2012年02月23日

最後から二番目の恋 第6話

『今迄のどんな恋にも似てない』

吉野千明(小泉今日子)は、買い物の途中で出会った長倉和平(中井貴一)を
半ば強引に誘い、以前から行きたかったレストランで食事をする。
しばらく前に千明は、その店でおごってもらう約束を和平としていたのだ。

SIRAS
「な〜んかすみませーん。ありがとうございます。」
「・・・いえ。」
「やっぱり素敵なお店ですよね〜。来てみたかったんですよね〜。
 約束、思い出していただけました?」
「約束ってあれ約束じゃないじゃないですか。」
「そうでしたっけ?」
「そうですよ。行ったこともないのにあの見せいいですよ、
 なんてよくそんないい加減なこと言えますねって言われて。
 じゃあ行ってやろうじゃないですか、みたいな感じで。」
「そんなこと言いましたっけ?」
「言いましたよ。忘れた・・・ああ、もう物忘れが始まってるんですね〜。ハハ。」
「あのう、言っときますけど。」
「何ですか?」
「今日は、絶対ケンカなんかしませんからね。
 何言われても怒りません。
 せっかくこんな素敵なお店にいるんですから。」
「本当ですか?」
「もちろん限度はありますし、沢山地雷も埋まっていますけど。」
「じゃ、全然何を言ってもじゃないじゃないですか。
 大体、どこに地雷が埋まってるかも分かりゃしないし。」
「そうですよ〜。いつどこでドカンと来るか分かりませんから
 気をつけてくださいね〜。」
「・・・ハハハ。頼みますか。」
「そうですね。」

メニューに顔を近づけたり離したり、天井の灯りを確認する千明。
「フフ。お互い老眼ですね。」と和平。
「ちょっと待ってください。いや私全然違いますよ。
 今照明がね、ちょっとおかしかったんで。」
「照明・・・それじゃよく見えてないんじゃないですか?
 目、こんなんなっちゃってますよ。」
「何言ってんですか。一緒にしないでくださいね。」
「じゃあ任せていただけますか?私に。」
「はぁ!?嫌です。」
「は?」
「自分が食べたいものを食べたいので人に任せるなんて
 絶対に嫌です。自分で決めます。
 大体知ってるんですか?私が何が好きかとか。
 今日どんなものが食べたいのかとか。
 任せるなんて意味がわからない。意味がない!」
「それはそうかもしれませんよ。でも今私はね、紳士的な意味で
 言ってるわけですよ。あなたが老眼のね、老眼の。
 老眼のくせにですよ。無理していらっしゃるから、良く読めて
 ないんじゃないかなと思って。」
「老眼老眼って何ですか?
 そんな言葉を女性に連発するような人のどこが紳士的なんですか?」
「じゃあ遠視?遠視?遠視ならいいんですか?」
「よくありますよね。映画とかテレビでも。
 あー、僕に任せてもらっていいかな?ええ、みたいな。
 あれ実際嫌ですからね、女は。
 大抵何か違うなと思ってますから。
 ホントはこれが食べたいのに何で入ってないんだろうとかってね。」
「そんな人ばっかりじゃないでしょう。
 あなたがでしょ?女はこうは思ってないとか、
 実は女はこう思ってるとかって、どうしてそんなことが言えるんですか?
 あなたは女性の代表ですか?
 全ての女性はみんな、あなたと同じなんですか?
 違うでしょ?
 おかしいでしょ?そりゃ。」
「男だって言うじゃないですか。
 男っていうのは、いつまで経っても少年なんだよ、みたいな。
 ふざけんなよ。とっとと大人になれって話ですよね。」
「カワイイもんじゃないですか。
 その言葉には少なくても相手に対する敵意はないわけですよね。」
「単なる甘えでしょ?それって。」
「敵意があるより甘えのほうがいいでしょう。」
「ホンットに女心とか分かってないんですね。」
「出た!出ました、女心。」
「はぁ!?」
「そんなもの分かるわけないじゃないですか。男なんですから。
 じゃあ伺いますけどね。」
「何でしょうか?」
「あなたはどのぐらい、男心が分かっていらっしゃるんですか?」
「ハハハ。」
「それとね、自分勝手なわがままを、女心みたいな言葉に
 すり替えないでいただきたいですね。
 そりゃずるいですよ。
 そうすれば男は黙るとでも思ってんですか?
 冗談じゃない。いい加減にしてほしいね。」
「何をムキになっちゃってんですか?」
「ムキになんかなってませんよ。」

「あのう。」と従業員。

「だいたいズルイのは男じゃない!」

「あのう。」
「何ですか?」と和平。
「もう少し、お静かにお願いできませんでしょうか。」
「すいません。」「すいません。」「ホントすいません。」「すいません。」

「・・・なんか、すいませんね、せっかくのあれなのに。」と千明。
「いや、あのう。私もちょっと地雷踏んじゃったみたいです。」
「そうですね。小さいのを幾つかね。」
「・・・幾つぐらいあるんですか?地雷。」
「100は超えますね。」
「100超え。」
「はい。・・時々、自分でも踏んでしまいますね。」
「めんどくさい人ですね〜。」
「めんどくさいですね〜。
 もうどんどん複雑っていうか、めんどくさい人間になってますね。
 だからあれですよ。まあ友達とか、ま、恋人もそうですけど、
 なかなかこう、気が合うっていうかウマが合うっていうんですかね。
 あと、肌が合うっていうか。そういう人は見つかりません。」
「うん。なるほどね。
 何かわかるような気がします。」
「そうですか。」
「決まりました?」
「はい、決まりました。」

「すいません。」
「はい。」と従業員。
「オーダーお願いしてもいいですか?」
「かしこまりました。」
「どうぞお先に。」と和平。
「どうぞどうぞどうぞ。」と千明。
「じゃあお先に。
 えっと、前菜はあのう、ヒラメのカルパッチョ。」
「はい。」
「で、お魚はあのう、オマールエビ。」
「はい。」
「でお肉は・・・和牛ロース肉のステーキ。」
「はい。」
「レアでお願いします。」
「かしこまりました。」
「お先でした。どうぞ。」
「・・・っていうか、同じなんですよ。」と千明。
「いやいや、ご自分の好きなもの。」
「だからおんなじものが食べ・・・。
 同じもので。」
「分かりました。お二つ、ご用意させていただきます。」と従業員。
「お願いします。」
「どうぞごゆっくり。」
「ありがとうございます。」

「・・・」
「・・・」

同じころ、水谷典子(飯島直子)は、妹の万理子(内田有紀)も付き合わせて、
出会い系掲示板で知り合った年下の男性と会っていた。
相手は、22歳の村上文也(八神蓮)という青年だった。
「文也クーーン!」
溺れてしまうことに怯えながらも楽しそうな典子。

「そりゃ、好きなことだけやって生きていくのは
 大変だってのは分かってるんですけどね。
 でも、絵描くの諦めたくないし。」と文也。
「そっか〜。分かるよ、気持ちは。」
「嬉しいな。ちょっとうんざりしてたんですよね。
 親に反対されて全然俺の気持ちとか聞いてもらえないんですよ。」
「難しいよね。親子っていうのはさ。」
「ええ。」
「話してるのは、おかあさん?」
「でもあの人に話しても、分かってもらえないんですいよね、全然。」
「そっか。ちなみに、おかあさんって、いくつなの?」
「幾つだったっけなー。45かな。」

「プッ。」隣の席で吹き出す万理子。

「そうなんだ。ハハハ。」苦笑する典子。

「これは溺れますね〜。」と万理子。

夜道を歩く千明と和平。
「ネズミに、ゴキブリね。」と和平。
「ええ。」
「意外と普通なんですね。女の子みたいだ。」
「何だと思ってたんですか?」
「世の中に、怖いものなんか何にもないのかなって。」
「ありますよ。人を魔女みたいに。」
「ハハハ。」
「そちらは?怖いものはあるんですか?」
「怖いものなんて特にありません。」
犬の吠える超え。
「わ!!びっくりした!びっくりした!!」
「・・・ありますよね、怖いもの。」
「いや、怖くはない。驚いただけですよ。全然平気ですよ、ほら。」
「アハハハハ。」
「僕は鎌倉のムツゴロウって呼ばれてるぐらいですよ。」
「あーそうですか。じゃあ怖いものはないんですね。」
「はいそうです。」
「ああそうですか。
 じゃあ、苦手なものとか、嫌なこととかっていうのはあるんですか?」
「・・・嫌なこと?」
「うん。」
「・・・ああ。」
「何ですか?」
「死ぬのが、嫌ですね。」
「まあ、でも、ね。そりゃ誰でも、いずれはね。
 まあでも、まだ先長いっていうか。
 あれ?どっか悪いんですか?」
「いえいえ。そうじゃない。私じゃなくて・・・
 身近な人が・・死ぬのが嫌です。」
「ああ。」
「両親を早くに亡くしてますし・・・
 家内もね。」
「ああ・・そっか。」
「あ、ごめ、ごめんなさい。
 何かまた、暗い雰囲気にしちゃって。」
「ううんううん。」
「こういうのがダメなんだな。」
「いえいえ。うーん。」
「あ、そうだ!思い出した!
 あなたに、伝えようと思ってたことがあるんですよ。」
「何ですか?」
「アハハハハ!!」
「ちょっと何ですか?何何何?」
「ご存じですか?アニメーションのバカボン。」
「バカボン、はい。」
「あれでバカボンのパパ、いるでしょ?
 ここにあの、鼻毛が出てる人。」
「いや、あれヒゲでしょ?」
「ハハハ!」
「え!?何で?」
「鼻毛でしょ!」
「ヒゲでしょう!」
「いやあんなヒゲ・・・まあいいです、とりあえず。
 あの人、幾つだと思います?」
「えー、幾つだろう。」
「41ですよ。」
「へーーー!」
「4つ下!」
「ええ、ええ、へ〜。」
「41歳の春なのだ!とかって言ってるわけですよ。ハハハ!」
「あれですか?それ思い出した時に、私に言ってやろうと
 思ったわけですか?」
「ええ、そうなんです。」
「ハハッ。それ楽しいですか?」
「楽しいです!」

真平(坂口憲二)が店の看板を片付けていると、千明と和平が一緒に帰ってくる。
それを見ていた真平の表情が曇っていく。
だが、気持ちを切り替えて笑顔で声をかける真平。
「おかえり!」
「おぉ、真平。」「ただいま!」
「おいおい、今吉野さんがおもしろいこと言ってくれるから。」
「何何?」
「ちょっとやってみてください。」
「何で?いいです!」
「真平に言ってください。」
「今日はもう、ご馳走さまでした。ありがとうございました。」
「いいえ、、とんでもございません。」
「何何?千明。」
「しつこいんですよ。」と千明。
「それではおやすみなさいませ。」と和平。
「あのうあのう。」
「はい?」
「奢られてばっかりじゃ悔しいんで、今度奢りますから、私が。
 おやすみなさい。」
「そんなお気遣い結婚ですよ。」
「じゃあね真平君、おやすみ♪」
「おやすみ。」
「何?この変わり様。お前との差。」
「ハハハ。」
「は?おやすみなさーい(低い声)。
 おやすみなさーい♪」
「何だあれ。」と和平。
「アハハハハ!」

千明が家の戸を開けると、典子の笑い声。
「また来てるよ・・・。
 ちょっと!何?また私の服勝手に着てさ。」
「千明おかえり〜!」と典子。
「おかえりなさい!」と万理子。
「着てもいいけどちゃんと片付けてよ〜。」
「すみません、私が。すいません。」
「思い出して笑ってたのよ〜。」笑いが止まらないい典子。
「何よ?」
「うちのお兄ちゃんのことなんだけどね。」
「え?何何何?」
「いや、私の結婚式のときの話なんだけど。 
 アーッハハハハ。お腹痛い。」
「何ホ。それ使える話なの?」
「一応ね、バージンロードを歩いたわけよ。
 私もうバージンじゃなかったけどね。」
「そういうね、余計な情報いらないの、もう。」
「でね、ほら、親いなかったからさ。」
「うんうん。」
「お兄ちゃんと歩いたわけ。」
「うん。」
「そしたらさー、お兄ちゃんさ、もう泣いて泣いて。
 泣いてなんてもんじゃないね、号泣。ハハハ!!え?」
「っていうかそれさ、普通にいい話じゃん。」
「いや、そうなんだけどさ。
 その泣き方がもうあまりにもすごくてさ。
 最初はね、私もみんなも何かちょっとしんみりしてたんだけどさ。
 あまりにもすごい泣き方で。アハハハハ!
 すごい泣き方で、なんか段々笑いになってきちゃって。」
「うんうん。」
「会場中大爆笑!アハハハハハ。
 そしたらね、今度はお兄ちゃんが怒って。
 何がおかしいんですかーーー。アハハハハ。」
「それさ、想像できるね。何かね。」
「しんどい時ね、たまに見るんだ、私達。ね!」
「私ここに映像を取り込んでおります。」と万理子。
「嘘嘘嘘嘘。」と千明。
「見ますか?」
「見たい見たい見たい見たい。」
「見てよ。」

「何がおかしいんですか。」

「ウハハハハ!!」

長倉家まで聞こえる女たちの笑い声。
「何なんだあいつら。一体どうなってんだよ?」と和平。
「楽しそう。私もあっちに行こうかな。」とえりな(白本彩奈)。
「俺も行こうっかな〜。兄貴も行く?」
「行くわけないだろ。」
「そうなの?」
「そうなのってお前、当たり前だろ。」
「じゃ!」とえりな。
「おい、えりな。やめなさいって。ろくな人間にならないから。」
「ちょっとコンビニ。」
「そうなの?おいおい、気をつけろ。すぐ帰ってくるんだぞ。」
「はい。」
「大丈夫だって。はいコーヒー。」と真平。
「お、ありがとう。」
「熱いよ。」
「アチチチチチ。」
「ごめんごめん。」
「びっくりした。」
典子たちの騒ぐ声。
「うるさいんだよ、ホントに!」と和平。
「まあまあまあまあ。ね。
 ・・・なあ兄貴。」
「うん?」
「さっきさ。」
「さっき?」
「うん。俺嫉妬したみたい。」
「うん?」
「いや、兄貴と千明の二人見tえ、何かカチンときた。ムカついた。」
「何を言ってんだよお前。全然そういうんじゃないじゃないか。」
「分かってる。そういうんじゃなくて。
 問題はね、俺が嫉妬したってことなんだ。」
「うん?」
「初めてだよ、こんなの。初めてなんだ。
 これってさ、恋・・だよね?恋愛してるんだよね?俺。」
「・・・そうかもな。」
「何か・・何かさ、いいね。
 悪くないね、こういう気持ちも。」
「そうか?」
「うん、悪くない。
 大好きだからさ、誰にも取られたくないから、
 嫉妬するわけでしょ?」
「うん。」
「悪くないよ。うん。
 ・・・俺、ちゃんと付き合ってみようかな、千明と。
 あ、いや、一人の人とさ、ちゃんと、恋してみようかな。
 ちゃんと、自分のこと千明に話してさ。
 で、千明と幸せになりたいな、なんて思ったんだ。」
「・・・そっか。」嬉しそうな和平。
「うん。」
「そっか。」
「振られるかもしれないけどね、千明に。」
「・・・失恋も恋愛のうちだよ。」
「なるほど。深いね。うん。」
「何言ってんだバカ。」

千明たちの笑い声。

「うるさいな、ホントに。」
「いいもんだね、女の人が笑ってるのって。」
「そうか?」
「うん。」
「何がおかしくて、あんなに笑えんだろうな?」

和平さん、あなたですってば。(笑)

「あ!俺ちょっと出かけてくるわ。
 天使を廃業するにはやらなきゃいけないことあるし。」
「どういうこと?」
「ああ。じゃあね〜。」
「気を付けろよ。」
「はい。」

千明の家に和平の娘・えりなも加わり、さらに盛り上がる千明たち。
「私も結婚式出たかった。」とえりな。

「ええ・・・!!えりな、もう!」
隣の家から聞こえてくるえりなの声に唸る和平。

えりなが参加していること。
みんなが何で笑っているか気づいたからの、唸りですね。


千明の家
「ああ、でもこれさ、えりなちゃんがお嫁に行くってなったら大変だね。」と千明。
「そうかな。」とえりな。
「もうあれだよ。お兄ちゃんバージンロードで死んじゃうかもよ。」
「それはそれで幸せな最期かも。」と万理子。
「何言ってんのよ。結婚式がそのまま葬式になっちゃうじゃないの、ねえ!」と典子。
「台無し〜。」とえりな。
「台無し〜。」と典子と千明。

万理子が千明の写真を撮る。
「あ、ちょっとやめてよ。また出会い系とか。」
「分かってます。」
「あ!あんたどうなった?その若手のイケメン。」
「それ。それなのよ!
 で、千明に相談っていうか、お願いがあるの。」
「やだ。相談とかめんどくさいもん。」
「何言ってんのよ。お願い。」
「やだやだ。」
「ねえ〜。」
「使える話ならいいけどさ。相談とかお願いとか絶対めんどくさいもん。」
「ええー?お願い。いいじゃない〜。」

「でね〜。私、バカだしさ。気の利いたことが言えないっていうか。
 つまんないことしか言えなくてさ。
 そうだよねとか、分かるよ、とかしかさ。
 何か、年上の大人の女っぽいこと、言ってあげたいのよー。」
「言ってあげたいのよーって言われてもね〜。」
「ねえ、千明なら、そういうの得意でしょ?
 ほら、テレビドラマとかにもありそうじゃん。
 なんかそういう時さ、適当にでっち上げるわけでしょ?
 ねえおねが〜い!」
「でっち上げるわけじゃ。全然ほめられてる感じしないけどね。
 まあでもほら。母と息子のことなら自分が一番よく分かるんじゃないの?」
「あ、たしかに。」と万理子。
「ね!」
「今、母親の気落ち任ありたくないの!
 なんかさ、適当に見繕って。ね!」
「適当に見繕ってって・・・。ほら、お姉ちゃん困ってるから。」
「この場合、私が話すことによって、何かの参考になると考えるのは
 確率的に、」
「低いね。そうだったね。ごめんねごめんね。」
「お願い千明〜。」
「ちょっと何よ。好きになっちゃったの?その子のこと。」
「・・・そうかも。なんか・・・力になってあげたいのよぉ。」
「へーーーー。」
「皆さん恋がお好きですね、本当に。」と万理子。
「万理子ちゃんだっていろいろあったでしょう?過去にはねえ。」
千明に頭をなでられ一瞬フリーズする万理子。

「えりなちゃんはどう思う?」と千明。
「当たり前だと思う。分かり合えないなんて。」
「どうして?」
「確かに、あの人は私のことをちっとも分かってないけど。
 だけど、私もあの人のことちっとも分かってないし。
 お互い様。」
「へ〜。なるほどね。」
「私は女だし、無効は男だし。」
「ふーーん。そうだよね。
 ・・・今の、いいんじゃないの?」
「え?今のって?何て言えばいいの?
 ちゃんとセリフにしてくれないと!」と典子。
「だからさ〜、もう。」
「ちょっと待って。」紙を取りに行く典子。
「家族だからってさ。いい?
 家族だからってさ、無理に解り合おうとしなくても
 いいんじゃないかな。
 家族だから、こうじゃなきゃいけないって思う必要ないよ。
 お母さんは女性だし、あなたは男性だし、
 感じ方なんか違って当たり前なんだと思う。
 むしろ、分かり合えない方が、自然なんじゃないのかな。
 うん、私はそう思うな!みたいなね。」
「今の差、原作えりな、脚色千明って感じじゃない?」
「ね!」
「書けたの〜?」
「ちょっと待ってよ。」
「何?わー、字、汚〜」
「うるさいな〜。」
「いいよ、じゃあ後でワープロで打ってあげるからね!」
「え?なんだ。最初っから言ってよー。」
「ワープロ?」
「ワープロって言わないの?」
「もうパソコンでいいんじゃないですか?」と万理子。
「だってパソコンのソフトの中にワープロって入ってるんでしょう?」
「そうなんだけど・・・」
「ありがとう。みんなー、私のためにありがとー!」
「いや全然応援とかしているわけじゃないからねー。」
「ありがとう、千明!」
「・・・いいよ、じゃあはい。ガンバレ〜典子〜。」
ハグする二人。
「はーい!」
「ガンバレー、万理子ー。ついでにな。」
「・・・」ハグされて固まる万理子。
「あの、頑張りたいのは山々なんですが、私はそもそも他人が
 あまり好きではないのです。
 恋をしてみようと努力してみたことはあります、何度かは。
 相手の気持に答えようとしてみたというか、でも最悪の結果を
 招いてしまいまして。
 最初は江ノ島エスカー事件。」
「何それ?」
「この子江ノ島で、男の子にキスされて。
 あ、ファーストキス。」と典子。
「その瞬間気持ち悪くなっちゃって、吐いちゃったの。」
「うーわー。」
「あり得ませんね、あの行為は。私には納得できないというか。
 何で口と口をくっつけたりしなければならないんでしょう。
 何が楽しいんでしょうか?」
「チューは楽しいよね。」と典子。
「まあ、そうだよね。」と千明。
「楽しいよね、好きな人となら。」とえりな。
「・・・今何つった?」と千明。
「楽しいでしょ?好きな人となら。」
「・・・美少女は早熟ね〜。」と千明。
「ね〜!!」
「でもさ、それ絶対にお父さんに言っちゃダメだよ。
 あの人驚いて死んじゃうよ、きっと。
 だから女だけの秘密ね。」
「ヒ・ミ・ツ!」

長倉家
千明たちの笑い声を聞きながら、和平はアルバムのページをめくっていた。
アルバムには、幼い頃の真平と万理子の2ショット写真。
「・・・父さん。母さん。
 真平が恋愛だって。
 ・・・頑張れ。」

その頃、真平は畑中みどり(吉田羊)に好きな人が出来たと話す。
みどりは寂しさを感じながらも、真平を祝福。
最後に一つだけお願いを聞いて欲しいと頼む。
「あのね、別れた夫との思い出の場所があってね。」

翌朝、海岸
「おはよう!」と真平。
「おぉ、おはよう。」と和平。
「はい、これ。」
「おー、キレイなのあったね。」
「うん。」
「あれ?どうしたの?」
「俺さ、何日か出かけてくる。」
「どこへ?」
「最後のお願いをかなえに。」
「最後のお願い?」
「うん。ああでさ、店、休んでもいい?」
「ああ、まあ、あそこはお前のあれだから。構わないよ。」
「うん。ありがとう。じゃあ行ってくる。」
「おい、真平。」
「うん?」
「お隣さんには?」
「千明のこと?」
「うん。」
「これから会ってくる。」
「ちゃんと、全部話すんだぞ。」
「うん。」
「・・・無理すんな。」
「じゃあね。」

千明の家に、リュックを背負った真平がやってくる。
「ごめんね、朝から。」
「ううん。え?どっか行くの?」
「天使としての最後のお務め。」
「最後?」
「うん。最後。
 千明。」
「何?」
「俺、千明のことが好きみたい。」
「・・・へ?」
「だから、天使は廃業することにした。」
「・・・」
「帰ってきたらさ、俺とちゃんと付き合ってくれないかな?」
「・・・」
「1対1っていうか、ちゃんとした恋人になってほしいんだ。」
「・・・えっ?私と?」
「うん。」
「私でいいの?」
「千明がいいんだ。」
「・・・マジですか?」
「マジです。」
「・・・そう。ええ、ああ、ああ。ああ、ああ。
 えっと、ありがとう。」正座してお礼を言う千明。
「良かった!」

「真平、やったね!!
 嬉しいよお姉ちゃん!嬉しい!」
典子が真平に抱きついて喜ぶ。
「あ、俺行かないと。」
「うん。気をつけて。」
「じゃあ、千明。」
「いってらっしゃい。」
「いってきます!」笑顔で敬礼する真平。
「はい、はい!」敬礼して見送る千明。

その場に居合わせた典子は大喜びだった。

和平は、大橋秀子(美保純)に誘われて、とあるカフェを訪れる。
「大橋さん、あのう。
 この間大橋さんが行きたいって言ってらっしゃったお店ありますよね?」
「はい。」
「実は・・あのお電話頂いた時、ある方と、そのお店に行く約束を
 したばかりだったんですよ。
 で・・同じ店に行くのは、なんか失礼かなって。
 いや、どちらにも。
 で、ここに・・したっていうか。すいません。」
「いや、何で今それを?」
「いえ、あのう、言わないのも、何だかなぁと思って。」
「・・・誠実な方なんですね。」
「いえいえ。」
「長倉さんは。」
「いえ、そういうことじゃなくて。」
「褒めてません。」
「・・・はい?」
「いらないんです、そういうの。
 誠実で、嘘がない。
 嘘がつけない。
 結婚するならそういう方がいいかもしれませんけど、
 私はそういう、つもりではないので。
 あの、恋愛っぽいっていうかー、そういうのってもっと
 ドキドキするもんだと思うんですよ。
 相手が何考えてるか、こう・・・
 分からないほうが、楽しくないですか?」
「はぁ・・」
「あのう、私達は、恋愛っぽいことを楽しんでいるわけですから、
 そういう誠実キャラは、いらないです。キャンセルで。」
「・・・はぁ・・何か、すいません。」

帰り道
「・・・何で俺があんな感じで言われなきゃいけないんだよ。
 納得できないよな〜ホントにな〜。」
ブツブツ独り言を言いながら帰る和平。

同じころ、典子は、文也と会っていた。
典子は、千明たちに考えてもらったセリフを彼に伝える。
「家族だからって、分かり合わなきゃいけないなんて思う必要
 ないと思うよ。
 おかあさんは女だし、君は男で、育った時代も違うわけだし。」

「アレンジくわえてる。」隣の席で呟く万理子。

「分かり合えなくて当然だと思えばさ、気が楽にならない?」
「はい。ありがとうございます!」
「ううん、そんな。」
「典子さんに会って、よかった。」
「・・・ホント?」
「これからもよろしくお願いします。」
「うん。何でも言ってね♪」
「あ、そうだ。こんなに沢山相談に乗ってもらったんで、
 何か、お礼したいです。」
「いいよ、そんな。私だって文也君の相談に乗れて嬉しいし。」
「そうだ!絵、プレゼントさせてください。」
「絵!?」
「はい。じゃあ早速描きます。」
「服着てていいの?」
「はい。」

二人のやり取りを聞きながら、万理子は千明の写真を見つめていて・・・。

そして店の外には、偶然通りがかった典子の夫が立っていて・・・。

千明は、脚本家の栗山ハルカ(益若つばさ)と台本作りを進めていた。
作品に対するこだわりを曲げようとしないハルカに千明は微笑む。
その作業は、結局、翌朝までかかってしまう。

和平は、今度は秀子の娘・知美(佐津川愛美)から誘われる。
知美が予約したのは、先日、千明と一緒に訪れた店だった。
「いらっしゃいませ。
 いつも、ありがとうございます。」とあの日と同じ従業員。
「・・・」

「来てみたかったんです、私。」
「あっそう。」
「あの、お任せしてもいいですか?」
「うん?・・・いや、自分の好きなものを、頼んだほうがいいよ。
 僕はあの、君の好き嫌いとかさ、今の気分とか分からないから。
 どうぞ、好きなもの頼んで。」
「優しいんですね。」
「いや、そういうんじゃなくて。
 ・・・
 僕は、カルパッチョと、オマールエビにしようかな。」
「私は、エゾジカと、アマダイのうろこにします。」
「・・し、鹿と、うろこ?」
「はい。」

こっちは趣味が違った!

千明は、友人の荒木啓子(森口博子)、水野祥子(渡辺真起子)と
足裏マッサージを受けながらおしゃべり。
若いころは徹夜をしても翌日なんともなかったのは、今では徹夜後2日は
使い物にならない、燃費が悪いと笑う3人。
「あ、そうだ。バカボンのパパって、いくつだと思う?」
「うん?」「知らないなー。」
「あの人さ、41なんだって。
 ねえあのおじさん私達より4つも年下なんだって。」
「えーーー。」
「ちょっとウケるでしょ。」
「ウケるー。いつの間にか追い越しちゃったのだ。」
「そうなのだー。」
「ねえ、エンジェルどうしたの?」と祥子。
「ああー・・あのさー。
 私ちゃんと付き合おうって言われちゃったんだよねー。」
「ホントに!?」
「うん。」
「で?」
「天使は廃業するんだってー。」
「へー。」「それで?」
「まあ、はい、的な、返事をしましたけど。」
「おーー!!」
「で、今は、天使の最後のお仕事中。旅行行ってるらしい。」
「え!?女と?」
「そうみたい。
 でもさ、普通それ言うか?私に。
 いってきます、みたいなさ。」
「普通は、言わないよね。」「だって天使だもんね。」
「そうなんだよね〜。
 で、問題は・・・」
「何よ?」
「うん。私がね、それほど嫉妬とかしてないってことなんだよね。
 ハハ・・どう思ってるんだろう、私。」
「・・・」

翌朝、千明は、典子に誘われて、長倉家で朝食をとる。
「・・・あのう。」と和平。
「はい。」
「真平、何か話しに行きました?」
「・・・はい、はい・・はい。」
「ああ、そうですか。」
「そうなのよ。真平言いに来たのよ。ね〜!」と典子。
「良かった。ハハハ。
 ・・・真平のこと、よろしくお願いします。」
「いやいや、いえいえ、こちらこそ。」
「いや、俺、嬉しいんです。
 あいつがあなたと出会って、あんなふうに変わったのが、
 嬉しいんです。
 ありがとうございます。」
「いえいえいえいえ。」
「確かにあいつはあのう、病気を抱えてますけど、
 あいつは、あいつなりに、前に進もうとしてる、」
「ちょっと待ってください。今、何ておっしゃいました?」
「いや、あいつの、病気のことなんですけど。」
「ええ。」
「あのう。」

「お兄ちゃん・・」と典子。
「いや。」
「その話は・・・」
「何?」
「真ちゃん、していません。」と万理子。
「・・・うん?」

「もう、あれですよね。
 全部こう、話すしか、ないですよね。」
和平を隣に座らせる千明。
「お願いします。」
「・・・・・・。」

レストランでの千明と和平の会話、楽しいな〜。
お互い気を使わない者同士の会話。
息ぴったり!食べ物の好みもぴったり!

「自分が食べたいものを食べたいので人に任せるなんて
 絶対に嫌です。自分で決めます。
 大体知ってるんですか?私が何が好きかとか。
 今日どんなものが食べたいのかとか。
 任せるなんて意味がわからない。意味がない!」

千明は自分をちゃんと持っていて素敵です。
和平も気づいてないけどそんな千明に惹かれているよう。

知美とレストランに行った時、千明に言われたことを
そっくりそのまま知美に言っていました。
千明は千明で、和平に教えられたバカボンのパパの年の話を
楽しそうに友人にしていました。

千明と和平の2ショットを見て嫉妬した真平。
真平が女の子と旅行に行っても嫉妬しない千明。
この恋、うまくいくのかな・・・。

真平は天使を廃業。
「ちゃんと全部話せよ。」
和平の言葉には、病気のことも、っていうのも含まれていたのか。
それは、真平のためでもあり、千明のためでもある。
しっかりしたお兄さんだな。

その和平の方は、秀子さんに
「あのう、私達は、恋愛っぽいことを楽しんでいるわけですから、
 そういう誠実キャラは、いらないです。キャンセルで。」
と言われてしまいました。
和平さんの誠実さ、いいと思うけどな〜。
秀子さんは結婚するつもりはない。ただトキメキたいだけ。
和平さんはそんな関係全然欲しくないだろうし、もう会わないほうがいいよ。

そしてそして、万理子はもしかして千明のことが好きになっちゃった?
それとも、真平の双子だから、何か感情が伝わってきているのかな?



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公式HP

【キャスト】

吉野千明
  小泉今日子
長倉和平
  中井貴一
長倉真平
  坂口憲二
長倉万理子
  内田有紀
AP三井さん
  久保田磨希
田所勉
  松尾諭
大橋知美
  佐津川愛美
武田誠
  坂本真
長倉えりな
  白本彩奈
一条さん
  織本順吉
水野祥子
  渡辺真起子
荒木啓子
  森口博子
水谷広行
  浅野和之
水谷典子
  飯島直子


【スタッフ】

脚本
  岡田惠和
音楽
  平沢敦士
主題歌
  浜崎あゆみ「how beautiful you are」(avex trax)
プロデュース
  若松央樹
  浅野澄美(FCC)
演出
  宮本理江子
  谷村政樹
  並木道子
制作
  フジテレビドラマ制作センター


小泉今日子さんの主な出演作品



中井貴一さんの主な出演作品





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