2011年09月19日

それでも、生きてゆく 最終話

『光の方にむかって・・・』

深見洋貴(瑛太)の目の前で雨宮健二=三崎文哉(風間俊介)は
逮捕された。
深見亜季(信太真妃)を殺害したことに何の反省もせず、感情の
かけらさえ見せない文哉を殴り続けた遠山(三崎)双葉(満島ひかり)は
拳から血を流している。

警察署
「悔しいです。こんなの許せないです。
 やっぱりあの時助けなければ良かった。
 ・・・ごめんなさい。」
「・・・僕は多分、もう1回同じことになっても、
 また同じ事をすると思います。
 助けると思います。
 殺したら・・・文哉と同じ人間になるじゃないですか。
 僕は文哉のような人間になりたくないっす。
 遠山さんにもなってほしくないっす。」と洋貴。
「・・・」
「これで良かったんです。」

ふかみに藤村五月が訪れる。
「三崎文哉。拘置所に移送されたみたいですね。
 責任能力があると判断されただけでも、
 よかったと思います。」
「・・・もう終わったんです。」と洋貴。


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病院
草間五郎と悠里(原涼子)を待つ双葉。
「あ!お姉ちゃん。お怪我治った?」悠里が駆け寄る。
「うん。大丈夫。」
「父親が来なくなったからといって、
 あんたにそう来られてもなぁ・・。」と五郎。

病室
「よくある話だそうだ。
 加害者家族の誠意なんて、ひと月も続きやしない。
 人工呼吸はしていない。
 あと、何日もしないうちに、自分で息もできなくなる。
 もう、来ないでくれ。悠里が懐いたら、余計迷惑だ。」
「・・・」
双葉は真岐(佐藤江梨子)の瞳から涙がこぼれるのに気づき・・・。

洋貴は野本(深見)響子(大竹しのぶ)、日垣(深見)耕平(田中圭)
と一緒に、深見達彦(柄本明)と亜季が眠る墓に報告に向かう。
そこには、双葉、遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)、
遠山(三崎)灯里(福田麻由子)の姿もあった。
「何で?」と耕平。
「私が、来ていいって言ったのよ。」と響子。

双葉たちは3人が墓参りするのを少し離れた場所で見守る。

「親父と亜季、何か話してんのかな。」と耕平。
「デレデレしてんじゃないの?」と洋貴。
「ずるいねぇ。」と響子。
ビール、お弁当を備え、線香に火をつける。
墓前に手を合わせる3人。
洋貴は目を閉じて祈る母の横顔を見つめ・・・。

響子たちがお参りを終えると、隆美たちが墓前に進もうとする。
「あのう。お願いがあります。
 ・・・亜季に、謝らないでください。」と響子。
「・・・」
「私、今亜季に言いました。
 あなたはちゃんと生きたのよって。
 短かったけど。
 すごく、短かったけど、あなたは幸せだったのよって。
 亜季の前では、謝罪も、罰も・・・後悔もいりません。
 7年の人生を全うした、亜季の冥福を・・祈ってください。」
隆美たちは響子たちに深くお辞儀をし、墓前に手を合わせる。
洋貴はそんな3人を見つめ・・・。

「あの人達、意外といい人だったんだな。」と耕平。
「知らないわよ。」と響子。
「じゃあなんで墓参りさせたのさ。
 この宇宙では、人に親切にすることが、自分を助けることになる。」
「宇宙?」
「メーテルが、そんなようなことを言ってた。」
「・・・亜季も、喜んでた。
 お父さんも、よくやったって。
 お母さんも、感謝してる。
 加害者が反省してなくたって・・・もう十分です。」
「・・・」
「洋貴が、後ろめたく思うことなんて、何にもないんだから。」
「・・・」
「お疲れ様。」と買うんヘイ。
洋貴は少しほっとしたように、弟と母を見つめる。

ふかみ
「うん。じゃあ耕平んち泊まんの?
 何だよ気ぃ使うって。
 うん。まあ、いるけど。
 何言ってんだよ、送ってくよ!
 ・・はい、はい、はい。」
洋貴が電話を切る。
「・・・最近どうですか?」と双葉。
「最近?
 ・・・あ、電球、取り替えました。」
「あー。」
「え、遠山さんは?最近。」
「昨日ガム踏みました。」
「え・・え?もう付いてないんすか?」
「あ、取れてます。
 あ、この靴じゃないんですけど。」
「アハハ。付いてません。」
「はい。じゃあ、最近は電球替えたくらいですかね。」
「いや、・・・あ、電池、取り替えました。」
「ああ。いっぱい取り替えてますね。」
「いや、たまたまです。
 遠山さん、どうっすか?
 最近、他に何か、踏みました?」
「どうかな。踏み系はそんなとこですね。」
「あ・・痛いですか?」
「あ・・いえ。」
「ホント言うと!あの、・・最近あのう、取り替えたりとか
 ばっかりじゃなくて。
 最近・・・遠山さんのこととか考えてました。」
「・・・」
「遠山さんの、遠山さんとのこれからのこととか。
 いや、まあ、それは、難しいことで、
 過去的なこととかで。
 でもまあ、自分的にはそのう、未来的には、
 ・・・大切なもので・・・守りたいもので・・・。
 思うんです。希望って、誰かのことを、思うときに
 感じるんじゃないかなって。
 希望って、誰かに会いたく、なることなんじゃないかなって。」
「・・・」
「あ、お茶出すの忘れてました。
 いや、まだ話の途中でした。」
「・・・じゃあ、座りますね。」
「・・・ずっと一緒にいられたらいいなって思って。
 遠山さんと一緒にいられたらなって。
 どんな昨日とかじゃなくて、どんな明日を見てるかで、
 話が出来たらなって。」
「・・・」
「すいません。何言ってんのか全然。」
「・・・私も、そうなったらいいなって思ってました。
 ずっと一緒にいられたらいいなって思ってました。  
 フフッ。そう思っている人にそう言われると、
 嬉しいもんですね。」
洋貴も嬉しそうに微笑む。
「でも・・・深見さんとお会いするのは今日で最後にしようと
 思っています。」
「・・・」
「千葉の被害者の方の娘さん、分かりますか?
 5歳の、悠里ちゃんという名前の女の子。」
「はい。」
「私、あの来の母親になろうと思います。」
「・・・」
「草間さんの果樹園に住まわせてもらうことになりました。
 私からお願いしたんです。
 母親代わりさせてくださいって。」
「えっ・・い、いや。・・・いや、何で、あなたが?」
「呆れられました。
 でも、何回もお願いして、何回も説明して、
 受け入れてもらいました。」
「・・・目を覚ますのは無理だって聞いてますけど。」
「延命治療をしてくださることになりました。」
「しても、覚めないかもしんないんですよね。」
「はい。
 10年でも20年でも、悠里ちゃんがいる限りそばにいるつもりです。
 終わりとかないつもりです。
 母親になるって、そういうことだと、思うから。」
「・・・あの子が大きくなって、あなたが、加害者の妹だって
 分かったらどうするんです?恨まれるかもしれないっすよ?」
「受け止めます。」
「加害者はあなたじゃないでしょ!?文哉でしょ!?
 遠山さんただの妹じゃないですか。
 ・・・何であなたが、背負うんですか?
 あなたが引き受ける理由ないでしょ?」
「あります。
 ・・・ふふっ。変な理由でもいいですか?
 あ、でも、本当の気持の理由です。」
「何?」
「真面目に生きたいんです。」
「・・・」
「真面目な人でいたいんです。
 甘えたくないんです。」
「そんなの理由になんないっす。」
「私にはなるんです。」
「・・・いつか忘れられるかもしんないじゃないっすか。」
「・・・亜季ちゃんが殺されたこともですか?」
「・・・」
「・・・」
「・・・忘れられるかもしんないっす。」
「・・・忘れられるかどうか、想像してみました。
 ・・・忘れられないと思いました。
 忘れていいかどうか、考えてみました。
 忘れたらいけないって思いました。」
「・・・」洋貴の瞳から涙がこぼれる。
「ごめんなさい。
 もう決めたことです。」
「・・・」
「ごめんなさい。
 それが、私の見てる、明日です。」
「・・・」
「ああ。楽しかったです!
 普通じゃないけど、楽しかった。」
双葉は涙をこらえ、笑顔を見せ、家を出ていく。

そんな双葉を追いかける洋貴。
「・・・あのう、来週とか、空いてませんか?」
「・・・」
「一日だけでいいんです。
 普通の人達みたいにどっか行ったりとかしませんか?
 普通の、学校とかバイト先で知り合った人たちみたいに。」
「ああ・・デート的なあれですか?」
「デート的っていうか・・・デートです!」
「・・・あ、はい。」
「あ・・はい!」

デートの日。
「晴れてよかったですね。」
「はい。」
「晴れてよかったですね。」
「はい!」

遊園地
「こういうの久しぶりですか?」
「久しぶりですね。深見さんは?」
「僕も全然。15年ぶり。」
「・・・」
「・・・」
「うわ!すごい角度ですね。」
「メガネ、落ちちゃいますよ!」
「あ、落ちた!!」
「落ちた!」

メリーゴーランド、空中ブランコ、ウォータースライダー。

「結構思ったよりも、水が。」と双葉。
「想像以上でしたね。」

双葉は木におみくじが結びつけてあることに気づく。

フリスビーで遊ぶ二人。
「神社におみくじ結んである木、あるじゃないですか。
 昔、郵便ポストだと思ってたんです。」
「え、誰が届けるんすか?」
「なんか、そういう届くシステムがあって。
 不思議な手紙の木みたいな。」
「ハハハ。」
「来てよかったです。
 誘ってもらってよかったです。」
「また来週来ますか?」
「・・・」
「考えなおせませんか?」
「・・・」
「もっと、・・楽に生きたっていいじゃないですか。」
「深見さん言ってたじゃないですか。
 希望って、誰かを思うことだって。」
「・・・」
「私は今、悠里ちゃんのお母さんになることで
 頭がいっぱいなんです。」
「遠山さんまだ25ですよ。
 何もしてこなかったし、まだしたいこととか
 いっぱいあるでしょ?」
「フフっ。下さい。
 うわ!な〜にしてんですか!
 わぁ!遠くまでいっちゃった。」
フリスビーを追いかける双葉の背中を、洋貴は寂しそうに見つめ・・・。

その頃、三崎駿輔(時任三郎)は文哉に面会していた。
「何がいるのか分からなくてな。
 着替えと、タオルと歯ブラシと。
 ・・・」
「・・・」
「・・・生まれた時は・・・何も知らない、可愛い赤ちゃんだったんだ。
 抱きあげて・・・こいつが大きくなったら、
 一緒に山に、登ろうと思った。
 ・・・文哉、お父さんだよ。
 ・・・深見亜季ちゃんを殺させたのも、
 草間真岐さんを、あんな目に遭わせたのも、
 お父さんのせいだ。
 ・・・お父さんを恨んでくれ。
 憎んでくれ!
 ・・・お父さんが、お父さんが・・・
 お前をそんなところに行かせてしまった。
 お前を・・壊してしまった・・・。」
父が涙する様子を見つめる文哉。
「お父さん、お父さんもう・・どうしていいのか分からない。
 お前のことを何も分からない・・・。」
「父さん。」
文哉がガラスに手のひらを当てる。
「うん?」
ガラス越しに手を合わせようとする駿輔。
「お母さんの顔が思い出せないんだ。」
「え?」
駿輔の手が止まる。
「どうやっても、お母さんの顔が思い出せなくて。
 何で?ねえ父さん何で!?
 何でお母さんの顔思い出せないの?」

「静かにしなさい。」と係員。

「何で?何で!」

「静かにしろ!!」

「ねえ父さん何で!?何で!?」

「面会中止!退室!!」

「ちょっと待ってください。待って下さい。」と駿輔。
「お父さん助けて!助けて!助けて!助けて・・・。」
文哉は連れだされてしまう。
「文哉・・・。」
駿輔はガラスに手を当てて涙を流し・・・。

レストラン
「・・・ああ、いつもどんな会話してたんでしたっけ?」と洋貴。
「・・・いつもは・・・」
「あいや、やっぱり、いつもの話やめましょう。」
「・・・深見さん。」
「やめましょう。
 せっかくこういうの飲んでるし、今日は、普通にしようって。」
「今日だけだから、今日しないと。」
「・・・いつか、文哉が出所してからのことですか?」
「はい。
 外に出て、今回みたいにまた反省してなくて、
 またおんなじことを。」
「・・・今度は文哉に会いに行けるから。
 ・・・僕、文哉に会いに行きます。
 何度でも行きます。
 拒否されても行きます。」
「でも深見さんはもう普通に、」
「ごめんなさい。もう決めたんです。
 そしたら僕ら、道はまあ、別々だけど、
 同じ目的地、見てるみたいな感じじゃないですか。
 それって、・・・すっごい嬉しくないっすか?」
「・・・」

ピアノの生演奏、曲は『星に願いを』。
双葉が加害者家族として冷たい視線を浴びていた小学生の頃、
ショーウインドウに飾ってあったオルゴールから流れていた曲。

「・・・」
「はい?」
「あのとき・・・初めての時。
 深見さんに会いに行ったこと、何回も後悔したんだけど、
 でも・・・会いに行って良かったです。」
「そうっすか。」
洋貴が、そして双葉が微笑む。

夜、公園。
ベンチに座り、前方に置かれたバケツに小石を投げながら話す二人。
「外国とかどことか行きたいっすか?
 パリとかローマとか、、LAとかそういうの。」
「ああ、もう全然きまってます。」
「どこっすか?」
「イースター島です。すっごい行きたいです。」
「何でですか?」
「モアイ・・・何でもないです。
 深見さんはどこですか?」
「僕は外国詳しくないっすけど、あれあるじゃないですか、あの、
 牛追いかける系の祭りの。」
「ああ!スペインとかのですか?」
「スペインとかですか。」
「でも深見さんすぐ、牛の角とかに刺されそうですね。」
「痛いんすかね。」
「いや、痛いっていうか命危険ですよ。」
「命危険ですか!」
「だって横っ腹に、牛の角ですよ。」
「持ちあげられちゃいますか?」
「いや、持ち上げて、こうですよ。」
「え?どうですか?」
「持ち上げて、」
「どうですか?え?」
「こう!」

「飼育係とかやってみたかったですけど、
 あ、でもコアラは苦手なんで、コアラ担当以外で。」
「え?コアラ可愛いじゃないですか。」
「え!?コアラよく見てみてくださいよ。
 コアラって鼻が取れそうじゃないですか。」
「どんな鼻でしたっけ?」
「何か、リモコンの電池入れるとこの蓋みたいな、こう。
 パカって取れそうなんですよ。」
「電池入ってるとしたら、単二ですかね。」
「単二か、単三2本ですね。」
「ああ、今うち単三2本あります。」
「・・・深見さんの話しましょうよ。」
「僕の話なんか面白くないっすよ。」
「話は別に面白くないですけど、
 深見さんと話すのはだいぶ面白いです。」
「だいぶバカにしてますね。」
「してませんよ。
 深見さんのいいところ、私いっぱい知ってますし。
 ・・・知ってるんですよ。」
「遠山さんバレンタインとかあげました?」
「普通に、優しいとことか。」
「じゃなくてチョコレート。」
「すごい優しいです。なんか。
 深見さんの優しいとことか思い出すと、
 ちょっと涙出てきます。」
「・・・それはどうも。」
「あれ?何でしたっけ?」
「だから、バイレンタインにチョコレートとか。」
「そういう・・・」
「手作りしたりとか。」
「・・・なんだろう。あれ・・。」涙ぐむ双葉。
「・・・」
「なんか・・・楽しいんですよ。
 なんか・・・嫌だな。
 すいません。なんか・・・楽しいだけなんですけど・・・。
 深見さんのう、ちょっと、あっち向いててください。」
「はい。」
「・・・」
「・・・」
「・・・あのう、こっち向かないで下さい。」
「・・・行くの、やめませんか?」
「やめません。行きます。」
「・・・遊園地の写真、あれ買えばよかったですね。」
「1枚700円ですよ。もったいないですよ。
 あんまりかわいく写ってなかったし。」
「そうっすか。だいたいいつも、あれぐらいっすよ。」
「ひどいこと言いますね。」
「思い出になるし。」
「・・・深見さんにはこれからいいこといっぱいありますよ。
 ミス・ユニバースと結婚出来るかもしれないですよ。」
「したくないっすよ。」
「なんか、頭に載せる王冠とか、見せてくれるかもしれないですよ。」
「王冠興味ないんで。王冠ない方が。
 ・・・遠山さんといる方が、楽しいです。」
「・・・なんか、モテてるみたいで嬉しいなぁ。」
「そうっすよ。この辺界隈じゃすごい、モテてます。」
「深見さんもこの辺界隈じゃすごいモテてますよ。」
「・・・遠山さん。」
「終わります。終わります。」
涙を拭う双葉。
「はい!終わりました!」
「・・・」
「今日楽しかったです。
 一生の思い出になりました。
 ありがとうございました。
 帰ります。」
「・・・」
笑顔をつくり、手を振る双葉。
真顔で双葉を見つめる洋貴。
「・・・あのう、手、振ってるんですけど。
 ・・・振ってるんですけど。」
双葉はそう言いながら、洋貴の胸を何度も叩く。
「黙っちゃって。無視ですか?」
「・・・」
「手振ってるんですけど・・・」
双葉を優しく抱きしめる洋貴。
「・・・深見さん。」
「はい。」
「ホント言うと・・・ずっとこうして欲しかったです。」
「・・・はい。」
「ホント言うと・・・私的にだいぶ嬉しいことです。」
「・・・はい。」
「・・・あと。」
「はい。」
「ふふふ。足踏んでます。」
「あ!すいません、すいません・・・。
 何で・・・。」
「加害者の妹だからです。」
「・・・」
双葉は洋貴におじぎをすると、一人歩き出す。
ふと足を止め、振り返ると、
「行ってきます!」
笑顔で右手を上げ洋貴に声をかける。
「・・・」
「行ってきます!」
双葉の笑顔に、戸惑っていた洋貴も笑みを浮かべ、
両手を上げて答える。
洋貴が手を振るのを見届けると、双葉はそのまま走り去った。
小さくなっていく双葉の背中を見つめながら、
洋貴は手を振り続け・・・。

そうして、双葉は果樹園へ。

洋貴はハガキを頼りにに駿輔の引越し先を訪ねる。
「拘置所のそばだったんですね。」
「ここに住み込んで、毎日通ってます。
 でも、会えたのは一度だけです。
 その後ずっと、拒否されてます。
 でも・・・その時、文哉が私に助けを、求めてました。
 今の私にとって、それだけが、生きる希望です。」
「・・・これ、父の時計です。
 スナックの一周年の粗品で。
 持ってていただけますか?」
「あ・・いや、でも・・・。」
洋貴は駿輔に父の形見の時計を渡す。
「ああ、行かれますか?」
「はい。」
「昔の友人、何人かに当たって、見つけたものです。」
駿輔は洋貴に封筒を託す。

洋貴は、文哉と面会。
「・・・妹どうしてる?」と文哉。
「・・・」
「・・・妹。」
「もうお前の妹じゃないよ。彼女は。」
「・・・」

病院
「遠山双葉と申します。
 今日から、お母さんが元気になられるまで、
 悠里ちゃんのそばにいさせていただきます。
 すいません、ちょっと失礼します。」
真岐の手を握り締める双葉。
「悠里ちゃんを、一生守ります。」

拘置所
「はい、時間です。」
係員の声に、文哉が席を立つ。
「・・・俺のせいじゃない。」
そう言い、立ち去ろうとする文哉。
「文哉。」
洋貴は封筒の中の写真を取り出し、ガラスに押し当てる。
赤ん坊を抱く笑顔の女性。
「お前の。」
「・・・」文哉の瞳から涙が溢れ・・・。


「遠山さん。
 今日僕はひどい夕立に降られました。
 友達だったやつの目から涙があふれるのを見ました。
 雨が上がって、洗い流された町が光るのを見ました。」

「深見さん。
 ここ草間ファームでは、最近猫の親子が
 住み着き始めました。
 名前は、ナスカとモアイにしました。
 じゃれ合うナスカとモアイを眺めながら、
 悠里ちゃんと指切りしました。
 ずっと一緒にいるよ、と約束しました。」

「遠山さん。
 この頃僕は毎朝5時半に起きて、
 枯れ草をほうきで集めます。
 一日ごとに季節が移り変わるのを感じます。」

「深見さん。
 図鑑を見ながら悠里ちゃんとお昼寝したら、
 象の鼻で運ばれる夢を見ました。
 あと、父から手紙が届きました。
 少し長い返事を書いて、並べてみると、
 私の字は父の字ととてもよく似ていました。
 あと、母が作った焼きうどんを思い出して、
 真似して作ったら、
 びっくりするぐらいまずかったので、
 一人で食べました。」

「遠山さん。
 母は今でも時々泣いています。
 だけどさっき、買い物したら、777円だったのよ、と言って
 笑ってました。
 例えば、月曜日と木曜日に泣いたり、
 火曜日と金曜日は笑ったりして、
 そうやって続いていくのだと思います。」

「深見さん。
 悠里ちゃんと電車に乗って病院に行きました。
 お母さんの心臓の音を聞いて、
 帰りはショッピングセンターへ行きました。」

「遠山さん。
 朝日を見て、まぶしくて、
 遠山さんの今日一日を思います。」

木の枝に手紙を結びつける洋貴。

「深見さん。
 こうして朝日を見てるとどうしてか、
 深見さんも同じ朝日を見てる気がします。
 いつもあなたを思っています。
 私が誰かとつないだ手のその先で、
 誰かがあなたの手をつなぎますように。」

木の枝に手紙を結びつける双葉。

「つないだ手に込めた重いが、届きますように。
 悲しみの向こう側へ。」

「悲しみの向こう側へ。」

「進め。」

「進め。」

「進め。」

「進め。」

「進めって・・・。」

洋貴はあることを思い出し、レンタルビデオ店へ。
「あの、すみません。」
「はい。」
「これ、随分前にお借りしたんですけど。」
「はいはい。」
それは、1996年8月8日、あの事件の日に借りたアダルトビデオ。
「96年!?」
「延滞料、幾らになりますかね?」



妹を殺されてから、ただなんとなく生きてきた洋貴。
加害者に復讐しようとした父・達彦。
母親を、家族を自分なりに必死に支えてきた耕平。
加害者に嫌がらせすることを生きがいに生きてきた母。

双葉と洋貴が出会ったことで、
被害者家族、加害者家族は大きな一歩を踏み出すこととなりました。

「希望って、誰かのことを、思うときに
 感じるんじゃないかなって。
 希望って、誰かに会いたく、なることなんじゃないかなって。」

デートしている二人がとても可愛かった。
洋貴のハハハって笑い方、いいな〜。

双葉は悠里の母になることを、
洋貴はこれからも文哉と向き合うことを決意。
生きる道は別々だけど、同じ目的地を見ているようで嬉しいって・・・
切ない。
お互い想い合っているのに、加害者の妹だから、
双葉は洋貴の思いに答えることが出来なかった。

ガム踏んだという踏み系の話が、
洋貴に抱きしめられた時足を踏まれた、という話に繋がっていました。

木に結んだおみくじは不思議な手紙の木、という話が、
ラストの二人に繋がっていた。

事件のあの日に借りたビデオを返しに行く、というラスト。
家族を失った悲しみは消えることはないけれど、
前に進むことはできたんだ、と思わせてくれるラストでした。

双葉と洋貴が歩く道は違ってしまったけれど、
これからも、一生懸命まじめに生きていく。
最後まで遠山さん、深見さん、と呼び合った二人。
いつか、いつか二人が歩く道がどこかで再び出会い、
双葉、洋貴さん、って呼び合える日がくると信じてみたいです。


私的に、双葉役の満島さんと洋貴役の瑛太さんが
ますます好きになりました。
とくに瑛太さんの表情にやられた!
文哉と再会し、大きな壁を一つ乗り越えた洋貴の表情が
すごく穏やかで、優しくて。

この作品、出演されている方々が本当に素晴らしかった。
響子役の大竹さん、駿輔役の風間さんの演技はさすがだったし、
柄本さん、時任さん、風吹さんが演じた父、母たちにも泣かされた。
田中さんは癒しの存在でした。
安藤サクラさんの名前も覚えておきたいです。

坂元裕二さんの次の作品にも期待したいです。
心に残る素晴らしい作品でした。



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気になるセリフ:
第一話の回想シーン
「フランダースの犬って、何のためにあるの?
 ネロはさ、お父さんもお母さんもいなくて、いじめられたり、
 騙されたりして。最後には死んじゃうのよ。犬も一緒に。
 何のためにこんな悲しいお話があるの?」
「何のためって?」
「ネロは、生まれない方が良かったんじゃない?
 お兄ちゃん、どう思う?」

第4話(響子と洋貴)
「あのご主人、町で、誘致した時計工場の課長さんだったから、
 どこでも目立ってて。」
「エリートっぽい?」
「うん。感じだったから。
 お父さんの気安いのが、嫌だったみたい。
 大学は?とか、 年収は?とか。
 お父さんの、スナックの、開店1周年記念の、
 安物の腕時計見て、がんばってくださいよって、肩叩いて。
 お父さんヘラヘラ笑ってたけどね。」
「・・・」
「あの時、あの子もそういう顔してた。」
「・・・はっ。文哉?」
「・・・」
「何でだろう。自分の父親に。」

第4話(回想シーン)
「お兄ちゃんと双葉は、同じだよ。
 夜を見たんだ。」
「夜?」
「同じ夜を見たんだ。」
「・・・」

第5話(五月)
「私も手伝っていいですか?
 私の母を殺した犯人は、自殺したんですよ。
 私も父も、なんか、気持ちの持っていきようがなくて。」

第5話(文哉)
「そうです。忘れないでください。
 もし忘れたら、夜のところに置いていくから。」

第6話(文哉と双葉)
「就職できなかったか。
 学校でも色々嫌な思いさせられたか?」
「・・全然。全然!ないないない。・・ない。」
「あいつら。」

(因島)
「・・・俺とお前のお母さんが生まれた場所だから。
 俺お母さんのお墓がある場所も知ってるし。
 お墓移してって思って。」

「お兄ちゃんが亜季ちゃんを殺したでしょ?」
「亜季ちゃんは天国に行ったんだ。」
「・・・」
生まれてこない方がよかったから。」

第7話(川藤→雪絵)
「先生の診断では、父親が家庭に無関心だった上、
 もともと厳しかった母親が突然事故死したことが、
 大きなトラウマを残したんじゃないかって。
 結局あの子本人が一番わかってないのよ。」

第7話(文哉→雪絵)
「亜季ちゃんが教えてくれました。
 生まれてこなければよかったのにって言いました。」


第7話(雪絵)
「退院した日、彼の日記を見つけました。
 時折挿し絵のようなものが描いてあって。
 そこに出てくる人間は、みんな、赤い尾ひれのついた、金魚でした。
 彼にとって人間は、みんな水槽の中にいるかわいそうな金魚で、
 手のひらですくって、壊してしまいたい衝動に、
 いつも、駆られてたんです。」

『6月28日
 工場の仕事が始まる。
 溝切りを任された。
 訓練所で習ったのとは少し違ったけど、
 明日からはもう少し上手くできると思う。
 アパートに帰って雪絵が作った餃子を食べた。
 雪絵はよく笑う。墨はあまり考えないようにしている。

 7月19日
 レストランでエビフライを食べた。
 雪絵がトイレに行った時、隣のテーブルに小学生の女の子が
 来て座った。
 僕はフォークを少し離して置くことにした。
 雪絵が戻ってくるのを待った。
 我慢出来た。』

『9月5日
 昨日のマンションに行った。
 もう一度カーテンの色を確認しようと思った。
 よく見えなかったのでドアを開けようと思ったけど、
 開かなかった。
 屋上へ行った。町がよく見えた。
 また頭の中の井戸を覗き込んでみた。
 水は入っていなかった。
 渇いている。水を入れたい。
 すごく困る。死にたい。

 10月1日
 夢を見た。
 ハンマーで雪絵の頭を何度も何度も叩いた。
 雪絵は叩かれながらギョーザを作った。
 目が覚めたら雪絵が朝ごはんを作っていたので食べた。
 味がしなかった。
 またいつかしてしまうと思う。
 またいつかしてしまうと思う。
 生まれてきてはいけなかった。

 11月9日
 すごく気分が良い。
 空が青い。緑が光ってる。
 雪絵が笑っている。
 井戸の中は水で一杯だ。

 11月9日
 人間は悲しい。
 どうして生まれたのかわからないまま生まれてきて、
 どうして生きてるのかわからないまま生きて、
 何もわからないまま、何もわからないまま死んでいく。

 11月9日
 殺す僕がいる。
 殺す僕は、僕の子供を殺すだろう。
 僕は見てるだけ。
 殺す僕が、僕の子供を殺すのを見ているだけ。
 それでも僕は生きている。』

第8話(文哉→響子)
「ムリです。病気なんです。
 そういう病気なんです。
 病気って、自分じゃどうしようもできないから・・・。」

第9話(洋貴→双葉)
「あの模型には、心臓も脳も肺も、腎臓とか肝臓とか全部あるけど、
 心は・・どこにもないじゃないすか。
 俺ってこれと同じなのかなって思ってました。
 ・・・文哉もそうかもしんない。
 心がないのかもしんない。
 そしたら話なんかできないっすよね。」

第10話(洋貴→文哉)
「悲しい話ばかりで、逃げたくなる。
 だけど逃げたら、悲しみは残る。
 死んだら・・殺したら、悲しみが増える。
 増やしたくなかったら・・・
 悲しいお話の続きを書き足すしかないんだ。」


キャスト

深見 洋貴(瑛太)
遠山(三崎)双葉(満島ひかり)

雨宮 健二(風間俊介)※三崎文哉

遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)
遠山(三崎)灯里(福田麻由子)
三崎 駿輔(時任三郎)

日垣(深見)耕平(田中圭)
日垣 由佳(村川絵梨)
日垣 誠次(段田安則)

草間 真岐(佐藤江梨子)
草間悠里(原涼子)
草間 五郎(小野武彦)

臼井 紗歩(安藤サクラ)

藤村 五月(倉科カナ)

深見 達彦(柄本明)
野本(深見)響子(大竹しのぶ)



スタッフ

脚本
坂元裕二
音楽
辻井伸行
主題歌
小田和正「東京の空」
プロデュース
石井浩二
演出
永山耕三
宮本理江子
並木道子
制作
フジテレビドラマ制作センター

公式HP



瑛太さんの主な出演作品




満島ひかりさんの主な出演作品




この記事へのコメント
満島さんをドラマで見たのは初めてで今まで知りませんでした。
出演されている作品でどれがおすすめですか?
Posted by どらえもん at 2011年09月19日 23:59
どらえもんさん、こんばんは。

私が満島さんに注目したのは『BLOODY MONDAY』。
「一緒に遊ぼうよ、藤丸君!」というセリフが
今でも耳に残っています。
『月の恋人』『さよなら僕達の幼稚園』などにも出演されていましたが
この作品ほどのインパクトはなかったです。
今後も注目していきたい女優さんの一人です。
Posted by ちーず at 2011年10月03日 18:49
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Excerpt: ドラマ「それでも、生きていく」を見ました。 フジにて 木曜10時にやってました 非常に重い、 加害者家族と被害種家族の関係 じっくり、しっかりと描かれていく 映画のような重厚さありましたね こ..
Weblog: 笑う学生の生活
Tracked: 2011-09-21 20:57
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