2011年09月12日

それでも、生きてゆく 第10話

『対決の果てに』

朝方、トイレの窓から朝日を見つめる深見洋貴(瑛太)・・・。

因島
老夫婦の住む家を訪れる文哉(風間俊介)。
「三崎文哉と申します。」
「・・・え?・・・まさみの?」
文哉が頷く。
「息子ね・・・。」

洋貴は三崎駿輔(時任三郎)から雨宮健二=三崎文哉の
亡くなった母の出身地を聞き、広島行きの新幹線に乗る。

ふかみ
「オレさ。母さんに頑張れって言いすぎたかな。」と耕平。
「・・うん?」と響子(大竹しのぶ)。
「高校とか大学の頃さ、みんなでカラオケ行くでしょ?」
「うん。」
「歌詞に出てくるんだよね。
 希望とか、光とか。
 まあ、オレも歌うんだけどさ。
 歌ってながら俺、で、なに?って思ってた。
 希望って何?
 光って何?」
「・・うん。」
「みんなは分かってんのかなって思ってたけど、
 何か聞けないしさ。
 ノリ悪い人だなとか、被害者家族だから暗いとか言われたら
 めんどくさいし。」
「うん。」
「・・・でもそんなんで俺・・・
 そんなノリのまんまで俺・・母さんに頑張ろうよって言ってた。」
「・・・耕平、励ましてくれた。」
「カラオケで歌う希望しか知らないヤツに励ます資格ないでしょ。」
「そんなこと、誰にも分からないのよ。」
「・・・兄ちゃんは?」
「洋貴は・・・どうなのかなぁ。」

その頃、すでに遠山(三崎)双葉(満島ひかり)は、
その地で文哉を探していた。
公衆電話の電話帳で実母の実家を調べようとする双葉。
携帯の留守電に気づき、メッセージを再生してみるが、
洋貴からだとわかると消してしまう。

駿輔は遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)、遠山(三崎)
灯里(福田麻由子)と別居し、果樹園の草間五郎(小野武彦)のもとに
謝罪のため足を運ぶのだが、会ってはもらえない。

五郎は『延命治療拒否についての同意書』を前に悩んでいて・・・。

隆美と灯里の住むアパート
「あ、おかえり。」と隆美。
「ただいま。」と灯里。
「双葉から連絡あった?」
「ううん。」
「7時頃戻るわ。」
「うん。」
「転校の手続き明日、」
「いってらっしゃい。」
「あ・・いってきます。」

母親が出かけると、灯里は買ってきた雑誌を広げる。
そこには、加害者家族として隆美と灯里の写真が載っていて・・・。

因島
公衆電話の中で座り込み、電話帳を見つめる双葉。
外は雨。
公衆電話の扉を誰かがノックする。
「!!」
洋貴だった。
ドアを開けようとする洋貴、必死に抑える双葉。
「・・・海。いいっすねぇ。」と洋貴。
「そっすか?」
「そん中すごく暑くないっすか?」
「まあ、暑いといえば暑いパターンですけど。」
「ちょっと貸してもらえます?」
隙間から双葉のカバンを引っ張り出そうとする洋貴。
「いや。貸すとかそういうあれとかないんで。」
「僕の、車のあれ。中に置いてあったやつ。
 持って行きましたよね?ねえ!?」
「ちょっと、言ってる意味分かんないですね。」
「返してください。」
「あっ。
 ・・・はぁ。
 ちょっと、出ますね。」
公衆電話を出る双葉。
「暑い。」
「そんなん持ち歩いてどうするんすか?」
「深見さんに言われたくないです。」
「返してください。」
「ちょっと!帰ってください!
 近寄らないでください!」
双葉のカバンを奪う洋貴。
「あ、ちょっと!」
「あなたに出来るわけないでしょ。」
「・・・深見さんには出来るんですか?」
「・・・」
「人殺し、きついですよ。
 家族のことは家族で丸く納めて、するんで。」
「全然分かってないっすね。」
「・・・」
「自分が人殺しになるより・・・遠山さんがなる方がキツイっす。」
「・・・」
「ていうか、正直ものすごい怒ってます。
 不満です!一人で勝手・・こんな。
 ここ、そういう信頼ない感じだったんすか!?」
「・・・」
「そんなもんだったんすか!?」
「・・・私だって同じです。
 自分がなるより深見さんがなる方がキツイです。」
「・・・」
双葉のカバンの中のナイフを自分の胸ポケットにしまう洋貴。
「ありました?村上さん。」
「はい?」
「あ、名前も知らなかったんすね。」
「・・・」
「お父さんから聞きました。
 あなたと文哉のお母さん、旧姓、村上というそうです。」
「村上。」
「村上雅美さんです。」
「・・へえ。・・へえ。」

公園で地図を広げる二人。
「私はまだ0歳だったんで、
 だから全然そういう、兄みたいなの、ないんです。
 私の母はやっぱりお母さんだから。」
「・・・あ。ここ、村上っすね。」
「あっ。村上だ!村上、村上、村上。」
「結構ありますね。」
「あ!ここ全部村上だ。」

文哉は亡き母の実家で写真を探していた。
「雅美は出ていく時にみんな持っていったけ、
 何もないわ。」と祖母。
「これは?」
「ああ。うちの姪っ子じゃ。」
「・・・」
「写真なんか探して、どうするん?」
「・・・」

しばらくして、祖父と祖母が様子を見に行く。
「お前。」と祖父。
「僕の家には、お母さんと僕と赤ちゃんがいました。
 赤ちゃんが泣くと、
 あー嫌だ、もう嫌だ、
 お母さんはそう言います。
 お父さんは帰ってきません。
 僕は押入れのところにいました。
 押入れのところは夜のところみたいでした。
 お母さんはお父さんとハワイに行った話を何度もしました。
 水着のままで赤い大きなエビを食べたお話をしました。
 あんた達が生まれてこなければ何回もハワイに行けた。
 産まなければ何回もハワイに行けた、言いました。
 お母さんは、お洗濯ものを持って、ベランダのところに行きました。
 お母さんどこ行くの?どこ行くの?
 天国よ、と言いました。
 天国のハワイに行くと言いました。」
「すまんのう。雅美は、勝手に嫁に行って、勝手に死んだ。
 もう、うちとは、関係なあけえ。」
「お父さんと双葉と新しいお母さんを殺す夢を
 何度も見ました。
 ああ、僕みんな殺してしまう。
 殺してしまうと思って、死のうと思って、
 三日月湖の柵を壊そうと思って、金槌を持って行って。
 でもそうしたら、洋貴の妹が歩いてて。」

(回想)
「ネロは、生まれてこない方が良かったんじゃない?」
「・・・」
「悲しいことばかりなのに、何で生まれてきたの?」
(回想終わり)

「お母さん、助けて。お母さん助けてって思ったけど、
 お母さんの顔が思い出せなくて。
 思い出せなくて。
 夜のところでは赤い大きなエビが見えて。
 ・・・目が覚めたら洋貴の妹・・・
 三日月湖に浮いてました。」
「お前・・子供殺したんか?」
「大丈夫です。
 次はちゃんと自分を殺します。」

家中をひっくり返して写真を探す文哉の異様さに祖父母は
警察に連絡。
自殺すると文哉が家を出て行った後に、警官に説明する
祖父母たちの話を洋貴と双葉が聞きつけた。

加害者家族として顔写真が写真紙に掲載されてしまった隆美と灯里。
15年前のことを知らなかった灯里は激しく絶望してしまう。
「灯里、ごめん。シフト入っちゃって。
 転校の手続き明日行けなくなっちゃった。」
「いいよ学校はもう。」
「お昼休み時間抜け出すから。
 ね。市役所で待ち合わせしよっか?」
「・・・」
「やめなさい!こんなもの!」
隆美は灯里が雑誌を見てしまったことに気づく。
「学校行ったって!!」
「灯里・・・。灯里・・ごめん。ごめん・・。」

ノックの音。
「遠山さん。」
響子が訪ねてきた。

「15年前、週刊誌であなたの写真を見ました。
 おなかが大きくて。」
「はい。この子です。」
「・・・私、その写真を見て、あなたを憎みました。」
「当然です。」
「あなたも、そうじゃありませんか?」
「・・・」
「私たちを、憎み続けてきたんじゃありませんか?」
「・・・とんでもありません。」
「気づいていたはずです。
 被害者家族の誰かが、嫌がらせをしてるんだって。」
「・・・」
「だったら、どうしてご主人と、ずっと一緒にいたんですか?
 ずっと家族のままでいたんですか?」
「それは・・それは・・」
「私たちに、負けまいとして。」
「違います。違います。」
「・・・私・・・あなたと話したくて来たんです。」
「・・・」
「・・・」
「・・・はい。・・・憎んでました。」
「・・・」
「15年間あなたのことを考えて生きてきました。
 ・・・事件の後、おなかの子を連れて死ぬことも考えました。
 だけど、以前、あのパッチワーク教室で会ったあなたの顔を
 思い出したんです。
 ・・・あの人には・・同情する人がいる。
 私には死ねと言う人がいる。
 何の違いがあるのかと思いました。
 娘が殺されたこと。
 息子が、人を殺したこと。
 苦しみに。この苦しみに何の違いがあるのかと思いました。
 あなたのことを憎んで。
 あなたのことを憎んで今日まで生きてきました。
 ・・・私は、身勝手な人でなしです。」
「・・・ほっとしました。」
「・・・」
「あなたがこの15年、苦しんできたことを知って、
 今、ほっとしたんです。」
「・・・」
「私も、ひとでなしです。」
首を横に振る隆美。
「あなたたち、許せる日が来るとは、今も・・思えません。
 ただ、今朝、この写真見ても、
 もう昔のような気持ちには、なりませんでした。
 不思議な感情。
 多分息子が、洋貴が、双葉ちゃんと会った時と
 同じ気持ちです。
 あの二人と、同じです。
 私たちは、被害者家族と、加害者家族だけど、
 同じ乗り物に乗っていて、一生、降りることはできない。」
隆美が頷く。
「じゃあ・・・行き先は・・・
 一緒に考えないと。」
「・・・やめてください。
 言わないでください。
 私は、あなたのことを憎んで・・
 憎むことで今日まで生きてきたのに・・・。
 そんなこと言われたら・・・
 そんなこと言われたら・・・。」
涙を流す隆美、そして響子・・・。

一方、ようやく五郎に会ってもらえた駿輔は、真岐(佐藤江梨子)が
入院する病院に連れて行かれて厳しい現実を突きつけられてしまう。
「このままだと、もうすぐ自分で息もすることも出来なくなる。
 だけど、延命措置をしたら、俺は孫に何も残せなくなる。」
「私がどんなことしても補償しますから!」
「あんた!
 これで生きていると言えんのか!?」
「・・・」
「座れ。・・・座れ。」
五郎に言われ、イスに座る駿輔。
一度は捨てた同意書を広げる五郎。
「今から、サインする。
 父親が、娘の命を諦めるところだ。
 あんた、目そらさんと、見とけ!」
「・・・」
五郎は、駿輔の目の前で孫を守るためと真岐の延命拒否同意書に
サインしたのだ。

小学校のプール
文哉は自分の両手、両足をビニールテープで縛り・・・。
「ああー。おなかすいたな。」
とつぶやくと、背中からプールに落ちていく。

洋貴と双葉は、文哉を探して小学校で行われている夏祭りの会場へ。
「深見さん。
 このまま・・このまま放っておいたら、
 兄が自殺して・・復讐しなくてよくなるかもしれませんよね。」
「・・・そんなこと。」
「だってそしたら、深見さんが罪を犯さなくて済むし。
 あの果樹園のお父さんたちだって喜んでくれるだろうし。
 深見さんのご家族も、私の家族だってみんな・・・
 楽、楽になれるだろうし。」
「・・・」

そんな時、洋貴がプールの入口に日向夏が落ちているのに気づく。
プールサイドに行くと、水の中に人影が。
洋貴が飛び込んで助け上げると、それは自殺を試みた文哉だった。
「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!お兄ちゃん!!
 お兄ちゃん!お兄ちゃん!
 ねえ、やだ!お兄ちゃん!!
 やだやだやだやだ!お兄ちゃん!お兄ちゃん!
 ねえ、お兄ちゃん!
 お兄ちゃん!お兄ちゃんやだ!!」
兄の名を泣き叫び、取りすがる双葉を見ていた洋貴は、
胸からナイフを取り出す。
「どいて!どいて!!」
洋貴はビニールテープをナイフで切ると、
人工呼吸を施す。
「文哉・・・文哉。文哉ーっ!!」
「お兄ちゃん・」
「逃げんな!!
 文哉!おいっ!文哉?文哉ーっ!!逃げんな!!
 おい!!」
文哉は一命を取り留めた。

洋貴と双葉は文哉を連れて食堂へ。
「祭りの帰りかね?」と店主。
「はい。」
「酔っ払うて、海入ったんじゃろ。ハハハ。」
「オムライスください。」と文哉。
「おう。オムライス。」
席を立つ文哉を捕まえる洋貴。
「どこ行くの!?」と双葉。
「トイレ。」
「トイレに窓とかあります?」と洋貴。
「なあけど。」と店主。

「オムライス、3つ?」と店主。
「はい。」と洋貴。
「ポテトサラダ美味しいよ。」
「あ、じゃあ。じゃあ、はい。
 ポテトサラダください。」と双葉。
「うん。オム3つ、ポテ1、な?」
「はい。」
「よし。よいしょ。」

「どうするんですか?」と双葉。
「・・・」
「どうして助けたんですか?
 さっきあのまま放っておいたら・・。」
「分かんないっす。
 っていうか自分だって。」
「・・・警察、呼ぶんですか?」
「えっ?・・・分かんないっす。
 わかんないっすけど・・・。
 あいつのこと信じてみようかと思って。」

文哉がトイレから戻る。
「お兄ちゃん。深見さんが助けてくれたんだよ。」
「・・・うん。」
「深見さんが助けなかったら死んでたんだよ。」
「・・・うん。」
「・・・自殺しようとしてたんだよね?」
「いいよ。またするから。」
「・・じゃあまた助ける。
 南海死のうとしても助ける。・・・逃さない。」と洋貴。
「・・・」
「色々聞いた。
 お前が自分自身を怖がってるみたいなことも。
 怖がってお前・・・自分の子供が生まれる前に殺したことも。
 亜季に、生まれてこなければよかったって言われたことも。
 そんなくだらないことで殺したんだ。」
テーブルを叩く洋貴。
「・・・まだかな。」と文哉。
「俺さ、ずっとお前のこと捜してたんだよ。
 これで殺そうと思って。
 しばらく持ち歩いてたんだ。」
ナイフをテーブルに置く洋貴。
「多分あの時、この人にお止められなかったら、
 お前のこと刺して、殺して、
 今頃刑務所に入ってて・・ってなってたと思う。
 で俺は、まあ何も感じないまま、
 そういう運命かって普通に受け止めてたと思う。
 でもそうじゃなくあんった。
 この人に止められて。
 この人と知り合って。
 俺多分・・・俺変わったんだ。」
「・・・」
「色々会ったんだよ。あれから色々。
 この人とも色々あったし。
 母親とも色々あったし。
 お前の両親とも色々あって。
 何ていうかこう、もつれた釣り糸、一つ一つ
 解くみたいにして。
 だけど時々、針とかぐいぐい刺さって痛くて。
 知らなかった方が楽で。
 知るのが痛くて。
 息、詰まって。
 でも、知りたくて。
 だんだん。だんだん何かほどけてきたら、
 俺ホントは、どうしたいのか分からなくなった。
 今も分かんない。分かんないんだけど・・・。
 ・・・もうお前を殺そうなんて思えないんだ。」
「・・・」
「亜季がさ、何のために悲しいお話があるのかって
 聞いてきたことがあった。
 何でわざわざ人間は悲しいお話を作るんだろうって。
 亜季が殺されて、友達が犯人で、バラバラになった家族があって。
 兄貴の無実信じながら苦しんで、信じながら生きた人がいて。
 ・・・悲しい話ばかりで、逃げたくなる。
 だけど逃げたら、悲しみは残る。
 死んだら・・殺したら、悲しみが増える。
 増やしたくなかったら・・・
 悲しいお話の続きを書き足すしかないんだ。」
「・・・」
「いつかお前が、人間らしい心を取り戻して、
 初めからやり直して、償いを・・・
 いや・・・違うか。
 そんな話どうでもいいんだ。
 どうでもいいや。どうでもいい。
 今の話全部忘れていいよ。
 ・・・ただ・・たださ。
 今朝、朝日を見たんだ。
 ゆうべずっと眠れなくて、朝方トイレ行って。
 トイレ便所臭くて。
 窓開けたら、朝日見えて。
 便所臭いトイレの窓から朝日見えて。
 そんなこと、あそこに住んで一度も感じたこと
 なかったんだけど。
 また今日が始まるんだなって。
 楽しくても、辛くても。
 幸せでも、虚しくても。
 生きることに、価値があっても、なくても。
 今日が始まるんだなって。
 あの、便所の窓からは、
 この15年間毎日ずっと・・・
 今日が始まるのが見えてたんだなって。」
「・・・」
文哉の両手をぎゅっと握り締める洋貴。
「・・・上手く言えないけど、文哉さ・・・
 俺お前と一緒に朝日を見たい。
 一緒に見に行きたい。
 ・・・もうそれだけでいい。」
「・・・ご飯まだかな。」
「・・・・・」
洋貴から手を放す文哉。
「お兄ちゃんお腹すいてんだよ。」
「・・・」
兄の言葉に泣き出す双葉。

「自首すればいいんだろ。」と文哉。
「・・・」
「謝ればいいのか。」
「・・・」
「ごめんな、洋貴。」
「・・・」
「双葉・・・ごめんな。」
「・・・」

「ほい、オムjライス。
 はい、マカロニサラダ。ほい、スプーン。
 え?何?なんね?」
「・・・ポテトサラダです。」と洋貴。
「マカじゃのうて?」
「いや、いいです。マカロニサラダで。」
「フフフ。マカ、おいしいよ〜。」

平然と、オムライスを口に運ぶ文哉。
洋貴はオムライスを食べながら、
「フフフ。ハハハ。
 ハハハハハハハ!!」
・・・笑うしかなかった。

食事を終えると、洋貴と双葉は文哉を警察に連れて行く。
警察署前で、一人で出頭すると玄関に向かう文哉。
その背中を見ていた双葉の何かが弾けた。
文哉に走り寄った双葉は、背中に蹴りを入れて倒し、殴り始めた。
洋貴や気づいて駆けつけた警官もふりほどき、双葉は泣き叫びながら
文哉を殴り続け…。


冒頭、トイレの窓から外を見る洋貴のシーン、
長く伸びた髪をバッサリ切ったときにも同じようなシーンが
ありました。
あの時と比べて、洋貴の表情はずいぶん穏やかになっています。

因島、村上家を一軒一軒探す洋貴たち。
犬に吠えられて必死に逃げる洋貴と、
「シッシッ!」って追っ払う双葉が可愛かった。

納屋で母の写真を探していた文哉は、5歳の頃に戻っていました。
仕事ばかりの父。母親の育児放棄、もしくは育児ノイローゼ。

押入れのところにいました、というのは、押入れに
閉じ込められたのか、押入れに逃げたのか。
ハワイで食べた赤いエビの思い出を楽しそうに話す母。
「アンタ達がいなければ何回もハワイに行けた」と母。
「天国のハワイに行くの。」
そして、ベランダから落ちていく母。

もしかしたら5歳の文哉は母親のことを突き飛ばしてしまったのかな。
5歳の文哉の心の傷を、本当はもっと早く周りの大人が
気づいてあげるべきでした。

自分の中の殺意を断ち切ろうと、文哉は自殺するために
三日月湖に向かった。
そこで、亜季ちゃんと会ってしまった。

「ネロは、生まれてこない方が良かったんじゃない? 
 悲しいことばかりなのに、何で生まれてきたの?」

亜季ちゃんの言葉が自分に向けられたと思い、
気がついたら亜季ちゃんは湖に浮いていた。

自殺する時に「お腹すいたな」とつぶやく文哉。
生きること、死ぬことを全く理解していないのかもしれない。

文哉が自殺すれば、みんなが楽になる。
そう思っていた双葉だけど、実際、あんな文哉を見たら
取り乱して・・・。
家族ってそういうものなのかもしれない。

そして、あのナイフは文哉を殺すためでなく、
文哉の命を助けるために使われました。

悲しみを増やしたくなければ、悲しいお話の続きを
書き足すしかない。
それが洋貴が見つけた答え。
そして響子も。
だから響子は隆美に会いにいったんですね。

文哉と話しているうちに、洋貴は自分がどうしたいのか
答えを見つけた。
「お前と一緒に朝日を見たい。」
それが、洋貴にとっての悲しいお話の続き。
やっと、やっと見付け出した答え。

それなのに文哉は、
「ご飯まだかな。」
洋貴の心が届かなかった。
文哉には洋貴の想いを受け止める心がなかった。
手で口を抑えて涙する双葉。
もう、笑うしかない洋貴。

ここももう、すごいシーンでしたね。
洋貴の笑いがしばらく頭から離れなかった。
人間ってあまりにもショックな時、あんな風になってしまうのかも。

母に捨てられ、父に捨てられ、双葉に捨てられ、
文哉は心を完全に失ってしまった。
彼が感情を取り戻すのは、家族との繋がりが再生したとき。
そうしてやっと、お話の続きを書き足せるのかもしれない。


小道具騒動(週刊誌)を知り、本当に残念に思います。
誰か気づく人はいなかったの?
素晴らしい作品なのに本当に残念。悔しいです。



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気になるセリフ:
第一話の回想シーン
「フランダースの犬って、何のためにあるの?
 ネロはさ、お父さんもお母さんもいなくて、いじめられたり、
 騙されたりして。最後には死んじゃうのよ。犬も一緒に。
 何のためにこんな悲しいお話があるの?」
「何のためって?」
「ネロは、生まれない方が良かったんじゃない?
 お兄ちゃん、どう思う?」

第4話(響子と洋貴)
「あのご主人、町で、誘致した時計工場の課長さんだったから、
 どこでも目立ってて。」
「エリートっぽい?」
「うん。感じだったから。
 お父さんの気安いのが、嫌だったみたい。
 大学は?とか、 年収は?とか。
 お父さんの、スナックの、開店1周年記念の、
 安物の腕時計見て、がんばってくださいよって、肩叩いて。
 お父さんヘラヘラ笑ってたけどね。」
「・・・」
「あの時、あの子もそういう顔してた。」
「・・・はっ。文哉?」
「・・・」
「何でだろう。自分の父親に。」

第4話(回想シーン)
「お兄ちゃんと双葉は、同じだよ。
 夜を見たんだ。」
「夜?」
「同じ夜を見たんだ。」
「・・・」

第5話(五月)
「私も手伝っていいですか?
 私の母を殺した犯人は、自殺したんですよ。
 私も父も、なんか、気持ちの持っていきようがなくて。」

第5話(文哉)
「そうです。忘れないでください。
 もし忘れたら、夜のところに置いていくから。」

第6話(文哉と双葉)
「就職できなかったか。
 学校でも色々嫌な思いさせられたか?」
「・・全然。全然!ないないない。・・ない。」
「あいつら。」

(因島)
「・・・俺とお前のお母さんが生まれた場所だから。
 俺お母さんのお墓がある場所も知ってるし。
 お墓移してって思って。」

「お兄ちゃんが亜季ちゃんを殺したでしょ?」
「亜季ちゃんは天国に行ったんだ。」
「・・・」
生まれてこない方がよかったから。」

第7話(川藤→雪絵)
「先生の診断では、父親が家庭に無関心だった上、
 もともと厳しかった母親が突然事故死したことが、
 大きなトラウマを残したんじゃないかって。
 結局あの子本人が一番わかってないのよ。」

第7話(文哉→雪絵)
「亜季ちゃんが教えてくれました。
 生まれてこなければよかったのにって言いました。」


第7話(雪絵)
「退院した日、彼の日記を見つけました。
 時折挿し絵のようなものが描いてあって。
 そこに出てくる人間は、みんな、赤い尾ひれのついた、金魚でした。
 彼にとって人間は、みんな水槽の中にいるかわいそうな金魚で、
 手のひらですくって、壊してしまいたい衝動に、
 いつも、駆られてたんです。」

『6月28日
 工場の仕事が始まる。
 溝切りを任された。
 訓練所で習ったのとは少し違ったけど、
 明日からはもう少し上手くできると思う。
 アパートに帰って雪絵が作った餃子を食べた。
 雪絵はよく笑う。墨はあまり考えないようにしている。

 7月19日
 レストランでエビフライを食べた。
 雪絵がトイレに行った時、隣のテーブルに小学生の女の子が
 来て座った。
 僕はフォークを少し離して置くことにした。
 雪絵が戻ってくるのを待った。
 我慢出来た。』

『9月5日
 昨日のマンションに行った。
 もう一度カーテンの色を確認しようと思った。
 よく見えなかったのでドアを開けようと思ったけど、
 開かなかった。
 屋上へ行った。町がよく見えた。
 また頭の中の井戸を覗き込んでみた。
 水は入っていなかった。
 渇いている。水を入れたい。
 すごく困る。死にたい。

 10月1日
 夢を見た。
 ハンマーで雪絵の頭を何度も何度も叩いた。
 雪絵は叩かれながらギョーザを作った。
 目が覚めたら雪絵が朝ごはんを作っていたので食べた。
 味がしなかった。
 またいつかしてしまうと思う。
 またいつかしてしまうと思う。
 生まれてきてはいけなかった。

 11月9日
 すごく気分が良い。
 空が青い。緑が光ってる。
 雪絵が笑っている。
 井戸の中は水で一杯だ。

 11月9日
 人間は悲しい。
 どうして生まれたのかわからないまま生まれてきて、
 どうして生きてるのかわからないまま生きて、
 何もわからないまま、何もわからないまま死んでいく。

 11月9日
 殺す僕がいる。
 殺す僕は、僕の子供を殺すだろう。
 僕は見てるだけ。
 殺す僕が、僕の子供を殺すのを見ているだけ。
 それでも僕は生きている。』

第8話(文哉→響子)
「ムリです。病気なんです。
 そういう病気なんです。
 病気って、自分じゃどうしようもできないから・・・。」

第9話(洋貴→双葉)
「あの模型には、心臓も脳も肺も、腎臓とか肝臓とか全部あるけど、
 心は・・どこにもないじゃないすか。
 俺ってこれと同じなのかなって思ってました。
 ・・・文哉もそうかもしんない。
 心がないのかもしんない。
 そしたら話なんかできないっすよね。」

第10話(洋貴→文哉)
「悲しい話ばかりで、逃げたくなる。
 だけど逃げたら、悲しみは残る。
 死んだら・・殺したら、悲しみが増える。
 増やしたくなかったら・・・
 悲しいお話の続きを書き足すしかないんだ。」


キャスト

深見 洋貴(瑛太)
遠山(三崎)双葉(満島ひかり)

雨宮 健二(風間俊介)※三崎文哉

遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)
遠山(三崎)灯里(福田麻由子)
三崎 駿輔(時任三郎)

日垣(深見)耕平(田中圭)
日垣 由佳(村川絵梨)
日垣 誠次(段田安則)

草間 真岐(佐藤江梨子)
草間悠里(原涼子)
草間 五郎(小野武彦)

臼井 紗歩(安藤サクラ)

藤村 五月(倉科カナ)

深見 達彦(柄本明)
野本(深見)響子(大竹しのぶ)



スタッフ

脚本
坂元裕二
音楽
辻井伸行
主題歌
小田和正「東京の空」
プロデュース
石井浩二
演出
永山耕三
宮本理江子
並木道子
制作
フジテレビドラマ制作センター

公式HP



瑛太さんの主な出演作品




満島ひかりさんの主な出演作品




この記事へのコメント
本当にすばらしい作品ですよね。

ひとつ気になったのですが、
「小道具騒動(週刊誌)を知り、本当に残念に思います。」
とありますが、小道具騒動ってなんですか?
Posted by Tommy at 2011年09月15日 14:16
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