2011年08月28日

それでも、生きてゆく 第8話

『それぞれの覚悟』

深見洋貴(瑛太)と日垣(深見)耕平(田中圭)が、三崎文哉=
雨宮健二(風間俊介)が働いているという果樹園に向かっている頃、
その果樹園で新たな事件が発生。
草間五郎(小野武彦)が文哉に会いたいという三崎駿輔(時任三郎)を
果樹園に連れて行くと、娘の草間真岐(佐藤江梨子)が倒れていたのだ。

動揺する五郎に変わって、駿輔が救急車を呼ぶ。
そこへ、臼井紗歩(安藤サクラ)が戻ってきた。
「死んだの?」と紗歩。
「・・・いや。」と駿輔。
「あいつは?」
「は?」
「三崎文哉だよ。」
「・・・」
「チッ。」
「あのう!」
「またやったんだよ。
 いってぇ!あいつまたやったの!!」
「・・・」

自転車を押しながら夜道を歩く文哉。
交番の前で足を止めるが、警官はいなかった。

果樹園へ車を走らせる洋貴と耕平。
「犯人に会ったらどうすんの?
 話し合い?殴り合い?」と耕平。
「・・・さあ。」
「兄ちゃんさ、俺のこと冷たいと思ってる?」
「何で?」
「俺だって、加害者のこと憎い気持ちあんだよ。
 結婚してなかったら、俺だって・・・。
 俺来年穴子さんと同い年だしさ。」
「穴子さん?」
「マスオさんの同僚。
 ちなみに兄ちゃんは、銭形警部と同い年。」
「あっそう。」
「ブラック・ジャックが28歳。
 星一徹が33歳。
 ラオウが30歳。
 30で『わが生涯に一片の悔いなし』だよ。
 兄ちゃんなんて悔いありまくりじゃんかよ。」
車を急停車する洋貴。自転車を押しながら歩く青年に気づいたのだ。
「何!?え?何何何何何!?ちょっとどこ行くの!?」
驚く耕平に説明もせず、洋貴は車を飛び出し・・・。

胸元に入れた包丁を抑えながら走る洋貴。
駅のターミナルを包丁を落としてしまい、慌てて披露。
あたりを見渡すが、文哉を見失ってしまった。
洋貴は自分の手にある包丁を見つめ・・・。

耕平がクラクションを鳴らす。
「どうしたの!?」
「いや。見間違い。」
洋貴は包丁を隠し、車に乗り込む。

その時文哉は駅に続く歩道橋を上っていて・・・。

どこかの駐車場
「あれ?行き過ぎたのかも。」と耕平。
「お前ちゃんと地図見てたのかよ!」
「見てたよ!」

救急車が通り過ぎていく。
その後ろに続く車に、駿輔が乗っていた。
二人に気づいた駿輔は車を止め、二人に頭を下げる。
「・・・文哉は?」と洋貴。
駿輔は首を横に振り・・・。

駅のホーム
フェリーの乗務員募集要項を見つめる文哉。
左腕は怪我をしていて・・・。

洋貴たちを釣り船屋『ふかみ』から送り出した野本(深見)
響子(大竹しのぶ)は遠山(三崎)双葉(満島ひかり)と連絡を待っていた。
「チャッチャっと作っちゃったけど。」と響子。
「おいしそうです。」と双葉。
「ありがと。
 食べよう。」
「はい。」
「いただきます。」「いただきます。」
「・・・やっぱりおいしい!」
「お腹空いてたんでしょ。何食べてたの?家出中。」
「・・・うん。うどん。」
「うどん?」
「うどん。」
「うどん。」
「あと、うどん。」
「うどん?」
「ミートソース。」
「あ。」
「うどん。」
「うどんあるわよ。」
「ご飯おいしいです。」
「・・・千葉なら、もうそろそろ着いてる頃よね。」
「・・・もう会ってるかもしれないですね。」
「そうよね。
 ・・・なめたけ食べる?」
「あっ。私が。」

双葉の携帯が鳴る。
「鳴ってる。」と響子。
「えっ。でもかかってくるなら私じゃなくて。
 ・・・公衆電話です。
 もしもし。
 ・・・もしもし、深見さん?」
「・・・」
「もしもし。もしもし。
 深見さん、聞こえますか?」
「双葉。」
「・・・お兄ちゃん。」
「うん。」
「・・あっそう・・びっくりした。」
「びっくりって、何で?」
「いや・・ううん。・・うん。
 今どこ?深見さんと一緒?」
「双葉は?」
「あ、えっと・・私は、三芙根湖の深見さんのうち。
 深見さんのお母さんと一緒にいる。」
「・・・」
「今どこ?もしもし?
 ねえ、どこ?
 出かけてんの?どっか。
 深見さんと一緒じゃないの?」
「深見さん・・・。」
「あ・・ごめん。深見さんは、もういい。
 ね、どこ?・・・い、今から会おう?ね?
 私そっちに行くから。」
「双葉。」
「何?」
「お前が嫌だって言うからこんなことになったんだ。」
「こんなことって何?」
「・・・」
「・・・あ・・。」
電話を切る文哉。

「どうしたの?」と響子。
店の電話が鳴る。
「今度はこっち。
 はい、深見です。
 ああ耕平。どうした?・・・病院?
 え?もう1回言って。
 うん。うん。」

遠山(三崎)家
「ええっ!?文哉がまた!?」驚く隆美(風吹ジュン)。
「まだ、分からない。
 でももしそうだとしたら・・・。」と駿輔。
「・・・」
「とにかく、灯里を連れてすぐ出る準備をしといて。」
「・・はい。」
「双葉とも連絡取って、すぐにうちに戻るように言うから。」
「うん。分かった。
 はい。気をつけて。
 あ、」
電話は切れてしまう。

「お母さん?」と灯里(福田麻由子)。
「大丈夫。・・・大丈夫だから。」
「・・・」

病院
手術室の前で不安そうに行き来する五郎。
「お父さん。」と意思。
「あ、あのう。入院になりますかね?
 長くなるようなら、あいつのパジャマを持ってきてやらんと。
 ね。あのう、あいつ着るもんにうるさくて。」
「落ち着いてください。」
「落ち着いてます。
 落ち着いてます。はい。」
「今も手術は続いていますが、
 予想以上に脳に損傷があります。
 手術がうまくいっても、相当の、後遺症を覚悟していただかなくては
 なりません。」
「入院、という、ことですかね?
 ってことは、あれですか?シャンプーいりますか?
 あいついつもわざわざ、取り寄せたのを、あれしてて。」
「娘さんには、髪の毛を強く引っ張られた痕跡があります。
 事故とは考えられません。
 警察には、消防の方からすぐに連絡がいってます。」
「・・・」

長椅子で眠る悠里を見つめる五郎。
「どうしようか?悠里。
 お母さんのパジャマ、困ったなぁ。
 パジャマ、買ってきてやらんと。」

居たたまれずに立ち去ろうとする駿輔。
「どこ行くんすか?」
洋貴の問に答えず、駿輔は病院を出ていく。

ふかみ
「お風呂湧いてるわよ。」と響子。
「・・・ありがとうございます。」
「・・・亜季がいなくなった日もね・・
 警察からの連絡を待っている間、主人と言い合ったの。
 お風呂先に入ったらって。
 でも入らないまま、朝になって。
 警察が来て、亜季のこと聞いて、
 結局そのまま、暫くの間、
 お風呂のことなんか、頭に浮かばないようになっちゃって。」
「・・・」
「あなたの家もそうだった?」
双葉が頷く。
「フッ。みんな臭かったでしょ。」
双葉がまた頷く。
「はぁ・・。
 ご飯とお風呂は、済ませられるうちに・・済ました方がいいのよ。」
「・・・」
「また長い一日が、始まるかもしれない。」
「・・・」

ショッピングセンター
パジャマを選ぶ駿輔。
「分かります?」と洋貴。
「割と、背の高い方だったんで。」
「あの女の子何歳ぐらいですかね。
 あんな小さいのに、母親がいなくなったら・・・。」
「・・まだ、亡くなったわけじゃ。」
「でも先生の話だと、かなり難しいんじゃ。」
「まだ!・・・分かりません。」
「・・・親父が死ぬ前に言ってました。
 あいつはまたやるって。」
「・・・」
「もっと早く見つけてれば・・・。」
「・・・」

「兄ちゃんこれどう?何かサラサラするって。」と耕平。
「アロマってどうなの?」
「嫁さんに聞いて・・・ああ、ダメだ。
 兄ちゃんちにいることになってんだ。」

3人が病院に戻ると、五郎が悠里を追いかけていた。
「ほらほら、転ぶぞ、悠里。よいしょ。
 走っちゃダメだって、ほら〜。」
五郎の笑顔が辛く、駿輔は荷物を洋貴に託す。

「あ、あのう。」と洋貴。
「これ良かったら使ってください。」と耕平。
「・・・」
「すいません。勝手なことして。」と洋貴。
「シャンプー、バラの香りのと、アロマの香りのがあるんで、
 お好きなので。」と耕平。
「ああ・・あのう・・」
「あ、えっと・・。」と洋貴。
「三崎文哉に、妹を殺されました。」と耕平。
「えっ!?」
「兄です。」耕平の言葉に頭を下げる洋貴。
「弟です。」耕平も頭を下げる。
「ああ・・・。そうでしたか。そうでしたか。」

「おじちゃん!!」
悠里が駿輔に駆け寄る。
「おじちゃんも、悠里のママのこと待ってるの?」
「・・・うん。」
「一緒にあやとりして待ってよう?」
「・・うん。じゃあ座ろうか。」
「うん!」
五郎に申し訳なさそうに頭を下げる駿輔。

「深見さん、でしたか?」と五郎。
「はい。」
「うちに来た時に、大体のことは、聞いてます。
 亡くなった方のためにも、あいつにまっとうな人生をと
 思っていましたし。
 娘もあいつは気に入って。
 まさか・・・まさか、俺が雇ったやつが・・・。」

「草間さん。」と看護師。
「はい。」
「娘さんのことでちょっと。」
「じゃあ。」

「血腫は取り除きましたが、脳挫傷が広範囲です。
 意識が戻る可能性は低いです。
 あちらで詳しいお話を。」と医師。
「あのう、それはあれですか?
 昔、職場の仲間が、事故で、意識戻らんままなって。
 聞いたら、・・昏睡状態だっちゅうて・・・。」
「そうです。」
「え・・。それで、その仲間は・・・ 
 仲間はあのう、そのまま・・目が覚めんで・・。
 目が・・そのまま・・・。」
「はい。」
「・・・」初めて泣き崩れる五郎。
「じいじ!!
 じいじ。泣かないで。
 じいじ、泣かないで。」

ふかみ
風呂から出た双葉は、響子が電話で話す声を聞いていた。
「そう。そう。
 はい。
 あ、洋貴。あのう、声はかけなくてもいいから、
 力になれることがあったら、何でも、お手伝いしなさい。
 何かあっても、警察に任せて。
 分かった?
 はい。はい。はいはい。
 うん。じゃあね。」
電話を切り、頭を抱える響子。
振り返ると、双葉が立っていた。
「・・・あ・・あのう、私・・・
 会いに行ってきます。」
「誰に?」
「あっ。」
「洋貴?」
「いや・・」
「お父さん?」
「いや。」
「お兄さん?」
「・・・あのう、被害者の方に。」
双葉は響子に深く頭を下げ、出ていく。

遠山(三崎)家
呆然とした様子で受話器を置く隆美。
「・・・早く寝なさい。学校に遅れるわよ。」
「学校行けるの?」
「うん、ええ。」
「でも、その人もう目覚まさないんでしょ?」
「大丈夫。」
「でもお兄ちゃんが犯人だったら?」
「絶対邪魔させない。
 灯里は、どこにでもいる、普通の15歳の女の子として生きるの。
 誰が何を言うと、母さん絶対守るから!」
灯里は母の背中を抱きしめる。
「大丈夫・・・大丈夫・・・」隆美はそう繰り返し・・・。

草間家に刑事たちがやってくる。

車の中、15年前のあの日を思い浮かべる駿輔。
記者たちに取り囲まれマイクを向けられたあの日・・・。

病院
長椅子で眠る悠里を見つめる洋貴と耕平。
洋貴がずり落ちたカオルをかけ直す。
「この子もう、母親に頭撫でてもらったりできないんだよな。」と耕平。
「・・・」

そこへ五郎が買い物から戻る。
「あ、これ。ありがとね。」
洋貴たちにパンと飲み物を渡す五郎。
「すみません。」
「あ、これ。あの、あの人は?」
「あ、戻ってきたら渡しておきましょうか。」
五郎は駿輔の分を洋貴に渡すと、ICUの奥を見つめる。
「まだ、入れんらしい。参ったなぁ。ハハハ。」
「・・・」

悠里が目を覚ます。
「手術終わった?」
「うん。終わったよ。」と五郎。
「ママもう、お熱ない?」
「うん。まあ。もうちょっとな。はい。」

「病院の方に聞いてきましょうか?」と洋貴。

そこへ、医師がやってくる。
「草間さん。」
「はい。」
「こちら、袖ヶ浦署の。」
「ご迷惑、お掛けします。」と五郎。
「どうも。
 被害者を先に。」
「こちらです。」
「いや、あのう、ちょっと。
 先に、お父さんと娘さんを。」と洋貴。
「申し訳ありませんが、事件性があるケースです。
 ご理解ください。」と医師。
「いや、だって!」と洋貴。
「いやいや。いいんだいいんだ。
 ありがとう。じゃあ。」と五郎。
「どうぞ、こちらです。」
医師が刑事を案内する。
「すまんね。」と五郎。
「・・・」

洋貴は五郎の差し入れを届けようと駿輔を捜すが、
あおいクリーニングの車の中は空。

その頃、なすすべをなくした駿輔は、道路をフラフラと歩いていた。
車のクラクションも聞こえないのか車道を歩く駿輔。
道路の真中で立ち止まり・・・。

そんな駿輔を洋貴が助けた。
助けられて我に返る駿輔。
「・・・このまま・・・このまま・・・
 このまま生きてて・・・償えるんでしょうか。
 償いきれるんでしょうか・・・。
 15年経っても・・・15年経っても償い切れないのに・・・。」
泣きながら、地面を、自分の体を叩き、声を振り絞り話す駿輔。
「・・・さっき、あのお父さんが買ってきてくれました。
 あなたの分だとおっしゃってましたけど。」
「・・・」
駿輔が落とした財布を拾う洋貴。
財布の中には家族の写真。
洋貴はそこに映る、駿輔、双葉、灯里、隆美の笑顔を見つめ・・・。

電車で果樹園に向かう双葉。

息子の日垣涼太(竹部有紗)を抱き、バスを下りる由佳(村川絵梨)。
そのバス停に、文哉がいた。
「あのう、すいません。」と文哉。
「はい。」

洋貴が駿輔と病院に戻ると警官が来ていた。
「娘さんを見つけたのは確か、」と刑事。
「従業員の部屋です。」と五郎。
「行方不明の従業員は、雨宮健二。」
「はい。あ、でも本名は違います。」
「え?何?偽名?」
「三崎。あいつは、三崎、文哉といいます。」
「三崎、文哉?・・・三日月湖のか!
 署に連絡しろ!」
「はい!」
「何でそれを早く言わないんです!」
「すいません。」と五郎。
「彼が一番最初に立ち寄りそうな、」

「あのう。
 三崎文哉の・・・父親です。」
駿輔はそう言い、刑事に頭を下げる。

ふかみ
「こんにちは。」と由佳。
「由佳さん!」驚く響子。
「今お客さんが。どうぞ。」
「えっ。あっ。」
「ありがとうございます。
 ここにお願いします。すいません。」
文哉は由佳の荷物とベビーカーを持ってくれていた。
「今、バス停で。
 もうホント助かりました。
 ありがとうございます!」
「いえ。」
「あ、耕平来てます?」
「・・・帰った。」
「嘘!入れ違い!?
 お母さん一人ですか?じゃあ、今日は釣りは・・・。」
「・・あ、ちょっと待ってて。今・・見てくるから。」
響子は静かに店の奥に姿を消す。

文哉を見た響子はすぐさま、彼だと気づいていた。
部屋の中、震えを必死に抑える響子・・・。

病院
文哉の父だと駿輔が名乗り出ると、五郎とともに警察署へ
事情聴取のために行くことに。

病院の玄関に双葉が着いた。
「お父さん!」
「双葉!」
「お父さん。」
「大丈夫だ。・・大丈夫だから。」

「あんたの、娘か?」と五郎。
「・・・」駿輔が頷く。
「そうか。・・・娘か。」
双葉が頭を下げる。
「娘がいるのか!?
 ・・・返してくれ!俺の娘返してくれ!!
 娘返してくれ!娘返してくれよ!!
 娘返せ!!」
抑えていた感情を爆発させる五郎。
「草間さん!落ち着いてください!」
刑事たちが五郎を駿輔から引き離し、車に乗せる。
「うちに。うちへ帰るんだぞ。」
駿輔は双葉にそう言い、刑事たちと別の車に乗り込んだ。

「・・・」
「遠山さんのせいじゃないよ。」と洋貴。
「・・・私のせいです。」
「いや。」
「お兄ちゃんがそう言ってたんです。」
「え?」

(回想)
公衆電話、双葉と話す文哉。
「お前が嫌だって言うからこんなことになったんだ。」と文哉。
「こんなことって何?」と双葉。
「双葉のせいで、また人殺した。」
(回想終わり)

「私のせいです。」
「・・・」

ふかみ
「じゃあ、お言葉に甘えていいですか?すぐ用意するんで。」
由佳は子供を文哉に預ける。。
「あ、お母さん。台所借ります。」
「・・・はい。
 ごめんなさい。息子がちょっと出かけてて分からなくて。」
「はい。」
「えっと、お名前、お願いできますか?」
「・・・」
「あ、ごめんなさい。」
「大丈夫です。」
子供を抱いたまま名前を紙に書く文哉。
「アメミヤさん?あ、アマミヤさん?」
「はい。」
「・・ああ息子に今、聞いてみますね。
 えっと。うーん・・。」
動揺を抑え、洋貴にメールしようとする響子。
「あのう。」と文哉。
「はい?」
「ぬれてます。」
「ごめんあさい。嫌だ。
 おしっこしちゃったみたい。」

「ねえ、由佳さんおむつ持ってきた?」
「あ、おしっこしちゃいました?
 すいません。あ、カバン取ってもらっていいですか?」
「はい。」
「じゃあ奥借りますね。」
「うん。」
「すいません。ごめんごめんごめん。」
由佳と子供は奥の部屋へ。

「・・・あ、竿。」と響子。

その頃、洋貴と双葉は家路を急いでいた。
「とりあえず遠山さんの家まで送ります。
 あれだったらうちでもいいし。」
「・・・すいません。うちで大丈夫です。」
「・・・」

ふかみ
釣竿を選ぶ文哉。
「色々あるんですけど、わかります?」と響子。
「・・・」
「どれでもいいと思うんですけど。」
はさみが置いてあることに気づいた響子は、さり気なくそれを
隠そうとする。
その様子に文哉が気づいた。
見つめ合う二人。
「・・・文哉くん。」
「・・・はい。」
「今日ね、洋貴出かけてるの。」
「そうですか。」
「何の用?」
「妹を迎えに来ました。」
「妹さんも、洋貴と一緒よ。」
「・・・」
「千葉の農家のお宅で、事件があってね。
 娘さんが襲われたんですって。
 昏睡状態らしいわ。」
「・・・」
「可哀想に。
 お子さんもいるみたいなのに。」
「・・・」
「無念だったと思うわ。
 そう思わない?」
「・・・分かりません。」
「・・・どうして分からない?」
「・・・分かりません。」
「分からなくないでしょ。」
「わ・・・分かりません。」
店を出ようと歩く文哉。
「分からないはずないでしょ。あなたがやったんだから!」
文哉を掴み、自分の方に向かせる響子。
「・・・」
「あなたがやったんだから!」
「忘れました。」
「忘れたんなら、思い出しなさいよ!」
「ムリです。病気なんです。
 そういう病気なんです。
 病気って、自分じゃどうしようもできないから・・・。」
文哉の頬を思い切り叩く響子。
文哉の手を掴み、自分のお腹に当てる響子。
「ここよ!
 ここに亜季がいたの!
 私のお腹の中に、亜季が10カ月いたの!
 その間に、母親が何を思うと思う!?
 一つだけよ!
 健康に生まれますように。
 健康に生まれますようにって。
 毎日毎日10カ月間、それだけを思うの!
 亜季はね、女の子なのに、
 女の子なのに生まれた時3360グラムもあって、
 大きくなるね、あなた大きくなるね、って話しかけてたの。
 つかまり立ち出来るようになって。
 台所の、家のね、台所の横の柱に、
 背中つけて、背測って、
 並んだ傷見ながら、今年はこんなに伸びたねって。
 ご飯一杯食べたからだねって、笑ってたの。
 小学校行って、最初は、大きいランドセルが、
 だんだん小さく見え始めて、
 亜季はきっと、中学になったら、
 お母さんの背越しちゃうんじゃないって言ってたの。
 言ってた頃にね、あなたに殺されたの!分かる!?」
文哉の頬を思い切りつかむ響子。
響子から必死に逃れようとする文哉。
「分かる!?ハーーーッ!!
 あなたが殺したの!
 あなたが亜季殺したの!!
 ・・・私、あなたが中学生だったとしても、
 あなたが心を失ったんだとしても、 
 私は・・・あんた許さない!!」
「あーーーっ!!
 あーーーーっ!!
 あーーーーっ!!」
叫びながら響子を突き飛ばす文哉。
響子に馬乗りになり、叫びながら首を絞める。
「殺しなさい!!
 殺せるものなら殺しなさい!
 私は死なないから!
 あなたが死ぬまで、絶対に死なないからーっ!!」
泣きながら響子に覆いかぶさる文哉。
「・・・ふふ。亜季ちゃん綺麗だった。」
「・・・」
「三日月湖に浮かぶ亜季ちゃん、綺麗だった。
 それだけはよく覚えてるんです。
 だからおばさん。そんな落ち込まないで。」
「・・・」
響子はそばにあったイスで文哉の頭を殴り・・・。
「亜季・・・亜季・・・。」
と泣き崩れる。

車の中
「・・・深見さん。」と双葉。
「はい。」
「この前言ってたじゃないですか。
 いつか、心の底からやったーってなれる日が、
 来るんじゃないかって。
 ・・・なかなか来ないですね。」
「・・・はい。」
「来る感じないですね。」
「・・・」
「・・・死にたい。」
「・・・・・」
車を停める洋貴。
「・・・別に・・別に死ぬのは結構ですけど。」
「・・・」
「遠山さんが死んだら、俺も死ぬと思います。」
「・・・何言ってるんですか。
 私と深見さんは、加害者と、」
「そんなのもうどうでもいいだろ!!」
「・・・」
「死ぬとか言うなよ!!」
「・・・」
「・・・あんたにそんなこと言われたら・・・
 俺は・・・。
 俺は・・・。」
「・・・」
「できるもんなら・・・何もかも忘れて・・・
 できるもんなら、何もかも投げ出して・・・」
「・・・」
「どこか、ずっと遠くの・・・
 誰も知らない・・・
 僕らのこと、誰も知らないところに・・・
 行きたい。」
「・・・」
「二人だけで。」
「・・・」


瀕死状態の娘に戸惑う五郎。
パジャマ、そしてシャンプー。
突拍子も無い心配をしてしまうところが悲しかった。

そして、我が子がまた罪を犯してしまったという事実。
認めたくない、だけど認めなければいけない。
駿輔の表情がまた、辛かった。

文哉と響子の再会。
事件前は、友人の母親、息子の友達、という間柄だった。
今は響子にとって一番憎らしい相手。
最初は文哉にバレないよう感情を必死に抑え、
部屋の奥では一人震え、
文哉にバレてしまってからは、文哉を追求し、
あのビンタ!
ドラマであんなに強烈なビンタを見たのはいつ以来でしょう。
本気でしたね。打つ方もぶたれる方も。
風間さんのやつれた頬、あのあと相当腫れたんじゃ・・。
お二人の見事な役者魂に拍手!

鬼の形相で文哉を抑えつけ、腹から声を搾り出し、
思いをぶつける響子。
そんな響子から必死に逃れようとする文哉。

本当に本当に、すごいシーンでした。

実際のところはどうなのかわかりませんが、ドラマでは
少年医療院での対応が、罪=病気となっている。
だから文哉は自分を病気なんだと言い訳にしてしまっている。
自分の罪に背を向け、病気のせいにしてしまっている。
これじゃ、立ち直ることなんてできない。
だって病気なら、また再発するという不安を一生抱える
ことになるから。

死にたい、と漏らした双葉に、本気で叱りつける洋貴の姿に
涙がこぼれました。
いつか二人に笑顔が戻りますように。
いつか二人が笑顔で向きあうことが出来ますように。



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気になるセリフ:
第一話の回想シーン
「フランダースの犬って、何のためにあるの?
 ネロはさ、お父さんもお母さんもいなくて、いじめられたり、
 騙されたりして。最後には死んじゃうのよ。犬も一緒に。
 何のためにこんな悲しいお話があるの?」
「何のためって?」
「ネロは、生まれない方が良かったんじゃない?
 お兄ちゃん、どう思う?」

第4話(響子と洋貴)
「あのご主人、町で、誘致した時計工場の課長さんだったから、
 どこでも目立ってて。」
「エリートっぽい?」
「うん。感じだったから。
 お父さんの気安いのが、嫌だったみたい。
 大学は?とか、 年収は?とか。
 お父さんの、スナックの、開店1周年記念の、
 安物の腕時計見て、がんばってくださいよって、肩叩いて。
 お父さんヘラヘラ笑ってたけどね。」
「・・・」
「あの時、あの子もそういう顔してた。」
「・・・はっ。文哉?」
「・・・」
「何でだろう。自分の父親に。」

第4話(回想シーン)
「お兄ちゃんと双葉は、同じだよ。
 夜を見たんだ。」
「夜?」
「同じ夜を見たんだ。」
「・・・」

第5話(五月)
「私も手伝っていいですか?
 私の母を殺した犯人は、自殺したんですよ。
 私も父も、なんか、気持ちの持っていきようがなくて。」

第5話(文哉)
「そうです。忘れないでください。
 もし忘れたら、夜のところに置いていくから。」

第6話(文哉と双葉)
「就職できなかったか。
 学校でも色々嫌な思いさせられたか?」
「・・全然。全然!ないないない。・・ない。」
「あいつら。」

(因島)
「・・・俺とお前のお母さんが生まれた場所だから。
 俺お母さんのお墓がある場所も知ってるし。
 お墓移してって思って。」

「お兄ちゃんが亜季ちゃんを殺したでしょ?」
「亜季ちゃんは天国に行ったんだ。」
「・・・」
生まれてこない方がよかったから。」

第7話(川藤→雪絵)
「先生の診断では、父親が家庭に無関心だった上、
 もともと厳しかった母親が突然事故死したことが、
 大きなトラウマを残したんじゃないかって。
 結局あの子本人が一番わかってないのよ。」

第7話(文哉→雪絵)
「亜季ちゃんが教えてくれました。
 生まれてこなければよかったのにって言いました。」


第7話(雪絵)
「退院した日、彼の日記を見つけました。
 時折挿し絵のようなものが描いてあって。
 そこに出てくる人間は、みんな、赤い尾ひれのついた、金魚でした。
 彼にとって人間は、みんな水槽の中にいるかわいそうな金魚で、
 手のひらですくって、壊してしまいたい衝動に、
 いつも、駆られてたんです。」

『6月28日
 工場の仕事が始まる。
 溝切りを任された。
 訓練所で習ったのとは少し違ったけど、
 明日からはもう少し上手くできると思う。
 アパートに帰って雪絵が作った餃子を食べた。
 雪絵はよく笑う。墨はあまり考えないようにしている。

 7月19日
 レストランでエビフライを食べた。
 雪絵がトイレに行った時、隣のテーブルに小学生の女の子が
 来て座った。
 僕はフォークを少し離して置くことにした。
 雪絵が戻ってくるのを待った。
 我慢出来た。』

『9月5日
 昨日のマンションに行った。
 もう一度カーテンの色を確認しようと思った。
 よく見えなかったのでドアを開けようと思ったけど、
 開かなかった。
 屋上へ行った。町がよく見えた。
 また頭の中の井戸を覗き込んでみた。
 水は入っていなかった。
 渇いている。水を入れたい。
 すごく困る。死にたい。

 10月1日
 夢を見た。
 ハンマーで雪絵の頭を何度も何度も叩いた。
 雪絵は叩かれながらギョーザを作った。
 目が覚めたら雪絵が朝ごはんを作っていたので食べた。
 味がしなかった。
 またいつかしてしまうと思う。
 またいつかしてしまうと思う。
 生まれてきてはいけなかった。

 11月9日
 すごく気分が良い。
 空が青い。緑が光ってる。
 雪絵が笑っている。
 井戸の中は水で一杯だ。

 11月9日
 人間は悲しい。
 どうして生まれたのかわからないまま生まれてきて、
 どうして生きてるのかわからないまま生きて、
 何もわからないまま、何もわからないまま死んでいく。

 11月9日
 殺す僕がいる。
 殺す僕は、僕の子供を殺すだろう。
 僕は見てるだけ。
 殺す僕が、僕の子供を殺すのを見ているだけ。
 それでも僕は生きている。』

第8話(文哉→響子)
「ムリです。病気なんです。
 そういう病気なんです。
 病気って、自分じゃどうしようもできないから・・・。」





キャスト

深見 洋貴(瑛太)
遠山(三崎)双葉(満島ひかり)

雨宮 健二(風間俊介)※三崎文哉

遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)
遠山(三崎)灯里(福田麻由子)
三崎 駿輔(時任三郎)

日垣(深見)耕平(田中圭)
日垣 由佳(村川絵梨)
日垣 誠次(段田安則)

草間 真岐(佐藤江梨子)
草間悠里(原涼子)
草間 五郎(小野武彦)

臼井 紗歩(安藤サクラ)

藤村 五月(倉科カナ)

深見 達彦(柄本明)
野本(深見)響子(大竹しのぶ)



スタッフ

脚本
坂元裕二
音楽
辻井伸行
主題歌
小田和正「東京の空」
プロデュース
石井浩二
演出
永山耕三
宮本理江子
並木道子
制作
フジテレビドラマ制作センター

公式HP



瑛太さんの主な出演作品




満島ひかりさんの主な出演作品




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