2011年07月17日

それでも、生きてゆく 第2話

『想い、絶たれて…』

深見洋貴(瑛太)は三崎文哉(風間俊介)を見つけるのだが、
遠山双葉(満島ひかり)が「逃げて」と声を上げたため見失ってしまう。
その時、洋貴はナイフを握っていた。

「私が・・・少年Aの妹です。
 三崎文哉の妹、双葉です。」
「・・・ちょっと・・言ってる意味わかんないし。」
「・・・」

車のドアを開け着替えはじめる洋貴。
「深見さん何度かうちに遊びに来たことありますよね?
 晩御飯も私、一緒に食べたこととかあって。
 深見さん、私がハガキ出して当てたTシャツに、
  ミートソース飛ばしたことがあって。
 私そのときすっごい泣いて。」
「・・・」
「いやTシャツは別にいいんですけど・・。」
「文哉の居場所知ってるんですか?」
「いや、うちの家族・・・。
 ホントです。今、たまたま口ごもっちゃったけど、
 ホント知らないです。うちの家族誰も、お兄ちゃん、・・・
 兄のことは分からないです。
 逮捕された後とかも、父にも母にも、私にも全然会おうとしなくて。
 だから今日まで、どこにいるか分かんないまんまで。
 だから・・だからさっきが、お兄ちゃん15年ぶりで。」涙ぐむ双葉。
「何で今まで捜さなかったんですか!?
 あんな人殺し!放っとくのは無責任っていうか。
 あいつはまた人を殺すかもしれないのに!
 ほっといたらまた犠牲者っていうか。
 もう遅いかもしんないっすよね。」
「それは・・・。」

「この8年の間に、二度三度って。」
「それは、考え過ぎじゃ・・・。」
「行方不明になってる子供とか、大勢いるでしょ?
 そういうのって・・・。」
「そんな訳ないじゃないですか!
 ・・・いや・・すいません。
 でもだからって・・・。」
「・・・」
「兄のこと本気で殺そうとしてたんですか?」
「本気ですよ。あなたがあんな庇ったりなんかしなかったら。」
「庇うっていうか・・・。」
「もういいっすよ。どっちみちあなた、僕の敵ですから。」
「・・・」
車に乗り込む洋貴。
「あ!」
「どいて下さい。動くんで。危ないんで。」
カバンからメモを取り出し何かを書く双葉。
「ひきますよ。」
「ちょっと待ってください。」
「ホントひきますよ。」
「ちょっと待ってください。これ、私の携帯の番号です。」
洋貴に渡そうと車の窓に手を入れる双葉。
だが洋貴は無言で車を走らせた。

双葉の家族は嫌がらせから逃れるため、またしても引っ越すことになる。
車の中、双葉は空を飛ぶヘリコプターのローター音を聞きながら
あの日のことを思い出す。

(回想)
「おばあちゃんに浴衣買ってもらったの!
 薄いピンクのでね、アジサイの柄なんだよ。」と双葉。
「でもママが夏祭り中止かもって言ってたよ。」と友人の朋美。
ヘリのローター音。
近所には事件を調べる警察やマスコミ。
「・・・お祭り中止になったら、犯人死刑だよ。」
家に入ろうとした双葉が警察に止められる。

そこへ、家の中から兄・文哉が警察に連れられ出てきた。
「容疑者確保しました。これから署に連行します。」と刑事。

「お兄ちゃん!」と双葉。
「・・・」

家の中
「最近息子さんに変わった様子はありませんでしたか?
 どんな些細なことでも構いませんから。」
刑事は父・三崎駿輔(時任三郎)に聞いていた。

「お兄ちゃんどこ行ったの?」
双葉はソファーで茫然と座る母・隆美(風吹ジュン)に聞いてみる。
隆美は妊娠していた。

「8月8日、息子さん、何されてたかご存じですか?」と刑事。

「あのさ、お兄ちゃん帰ってくる?」
父に聞く双葉。

「あったぞ!」「凶器発見!」
凶器のハンマーは二階・文哉の部屋の天井裏に隠されていた。
(回想終わり)

今度の引っ越し先は隆美の兄が住む家の離れ。
兄・悟志は駿輔にクリーニングの配達の仕事も手配してくれていた。

引っ越し先に着いた途端、警官が来た。
付近で小学生の女の子が行方不明になっていたのだ。
双葉に、洋貴から言われた言葉がよみがえる。
駿輔、隆美も複雑な表情を浮かべていて・・・。
そこへ、ヘリコプターのローター音が聞こえてきて・・・。

父、深見達彦(江本明)の葬儀を終えた洋貴に、日垣耕平(田中圭)が
御香典を無理やり渡す。
洋貴が食べていたカップ麺を横取りする耕平。
「お父さんがさ、嫁さんのね。帰りにうちに来ないかって。
 来るよね?飯用意してあっから。」
「・・・何で?」
「母さんが来なかったのはしょうがないよ。
 でも兄ちゃんのことは心配してるって。」
「・・・あいつに会ったよ。」
「あいつ?」
「少年A。三崎文哉。」
「・・・刑務所なんじゃないの!?」
「結構元気そうだったなぁ。」
「それ母さんに言うなよ!」
「・・・返せよ。」

三崎家
少女行方不明の新聞記事を読む双葉。
そこへ駿輔がやってきて、双葉は慌てて新聞を隠す。
「双葉、お父さんのメガネ知らない?」
「・・知らない。」
「お母さんと灯里学校?」
「うん。
 ・・・お父さんさ。」
「うん?」
「最後にあっちの人たちに会ったのいつ?」
「あっちの人たちって?」
「・・あっちの家族。深見亜季ちゃんの。」
「・・・どうして?」
「・・・」
「全然。もうずっと。
 ・・・会ったのか!?」
「会ってないよ。会うわけない。
 でもここ、そんな遠いわけじゃないし。
 もし駅とかですれ違ったら・・・。」
「知らないふりをしてすぐ通り過ぎるんだ。」
「・・・ちゃんと話せば分かってもらえないかな?
 15年も経つんだし。昔と違って謝罪、とかも受け入れてくれる、」
「双葉!
 ・・・ごめんな。それを望んじゃ駄目だ。
 加害者家族の言葉は何も伝わらない。」
「・・・うん。」
「2階かな。」
「もしさ、もし。
 ・・・お兄ちゃん帰ってきたらどうする?」
「・・・」
「・・って、部屋ないか。嘘嘘。冗談。」
「・・・」

日垣・野本家
耕平の妻・由佳(村川絵梨)と父・日垣 誠次(段田安則)は
洋貴を快く受け入れてくれた。
洋貴の手には深見達彦(柄本明)の遺骨。
母・野本響子(大竹しのぶ)が目をそらす。

「洋貴君、数学得意だそうだね。
 うちの経営の手伝いで来てもらえると助かるな。」と誠次。
「店、明日から開けようと思ってて。」と洋貴。
「は?兄ちゃん一人で?無理でしょ。」と耕平。
「うちの仕事が嫌だったら、他にも紹介が。」と誠次。
「大丈夫です。
 うち人手足りてるんだよ。
 それを兄ちゃんのために、わざわざさ。」と耕平。
「父さん死ぬ前に謝ってたよ。
 ひどいこと言ったって後悔してた。」

(回想)
「また、また子供つくればいいじゃないか!」
「・・・」
(回想終わり)

「・・・」黙り込む響子。
「父さんは父さんなりにさ、」
「ワイン、開けましょうか?」と響子。
「・・ああ。」と誠次。
「城が冷蔵庫に。」と由佳。
「うん。」
「恨むんなら父さんじゃなくて、亜季を殺した三崎文哉なんじゃないの!?」
動揺し、飲み物をこぼしてしまう由佳。
「ねえ、そんな名前うちで出すのやめてよ!」と耕平。
「あいつは生きてるんだよ。
 母さんはさ、亜季を殺した奴が、今どうしているか知りたくないの?
 父さんは、」

「洋貴君。
 今は、お父さんのためにも、たのしく。」と誠次。
「父はそんなこと望んでませんでした。
 父は・・・
 ・・・ごめんなさい。
 お邪魔しました。」

気まずい雰囲気から帰ろうとした洋貴。
車に父の遺骨を乗せていると、耕平がやってきた。
「亜季が死んだ年のクリスマスにさ・・・
 俺、母さんと買い物の帰りに、何か、サンタの飾りつけとか
 見てたら、急にさびしくなっちゃって。
 店に親父迎え行って、3人で帰ったのね。
 そしたらさ、駅前にケーキ屋あったじゃん。
 あの家族がいたんだ。
 犯人の、父親と母親と妹と。
 クリスマスケーキ買っててさ。
 ショーケース見ながら、あれにしようか、これにしようか、みたいな。」
「・・・」
「俺だって思うよ。兄ちゃんみたいに思ってる。
 でもさ、ジンベエだって言ってたじゃん。
 失ったものばかり数えるな。
 今残っている物のことを考えろって。」
「ジンベエって誰?」
「読んでないの?ジンベエは、」

響子が出てきた。
「ねえ、家にレンジってある?」
「うん。」
「これ、このままあっためられるから。」
「・・・母さんも見たんでしょ?」
「うん?」
「あの家族がケーキ買ってたところ。」
「・・・ふっ。忘れたわ、そんな昔のこと。」
「父さんは忘れてなかったと思うよ。
 だから最後の最後に復讐を。」
「ハハ。ふーっ。」ため息をつく響子。
「俺なんか面白いこと言った!?
 笑うところじゃないと思うんだけど。」
「はいはい。じゃ、気を付けて帰りなさい。」
「・・・」

車に乗り込んだ洋貴は、双葉から渡されたメモを見つけ・・・。

三崎家
夜、部屋で化粧をする灯里(福田麻由子)。
「何やってんの?」と双葉。
「明日から学校だからさ。練習。」
「学校行くのにメークするんだ?」
「普通するでしょ?
 お姉ちゃんは何でメークしないの?」
「そういう機会ないし。」
「メークしないからそういう機会ないの。
 ・・・私はお姉ちゃんみたいにはならない。
 ちゃんと自分で自分の人生選ぶの。」
「・・・」
「お姉ちゃんは、お兄ちゃんに人生決められちゃったんじゃない?」
「・・・ふふふ。」

一階
「灯里、学校大丈夫かな。」と駿輔。
「うん。
 お姉ちゃんみたいにしっかりしてくれるといいんだけど。」と隆美。
「双葉はへこたれないからな。」
「うん。灯里じゃあの頃の生活は、耐えられなかったわね。
 双葉でよかった。あの子の妹が。」

二階
口紅を手に取り見つめる双葉。
ヘリのローター音が聞こえてくる。

双葉の携帯が鳴り・・・。

草間ファーム
「おはようございます。」と健二(=文哉)。
「おぉ。ゆうべどっか出かけてたか?」と五郎。
「はい。」
「どこへ行ってた?」
「いちいち詮索しないの!」と真岐。
「いや、ゆうべお前が心配したから。」
「もう!」

「あれ?健ちゃんそれ。何これ!ちゃんと消毒した?」
健二の腕の怪我を心配する真岐。

その頃、釣り船屋に双葉が来た。
「気持ちいい朝ですね。」
「あ・・・。」
「入ってもいいですか?」
「・・・車どこ置きました?」
「あ、バスで来たんで。」
「バス?」
「色々あって引っ越したんで。今静岡で。」
「・・・」
「あのう、支出はこっちなんで。」
「え?」
「こっち。全体的に・・・。」
帳簿の付け方を直そうとし、カバンを落とす双葉。
洋貴が口紅を拾う。
「あ・・いや、それは拾ったやつで。」
「別に、加害者家族が口紅塗るななんて思ってませんよ。」
「すいません。」
「文哉から連絡来ましたか?」
「ないです!ないですないです!」
「聞いてみただけですよ。」
「・・・でも・・・」
かばんから新聞を取り出す双葉。
「わりと近くです。三日月山の。
 後姿も似た感じがあって。」
「・・・」
慌ててテレビを付ける洋貴。
ちょうど行方不明の少女のニュースが放送されていた。

「僕には今あの家の中で何が起こってるか分かります。
 時間がゆっくり流れてて、すごく静かで。
 家がピシって鳴る音あるじゃないですか、立てつけの。
 あの音だけで、いちいち家族全員が
 ビクってするんですよね。」
「やっぱり私考え過ぎですよね・・・。」
「もしこの事件の犯人が文哉なら、もしそうなら・・・
 あのこは今頃三日月山の湖に・・・。」
「・・・」
「いや。やっぱ考え過ぎ。」
「行ってみましょうか。三日月山。」
「・・・え?」

クリーニングの配送の仕事をしていた駿輔は、隆美から連絡を受け
家に戻る。
「間違いじゃないのか?」
「ううん。けさから何回も。」
「おととい引っ越してきたばっかりなのに。」
「はぁ・・・。」
電話の音。
「もしもし?」
「・・・」
電話は切れてしまう。
「30分後とに、ずっと。」と隆美。
「・・・」

声がない嫌がらせ電話。これはやっぱり響子だな。
でもどうやって引っ越し先を見つけているんだろう。
興信所を雇っているのか?


洋貴と双葉は、三日月山の湖を目指す。
「あれ?今日も持ってきているんですか?」
「ナイフですか?持ってたら何ですか?」
「いや・・・。」
「・・・何で文哉は僕の妹殺したんですか?」
「・・・」
「いや、家族じゃないですか。」
「兄は優しかったし。」
「優しいわけないじゃないですか。」
「すいません。私には優しかったんです。
 よく遊んでくれたし、私お兄ちゃん子だったし。」
「・・・ふーん。」
「・・・」

「どう思ったんすか?
 自分のお兄さんが7歳の子供を殺したって知って。」
「・・・いいじゃないですか。」
「・・・」
「・・・私は、全然あれです。10歳だったんで。
 お父さんもお母さんもあれだったから、
 何か、晩御飯の支度どうすんのかなとか、
 そんなことばっかし思ってたら、
 したら電話があって。
 お兄ちゃん自白したって。
 したらすぐいろんな人が来て、
 もうここのうちには住めませんっていって、
 私は小田原のおじいちゃん、おばあちゃんちに預けられることになって。
 靴とかも全然きついの履いちゃって。
 時間あんましなかったから何持っていっていいか分かんなくて、
 全然遊んでない人形とか何でか持って。
 お父さんとお母さん、すぐ迎えに行くからって言ったけど、
 全然来なくて。
 私は今考えたらしなくてもいいような宿題とか、ずっとやりながら待ってて。
 お父さんがテレビに出てて。
 顔は何か、モザイクっていうか、ああいうので、
 顔はよく分かんなかったけど、あの、モザイク、」
双葉が転んでしまう。
手を差し伸べる洋貴。
その手につかまろうとし、ためらい、自分で立ち上がる双葉。

「猫。猫好きですか?」
「は?」
「猫。かわいい子猫。
 私が・・・私が幼稚園の時、兄と一緒に川に遊びに行ったことが
 あったんです。
 その川をこう、ダンボールが流れてきたんですよ。
 その中に、猫の・・・捨て猫の子猫が何匹も乗ってて。
 で、お兄ちゃんそれを、川に飛び込んで助けたんです。
 でも、岸に上がったときには一匹しか残ってなくて。
 動物病院に走ったけど、着いた時にはその子も死んじゃって。
 で、私はまだよく分かんなかったけど、
 お兄ちゃんすっごいショック受けたみたいで、
 1週間ぐらい泣いてて。
 ご飯とかも食べなくなっちゃったんです。
 ホント動物大好きで、優しいお兄ちゃんで。
 テレビで貧しい国のとか見ると、お年玉募金したり、
 お年寄りには席譲るし。
 私がご飯作ったら、おいしいおいしいって言って
 いっつお食べてくれて。
 ホント、優しいっていうか。」
「・・・」
「・・・1回だけ、兄から手紙が、来たことがあったんです。」
「手紙?」
「あの日から今まで、一度も兄とは話したことないんですけど、
 1回だけ手紙が届いたんです。私宛てに。」
「両親じゃなくて?」
「逮捕されてから、1年くらいたった時。
 多分、東京の医療少年院にいた頃で。」
「どんな手紙?」
「一行だけです。一行だけ。」

『夏祭り、中止になってごめんな』

「それ一行だけ。
 あ、夏前に私、浴衣買ってもらったんですよ。
 私がすっごい夏祭り楽しみにしてるのお兄ちゃん知ってたから、
 お兄ちゃんそれ覚えててくれたから。
 だから・・・だからごめんなっていって。」
「ごめんなって?」
「・・・」
「あなた今でもお兄ちゃんのこと大好きなんですね。」
「あ・・・」
「7歳の子供の頭を金づちで何回も何回も殴って!
 手足掴んで、物みたいに湖に放り投げて!!
 冷たい湖に置き去りにした、そんな殺人鬼を!」
「違います!」
「何が違うんすか?」
「・・・いや。」
「何が違うんですか!?」
「・・・冤罪、かもしれないじゃないですか。」
「え・・」
「冤罪の可能性だってありますよね?
 たまにそういうことあるじゃないですか。
 も、もしかしたら犯人は別にいて、無実の罪なのに、」
「何言ってんの!」
「だってお兄ちゃんがあんなことするはず、」
双葉を突き飛ばす洋貴。
「何言ってんの!?あんた何言ってんの!?」
「・・・」
「クリスマス楽しかったですか?
 クリスマスケーキ美味しかったですか!?
 ・・・あんた達、あの年家族でクリスマスケーキ買いに行ったでしょ!?
 うちにはクリスマスなんてなかったです!
 クリスマスだけじゃない!
 正月も、雛祭りも七夕も誕生日もありませんでした!
 15年かずーっとありませんでした!
 でしょうね。
 やられた方は忘れられないけど、
 やった方は忘れるんですよね!
 そしたらさ、そしたらあんたも同じ目に遭わせてやろうか?
 亜季と同じ目に遭わせてやろうか!?」
双葉の首を絞める洋貴。
「じゃなきゃ分かんないだろ?
 分かんないだろ!?」
双葉が苦しそうに咳をするのを見て、洋貴は手を離す。
「・・・どうぞ。・・いいですよ。
 分かってます。うちの家族全員分かってます。
 日本中から言われてましたから。
 犯人の家族は死んで謝れって。」
「・・・」
「償って一家心中しろって言われてましたから。」
「・・・」
「死にたいって思ったことはないけど、
 生きたいって思ったこともないし。
 ・・・妹とかにも言われるんですよ。
 お姉ちゃん自分で人生選んでないねって。
 でも私、全然そんなことないんです。
 私選んだんです。
 自分で選んだ結果がこういう感じなんです。
 後悔なんかしてません。
 こういう人間の、こういう人生なんです。」
「・・・」
「どうぞ。平気ですよ。
 あなたに殺されたなんて言わないから。
 ・・って、死んだら言えないか。ふふ。ふふふ。」
そんな双葉から洋貴が離れる。
「ケーキは食べてません。
 ケーキ屋さんがくれたんで持って帰ったら、
 父に駄目だって言われました。
 多分ご覧になったのは、家族でケーキ買いに行ったところじゃなくて、
 返しに行ったとこだと思います。
 父はちゃんと駄目だって言いました。」
「・・・」

洋貴は、双葉を残してその場を去った。
残された双葉に雨が降りかかる。
「お兄ちゃん・・・。」

釣り船屋に戻った洋貴がテレビをつけると、行方不明だった少女が
無事に保護されたと速報が入る。
洋貴は双葉の携帯に電話するが応答はなかった。

草間ファーム
真岐は父親に、健二の怪我はボロボロだった悠里の自転車を修理した時に
出来たものだと話す。
嬉しそうな真岐の様子に複雑そうな父・・・。

「お前、うちのバカ娘のことどう思う?」五郎は健二に聞いてみる。
「はい?」
「いや。
 ま、何ていうか、俺も昔は悪さしてきたからな。
 その罪滅ぼしのつもりで、代々、刑務所を出所した男を雇ってきたし、
 みんなよく働いてくれた。
 根っから悪いヤツなんて、いねえんだ。
 ただね、健二。正直お前を雇うときだけは、迷った。
 事情を聴いて、何度も断ろうと思った。」
「はい。」
「いや、今となっちゃ、お前はそんなことをしてなかったんじゃ
 ないかとさえ思ってるんだ。
 ただな。ただ・・・娘のこととなると、俺は駄目だ。
 心配で、心配で。
 ・・・いや、すまんすまん。なんでもねえ。忘れてくれ。」
「社長、大丈夫です。」
「うん?」
「自分は人を思ったり、思われたりすることはもう一生ないものだと
 思っています。」
「・・・」

釣り小屋
洋貴は双葉が忘れていった口紅で、新聞誌に字を書いてみる。

その頃、遠山家では灯里が、双葉が文哉に出したが宛先不明で
戻ってきた手紙を見つけてしまう。
「何これ・・・。」

雨の山中をさまよいながら、兄のことを思い出す双葉。
(回想)
「お兄ちゃん、おかゆ。」
「置いといて。」
「食べないとお祭り行けないよ。」
「・・・」
「ねえねえ、見た?双葉の浴衣。
 すごいカワイイの。」
「・・・」
「中止になるわけないよ。」
封の開いたひなげしの種の袋を手に取る双葉。
「お兄ちゃん、これって?」
文哉は天井を見つめていた。
天井裏の蓋が少しずれているのに双葉も気づき・・・。
(回想終わり)

双葉は、湖のほとりに咲き誇るひなげしの花を見つける。
洋貴はここにいた。
双葉はそのことに気づき、号泣・・・。

『お兄ちゃん、元気ですか?
 毎日暑い日が続きますね。
 ちゃんとご飯食べてますか?
 体調どうですか?
 双葉はもちろん元気です。
 毎日銀座線に乗って通勤しています。
 カーナビって分かりますか?
 お兄ちゃんが子供の頃にはあまり無かったと思うけど、 
 車の道案内をしてくれる機会を作る会社に勤めています。
 十歳の双葉のことしか知らないお兄ちゃんにはちょっと
 想像つかないかもだけど、私は今では立派なOLさんなのですよ。
 化粧だって上手になったし、、スーツもなかなか似合うのです。
 写真も一緒に入れたから、ご覧ください。
 とてもやりがいのある仕事です。
 上司からも信頼されて、仲間にも恵まれ、中学、高校のときの
 友達とは今でも仲良しで、よくご飯を食べに行くんです。
 三崎さんといると楽しいね、とよく言われます。
 そういう時、双葉は決まってこう答えるのです。
 私、お兄ちゃん子なもんで、似てるんですよって。
 お父さんもお母さんも元気ですよ。
 お父さんは今もあの時計工場で働いていて、
 今年はついに部長さんになりました。
 お母さんは、ずっと習ってきたパッチワークの腕を生かし、
 生徒さんたちに教えるようになりました。
 それから、妹の灯里。
 灯里はお兄ちゃんのことが大好きです。
 一度も会ったことないのになぜかって?
 もちろん私がお兄ちゃんのことを毎日話して
 聞かせているからなのです。
 みんな、お兄ちゃんの帰りを待ってますよ。
 お兄ちゃんがただいまって言って帰ってくるのを、
 心待ちにしています。
 何にも心配なんかしなくていいから。
 真っ直ぐおうちに帰ってきてください。
 待ってるよ。双葉はちゃんと。
 ちゃんと今でも、お兄ちゃんの無実を信じています。
 追伸、そこに窓はありますか?
 困った時は朝日を見るといいですよ。
 双葉はいつもそうしています。
 朝日を見ると、生きる希望が湧いてくるのです。
 双葉』

手紙を読んだ駿輔と隆美は、未だに文哉の無実を信じ、家族一緒に
暮らしたいと願う双葉の思いを知る。

洋貴が湖に戻ってきた。
「寒いでしょう?」
「・・・」
「帰ったら?
 今頃こんなところ来たって、何の証拠もないですよ。」
「・・・」
「あなたが無実だって言い張ったって、」
「兄です。」
「はい?」
「犯人はお兄ちゃんです。」
「・・・」
「亜季ちゃんを殺したのはお兄ちゃんです。」
「何で?」
「私、お兄ちゃんと、溺れた猫のお墓に、たくさんお花を植えたんです。
 赤い花を植えたんです。
 ヒナゲシの花です。
 ごめんなさい。
 ごめんなさい。
 ごめんなさい・・・。」
「・・・謝るのとか、そういうのいらないし。」
「お兄ちゃんはまた、人を殺すかもしれません。
 お兄ちゃんは殺人鬼なのかもしれなくて・・・。」
「言い過ぎました。それは僕は、考え過ぎてたのかもしれないし、
 分かんないし・・・。」
「分かるんです。」
「どうして?」
「・・お兄ちゃん私を殺そうとしたことがあったから。」
「・・・」
双葉は文哉に首を絞められそうになったことを思い出したのだ。
「あの時私が死んでれば、亜季ちゃんは殺されずに済んだかも
 しれない・・・。」
「・・・」

草間ファーム
悠里の自転車を修理する健二(=文哉)。
「健ちゃんって不思議だよね。
 私より年下のくせに、何か、いろんなこと知ってる気がする。
 ねえ、ここに来る前はどこにいたの?」と真岐。
「・・・」
「ねえ。」
「・・・」
健二の髪に触れようとする真岐。
その腕をつかむ健二。
「・・・危ないですよ。」
「・・・」
真岐は健二を引き寄せキスをした。
真岐を突き飛ばす健二。
「あ・・。」
健二は無言でその場を去る。

スーパーから出てくる双葉を待つ洋貴。
「あの、本当にすみませんでした。
 じゃ、私はここで。」
「お祭り、近いみたいですね。」
「はい。」
「・・ちょっと寄ってみましょうか?」
「・・・」

「その浴衣、もう持ってないんですか?」
「持ってないです。あっても、こんなちっちゃい。」
「そうですか。」
「・・・あのう。」
「なんか、よくわかんないんです。
 文哉はあの頃友達だったし。
 友達だった時のことしか知らないし。
 あなたが、優しいお兄ちゃんだった時のことしか
 知らないのと同じような感じで。」
「・・・」
「あなたのことも、普通に恨んだりできたらいいんだけど。
 全然・・・そういう・・・あれなふうに、見れないし。」
「・・・」
「あのう、話変わりますけど、去年ワールドカップ見ました?」
「はい?」
「ワールドカップ。サッカーの。」
「あ、バイト先のテレビで映ってました。」
「遠藤選手、分かります?」
「金髪の人ですか?」
「それ本田選手です。」
「・・・」
「遠藤選手が、すごいフリーキック決めたんです。
 選手たちが抱き合って、日本中がやったー!ってなって。」
「バイト先もそんな感じでした。」
「やった!って、あなたもなりました?」
「なってません。」
「僕もなってません。
 そこは、そこんところは同じですね。あんま変わんないんですね。
 被害者の家族と、加害者の家族なのに。」
「・・・」
「僕ら・・・」
「僕ら?」
「・・・この先、ああいうのってあるんすかね?」
「ああいうの?」
「やった!って思って、こう、ガッツポーズしたり。」
ガッツポーズの真似をし、笑い合う二人。

その時、洋貴は浴衣を着た響子に気づく。
響子も二人に気づき・・・。




殺人者の妹と、被害者の兄。
第一話で洋貴たちが遊びに来たとき双葉がムッとしていたのは
大切なTシャツにミートソース飛ばされたことがあったからなのか。

兄の事件後、重いものを背負うことになった三崎家の人々。
双葉は深見家の人たちにいつか許してもらえることを望んでいる。
でも、それを望んじゃ駄目だと父。
「加害者家族の言葉は何も伝わらない。」
この言葉にたどり着くほど駿輔たちは拒絶され続けた。

もし文哉が帰ってきたら・・・。
双葉は兄の冤罪を信じ、文哉に手紙を書いていた。
駿輔と隆美は、文哉を受け入れることが出来るのでしょうか?


記憶が全て正しいとは限らない。
事件の年のクリスマス、加害者家族は楽しいクリスマスを
過ごしていると思っていた。
でも実際は、貰ったケーキを返しに行くところだった。

クリスマス、正月、雛祭り、七夕、誕生日、
被害者家族がお祝い出来ないのだから、
加害者家族も全て我慢してきた。
化粧もせず、贅沢をせず、そういう道を選んで生きてきた。


双葉は文哉の優しさを語っていました。
動物に対しての優しさ。
弱者に対する優しさ。

双葉が幼稚園の時、川に流されていた子猫を助けようとした文哉。
助けられず、1週間ぐらい泣き続けた。

その後二人は、子猫たちのお墓にひなげしの花を植えていた。
殺害現場にも、同じ花が咲いていた。
兄が犯人。兄がそこにいたのだ。
鮮やかな赤い色と、雨と湖。
兄の冤罪を信じようとしてきた双葉が、真実を知った時の映像が
とても美しかった。その美しさが悲しかった。

それと同時に、双葉は兄に殺されそうになったことを思い出しました。
あまりの恐怖に封印してしまっていたのでしょうか?

優しいはずの文哉が、なぜ妹の首を絞め、亜季の頭を金づちで
何度もたたいたのか。
何がきっかけでキレてしまうんだろう。


ワールドカップに「やった!」という気持ちになれなかったと洋貴。
「そこは、そこんところは同じですね。あんま変わんないんですね。
 被害者の家族と加害者の家族なのに。」
二人はそこに共通点を見つけることが出来た。

加害者家族は被害者家族をほんの少しだけでも許すことで、
被害者家族は加害者家族にほんの少しだけでも許されることで、
何かが変わっていくのでしょうか。


響子は登場してからまだ一度も笑っていませんね。
娘の死。夫の暴言。加害者家族の幸せそうな姿。
響子の心の傷は相当深い。
加害者家族につきまとうことで、何とか命を繋いでいるのかも。
日垣誠次は響子の支えとなっていくのでしょうか?




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小田和正「東京の空」


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気になるセリフ:
第一話の回想シーン
「フランダースの犬って、何のためにあるの?
 ネロはさ、お父さんもお母さんもいなくて、いじめられたり、
 騙されたりして。最後には死んじゃうのよ。犬も一緒に。
 何のためにこんな悲しいお話があるの?」
「何のためって?」
「ネロは、生まれない方が良かったんじゃない?
 お兄ちゃん、どう思う?」



キャスト

深見 洋貴(瑛太)
遠山(三崎)双葉(満島ひかり)
雨宮 健二(風間俊介)※三崎文哉
日垣(深見)耕平(田中圭)
草間 真岐(佐藤江梨子)
遠山(三崎)灯里(福田麻由子)
日垣 由佳(村川絵梨)
藤村 五月(倉科カナ)
臼井 紗歩(安藤サクラ)

深見 達彦(柄本明)

日垣 誠次(段田安則)
草間 五郎(小野武彦)

遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)
三崎 駿輔(時任三郎)
野本(深見)響子(大竹しのぶ)



スタッフ

脚本
坂元裕二
音楽
辻井伸行
主題歌
小田和正「東京の空」
プロデュース
石井浩二
演出
永山耕三
宮本理江子
並木道子
制作
フジテレビドラマ制作センター

公式HP



瑛太さんの主な出演作品




満島ひかりさんの主な出演作品




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