2011年01月23日

美しい隣人 第2話

『幸福を壊す女』

ある夜、絵里子(檀れい)は子供が溺れる夢をみ、飛び起きる。
絵里子の瞳には涙があふれていた。
慌てて二階の駿(青山和也)の部屋に行くと、駿の手を握り締め、
駿の頬にそっとキスをする。

その頃、慎二(渡部篤郎)が通う大阪のバーに再び沙希(仲間由紀恵)が現れた。
沙希は慎二に笑顔で会釈をすると、マスターに声をかける。
「いいお店なんで、また来ちゃいました。」
沙希を意識する慎二。

「じゃあ、ずっと一人暮らしですか?」と慎二。
「好きなんです。一人が。」
「あの・・・寂しくなることありませんか?つまらない質問ですけど。」
「ありますよ。
 ありますけど、一人が好きなんです。
 仕事を頑張って、ちゃんと自分の面倒を自分で見て、
 自分の時間を好きなように使って、
 そういうのが好きなんです。」
「結婚は、しないんですか?」
「多分、しないでしょうね。
 恋をしないとは言わないけど、結婚はしない。」
「かっこよすぎじゃないですか?それ。」
「かっこいいですか?」
「ええ。ねえ。
 みんな多少は、そんなこと思っていても、
 つい、しちゃうもんね。」
慎二はマスターに同意を求める。

「そうだったんですか?」と沙希。
「は・・いえ・・。」
「結婚って、楽しいですか?」
「楽しい?うーん、いや。ねえ。
 いつまでも楽しいって言えるほど・・・どう?」
「楽しくもあり、苦しくも?」とマスター。
「一度、してみればいいんですよ。」と慎二。
「してみろって言うことは、幸せなんですね。」
「いやいや、そういうことじゃなくて
 はたから見てるだけじゃ、わからないこともあるでしょう?」
「私ね、あんまり両親が仲良くなかったんですね。
 そのせいなのかな。結婚があまりいいものだって思えないのは」
「・・・」
「ご両親、仲良しだったでしょ。
 そんな感じします。」
「そんなことないですけど。」
「とても愛されて、順風満帆に来たって、お見受けします。」
「うん・・ちょっと傷つくな。」
「どうして?」
「うん?だって、つまりそれは、何だ?
 こっちで言う、ボンボンに見えるってことでしょ?
 ちょっと足りない?頼りない?」
「違いますよ。
 育ち悪そうって言われたいですか?」
「その2つしか選択肢ないですか?」
「じゃあ、じゃあね、質問変えます。
 奥様って、どんな方ですか?」
「どんなって?え〜?
 普通の?普通の良さを持った人だと思いますね。
 今は離れてるから、信頼感っていうか、そういうものが
 優先事項になるのかな」
「離れてる?」
「私あの、単身赴任中なんで。」
「そうなんですか。」
「でも、最近こっちに来たがっていますね。」
「寂しくて?」
「家族が離れて暮らすのは、おかしいって。」
「それは正論ね。」
「もういっつも正論なんですよ。」
慎二の言葉に微笑む沙希。
「あ・・もう行かなきゃ。最終が。」
「新幹線ですか?」
「ええ。
 楽しかったです。ありがとうございました。」
「いやいや、こちらこそ楽しかったです。」
「ごちそうさまでした。」
「ありがとうございました。また是非。」とマスター。
「ええ。
 でも、大阪の仕事、もうすぐ終わりそうなんです。
 来週の今日は、来る予定ですけど。」
沙希はマスターにそう言うと、慎二に微笑みかけ・・・。

沙希は自分が慎二の妻・絵里子とは全くタイプの違う女性であること、
自分には結婚願望がないこと、
そして、今度会えるのが最後かもしれない、ということを
慎二の記憶に植え付けました。
沙希が帰り、一人になった慎二は、沙希のことばかり考えていたんだろうなー。


翌朝、大阪から戻った沙希は、庭で水を撒く絵里子に声をかける。
「おはよう!」
「おはよう。」
「これ、お土産。」
「お土産?私に?」
「うん。」
「・・・大阪に行ってきたの?」
「ええ。知ってる?それ。」
「大好き。主人が帰ってくるときよく買ってきてくれるの。
 美味しいのよね。」
「じゃあ、良かった。
 大阪に住んでいる人に聞いたの
 その人も単身赴任で、いつも奥様にお土産にするんだって。」
「今日忙しい?」

絵里子の家
リビングに飾られた家族の写真を見つめる沙希。
「いいわね。仲が良くて。」
「うん?何?」
「好物は忘れずに買ってきてくれるなんて。」
「自分が食べたいのよ。きっと。」
「そんなこと。
 いいな。優しいご主人で」
「沙希さんも、ご主人とメールとか電話とか、してるんでしょう?」
「うん。」
「お待たせ。」
沙希の土産のロールケーキと紅茶をテーブルに並べる絵里子。
「ありがとう。」
「いただきます。うーん!幸せ!」
「ご主人、毎週帰ってくる?」
「最近は忙しいらしくて、2週間、ううん。3週間に一度
 帰ってくればいいほうかな。」
「離れてると、不安なことない?」
「不安?」
「やっぱり解放感あると思うのね。一人でいれば。
 こっちだって、多少はあるものね。独身に戻ったみたいな。
 もう一度恋してもいいんだって。」
「えー?そう?」
「そうよ。
 やっぱり、距離ってそれなりに意味があることだと思う。」
「そうかな。」
「だってね、同じ町内に住んでいる恋人たちと、北海道と沖縄に住んでる恋人たち。
 どっちが浮気しやすい?」
「・・・確かに。」
「・・・絵里子さんさ、何か、感じたことある?」
「何か?」
「だから、女の人の影とか、そういうの。」
「具体的にはないけど。
 私が鈍いだけかもしれないけどね。」
「そっか。」
「そんなこと、知りたくもないことだし。
 信じるしかないっていうか。」
「・・・そうよね。」
「・・・沙希さん、あるの?」
「ないことも、ないかな」
「え・・」
「・・・言っちゃおうっかな。
 ・・・うちの主人ね、アメリカで付き合っている人がいるの。」
「え?」
「もう日本に来る気ないのかもしれない。」
「・・・」
「最近、知ったの。」
「沙希さん・・ご主人には?」
「ううん。まだ。
 ・・・絵里子さんなら、どうする?」
「・・・」
「もちろん、ご主人は、真面目そうな方だから、そんなことないと
 思うけど・・・仮定の話。」
「そうね・・・追いつめちゃうと、決定的になっちゃいそうで・・」
「聞けない?」
「うん・・・。
 でも、聞くべきなんでしょうね。」
「本当はね。」
「難しい話ね。」
「そうなの。」
「辛いわよね。」
「・・・こうなってみると、やっぱり国籍が違うと、
 理解しあえないのかなって思ったり。」
「・・・でも、私時々思うことがあるの。
 あー、この人こんなこと考えてたんだって。
 考えてみたら、別々に育った、全く違う人間同士でしょう?」
「・・・ありがとう、慰めてくれて。」
「ううん。本当にそう思うことがあるの。」
「私も浮気しちゃおうかな」
「誰か・・いるの?」
「・・・だめ?」
「・・・そんなことないよ。
 ・・・しちゃえば?」
笑い出す二人。

沙希は今度は絵里子の心に不安を植え付けることに成功。
絵里子が慎二に疑いを持った時、どう反応するのか確認する目的もあったのか?
そして、絵里子から浮気の許可を得ました。

「私も浮気しちゃおうかな。」のセリフの時、
沙希の姿と、鏡に映った後姿が映し出され、
それが彼女の真実と嘘を映し出しているようで怖かった。


翌朝、絵里子は慎二に電話をする。
「どうした?」
「おはよう。」
「どうした?こんな時間に。」
「たまにはね、いってらっしゃいしようかなって思って。」
「いいよ別に。
 駿にさ、何かあったかと思うじゃないかよ。」
「・・・」
「・・ね、とにかく、突然いつもと違う時間に掛けてくるなよ。」
「ごめん。」
「何もないんだったら切るよ。遅刻するから。」
「ちょっ・・あのね!」
「うん?」
「浮気しないでね。」
「はぁ!?」
「あ・・うそうそ。冗談、冗談!」
「・・・切るよ。」
「お仕事頑張ってね。
 あ・・」
電話は切られてしまう。

夫婦の電話のシーンが携帯や家電じゃなくテレビ電話なのは、
今後慎二側の画面に沙希の姿が映ったりしてしまうのか?


病院 
美津子(草笛光子)を見舞う絵里子。
「お義母さん。」
「・・・」
「いかがですか?」
「・・・駿は?」
「今幼稚園に。今度連れてきますね。」
「そうよ・・時間がないんだから。」
「時間がないだなんて・・・。
 だめですよお義母さん!そんな弱気になったら、
 治るものも治らないですよ。」
「え?」
「担当の先生だって。」
「絵里子さん、何言ってんの?
 時間がないっていうのは、あなたと駿が大阪行っちゃうっていうから私・・・。」
「あ・・・」
「本当に縁起でもない!
 私がどうかなるとでも!?
 何か私に隠している病気でもあるの?」
「違います違います!
 私・・ただあの、勘違いして・・。
 本当にすみません。」
「・・・」
「お義母さん・・・」
「・・・」

病院の廊下
「そんなこと気にすることないよ。」と敏郎(左右田一平)。
「お義母さんが怒るのも無理ないです。
 体の調子が悪いときに私ったら・・・。」
「明日になったらケロっとするさ。」
「そうでしょうか・・・。」
「ああ。何たって家族なんだから。
 じゃあちょっと、ばあばの顔見てくる。」
「はい。」
「じゃあ。
 あ!
 悪いけど、今朝牛乳こぼしちゃってさ。ソファーに。」
「あら」
「どうすればいいんだろう。」
「確かカバーリングになってましたから、裏のファスナー、」
「来てもらえるかな?」
「あ・・わかりました。」
「じゃあ、よろしく。」
「はい。」

お義父さん、まさか絵里子に気があるとか!?

わかば幼稚園
「あれ?何か眠そうな顔してるね。」真由美が絵里子(三浦理恵子)に声をかける。
「うん。ちょっと寝不足」
「ね、今日スイミングに行くでしょう?」
「うん・・それがね。」
「行かない?」
「今日はやめとく。」
「駿君、調子悪い?」
「ううん。今日はじいじの所に行かないと。今一人だから。」
「それ、駿君も一緒に行かないといけないの?」
「そういうわけじゃないけど。」
「じゃあさ、私が駿君をスイミングに連れてってあげる。
 一人も二人も同じだもん。
 で、帰ってきたら、うちで遊んでてもらってもいいし。
 ね?」
「・・・ごめん。せっかくだけどいいわ。」
「何で?」
「あ・・大したことじゃないの。」
「そう言われるとなんか気になる。なーに?」
「・・・夢を見たの。久々に。」
「夢?」
「・・・子供が溺れる夢。」
「・・・」
「だからなんとなく、駿をプールに入れたくないの。」
「まだ去年のことを・・
 大丈夫。私が、プールサイドでしっかり見てるから。」
「私が気になって・・・。」
「コーチも監視員もいるし。
 去年だって、駿君がおぼれたわけじゃないでしょ?
 知らないよその子が、」
「やめて。」
「・・・」
「ごめん。」
絵里子は真由美の機嫌をも損ねてしまった。

真由美の店
「神経質っていうか、過保護っていうか!」と真由美
「どうした?」と和史。
「私がスイミングに連れていってあげるって言ってるのに
 心配だからいいって!」
「誰が?何が心配?」
「駿君ママが駿君がおぼれるのが!」
「スイミングスクールで?」
「子供がおぼれる夢見たっていうの。」
「あれ思い出したんだろ。」
「1年前だよ?
 あんな風にしてたら、子供も神経質になっちゃうよ。」
「結局お前はさ、矢野さんが水臭い、お前を頼ってくれないっていうのが
 気に食わないんだろ?」

「取れちゃった!
 ねえ、取れちゃった。」
真由美の子・未央(谷花音)は、ゴムが切れた髪飾りを真由美に渡す。
「あ。どれどれ。こりゃダメだ。
 あとで直してあげるからね。」

「未央、ちゃん?」沙希が声をかける。
「・・・」
「おばちゃんの、あげる。」
「あ。すみません、いいんです。」
真由美はそう言うが、沙希は自分の髪止めを外し、未央に見せる。
可愛い髪飾りに嬉しそうに微笑む未央。
沙希はそれで未央の髪を結んであげる。
「ほら、」
「ありがとう!」
「未央。お借りするだけだよ。」
「いえ、良かったら。
 私には、少しかわいすぎたので。」
「本当ですか?何かすみません。
 未央、良かったね。」
「未央、ありがとは?」と和史。
「もう言ったよね。」と沙希。
沙希の言葉にうなずく未央。
「あ、そっか。すいません。
 ありがとうございます。」
「いえ。あの・・・
 私、申し遅れました。
 矢野さんの隣に引っ越してきました、マイヤーと申します。」
「あ・・そうでしたか!」
「相田です。よろしくお願いします。」と和史。
「こちらこそ。」
「あの、マイヤーさんって・・・」
「ええ。主人はアメリカ人なんです。」
「へ〜!かっこいいですね!なんか。」
「すいません。こいつボキャブラリーが貧困で。」
「ふふっ。
 矢野さんから伺ってます
 とてもお世話になってるって。
 優しくて面倒見のいいご夫婦だって。」
「え?駿君ママが?」
「こちらのお店も、とってもコーヒーが美味しいって。
 今度一緒にって約束してたんですけど、
 通りがかったので一人で来ちゃいました。」
「今度、矢野さんにごちそうしないとな。」と和史。
「ほんとね。
 未央良かったね。」
「うん!」
「コーヒー、お代わり持っていきますね。」

真由美と朗らかに会話を交わす沙希。
その様子を、笑顔もなくじっと見つめている理生(南圭介)の視線に
気づいた沙希は、挑むような目で理生を見返す。

翌日の午後、ホタルの観察会が開かれ、沙希が顔を出す。
「ねえ、この小川どこへ流れているの?」と沙希。
「あ、少し離れたところに、大きな池があって。」
「・・・」絵里子の表情が曇る。
「どうかした?」と沙希。
「・・・」

その時、真由美の携帯に理生から注文の確認の電話が入る。

「もう!
 ボソボソ何言ってんだかわかりゃしない。」と真由美。
「昨日、お店にいた人?」と沙希。
「そう。いたでしょ?陰気なのが。」
「アルバイトの男の子?」
「うん。うちの旦那がね、面倒見てやろうって。
 頼まれてもないのにね。」
「いいところもあるのよ。」と絵里子。
「確かに駿君の恩人っていえば恩人だけど。」
「恩人?」と沙希。
その時、絵里子はホタルの幼虫の写真を撮るよう呼ばれ、二人の元から離れる。

「去年、1年ぐらい前だったかな。
 駿君が、行方不明になったことがあってね。
 警察は来るわ、みんな総出で捜査するわ、
 もう大騒ぎで
 なかなか見つからなくて、みんな内心、事故に遭ったんじゃ
 ないかって思ってたの。
 そしたら、駿君ぐらいの年の男の子が、若い男に連れられてるって
 いう通報があってね。
 確認してみたら、やっぱり駿君だったの。
 木登りをしていて、下りれなくなったところを
 理生に助けてもらったらしいんだけど。」と真由美。
「ああ・・いい人じゃない。」
「うん。
 まあ、子供とか動物に優しいところはあるんだけどね。
 まあ、絵里子さんは、同じ日にあんなことがあったから、
 余計にねー。」
「あんなことって?」
「・・・うん。同じ日に、同じ年頃の男の子が、
 事故に遭ってね。」
「・・・」
「うん。
 詳しい話は、絵里子さんから聞いて。」
「・・・」

大きな木の下、猫にエサをあげる理生。
そこへ沙希がやってくる。
「・・・猫ってさー、好奇心で死んじゃうんだってねー。」
「・・・」
「よせばいいのに、井戸とか覗き込んで・・落ちて。」
「・・・」
「どうしても井戸の中、どうなってるのか知りたくて。
 我慢できなくなるらしいのよ。」
「・・・」
「ばかだよね。」
「・・・」
「そう思わない?」
「・・・」
沙希が立ち去ろうと理生に背を向ける。
「・・・あんた・・・母親だろ?」
「・・・」
「池で死んだ子の、母親だろ?」
「・・・理生君、だっけ?
 ・・・君ってほんっとうに礼儀知らずだね。」
沙希はそう言うと、エサが入った容器をネコから取り上げ、地面に落とした。

沙希の心に隠された冷酷さ。
何とも言い難いシーンでした。
沙希は理生を脅したけれど、理生は強さを持っています。



絵里子は駿を連れて病院に美津子を見舞いに行く。
駿と一緒に遊び楽しそうな美津子の様子に絵里子はほっとする。
「大阪行き、せめて美津子の退院まで、
 待ってもらえるといいんだけどなぁ。」と敏郎。
「もちろん、入院中は。」と絵里子。
「良かったぁ。」

矢野家
ホタルの幼虫の写真をブログにアップする絵里子。
「あ、怪獣だ。」その写真を見た駿が言う。
「本当だね。
 でもこれが、蛍になって、
 きれいだね、きれいだねって言われるようになるんだよ。
 駿、きれいなものと、醜いもの、
 見た目だけで決めちゃいけないの。
 きれいなものが、悪者だったり、
 その反対もあるんだよ。
 ほら、おとぎ話でさ、王子様がヒキガエルだったりするでしょ?
 わかる?」
「??」
「ちょっと難しかったかな。」

『息子に、怪獣と言われたこの幼虫。
 やがて変身して、美しい光を発します。』

ブログの記事を書きながら、絵里子は、海外でホタルを見たと語っていた
時の沙希を思い出していた。

突然沙希が訪ねてくる。
「あのね、マリネ作りすぎちゃったの。
 良かったら食べて。」
「ほんとに?ありがとう。
 うわぁ、おいしそう!」
「じゃあ。」
「あ、待って。
 ・・・ね、上がらない?」
「でも、もう遅いし。」
「考えてみたら私たち、旦那もいないし、
 何時にお茶を飲もうか自由よね。」
「確かに、ね。」
「でしょ?」
「じゃあ、家の鍵閉めてくる。」
「うん。」

「駿、おいで。」
駿を膝の上に抱く絵里子
「駿、ママね、駿と一緒に、大阪に引っ越そうって思ってたの。
 そしたら、パパとずーっと一緒でしょう?」
「うん。」
「でもね、駿はスイミングやめて、幼稚園のお友達とも、
 バイバイするの。
 どうする?」
「・・・」
「ばあばも駿がいないと寂しいって。」
「・・・」
「ここにいよっか。
 ここにいて・・・時々パパが来るの、待ってようか。」
母の言葉にうなずく駿。
「うん。そうしよう。」
 
沙希が再び慎二の前に現れた日から1週間が経った。
会社で仕事をこなしながらも、慎二の頭にふと浮かぶのは、
今夜バーに現れるはずの沙希のことばかり。

そして夜、取引先との打ち合わせが急遽キャンセルされたことから
背中を押された慎二は、はやる気持ちでバーへと向かう。

その頃、絵里子は駿の乳歯が初めて抜けた報告をしようと慎二に電話
してみるが、慎二は自宅にまだ帰っていなかった。
 
深夜、未だ姿を見せない沙希をひとりバーで待つ慎二。
隣に長い髪の女性が座りドキっとするが沙希ではなかった。
そんな自分の行動に苦笑し、帰ろうと席を立ったそのとき、沙希が店に現れた。
「また、お会いしましたね。」
「・・・」
「帰っちゃうんですか?」
「ええ。あ・・いや・・・。」
「今日ね、大阪最後の夜だから、飲み明かそうと思って。」
「飲み明かす?」
「そう。だから座って。矢野さん。」
「え?」
「何?」
「いや・・どうして私の名前を?」
「マスターがこの間そう呼んでた。」
「ああ。」
「ひょっとして偽名?」
「だいぶ飲んでますね。」
「飲んでますよ!
 ちょっと、仕事の打ち上げのようなものがあって。
 いけません?」
「いや、いけなくはないですけど。」
「あ、そうそう、この間教えていただいたお土産、
 友達がとても喜んでいました。」
「それは良かった。」
「ありがとうございました。」
「あの、お友達って、男性の方ですか?」
「え?」
「いやいや、ちがうんです。
 あの、後から思ったんですけど、
 女性が喜びそうなものを、教えてしまったなって。」
「あ、女性です。」
「そうでしたか。」
「きれいでかわいい人。性格もかわいいの。
 大好きなの。
 男の子がいて、その子もとってもかわいいの。」
「・・・」
「マスター、この間のやつ。」
「かしこまりました。」
酒に酔い、いつになく大胆に体を寄せてくる沙希にドキリとする慎二。
「・・・」
「矢野さん、来ないかなーって思ってたんだ。
 でも来てくれたね。」
「今日で最後ですね、大阪」
慎二は沙希からさりげなく自分の体を離す。
「そう。寂しいね。」
「・・・」
「何?」
「いや・・・。この前とは、別人みたいですね。」
「そう?」
「いろんな顔を持ってるんですね。」
「・・・そう。そうなの。
 そういうのは嫌?」
沙希はそう言い、慎二に体をくっつける。
「・・・あ、名前。教えてくれないかな。」
慎二にそう言われた沙希は、自分の携帯電話の番号を書いたメモを渡す。

清楚な一面、小悪魔系な一面。
このギャップに男の人は弱いんだろうなぁ。
自分に思いを寄せる部下には見向きもしない慎二ですが、
沙希には魅かれっぱなしのようで・・・。
これも全部沙希の計算なのでしょう。

 
次の日、沙希は真由美の店を訪れる。店には絵里子もいた。
「おばちゃん!」未央が沙希に駆け寄る。
「未央ちゃん。」
「あ、おばちゃんじゃなくてお姉ちゃんだった。
 ママが、おばちゃんはママじゃないからお姉ちゃんだって。」
「・・・いいのよ。おばちゃんで。」

「見違えた沙希・マイヤーって感じよ。
 どうぞ。座って。」と真由美。
「駿君、こんにちは。」と沙希。
「こんにちは・・。」
「駿君、もうお兄ちゃんなんだからもっと元気よくね。」と真由美。
「お兄ちゃん?」と沙希。
「あのね、乳歯が抜け始めたの。」
「・・・」

「沙希さん、お仕事だったの?」
「今、大阪から帰ってきたとこ。」
「大阪?慎二さん、監視してもらえば?」と真由美。
「しーっ。」
「この人ね、大阪行くのやめたら、急に旦那のことが
 心配になってきたらしいの。」
「それほど深刻じゃないけど。」と絵里子。
「まあ大丈夫よ。慎二さんは。」
「また適当に。」
「ほんとだって。
 慎二さん、駿君ママのことすっごーく愛してるもん。」
「どうだろう。」
「そうだって。」
「ほんと?」
「うん。見てればすぁかる。」

花屋が注文した花を届ける。
その花を見つめながら、絵里子がつぶやく。
「明日でちょうど一年なのよね。」
「ん?何が?」と真由美。
「駿がいなくなったあの日から。」
「もう忘れなよ。無事だったじゃない。」
「無事じゃない子もいたわ。」
「うん。まあそうだけど。」

理生が沙希を見つめる。

「お花・・持っていこうかな。」
「ん?どこに?」
「あの池に。」
「そういえば、事故の直後、あそこにお供え物がしてあったじゃない?
 お花とかお菓子とか山ほど。」
「ええ。」
「あれ、全部めっちゃめちゃにしてあったんだって。お花もお菓子も。」
「いたずら?ひどいことするわよね。」
「ほんと。信じられない。誰だろ。」

「・・・母親かもしれないわね。」と沙希。
「母親って、亡くなった子の?」と絵里子。
「そう。」
「・・・どうしうて母親が、そんなことするの?」
「わからないけど、何となく。
 その立場になってみないと、わからないことってあるから。
 ・・・ちょっと疲れたから、帰ります。
 またね。」

「私の心の中にはその時、
 母親というのは、沙希さん本人ではないかという
 考えが浮かんだのです。
 理由はわかりません。」


その後、供養の花束を持って池に向かった絵里子は、喪服姿の夫婦らしい
男女と出会う。
亡くなった男児の父親だという男(高知東生)が絵里子に気づく。
「・・・隼人のこと、ご存じなんですか?」
「いえ、そうじゃないんです。
 私も息子がいるので。」
「そうですか。ありがとう。ありがとうございます。」
「いえ。何と言ったらいいか・・・」
「おい。」
夫に言われ、泣いていた黒髪の女性が振り返る。
喪服の女は沙希ではなかった。
「お子さんは、おいくつですか?」と男が聞く。
「5歳です。」
「5歳・・・」
「はい。」
「同じです。隼人と。」
「・・・」
「すみません。これから法事なので、失礼します。
 今日は隼人のために、ありがとうございました。」

「同じ日に、私の子供は助かり、
 この人たちの子供は・・・。」


深夜、窓辺に佇む沙希の姿を目にした絵里子。
執拗に手招きをする沙希にうながされた絵里子は、隣家へと向かい…。


黒髪の女性、バーで騙され、ため池でも騙された!
亡くなった子・隼人の母親は沙希ではありませんでした。
あれは沙希の兄夫婦なのか。沙希の元夫と再婚相手なのか。
まだいろいろ考えられますね。

隼人君はなぜ池で溺れたのか。
もしかしたら駿君が、隼人君が持っていたおもちゃ(飛行機とか?)を
池に落とし、それを拾おうとしたのかな。
少年が溺れてしまい、駿君は怖くなって木に登ったとか。

5歳ぐらいの男の子が一人であの大木を登ることが出来るのか。
駿は本当に木に登ったのかも気になります。
木に登って降りれなくなったことにしたのは、理生と駿の嘘なのかも。
嘘を共有することで、二人は仲良くなった?

今回のサブタイトルは『幸福を壊す女』。
沙希が絵里子の幸せを壊そうとしているようにも取れるし、
主婦たちによって沙希の幸せが壊されている、とも受け取れます。

「ママが、おばちゃんはママじゃないからお姉ちゃんだって。」
未央の言葉に一瞬表情を曇らせた沙希。
あなたは子供を育てたことがないと否定されたように受け取った?

子供のいない沙希。
母という立場を突然失ったからなのか。
子供を授からず母になれなかったからなのか。

駿の乳歯が抜けたと聞いた時も表情が変わりました。
子供の成長の喜びを感じられるすべての母が憎いのか。
それとも、絵里子だけが憎いのか。


沙希がこの町に最初に来たとき、メモを手に町を歩いていました。
ということは、初めてこの町に来たと考えていいのかも。
この時の沙希は赤いドレス姿。
喪に服しているとは思えない。復讐を誓ったからなのか。

駿と隼人が同い年、というのが引っ掛かります。
もし沙希が絵里子だけを憎んでいるとするなら、
沙希は慎二と学生時代に付き合っていて、別れた後妊娠発覚。
・・・これだと『八日目の蝉』になってしまうか。

未婚の沙希は男の子を出産。施設に預けた。
理生も同じ施設にいて、時々施設に様子を見にきていた沙希を見掛けたことがある。
子供を授かることが出来なかった筧夫妻は、沙希の子を引き取り、
大切に育ててきた。
沙希は、マイヤーと知り合い、結婚。
ある日、自分が産んだ子が溺死したことをニュースで知った。
「(うちの子でなくて)良かった」と涙する絵里子に怒りが向けられ
赤いドレスに身を包み、あの地を訪れた。

もしくは、沙希の子供はこの池で亡くなった隼人とは関係なく、
別の事故で亡くなっていて、沙希は幸せそうな家族を見つけると家族を壊し、
次の町に移り住み、また新たなターゲットを見つけ・・・。

話がどう進むのか気になります。
次週予告には外国人男性が。マイヤーさんは実在した。
彼の登場で沙希の謎が少しわかるかな。



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亡くなった少年の名前は隼人。年齢は駿と同じ5歳。

第2話
「駿、きれいなものと、醜いもの、
 見た目だけで決めちゃいけないの。
 きれいなものが、悪者だったり、
 その反対もあるんだよ。」(絵里子)
「その立場になってみないと、わからないことってあるから。」(沙希)

【キャスト】
マイヤー沙希 - 仲間由紀恵
矢野絵里子 - 檀れい

矢野慎二 - 渡部篤郎
矢野 駿 - 青山和也
矢野敏郎 - 左右田一平
矢野美津子 - 草笛光子

相田真由美 - 三浦理恵子
相田和史 - 森山栄治
相田未央 - 谷花音

関 加奈 - 鈴木砂羽
関 彰宏 - 小林正寛

筧 雅彦 - 高知東生
真下亜美 - 藤井美菜
松井理生 - 南圭介
広瀬浩太 - 青山ハル
中牟田 肇 - 武野功雄
- 神保悟志

【スタッフ】
主題歌
東方神起「Why? (Keep Your Head Down)」

脚 本:
 神山由美子
音 楽:
 池頼広
プロデューサー:
 豊福陽子
 遠田孝一
 浅井千瑞
演 出:
 今井和久
 小松隆志
 星野和成
制 作:
 関西テレビ
 MMJ


仲間由紀恵さんの主な出演作品



檀れいさんの主な出演作品




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Excerpt: 『美しい隣人』マイヤー沙希@仲間由紀恵は、新幹線移動だったんかい!!!スリットじゃなかったのね(爆)ナカマイヤーさん、矢野絵里子@檀れいから不倫の許可をGetこれで心置き ...
Weblog: |あんぱ的日々放談|∇ ̄●)ο
Tracked: 2011-01-23 20:53

美しい隣人 第2話
Excerpt: やっぱり、じわじわっと怖いですね・・・ ターゲットは大阪のご主人なわけですかね。 幸せな家庭を壊すことが目的っぽいけれども、 なんで、その幸せそうな家庭を壊さないといけないかっていうと、 ..
Weblog: よくばりアンテナ
Tracked: 2011-01-24 09:46
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