誠治。

リビングに降りていくと、寿美子がまだ起きていた。
「母さん?眠れない?」
「・・・」
「・・・ごめんね。せっかく、俺のこと採用してくれるところあるのに、
 そのことでまた親父と揉めちゃって。」
「・・・」
「とにかくさ・・早く決めて、再スタート切るからさ。」
「・・・してるんじゃない?
 再スタートなら、もうしてるんじゃない?」
「どういう、意味?」
「・・・」

別の日、大悦土木に出社した誠治は、職長の大悦に聞いてみる。
「あの、職長。
 ここの、社員になる、件なんですけど。」
「うん。気にすんな。」
「俺に、声をかけてくれたのは、その・・同情したから、ですか?」
「同情?」
「100万円なくして、再就職も出来なくて、それで、」
「馬鹿野郎。そんな温い理由で、パートナー選ぶかよ。」
「パートナー。」
「事務と営業任せる社員を、初めて一人だけ雇うんだよ。
 そりゃつまり、将来的に俺のパートナーとして、会社の経営にも関わっていく
 人材を、選ぶってことだよ。」
「・・・何で、それが何で俺なんですか?
 だって募集かければ、もっと優秀な人がたくさん集まるはずじゃ。」
「俺は履歴書なんて信用しないからな。
 フリーターだったお前が、たまたまうちにバイトで来た。
 金を稼ぐって目的だけのために、うちに来た。
 どんなにきつくっても、こんなとこはいつまでもいられねーやって
 思っても、おふくろさんの為に引っ越ししたいって思いで、
 必死に続けた。
 続けた結果、誠治なりに、この仕事から何かを見つけたはずだ。
 金を稼ぐ以外の何かをな。」
「・・・」
「そんなお前だから、信頼出来る。
 俺の力になってくれるって、思えたんだ。」
「・・・」
「もっと自信を持て。
 今のお前だったら、どこへ行っても通用する。」
「・・・」

その日誠治は仕事をしながら、今まで大悦や同僚たちから言われた言葉を
思い返し・・・。

誠治はもうこの仕事の面白さを知ってしまった。
お金よりも大切なものをそこに見つけたんですね。

 
仕事を終えて帰宅した誠治は、改めて誠一に就職の件を切り出す。
「親父。」
「・・・」
「就職のことなんだけど。」
「・・・」
「この間、ちょっとケンカになっちゃったからさ、言えなかったんだけど。
 今・・・事務や営業担当として、正社員にならないかって、
 職長には言われてる。」
誠一は誠治が渡した大悦土木の書類を見ながら答える。
「どんな職種だろうと、会社の安定性で言えば、
 ナミキ医療技研のほうが、格段に上だ。
 大悦土木も、堅実に生き残ってはいるが、何しろ規模が小さい。
 それに、事務や営業だと、何でも屋扱いで、こき使われるのがおちだ。」
「・・・俺は俺の基準で決めるよ。」
「お前の基準?」
「最初はさ・・・稼ぐために、仕事が必要だった。
 ・・・それが偶々工事のバイトでさ。
 つらくて汚いだけだと思ってて、やりがいなんて、とんでもないって
 思ってた。
 けど違った。続けていくうちに・・・良かったって思いも、
 ちゃんとあったんだよね。
 そう思えたのはさ、俺は大悦土木だったからだと思う。
 職場の仲間が好きだし、職長も、尊敬してる。」
「・・・」
「その職長が、今、俺を必要としてくれている。」
「・・・」
「今・・日本で一番俺を必要としてくれているのは・・・
 大悦土木だと思う。」

そう語る誠治を、寿美子も亜矢子も誇らしげに見つめていた。

夕食の準備をする寿美子と亜矢子。
「私は何をやってんだか・・。」亜矢子がつぶやく。

あくる朝、出社した誠治は、大悦にその決断を伝えた。
「あの、職長。社員になる、お話なんですが。
 ・・・よろしくお願いします。」
「・・・本当にいいのか?」
「はい。」
「ありがとう。よろしく!誠治。」
二人は笑顔で握手を交わす

「俺は再スタートしていた。
 ここに、大悦土木にアルバイトとして入ったあの日から。」


誠治は、世話になったハローワークの北山雅彦(児嶋一哉)に
就職の報告に行く。
「それはまた・・・」あきれる北山に、
「自分の基準で決めたことですから。」と笑顔を見せる誠治。
「私が今までお手伝いしてきたことは、何だったんでしょうね・・。」
「本当に、いろいろとお世話になりました。」
「あ、あっちの方はどうなりましたか?」
「あっち?」
「恋愛。もう、離ればなれになっちゃいましたか?」
「あ・・これから、送別会なんですよ。」
「今日でおしまいですか。」
「・・・」
「まあ、未練がましいのは良くありません。
 スパっと断ち切って、次に行きましょう。」
「そう、ですね。
 ほら、俺は、23回もお見合い上手くいかない人とは違うんで。」
「24回です。」
「ダメだったんですか!?」
「記録更新です。」
「・・・」
「さ、ほかに仕事を探している方もいらっしゃいますんで。」
「あ、はい。」
「今日で、お会いすることなくなりますね。」
「・・はい。」
「ま、会社を辞めたり、会社が潰れなければの話ですが。」
「冗談じゃありませんよ。
 じゃあ、これで。」
「あ、これ。」
メモを差し出す北山。
「私の携帯の番号と、アドレスです。
 ・・必要なければ、」
「いえいえ。必要です。
 じゃあまた。」
「・・・また。
 次の方。」

夜、いつもの居酒屋で真奈美の送別会が行われた。
真奈美は、しばらくの間、和歌山にある技術センターに研修に行く
ことを皆に告げる。

そこに、豊川哲平(丸山隆平)もやってきた。
哲平と言い争いになったままだったあかりは、手にしていたグラスを
乱暴に置く。
「将来どうなるかわからない。それが何!?
 今好きだから一緒にいる。それだけじゃダメなの?」
「・・・」
「怪我してても、将来どうなるかわからなくても、
 私は、哲平さんのことが好きだから。
 ・・・好きだから。」
「・・・俺、メチャメチャかっこ悪いやん。
 俺、この前、あかりちゃんにメチャメチャかっこ悪いところ見せて、
 今日は、カッコいいところ見せようと思って来たのに。」
「・・・」
「俺は、あかりちゃんが好きや。
 一生、ずっと好きやから。」
幸せそうに微笑みあう二人。

「お前ら退場。二人でよろしくやってくれよ。」大悦が二人をからかう。

帰り道、真奈美と歩く誠治。
「・・がんばれよ、研修。」
「あ、ちゃんと言ってなかった。」
「何?」
「就職おめでとう。」
「おぉ。いや、別に。
 自分の基準で決めたらいいんじゃないのって、
 言ってくれたおかげだよ。」
「私はわかってたよ。誠治は大悦土木に決めるって。」
「・・・まあ、さ。俺も、頑張るから。」
「うん。」
「・・・」
「・・・」
「・・・やっぱ・・ミカン、だよな。」
「え?」
「和歌山っていったら。」
「ああ、あと、梅とかね。」
「おぉ。梅。梅な。」
「送ろうか?」
「え?」
「いや・・みかん。」
「いいよ、そんな・・」
「そっか。」
「・・・いつ、いくの?和歌山。」
「あ、29日の、11時のバス。」
「・・・そっか。」
「うん。」
「気を・・つけて、いけよ。」
「ありがとう。」
「うん。」
「・・・」
「・・・じゃあ・・」
「・・・じゃあね。」
「うん。」
誠治は真奈美の後姿を見つめ・・・
そして家へと歩き出す。

武家
智也を寝かしつける亜矢子。
「毎日ここから歌謡の大変だけど、ごめんね。」
「ううん、楽しいよ。
 いつもはお母さんと二人だけでご飯だけど、
 ここだとみんながいるし。
 おじいちゃん一緒にカラオケやってくれるし。」
「ずーっとさびしい思いしてたの?」
「・・・」
「ねえ智也、、お父さんは一生懸命働いているの。
 なかなか一緒にご飯は食べられないけど、患者さんの為に、
 一生懸命働いているの。
 一生懸命働くお父さんは・・・立派なのよ。」
智也がうなずく。

亜矢子は眠りについた智也を見つめ・・・。

そんな亜矢子を寿美子が見守っていた。
「お母さん。私・・・」
亜矢子の不安そうな表情に、寿美子は優しい笑みを浮かべてうなずいた。

翌日、亜矢子は、永田家に戻る。
「これからのこと、話に来ました。」
「聞くわよ。」と則子。
朝食を食べていた文也(七海智哉)が席を立つ。
「行かないで。」亜矢子が引き止める。

「今回、私が家を出たのは、お母さんに私の実家のことを
 悪く言われたからです。」
「・・・」
「今までずっと、お母さんと上手くいかないこと、
 私は不満に思っていました。
 よくある嫁と姑の問題だと、思っていました。
 ・・・でも・・でも本当は、私と文也さんの問題だと思います。
 夫婦の問題から目をそむけて、嫁姑の問題にすり替えていただけ
 なんだと思います。
 ・・・お母さん。智也の将来のこと、心配してくださってありがとうございます。
 でもこれからは、文也さんと智也と私の3人で、考えていこうと思います。
 3人で話しあっていくべきことだと思います。」
「・・・俺もそう思う。
 夫として、父親として、家族のことをちゃんと考えていきたい。
 今まで仕事を言い訳にして・・・逃げてきたから。」
「・・・そう。
 亜矢子さん、あなた随分、逞しくなったわね。」
則子はそう言い、亜矢子に優しく微笑んだ。

武家
「あ、明日から社員になるからさ、Yシャツ・・」
「掛けてあるわ。アイロン。」と寿美子。
「ありがとう。
 まあ、就職はしたけど、これからまだまだやることいっぱいあるから。
 経理も出来るように、簿記の勉強もして、
 ほら何て言ったっけ。建設業計理士?っていう資格取るようにって
 職長にも言われてて。」
「お父さんと同じ。
 お父さんと同じ、経理の仕事、するようになるのね。」
寿美子は感慨深げにそうつぶやく。
誠一は二人の会話を聞きながら黙々と食事をしていた。

本当は誠一が一番うれしいんだろうなー。

誠治は、寿美子が用意したYシャツと背広に身を包み、社員として初めて
大悦土木に出社する。
大悦は、そんな誠治を仲間たちや喜嶋建設のスタッフに紹介した。
喜嶋建設側からは、真奈美の後任として平田(相葉雅紀)という若者がきていた。

スペシャルゲストですね。(笑)
後任が女子でなくてガッカリな大悦、お茶目〜。

 
日曜日、誠一は背広を着こみ、誠治や寿美子に行く先を告げずに出かける。
誠一が向かったのは、大悦土木だった。
「失礼します。
 武誠治の父でございます。」
「大悦です。お待ちしていました。
 こちらへどうぞ。」

「・・・お恥ずかしい、話ですが、
 誠治は今まで、何一つ、どんな仕事をしても、
 長続きしませんでした。
 初めてなんです。こんなに長続きしてるのは。」
「本当に、よくやってくれています。」
「それはきっと、大悦社長のおかげなんだと思います。」
「いえ、辞める人間はすぐ辞めていきますから。」
「・・・誠治もそうでした。
 何をやっても続かず、自分の能力のなさを棚に上げて、
 言い訳ばかりして。
 いつまでたっても子供みたいで。
 母親の為に、家を買うんだって、馬鹿な目標立てて。
 その家が、買えないとわかると、今度は、お金を貯めて、
 引っ越すんだって。
 でも、引っ越すために、必死になって貯めたお金も、
 母親のために使ってしまった。
 本当にバカで・・・。
 でもうれしいんです。
 そんな誠治の姿が。
 あ、すみません。」
「今日は、叱られると思っていました。」
「そんな。滅相もない。」
「わかりますよ。そういう親の気持ち。
 子供には言えないものですから。」
「大悦社長は、お子さんは?」
「娘と、息子です。」
「そうですか。」
「うちもですね、息子に言われてますよ。
 親父のようにはならねーって。」
「本当ですか?
 ・・・なんだ。」
「え?」
「いや・・実は私・・・あなたに嫉妬していました。
 誠治は、あなたのことを、本当に尊敬しています。
 やっぱり、父親として悔しいじゃないですか。」
「うちだって、息子にはバカにされていますよ。」
「本当ですか?
 ・・・一緒なんだ。」
「一緒です。一緒ですよ。」
笑いあう二人。
誠一が立ち上がる。
「どうか息子を・・・よろしくお願いいたします。」
深く頭を下げる誠一に、
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
大悦も深く頭を下げるのだった。

父親同士の会話。いいシーンでした。
嫉妬、寂しさ、心配。
誠一が素直に自分の思いを大悦に伝えたのがすごく嬉しかった。


帰宅した誠一は、誠治の部屋にやってくる。
「引っ越しはどうなったんだ?」
「・・・」
「どうするんだ?」
「どうするんだってわかってるでしょ?
 100万、無くなってんだから。」
「・・・」
「何?そのことでまた何か言いたいの?」
「なんだこれは。」
誠一は誠治の机の上にあった中古物件のチラシを手に取る。
「別にいいなと思っただけ。」
「・・・」
「俺、また一から頑張るからさ。早くローン組めるように。
 ・・・母さんのこと、大分待たせちゃうかもしれないけど。
 その頃には、この家もう無くなってるかもしれないけど。
 頑張るから。」
「何を呑気なこと言ってやがるんだ。
 このままずっとここに住んでたら、寿美子は、不安な心から
 逃れられない。」
「そんなこと言ったって・・・」
「お前にも、住宅ローンが組める方法がある。」
「・・・」
「二世代ローンだ。」
「二世代ローン?」
「まずは、俺がローンを組む。
 いずれお前が、そのローンを引き継いで、返済していくローンだ。」
「・・・」
「頭金は、俺が出してやる。」
「・・・」
「文句ないな?」
「・・・」
「ないな?」
「あるよ。」
「何だと?」
「形の上では、その、二世代ローンっていうの組むけど・・
 親父に払ってもらった金は・・・俺が全部返すから。
 ・・・家は、俺が買う。」
「・・・相変わらず、バカだな、お前は。」
誠一は目に涙をため、そう告げる。
「親父・・・
 ありがとう。」
父に頭を下げて礼を言う誠治。
誠一は誠治に背を向けたまま、部屋を出ていった。

夕食の席
「父さんから話があるって。母さん。」
「お前から話せよ。」
「親父から話したほうがいいでしょ。」
「いいから話せ。」
「・・・なあに?」と寿美子。
「・・・するよ、引っ越し。」
「・・・」うつむく寿美子。
「母さん?」
「・・・ありがとう。」
寿美子の言葉にほっとする二人。
寿美子の瞳から涙がこぼれ・・・。

寿美子にとって、こんなにうれしい言葉だったんですね。

病院
「引っ越しが決まって、随分、元気になりました。
 ただ、自分で引っ越しの荷物をまとめるの、まだちょっと、
 出来なくて。部屋の中で、立ち尽くしたりとか、
 あと、こう、足踏みしちゃって。」
誠治が医師に報告する。
「日頃の、決まった作業以外だと、何から手を付けたらいいのか、
 組立が出来ないんですね。
 その焦りが、足踏みのように表れてしまうんです。」

「引っ越しが決まり良かったですね!」
「はい。」微笑む寿美子。
「ここまで通うはm難しくなるでしょうから、転居先に近い病院の
 紹介状を書いておきます。」
「今まで、本当にお世話になって。
 ありがとうございました。」「ありがとうございました。」
寿美子と誠治は微笑みあい・・・。

誠治たちは、亜矢子にも手伝ってもらい、引っ越しの準備を進めた。
その間も、ずっと時計を気にする誠治。
実はその日は、真奈美が和歌山に出発する日でもあった。
「・・・ごめん。ちょっと・・出てくるわ。」
決心を固めた誠治は、家を飛び出した。
 
バスターミナル
誠治はバスに荷物を預ける真奈美の姿を見つける。
「千葉真奈美!!」
「・・・誠治。」
「・・・あ・・あのさ・・・
 やっぱ・・送ってもらおうと思って…」
「え?」
「みかん。和歌山の、みかん。」
「それだけ?」
「いや・・その・・それと・・
 言って、おきたいことが、あって。」
「・・・」
「ほら・・あれだよ・・。
 あっち行っても・・・不倫・・とか、すんなよ。」
「・・・じゃあね。」
「・・・好きだから!」
「・・・」
「あの・・いや・・だから・・あの・・」

「お乗りになりますか?」とバスの係員。
「すみません。すぐに乗ります。
 2年間離ればなれになっちゃうんです。
 ・・・彼氏と。」

彼氏、という言葉に驚く誠治。

「来るの遅い!」真奈美が誠治に言う。
「あ・・ごめん。」
「みかんもう送らないから。」
「え・・」
「食べに来て。
 じゃあね。」
真奈美は笑顔でそう告げると、バスに乗り込んだ。
 
誠治が家に戻ると、引っ越し荷物はすべて片付いていた。
4人は感慨深げに家を見渡し・・・。

誠一は、表札を外すと、車に寿美子や亜矢子たちを車に乗せて、
引っ越し業者のトラックに続いて走り出す。

原付バイクでその後を追おうとした誠治は、隣家から出てきた
西本幸子(坂口良子)に声をかけた。
「西本さん。」
「・・・」
「引っ越しなんですよ。」
「・・・」
「和彦さん、あれからは?」
幸子は首を横に振る。
「でも、和彦さんの気持ちに気づけたんだし。
 ・・・これから、やり直せますよ。」
「無理よ。今更。」
「じゃあ何で、時々戻ってくるんですか?」
「荷物を取りに来たり、郵便物を取りに来たり。」
「でもそれって、いくらでも、取りに来なくてもいいように、
 できるっていうか・・・」
「・・・」
「何で和彦さん、この家にわざわざ帰ってくるんですかね。」
「・・・」
「俺は今からでも全然・・・やり直せると思いますよ。」
「・・・」
誠治は幸子に会釈をし、バイクを走らせる。

新居に到着した誠治たちは、さっそく荷解きを始める。
「誠治、就職したからってな、気抜くんじゃないぞ。」
「は?」
「今度は、結婚活動に精を出せ。」
「なんだそれ。」
「世間じゃ、結婚できない
 それと、結婚しても、仕事を手放さない女性を女房にしろ。」
「はぁ?何それ。結婚してお母さんに仕事を辞めさせた人が。」と亜矢子。
「時代が違うんだよ。それにな、誠治のことだ。
 職を失って、子供が食えなくなったらどうなる。」
「・・・うるっせーなぁもう。」

「あ!おばあちゃんが笑ってる!」と智也。
三人が振り返ると、寿美子は家族を見渡しながら、幸せそうに
微笑んでいて・・・。

「親父のことは、一生尊敬出来ないかもしれない。
 俺たち家族は、気持ちがすれ違ってばかりかもしれない。
 母さんの病気が、いつ完全に治るかもわからない。

 でも俺たちは、幸せな家族だと思う。」


誠治は玄関に表札を取り付ける。
新しい表札には、四葉のクローバーが4枚添えられていて・・・。


家族だからこそ伝えにくい言葉、縮められない距離がある。
今まで何をしても続かなかった誠治が、母が病気になったことが
きっかけで、自分が頑張らなければと踏ん張り、
そして父はそんな息子の成長に憎まれ口を叩きながらも
本当は心の中でずっと感動していた。

父と息子、父親同士の本音トークに泣けました。

二宮さんの自然な演技と竹中さんの熱い演技、
二人はまるで本物の親子のようでした。

引っ越すとき、亜矢子が幸子に物申すシーンがあるのかな、
と少し期待しちゃっていましたが、亜矢子も誠治も想像以上に
大人になっていましたね。
幸子は自分がしてきたことを反省してくれたかな。

子供を授かったときは、ただ健康に生まれてくれればいいと思っていた。
元気に生まれてくると、健康に育ってほしい、
受験、就職、結婚。
親として心配するのは当然。でも行き過ぎると幸子のようになってしまう。
何が正しくて何が間違っているか、人相手だから難しい。

ただ、子供には子供の人生があるということだけは忘れずに
いたいと思います。

素敵な親子、家族の物語でした。



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キャスト
武 誠治(二宮和也)
千葉真奈美(香里奈)
永田亜矢子(井川 遥)
豊川哲平(丸山隆平)
手島信二(井上正大)
星野あかり(岡本 玲)
西本和彦(横尾 渉)
島田彰子(玄里)
大悦貞夫(大友康平)
永田則子(鷲尾真知子)
永田文也(七海智哉)
永田智也(橋本智哉)
北山 雅彦(児嶋一哉)ハローワーク職員
山賀亮介(眞島秀和)
北山雅彦(児嶋一哉)
岡野忠志(田中壮太郎)
塚本 学(山本龍二)
真田勝也(嶋 大輔)
西本幸子(坂口良子)
西本和彦(横尾渉)
武 誠一(竹中直人)
武 寿美子(浅野温子)

スタッフ
原 作
 有川 浩
 「フリーター、家を買う。」(幻冬舎刊)
脚 本
 橋部敦子
音 楽
 高見優
主題歌
 嵐「果てない空」
挿入歌
 西野カナ「君って」
編成企画
 瀧山麻土香
 水野綾子
プロデュース
 橋本芙美
演 出
 河野圭太
 城宝秀則  
制 作
 フジテレビ
 制作著作
 共同テレビ


二宮和也さんの主な出演作品




浅野温子さんの主な出演作品



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フリーター、家を買う。 #10 最終回
Excerpt: 『母さんが、笑った』
Weblog: ぐ〜たらにっき
Tracked: 2010-12-26 19:54

フリーター,家を買う。 (最終回)
Excerpt: フジテレビ系列で毎週火曜よる9時から放送されていた連続ドラマ『フリーター、家を買う。』は、一昨日、最終回(第10話)を迎えました。 ●あらすじと感想 武誠治(二宮和也さん)は、大悦土木の職長・大悦貞夫..
Weblog: yanajun
Tracked: 2010-12-26 23:24

『フリーター、家を買う。』 第8話〜第10話(最終回)を観て♪(o^-^o)
Excerpt:  師走もいよいよ大詰め。 昨日、仕事納めをされた方も多いのではないでしょうか? 
Weblog: ひろくんのほのぼのコラム ( ^_^)_∀
Tracked: 2010-12-29 11:13

2010年秋ドラマ、どれが面白かったですか?(o^-^o)
Excerpt:  2010年秋ドラマ、すべて終わってしまいましたね。(*^-^)  皆さんはどの
Weblog: ひろくんのほのぼのコラム ( ^_^)_∀
Tracked: 2010-12-29 11:15
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