2011年08月22日

それでも、生きてゆく 第7話

『心の闇について…』

深見洋貴(瑛太)は逃げ出した東雪恵(酒井若菜)を捕まえ、自分は
深見亜季の兄だと名乗る。

草間ファーム
文哉が幼女を手にかけたと知った草間真岐(佐藤江梨子)は、
落ち着かせようとする父・草間五郎(小野武彦)の言葉も聞かずに
激しく怯えていた。
「私が、悠里連れて帰ってきたときに何で教えてくれなかったの?
 三崎文哉が・・・」
「雨宮、健二だ。」
「7歳の女の子を殺した人よ!」
「罪は償った。真面目に働いてたろ?
 お前だって健二を気に入って。」
「バカにしないで。
 私は、母親なんだよ。
 何より先に、悠里の母親なんだよ。」
「・・・うん。」
「怖いの。すごい怖いの。」
「分かった。」
ベッドで眠る悠里(原涼子)を不安そうに見つめる真岐・・・。

その頃、自分の部屋にいた文哉は、青い色鉛筆で絵を描いていて・・・。

釣船ふかみ
日垣(深見)耕平(田中圭)が野本(深見)響子(大竹しのぶ)に会いに訪れる。
「耕平・・・。」と響子。
「あ、これ。」とうもろこしの入った袋を2つ置く耕平。
「ずいぶんたくさん買ったのね。」
「兄ちゃんは?」
「お客さん連れて・・戻ってくる。」
「え?誰?」
「看護師の人。東京医療、少年院にいた・・。」
「えっと・・それってさ。」

そこへ、洋貴が雪絵を連れて帰ってくる。

遠山(三崎)家
「双葉、ちゃんと食べてるかしら。」と隆美。
「うん。」と駿輔。

「お姉ちゃんからメール返ってきたよ!
 もうちょっとしたらちゃんと帰るからって。」と灯里。
二人はその言葉に顔を見合わせほっとする。

ふかみ
「私がお話できるのは、皆さんを救えるような、
 そんな類のお話ではありません。
 余計につらい思いをされるかもしれません。
 それでよければ。」と雪絵。
「・・・お願いします。」と洋貴。
「・・・9年前、私は、東京医療少年院に勤めだした頃、
 もう、三崎文哉さんはいて、退院する1年前でした。
 その頃すでに、彼の治療は、ほぼ終了したんです。」
「終了、というと?」と洋貴。
「罪を悔い改め、社会生活を送れるようになった、ということです。」
「・・・」
「三崎文哉は更生した。
 誰もがそう信じていました。
 ただ、一人を除いて。」
「誰ですか?」
「彼、自身です。」
「・・・」

2002年初夏
「男子棟は2回が身体的疾患を抱える子たちで、
 3階が精神的疾患。
 4階は長期の子とか、まあ、特別な子。」と川藤。
「特別な子?」と雪絵。
「こうやってグループに分かれて、運動したり勉強したり、
 それぞれ子供たちの特徴に合わせて治療してるの。」
そこで雪絵は、一人ぽつんと座り絵を描いている少年に気づく。
それが文哉だった。
「何描いてるの?」
「み・・三日月湖です。」と文哉。
「ふーん。聞いたことない。
 どうして湖の絵を描いてるの?」
「分かりません。」
「そう。」
雪絵に会釈し立ち去る文哉。

「4階の子よ。
 ここじゃ山中君って呼んでるけど、本当は別の名前なの。
 三日月湖であった女児殺害事件、分かる?」と川藤。
「三日月湖・・・。犯人なんですか?」
「うん。でも安心して。彼はもう治ってるから。」

草間家
「健ちゃんー!健ちゃん健ちゃん!」
文哉を呼ぶ悠里。
「悠里!何やってるの?こっち来なさい!」と真岐。
「バドミントン。」
「もういいから!」

二人の声を、文哉は膝を抱えながら聞いていた。
畳には彼が描いた絵が散らばっている。
文哉はその上に立つと、スクワットを始め・・・。

2002年初夏
スクワットする文哉を見つめる川藤と雪絵。
「見えないでしょう?
 あんな顔して、7歳の女の子を湖で殴り殺したなんて。
 先生の診断では、父親が家庭に無関心だった上、
 もともと厳しかった母親が突然事故死したことが、
 大きなトラウマを残したんじゃないかって。
 結局あの子本人が一番わかってないのよ。
 どうして人を殺したのか。」と川藤。
「・・・」
「ねえ。あなたの噂ってホントなの?
 前の病院で男に300万貢いでたって。」
「300万じゃなくて3000万です。」
「・・・」

階段
文哉の肩を叩き呼び止める雪絵。
「早くしまって。」
キャラメルを文哉に差し出す。
「心配しないで。私、君のファンよ。
 君に興味があるの。
 本当に治ったの?
 治ったふりしてるだけなんじゃない?」

「間あけるな。」教官の声。

「他にほしい物があったら言ってね。」
「リス。」と文哉。
「リス?」

花の絵を描く文哉。
「タヌキの毛の筆もあったわよ。
 今度買ってこようか?」と雪絵。
文哉は雪絵に、赤い折り紙で折った金魚を渡す。
「・・・これ、リスのお礼?」
「・・・」

診察室
「じゃ、血圧、お願い。」と医師。
「はい。」
医師が出ていくと、雪絵は文哉に絵の具を、文哉は雪絵に
ピンクの折り紙で折った金魚を渡す。

雪絵のアパート
テーブルに折り紙の金魚を並べて微笑む雪絵。

二人の秘密のやり取りはこうして続いていき・・・。

草間家
健二の部屋をノックしようとする草間。
「社長!電話ですよ。」紗歩(安藤サクラ)の声。
「誰?」
「さあ。」
「もしもし?」

その時、部屋にいた文哉は、部屋の窓から、花壇の花に水をやる
真岐と悠里を見つめていて・・・。

草間に電話をしたのは三崎駿輔(時任三郎)だった。
「あの、ちょっとお伺いしたいんですが。
 実は、人を捜しておりまして。
 そちらの従業員の方の中で、28歳の男性って・・・はい。」

遠山(三崎)家
洗濯物を干す灯里と隆美。
「あれ?ねえ?これ私のだっけ?」
「うん?それは、双葉の。灯里のは、これ。」
「よく分かるねぇ。」
「・・・」双葉のシャツを見つめる隆美。
「お姉ちゃんが出てったのはお母さんのせいじゃないよ。
 お姉ちゃんもう25なんだから。」
「・・・」

「ちょっと、行ってくる。」と駿輔。
「え?どこ行くの?」と隆美。
「千葉の、果樹園。」
「・・お兄ちゃん見つかったの?」と灯里。
「いや、まだ。」
「もし見つかったら?」
「・・・」
「あなたは、文哉の父親だから、会えば分かるわよね?
 あの子が今、どんな人間なのか・・分かるわよね?」と隆美。
「じゃ、行ってくる。」
「・・・お父さんを、信じましょう。」

2002年、医療少年院
教官の指導のもと、スクワットをする少年たち。

「子供たちの間で噂になってるのよ。
 あなたと山中君が二人きりで会ってるって。
 そんな話漏れたら・・・あなたの一生が台無しになるのよ。」と川藤。
「・・・」
「聞いてる?」

文哉が他の少年に突き飛ばされる。

医務室
「もうすぐ退院ね。」と雪絵。
「・・・はい。」
「嬉しい?」
「・・・はい。」
「自由になるのが、嬉しいの?」
「治ったことが嬉しいです。」
「・・・治ったの?」
「はい。先生が治ったって、言ってくれました。」
「そう。どうして、治ったら嬉しいの?」
「・・・人を殺すことはよくないことだからです。」
「・・・君が・・いなくなったら・・・」
「お願いがあります。」

図書室
本を見つめる文哉。
「ルーベンス?」と雪絵。
「・・・」
「全然詳しくないのよ。
 あのう、『フランダースの犬』、最終回に出てきたから。」
「・・・」
「ネロと一緒ね。この絵、好きなの?」
「亜季ちゃんが教えてくれました。」
「亜季ちゃん?深見亜季ちゃんのこと?」
「生まれてこなければよかったのにって言いました。」
「そう。・・・もしかして、自分のこと言われてるって思った?
 だから・・・その子を・・・」
ノックの音。
「何してるの?東さん!開けなさい!
 いるんでしょう?東さん!何してるの?開けなさい!」と川藤。
ペンを握り締める文哉。
「大丈夫よ。
 今度、プレゼントするから。」
「・・・」

人気のない階段で話す二人。
「もうあなたに近づいちゃダメって言われてるの。」と雪絵。
「・・・はい。」
「明日で退院でしょ?問題起こしたら・・」
三日月湖の絵を差し出す文哉。
「・・誰かに見せた?」
文哉は首を横に振る。
「絶対に見せちゃダメ。外に出られなくなるわ。
 ・・・これ、深見亜季ちゃんでしょ?」
「金魚。」
「・・・」
「かわいそうな金魚。」

院長室
「仮退院特別決定書。
 三崎文哉。
 おめでとうございます。」
院長が証書を差し出す。
「・・・」
「ほら。」と保護司の高田。
「おめでとう。三崎君。ほら。」と院長。
「ありがとうございます。」

「頑張れよ。」
職員に見送られ、一礼する文哉。

「世の中今ラーメンブームなんだぞ。
 中じゃラーメンなんて食えなかったろ?なあ。」と高田。
文哉はカーブミラーに雪絵が映っていることに気づく。

ラーメン屋
「うまかったな。」と高田。
「はい。」
「これからは、まっとうに働いて、まっとうに生きろ。
 それが被害者への償いになんだから。」
「はい。」
「行こうか。ごちそうさん。」
文哉はカウンターに何かを残して出ていった。
ナプキンで作った金魚。
店員の手からそれを奪う雪絵。
そこには連絡先が書かれていて・・・。
『雨宮健二
 東京都三鷹市宮木町9−7−20
 ミヨシハイツA棟213号』

車の修理工場で働く文哉。
いつしか雪絵と一緒に暮らすようになっていた。

夜、布団の中で幸せそうに笑う雪絵。
「君がね、真面目に働いているところを見ると嬉しいの。
 君も変わったし、君に会った私も変わって。
 なんか驚いてるの。」
「・・・治った?」
「うん。治ったよ。」
「消えた?・・・殺す僕は消えた?」
「消えたよ。
 君はもう、特別な子じゃない。
 もう誰も殺さない。」
その言葉に安心し微笑む文哉。
そんな文哉に雪絵はキスし・・。

ある夜、文哉が外でスクワットをするのを
雪絵は不安そうに見つめ・・・。

産婦人科から出てきた雪絵は、携帯で文哉に連絡。
報告を受けた文哉の表情は暗く・・・。

夜、コンビニの袋を手にアパートの階段を上がる文哉。
一番上まで上がると、上ってきた階段を見つめ・・・。

ドアの開く音。
「おかえり!」と雪絵。
「・・・」
「おなか空いた?」
無言で牛乳をテーブルに置く文哉。
「そうだ。これ・・・
 どうしたの?」
「ビール。」
「飲みたいの?」
文哉が頷く。
「珍しいね。じゃあ、後で買ってくるね。」
「・・・」
「・・・分かった。今行ってくる。
 いってきます!」
玄関を出ていく雪絵。
文哉は雪絵が持っていた本を開いてみる。
ルーベンスの絵。
その直後、階段を転げ落ちる物音が!
靴も履かずに飛び出す文哉。
雪絵がお腹を抑えながら倒れていて・・・。

ふかみ
「そのビニールは、彼が、わざと置いたものでした。
 私は、おなかを強く打って・・流産をしました。
 彼は・・・14歳の時の、彼のままだったんです。
 退院した日、彼の日記を見つけました。
 時折挿し絵のようなものが描いてあって。
 そこに出てくる人間は、みんな、赤い尾ひれのついた、金魚でした。
 彼にとって人間は、みんな水槽の中にいるかわいそうな金魚で、
 手のひらですくって、壊してしまいたい衝動に、
 いつも、駆られてたんです。」

『6月28日
 工場の仕事が始まる。
 溝切りを任された。
 訓練所で習ったのとは少し違ったけど、
 明日からはもう少し上手くできると思う。
 アパートに帰って雪絵が作った餃子を食べた。
 雪絵はよく笑う。墨はあまり考えないようにしている。

 7月19日
 レストランでエビフライを食べた。
 雪絵がトイレに行った時、隣のテーブルに小学生の女の子が
 来て座った。
 僕はフォークを少し離して置くことにした。
 雪絵が戻ってくるのを待った。
 我慢出来た。』

「彼は、レストランで見掛けた小さな女の子を、
 殺す衝動に駆られていたんです。」
「・・・」
「彼の帰りが、少し遅かった時期がありました。
 電車で見掛けた女性の後をつけて、アパートまで行ってたんです。」

『9月5日
 昨日のマンションに行った。
 もう一度カーテンの色を確認しようと思った。
 よく見えなかったのでドアを開けようと思ったけど、
 開かなかった。
 屋上へ行った。町がよく見えた。
 また頭の中の井戸を覗き込んでみた。
 水は入っていなかった。
 渇いている。水を入れたい。
 すごく困る。死にたい。

 10月1日
 夢を見た。
 ハンマーで雪絵の頭を何度も何度も叩いた。
 雪絵は叩かれながらギョーザを作った。
 目が覚めたら雪絵が朝ごはんを作っていたので食べた。
 味がしなかった。
 またいつかしてしまうと思う。
 またいつかしてしまうと思う。
 生まれてきてはいけなかった。

 11月9日
 すごく気分が良い。
 空が青い。緑が光ってる。
 雪絵が笑っている。
 井戸の中は水で一杯だ。

 11月9日
 人間は悲しい。
 どうして生まれたのかわからないまま生まれてきて、
 どうして生きてるのかわからないまま生きて、
 何もわからないまま、何もわからないまま死んでいく。

 11月9日
 殺す僕がいる。
 殺す僕は、僕の子供を殺すだろう。
 僕は見てるだけ。
 殺す僕が、僕の子供を殺すのを見ているだけ。
 それでも僕は生きている。』

日記を読み終え泣き出す雪絵・・・

ふかみ
「彼の日記を目にして気づいたんです。
 彼にとって、私は、女ではなく、母親でもなく・・・
 人間でさえなかった。
 あのときの私は、ただの水槽だった。
 かわいそうな金魚が入った、
 落とせば割れる、水槽だった。」
「・・・」
「その日、彼が仕事から帰ってくる前に、
 アパートを出ました。
 逃げたんです。
 それ以来、彼とは会っていません。
 彼を・・・救うことができませんでした。」
「・・・ありがとうございました。」
「まだ・・彼に、会いたいですか?」
「・・・はい。」
「以前、彼の保護司だった方から聞きました。
 彼は今、千葉にある果樹園で働いています。」
「・・・ちょっと、お茶入れなおしてきます。」
洋貴が席を立つ。

調理場、洋貴は一人考え込み・・・。

草間ファーム
「社長!あのう、私の給料なんですけど。」と紗歩。
「帰ってからにしてくれ。」
草間は軽トラに乗り出かけていく。
紗歩はバドミントのラケットを持って走る悠里に気づき・・・。

その頃、真岐は電話で友人に、娘と自分をしばらく泊めてもらえないかと
相談していた。
真岐は悠里が姿を消したことに気づき・・・。

真岐は文哉を疑い部屋に行く。
文哉は部屋でスクワットをしていた。
「悠里は?」
「・・・」
「悠里どこ!?」
押入れの中を捜す真岐。
「どこにやったの!?」
「・・・」
真岐は一枚の絵に気づく。
少女が倒れている絵・・・。
「何なのあんた・・・。
 悠里どこにやったの!?」
「・・・」
真岐が部屋を飛び出していく。

駐車場
「三崎さんか?」と草間。
駿輔が一礼する。

ファーム
「悠里!!悠里!!」
必死に悠里を捜す真岐。

実は、悠里は臼井紗歩と果樹園でバドミントンをして遊んでいた。
転んでしまった悠里の駆け寄る紗歩。
「大丈夫?痛いね・・。
 どうする?おうち帰ろうか?」
「大丈夫。まだやる!」
「おぉ。偉いね。じゃあ羽根取ってくるね。」
「うん!」

「あった。
 !!うわ!びっくりした!
 何すか?っていうか何持ってんですか?」
紗歩は文哉が金槌を持っていることに気づく。
「・・・」
「危ないですよ。放しましょうよ、それ。」
「・・・」

「紗歩ちゃん、まだ?」悠里の声。

「悠里ちゃん、お母さんとこ戻りな!」

「え〜っ。」

「いいから早く戻りな!!」

「嫌だ!!」

「早く!!」

悠里の方に向かおうとする文哉。
「ダメ!!」
紗歩はなんとか阻止しようとし・・・
文哉に殴られてしまう。

紗歩、いい子だったんですね。彼女は大丈夫なのか!?

駐車場
「いまさらだとは分かってます。」と駿輔。
「まあ、俺はただのあれだから。
 とやかく言う、偉そうなもんじゃないが。
 健二は、いや、あんたの息子さんは、
 あんたに、会いたがらないかもしれない。」と草間。
「はい。」
「あんたや、家族の話も、自分からしたことはない。」
「・・・」
「それでも、どうしても会いたいっていうなら、
 それなら今度は・・今度こそは、見捨てたら、ダメだ。
 できんのなら、会わずに、帰ったほうがいい。」
「・・・会わせて、ください。」
駿輔は頭を下げて頼み・・・。

ファーム
文哉が悠里に歩み寄る。
「紗歩ちゃんが健ちゃんに変わったー!」と悠里。
「・・・」

駅、雪絵を見送る洋貴。
「ありがとうございました。」
「・・・こんなこと、言うべきではないんですが・・・
 彼を、楽にしてあげてほしい。」
「・・・」

車に乗り込む洋貴。
「何話してた?」と耕平。
「別に。お前も、帰るならここで。」
「俺も亜季の兄ちゃんだし、誰か止めるやつがいないと、
 兄ちゃんが人殺しになっても困るからさ。」
「・・・あっそう。」

ふかみ
洋貴たちを送り出した響子が『ふかみ』にいると、双葉がやって来た。
「・・・双葉ちゃん。」
「・・・」
「入って。」
「・・・」
「ねえ、入って。」
「・・・」

果樹園
悠里の背中を見つめる文哉。手には金槌。
「痛い・・痛い・・痛い・・。」転んだ時の怪我を痛がる悠里。
「・・・悠里ちゃん。」
「痛い!!健ちゃ〜ん。」
「じゃあ・・・お母さんのところ帰ろうか?」
「うん。」
文哉は何とか衝動を押さえつけて金槌を手放して悠里を家に連れ帰る。

ハンマーを手放さなければ。でも手から離れない。
この葛藤がすごかった。


ふかみ
「あのう・・洋貴さんは?」と双葉。
「・・千葉の、果樹園に行きました。」
「・・・えっと。」
「お兄さんが、多分そこにいるだろうって。」
「ごめんなさい。」
「・・・」
「兄は反省していません。
 会って確かめました。
 兄は・・・あの人は、亜季ちゃんの命を奪ったこと、
 反省していません。」
「・・・」
「ごめんなさい。
 ごめんなさい、ごめんなさい。
 本当にごめんなさい。」

草間家
警察に電話しようとする真岐。
「ママ!」悠里の声。
「悠里!!どこ行ってたの!?
 どうしたの?」
「転んだ。」
「何して遊んでたのよ!?」
そこへ文哉がやってきた。
悠里を抱きしめて守ろうとする真岐。
文哉は軽く頭を下げ、自分の部屋へ。
「悠里?うん?」
「ママ痛いよ〜。」
「悠里。あの人と何して・・」
「あの人って?」
「・・・」

文哉の部屋
荷物をまとめる文哉。
「悠里に何したの!?」と真岐。
「・・・」首を横に振る文哉。
「何したの!?」
包丁を手に文哉に近づく真岐。
「平気な顔して!
 子供殺した人が、平気な顔して、何なの!?
 何で生きてられんの!?」
「・・・」
「ねえ!
 あなたが殺した、子供にも、母親がいたのよ!
 大事に、大事に育てた母親がいたのよ!
 あなたにだっていたでしょう!?
 母親がいたでしょう!?
 わかんないの!?」
「・・・」
「そういうの奪ってさ、どうして平気なの!?
 あんたみたいな人間、生まれてこなければよかったのよ。」
「・・・」文哉の表情が変わる。
「あんたなんか生まれてこなければ。」
「・・・」
文哉は真岐にゆっくり近づいていき・・・。

ふかみ
「私、バカだったんです。
 そういうこと・・そういうこと絶対、
 絶対あるはずないのに・・
 もしかしたらそういうことあるんじゃないかって
 思っちゃってて。」と双葉。
「・・・どういうこと?」
「・・・お兄ちゃんがうちに帰ってきて、
 家族5人で笑ったりすることです。」
「・・・」苦笑する響子。
「あと、いつか・・・いつか、洋貴さんと・・
 心から笑える日が・・来たらなって・・思ってました。
 そんなこと絶対あるはずないのに。
 絶対許されないのに。
 ごめんなさい。」
「・・ねえ。
 いいのよ。
 幸せになりたいって、思っていいのよ。」
「・・・」
「あなただって、洋貴だって。
 絶対に、幸せになれないわけじゃないのよ。
 なるために。なるために、あなたと洋貴で考えるの。」
「・・・私と・・洋貴さんで。」
「二人で考えるの。
 お互いの幸せを。
 洋貴は、あなたが幸せになる方法。
 あなたは、洋貴が幸せになる方法。」
「・・・あのう、私。」涙ぐむ双葉。
「うん。なあに?」
「・・・洋貴さんに、靴と、靴下買ってあげたいです。」
「え?」
「洋貴さん、いつも、かかと踏んで歩いてるし、
 あと、靴下もなんか、変な色のばっかり履いてて。
 ああ、あと、あのうご飯とかも、作ってあげたいです。
 洋貴さんって、なんの食べ物が好きなんですか?」
「洋貴?冷凍ミカンかな。」
「ハハ。」
笑いあう二人。
「作りがいないですね。」
「・・・ありがとう。
 洋貴のことそんなふうに、思ってくれて。」
首を横に振り涙する双葉。
「双葉ちゃんは、洋貴に何してほしい?」
「・・・いやぁ、何も。ないです、ないです。」
「なくはないでしょ?」
「いや・・ないです。」
「・・じゃあしまっておいて。
 しまっておいて・・・洋貴のこと、信じてあげて。」
「はい。」

その頃、洋貴は耕平と果樹園へと向かっていた。

ファーム
草間五郎が駿輔を伴って果樹園に戻ってきた。
「逃げ出しはしないと思うが、驚くだろうな。」
「はい。」

「じいじ!」と悠里。
「おぉ。悠里。ママは?」
「上行った。」
「そっか。
 悪いね、ちょっと待ってて。」
「はい。」と駿輔。

二階
「健二、真岐いるのか?
 入るぞ。」

一階
「おじちゃん。あげる!」
「ああ、ありがとう。」

「真岐!真岐!?」五郎の声・・・。

果樹園を出た文哉は、とあるトンネルの壁に頭を打ち続けていた。
何度も…何度も…。

サービスエリア
耕平がトイレで車を降りると、洋貴は助手席のダッシュボードに
潜ませていた凶器を取りだし、上着の内側へと移した。



『それでも僕は生きている』
ドラマのタイトルが文哉の思いでもあったとは・・
まったく予想していなかった展開にショックを受けました。

医療少年院での"治療"。
文哉はもう"治った"とされていた。
でも本人だけは、まだ治っていないと思っていた。

退院が決まり、雪絵に嬉しいか?と聞かれた文哉、
「治ったことが嬉しいです。」
この時の彼の率直な気持ちだったんだと思う。
彼自身、自分の中の悪魔に戸惑い、
普通の人間になりたい、と願っていた。

『フランダースの犬』に出てくるルーベンスの絵を見ながら、
「亜季ちゃんが教えてくれました。
 生まれてこなければよかったのにって言いました。」
と文哉は言っていました。
そのあと、雪絵が言ったように、文哉は自分のことを言われたと
誤解したのか、それとも、亜季が亜季自身のことを言ったと誤解し、
殺して"あげた"のか。


「生まれてこなければ良かった」という言葉が文哉にとってのスイッチ。
当時、駿輔は家庭を顧みない父親だった。
そして厳しかった母親は、突然事故死。
文哉は厳しかった実の母に
「あんたなんか生まれてこなければ良かったのに。」
と言われてしまい、それがトラウマになっているのでは・・・。

また人を殺してしまうかもしれないという不安。
人を殺してしまいたくなる衝動。
文哉はいつも葛藤している。

もともと影のある青年だったけど、第7話では今までと比べて
更に表情が暗く、彼は病気なのだ・・・と思わされました。

何度も出てきたスクワットのシーン。
これは医療少年院でも行っていたこと。
彼にとっては治療の一つなのでしょうか。
まるで自分の中の悪魔を消すように・・・。

これは文哉を退院させてしまった判断ミス。
でも、人の心が治ったか治ってないか、判断するなんて
本当に難しい。
少年法について考えさせられます。

文哉が雪絵を流産させたのは、
殺人者である自分の血を残さないため。
そんな気がします。



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気になるセリフ:
第一話の回想シーン
「フランダースの犬って、何のためにあるの?
 ネロはさ、お父さんもお母さんもいなくて、いじめられたり、
 騙されたりして。最後には死んじゃうのよ。犬も一緒に。
 何のためにこんな悲しいお話があるの?」
「何のためって?」
「ネロは、生まれない方が良かったんじゃない?
 お兄ちゃん、どう思う?」

第4話(響子と洋貴)
「あのご主人、町で、誘致した時計工場の課長さんだったから、
 どこでも目立ってて。」
「エリートっぽい?」
「うん。感じだったから。
 お父さんの気安いのが、嫌だったみたい。
 大学は?とか、 年収は?とか。
 お父さんの、スナックの、開店1周年記念の、
 安物の腕時計見て、がんばってくださいよって、肩叩いて。
 お父さんヘラヘラ笑ってたけどね。」
「・・・」
「あの時、あの子もそういう顔してた。」
「・・・はっ。文哉?」
「・・・」
「何でだろう。自分の父親に。」

第4話(回想シーン)
「お兄ちゃんと双葉は、同じだよ。
 夜を見たんだ。」
「夜?」
「同じ夜を見たんだ。」
「・・・」

第5話(五月)
「私も手伝っていいですか?
 私の母を殺した犯人は、自殺したんですよ。
 私も父も、なんか、気持ちの持っていきようがなくて。」

第5話(文哉)
「そうです。忘れないでください。
 もし忘れたら、夜のところに置いていくから。」

第6話(文哉と双葉)
「就職できなかったか。
 学校でも色々嫌な思いさせられたか?」
「・・全然。全然!ないないない。・・ない。」
「あいつら。」

(因島)
「・・・俺とお前のお母さんが生まれた場所だから。
 俺お母さんのお墓がある場所も知ってるし。
 お墓移してって思って。」

「お兄ちゃんが亜季ちゃんを殺したでしょ?」
「亜季ちゃんは天国に行ったんだ。」
「・・・」
生まれてこない方がよかったから。」

第7話(川藤→雪絵)
「先生の診断では、父親が家庭に無関心だった上、
 もともと厳しかった母親が突然事故死したことが、
 大きなトラウマを残したんじゃないかって。
 結局あの子本人が一番わかってないのよ。」

第7話(文哉→雪絵)
「亜季ちゃんが教えてくれました。
 生まれてこなければよかったのにって言いました。」


第7話(雪絵)
「退院した日、彼の日記を見つけました。
 時折挿し絵のようなものが描いてあって。
 そこに出てくる人間は、みんな、赤い尾ひれのついた、金魚でした。
 彼にとって人間は、みんな水槽の中にいるかわいそうな金魚で、
 手のひらですくって、壊してしまいたい衝動に、
 いつも、駆られてたんです。」

『6月28日
 工場の仕事が始まる。
 溝切りを任された。
 訓練所で習ったのとは少し違ったけど、
 明日からはもう少し上手くできると思う。
 アパートに帰って雪絵が作った餃子を食べた。
 雪絵はよく笑う。墨はあまり考えないようにしている。

 7月19日
 レストランでエビフライを食べた。
 雪絵がトイレに行った時、隣のテーブルに小学生の女の子が
 来て座った。
 僕はフォークを少し離して置くことにした。
 雪絵が戻ってくるのを待った。
 我慢出来た。』

『9月5日
 昨日のマンションに行った。
 もう一度カーテンの色を確認しようと思った。
 よく見えなかったのでドアを開けようと思ったけど、
 開かなかった。
 屋上へ行った。町がよく見えた。
 また頭の中の井戸を覗き込んでみた。
 水は入っていなかった。
 渇いている。水を入れたい。
 すごく困る。死にたい。

 10月1日
 夢を見た。
 ハンマーで雪絵の頭を何度も何度も叩いた。
 雪絵は叩かれながらギョーザを作った。
 目が覚めたら雪絵が朝ごはんを作っていたので食べた。
 味がしなかった。
 またいつかしてしまうと思う。
 またいつかしてしまうと思う。
 生まれてきてはいけなかった。

 11月9日
 すごく気分が良い。
 空が青い。緑が光ってる。
 雪絵が笑っている。
 井戸の中は水で一杯だ。

 11月9日
 人間は悲しい。
 どうして生まれたのかわからないまま生まれてきて、
 どうして生きてるのかわからないまま生きて、
 何もわからないまま、何もわからないまま死んでいく。

 11月9日
 殺す僕がいる。
 殺す僕は、僕の子供を殺すだろう。
 僕は見てるだけ。
 殺す僕が、僕の子供を殺すのを見ているだけ。
 それでも僕は生きている。』






キャスト

深見 洋貴(瑛太)
遠山(三崎)双葉(満島ひかり)

雨宮 健二(風間俊介)※三崎文哉

遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)
遠山(三崎)灯里(福田麻由子)
三崎 駿輔(時任三郎)

日垣(深見)耕平(田中圭)
日垣 由佳(村川絵梨)
日垣 誠次(段田安則)

草間 真岐(佐藤江梨子)
草間悠里(原涼子)
草間 五郎(小野武彦)

臼井 紗歩(安藤サクラ)

藤村 五月(倉科カナ)

深見 達彦(柄本明)
野本(深見)響子(大竹しのぶ)



スタッフ

脚本
坂元裕二
音楽
辻井伸行
主題歌
小田和正「東京の空」
プロデュース
石井浩二
演出
永山耕三
宮本理江子
並木道子
制作
フジテレビドラマ制作センター

公式HP



瑛太さんの主な出演作品




満島ひかりさんの主な出演作品




この記事へのコメント
スクワットしていて文哉が倒れますが、あれは文哉が一人でよろけて倒れたのであり、他の少年に突き飛ばされたわけではありませんよ。

Posted by Tommy at 2011年09月14日 18:19
Tommyさん。
ご指摘のシーン、見直してきました。
文哉は自分で座り込んでいますね。
あの頃は体力がなかった、という描写だったのでしょう。
ありがとうございました。
Posted by ちーず at 2011年09月14日 20:47
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