2012年01月16日

理想の息子 第1話

『邪悪な母VSマザコン息子』

16年前。
子ども手当認定請求書の手続きをする鈴木海(鈴木京香)。
「慰謝料や養育費は?」
担当者に聞かれ、海は首を横に振る。
「あなた母性本能ってもの持ってらっしゃる?」
「・・・母性本能?」
「半ば嫌がらせで、お子さんの親権だけ奪って来たんじゃないの?
 取れるもの取らないで。自分のプライドばっかりで。」
「そんな!」
「簡単に産んで、簡単に別れて、あとは国でよろしくって。
 それじゃ都合良すぎると思わない?」
「・・・もういいです!」
「え?」
「母性本能って言いましたよね?」
「え・・ええ。」
「そんなもの!!」

「科学的根拠ねえんだよ。

 私は、男にはこりごりしていて、
 恋だの愛だのにまるで期待をしていませんでした。
 自分に何かを期待する気力も全く持ってなくて・・・」


「嫌がらせで親権とった、か・・・。」

立ち寄った食堂のテレビから、ドラフト1位指名された選手の
インタビューが流れる。

「やはり、これまで自分を支えてくれた、母親に恩返しがしたいです。
 うちは母子家庭で、母はとても苦労したので。
 沢山活躍して、母に・・・家を買ってあげたいです。」

「・・・こいつが私を楽にする?
 こいつが私に家を買う!?」


「そうよ!!」

現在。

大食いの海は、まかない付きの仕事しか考えられず、
食堂で働いていた。

「あれから、女手ひとつで息子を育ててきました。
 はっきり言って母性本能なんかないと思っている自分には、
 お金もないのに、それはそれは大変な苦しみでした。
 それでも何とかやって来れたのは、
 将来、息子からその苦労の何杯も回収できるからと、
 自分に言い聞かせてきたからです。」


友達とのコンサート鑑賞を、母の誕生日だからと断る大地(山田涼介)。
「あのさ、前から聞こうと思ってたんだけど、
 私とお母さん、どっちが大切なの?」
「母ちゃん。」
「早っ!!」

「どんな卑怯な手を使ってもいい。
 息子が裏切らないように、良い母親を演じてきたんです。」


「母ちゃんですけど、何か?」
「・・・ま、マザコン!?」

「何よりも、誰よりも、私を一番に考えてくれる!
 理想の息子を、作るために!」


ふたりきり、平穏で幸せな生活を送っている・・・
ようにみえる母と息子がいた。

母の息子への望みはいい大学に入って、いい会社に入って稼いでくれること。
「私のために家を買え!」と心の中で叫び、素敵な母ちゃんを演じる鈴木海は、
女手ひとつ必死で働きながら、息子を育ててきた。

そして、母ちゃん大好きNEOマザコン高校生・鈴木大地は、
美しい母に言い寄ってくる男を排除しながら、必死で母を喜ばせようと
成績優秀・素直で性格良しのカンペキな息子として育ってきた。

母の誕生日。
大地は学校が終わると、母が勤める惣菜屋へ。
「こんにちは!」
「あら大地君。綺麗なお花ね〜!」
「これエディブルフラワーっていうんです。食べれる花。」
「え?食べれんの?」
「せっかく買っても、無駄遣いだって言われないようにね。」
「ふ〜ん。」
「あの、母ちゃんは?」
「今さっき上がったところよ。」
「え?
 チャリあるけどなぁ・・。」

辺りを見渡すと、海が男の車に乗り込んでいた。
「母ちゃん!?」

夜、買い物袋を手に海が帰宅。
エレベーターで向かいの住人・倉橋 実(沢村一樹)と一緒になる。
「まとめ買いですか?」と倉橋。
「一日分ですけど?」
「一日・・あ、大地君!育ち盛りだから。」
「え?あ、まあ・・。
 それより、奥さん戻ってきました?」
「実家に戻ってると思うんですけど・・・。」
「なら迎えに行かないと。」
「ええ。ただ、その都度戻るには条件があるって、
 俺の小遣い減らされたり、環境悪くなるんですよね。」
「でも、ケンカするほど仲いいって言うし。」
「抜けのいいケンカならいいんですよ。
 嵐のあとにパーっと虹が見えるような。」
「見えないの?虹。」
「うん・・どん曇りですね。
 ・・ま、でも、結婚って、そんなもんなのかなって。」

「そんなものよ、結婚なんて。」

「え?」
「え・・、
 でも不便でしょ?いろいろ。
 ほら、そんなものばっかり。」
「ハハハ。」
倉橋の買い物袋にはカップメンばかり。

鈴木家
「いいんですか?ご馳走になっちゃって。」と倉橋。
「二人も三人も手間は一緒だから。
 あら、まだ帰ってないのかしら?」
台所の電気をつけると、大地が花束を抱えてイスに座っていた。
「うわ!」と倉橋。
「何よ電気も付けないで。」と海。
「何かあった?
 もしかして、失恋?」
「誰なんだ?」と大地。
「え?誰って、お向かいの倉橋さんじゃない。
 奥さんに逃げられた。」
「戻って来ますから!」
「そうね。ごめんなさい。」
「誰だって聞いてんだよ!」と大地。
「俺だよ。今朝もバスで一緒だったろ?
 奥さんに逃げられた倉橋。」
「戻ってきますから。」
「そうですね。
 とにかくその倉橋じゃん。大丈夫か?」
「ね、熱でもあるの?」
「あんのは母ちゃんの方だろ!」
「私?結婚だけが取り柄ですけど。」
「恋の熱にうなされてんじゃないの?」
「恋の熱!?」
「不倫っつうんだろ?それ。」
「バカ!勘違いするなって。
 確かにね、嫁は出てってるけど、そんなのは痴話喧嘩みたいな、」と倉橋。
「仲良く車に乗り込んでデートなんかしてんじゃねえよ!」
「ああ!小林さんのこと?」
「小林さん?」と倉橋。
「お弁当屋のチェーンの社長さんなの。
 ちょっとお話があるって誘われて、ついでにお食事でもって。」
「何のついでだよ!イラっと来るわ〜〜っ。」
「・・・いいお話だったの!
 正社員にならないかって!」
「正社員?」と倉橋。
「母子家庭で大変だろうからって、前々から心配していただいてて。」
「ああ、いい社長さんだ!」
「バカなんじゃないの?二人共!」と大地。
「何でよー。こんな不景気になかなかそんな社長さん、いないよ?」
「この不景気だからおかしいと思うんだろ?」
「どういう意味?」と海。
「下心があるに違いないっていうの。」
「ああ!確かにね、お母さん、年の割に綺麗だから。」
「年の割にって、失礼ね!」
「すいません。」
「デリカシーないから奥さん出てくのよ。」
「はい。」
「他にも沢山パートいるのに、何でよりによってウチの母ちゃんにだけ
 そんなオイシイ話すんのよ!」
「だから、うちが母子家庭で大変だから。」
「パートしてんだから家計はみんな大変だろ?
 付け込もうとしてんだよ。
 優しいヒツジの皮かぶったオオカミさ!」
「そんないちいち人の善意疑ってたら、何も出来ないわよ!」
「普通疑うの!
 母ちゃんがお人よし過ぎんだよ。
 それとも何?母ちゃんもそれはそれでまんざらって話か?」
「何言ってるの?
 あなたの言う通り、奥さんいる人よ。
 そんなこと考えたこともないわ。」
「母ちゃんになくても向こうはどうかって話してんだろ。」
「そんなの知らないわよ!」
「知らないで済むかよ。
 どっか好きがあるからつけ込まれんだろ。」
「何ですって!?」
「まぁまぁまぁ、おかあさん。」と倉橋。
「貧乏につけ込まれんじゃねえよ!」
「大地、それは言い過ぎよ。」と倉橋。
「・・・私は、家は貧乏でも、心までは貧しくないつもりで
 生きてきたわ。
 それそばで見てて一番分かってくれると思ってたのに。
 そんなふうにふしだらな女だと思っていたなんて・・・。」
「そうじゃないけどさ・・・」
「激しい陣痛で、お医者様から母体を取るのか赤ちゃんを取るのかっていう
 究極の選択を迫られてまで産んだ実の息子に、そんな酷い・・・」
「そうだったんですか・・・」と倉橋。
「ええ。」

「ウソに決まってんだろ。」

「謝ろう、大地。
 な、ここは一つ。」
「心配してんだろ?あとで泣き見ないかって。」
「いやいやでも、ほら、言い過ぎもあったから、な。
 ごめんなさいって。」
「仮にもし、その社長さんにそういう、下心みたいなものが
 あったとしても私は、正社員になるわ!」
「母ちゃん!!」
「おかあさんもそんな意地にならないで。」
「私に似ないで勉強ができるから、私立の明風に行かせてるの。
 お金がいる!これからもっと!
 受験や大学費用もあるし。」
「うん、それは掛かりますね。」と倉橋。
「正社員になりたいの!
 喉から手が出てこう、誰かと、握手したいほどよ!」
「誰かって誰よ?」
「知らないわよ!」
「・・・勝手にしろよ!なら!」
「勝手にするわよ!!」
「・・・あの、じゃ、おやすみなさい。」倉橋、退散。

部屋で勉強をしていた大地は、母が気になり、そっと様子を見に行く。
海は花を食べながら泣いていた。

大地が様子を伺っていることに気づき、泣く真似を続ける海。

そんな母に、大地は小さい声で歌いだす。
「ハッピー バースデー トゥーユー
 ハッピー バースデー トゥーユー」

「ういヤツ。」

小林家
「それで、どんなご用かしら?」と小林 光子(鈴木杏樹)。
「いや〜立派ないいお宅ですね〜!」と大地。
「ありがとう。どうぞ。」
「すいません。
 表の花壇も手入れが良くて素敵です。」
「あなたセールスマンには見えないけど、もしかして、あれ?
 ボランティアで寄付とか回ってるの?」
「まぁ・・・はい、ボランティアですね。」
テーブルに母との2ショット写真を置く大地。
「ご主人ですよね?」
「ええ、これは・・・。」
「浮気の現場です。
 この後、二人は都内の某ホテルへ。」
「まさか!」
「相手はご主人の経営なさっているお弁当屋さんのパート主婦です。」
「何てこと!」
「世の中には、知らないほうがいいこともあると言います。
 だけど、僕は通学バスの中からいつもこのお宅を眺めていたんです。
 綺麗な花壇。美しい奥様。
 きっと幸せな家庭なんだろうな〜って、
 憧れっていうか、夢っていうか。」
「そう・・・。」
「はい。
 でも、それを汚されるのが辛かったんです!
 なにより・・・奥様が気の毒で!」
「許せないわ。」
「はい。」
「この人は、養子なのよ。
 私の父の会社をただ継いでいるだけ。
 他の女と黙って食事に行くだけでも十分な裏切り行為よ。」
「はい、ごもっともです。」
「八つ裂きにしてやるわ。」
「はい。」
「この女!」
「はい。・・・え!?」
「だって泥棒猫でしょう?」
「いや、奥様、奥様、ね。猫は猫です。
 いちいち目くじら立てても、また違う猫がね、
 ミャ〜ミャ〜って。」
「うん・・それはそうね。
 じゃあやっぱり、主人の方を。」
「はい!本から絶たないと!」
「ダメ!」

お弁当屋
「昨日の話は、なかったことにしてもらいたいんだ。」
顔に引っかき傷だらけの店主が海に言う。
「そんな!私、息子にも話して・・・。」
「すまない。」
「その顔どうなさったんですか?」
「ちょっと、花壇の手入れしてて・・・バラの。」
「・・・」
「これ持ってって。とにかく、ホントすまない。」
「バカにしないでください!!」
怒って立ち去る海。

ラーメン屋
「なかったことにしてくれ、よ!
 昨日の今日で、あんまりだと思わない?」と海。
「それは酷いね・・うん。」と大地。
「きっとあなたの言うように、下心があったのね。」
「もうその話はよそうよ、ね!」
「忘れられないわよ。むしゃくしゃするわ!
 お弁当にゴキブリ入ってたってネガティブキャンペーンはってやろうかしら。」
「そこまでする必要ないって。」
「ごめんなさい。
 もっとあなたのいうことちゃんと聞いてれば・・・。」
「それにしても、パートまでクビになるとわね。」
「クビじゃなくて、辞めたのよ。
 あんな社長のところで今まで通りニコニコ働けるわけないでしょ。」
「そりゃそうだけどさ。」
「心配しなくてもね、次の職場ちゃ〜んと確保してあるの。」
「え?」
「本田さんって前いた人、覚えてる?
 ほら、あなたのこと女の子だと間違えた。」
「あ〜!何となくね。」
「紹介してくれるって。明日、面接に行ってくるわ。」
「どこ?」
「何か、学食みたい。」
「いいじゃない。大学?」
「ううん。海王、工業高校?」
「ブッ!!海王!?
 何それ母ちゃん。それって男子校だよ!?
 しかも、札付きのワルばっかりいる超ヤンキー高校だよ!」
「あ〜!ごちそうさまでした!」
鐘の音。
「5キロラーメン完食、おめでrとうございます!
 金一封です!」
「わぁ!ありがとう!!
 毎日来ようかしら。」
「ハハハ。店潰れるし〜。」

鈴木家
「母ちゃん、さっきの話だけどさ、」
海は家計簿を開いたまま眠ってしまっていた。
「・・・こたつで寝ると風邪引くよ。」
家計簿のそばには、『授業料・教材費・明風会費振替日のお知らせ』、
請求額は75,000円。
『修学旅行費用積立』総額400,000円。
修学旅行はオーストラリア。
大地はその手紙を見つめた後、家計簿に目をやる。
-121円の赤字の下に、『修学旅行100,000x4回 40万』の付箋。
何かに気づき、母の髪に触れる大地。
「!!やだ。またいつの間に寝ちゃって。」海が目を覚ます。
「・・風邪引くってば。」
と言い部屋に戻る大地。

布団を並べて眠る母と息子。
隣りで眠る海を見つめた後、大地は呟く。
「ちっきしょ〜。母ちゃん白髪あんのかよ・・・。」

そんな息子の言葉にそっと微笑む海。

大地の机には、オーストラリアのガイドブック。

海王工業高校の前で心配そうに中の様子を伺う大地。
「母ちゃん大丈夫かよ・・・。
 まさに極悪!」

以前のパート仲間・本田(須藤理彩)と話をする海。
「子供たち?一人一人はみんな素直でいい子よ。」
「去年、卒業式で、傷害事件があったって・・・。」
「そうそう!パトカー来てすごかったわよ〜。」
「それで素直ないい子って・・。」
「ま、でも中には本物のワルがいて、どっか感化されちゃうんじゃないの?
 朱に交われば赤くなるっていうか。」
「やっぱり、環境よね。」
「あなたの息子さんは?確か、もう高校生じゃなかった?」
「うちは、明風学園に通ってるの。」
「へ〜!優秀なのね!」
「まあ、勉強が得意みたいで。」
「じゃ、将来は安心ね。」
「それはまだね。」
「あ、ここここ。女子トイレは少なくてね。
 あとは、職員室の方。」

その時海は、教師と一緒に歩く生徒に気づく。
大地だ!

1−Aの教室
「転校生を紹介する。」と神部敏郎(ケンドーコバヤシ)。

「て、転校生!?」と海。

「ほら、早く座れ!!」
「鈴木大地です。よろしく。」
「・・・」
「空いてる席に。」
「はい。」
一人の生徒が足を出し、大地を転ばせる。
「分っかりやすいな。」

休み時間、海は大地を屋上に連れていく。
「どういうことよ!何!一体何がどうなってんの!!」
「落ち着いてって。」
「落ち着いてなんていられるわけないでしょ!!」
「やっぱ母ちゃんが心配でさ。
 週末編入試験受けたって話。」
「聞いてないわよ、そんな話!」
「そりゃ反対するかもしれないと思って。」
「かもしれない、じゃないわよ!!するわよ反対!絶対反対!!」
「だから事後報告っつうか。」
「・・・明風は!?」
「もちろん自主退学したよ。」
「ウソ!
 1個も学校から連絡来てないわよ?」
「母ちゃんの方から電話したのさ。」
「してないわよそんな電話!私!」
「まぁ、ある人に頼んだっつうか。」

大地は小林光子に頼んで学校に連絡してもらったのだ。

「頭がおかしくなりそうよ・・・。
 どーしてこんなことに・・・。」
「母ちゃん。これで少しは家計が楽になるだろ?
 あんな私立の金掛かるとこ、無理して行くことなかったんだよ。
 もちろん、俺の将来のこととか考えてくれて有りがたかったけど。」
「・・・何にもわかってないのね!」
「うん?」
「今からでも遅くないわ!明風に戻って!
 あなたは東大に入って、外資の一流企業に勤めるんでしょ!?
 そして私に!!」
「家を買う?」
「・・・いや・・そんなことはどうでもいいんだけど!」

「どうでもよかねえよ!」

「お言葉を返すようだけどさ、母ちゃん。
 俺にも見栄っつうもんがあんだよ。」
「何よそれ!」
「周りは金持ちのボンボンんばっかさ。
 小遣いなんて2万も3万も貰ってやがる。
 欲しいものありゃ、また別に買ってもらって。」
「それで、辛い思いを?」
「誤解しないでくれよ。そうじゃないよ、母ちゃん。
 俺はそんなことは気にしない。むしろ逆!
 修学旅行ひとつとっても、オーストラリアだろ?
 大した意味もねぇ。無駄金だよ。
 俺はさ、母ちゃんにスーパーの特売並ばせといて、
 コアラかわいい〜!なんてはしゃぎたくないし、出来ないよ。
 大丈夫だって。勉強はするよ。
 俺はここでも勉強はするし、大学も奨学金付きで
 東大でも一橋でも合格してやるさ。」
「・・・大地。」
「あ、そうそう、忘れてた。」
「何よ。」
「なんか、クラス全員、母ちゃんの写真撮ってくるらしいんだ。
 美人コンテストでもやるんじゃねえかな?」
「急に言わないでよ。化粧もろくに。」
「笑って笑って。」海にカメラを向ける大地。
「転校ショックで笑えるわけないでしょ。」
「3階の織田さんが内緒で飼ってる犬は?」
「マルチーズ!」
カシャ。
「母ちゃん絶対1等とれるから。」
「・・・バカ。」

「世紀末的な、バカ。」

「仲がよろしいことで。」
二人の話を聞いていた三船憲吾(藤ヶ谷太輔)が呟く。

明風に電話をする海。
「だから、私は電話なんてしてないんですってば!
 お願いですからまた明風に通わせてください!
 え?・・・復学の入金。おいくらですか!?
 107万円・・・そんなお金・・・うちには・・・。」

母親の写真を撮った1年生が集められる。
「全員、撮ってきたポラ床に置け!」と内山五郎(武田航平)。
「床?」
「踏め!」
「え・・・」
「踏み潰せ、オラ〜!!」
「・・・」

「何なんだ?この人達。」と大地が呟く。
「ボクシング部の先輩達です。」と小林浩司(中島裕翔)。
「ボクシング?」
「この学校の中でも、札付きの不良達が集まってる、
 悪の巣窟といいますか・・・。」
「悪の巣窟・・・。」

「最近、他校の連中にこの海王が少しナメられてるって噂でな。
 特に1年!オメェらがぶったるんでるってことだ!!
 俺達は情けなくて仕方がない。
 泣く子も黙る海王がナメられてるんじゃ、お話にもなんねぇ。
 まあ、何つうか心配で、おちおち卒業もできやしねえってことよ。
 今日は、軟弱野郎を燻り出すテストをする。
 この中に、いい年こいてマザコン野郎がいねえかってな。」と内山。
「踏み絵ってことか。」と大地が呟く。
「オラ。とっとと踏みつけねえか。
 それとも、大ちゅきなママはとてもじゃないけど
 踏めませ〜ん、なんて抜かすつもりじゃねえだろうな!?」

大地、小林以外の生徒たちはみな母親の写真を踏みつける。

「内山さ〜ん。見つけましたよ、軟弱な兵隊を。」と井岡。
「テメエ、とっとと踏みやがれ!!」と内山。
「踏めません。そんなことしたらママに叱られます。」
小林はそう言い、指を噛む。
「ハッ!ママだってよ!おい!こいつママだってよ!
 笑ってんじゃねーよタコ!!」
内山に殴られる小林。

「テメエはどうなんだ?
 あいつと同じように殴られたいか?」
内山が大地に聞く。
「・・・」
人差し指を内山に向ける大地。
「人間がなぜ四足歩行から二足歩行に変えたのか分かりますか?」
「は!?」
「最大の急所である心臓を、他人に見せるようになったのは、
 もう暴力はやめましょうってことなんです!」
笑顔で親指を立てる大地に、内山、パンチ!
「なら四つん這いに戻りやがれ!!」
「痛って・・。」

「助けて・・助けて、ママ、ママ〜。」と小林。
「何がママだこの野郎!」輪島が殴る。

「勘弁してください。ウチは母子家庭で小さい時から母ちゃんが
 苦労してきてるのを見てきたんです。
 俺はマザコンとかじゃなくて、そんな母ちゃんの顔踏めないっていうか。」
「おい、お前その学ラン何なんだよ。」と川嶋。
「あ、今日転校してきたばかりで、まだ制服が。」
「お前これ明風学園の学ランじゃねえか。」と平仲。
「はい。」
「おいテメエ、ナメてんのか?」と内山。
「え?」
「何が母子家庭だ。
 貧乏人があんな金持ち学校入れるわけねえだろ!」
「それはですね、」
「ああ!?」

ドアが開く音。三船だ。
「何してんだよ。」と三船。
「いや、こいつら二人がマザコン野郎って判明してさ。」
「マザコンねぇ。」
「助けてください、お願いです!」
三船に駆け寄る小林。三船は小林に腹をパンチ。
「顔は目立つからよせ。」と三船。
「瞬殺・・・」
三船が大地の前に立つ。
「人間がなぜ四足歩行から二足歩行になるか、」
大地の言葉が終わる前に、三船、大地の腹をパンチ。
「うっ・・・」
「急所は他にいくつもある。」
「よーし、解散だ。」と内山。
「ういっすー。」
「じゃあな、マザコン。」

小林を支えながら歩く大地。
「おい、大丈夫か?」
「ああ、ありがとう。もうここでいい。」
「え!?ここお前んち!?」
「そうだけど?」
手入れの行き届いた花の家・・・お弁当屋の小林の家だった!
「世の中狭いな〜!」
「え?」
「いや。」
「あ、そうだ。ちょっと寄ってかない?ママ紹介するよ。」
「いいよいいよ。また今度な。」
「いや、この顔、言い訳しないとマズいんだ。」
「あ〜。そっか、心配するもんな。殴られたとかじゃな。」
「あ、それ以上に、殴ったことにしてくれない?」
「あ?」

小林家のリビング
「僕が絡まれているところを小林君、いえ、、敢えて”さん”と
 呼ばせてください!
 小林さんに助けていただきまして!」
「ハハハハ。」と小林。
「そうなの?」と光子。
「ま、弱いものいじめは見て見ぬふりができないからね。」
「威圧というか威光というか!
 やめろよ、うん。
 この小林さんの一言で、5人もいた奴ら、一斉にひるみましてね!」と大地。
「たった5人?」と光子。
「いや〜〜・・・10人?20人?
 いやでも僕ちょっと殴られて意識が朦朧としてたんで、
 下手したら100人いましたかね、小林さん!」
「ああ、まあ、骨のある奴は1人2人だったけどね。
 あとは、烏合の衆っていうか。」
「そうですよ、う、です!う!
 小林さんのカリスマ性で震え上がった、まさに、あいうえおのう!」
「さすが私の息子。
 亡くなったおじい様が聞いたらきっとさぞ、お喜びになるわ。
 それにしても、あなたとは何かとご縁があるようね。」
「ハッハッハッハ!奥様、そのようですね。ハハハ!」

帰り道
「よく分かんねえけど、あれで良かったの?」と大地。
「うん。ありがとう。助かったよ。」
「いや〜でも、まさかお前が弁当屋チェーンの社長の息子だったなんてな。」
「本業は建設業なんだ。」
「建設業?小林、もしかしてあの大手のマルコバ!?」
「うん。お弁当チェーンはママに本社業務から外された、
 パパの内職みたいなもんで。」
「内職って・・・
 お前、その内職のパートの息子だぜ、俺は。」
「さっき亡くなったって話の出たおじい様が、
 一代で築いたんだ。マルコバは。」
「へぇ〜。それこそカリスマ性があったってことか。」
「うん。でもママはそれを僕にも求めてるんだ。
 現場には、職人や多くの肉体労働者がいる。
 そういうブルーカラーの荒くれ者を束ねるには、
 強いカリスマ性がいるって。」
「それで無理やり、海王工業に?」
「勉強なんて中途半端にできなくていい。
 不良達を制圧しろって。」
「すんげぇ話だな。」
「僕にそんなこと出来るわけないのに。
 この一年だって、必死に因縁つけられないように、
 クラスでも、誰とも目を合わせないように、
 まるで、夜だけひっそりと咲くm月見草のように生きてきたのに。」
「・・・お前、指しゃぶんのよせよ!」
「あ、そうだ!忘れるとこだった。
 これ。」
「何?これ。」
「さっきのお芝居してくれたギャラ。
 君とは何だか、あの学校で、唯一友達になれそうな気がする。
 僕ホントは明風学園に入りたかったんだ。」
「金なんていらない!」
「いや、遠慮しないで。
 君んち、母子家庭で大変なんだろ?」
「だったら何だよ!」
「え・・」
「お前みたいな奴、ヤンキー高校にもいたんだな。」
「・・・」
「確かにお前、明風学園のほうが合ってるよ。
 オーストラリアでコアラかわいい〜!って。」
「怒ったの?」
「怒るっていうか・・呆れるよ。
 爪かむのもよせって!ったく!
 嫌なら嫌、無理なら無理って母ちゃんにそう言やいいだろ?
 勉強でも運動でも何でも押し付けられたって
 自分に向いてなきゃものになるわけねえだろ!」
「・・・」
「とにかく、俺お前とは友達になれないわ。」
「あ、いや、君は僕のママの怖さを知らないんだ。
 上品そうに見えて、怒ると半端じゃないんだから!」
「ま、確かに眼の奥笑ってねえか。」
「何だよ。君だってマザコンなんだろ?」
「一緒にすんじゃねえよ!」
「だって、写真踏めなかったろ。」
「俺はマザコンじゃねえ。
 ただ母ちゃんが好きなだけさ。」
「・・・」

鈴木家
「もうそんなケンカに巻き込まれたなんて…。」
「ケンカじゃないよ。いじめみたいなもんさ。理不尽なさ。」
「いじめなんて聞くとますます心配になるじゃない。」
「悪かったよ…これからはそういうこと内緒にするね。」
「ダメよ!なんでもかんでも隠し事なしっていつも言ってるでしょ!」
「そうでしたね。」
「私は、よかれと思うウソでもつかれるのは嫌なの!」
「はいはい。」
「こんなことのないよいうに、私立の明風に入れたのに〜。」
「その話はもうよそうよ。」
「あなたもあなたよ。別にいいじゃない。
 写真ぐらい踏めば。」
「母ちゃんの写真だぜ?」
「いいわよそんなの〜。
 変に逆らって目を付けられるよりは。
 長いものには巻かれろっていうことわざもあるでしょ。」
「そういうずるい人間でいいのかよ。
 それこそ朱に交われば赤くなっちまうぜ。
 だんだん卑怯な大人にさ。」
「息子がいじめられる心配するよりはマシよ。」
「とにかく、俺は写真とはいえ、母ちゃんの顔踏んだりしないから。」
「他の子はみんな踏んだんでしょ?」
「俺は他の奴とは違う。」
「・・・」
「何?」
「・・何でも。」
「顔赤いし。」
「朱に交わっただけ。」
「フフフ。何だそれ。」

「こいつ・・・いっちょ前に・・・
 いかん!!
 息子にときめいてどうする!」


海王の調理室
「へ〜。鈴木さんとこは息子?」と西田。
「はい。高校生です。」
「そんな大きな子がいるようには見えないわね。」と太田。
「明風学園通ってるんですって。」と本田。
「えぇ〜すっごい!優秀なんだ〜。」と吉田。
「いや・・それがですね。」

「バッカみたい。」と村瀬。
「は?」
「金もないのに、無理にそんなとこに通わせてるなんて、
 バ〜カみたい。」
「やめなよ村瀬さん、そんなの人の勝手じゃない。ねえ!」
「息子なんてね、そのうち好きな子ができたらあんたそっちにベッタリでさ。
 結婚なんかしたらあんた嫁さんの言いなりだよ?
 でさ、体の心配するふりして、施設にでも入ったらどうですか、
 なんて厄介払いだよ。」
「ウチの息子はそんなこと言いませんよ。」
「ハハハハハ。私だってそうでしたよ〜。
 信じてましたよ。そんなこと言われる前は。」
「えっ?」
「息子にさ、自分の腹痛めた息子に裏切られるほど、
 惨めなことはないよ。
 100人の男に騙されるよりずっと辛いよ。ハハハハハ。」
「・・・お言葉を返すようですけど、ウチの息子に限って
 そんなことは!」
「おめでたい人!」
「絶対にありません!!」
「はっ。」

「ないない。あんたの息子に限ってないよ〜。」と本田。
「ええ!」
「ないない!」
「・・ええ!!」

校舎
「ねえ!待ってよ鈴木く〜ん!!」と小林。
「友達にはなれないって言ったろ。何がく〜んだ。
 子犬みたいに懐くな。」
「謝るよ。
 お金で友情を買おうとした僕が悪かった。」
「・・・まあ、分かりゃいいけどさ。」
「その代わり、物で買わせてくれ!」
「・・・お前一生月見草でいろ!」
「違う違う。そんなやらしいもんじゃないって。
 僕のお古で悪いけど、サイズが少し小さくなってさ。」
「制服か。まあ余計な出費抑えることにはなるか。」
「ほら、着てみたら?」
「うん。」

「よお、マザコンズ。」
内山たちがやってきた。
「まだ持ってるよな?ポラの写真。」
「しつこいですねぇ。」
「当たり前だ!軟弱者は鍛えあげる!
 母校愛ってやつさ。」
「小林さん、お願いします!」と大地。
「そんなぁ〜。」
「オラ!!今度こそきちんと、マザコン克服しやがれ!!」

階段の踊り場で涙を拭う海は、
大地が先輩たちに連れ去られていくのを目撃。
「ちょっと!ウチの子に何!!」
大地と小林は、ポケットから写真を取り出し踏みつける。
「!!」

「ほら、踏みましたよ。
 これでもか!」
「僕も、ママなんか嫌いだ!えい!!」
「何だオメエら、やればできるじゃねえか。」と内山。
「はい!
 これからも、先輩方のご指導ご鞭撻を、お願いします!」
「いたします!」

「あいつ・・・!!」

「裏切りやがった!」

お墓参りをする海と大地。
「ホントに雨降んのかなー。」
「・・・そういえば大地ってお父さんのこと、
 私にほとんど尋ねたことなかったわね。」
「まあ、思い出すのも辛いのかもってさ。」
「辛いというより切ないかな。
 短い間だったけど、、いい思い出しかなかったから。」
「俺がお腹の中にいる時?」
「ええ、病気で。」
「え?事故でしょ?」
「・・・それを聞いて私が病気に。
 設計の仕事してたんだけど、不動産バブルがはじけてね。
 会社をリストラされたの。
 大手だったのよ。マルコバって会社、知ってるでしょ?」
「世の中狭いからな〜。」
「それで仕方なく、配送のアルバイトを掛け持ちして・・・
 寝不足だったのね。夜中ガードレールに・・・。」
「その時、何ヶ月だったの?俺。」
「3ヶ月。」
「こんなこと、本人の俺が聞くのも何だけど、
 その・・・産むのやめようとか思わなかったの?
 母ちゃんまだ若かったんだし、いくらでもやり直し利いたっていうか。」
「年齢的にはそうだったけど、でも私、それまでも
 あんまり男運ないっていうか騙されやすいっていうか。」
「母ちゃんの過去の男の話、あんま聞きたくないけど。」
「だからもういいやって。
 恋愛とかもういいって。
 あなたのお父さん、今までの人と違ってそれなりに優しかったし。」
「けどさ、それだって結婚して、俺が生まれたりしたら分からないよね。
 リストラされて定職持ってなかったら特にさ。
 イライラして当たられたかもよ?」
「自分の父親、よくそうワルイ方に考えられるわね。」
「実の親父っていっても、俺思い出ないからね。
 正直、あんまり、好きにはなれないな。」
「え・・・」
「事故なら気の毒だけど、母ちゃん寂しくさせたのは一緒だ。」
「・・・大地。」

(回想)
海のお腹に手を当てる男。
「まだ全然動かないわよ。」
「どっちかな。母親の勘は?」
「鈍いから分からない。
 でも、明るくて健康な子だったら。」
「どちらでもウェルカムだ。」
男の手には結婚指輪。
(回想終わり)

「でもね、一人になって不安だったけど、やっぱり愛した人の子供だから
 産んでで育てようって。」
「・・・愛か。俺にはまだ分かんないな。」
「プリクラ見せてくれた彼女いたじゃない。」
「あれは別に彼女じゃないよ。
 まあコンサートの約束はしたけど。
 そういやドタキャンしちゃったな。」
「メールは?」
「その後何回か来たけど、俺が海王工業に転校したらぷっつり。
 俺が明風学園にいたから、どっかのボンボンと勘違いしてたんじゃない?」
「そう。」
「そんなもんでしょ。
 結局、大学とか会社とか、年収いくらとかってさ。」
「・・・」
「やっぱ降ってきた。」
「涙雨よ。きっと私の。」
「え?」
「そういう女の子ばかりじゃないのよ。
 あなたはもっと素敵な子と出会えるわ。」
「そうかな?ま、今んとこ興味ないけど。」
「その時はその子ベッタリになって、私のことなんてウザいとか思うの。」
「そんなの思うはずないじゃない。」
「思うのよ!
 いつか結婚したら、お嫁さんの言いなりになって、
 体気遣うふりして、施設でも入ったら?なんて、
 厄介者扱いするの!」
「急に何言い出すのよ。」
「裏切るのよ!!」
「・・・何かあったの?」
「別に。何もないけど。」
「待って。嘘は嫌いなんでしょ?
 俺も嫌い。
 ね、俺達何でも言い合う親子なんでしょ?」
「・・・それじゃ言わせてもらいますけど。
 あなた踏んだでしょ!」
「え!?マジ?ガムか何か?」
「とぼけないでよ!桜吹雪はお見通しよ!」
「桜吹雪って・・よく分かんないけど。
 ・・・ああ!」
「ああ!じゃないわよ!」
「見てたんだ、中庭の。」
「見たくなかったわよ、ホントに!」
「だって、母ちゃんが長いものには巻かれろって。
 変に逆らって目を付けられるよりはマシだって。」
「・・・ちょっとお言葉を返すようですけど、あなたそういう私に
 かぶせて言ったじゃない!
 たとえ写真でも、私の顔は踏めないって。」
「まあ確かに言いましたね。」
「何が、俺は他のやつとは違う、よ!
 ときめいて損したわ。」
「なるほど。事情は分かりました。」
「何冷静な口調なのよ!イラっと来るわ。この裏切り者!」
「いや〜、実を言うとあれはですね、」
「もういい!傘貸して!帰るから!!」
「一緒に帰るよ。傘1本しかないし。」
「2本持ってくればよかったでしょ!」
「雨降らないって言い張ったのは母ちゃんの方だろ?」
「私位はこのあと食事に誘われてるの!
 濡れねずみじゃ行けないでしょ。」
「食事って誰と?」
「事務局長の川崎さんよ。
 時給や手当の相談してくれるって、面接の時から誘われてたの!」
「そんなの断れよ。学校でも済む話だろ?
 弁当屋の時より怪しいっつうの。」
「断らない!一食浮くし。」
「犬じゃないんだから食い物に釣られんなよ。」
「犬ですって!?
 お腹痛めた実の息子に、まさか犬呼ばわりされるなんて!」
「それは言葉のあやじゃない。」
「ワン!」
「あのねえ!」
「ワンワン!!」
「やめてって!」
「・・・」悲しそうに立ち去る海。
「母ちゃん・・・。」

ボクシングジム
「もうすぐ最終選考会だ。変な悪さするんじゃねえぞ。」と神部。
「ハッ。悪さねぇ。」と三船。
「大学推薦も決まってんだ。
 オリンピック出て、テレビにでも映りゃ、
 連絡来るかもしれないじゃないか。」
「連絡って、誰から?」
「そりゃ・・幼いお前を置いて出て行った、おかあさんだ。」
「・・・捨てたって言っていいっすよ。」
「・・・」

母が乗ったバスを追いかける大地は、雨に足を取られ、転んでしまう。

「少し・・大人気なかったか。」

鈴木家、脱衣所
「よく見りゃ年季入ってんなこれ。
 ・・・何だ?これ。」
小林にもらった学ランの売らには
『?代早朝
 小林朔太郎』
と名前が入っていた。
「・・・ま、いっか。」

バスの中
「奥さん戻ってきた?」
大地が倉橋に聞く。
「しばらく無理だな。」
「原因は何?」
「わかりやすいんだけどさ、俺の年収が200万下がったってことだな。
 あそこのアパート出て、建売でもって夢、壊しちまった。」
「まあ、世の中全般、景気悪いもんな。」
「まあな。
 俺人事部にいたんだよ。
 派遣社員バッサバサ切る担当でさ。
 何か、辛くなっちゃってな。
 医療機器売るちっちゃい会社に転職したんだ。
 飛び込みの営業でたいへんなんだけどさ、でも、
 他人の生活奪う仕事より、気が楽にはなった。」
「そういう気持ちは奥さんに伝えたの?」
「そんなの分かっちゃくんないよ〜。
 夫婦なんて、所詮他人なんだからさ。」
「・・・そういう話聞くとさ、マジ結婚とかしたくなくなっちゃうよね。」
「まあな。
 俺も独身の奴の話聞いてると、時々羨ましいよ。
 ガキでも出来ると違うのかな。
 それとも、もっと金かかってギスギスすんのかね。」
「・・・俺、ずっとこのままでもいいのかな。」
「え?」
「母ちゃんと二人、ずっとこのままで。」
「・・・おい、降りないのか?」
「ああ、俺転校したのよ。」
「転校?どこに?
 あ!そういえば制服!」

食堂で大盛りカレーを食べる海。
「すいません。ここ、空いてますか?」
神部が声をかける。
「え?・・・ええ。」
食堂はガラガラ。
「失礼します!」

「気があるのよ、あなたに絶対。」と本田。
「体育の先生?」
「神部さん。
 ほら、こういう学校でしょ?
 にらみ利かせる武闘派の教師も必要なのよ。
 じゃないと、完全な無法地帯になっちゃうでしょ?」
「それはそうね。」
「お見合い、100回断られてるらしいの。
 無骨な、いい人だと思うけどね。私なんか。」
「やだ。変に勧めないで。」
「さすがに生理的に無理か。」
「あの先生がどうこういうんじゃなくて、
 私、再婚なんて考えたこともなかった。」
「でも、誰かに思われてるうちが花じゃない?」
「そんなこと。」
「でもほら、この間の村瀬さんの話じゃないけど、
 確かに息子が結婚でもしたら、ポツ〜ンと独りになって、
 寂しくなっちゃうかもしれないわよ?」
「・・・」

101回目のプロポーズは、誰に!?
『101回目のプロポーズ』の脚本も、野島伸司さん!


教室
「この問題、わかる人、いるかな?
 ・・・いないね。
 いいんだ。因数分解なんか分かっても、
 何の役にも立たないからね。」
「はい。」大地が手を挙げる。
「え?あ、はい。」と立花先生。
前に出て黒板に答えを書く大地。
「正解!」

廊下を雑巾がけする大地。
そこへ、内山たちがやってくる。
「あれ?先輩方、また何か?」

ボクシング部
「小林・・」
「鈴木く〜ん・・」

「ママママ言ってた奴が、急に喜んで写真踏んづけるから
 おかしいと思ったんだ。
 テメエら、ずるこいてたらしいじゃねえか。」

「鈴木君、許してくれ。君のアイデアだとつい恐怖に負けて。」
「まあ、仕方ないな。」
「ほら、リングにあがれ。」
「僕、格闘技は全く・・・」
「校内じゃな、テンプラがどうのって、下手に障害沙汰すっと、
 警察呼ぶようになりやがったからよ。」
「テンプラ?・・・もしかして、コンプライアンスじゃないでしょうか。」
「おい!着替えさせろ!」
「え?何?」

校内のベンチ
「独りぼっち、か・・・。
 ・・・
 冗談じゃない
 絶対に・・・」

「家は買わせる!」

ボクシング部
内山のパンチを交わす大地。
「テメエ!ちょこちょこ逃げまわってんじゃねえぞ!」
「僕、痛いの嫌いなんで・・・。」

そこへ三船がやって来る。
「ウッチー、おちょくられてんじゃねえか。」
「チクショ〜。テメエちょこちょこすばしっこいんだよ!」

三船は大地の制服のポケットから写真を取り出す。

「あ・・」と大地。

「捕まえたぞこの野郎!」
内山のパンチ!

(回想)
「あの手の連中はしつこいからまた同じことやらせに来るな。
 だからこうしよう。」
「どういうこと?」と小林。
「はい、マルチーズ!」
大地たちは母親の写真に自分の写真を重ねていた。
(回想終わり)

「それなら、母ちゃん踏んだことにはならない。
 逆に、母ちゃんをギュって抱きしめることになる。」
殴られながらもそう呟く大地。
「それでも海王工業か!」
大地、ノックダウン。

校内のベンチ
落ちてきた紙を拾う海。
「すいません!すぐ取りに行きますんで。」
校舎から声が聞こえてくる。
「はーい。」

ボクシング部
「おい、まだたったの3ラウンドだぞ。」
「・・・」

三船が海の写真を破る。
「・・・母ちゃん。」
「おい、こいつ泣いてるぜ。
 マジ真性のマザコン野郎だな!
 徹底的に鍛える必要があるな!
 お前ら、立たせろ。」と内山。
大地はロープに捕まり必死に立ち上がろうとする。
「赤ちゃんひねり出すのは、スイカが鼻から出るほど痛いらしい。」
「あ?スイカだ?頭イカレたか?」
「何が気に入らねえのか、1時間に最低1回は泣き叫ばれて、
 毎日睡眠不足でノイローゼにもなりかかる。
 始終抱っこで腱鞘炎さ。」
内山のパンチ。

「もうやめてよ!死んじゃうよ!」と小林。

「だけど、評価なんかしてもらえない。
 妊娠は病気じゃない。
 子育てなんて誰でもしてきたことなんだからって。
 まるで報われないのに必死に頑張って、
 不安や希望に、揺れながら、
 子供の為に、真っ暗な土の中で根を伸ばす。
 根っこさ。
 そう、母ちゃんは俺達の根っこなんだ。」

「すいません。風で吹き飛ばされちゃって。」
池田が落とした紙を取りに来る。
「・・・」池田の姿に驚く海。
「父兄の方ですか?」
「・・・」
「美術の池田です。」
「・・・」
「返してもらっていいですかね。」
海は、池田が差し伸べる左手を見つめる。

「こいつ・・・マジで似てる!」

「あなた・・・」

ボクシング部
「母ちゃんは根っこだ。
 俺の根っこなんだ。
 テメェの根っこ嫌って、人生花なんか咲くもんかよ!!」
「何だこいつ。まだこんな余力残してやがったのか。」

「いいぞ鈴木君!」

「俺はマザコンじゃねえ。
 ただ母ちゃんが好きなだけさ。
 何発殴られようが、世界中に叫んでやるよ!
 俺は母ちゃんが大好きなんだよこの野郎!!」
必死に内山に向かっていく大地。

「お前ら!!鍵かけて何やってんだ!
 タバコ吸ってんのか!?開けろ!!」
部室のドアを叩く神部。

「そろそろ決めろよ、ウッチー。」と三船。
「ああ。よっしゃ。とっておきのお見舞いしてやるぜ」

「中にいるのは分かってんだ!
 開けないかオラ!!」と神部。

「コアラはユーカリをつかむ鋭い爪がある。」と大地。

「行くぜマザコン野郎!」

「チッキショ〜!ホントは行きたかったぜオーストラリア〜!」

「おりゃ〜!!」

「名付けて、マザコ〜ン、コアラパ〜〜〜ンチ!!」
大地の必殺・マザコン コアラパンチが・・・

「お前らい一体!!」神部、ドアを壊して登場。

「鈴木君・・・」

「空振り?」と大地。
「なんだそれ。」と内山。
「・・・」
「脅かしやがって!」
内山のパンチが大地に命中し、大地、ノックアウト!


面白かった〜!でも謎がいっぱい。
そしてセリフが多いのか、これ1話で4時間以上掛かった〜。
次回からはちょっと控えめにします。^^;


「母性本能ってもの持ってらっしゃる?」
役所の担当者のこの言葉にカチンときた海は、
子ども手当を貰わずに、本当に自分の力だけで大地を育ててきた。

担当者は慰謝料や養育費と言っていたけど、
海の夫は亡くなったんじゃないの?

大地は海に洗脳されて育ったんだろうな〜。
海の方が息子にベタベタしてないから見やすい。
それどころか息子を利用しようとしているし。(笑) 

海の白髪を見つけた大地が本当に悲しそうで。
母親の白髪って娘から見ても寂しく思ったりしたな〜。 


マルコバって小林っていう名前から来てるのか。
カリスマ性のあった祖父。

大地の父親はマルコバで設計の仕事をしていたが、
バブルがはじけてリストラされた。
大地がお腹の中にいる3ヶ月の時に、事故死したと
大地は海に聞かされている。

回想シーンのあのお腹は3ヶ月の大きさじゃないな〜。
6ヶ月とか7ヶ月ぐらい?
でも、「まだ動かない」なら3ヶ月ぐらいなのか。
男の左手には結婚指輪。
でも海の手は見せてくれなかった。
不倫の可能性、あるんじゃないかな〜。
墓地の名前も確認出来なかった。
大地の父は本当にあの中で眠っているのか?

冒頭の役所の担当者の「慰謝料や養育費は?」というセリフも
あったので、海は大地の父親と引き離されてしまったのかな。
相手は小林光子の兄、とか?
それが、学ランに入っていた名前の朔太郎だったり?

光子は浩司に厳しいのも、カリスマの血を受け継いでいる浩司が
いつか目覚めると信じているからなのかも。
あの一族はみんな海王で武者修業させられる決まりなのかな。

そして、海王高校のカリスマとして知られる三船。
三船は母親に捨てられたとのことだけど、ひょっとして
小林の血を引いていたり?母親は光子とか?


息子がマザコンになってしまうのは困るし、嫌だし、
周りからそう思われるのも絶対に嫌〜。
そうならないように育ててきたつもり。
ちゃんと自立して家族持って孫の顔を見せてもらえれば
最高の親孝行だわ、と実生活ではそう思う。

でも、

「俺はマザコンじゃねえ。
 ただ母ちゃんが好きなだけさ。」

男の子を持つおかあさん、この言葉に微笑んでしまったのでは
ないでしょうか?私はガッチリ心掴まれました。(笑)

「息子にさ、自分の腹痛めた息子に裏切られるほど、
 惨めなことはないよ。
 100人の男に騙されるよりずっと辛いよ。ハハハハハ。」

村瀬さんのセリフ。
親は子供が巣立っていくのを応援しなきゃね。
でもやっぱりその時が来たら寂しいんだろうな〜。


このドラマ、海がちゃっかり息子にたかろうと考えていて、
でも時々息子にときめいちゃったり。
そして息子にベタベタしないからサラっとしていて楽しく見てられる。

子供を利用して幸せになろうとする海。
その幸せっていうのが、家を買ってもらうってところが安直でいいな。
息子に隠れてそんな魂胆隠し持っていながら、
息子の言葉に何故かときめいてしまったりもする。
時々親子っていうより恋人か!?って思ってしまう。


海は恋をして息子から自立するのかなぁ。
息子はガールフレンドと、母は恋人と、という4ショットも見てみたい
気がします。

母親役が京香さんで良かった!
大地役の山田君の真っ直ぐな演技も良かったです。



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第1話
「朱に交われば赤くなる」
「長いものには巻かれろ」

・昔から男運のない海。
・大地の父親はマルコバで設計の仕事をしていたが、
 バブルがはじけてリストラされた。
・大地がお腹の中にいる3ヶ月の時に、事故死したと
 大地は海に聞かされている。
・でも回想シーンのあのお腹の大きさは?
・冒頭の役所の担当者の「慰謝料や養育費は?」というセリフ。
 海は大地の父親と引き離されてしまったのかな。
・回想シーン、男の手には結婚指輪。海のは映されず。
・墓地の名前も確認出来ず。
・小林からもらった学ランには『総長小林朔太郎』の文字。
・神部先生の101回目のプロポーズは!?

【キャスト】

鈴木 大地(山田涼介)
鈴木 海(鈴木京香)

倉橋 実(沢村一樹)

三船 憲吾(藤ヶ谷太輔)海王のカリスマ。子供の頃母親に捨てられた。
小林 浩司(中島裕翔)マルコバの御曹司

丹波 巌(脇 知弘)

内山 五郎(武田航平)

(入江甚儀)
(柄本時生)
(諸見里大介)
(梅沢昌代)
(宮地雅子)
(萩原利映)

小林 光子(鈴木杏樹)マルコバ創立者の娘
神部 敏郎(ケンドーコバヤシ)
本田(須藤理彩)
池田 冬彦(金子ノブアキ)


【スタッフ】

脚本 : 野島伸司
音楽 : 横山克
演出 : 佐久間紀佳
演出 : 中島 悟
演出 : 森 雅弘
シニアチーフクリエイター : 櫨山裕子
プロデューサー : 三上絵里子
プロデューサー : 福井雄太
プロデューサー : 松原 浩(AX-ON)
プロデューサー : 柳内久仁子(AX-ON)
制作協力 : AX-ON
製作著作 : 日本テレビ


山田涼介さんの主な出演作品



鈴木京香さんの主な出演作品




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