2011年08月01日

それでも、生きてゆく 第4話

『明かされた真実…』

深見洋貴(瑛太)は、遠山(三崎)双葉(満島ひかり)と彼女の家族が
事件当時に住んでいた家の跡地で果物を見つける。
それは、東京で2人が雨宮健二=三崎文哉(風間俊介)見た時に、
彼が残していった果物と同じ。
洋貴は文哉がつい最近ここに訪れたことを確信するが、双葉は否定的だった。

ファーム
「三崎文哉さん。」と紗歩。
「・・・」
「小野って人に訓練センターで会いませんでした?
 ここにほくろのある。
 あれ元カレなんですよ。
 何でもペラペラしゃべるし。
 友達ボコってまた刑務所入ったんで別れましたけど。」
「・・・」
「ねえ!中学んとき小学生の女の子殺したんでしょ?
 どうだった?」
「・・・」

洋貴と双葉が釣り船屋に行くと、野本(深見)響子(大竹しのぶ)が来ていた。
「あれ何?何か、忘れ物あった?」と洋貴。
「こんばんは。」と双葉。
「・・・こんばんは。」
「あ、良かった。これ、この間のストール。
 ありがとうございました。」
「・・・」
「亜季の調書、彼女も一緒に探してくれたんだよ。」
「いや、私は全然。
 あのう、一緒に行っただけで何にも。」
「お礼にご飯奢ろうと思ったんだけど、どこも休みで結局。
 あ、母さんも、晩飯食ってないよね?」
「・・・あれ。あなたも読んだの?」と響子。
「・・・はい。読みました。」
「・・・あっそう。」
「良かったですね。」
「何が良かったの?」
「・・・」
「ごめん。」
「いや、ごめんなさい。私が無神経なこと。」
「・・・双葉ちゃんでしょ?」
「・・・」
「さっきお宅へ行って、お父さんとお母さんに会ったわ。」
「・・・」
「会いたくなかったな。」
「・・・」
双葉が帰っていく。

「何で、気づかなかったのかな。
 ずいぶん大きくなったし、
 美人さんになったし。」と響子。
「・・・覚えてんの?」と洋貴。
「うん。
 亜季と、遊んでくれたことあったもん。」
「・・そうなんだ。」
「亜季が、年中さんの頃かな。
 彼女、ほらあれ。あれ、ほら。」
「え?」
「こういう、人。あの・・・ああっ。」
「何?」
「あのう、こういう人。こう、野球の。」
「野茂?」
「ハハ。そう。野茂さん。
 彼女、亜季に野茂さんの真似してくれたの。」
「何で野茂の物真似?」
「亜季喜んでたよ。野茂さん見て。」
「・・・へー。」
「あの家に・・・あの少年はいないのよね。」
「捜しもしてないって、あの親。」
「・・・あの人、今もいい時計してたな。」
「時計?」
「昔、あのうちの家族と、お店で一緒になったことあったじゃない。
 お父さん、亜季にお酌されて、嬉しくて、酔っ払ってて。
 あのご主人に話しかけたの。」
「へえ。」
「あのご主人、町で、誘致した時計工場の課長さんだったから、
 どこでも目立ってて。」
「エリートっぽい?」
「うん。感じだったから。
 お父さんの気安いのが、嫌だったみたい。
 大学は?とか、 年収は?とか。
 お父さんの、スナックの、開店1周年記念の、
 安物の腕時計見て、がんばってくださいよって、肩叩いて。
 お父さんヘラヘラ笑ってたけどね。」
「・・・」
「あの時、あの子もそういう顔してた。」
「・・・はっ。文哉?」
「・・・」
「何でだろう。自分の父親に。」
「・・・会ってっていい?」

仏壇に手を合わせる響子。
「お父さん。足崩すよ。」
「一番安いやつ。」
「ふふっ。
 いいのよ。お父さん、かしこまってるの苦手だし。
 もともと、骨壷みたいな顔だったじゃな。」
「フフ。ひどいなぁ。」
「だってこの人、最初のデートの時、どこ連れてったと思う?
 お母さん、お洒落してったのに、書道展よ。
 書道展はないでしょう。ねえ?
 帰り際に、なんて言ったと思う?
 あ、どうも。ご苦労様でした。
 ふふっ。二度と会うもんかって思った。
 ・・・お父さん、最期何て?」
「文哉のこと捜そうとしてた。」
「・・・そう。
 ご苦労様でした。」

三崎(遠山)家
双葉は朝食の席で家族に話し始める。
「・・・昨日さ、深見亜季ちゃんのお母さんうちに来た?」
「・・・」
「昨日亜季ちゃんのお母さんから聞いた。
 ハハハ。言うの忘れてたんだけどさ、私あれなんだよあれ。
 最近結構何回か、深見さんのご家族と会ってるんだよね。」
「・・・」
「大丈夫だったの?」と灯里(福田麻由子)。
「なんか、いい人たちだったよ。
 お父さんさ、私、」

「間に合わないんじゃない?ほら。用意したら?」と隆美(風吹ジュン)。
「もしかしてまた引越し?」と灯里。
「大丈夫よ。」
「警察に言おう!」
「何で警察に言うのよ。」と双葉。
「だって無言電話は法律違反でしょ?
 捕まえてもらった方がいいよ。
 そしたらうちも安心して。」
「うちは安心しちゃダメなのよ。加害者なんだから。」と双葉。
「灯里には関係ないの。
 灯里には生まれる前のことだから。」
「・・・お父さんもお母さんもさ、あの人達に会ったほうがいいと思うよ。
 15年もちゃんと謝ってないんでしょ?」
「灯里、学校!」
「会ってもらえなかったんだよ。」と駿輔(時任三郎)。
「何回行ったの?」
「何回も行ったよ。」
「何十回も行ったほうが良かったんじゃない?
 何百回でも何千回でも行ったほうが良かったんじゃない?」
「今さらそんなことして、賠償金請求されたらどうすんの?」と灯里。
「もう8時よ。ほら。」と隆美。
「ヤバっ!
 お母さん、プリントサインしてくれた?」
「うん。カバンの中に入れた。
 お父さん靴洗ったから、もう1個の履いてって。」
「ありがとう。」

娘たちの部屋
「面接か。乗ってく?」と駿輔。
「うん。」
「・・・」
部屋に日向夏が置いてあることに気づく駿輔。
「知ってるの?」と双葉。
「ああ。日向夏だろ?」
「日向夏っていうんだ。」
「うん。
 東口でいいか?」
「お父さん。」
「うん?」
「お兄ちゃんが今どこにいるか何か知ってるんじゃないの?」
「・・・」
「これ、松見台のおうちで見た。
 私お兄ちゃん見たの。東京で見た!
 声掛けたんだけど、すぐいなくなっちゃって。」
「声、掛けたのか?」

「お父さん。お弁当!」と隆美。
「・・・ありがとう。」
「相手の目見て、ほら、姿勢よく!
 いってらっしゃい。」
「いってきます。」
隆美は笑顔で二人を送り出すが、車が走り去ると不安そうな
表情を浮かべ・・・。


「ありがとう。」
「双葉。
 文哉に会ったこと、お母さんと灯里には言うなよ。」
「うん。」
「それと・・もう二度とあのうちの人達には会うな。」
「・・・」
「お父さんお前のこと心配して言ってんだよ。
 お父さん達はあの人達に恨まれてる。
 もしも、」
「恨んでるのとは違うよ。
 あの人達は、本当のことが知りたいんだよ。
 お父さんがどう思ってるのか、
 お母さんがどう思ってるのか
 本当のことが知りたくて知りたくてしょうがないんだよ。」
「それはお前の勝手な、」
「思い込みじゃない。
 だって私もお父さんが何考えてるか分かんないもん。」
「・・・双葉!
 お父さん、文哉に会ったことがある。」
「・・・」

釣屋
「ほら。」
チャーハンにソースをかけようとする洋貴。
「あ、いらないいらない。
 ねえ、もうちょっとさ、カナダっぽくリフォームするなりしたら
 お客増えるんじゃないの?」と耕平(田中圭)。
「そんな金。」
「犯人の家族見つけたんなら賠償金もらえばいいじゃん。」
「・・・」
「嫌味だよ。何で今さらそんな人達と関わってんのって。」
「別に。」
「無駄だよ。こんなもんなんだって。
 争いに、正しいも悪いもない。
 どっちもが正しいと思ってるんだって、ドラえもんだって言ってたろ?」
「ドラえもん?」
「記念すべきてんとう虫コミックス第1巻第8話、
 ご先祖様がんばれの回だよ。」

洋貴の電話が鳴る。藤村五月(倉科カナ)からだ。
「はい、もし・・もしもし。
 はい、ええ。はい。
 どうもありがとうございました。
 はい。ええ。はい、ぜひ。
 ぜひいらして。」

公園で話す駿輔と双葉。
「3年前、お父さんタクシーの仕事に慣れた頃で。
 東京の、青山のケーキ屋の前で、
 後ろ姿のこう、感じですぐ分かった。文哉だって。
 大人の顔になってた。
 相変わらず細い体で、荷物一生懸命運んで。
 汗流して、真面目に働いてた。
 で、お父さん、タクシーから降りて。」
「うん。」
「何て声をかけようかって。」
「うん。」
「・・・とにかくこのまま、文哉がなんと言おうと、
 このままうちに連れて帰ろうと思って。
 ・・・でもお父さん、声掛けなかった。」
「え?嘘。何で?」
「近くのうちから、カレーの匂いがした。
 前の晩、灯里が初めてカレー作ってくれたこと思い出した。
 お前と、お母さんとみんなで食べて。
 少し甘いよとか、上出来だよとか、そんなこと言い合って。
 それでもみんなお代りして。
 最後には、空っぽになった鍋覗き込んで、
 嬉しそうにしてた灯里の顔を思い出して。
 お母さんも、双葉も、灯里もみんな笑ってて。
 今文哉に声をかけたら、その笑顔が消えてしまうんじゃないかと思った。
 守ってきた家族が壊れてしまうんじゃないかと思った。
 ・・・お父さん、そのままうちに帰った。
 お前たちがいた。
 お父さんほっとして、またお前たちと晩御飯食べた。」
「何で?何で?」
「お父さん、家族を守るために、息子を捨てたんだ。」
「・・・」
「文哉が逮捕されてからの1週間で、
 お母さんの髪は真っ白になった。
 おなかには灯里もいて。
 もう駄目なんじゃないかと思った。
 でもお母さん頑張ったよ。
 頑張って頑張って、こんなお父さんと一緒にいてくれた。
 お前たちの母親でいてくれた。」
「お兄ちゃんもじゃない。
 お母さんはお兄ちゃんのお母さんじゃない!」
「・・・お父さんが悪いんだ。」
「お兄ちゃんだって家族でしょ?」
「文哉は人を殺したんだ、人を!」
「・・・」
「分かってくれ。」
「・・・分かんない。
 ひどいと思う。
 親じゃないと思う。」
「・・・」

ショックを受けた双葉は、洋貴のもとへ。
洋貴は桟橋を直していた。
草をむしり、洋貴の方に投げる双葉。
「・・・いつからいたんですか?」
「あの、深見さん。」
「・・何すか?」
「あのう・・・お母さん。」
「それいいです。」
「いや、でも・・・。」
「・・・好きな野球選手いますか?」
「はい?」
「好きな野球選手。」
「野茂選手です。」
「・・・物真似出来ますか?」
「いえ!出来ませんよ。
 何でですか?」
「いや。・・・とにかく母のことはもういいんで。」
「・・・はい。」
「・・・」
「今日、お客さんいないんですね。」

水面に浮かんだボートの上で、洋貴と双葉は2人だけの空間に浸る。
「こうするといいよ、とかないんですか?
 何か、教えてくれる的な。」
「ああ、無理っす。自分釣りやらないんで。」
「・・・珍しいですね。携帯いじって。」
「あの人からさっき電話あって。またかけ直すって。」
「あの人?藤村五月さんですか?東京で会った。」
「何であの人で分かったんすか?」
「え?深見さん今照れた感じであの人って言ったんで。」
「照れた感じで言ってませんよ。」
「じゃあいいです。」

「こういうところにいると、世界中何も悪いことなんか
 何にもないような気がしてきます。」
「悪いこと、何にもですか?」
「過去も未来も世界中、何にも。
 悪いこと、怖い夜も何にも悪いことなしで。」
「うーん。
 そう言われると、そういう気してきますね。」
「でしょ?」
「じゃあれっすか?
 遠山さんも、普通の女の人ですね。」
「深見さんも、普通の男の人。」
「僕ら普通のあれですか?」
「普通のあれですね。」
「・・・それもいいっすね。」
「いい、かな。」
「まあ。」
「まあ、ね。」
「変な想像してしまいますね。」
「してしまいますね。
 このままずっと・・・。」
「・・・でもそれって、亜季もいなかったことになりますよね?」
「・・・ですね。」
「・・・」
「あ。あの果物の名前分かりました。
 日向夏です。」
「日向夏?」
「父が知ってました。」
「じゃあやっぱり!」
「父は、居場所は知らないと言っています。」
「いや、でも嘘かも。」
「嘘じゃないと思います。」
「どうして?」
「妹はお母さんっ子で、私は、ずっとお父さんっ子で。
 分かるんです。あ、この人目瞑ってるなって。」
「・・・」
「大事なことから目瞑っていると・・・
 何か、こういう目になるんだなって。
 何か、なんとなく、分かったんです。
 人って、逃げてばっかりいると、命より先に目が死ぬんだなって。」
「・・・」
「かわいそうなお父さん。」

洋貴の電話が鳴る。
「あ!あの人からじゃないですか?」
動揺した洋貴、携帯を池に落としてしまい・・・。

洋貴が遠山家の近くまで双葉を送って別れると、駿輔の車が来る。
洋貴が後をつけると、駿輔は遠山家があった空地へ。

駿輔が洋貴に気づく。
「深見、です。」
「・・・ご無沙汰しています。」頭を深く下げる駿輔。

洋貴と駿輔は喫茶店へ。
「・・・あのう。本来なら、お宅に伺って、正式に謝罪すべき
 ところなんですが・・・。」
「そういうんじゃなくて。
 何かそういう、決まった感じのことじゃなくて。
 ・・・あなたが知ってることを聞かせてほしいんですけど。」
「はい。」
「はいじゃなくて。」
「・・・すいません。逮捕以来息子とは会ってないもんで。
 当時、面会も拒否されてましたから。」
「どうしてですか?」
「・・・私に、会いたくなかったんだからだと思います。」
「どうしてですか?」
「・・・」
「だからって、それで、ずっとほったらかしですか?」
「すいません。」
「すいませんとかいいんで。
 ・・・文哉は何で亜季を殺したんですか?
 自分がしたことを、今どう思ってるんですか!?」
「・・・分かりません。」
「あなた父親ですよね!?」
「すいません。」
「だからすいませんとかじゃなくて!
 何なんすか!?
 全然何か、他人ごとみたいに。」

「あんた三崎さんか?三崎さんよね?
 分かる?香本。」
店にいた客・房江が声をかけてくる。
「・・・ご無沙汰しております。」
「帰ってきた?」
「いえ・・。」
「ひろ君?」
「え?」と洋貴。
「お修二の。
 ひろ君でしょ?亜季ちゃんの。
 何でこの人といるの!?」
「ちょっと・・。」
「ネクタイも締めんでよく会えるわね。」
「・・・」
「分かってるの!?
 お宅の息子、あんな可愛い女の子殺したのよ!?
 よく生きていられるわ。」
「・・・」
「お宅昔から偉そうだったもんね。
 いいの?この人こんな態度で。」
「いや・・・。」
「頭下げなさいよ!
 手突いて謝りなさいよ!」
「いや、そういうあれじゃ。」と洋貴。
「・・・」
「聞いてるの!?黙ってないで何とか言いなさいよ!!」
房江の怒鳴り声に、駿輔はその場に土下座する。
「人殺し!
 亜季ちゃん返してあげなさいよ!!」

土下座する駿輔に洋貴は言葉をかける。
「・・・やめてください。」
「・・・」
「やめてください。」
「・・・」

商店街
「また、改めて謝罪に、伺います。
 お母様にも、お会いして。」
「ここのたこ焼きでよく、文哉とたこ焼き食べながら
 宿題して・・・たまに将来の話とかしました。」
「・・そうですか。」
「そこで一緒に、スニーカー買いました。
 あそこでCD借りました。」
「・・・」
「当時僕ら、友達だったんで。」
「はい。」
「・・・あのう。
 文哉、殺してもいいですか?」
「・・・」
「まあ、どこにいるかわかんないし、仕事あるし、
 漫画も読みますけど。
 たぶん、殺す時が来たら、
 たぶん殺すと思います。」
「・・・」
「あなたが文哉捜す気ないみたいだし。」
「・・・」
「・・・僕の死んだ父は、ちょっと駄目なところのある父でしたけど、
 でも最後は何ていうか・・・覚悟してました。
 たぶん、どう生きるかずっと考えてて、
 どう死ぬかずっと考えてて、
 最後は覚悟しました。
 すごく悲しいこととか、恐ろしいこととか理不尽なこととか。
 そんな、逃げ出したくなるようなことと、
 最後は向きあう覚悟をしました。
 僕は、そんな父を、最後の最後に尊敬しました。」
「・・・」
「彼女もお父さんっ子かなって言ってました。」
「双葉、ですか?」
「あいつも言ってました。
 あのたこ焼き屋で。
 まあどっちかっていうとお父さんっ子かなって。」
「・・・」
「そういう。そいう感じなんで。」
「・・・」
洋貴が立ち去る。

釣り船屋に洋貴が戻ると、連絡が途絶えたことを心配した藤村五月が
来ていた。
「えっ!?・・・あっ。」
「よかった。」と五月。
「はい?」
「何かあったのかと思って。」

双葉が帰宅すると、父が車の中で日向夏を見つめながら考えていた。
「ただいま。」
「おかえり。」

「あ、バイト決まったよ。
 駅前に居酒屋あるでしょ。そこに。」
「ああ。そうかそうか。良かった良かった。
 ・・・お父さん、文哉に、会いたくなった。」
「・・・」
「文哉に会って、今すぐこのうちに連れて帰りたい。」
「・・・」
「正直、どうすればいいのか、何を話せばいいのかも分からない。
 ただ・・・ただ、もう一度文哉と一緒に暮らして・・・
 もう一度一緒に飯食って、働いて、生きて。
 文哉と、二人で償っていければって思う。」
父の言葉に嬉しそうに頷く双葉。

「ただいま。」と隆美。
「おかえり。」
「ただいま。」と灯里。
「灯里がね、久しぶりにカレー作るって。」
「久しぶりじゃないでしょ。」

釣屋
「じゃあ、私そろそろ。」と五月。
「あ、送ります。車で東京。」
「遠いから。」
「どっちみち、明日とか東京行こうと思ってたんで。」
「どうして?」
「この間、お話した。
 父が犯人のことを聞いた、看護師さんです。」
「東京で会えるんですか?」
「・・・どうでしょう。」
「だったら、ちゃんと連絡してから行かないと。」
「え?」

三崎(遠山)家
夕食の準備をする隆美たち。

隆美は外で考えこむ駿輔にビールを持っていく。
「ありがとう。」
「また、あの人が来たの?」
「ああ、いや。」
「じゃあ何?何かあったんでしょ?」
「・・・カレー、食べてからにしよう。」
「今話して。」
「・・・文哉を、捜そうと思う。」

「お母さん。ニンニク最後?」灯里の声。
「最後。」

「すぐに居場所が分かると思わないけど、
 必ず見つけ出して、」

「火緩めたほうがいい?」
「そうね。」

「このうちに、連れて帰りたい。」
「・・・」
「いや、お母さんが心配なのはよく分かる。
 文哉が今、どんな人間なのかも分からない。
 でも俺を信じてほしい。」
「・・・」
「お母さん私からもお願い。」と双葉。
「・・・」

「できたよー。」
「・・はーい。」
隆美は明るい声で灯里に返事をすると、
「お父さん。頭冷やして。」
と言い、家の中に戻ってしまう。

「なんの話してんの?」と灯里。
「ううん。犬飼いたいとかそういう話。」と隆美。
「犬飼いたい?」

「そんな話はしてない。」と駿輔。
「はいはい。もうおしまい。ご飯つぐよ。」
「お母さんごめん。」と駿輔。
「いいのよ。」
「もう、決めたことだから。」
「・・・」
「俺は文哉を、捜しに行く。」
「・・・」
「何?何て・・」とい灯里。
「違うの灯里。」
「お兄ちゃんを捜しに行くんだ。」
「お兄ちゃんて、あのお兄ちゃん?」
「文哉だよ。」
「灯里の前でそんな名前出さないで。」と隆美。
「家族の名前だよ!」
「お母さん?」と灯里。
「大丈夫だから。灯里。
 母さんそんなの認めないから。」
「分かってる。灯里も心配だと思う。
 だから、ゆっくり時間をかけて話し合って。」
「話し合ったって答えは同じよ。」
「隆美!」
「大丈夫よ灯里。大丈夫だから。
 そんなの、絶対許さないから。
 何のために15年頑張ってきたのよ?
 何のためにこの家守ってきたのよ?」
「守れるよ!これからだって守れる!」
「この家に人殺しは入れません!」
「・・・」
「7歳の子供を、女の子を殺したの。
 まともな人間じゃないの!何をするか分からないの!」
「・・・」

「お母さん。」と双葉。
「まともじゃないの。まともじゃないのよ!」
「お兄ちゃん家族だよ。」と双葉。
「家族なんかじゃない!」
「私たちがう家入れるしかないんだよ。」と双葉。
「無理!」

「お母さん?」と灯里。
「大丈夫。」
「お父さんの話聞いてあげよう。」
「えっ・・・」
「私だって、嫌だよ。怖いし。」
「いいのよ。ね?いいの。あなたは黙ってなさい。」
「でもお姉ちゃんの言うとおりだよ。
 お兄ちゃんはお兄ちゃんだし、家族は家族だし。
 しょうがないじゃん。」
「・・・」

「分かった。ありがとう。
 この話はまた今度にしよう。
 せっかくカレー作ってくれたんだもんな。
 ごめんごめん。
 とにかく食べよう。なっ。」と駿輔。
「・・・」
「じゃ、ご飯入れよう。」
「あっため直そうか。」と双葉。

「お母さん、カレー食べよう。」と灯里。
「灯里、違うの。」
「うん?」
「あのお兄ちゃんはね・・・。」
「隆美。隆美!?」
「母さんの子供じゃないの。」
「・・・」
「あの子はね、母さんが産んだ子供じゃないの。」
「・・・そうなの?」
「そうなのよ。だからあなたは何にも。」
「えっ?じゃあ、何?
 誰がお兄ちゃんのお母さんなの?」
「そんなこといいじゃない。」
「お姉ちゃん分かる?」
「もういいから。ねっ?ただそれだけのことよ。」

「・・・あれ?」と双葉。
「とにかく・・・」
「わ、私は?」
「・・・」
「私はどっち?」
「何言ってんのよ。
 ・・・双葉は、母さんの・・・」
「うん?」
「・・・あ・・ああ・・。」
泣き崩れる隆美・・・。

「双葉。」と駿輔。
「あ・・違う違う。いいよいいよ。」と双葉。
「双葉、これは・・。」
「あ、大丈夫。落とさないから。
 お父さんちょっとごめん。カレー置くし。
 ・・・参っちったな。ヘヘ・・。
 あ・・火、付けなきゃ。」

釣屋
「お父さんのことよく覚えていらして、
 力になりたいとおっしゃってます。」と五月。
「はっ、そうですか。」と洋貴。
「ただ、この方は、犯人の直接の担当じゃなかったそうです。
 別の看護師の方がいたそうです。」
五月が洋貴に携帯を渡す。
「はい、もしもし。
 はい、はい、息子です。
 いえ、こちらこそ父がお世話に。
 はい、はいそうです。
 その担当されてた看護師の方にお会いしたいの、・・はい?
 行方不明ですか?」

その頃、文哉は自分の過去を知る臼井紗歩(安藤サクラ)を
果樹園から連れ出していた。
文哉の運転するトラックの荷台には、大きなシャベルが積まれていて…。

釣屋
「あの、行方不明って?」
「担当の看護師で、東雪絵さんという方がいらして。」
「ええ。」
「文哉が退院してしばらくして何か・・
 突然行方不明になったって。
 どういう意味っすかね・・・。」

三崎(遠山)家
双葉がいなくなったことに気づいた駿輔は、双葉を必死に探す。

橋の上
日向夏を見つめながら兄のことを思う双葉。

(回想)
双葉の手を取り森の中を歩く文哉。
「お兄ちゃんと双葉は、同じだよ。
 夜を見たんだ。」
「夜?」
「同じ夜を見たんだ。」
「・・・」
(回想終わり)

双葉は野茂のフォームで日向夏を放り投げる。
「・・・野茂出きた。」




加害者家族と被害者家族。
被害者家族は加害者家族に会いたくないだろうし、
謝罪も受け入れられない。
でも会ってくれないからと諦めてしまうのは、逃げていることに
なるのかもしれない。


第4話は、まさかの展開に驚きました。

「灯里には関係ないの。
 灯里には生まれる前のことだから。」

灯里、灯里って隆美が気を使いすぎることを不自然に思っていたけれど、
まさか、文哉が、双葉までもが隆美の子ではなかったなんて・・・。

髪が真っ白になってしまう程ショックを受けたのは、
文哉のことも双葉のことも実子として可愛がってきたからだと思う。
それが裏切られてしまった。
新しく生まれてくる命、愛しいわが子を守るために
文哉に背を向けてしまった。

そして駿輔は、隆美に遠慮して、文哉から目を背けた。

文哉が生まれたとき、隆美、26歳、駿輔、25歳。
双葉が生まれたとき、隆美、30歳、駿輔、29歳。
灯里が生まれたとき、隆美、40歳。駿輔、39歳。

文哉だけでなく双葉までもが連れ子だとすると、
隆美と駿輔が結婚した記憶は文哉にはある。
本当の母親の記憶も残っているかもしれない。
実の母に捨てられた記憶が・・・。
それが、文哉の言う『同じ夜』なのかも。

森を手をつないで歩く双葉と文哉の回想シーン。
ちょうど文哉が双葉を殺そうとしたのも、同じ時期と思われます。
隆美の妊娠を知った時期とも考えられる。

捨て猫を救った文哉は、親に捨てられた気持ちがわかるから。
彼は親に捨てられた時の辛い想いを覚えていて・・・。

隆美という優しい母を得た文哉だったけれど、
人を殺してしまったことで、新しい家族にもまた捨てられた。
人を殺した罪と、家族に捨てられた悲しみを背負いながら今生きている。

そんな文哉に、駿輔がやっと向きあおうとしています。
灯里が生まれる前、双葉や文哉、隆美と暮らす駿輔は、
エリートで、人を見下す態度を取っていた。
響子だけでなく、近所の主婦もそう感じていたのでこれは事実。
そんな父親を文哉は軽蔑していたとするなら、
父と子は初めて向き合うことになるのかも。

五月の存在が気になります。
洋貴に行為を寄せているだけ?
五月の母親の死と行方不明の看護師が関係している?



ランキングに参加中!応援クリックよろしくお願いいたします。
人気blogランキング    TV Drama Ranking



主題歌
小田和正「東京の空」
どーも
どーも小田和正

潟Aリオラジャパン 2011-04-20
売り上げランキング : 93


Amazonで詳しく見る
by G-Tools



それでも、生きてゆく オリジナル・サウンドトラック
それでも、生きてゆく オリジナル・サウンドトラック辻井伸行

avex CLASSICS 2011-08-10
売り上げランキング : 246


Amazonで詳しく見る
by G-Tools




それでも、生きてゆく (瑛太 出演) [DVD]
それでも、生きてゆく (瑛太 出演) [DVD]

売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools



気になるセリフ:
第一話の回想シーン
「フランダースの犬って、何のためにあるの?
 ネロはさ、お父さんもお母さんもいなくて、いじめられたり、
 騙されたりして。最後には死んじゃうのよ。犬も一緒に。
 何のためにこんな悲しいお話があるの?」
「何のためって?」
「ネロは、生まれない方が良かったんじゃない?
 お兄ちゃん、どう思う?」

第4話(響子と洋貴)
「あのご主人、町で、誘致した時計工場の課長さんだったから、
 どこでも目立ってて。」
「エリートっぽい?」
「うん。感じだったから。
 お父さんの気安いのが、嫌だったみたい。
 大学は?とか、 年収は?とか。
 お父さんの、スナックの、開店1周年記念の、
 安物の腕時計見て、がんばってくださいよって、肩叩いて。
 お父さんヘラヘラ笑ってたけどね。」
「・・・」
「あの時、あの子もそういう顔してた。」
「・・・はっ。文哉?」
「・・・」
「何でだろう。自分の父親に。」

第4話(回想シーン)
「お兄ちゃんと双葉は、同じだよ。
 夜を見たんだ。」
「夜?」
「同じ夜を見たんだ。」
「・・・」





キャスト

深見 洋貴(瑛太)
遠山(三崎)双葉(満島ひかり)
雨宮 健二(風間俊介)※三崎文哉
日垣(深見)耕平(田中圭)
草間 真岐(佐藤江梨子)
遠山(三崎)灯里(福田麻由子)
日垣 由佳(村川絵梨)
藤村 五月(倉科カナ)
臼井 紗歩(安藤サクラ)

深見 達彦(柄本明)

日垣 誠次(段田安則)
草間 五郎(小野武彦)

遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)
三崎 駿輔(時任三郎)
野本(深見)響子(大竹しのぶ)



スタッフ

脚本
坂元裕二
音楽
辻井伸行
主題歌
小田和正「東京の空」
プロデュース
石井浩二
演出
永山耕三
宮本理江子
並木道子
制作
フジテレビドラマ制作センター

公式HP



瑛太さんの主な出演作品




満島ひかりさんの主な出演作品




この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。