2011年08月12日

陽はまた昇る 第4話

『女子寮の指紋』

プールでの訓練後、訓練生たちに声をかける田代教官。
「パトロール中に川で溺れた子供を見たらどうする!?
 一も二もなく飛び込んで救助するのが警察官の使命だ!
 水泳が苦手な者は、卒業までに鍛えておくように!」

遠野教壇の訓練生たちが水泳の訓練を終えると、
今度は女子学生たちの番。
女子たちに見とれる英二たちに、刈谷教官の一喝が飛ぶ!

そんな中、遠野教場の訓練生たちが使用している談話室で、
アイドルの写真集が見つかった。
「このような不謹慎極まりないものを隠し持っていたとは
 許しがたい事実!」と息巻く初任教養部長・簑島佐和子(真矢みき)。
「・・・」笑みを浮かべる遠野一行(佐藤浩市)。
「遠野、何がおかしい!」
「失礼しました。
 不謹慎極まりないというレベルには、思えなかったものですから。」
「3階の談話室で発見された。
 君の教場の学生の仕業だ!」
「・・申し訳ございませんでした。」
「この程度と甘く見てはならない。
 ・・・
 とにかく、徹底して学生たちに、自覚を叩きこみなさい。」
「かしこまりました。部長。」

教室
「これは何だ?
 寮には、訓練に関係ないものは一切持ち込み禁止だ。
 知らないはずはないな?」
「・・・」
遠野は写真集を掲げながら、咄嗟に浮かべた訓練生たちの表情を
チェックし、持ち主を一瞬にして見抜く。
「藤岡。」
「あ・・はい。」
「君の所持品だな?
 昨夜、談話室で仲間に見せた際、置き忘れた。違うか?」
「何でわかるんですか?」
「それほど驚くことじゃない。
 人間の表情は自分で思ってるよりも正直だ。」
「すみません。そばに、置いておきたくて・・・。」
「宝物は、卒業するまで預からせてもらう。
 いいな?」
「はい。申し訳ありませんでした。」
「座れ。」
「はい。」
「ではこれが、君のものでなかったらどうした?」
「え?」
「今私は、みんなの表情を観察して、君が被疑者だと判断した。
 だが、頭の中の判断には当然間違いもある。
 周囲が君を陥れるためにあえて嘘をつくこともある。
 もし、身に覚えのない罪を問われたら、君ならどうした?」
「もちろん、自分のじゃないって言います。」
「信じてもらえなかったら?」
「・・自分も、何度でも言います。信じてくださいって。」と宮田英二(三浦春馬)。
「それでも誰も信じてくれなかったら?」
「はい証拠を出せって言ってやります。」と関根尚光(南圭介)。
「そう。物証。物的証拠がなければ犯罪を認定する事はできない。
 かつて、自白に頼った捜査によって、冤罪の悲劇を生み出したことがあるからだ。
 では、物証を得るために、重要な任務を担うのは?」
「はい。鑑識です。
 指紋や足あと、血痕などの遺留品を採取します。」と湯原。
「さすがゴルゴ!」と瀬尾。
「補足するなら、遺留品を採取するだけでなく、
 科学的な分析を重ね、裁判でも有効となり得る物証にするのが、
 鑑識課の役割です。」と内山。
「さすが東大!」と藤岡。
「私から補足することはない。
 今日は、鑑識の初歩を身につけてもらう。」

グラスを用意し、訓練生のひとり・関根に指紋を付けさせようとする遠野。
ところが突然、尚光が腹痛を訴えて教室を飛び出した!
心配になった英二が慌てて追いかける。

屋上
「おーい。一体どうしたんだよ。」
「・・・もうダメだ。クビだよ・・。」
「は?なんでクビなんだよ。」
「指紋なんか押したら・・バレちゃうよ。」
「バレるって?」
「宮田・・・俺辞めたくねえよ。」
「ちょっと・・。おい。」

教室
「では今日は、私の指紋を使う。
 警視庁が、指紋による犯罪調査を開始したのは1911年。
 今からちょうど100年前だ。
 指紋は人によって異なり、年月が経過しても変化をしないという
 特性から、広く調査に用いられてきた。
 だが、科学捜査は危険もはらんでいる。
 さてどんな危険だ?」と遠野。
「はい。」と内山。
「内山。」
「科学捜査とて、絶対ではありません。
 過去にも鑑定を間違えて、別人を犯人と特定したケースがあります。」
「補足するなら絶対ではないにも関わらず、科学捜査は確実に
 真実を導けると思ってしまう。
 それこそが危険だと思います。」と湯原。
「おぉ〜。」と一同。
「そこまでは誰でもわかる。
 問題はその先だ。
 真実の先には何があるか?」
「・・・」
「二人一組でやってみろ。」
「はい。」

教官室
遠野の携帯が鳴る。

病院
公衆電話の受話器を置く安西雄哉(ARATA)。

犯罪者・安西と逃避行中の遠野の妻・奈津美(斉藤由貴)は体調を崩し、
入院していた。

病室
「よくお休みですよ。
 抗生物質が効いて熱も下がってきました。」と看護師。
「ありがとうございます。」
「・・・あの、奥様の保険証まだでしょうか。」
「・・・すみません。あとで、持ってきます。」
「早目にお願いします。
 ゴミ、処分しておきますね。」
「はい。」

病室を出た看護師は、ゴミ箱を刑事に渡す。
刑事は安西が持っていたペットボトルをビニール袋に移し・・・。

屋上
「俺・・・パクられたことあるんだ。」と関根。
「いつ?」
「高校の時。
 かっこつけて不良やって・・・。
 ケンカ、恐喝、飲酒。
 高校も退学になった。」
「え?少年院入ったの?」
「そこまでは。」
「なんだよ。脅かすなよ。」
「でも・・・補導された。」
「そう。」
「その時に、少年課の刑事が優しくしてくれて、
 それで警察官になろうと思って、
 2年掛かって、夜間の大学に入ったんだ。」
「偉いじゃん。
 俺なんか、何も考えないで大学入ったし・・・。」
「でも、補導歴がバレたら終わりだよな?
 自業自得だよな。」
「自業自得とは思わないけど・・・。」
「せっかくここまできたのに・・・。
 お前らとも知り合えたのによ。」

「バッカじゃないの!?」と芽乃。
「ほ〜んと!めそめそめそめそ、男らしくない!」とチカ。

「盗み聞きしたのかよ。」と英二。
「聞こえたの!休憩に来たら。
 心配することないって。
 昔のことでクビなんかならないから。」とチカ。
「そう・・かなぁ。」
「あのね、採用試験に受かったって事は、警察官オッケーの人材って
 認められたって事でしょ。」と芽乃。
「そう!」とチカ。
「だから、ちゃんと訓練頑張れば、問題ないの!」と芽乃。
「そうだよね。うん。大丈夫だお前。」と英二。
「マジで?」
「あったりまえじゃない。くよくよしてどうすんの?」
チカはそう言い、関根の胸に拳を当てる。
「ありがとう。」
「ったく!慰め合ってる場合じゃないっつーの!」
芽乃が拳を英二の胸に当てる。
「おぉ・・サンキュー。」
「わかればよし!」と芽乃。
「しっかりしなさいよ!」とチカ。
二人が帰っていく。
「あの!
 ホントありがとう。」と英二。

教官室
「先ほどは、勝手に抜け出して、すみませんでした!」
遠野に謝る二人。
「あの・・自分は、補導歴があるのを隠して、
 ずっとビクビクしてました。
 でももうそんなせこい考えは持ちません!
 ここで頑張って、認めていただきます!」
「・・・」
「教官、聞いてください!関根は本気です。
 過去は過去として受け止め、関根は本気で頑張ると言ってます。」
「君たちの薄っぺらな決意など興味ない。
 頑張りたいなら勝手に頑張ってくれ。
 次の授業まで、指紋採取の練習だ。」
「はい!!失礼します。」

その様子を見守っていた箕島部長。
「すいません。遠野教官はおられますか?」男の声。
「おりますが。」
「今日はずっと学校に?」
「もちろんおりますが。
 あの、どこのどちら様で?」
「これは失礼。
 私、捜査一課長の杉崎です。」
「ああ・・少々お待ちを。今代わります。」
「ああ、別の電話が入りましたので結構です。」
「は?」
「また改めてかけますので、電話があったことも知らせなくていいです。
 お騒がせしました。」
即座に受話器を置く杉崎(六角精児)。

警察署
「遠野はずっと警察学校にいる。
 おそらく何も知るまい。
 地元の警察と連絡を取り合って、慎重にやれ。」と杉崎。
「遠野さんに奥さんが入院した事知らせなくていいんですか?」と刑事。
「安西を確保してからでいい。」
「ですが・・・」
「いいか?遠野は女に血迷って、事件関係者を女房にした男だ。
 捜査能力にかけては右にでる者はいないが、
 こと女に関しては、俺は全く信用してない。」

遠野は携帯に公衆電話からの着信があったことに気づく。

教室
女子たちに励まされたことを嬉しそうに話す関根と英二。
そんな二人に冷たい視線を向ける内山。

合コンをしようと騒いでいると、湯原がやってきた。
「あのさ!
 水を差すようで悪いんだけど、女子と親しくするのは
 禁止のはずだよ。
 昔の非行じゃクビにならないだろうけど、
 そっちはヤバイんじゃない?」
「・・・」

内山と湯原、二人のエリートはタイプが違うようです。

夜、女子寮のそばに向かう英二と関根。
「どの部屋だろう。」と関根。
「見るだけ見るだけ。男女交際は、禁止!
 先聞くけど、お前どっちタイプ?」と英二。
「ん?俺は・・・チカだけど。」
「うわっ!かぶんないでよかった〜。俺は、茅乃。
 マジで、外泊日に4人で会っちゃう?」
「あっちも誘い待ってたりして!」
「あるよね?」
「あるな。」
人影が横切り隠れる二人。
「あっぶね〜。」
「ストーカーみたいだな、俺ら。」

スナックSUN
「遠野さんって、シングルなんですか?」と里美。
「・・今は、まあ。」
「同じ。私は主人が亡くなったんですが。」
「そうだったんですか。」

そこへ、箕島がやってきた。
「おや・・来ていたのか。奇遇だな。」
「すいません。」
「別に謝る必要はない。」
「・・・あの。」
「なんだ?」
「違ってたらすみません。
 教官室で私に電話がありませんでしたか?」
「・・・そういえばそうだったな。
 伝言の必要はないと言われたので伝えなかった。
 杉崎捜査一課長からだった。」
「・・・伝言の必要はない。杉崎がそう言ったんですか?」
「そうだ。」
「・・・」

遠野の携帯が鳴る。白石からだ。
「はい、遠野です。」
「教官。またこんな電話ですいません。
 面倒なことが起きました。」
「今度は何があったんですか?」
「うちの学生が、女子寮に忍び込もうとしました。」
「・・・」

教室
「昨夜10時頃、男子学生1名が、女子寮の非常口から中に侵入しようとした。
 その際数名に目撃され、逃走途中にこいつ(タオル)を落として逃げた。
 目撃者の証言から、ジャージは、紺に赤のライン。
 すなわち、我が教場のジャージだ。
 一体誰だ?申し出なさい。」と白石大地(波岡一喜)。
「・・・」
「わかっていると思うが、ここ警視庁警察学校において、
 男子と女子の交際は堅く禁じられている。
 ましてや、女子寮に侵入しようなど言語道断だ!
 正直に申し出なさい!」
「・・・」
「誰が行ったか知っている者は?」
「・・・」
「何か気づいたことは!?」
「・・・」

「あの、宮田君と関根君が、昨日女子と喋ったって言ってました。
 ・・・!!
 だからって、宮田君たちが犯人とは言ってません!
 ただ、知ってることは言ったほうがいいかなって。」と瀬尾。
「ごまかさなくていいんじゃない?」と内山。
「どういう意味だ?内山。」
「私は、宮田か関根だと思います。」
「いや・・ちょっと。」と英二。
「僕見たんだよ。
 君たち二人が、女子寮の方へ行くのを。」
「・・・」
「そういえば、風呂の後しばらく戻ってこなかったよね。」と上野。
「宮田、関根、行ったのか?」と遠野。
「・・・」
「本当のこと言えよ。
 あとになると余計言いにくくなるから。」と松岡。
「・・・行きました。」と英二。
「何?」と白石。
「でも非常口の方は行ってません!」と関根。
「本当です。
 外から、部屋の窓を見ていただけです。」と英二。
「いい加減なことを言うな。
 そんな子供だましの言い訳が通用すると思うのか!」と白石。
「本当に本当です。
 喋った子が、どの部屋かなって二人で見ていただけです。
 信じてください。」と英二。
「正直に言いなさい。
 事実を認めて謝罪すれば道はある。」と白石。
「待ってください。こんなの、それこそ冤罪ですよ。
 そうだ。タオルの指紋調べさせてください。
 教官もおっしゃっていたじゃないですか!
 犯罪の認定には、物証がいるって。
 無実を証明させてください。」
「バカなことを・・・。」と白石。
「いいだろう。
 それだけやりたいならやってみなさい。」と遠野。
「え?教官!」と白石。
「ただし、始めた以上、絶対に投げ出すな。
 最後まで徹底的にやれ!」
「当たり前です。
 自分は絶対にやってませんから!」と英二。

教室
タオルの指紋採取を試みる英二と関根。
「おっかしいなぁ。アルミの粉まだある?」と英二。
「かけすぎじゃね?」
「そんな事ないよ。これでいけるはず。」
「おい、そっと剥がすんだぞ。」
「わかってるよ。
 ・・・よし。
 えー。」採取できず。
「だからアルミかけすぎだって。」
「だったら文句言ってないでお前やれよ。」
「そっちが勝手にどんどんやってんだろ。」
「・・・」
「・・・無実を証明するなんて無理だよ。」
「じゃあ濡れ衣着せられたままでいいのかよ。」
「よくないけど・・・。
 やってないって言い続けるしかないっしょ。
 意地になってもどうしようもねえよ。」
関根は教室を出ていってしまう。
「待てよ・・・。
 俺は・・・疑われたままじゃ嫌だよ。」

「なあ。」と湯原。
「あ・・。」
「タオルから指紋は取れないよ。」
「・・・」
「鑑識の教科書に書いてあった。
 タオルや衣類などから指紋は採取できない。
 汗や体液を取って、DNA鑑定に回せって。」
「そうなの!?・・・DNA鑑定に鑑定までは無理だわ。」
「ただし、足あとなら比較的、採取照合が楽らしいよ。」
「足あと?足跡か。まだ残ってるかな。」
「・・・まあ、非常口は普段誰も通る場所じゃないから。」
「・・・お前・・なんでわざわざそんな事言いに?」
「・・・」
「あ、もしかして、俺のこと信じてくれてんだ。」
「いや別に。」
「・・・嬉しいよ。ひとりでも、信じてくれるなんて。」
「違うって。
 知りたいだけ。 
 真実の先に何があるのか。」
「・・・」

廊下
「私は納得できません!
 この際だから言わせていただきますが、以前から教官のやり方には
 疑問がありました。」と白石。
「そうですか。」
「彼らはまだ、警察学校に入ったばかりです。
 基礎もできtえないのに、現場に連れていったり、
 鑑識の真似事をさせるなんて無茶です!」
「いけませんか?」
「いけませんよ!幼稚園児を働かせるようなもんです!」
「・・・」
「・・すいません。でも、彼らに犯人を捜させるより、
 我々が見つけるべきです。」
「誰が侵入したかは、おおよその検討はついています。」
「え?」
「私は彼らに、犯人捜しをさせたいわけじゃありません。」

非常階段
「粘着シートは、印象面に注意して均等に圧迫する。」
湯原が本を読み上げる。
「こう?」と英二。
「いや、もうちょい、全体的に押さえて。」
「こう?」
「うん。」
「よし・・・やった!」

英二の部屋
「俺の靴はこれで全部。」と英二。
「運動靴。右踵に2センチの傷。
 ノットギルティかな。」と湯原。
「やった!俺のじゃない!」ベッドに倒れこむ英二。
「まだ終わりじゃないだろう。
 このままじゃ無罪勝ち取れないって。」
「そうだった。
 誰が真犯人か突き止めないとな。」

ロッカールームを調べる二人。
「運動靴。サイズは26センチから27センチ。
 右踵に2センチの傷・・・。」
英二がその靴を発見する。
「・・・」
「どうした?」と湯原。
「いや・・・。」
「こっちはないな。そっちは?」
「こっちもない。」
「ここにはないって事か。」
「うん。
 ・・・もういいや。
 とりあえず、俺じゃないってことは証明できるから。
 うん。あの・・・ありがとう、付き合ってくれて。
 外泊日に何か奢るわ。」
「・・・」

遠野のマンション
杉崎に電話をする遠野。
「今仕事中か?」
「いいや。今日は珍しく事件が2つはねたから、
 カラオケ中だ。部下の慰労だ。
 課長さんはつらいつらい。」嘘をつく杉崎。
「お楽しみ中すまんな。」
「なんだ?」
「昨日学校に電話をくれたそうだな。」
「うん。単なる御機嫌伺いだ。」
「なぜ携帯にかけず、学校にかけたんだ?」
「授業中だといかんと思ってな。
 何しろ教官殿は、警視庁の前途を担う若者を、
 育てていらっしゃるわけだからな。」
「なあ杉崎。お前俺に何か隠してるんじゃないか?」
「ふ。今さら。俺がお前さんになんか隠すかよ。」
「・・・そうか。」
「おっと悪い。俺の曲が入っちゃった。
 じゃあまたな。」
「なあ杉崎。」
「うん?」
「お前何歌うんだ?」
「・・・」
「ずいぶんと静かなカラオケだな。」
「・・・」
「なあ。何かわかったんなら教えてくれないか?
 今さら取り乱したりしない。」
「何もないって言ってんだろう。
 お前は女房が恋しいあまり、疑り深くなってるだけだよ。
 じゃあな。」
「・・・」


英二はある訓練生の部屋のドアをノックする。
「はい。」
「俺。宮田。」
「・・・」
その部屋は、内山の部屋だった。
「何?」と内山。
「女子寮に行ったやつの足あと。
 お前の靴とぴったり一致した。」
「そんなことまでやったんだ・・・。」
「当たり前だろ!
 罪をかぶせられて、黙ってられるかよ。」
「この程度でクビにはならないのに。」
「・・・説明しろよ。」
「・・・」
「おい!内山!どういうことなんだよ!?」
「うるせえな。
 女と待ち合わせしてたんだよ。」
「女?誰だよ。」
「・・・橋本ユキエ。
 外泊日に会おうって事になって、その約束するために・・・。
 でも会う前に見つかっちゃって。」
「なんで人のせいにしたんだよ!卑怯だろ!!」
「・・・もう汚点は御免なんだ。」
「汚点?」
「俺、国家公務員の上級試験に落ちたんだよ。
 一緒に受けた仲間はみんな受かったのに。」
「試験くらい、落ちることだってあるだろう?」
「試験くらい?
 簡単に言うな!
 俺はキャリアになるために東大に入り、4年間ずっと!!
 ずっとずっと勉強したんだ!
 女とも付き合わず、酒も飲まず!
 お前みたいに、面白おかしく生きてきた人間にわかるか!
 ・・・母は、ショック受けて寝込んだよ。
 父は、哀れむような顔で見た。
 息が詰まって、寮のある警察学校に来たんだ。」
「・・・」
「勝手なことを言ってるのはわかってる。
 でも・・・
 こんなところまできて、汚点残したくないんだ。」
「・・・わかったよ。」
「・・・」
「わかったよ内山。」

翌朝、英二は遠野を待っていた。
「おはようございます、教官!お話があります。」
「なんだ?」
「・・・女子寮の件ですが・・・。」
「無実は証明できそうか?」
「いえ。・・・あの・・・
 自分が女子寮に行きました。」
「・・・」
「すいませんでした!なかなか言い出せなくて・・・
 自分じゃないなんて行ったけど、本当は・・自分が行きました。」
「本気で言ってるのか?」
「・・はい!」
英二の首根っこをつかみ歩き出す遠野。
「教官!」

教室
「何するんですか!」と英二。
「みんなの前で無実を証明すると言ったんだ!
 ちゃんと報告しろ!」と遠野。
「だから!言ったじゃないですか。本当は自分がやったんです。」
「嘘だろ!?」と訓練生たち。
「嘘じゃありません。
 自分が、女子寮に忍び込もうとしたんです。」
「そうか。なら何のために行ったんだ?」と遠野。
「え・・なんとなくです。」
「なんとなく?
 立ち入りが禁止されている女子寮に、君はなんとなく忍び込もうと
 思ったのか?目的もなくフラフラと。」
「・・入ってみたかったんです、女子寮に。」
「のぞき見でもしたかったのか?」
「は?」
「それともあれか。下着でも盗もうと思ったのか?」
「いい加減にしてください!」
「なら納得できるように言えよ!」
「・・・」
「いいか。自分がしたことをしてないと証明する事よりも、
 やってもいない事をやったと証明する事のほうが
 はるかに難しいんだ!
 取り調べの基本だ。覚えとけ。」
「・・・」
「なぜ、嘘をついた?」
「・・・」
「なぜ本当のことを言わない?
 誰かをかばっているのか?」
「・・・」
「罪をかぶって、いい気分にでもなりたいか?」
「どうしてそう汚く言うんですか?
 僕は!!仲間を売りたくないだけです!」
「そんなにいいヤツに思われたいのか?」
「・・・」
「人を傷つけたくない。
 追い込みたくない。
 責めたくない。
 一見相手のことを思っているようだがな、
 実は、独りよがりなヒューマニズムに酔いたいだけだろう。」
「・・・」

「あの、教官。」と内山。
「座れ内山。」
「でも・・私は、」
「座りなさい。」
「・・・」

「誰がやった?君の口から言いなさい。」
「・・・自分がやりました。」
「これが、放火や殺人事件でも同じことが言えるのか?」
「そんな極端な・・。
 今回のことは、放火でも殺人でもありません!
 ただ寮に忍び込もうとしただけです!」
「取るに足らない事件だと、そう言いたいのか?」
「・・・」
「確かに、捜査には、世の中の樹木を集めるような大きなヤマもあれば、
 取るに足らないつまらない事件だってある。
 でもな、どんな事件であっても、真実に近づこうとすれば必ず!
 必ず誰かの触れられたくない秘密を暴くことになる。
 多くの人を、傷つけたとしても、
 我々は徹底的に真実を暴かなければならないんだ!」
「・・・」
「宮田。怖がるな。
 人に嫌われることを恐れるな。
 嫌われたり、憎まれたりすることを引き受けるのも、
 警察官の仕事なんだ。」
「・・・」

「・・・言えよ宮田。」と湯原。
「・・・」
「俺はお前が言うべきだと思う。」
「・・・」
湯原を、内山を見つめる英二。
内山がそっとうなずく。英二の瞳から涙がこぼれる。

「・・・女子寮に忍び込もうとしたのは・・・
 自分ではありません。
 ・・・内山君です。」

内山は席を立ち、深く頭を下げ謝罪する。

初めての外泊許可日。
外泊禁止処分を受けた英二らは、仲間が帰っていくのを見送る。

「はぁ。みんな行っちゃったな。
 でも僕は、薬莢の件で、一人で外泊禁止にならなくて
 良かった。」と瀬尾。
「お前のせいで俺殴られたんだけどな〜。
 まあ、合コンどころじゃなくなっちゃったな〜。」と英二。
「・・悪い。」と内山。
「まあいいよ。」

そこへ、関根と湯原がやってきた。
「あれ?どうしたんだよお前ら。」
「なんか、俺だけカエルの悪い気しちゃって。」と関根。
「俺は家よりも、ここの方が鑑識実務の勉強ができるから。」と湯原。
「要するにふたりとも、彼女がいないってわけね。」と英二。
「一緒にすんなよ!」と関根。
「俺はその気になればいくらでも。」と英二。
「口ばっか!」と瀬尾。
「な〜んだとコラ!おい足貸せ!」
「あ〜痛い!」

「にぎやかね。」と琴美。
「あ、先生!」
「毎年、外泊禁止処分になった哀れな子たちには、
 差し入れを上げてるんです〜。」
お菓子でいっぱいのバスケットを渡す事み。
「おー!!」
「まあ、お酒は禁止だからあげられないけど、
 今夜は気を抜いて、楽しみなさ〜い!」
「ありがとうございまーす!!」

そこへ遠野がやってきた。
「・・・教官。どうして?」
「今夜は私が宿直だ。」
「・・・」
「とことんついてないわね。」と琴美。

その頃、箕島は杉崎に電話をしていた。
「もしもし。杉崎課長でしょうか?」
「杉崎ですが。」
「警察学校の、箕島佐和子です。」
「これは、警視殿。」
「あ、刑事部から番号聞きました。」
「一体何でしょう?」
「遠野の件、何か動きがあったんでしょうか?」
「お答えしたいところですが、今は捜査中でして手が離せません。
 失礼します。」
「・・・」「

杉崎は奈津美が入院した西湊病院に到着。

病室
安西は眠っている奈津美を見つめ・・・。


「点呼。」と遠野。
「遠野教壇総員30名!
 外泊25名、現在5名!
 番号!
 以上、敬礼!」
「では、消灯する。休みなさい。」
「教官!
 立花先生からの差し入れです。
 よかったらどうぞ。」と英二。
「ご機嫌でも取ろうというのか?」
「そういうわけじゃないです・・。
 おやすみなさい。」「おやすみなさい。」
「・・・おい。
 枕投げでもするか?」
「・・・・・」
「・・・冗談だ。」
「・・・おやすみなさい。」「おやすみなさい!」

屋上
奈津美の携帯にメッセージを残す遠野。
「奈津美。
 俺には友がいない。
 警察官が友人を持とうなんて、甘いと思ってきた。
 人をとことん疑う事はあっても・・・。
 誰かを、心から信じた事などなかった。
 だがな・・・俺はもしかしたら、
 大きな忘れ物をしてきたのかもしれない。」



遠野の「枕投げするか?」が素敵〜!
生徒たちに優しい言葉をかけたいけど、なんて言っていいかわからない。
そこで、枕投げ。なんて不器用な人なんでしょう。

英二と湯原の、友情が芽生えていく様子もいいなぁ。

遠野の指導法には白石も疑問を持っているんですね。
確かに訓練生を事件現場に連れていくのは危険過ぎる。
でも英二たちは実技だけでなく精神的に物凄く鍛えられているようです。
友人の事情を知り、身代わりになろうとした英二。
でもそれが放火や殺人事件だったら?
遠野の言葉にはっとする英二。
そして遠野は英二自身に本当のことを言わせることにこだわった。
 
「人に嫌われることを恐れるな。
 嫌われたり、憎まれたりすることを引き受けるのも、
 警察官の仕事なんだ。」

遠野のこのセリフも心に残りました。


「男性警察官の不祥事の多くは女性が原因だ。
 昔も今も男は女で道を誤る。」
箕島はそう言いながら、遠野も女で失敗したことを思い出し
一瞬言葉を詰まらせました。

杉崎も、
「遠野は女に血迷って、事件関係者を女房にした男だ。
 捜査能力にかけては右にでる者はいないが、
 こと女に関しては、俺は全く信用してない。」
と言っていました。
多分、遠野の情に流されやすいところを心配しているのでしょう。

その杉崎は、安西たちのすぐ側にいる。
次週、奈津美が何を語るのか気になります。
それと、冒頭のプールでの訓練と田代教官の言葉は次週のストーリーに
繋がりそうです。



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【キャスト】
遠野 一行 (佐藤浩市)

宮田 英二 (三浦春馬)
湯原 周太 (池松壮亮)

白石 大地 (波岡一喜) 警察学校助教
立花 琴美 (YOU) 警視庁警察学校嘱託医
簑島 佐和子 (真矢みき)警視庁警察 初任教養部長
内堀 清次郎 (橋爪功) 警視庁警察学校長
杉崎 孝夫 (六角精児) 警視庁捜査一課長

田中 里美 (石野真子)
田中 みずほ(大野百花)

遠野 奈津美 (斉藤由貴)
安西 雄哉 (ARATA)

瀬尾泰正 (冨浦智嗣)
松岡博敏(高橋努)教場長
関根尚充 (南圭介)


【スタッフ】
脚本:井上由美子
音楽:江口貴勅
演出:秋山純(テレビ朝日)、今井和久(MMJ)
プロデューサー:黒田徹也
制作:テレビ朝日、MMJ


佐藤浩市さんの主な出演作品



三浦春馬さんの主な出演作品




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