2011年02月28日

美しい隣人 第7話

『夫を誘惑した本当の理由』

美津子(草笛光子)の退院祝いの席に現れた沙希(仲間由紀恵)。
慎二(渡部篤郎)は浮気相手・エリコの正体が、絵里子(檀れい)の
親しい隣人・沙希だと知って言葉を失う。
が、沙希は何食わぬ顔でにこやかに会話を交わし、駿(青山和也)さえもが
沙希に懐いていた。

「パパ。」
「・・・」
「パパ。」
「・・え?」
「何か言って。」
「え、何かって・・」
「乾杯の音頭だよ。」と父・敏郎(左右田一平)。
「ああ、ああ・・・じゃあ、乾杯。」
「随分そっけないこと。」と美津子。
「パパ。
 ・・・すみません、お父さん。お願いします。」と絵里子。
「え?じゃあ、僭越ながら。
 えー、ばあばの全快と、ますますの健康を祝して、
 乾杯!」
「乾杯!」
「ありがとうございます。」
「顔色も良くて、本当にお元気そう。」と沙希。
「ええ。そうなの。もうね、嘘みたいよ。」
「入院がストレスだったんじゃないか?」と敏郎。
「うん、だからね、あの時救急車呼ばずに、うちで寝てる方が良かったのかもね。」
「すみません、私が・・・。」と絵里子。
「ああ、ちょっと冗談よ〜。」

絵里子が料理の準備に席を立つ。
「手伝いましょうか?」と沙希。
「ううん。座ってて。」と絵里子。
「そんなそんな・・気い使わないで。お客様なんですから。」と美津子。
「はい。
 じゃあ、駿君、こっちおいで。」
「うん!」
沙希に抱き着く駿。
「まあ、すっかり懐いちゃって。ねえ、慎二。」
「うん・・。」
「いいお母さんになるわ、沙希さん。」
「そうでしょうか。絵里子さんみたいないいお母さんになれますかね。」
「軽〜くなれるわよ。お裁縫も上手だし。
 お子さん早く出来るといいわね。」
「私男の子が欲しいんです。
 できれば赤ちゃんより、いきなり駿君くらいの子がいいな。」
「あはは。それは無理でしょう。
 でも最近ね、みなさん女の子が欲しいって言ってるわね。」
「そういえば、母さんもいつも女の子って言ってたな。」
「そうなの。とうとうこれしか出来なかったけど。」
「はははは。」敏郎は大笑い。
「え?」と慎二。
「やだ。聞いてなかったの?
 そういうところお父さんそっくり!」
「え?」と敏郎。
今度は沙希と美津子が笑いだす。

「ねえねえ。」駿が沙希に小声で話しかける。
「ん?な〜に?」
「あれ、おうちにある?アッセンブルボーグ。」
笑顔でうなずく沙希。
「今度行くね。」
「指切りしようか。」
「指切りげんまん嘘ついたら、」

「駿!ばあばのとこ行きなさい。」と慎二。
「や〜だ。」
「駿!」

「いいじゃない。
 それともパパ、駿に妬いてるの?」
「・・・」

「はい、お待たせしました。」
絵里子が料理を持って戻ってくる。
「わぁ、おいしそう。」と美津子。
「パパ、お願いできる?」
「いいよ。ママやって。」
「そう?じゃあ・・」

「どうした?疲れてんのか?」と敏郎。
「ちょっと、引き継ぎでね。
 あ、たばこある?」
「やめたんじゃなかったのか?」
「うん。最近、たまにね。」
「あらあなた。私の入院中にやめたって言ってたのに。」
「ちょっと、吸ってくるね。」

外でたばこを吸う慎二。
「どうしたの?」絵里子が声をかける。
「うん・」
「気分でも、悪いの?」
「うん。ちょっと。うん。」
「じゃあ、たばこ、吸わない方がいいんじゃない?」
「・・・」
「たばこいつから?」
「最近。」
「ちっとも知らなかった。
 やっぱり離れてると、何もわからないのね。」
「なあ。」
「うん?」
「何も、他人を呼ぶことなかったんじゃないか?」
「沙希さんのこと?」
「ねえ、うちうちのことにさ。」
「でも、お義母さんがどうしてもって。」
「・・・」
「大好きなのよ。沙希さんのこと。」
「・・・」
「じゃあ、なるべく早く戻ってね。」
絵里子が戻っていく。

「絵里子さん、ごちそう様。」と沙希。
「また遊びにいらっしゃい。」と敏郎。
「ほんとよ。」と美津子。
「ありがとうございます。
 じゃ、失礼します。」
沙希が帰っていく。

「じゃあ、私たちも、ね。」と美津子。
「そうだな。」
「まだいいじゃないですか。ねえ。」と絵里子。
「ん?うん・・・。」と新jに。
「いいわ。何だかパパお疲れみたいだし。」
「私も明日ゴルフなもんで。」
「そうですか。
 じゃあ送っていきます。」
「ああ、そう?」

呆然自失のまま散会し、自宅にひとり残された慎二にNESTから着信。
それは沙希からの電話だった。
「今、一人でしょ。」
「・・・」
「来て。」
「行けるわけないだろう。」
「じゃあ、こっちから行ってもいい?」
「・・・」

Mayer家のインターホンを押す慎二。
「開いてる。」と沙希。

「一体何を考えているんだ君、・・・」
慎二は沙希が着替えていることに気づき、言葉を詰まらせる。
「座ってて。」と沙希。
「そんな時間はない。」
「・・・とうとうこの日が、来ちゃったな。」
「・・・最初から、全部、」
「そう。最初から。」
「・・・」
「全部、仕組んだこと。」
「・・・俺は・・はめられたってことか。」
「・・・ここに引っ越して来てすぐ・・・
 隣に、とっても、綺麗で可愛い人がいるのがわかったの。
 ただ、綺麗で可愛いだけの人なら、いっぱいいるけど、
 彼女はまるで・・・
 体中のどこを切っても、幸せの蜜が溢れ出そうな・・・。
 幸せって人を輝かせるものなのね。」
「・・・」
「まぶしくて、羨ましくて、
 私、くらくらした。」
「それが・・・理由?」
「私、彼女になりたかったの。」
「・・・」
「ごめんなさい。」
「・・・こんなの、俺には理解できない。
 現実とは思えないよ。こんな・・・
 人が、幸せだったら・・何だっていうの!?」
「不幸を味わえばわかる。」
「・・・」
「本当の不幸をね。」

絵里子の車がバックする音が聞こえてくる。

「別れましょ。」と沙希。
「・・・」
「ここも出ていく。」
「・・・」
「さよなら。」

矢野家
「ちょっとね、飲みすぎたから風に当たってきた。」と慎二。
「・・そう。お風呂、入れるね。
 ・・・ねえ、沙希さんってどうだった?」
「・・・え?」
「初めてでしょ。会ったの。印象どうだった?」
「・・・別に。いい人なんじゃない?」
「それだけ?綺麗な人でしょ。」
「・・ああ、そうだね。」
テレビを着けてごまかす慎二。
「・・・」

絵里子は慎二が寝室で誰かと電話で話していることに気づく。
ためらいながら部屋に入る絵里子。

「うん?ああ、ああ。じゃあね。」慎二が電話を切る。

「どうした?」
「別に。」
「何だよ。」
「え?別に。」
「別に別にって、今の電話が、気に入らないのか?」
「・・・」
「単なる仕事の報告だよ。
 今日、取引先の会社のパーティーがあったから。」
「そう。」
「言いたいことがありそうだな」
「・・・じゃあ言うけど。」
慎二のマンションに女性物のクシを見つけたことを話そうとした時、
絵里子は駿が目を覚ましてしまったことに気づく。
「駿。起きちゃったの?」
「・・・」
「駿。どうした?」
「・・・」
「下で、話しましょうか。」
「やめよう。」
「・・・」
「寝よう。駿が、可哀想じゃないか。」
「・・・」

絵里子の中で少しずつ少しずつ、夫への不信感が大きくなっていく。
駿はパパとママがケンカしていることに気づき、きっと不安なんだろうな。


マイヤー家の子供部屋
アッセンブルボーグのおもちゃを抱えながらロッキングチェアに揺られ、
笑みを浮かべる沙希。

翌日、朝食の席、牛乳をこぼしてしまった駿をしかる絵里子。
「何やってるの駿!
 もう!着替えないのよ!どうすんの?幼稚園行けないじゃない!」
泣き出す駿。
「そんなに怒るなよ。」と慎二。
「あなたは黙ってて!泣かないの!」
「駿だってわざとじゃないんだから。」
「もう!」

マイヤー家
リビングにいた沙希にも、駿の泣き声が聞こえてくる。
「・・・かわいそうに。」

この時の沙希は真顔でした。
本当に駿のことを可哀想と思っている。
絵里子を母親失格だと思ってる。


そんな中、住所を頼りに雅彦(高知東生)が車でやってくる。
家から出てきた沙希に気づき、慌てて顔を伏せる雅彦。
沙希は雅彦に気づかず、どこかに出かけていく。

その頃、絵里子は慎二の携帯の留守電にメッセージを残していた。
「もしもし、私。絵里子ですけど。
 どうしても、話し合いたいことがあるので、
 今日はうちに帰ってきてください。
 お願いします。」

ふと窓の外を見ると、おとこがマイヤー家の様子をうかがっている。
不審に思い外に出ていく絵里子。

「あ!」雅彦が絵里子に気づく。
「あ。」絵里子も微笑む。
「こんなところでお会いするとは。」
「ええ。」
「ここ、あなたのおうちですか?」
「そうです。」
「そうでしたか。」
「あの・・何か。」
「いや、たまたまこの近くに仕事で来たので。
 私、内装とか家具とか、そういう関係の仕事をしているもので。
 ついでにこの街を見ていこうかと。」
「そうですか。
 この街は、まだまだこれからですよね。」
「いや、すぐ見違えるようになりますよ。」
笑いあう二人。
「あの、奥様、順調ですか?」
「ええ。だいぶ、でかくなってきました。」
「ふふ。」
「あれですね。こうやって2軒だけ、独立して建っていると、
 お隣とは、助け合うっていうか付き合わざるを得ないっていうか。」
「ええ。」
「・・いい、方ですか?」
「え?」
「・・・」
「ああ、ええ。いい方。」
「・・・」
「あの、この家が何か?」
「あいや・・。
 あ、あの・・奥さんに一つ、伺いたかったんです。」
「はい。」
「花を持ってきてくれましたよね。隼人の命日に。」
「ええ。」
「何故、命日を覚えていて下さったんですか?」
「実は、うちの息子も、同じ年で、同じ日の、同じ頃に、
 行方不明になってたんです。」
「・・・」
「だから・・・隼人君が事故に遭われた時、うちの息子かと。
 でも・・・無事でした。」
「・・・」
「だから、他人事のように思えなくて。」
「・・・そうでしたか。
 そうでしたか。
 奥さん、あなた、いい人ですね。」
「・・・」
「・・・だけど、気を付けて。」
「・・・は?」
「余計なことかもしれませんが、世の中、いろんな人がいますから。
 ご主人に守ってもらうといい。」
「・・・はい。」
「じゃあ、長々、失礼しました。」
「すみません。お名前伺っても・・・」
「あ・・すいません。
 筧と言います。」
名刺を渡す雅彦。
「お元気で。」
「ええ。」

幼稚園
駿が遊ぶ様子を見つめる沙希。
駿が転ぶと心配そうに、駿が立ち上がるとほっとしたように
優しく駿を見つめていた。

もう、母親状態ですね。

駿を迎えに行く絵里子。
「駿君ママ。」真由美が声をかける。
「こんにちは。」
「今日、うち寄っていかない?」
「ごめんなさい。ちょっと用事があって。」
「そっか。いや、あれからご主人とちゃんと話せたのかなーと思って。」
「・・・これから話すの。」
「これから?」
「今日、主人こっちなの。
 帰ってきたら、話そうと思ってる。」
「絵里子さんのことだから、そんな時でも、おっとりと可愛らし〜く
 話すんだろうなぁ。」
「私って、そんなふうに見えてるんだ。」
「あ・・いやあね。あの、褒めてるんだよ。
 女って、結局その方が得。
 男なんて子供と一緒。
 いたずらした子供を叱るときみたいに余裕を持って、
 教育的指導よ。」
「私、そんなふうに軽くは・・・。」

子供たちが園舎から出てきた。
「あれ?駿君どうしたの?」
「それが・・・牛乳こぼしちゃって。」
「ああ、ありがちだよね。」
「じゃあ、また。」
「頑張ってね。結果報告、待ってるね。」

「どっか行くの?」と駿。
「今日はばあばのおうち。」
「ふ〜ん。」
「駿、お泊りだよ。
 もう大きいから出来るよね?」
「うん!」
「一人で出来るよね?」
「一人?ママは?」
「ママは・・今日大事な用事があるの。」
「いやだ〜。」
「大好きなじいじとばあばがいるから、大丈夫だよね、」
「ママと一緒じゃなきゃやだ。」
「ほら駿。お友達に笑われるわよ。赤ちゃんみたいって。
 ほら行こう。乗って。」
絵里子から逃げ、園庭に駆け込む。
「駿!待ちなさい!駿!
 何やってるの駿!」
「・・・」
「そんな子・・・ママ知らない、もう!」
泣き出す駿。
「駿・・・。」

そんな二人の様子を真由美をはじめ、園の子供たち、母親たちが見ていて・・・。

夜、矢野家の側の窓を開ける沙希。

矢野家では絵里子と慎二が話し合っていた。
「だから、何もないって言ってるだろ!」
「絶対に?」
「ああ。」
「絶対、何もないの?」
「そう言ってるだろ。」
「じゃあ加奈さんが見たのは何?」
「だからタクシーぐらい乗るだろ?
 ねえ、部下の子だっているしさ。
 取引先にも、女性の管理職だって、」
「だったら・・・加奈さんが気にすると思う?
 そういう雰囲気だったからじゃないの?」
「俺加奈さんね、もっと利口な人かと思ってた。」
「加奈さんの悪口言わないで。」
「俺ならね、証拠もないのに、人を傷つけるようなことを
 わざわざ伝えない。」
「加奈さんは、直接私には言わなかった。」
「じゃあ誰経由で?」
「・・・真由美さんよ。」
「はぁ〜。真由美さんね。
 じゃあ、俺のそういう噂、みんな知ってるわけだ。
 もう勘弁してほしいな。」
「・・・」
「女性と、タクシーに乗ったのは、否定しない。
 でもそれだけだ。これでいいだろ?」
「それだけで、無言電話来ると思う?」
「・・・」
「一度なんて、死ねって言われたのよ。死ねって。」
「え・・」
「だから電話切ってたの。」
「・・・それは、間違い電話だろ?」
「そんなことない!」
「思い込みだって。」
「どうしてそんな言い方出来るの?私が理不尽みたいに・・・。」
「だって理不尽だろ!ねえ!
 今夜はこうやって、俺、仕事を調整したんだぞ。」
「・・・」
「ママはさ、もっと世間知った方がいいな。
 まあ、外に出てないから仕方がないけど。」
「・・・」
「・・・疲れた。もう寝よう。」
「待ってよ!」
「もう、おしまい。明日早いんだ。」
「私の話も聞いて。」
「聞いてるよ!だから今日こうやって仕事を、」
「仕事仕事って、仕事がそんなに大事?
 私ずっとこのことで苦しんできたの。
 一人で悩んできたのよ。」
「だからそれは・・・」
「だって!私見たの。」
「・・・」
「大阪のあなたの部屋で・・・くし・・・女物のくし。」
「・・・くし?」
「洗面所にあった。私のじゃない。」
「・・・覚えがないな。」
「もう・・・もうやめて、そういうの。
 嘘はつかないでほしい。」
「・・・」
「私だって・・・このことは言わないでおこうと思ってた。
 でも・・・これからずっと、黙って生活することなんてできない。」
「・・・」
「あの部屋に・・・女の人・・・入れたのよね?」
「・・・・・」
「・・・駿も泊った部屋なのに・・・。」
「・・・もう・・・終わったんだ。」
「・・・」
「ごめん・・・傷つけて。」
「・・・」
「絵里子。」
「どんな人?」
「え?」
「相手・・・どんな人?」
「・・・」
「私と全然違う?」
「・・・」
「何が?ねえ、何が?
 パパ・・・」
「頼むよ。頼むから。」
「庇うの?」
「そうじゃない。
 聞いてどうする。」
「聞いちゃいけない?私聞く権利があるでしょう?」
「・・・」
「私にない何かが・・・
 ねえ、私はもういらないの!?」
「そういうんじゃないんだ。」
「じゃあどういうのよ!」
「ママ落ち着けよ!ママらしくないぞ!」
「私らしくないって・・私らしいって何よ!」
慎二の胸を叩き、号泣する絵里子。

その時、慎二の携帯が鳴る。
「おふくろからだ。
 もしもし。
 え、そうなの?
 ・・・うん、わかった。」
電話を切る慎二。
「駿が、帰るって聞かないそうだ。
 もうこっちに向かってるって。」
「・・・」

放心状態ながらも外で駿を待つ絵里子。
沙希はポストを見に来たふりをして、絵里子に声をかける。
「絵里子さん?」
「・・・」
「どうしたの?」
「・・・」
「泣いてるの?」
「・・・」

そこへ、美津子たちを乗せたタクシーが到着し、家から慎二も出てきた。
タクシーから降りた駿は、絵里子を素通りし、沙希に抱き着く。
「駿君。」
駿を抱きしめる沙希。

「あらあら。ママを間違えちゃったのね。」と美津子。

「駿!いらっしゃい。駿!」
絵里子は駿を沙希から引き離し、家の中に連れていく。

「一体どうしちゃったの?」と美津子。
「俺が悪いんだ。」
「え?どういうこと?」
「今日んところは、悪いけど。」
「あんな絵里子さん見たの初めて。」
慎二も部屋に入っていく。

翌日、雅彦は沙希を喫茶店に呼び出す。
「何?」
「座って。」
「長く掛かるの?」
「いや。」
「5分で言って。」

「いらっしゃいませ。」とウェイター。
「すぐ出るから。」と沙希。
「かしこまりました。」

封筒を差し出す雅彦。
「幾ら?」
「180。」
「200じゃないところが、泣けてくるね。」
「今の俺には、これがほんとの・・・ほんとの精一杯なんだよ。
 お願いだから頼むよ。縁を切ってくれ。」
封筒をバッグにしまい、立ち上がる沙希。
「ありがと。」
「離婚は?」
「・・・考えとく。」
「もう、時間がないんだよ!子供が・・・。」
「認知、したらいいじゃない。」
「・・・」
「法律上、私たちの子供ってことになるのかな。」
「バカな冗談はやめろ!!」
「・・・何逆ギレしてんの?」
辺りを見渡し席に着く雅彦。
「隣の人に言ってもいいのか?」
「・・・隣?」
「君があの家に一人で住んでいる理由が、薄々わかったよ。」
「行ってみたの?隣の人に会った?」
「・・・でも何も言わなかった。」
「何でまた。」
「言ってほしくないだろ?君は。」
「・・・」
「言ったら困らないか?」
「・・・」
「だから言わなかった。」
「有難く思え、ってこと?」
「いや。でも・・・」
「何?言いなさいよ。」
「・・・君があの家に住んでいるのは、偶然だとは思うけど、
 もしも・・・もしもだよ。
 もしもあの人を恨んでんなら、」
「はぁ?
 私が、あの人を恨んであそこに住んでるって?」
「・・・もしもって言ったろ。」
「何で恨むの?
 ねえ、何で?」
「・・・だから、隼人だけが事故で、」
「だったらお隣の子供とっくに殺したりしてれうんじゃない?」
「・・・」
「バカじゃないの?知りもしないで。」
「だったら言ってもいいのか?」
「・・・脅迫してるの?口止め料に、離婚してくれって。」
「・・・」
「言えば?」
「・・・」
「あの隣の女のところに行って、言えば?」
「いや・・俺は、ただ・・・」
沙希が帰っていく。

帰り道、考え事をしながら歩く沙希は・・・。
 
丘の上から街を見下ろす沙希。
沙希の視線の先には、マイヤー家と矢野家。

沙希は、そのまま絵里子の家を訪れた。

矢野家
ベッドに横になる絵里子。
その時インターホンが鳴る。
「・・・はい。」
「私。沙希だけど。」
「・・・」

玄関を開ける絵里子。
「悪いけど、今ちょっと。」
「そっか・・・。」
「・・・何?」
「うん。ちょっとね。」
「ちょっと?」
「ええ。どうしても言っておきたいことがあるの。」
「・・・」
「上がってもいい?」
「どうぞ。」

散らかしっぱなしの部屋を片付ける絵里子。
「ごめんね。」
「お構いなく。すぐ済むの。座って。」
「・・・」
「って、私のうちみたいね。」
「・・・」
「・・・調子悪そうね。」
「ええ。」
「ご主人、浮気認めた?」
「・・・」
「相手はどんな人だった?」
「それは・・・。」
「言えないわよね。慎二さんも。」
「・・・」
「・・・まだ気づかないの?」
「・・・」
「ご主人の、浮気相手。私なのよ。」
「・・・え?」
「・・・くしがあったでしょ?私の。」
「・・・」
「ごめんなさい。心苦しくて、私。
 黙っているのも辛いしね。」
「・・・」
「わかってる?私だって言ったのよ。」
「・・・」
「この私が、ご主人と。」
「嘘!」
「嘘じゃないの。残念ながら。
 残酷な現実ってあるのよ。」
「・・・」
絵里子は今まで沙希が自分に好きな人の話をしていたことを
思い起こしていく。
「なぜそれを・・・なぜそれを渡しに言うの?」
「・・・」
「ひどいじゃない!」
「・・・」
「なぜわざわざ言うの?」
「なぜ?
 そうね。なぜかしら。」
「友達だと思ってたのに。」
笑い出す沙希。
「・・・笑ってるの?」
「ごめんなさいね。
 私、何かこぅいう時笑いたくなっちゃうの。」
「・・・」
「じゃあ、帰るね。用事が済んだから。」
「・・・」
「お大事に。」
「・・・」
「あ・・わかった。
 わざわざ言いに来た理由が。」
「・・・」
「その顔を見たかったからだわ。」
「・・・」


妻が、母が信頼している隣人が、我が家にやってきた。
ん?あの声は・・・まさか・・・
沙希の笑顔に、ゴクっとつばを飲み込む慎二。
頭の中は真っ白。何も考えられない。
何食わぬ顔で慎二の隣に座った沙希、慎二のグラスにビールを注ぐ。
ちらっと沙希を見て、すぐに目をそらす。
妻・絵里子の笑顔。
沙希の左手が慎二の右手に触れ、思わずビクっと手を放す慎二。

冒頭の約1分間、慎二のセリフは一言もないのだけれど
その表情から慎二の動揺がひしひしと伝わってきました。
自分は女なのに慎二の気持ちになってしまう不思議。

料理をしながら家族と沙希の会話に聞き耳を立てる絵里子。
沙希を中心に楽しそうな雰囲気。
まるで自分がいなくても家族が成り立っているようで、
絵里子は不安そうでした。

禁煙していた慎二がタバコを吸い始めたのは、
沙希を愛してしまってからなのかな。
基本、真面目な慎二は、絵里子を裏切っている罪悪感、
それでも沙希を思ってしまう自分を責めていたのかも。

「・・・ここに引っ越して来てすぐ・・・
 隣に、とっても、綺麗で可愛い人がいるのがわかったの。
 ただ、綺麗で可愛いだけの人なら、いっぱいいるけど、
 彼女はまるで・・・
 体中のどこを切っても、幸せの蜜が溢れ出そうな・・・。
 幸せって人を輝かせるものなのね。」

自分は絵里子になりたかった、と慎二に説明する沙希。
これは沙希の嘘ですね。
慎二には沙希の言っていることが理解出来なくても、それ以上は疑わない。
そして沙希から別れを切り出されたけれど、慎二は別れることが
出来ない気がする。

体中のどこを切っても幸せの蜜が溢れ出そうな絵里子。
本当の不幸を知っている沙希。
同じ日に最愛の子供を失った沙希と、見つけることが出来た絵里子、
沙希が絵里子の幸せをねたむ気持ちはそこから来ている。


雅彦の職業は何なのかと気になっていましたが、
筧雅彦デザイン事務所、家具、内装関係でした。
沙希が絵里子に言っていたのは雅彦の仕事のことだったのか。


絵里子が慎二と今夜話し合うと聞いた真由美さん、結果報告って・・。
まあ彼女は離婚を経験しているから先輩のような気持ちで
言ってくれているのだろうけど。

真由美さんのセリフ、
「男なんて子供と一緒。
 いたずらした子供を叱るときみたいに余裕を持って、
 教育的指導よ。」

今の絵里子にはそんな余裕がなく、駿が間違って牛乳をこぼした
ことに対して自分の感情で怒ってしまった。

あれがわざとだったら叱っても良かったところだけど。
今までの絵里子だったら、「あらあら。」で済んでいたんだと思う。
今は心に余裕がない状態。
ヒステリックに怒られる。
甘えたい時に甘えさせてくれない。
駿の気持ちが少しずつ絵里子から離れてしまう〜。

そして、絵里子がヒステリックに駿を叱るところを
沢山のママたちに目撃されてしまった。
絵里子の立場はますます危うくなりそう。


絵里子と慎二の話し合い。
タクシーに乗ったことを追及されても白々しく交わす慎二には
妻として、苛っときました。
くしのことを持ち出され、観念したのか認めてしまいましたね。
この時ばかりは絵里子が可哀想だった・・・。


雅彦に隣の家のことに気づかれたことで、沙希は次のステップに
進むことに決めたようです。

丘の上から街を見下ろしながら、沙希は何を思っていたのでしょう。
ある決意を固め、あの坂を上ってきた時、理生と会った。
あの時の赤い服は復讐の色?


絵里子VS沙希。
沙希の静かな言葉の中には棘がいっぱいあって、
それがすべて絵里子に突き刺さっていく。
最後の「その顔を見たかった」がキツかった。


沙希は本当にひどい女なのに、なぜか嫌いになれない。
仲間さんが演じているのもあるかもしれないけれど、
沙希は本当の不幸を知っていて、それを背負って生きているからなのかも。
時折彼女の過去を見せてくるところが憎いですね。
あんなボロボロな沙希を見てしまうと、同情さえしてしまう。

沙希の狙いは絵里子に(軽く)刺され、自分が被害者になること。
そうすれば、誰もが絵里子はあの家を追い出され、
自分があの家と駿を手に入れられる、と考えている?
隼人と雅彦(おまけ)を手に入れたように・・・。



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亡くなった少年の名前は隼人。年齢は駿と同じ5歳。

第2話
「駿、きれいなものと、醜いもの、
 見た目だけで決めちゃいけないの。
 きれいなものが、悪者だったり、
 その反対もあるんだよ。」(絵里子)
「その立場になってみないと、わからないことってあるから。」(沙希)

第4話
「自由が、幸せとは限らないじゃない
 みんなわかってないのよ。束縛が嫌だなんて。
 束縛の多い生活って、幸せなのよ。」(沙希)

第6話
「・・・父親って・・父親っていうのはね、
 いつだって、子供や、家族を守る責任があるの。
 あの日だって、今日だって、そんなに仕事が大事?
 家族より大事なの?」(沙希)
「どこまでも、信じる人が強いのよ。」(加奈→絵里子)

沙希が奪ったもの
・絵里子との友情
・未央(真由美の娘)の心
・慎二の心
・真由美との友情(真由美、絵里子への不信感)
・美津子の心(美津子、絵里子への不満)
・絵里子という名前
・絵里子の匂い(GERMER)
・絵里子のワンピース(絵里子がプレゼントした)

【キャスト】
マイヤー沙希 - 仲間由紀恵
矢野絵里子 - 檀れい

矢野慎二 - 渡部篤郎
矢野 駿 - 青山和也
矢野敏郎 - 左右田一平
矢野美津子 - 草笛光子

相田真由美 - 三浦理恵子
相田和史 - 森山栄治
相田未央 - 谷花音

関 加奈 - 鈴木砂羽
関 彰宏 - 小林正寛

筧 雅彦 - 高知東生
真下亜美 - 藤井美菜
松井理生 - 南圭介
広瀬浩太 - 青山ハル
中牟田 肇 - 武野功雄
- 神保悟志

【スタッフ】
主題歌
東方神起「Why? (Keep Your Head Down)」

脚 本:
 神山由美子
音 楽:
 池頼広
プロデューサー:
 豊福陽子
 遠田孝一
 浅井千瑞
演 出:
 今井和久
 小松隆志
 星野和成
制 作:
 関西テレビ
 MMJ


仲間由紀恵さんの主な出演作品



檀れいさんの主な出演作品





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告白(美しい隣人#7)
Excerpt: 『美しい隣人』動揺(爆) 大阪での不倫相手が、まさか隣人だとは・・・ナカマイヤーさんを目にした慎二@渡部篤郎は狼狽し、乾杯の音頭も取れず、止めたはずのタバコまで吸い出 ...
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