2011年04月25日

JIN -仁- 完結編 第2話

『未来との選択』

“脚気に効く菓子”として、南方仁(大沢たかお)の考案した安道名津
(あんドーナツ)が江戸で評判となったある日のこと。

そんな中、奥医師でもある西洋医学所の松本良順(奥田達士)が訪ねてくる。
「実は、あるお方が脚気の疑いがございまして。
 安道名津を献上していただきたいのです。」
「どなたにですか?」
「・・・」松本が仁に耳打ちする。
「はぁ。和宮って人ですか。」
「・・・左様でございます。」
「松本先生の患者さ、・・・!!
 それって、こっ・・皇女和宮!!」
「口にするのも畏れ多いお方でございますぞ。」
仁を押し倒し、仁の口をふさぐ松本。
足をばたつかせてもがく仁。
「和宮様は亡き帝の内親王様。
 上様の御台所であらせられる、最も高貴なお方でございます。」
松本の手から逃れ、息を整える仁。
「実は、大の甘いもの好きでいらっしゃいましてな。
 近々お忍びで、田之助の芝居を楽しまれる、良い折がございますので、
 ぜひ、その席で。」
「他之助さんの?」
「私は、これを皮切りに、先生を奥医師にとも、」
「いや、ちょっと待ってください。」
「うん?」

二人の話を誰かが盗み聞きしていて・・・。


医学館
「仁友堂のものを、本道のものとして和宮様にご献上されるのは、」と福田。
「無論!本道なりの工夫を施すつもりじゃ。
 お主はこれに何が入っておるのか述べればそれでよい。」と多紀。
「しかし・・・」
「仁友堂は、お主の本道で食うておるそうではないか。
 教えてもろうても、罰は当たらぬと思うがのう。」
多紀は福田に、安道名津の作り方を書かせようとする。

仁友堂
あまりの光栄な出来事に、橘咲(綾瀬はるか)をはじめとする『仁友堂』の
面々が大喜び。
だが仁は迷っていた。

そんな仁を心配する咲。
「何か、ご心配なことが?」
「・・・いいんですかね。私みたいな人間が大奥に出入りしたり、
 奥医師になったりとか。」
「当代一の名医でいらっしゃいますのに。」
「身元も明かせないわけだし、ある日突然、いなくなっちゃったり
 することもあるかもしれないし。」
「・・・」
「・・・あっ。」
「左様でございますよね。
 先生は、いつか必ずいらっしゃらなくなってしまうのでございますものね。」
「すぐに、どうこうってことはないと思うんですけど。
 もう、2年もこのままなんだし。」
「私としたことが、つい、忘れておりました。
 宮様の献上の件は、先生のよろしきようになさるのが
 一番かと存じます。」
咲はそう言い、仁の部屋から急いで出ていく。

神戸 海軍操練所
「この操練所も、取り潰しってことになりそうだよ。」と勝。
「悪いがは幕府の石頭ぜよ。
 亀弥太や北添が池田屋で捕まったがは、やむにやまれぬ、
 あいつらの憤りゆえじゃ。
 それを【十把一からげに。
 攘夷派の巣窟じゃち!」と龍馬。
「ここで皆で生きていけりゃいいと思ってたんだけどな。
 故郷に帰れねえ奴も多かったからよ。」
「・・・」
その時龍馬は、仁との会話を思い出す。

(回想)
「もしかして先生は、ワシらの運命を知っちょるがかえ?」
(回想終わり)

「ワシらの故郷には、陸も海も続いちゅう。
 帰れんちゅうがは、まっと違うがじゃ。」

仁と咲は、道具屋に注文しておいた医療道具を取りに行く。
「500両!?」その値段に驚く仁。
「南方様のご注文はすべて、特別なものばかりでございますし。」
「もう少し何とか、」と仁。
「お支払しましょう。」と咲。
「そんな・・・薩摩藩から貰った治療代全部なくなっちゃいますよ。」
「大丈夫です。私がやりくりいたします。」
「でも、どうやって。」
「先生はどうぞお先に。
 患者がまいってるやもしれませぬ。」
「・・・はい。」

「仁友堂には金がない。
 たまの大きな治療費は、医療道具に消え、
 ペニシリンの製造は、いまだ濱口様の援助に頼りきり。
 先生達には、一度も給料を払えていない。
 もちろん、咲さんにも。
 あんドーナツが御用達になれば、仁友堂は潤う。
 献上はありがたいというしかない話だ。
 だけど、ここのところの俺は、あまりにも歴史上の人物に
 関わり過ぎている。
 この上、和宮様に会ったりでもしたら・・・
 こうなってくると、何だかもう、
 ここに骨をうずめろと言われている気がしてくる。
 江戸はいいところだけど、ここで死んでもいいと思えるかと
 聞かれれば、"いい"とは言い切ることは出来ない。
 俺にも残してきた親もいれば、友達もいる。
 それに、ここにいる限り、未来がどうなったかを
 知ることは出来ない。
 それでも"いい"と言い切れる日などが、来るのだろうか。」


そんな折、仁は、長屋を追い出され職を探している野風(中谷美紀)と再会する。
「野風さん!」
「・・・」

神社でお参りする咲。
「先生がずっと・・・」

「そんな日は多分・・・
 永遠に来ないような気がした。」


「長屋を!?追い出されたんですか?」
「色目を使っていると、言われんしてなぁ。
 昔の旦那衆にでも、職を口利きしてもらえぬかと。」
「・・・あの・・お妾さんになるなんて、考えてないですよね。」
「ちゃんと堅気になりんす。
 先生にいただいた命、大事に使いんすよ。」
「・・・あの、よかったら、仁友堂で働きませんか?」
「・・・」
「そんなこと言っても、お給料とか出せないんですけど。
 その、食べるくらいは困らないし。」
「ありがたいお話でありんすけんど、先生はあちきに、
 何ゆえそこまでご親切に。」
「それは・・・
 野風さんに、幸せになってほしいからです。」
「・・・」
「せっかく助けることが出来たんですから。」
「へぇ。」

咲が仁友堂に戻ると、仁と野風が待っていた。
「咲さん。」
「・・・野風さん、何ゆえここに?」
「あの・・咲さん実は、」と仁。
「まさか・・また岩が!?」
「相変わらずでござんすな。咲様は。」
野風と仁が笑う。

「落ち着き先が決まりんしたら、すぐに出ていきんすゆえ。」
「変な遠慮はなさらないでください。
 困ったときは、お互い様でございます。」
「出来るだけのことはいたしんすので。」

仁友堂の掃除をする野風に、見惚れる医師たち。

帳場
「野風さん、なんか頑張ってくれてますね。」と仁。
「先生、少し出てもよろしいですか?」と咲。
「はい。」
「先生、献上の件は、どうなさるおつもりで?」
「ああ・・ちょっと、まだ。ちょっと・・踏ん切りが。」
「お心が決まりましたら、早めにお知らせくださいませ。」
咲はそう言い、出かけていく。

咲は着物を質屋に持っていっていた。
「今日は多いですねぇ。」
「人が増えましたゆえ。」
「ああ、なるほど。」
「あの、あれはおいくらでしょうか。」
「まけて、一両くらいで。」
「一両・・・。」
咲は、男物の着物を見つめ・・・。

質屋を出たところで、咲は兄・恭太郎(小出恵介)に呼び止められる。
「咲ではないか。こんなところで何を?」
「・・・」
「南方先生は、その・・・ご存知なのか?
 お前がこのようなことをしているのを、」
「つまらぬことでお心を煩わせたくはないのです。
 よい話も来ております。
 もうしばしのことかと思いますので。」
「・・・」

仁友堂に澤村田之助(吉沢悠)がやってくる。
「松本先生がまだ返事ないってこぼしてたよ。
 なに迷ってるんだい?先生は。」
「作り方を教えてしまえば、誰でも作れるものですし。」
「欲がないねぇ。
 あ、あんがとよ、先生。」
「あんドーナツの作り方なんて、どうするんですか?」
「芝居ん中に、こいつを作る場面を入れようと思ってさ。
 ウケがよさそうじゃねえか。」
「張り切っているんですね、田之助さん。」
「あの方は、日本で一番寂しいお姫様だからね。」
「寂しい?」
「相思相愛の許嫁がいたのに、公武合体だなんだって、
 生まれ育った京から、言葉もしきたりも違う大奥に連れてこられてさ。
 もう一生、故郷には戻れねえんだよ。」
「・・・一生?」
「つかの間でも、笑わしてやるてえじゃねえか。」
「・・・」

仁友堂の廊下
「そういえば野風さん、お故郷はどこなんですか?」
佐分利祐輔(桐谷健太)が掃除する野風に聞いているのを見掛け、
仁が立ち止まる。
「あちきには故郷などありんせんよ。」
「またまた。もう花魁やないんですから〜。」
「吉原に行く前に親は死にんしたし、故郷と呼べるようなところは・・・」

「あんれ。先生?」野風が仁に気づく。

野風を見つめながら、未来を思う仁。

「故郷がないんですね。野風さんも。」
「?」

仁は仁友堂を飛び出していき・・・。

西洋医学所
「松本先生!松本先生!おられますか?」

仁友堂
「安道名津の献上、やることにしはったんですか!?」と医師たち。
「はい。松本先生に先ほど申し上げてきました。」と仁。
「そうでっか!良かった!」
みんなが喜ぶ中、一人複雑な表情を浮かべる咲。

「当日の同行は女性をとのことですので、咲さんお願いできますか?」
「は・・はい!」

「もっと良い、小麦や玄米を用意いたしましょう。」と佐分利。
「では、卵や砂糖を使って、もっと色々試してみましょうか。」と仁。
「より柔らかくすることは出来まするか?」と山田。
「玄米の潰し方を変えてはいかがでしょう。」と仁。
「揚げ具合も変えてみましょう!」と佐分利。
「いろいろ試してみましょうか!」と仁。
「はい!」

医学館
「宮様に、脚気に効く菓子をと進言したところ、
 仁友堂から安道名津を献上することがすでに決まっておると
 告げられたが。」と多紀。
「それは・・・まったく。」と福田。
「献上を失敗に終わらせよ!」
「それは・・・。」

質屋に通う咲。

安道名津を作る医師たち。

夜、咲は男物の着物を縫い・・・。

仁友堂
「いよいよ、明日でございますな。」
「はい。」と仁。
「先生、着物ちゃんとしたの、持ってはりましたっけ?」と佐分利。
「え・・これじゃ駄目なんですか?」
「相手は宮様でっせ。」
「・・・」

その日の夜。
「こんないい着物、どうしたんですか?咲さん。」と仁。
「兄に借りました。
 あ、ちょうど!」嬉しそうに微笑む咲。
「ありがとうございます!」

「・・・あの、何ゆえ、急に献上をお決めに?
 初めは、あまり気のりもせぬご様子でしたのに。」
「・・・和宮様は、故郷に戻れない方だって聞いたんです。
 ある日突然、全然違う世界に放り込まれたんだって。
 それを聞いたら、自分で持っていきたくなったというか。」
「・・・」
「おじさんが何、青臭いこと言ってるんだって感じですよね。」
「いえ、わかります。」
「それに、もっとしっかりしなくてはいけないと思ったんです。
 野風さんのこともあるし。」
「・・・野風さん?」
「野風さんも実家がないらしくて
 他で働くのも難しそうだし、だったら、ここに居ていただくのが
 一番だと思うんです。」
「・・・」
「そうなると、自然とお金もかかるわけで。」
「・・・野風さんは、未来さんのご先祖やもしれぬ方ですものね。」
「・・・あの手術があって、未来はもう生まれなくなったのかも
 しれないし。
 もうどうすることも出来ないかもしれないけど。
 せめて野風さんには幸せになってほしいというか。
 それが、未来に出来る唯一の罪滅ぼしというか。」
「・・・」
「野風さんの人生によっては、新しい未来が生まれる可能性が
 あるかもしれないし。」
「・・・」
「咲さん?」
「・・・あ。あの、少し・・・
 その・・・少し、情けなくなってしまいまして。」
「情けない?」
「私どもで変えられなかったお気持ちを、
 野風さん、いえ・・・未来さんは、たやすく変えておしまいに
 なるのだと思うと・・・。」
「・・・」
「・・・あっ。少し・・少しですよ。」
咲が部屋を出ていく。

次のシーンでは野風は自分の部屋にいましたが、この話、野風も
廊下で聞いていましたよね。


帳場に行った仁は、仁友堂の『入拂帳』を開いてみる。

『治療費 ナシ
 質入 かんざし』

「そこにあったのは、俺と咲さんの生活の足跡だった。
 咲さんは、着物や持ち物を売っていた。
 日々の生活に消えていく些細な、
 だけど、欠かせないもののために。」


『七より買入
 先生ノ着物』

「いつ消えてしまうかもしれない男の、
 たった一日のために。
 でも、だからといって、俺はどうすればいいんだろう。
 こんな中途半端な身の上で、
 中途半端な気持ちで、
 何を、言えばいいんだろう。」


その頃、仁友堂の作業場にいた福田は、小瓶を握り締めながら、
安道名津の材料に歩み寄り・・・。


翌朝
「・・・咲さん。」
「・・・」
「あの・・・」
「・・・浅はかなことを申し上げました。
 野風さんの手術を願ったのは、私でございます。
 責めは私にもございますのに。
 すみませんでした。」
「・・・咲さん。」
「さあ、作りましょう!」
「・・・」

献上に出かけていく仁と咲を見つめる野風。
「どうかなさいましたか?」と山田。
「ずっと、不思議に思っていたのでござりんす。
 なぜ、先生も咲様も、かようにご親切にしてくださんすのか。」

野風は、仁と咲の会話を聞いていて、
仁が未来から来たこと、自分が仁の恋人の先祖ということを
理解したのかな?


仁は、咲を伴い“お忍び”で澤村田之助の芝居を見にやってきた
和宮のもとを訪問。
「早速、御毒見やくにまわして和宮様に食べていただきましょう。」と松本。
「はい!」
「!!宮様でございます!!」
慌ててひれ伏す3人。

「良順。そこにある箱を、もう少し近うへ。」と和宮(黒川智花)。
松本が箱を和宮の傍に持っていく。
「中を。」
松本が蓋を開けると、和宮その一つを手に取り、パクっと一口。

「宮様!それは、まだ毒味も済んでおりませぬ!」と御年寄(伊藤和子)。
「これは、お菓子ではない。お薬であろう。
 良順、その者達は?」
「安道名津を考案いたしました、南方という医師と、
 その弟子でございます。」
「面を上げよ。」
和宮の言葉に、仁は満面の笑みで和宮に微笑みかける。
その様子にひきつる咲。
「先生!一度目は面を上げてはなりませぬ!」と松本。
「え!?・・・え!?」
「おいしい、お薬でありました。」と和宮。
「あ・・はい!!」

芝居が始まる前、安道名津をほおばる和宮。
「宮様!」
御年寄にとがめられた和宮は、お菓子を置き、お茶を口にする。

ところが、芝居が始まろうとした直後に、和宮が倒れてしまう。
「宮様!?いかがなさいました!宮様!!」

「松本先生!いったい何が!?」と仁。
「宮様は、毒を盛られたようでございます。
 症状からして、恐らくはヒ素。」
「・・・あの、どのような治療を?」
「油を飲ませ、その後ミョウバンの粉を。」
「胃の腑を洗ってはどうでしょう。」
「い・・・胃の腑を洗う!?」
「胃の中に入ってる毒を洗い出すのが、最も早く確実な治療だと
 思いませんか?」
「しかし、そのような治療は誰も出来ませぬし・・・。
 奥医師ではない先生が宮様を、」
「方法はお教えします!」

仁を連れて歩く松本。
「奥医師でもない者にお任せすることhなできませぬ!」と御年寄。
「この者は指示をするのみ。治療をするのは私でございます!
 今は何より、宮様の命を救うことが大事!
 お含みくださいませ!!」
「・・・」

「宮様を寝台に、左側を下にして寝かせてください。」と仁。
「はい。」

「もう少し上に。止めて下さい。
 そのあたりが、胃の中10センチ。」
「??」
「あ・・3寸程度の位置にくるはずです。
 口の所に印をつけてください。」
「はい。」
「その先端に油を塗りつけ、ゴム管を挿入してください、」

「印の所まで入りましたぞ。」
「スポイトを管につないで、胃の中のものを吸引してください。」
「はい。」
「よし。」

「もう何も出ませぬ。」
「では、洗浄にうつります。
 スポイトを抜き、漏斗をつないで下さい。」

「止めて下さい。
 その位置から、湯を流しいれます。
 一回の量は、一合から一合半で。
 急激に入れると、嘔吐を誘発しますので、ゆっくりお願いします。」
「はい。」

「終わりました。」
「では、管を下へ。」
「はい。」

「なんと!」
「いいんです。それを、液が透明になるまで繰り返して下さい。」

「南方先生!」咲が薬を届ける。

「透明になりましたぞ。」
「続いてこれを注入してください。
 炭を溶かした湯に下剤を混ぜたものです。
 残っている毒を炭に吸着させ、体外に排出させます。」

「もう、大丈夫です。
 あとは自然に排泄されるのを待ちましょう。」
「ありがとうございました。」
「いえ、間に合ってよかったです。」

「橘咲!吟味のため、そなたを捕縛す!」女中の声。

「咲さん!」
「南方仁!吟味の為そなたを捕縛す!」

「お待ちくだされ!これはいったい何の真似だ!」と松本。
「宮様は、その者の菓子を召し上がられました。」
「菓子は毒味したではないか。」
「毒味前のものを召し上がられておいでです!」
「あのときのものが原因なら、症状が出るまでに時がたちすぎておる!」

「その者は、奥医師である松本殿ですら、知らぬ治療を
 示して見せました。
 自ら毒を盛り、力を示し、出世を企んだのやもしれませぬ。」と御年寄。
「それは、あまりのお言葉。」と松本。

「先生は、ここに来られることすら畏れ多いと悩まれておりました!
 先生は、」と咲。

「その者どもをお目付けへ!」

「私たちは何もしていません! 
 その人だけでも離して下さい!
 咲さん!咲さん!!
 咲さん!!」

「いずれにせよあの者らは吟味されるべきです。」と御年寄。
「そうでしょうな。
 毒味役そのほか、大奥の皆様方も等しく。」と松本。
「・・・」

仁と咲は、皇女和宮に献上した安道名津(あんドーナツ)に砒素を盛った
疑いを掛けられ、毒殺未遂の容疑で牢屋敷に入れられてしまう。

「大牢。二人のうち、入れ墨一人〜。
 早く入れ。」

「入れ墨、さあ来い!まけてやるぞ!」
「新入り、さあ来い!」と囚人たち。

「よく来たなぁ、新入り。」と牢名主(宇梶剛士)。
「・・・」
「お前ら!命のツルは持ってきたか?」
「へい。二両二分で。着物に、縫い込んであります。」と新囚人。
「しけてやがんな。
 お前は?」
「・・・あの、ツルって?」
「俺たちに渡す金だ!」
「そ・・そんな金は・・・」
「牢を甘く見るんじゃねー!」
大牢に送られた仁は、とその手下たちから、執拗なまでの仕打ちを受けることに。
咲が用意してくれた着物も取られてしまう。

「宿に行ってなあ、ツルを持ってこさせれば、
 出られるぞえ。」と穴の隠居。
「あの・・女の人もこんな目に遭うんですか?」
「へへへへへ。」

仁友堂に恭太郎が駆けつける。
「当家に伝えに来た役人も、詳しいことは知らされておらぬようであった。」
「お調べは行われるんですやろ?
 ほしたら、先生の無実は必ず!」と佐分利。
「しかし、大牢送りであるからな。
 大牢の中ではお裁きによらず、無法に殺される者も多いと聞く。」と山田。
「え・・・」
「ツルがあれば、免れるやもしれぬが。」と山田。
「ツルとは?」と佐分利。
「牢名主や役人に渡す、賄賂のことだ。」
「そんな・・金など・・。」

医師たちの話をじっと聞いていた野風。
「では、あちきはこれで。
 ここのとどまり、お仲間とみなされては、どのようなおとがめを 
 受けるか分かりんせん。
 ちょうど良き働き口も見つかりんしてなぁ。
 お二人には、よろしくお伝えくださんし。」
野風はそう言い、仁友堂を出ていく。

「あれが吉原の流儀なんですか!?」と横松。
「・・・
 福田先生、どうかなされたのですか?」と恭太郎。
「・・・」
「もしや、何かご存知でおられるのか?」
「・・・」
「何や。何を知っとるんや!吐け!!」と佐分利。

咲が入れられた牢獄。
「可哀想だけどよ、あの男殺されるぜ。」
「え・・・」
「医者だったら普通、揚がり屋に送られんだ。
 大牢に送られるってことは、お上はあわよくば
 牢の中で死んでくれと思ってるってことだ。」
「・・・何ゆえ、先生がそのような目に!
 お待ちください!何ゆえでございますか!」

牢獄
「何もわからなかった。
 誰が何のために和宮様にヒ素を盛ったんだろう。
 俺に罪をなすりつけるために?
 それとも、俺を陥れるために?」


象山の言葉を思い起こす仁。
「お前のやったことが、意に沿わぬことであったら、
 神は、容赦なくお前のやったことを取り消す!」


「これは・・・そういうことなのか?」

牢獄の隅には、2体の遺体が置かれていた。
「死体・・・。」

「ツルを払わねえとこうなるんだよ。
 どうだ?え?」と牢名主。
「・・・払えません。
 私が持っているかねは、患者が払ったなけなしの金。
 命のツルです。
 一緒に働いてくれる仲間は、それに手を付けようともせず、
 ツメに火をともすように暮らしています。」
「・・・」
「あなた方に払う金は・・・ありません!」

仁の口をふさぎ、窒息させようと襲いかかる囚人たち。

「俺は、このままここで取り消されてしまうのか?
 それが神の意思なのか?」


仁の為に必死に祈る咲。
「口では分かったようなことを言いながら、
 私はずっと、心の底では望んでおりました。
 先生がお戻りになる日など、来なければ良い。
 出来るなら、ずっとここに居てほしい・・・と。
 もしや、そんな私を哀れと思い・・・
 願いをお聞き届け下さったのでしょうか。
 なれば・・・どうか、
 もう一度だけ、哀れと思うてくださいませ。
 どうか、先生をお助け下さい!
 今すぐに・・・今すぐに、先生を未来へお戻しくださいませ。」

囚人たちに口を塞がれ、必死にもがく仁。
天井に東京の街がうっすらと映し出され・・・。

「これは幻か?
 それとも、このまま死ねば、俺は戻れるのか?

 でも、ここで戻ってしまったら、どうなるんだろう。
 咲さんがどうなったかを未来から知ることは、きっと出来ない。
 あの不器用な優しさに応えることは出来ない。
 あの笑顔を見ることは出来ない。
 それでもいつか、新しい日々の中で、
 それでよかったと言い切れる日が、
 来るんだろうか。

 そんな日など・・・
 そんな日など・・・
 絶対に来ないと思うなら、」


囚人の手に噛みつく仁。

「元えん(多紀)はうちの医師に、献上をうまくいかぬようにしろと
 脅しをかけてたんです!
 本道の奥医師ならば、大奥と通じることもできます。
 これは、医学館の陰謀では・・・」と佐分利。
「そうであれば、もうどうにんもならないかもしれぬ。
 この件のお調べは、医学館がすることになったのだ。」と松本。
「え・・・」

「俺はここで、生きるしかないんだ。」

「この野郎!」
囚人の一人が仁に飛び掛かろうとしたとき、牢名主が叫び声をあげ・・・。



第二話冒頭は松本先生に、ラストは牢獄で囚人たちに口をふさがれて
もがく仁先生・・・。

仁が江戸時代にタイムスリップして2年。
象山との出会いで、医師として出来る限りのことをしていこうと
心に決めた仁。
でも、仁はいつか現代に戻りたい、という願いを捨てたわけではなかった。
当然ですよね。仁にだって、両親はいるし、未来のこともある。
江戸の時代がどんなに心地よくても、いつか、元いた場所に帰りたい、
と思っている。

生まれ育った京から、言葉もしきたりも違う大奥に連れてこられ、
もう一生、故郷には帰れない。

そんな和宮の境遇を、仁は自分に重ねたのでしょう。

仁の気持ちを変えたのは、和宮、そして野風。
そのことに傷つく咲。

仁に金銭面で心配させないように、内緒で質屋に通い、
仁の為に着物を用意し、陰ひなたとなって仁を支える咲。
まさに、内助の功。健気です。

咲の想いに気づいた仁ですが、今の仁にはどうすることも出来ない。
仁に、平成の暮らしを捨てろというのは酷な話です。

そんな中、和宮様に毒が盛られてしまう。
一体犯人は!?
福田は多紀に脅され、毒を仕込もうとしていましたが、
未遂に終わっている気がする。
それに、ドーナツではなく、お茶に盛られたような気がします。

田之助があんドーナツの作り方を書き写して持ち帰ったのも気になる。
医学館もお菓子作りに成功した様子。
もしかして、田之助のメモが医学館に盗まれた?

江戸時代で、牢獄にまで入ってしまった仁。
ツル(賄賂)を要求する牢名主。
それを拒否する仁。
なぜなら、仁が持っている金は患者が払ったなけなしの金、命のツルだから。

野風はわざと酷いことを言い、仁友堂を出ていきました。
きっと、仁を助ける為に。
そして、仁たちに自分を捜させないように。

そして仁は、咲のために江戸で生きていく覚悟を決めた?

和宮といえば、2003年『大奥』での安達祐実さんの演技が印象に
残っていますが、黒川智花さんの和宮も可愛らしかった。



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公式HP


B004UNGJLW日曜劇場 JIN-仁- オリジナル・サウンドトラック~ファイナルセレクション~
TVサントラ
Anchor Records 2011-05-25

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B002QMMIBEJIN-仁- DVD-BOX
角川映画 2010-03-17

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主題歌
B002MS1SN6逢いたくていまMISIA BMG JAPAN Inc. 2009-11-18by G-Tools



サウンドトラック
TBS系 日曜劇場「JIN-仁-」オリジナル・サウンドトラック
TBS系 日曜劇場「JIN-仁-」オリジナル・サウンドトラック高見優 長岡成貢 高見優 HARBOR RECORDS 2009-12-02売り上げランキング : 115Amazonで詳しく見る by G-Tools




小説版
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原作
B002QZX74IJIN-仁- 総集編 運命の決断集英社 2009-11-04by G-Tools



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第1話
・未来モノローグ
「私達は、当たり前だと思っている。
 思い立てば、地球の裏側にでも行けることを。
 いつでも、思いを伝える事が出来ることを。
 平凡だが、満ち足りた日々が続くであろうことを。
 闇を忘れてしまったような夜を。
 でも、もし、ある日突然、その全てを失ってしまったら。
 鳥の様な自由を。
 満たされた生活を。
 明るい夜空を、失ってしまったら。
 闇ばかりの夜に、たった一人、放り込まれてしまったら・・・。
 あなたはそこで、光を見つけることが出来るだろうか。
 その光を、掴もうとするだろうか。
 それとも、光なき世界に、光を、与えようとするだろうか。
 あなたの、その手で。」
・運び込まれた男
 年齢は、30代から40代、身長は180センチ程度。中肉。
 血液型はA型のRH+。
 患者の傷は、何か鋭利な刃物で頭部を切りつけられたもの。
 頭蓋骨骨折と、急性硬膜外血腫を起こし、緊急手術。
 顔面に無数の打撲傷。
 胎児の形をした腫瘍。
・未来の好きな言葉。
「神は、乗り越えられる試練しか与えない。」
・野口の言葉
「医者は患者の為にその恐怖と、戦うべきなんじゃないんですか?
 一緒にその恐怖と戦うから、尊敬されるんじゃないんですか?
 先生って呼ばれるんじゃないんですか?
 失敗して傷つかない人間なんていないですよ。
 先生は卑怯です。
 先生のやり方は、自分の代わりに他人に傷ついてもらっているような
 ものじゃないですか。」
・謎の声
「戻るぜよ、あん世界へ。」
・仁、文久2年(1862年)へタイムスリップ
・仁モノローグ
「あいつがいれば戻れるはずだ。
 あいつに連れてこられたようなもんなんだから。」
・斬られた恭太郎
「・・・それが私の、寿命なのです。」
・恭太郎の開頭手術、タエの額の縫合手術

第2話
・コロリ(コレラ)との戦い
・バタフライエフェクト、蝶の羽ばたきがさ、地球の裏側で台風を引き起こす。
・江戸の人々と触れ合うたびに、仁は本気でこの命を救いたいという思いを
 取り戻していく。

第3話
・文久2年(1862年)秋
・喜市や山田純庵をコレラから救う。
・仁がコレラに感染。咲の懸命な看病。
・タエは辻斬りに遭い亡くなってしまう。
・仁は拒んでいた髷を結い、江戸で生きていく覚悟。

第4話
・未来と仁の2ショット写真『2007.10.13』
・彦三郎の慢性硬膜外血腫の手術
・恭太郎、初音と出会う。
・野風の彦三郎への恩。
・揚げ出し豆腐

第5話
・野風、仁に夕霧の診察を頼む。
・痩毒(そうどく=梅毒)
・ペニシリンの製造過程を思い出したきっかけは咲の油落とし。
 製造方法を教えたのは大学時代の未来。

第6話
・医学館(漢方医学)VS医学所(西洋医学)
医学所(蘭方医)には松本派と弟子、緒方派と弟子。
医学館(漢方医)には多紀派と福田ら弟子たち。
・伊東派の首に痣がある医師。
・この時点で仁、江戸で半年以上過ごしている。
・「南方大明神」の札
・腑分け=解剖
・仁モノローグ
「俺の招いた歴史の混乱」
・仁モノローグ
「俺には、この世界に対する執着がない。
 だから、指針などないような、仏のようなことが出来るけど、
 だからこそ、きっと、何一つリアルに感じられないんだ。
 俺はもう本当に・・・死んでいるのかもしれないな。」
・命を狙われる仁。野風が咲に知らせ、咲が救う。
・平成二十二年の10円玉

第7話
文久3年(1863年)5月〜文久3年(1863年)6月
・天命
「ご判断を急ぐ必要はないのではないでしょうか。
 いつか、天命も参りましょうし。」
「天命?」
「人には、いかに生きるべきか、天命を授かる時が来るといいますから。」
「もし、いつか、本当に天命なんてものが空から降ってきたとして・・・」
 天命=あの胎児?
・ヤマサ
・1863年7月25日洪庵死去

第8話
文久3年(1863年)8月
・小さな盃、人の器、形見の器
・初音の敗血症、新しいペニシリン


第9話
・火事
・火消しの心意気、医者の心意気 
・新しい医術道具
・消えてしまう未来の写真。野風と未来の関係



【キャスト】

南方 仁 … 大沢 たかお
野風・友永 未来 (2役) … 中谷 美紀
橘 咲 … 綾瀬 はるか

橘 恭太郎 … 小出 恵介
佐分利 祐輔 … 桐谷 健太
山田 純庵 … 田口 浩正
タエ … 戸田 菜穂
喜市 … 伊澤柾樹

千葉重太郎 … 平山浩行
鈴屋彦三郎 … 六平直政

初音 … 水沢エレナ

緒方 洪庵 … 武田 鉄矢(特別出演)
濱口(石丸謙二郎)

新門 辰五郎 … 藤田 まこと(特別出演)

野口元 … 山本耕史
杉田 … 戸次重幸

伊東玄朴

松本良順(奥田達士)
福田玄孝(佐藤二朗)
多紀元えい(相島一之)

夕霧 … 高岡 早紀
鈴屋 彦三郎 … 六平 直政
橘 栄 … 麻生 祐未
勝 海舟 … 小日向 文世
坂本 龍馬 … 内野 聖陽




南方仁 …… 大沢たかお
橘咲 …… 綾瀬はるか
野風・友永未来 …… 中谷美紀 (特別出演)
坂本龍馬 …… 内野聖陽

橘恭太郎 …… 小出恵介
佐分利祐輔 …… 桐谷健太
西郷隆盛 …… 藤本隆宏

佐久間象山 …… 市村正親
新門辰五郎 …… 中村敦夫

東修介 …… 佐藤隆太
中岡慎太郎 …… 市川亀治郎
橘栄 …… 麻生祐未
勝海舟 …… 小日向文世


【スタッフ

原 作
村上もとか『JIN−仁−』(集英社「スーパージャンプ」)
脚 本
森下佳子
演 出
平川雄一朗/山室大輔/那須田淳
プロデュース
石丸彰彦/中井芳彦
音 楽
高見優/長岡成貢
主題歌
「いとしき日々よ」平井堅
音楽プロデュース
志田博英
医療指導・監修
酒井シヅ(順天堂大学 医学部医史学 名誉教授)
冨田泰彦(杏林大学 医学部医学教育学 講師)
ペニシリン監修
花木秀明(北里大学 抗感染症薬研究センター センター長)
歴史監修
大庭邦彦(聖徳大学 人文学部日本文化学科 教授)
土佐弁監修
橋尾直和(高知県立大学 文化学部 教授)
時代考証
山田順子
製作著作
TBS


大沢 たかおさんの主な出演作品



中谷 美紀さんの主な出演作品



内野 聖陽さんの主な出演作品


タグ:JIN −仁−
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Excerpt: 『JIN-仁- 完結編』松本良順@奥田達士の依頼により、脚気に効くお菓子“安道名津”(あんドーナツ)を皇女和宮@黒川智花へ献上する話を打診された南方先生@大沢たかおだが、相変 ...
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Tracked: 2011-04-28 00:59