2012年03月01日

最後から二番目の恋 第7話

『恋ってどうすれば良いいんだ?』

吉野千明(小泉今日子)は、長倉和平(中井貴一)の弟・真平(坂口憲二)から
好きだと告白され、彼と交際することになった。
千明のおかげで真平が変わった、と喜んだ和平は、てっきり彼が
自分の病気のことも打ち明けたものと思い込み、つい口にしてしまう。
水谷典子(飯島直子)は、この際、千明にはすべてを話すべきだと主張した。
和平は、悩みながらも、真平の病気のことを包み隠さず千明に打ち明ける。
「弟が・・・真平が11歳の時に、脳に腫瘍が見つかりました。
 すぐに手術をしたんですが、完全に切除することは出来ませんでした。
 ですから再発の可能性は、常にあります。
 その可能性は、高いとも言われています。」
「再発?」
「ええ、もちろん、100%ということはないですし、
 再発しない可能性もあります。
 ただ・・・再発した場合、助かる可能性は低いんだそうです。」
「・・・」
「中学にあいつが入るときに、私がそのことを本人に話しました。
 それ以来あいつは、いつそうなってもいいように生きてます。
 例えば・・・高校を卒業するときに、同級生が競うように、
 運転免許証を取りに行っているときも、
 あいつは取りに行こうとしませんでした。
 運転中に何かあったら・・自分以外の人を巻き込んでしまうからって。
 あいつはガキの頃から、乗り物が好きでしたから、
 免許は欲しかったと思います。
 他にもいろいろあるんですが・・・ 
 あいつの何ていうか、生き方というか、することは全て・・・
 そのことを前提にしているところがあります。
 こんな言い方は嫌ですけど・・・
 いつ自分がいなくなってもいいように。
 人に迷惑が掛からないようにしよう。
 残された自分の時間の中で、できるだけ多くの人を幸せにしたいって
 考えているんです。」
「・・・だから、天使なんだ。」

「ハハ。まあ家族としては、もっと普通に生きて欲しい。
 みんなと同じように生きて欲しいって思います。
 でも、真平が、自分で出した答えというか・・・生き方です。
 ですから、尊重してやりたいって思うんです。」
「・・・」
「ハハハ。女性に対してもそうなんです。
 誰ともちゃんと付き合おうとしなかった。
 悲しい思いをさせてしまうからって。
 だから自分も、一人の人を好きにはならないって、
 そう決めてるんです。
 いや、それが女性に対して、本当の意味での幸せでないことは、
 あいつも重々、分かってると思います。
 でも、寂しい人を見ると、放っておけなくなるんでしょうね。
 あ、いや。いやいやいや、すいません。」
「いえいえ、いいんです。」
「すいません。そういう意味じゃなくて、すいません。」
「はい。はい。」
「でもそんなあいつが、あなたに恋をしたって言いました。
 初めて・・・初めてなんです。
 ホントに嬉しかった。
 いや・・ホントに。本当に嬉しかったんです。」
「・・・」
「こんな話をしてあれですけど・・・
 あいつの側にいてやってください。」
「・・・何で、私なんでしょうね?」
「ハハ。それは、本人に聞いてください。」
「ああそっか。そうですね。ヘヘ。
 ・・・あ、何だ。」
「え?」
「いやいやいやいや。
 もう・・すぐに死んじゃうとかそういうのかと思いましたよ。」
「いやでも・・いつそうなるか。」
「うん。・・分かりました。
 真平君のことは、はい。よく分かりました。」
「よろしくお願いします。」
「はい。
 でもあれですよね。そんなのみんな、同じですよね?
 だって、何が起こるかなんて分からないじゃないですか。
 あなただって明日、事故に遭うかもしれないし、
 もうこう、体が助からないような病気に侵されてるかもしれないし、
 ブスって誰かに道端で刺されるかもしれないし。」
「いや、ちょっちょっちょっちょっちょっと待って下さい。
 あのう、何でこの例えが全部僕なんですか?
 そういう話するとき、普通自分の、」
「アハハ。だって、あれですよ。あの例の、
 お見合い親子の、どっちかが恨みをこう買って、ブスって、
 刺す可能性とかありますからね。」
「恨みを買うようなことはしていません。」
「してるじゃないですか〜。」
「してませんよ。」
「二股ですよね?」
「二股じゃないですよ。何言って、」
「二股でしょ?」
「二股じゃないですよ。」

「ちょっと待って。」と典子。
「何だよ。」
「何?二股かけてる親子って。
 え?え、万理子知ってた?」
「恐らく親の方だと思われる人物には、一度。
 ですが、まさか娘と二股とは。」と万理子(内田有紀)。
「ちょっちょっちょ。ちょっと待ってよ〜。」
「えりなは?」と典子。
「何も聞いてません。」とえりな(白本彩奈)。
「そりゃ聞いてないよ。だって言ってないもん。
 だって言うべきことじゃないもん。
 言うようなことじゃないもん。」

「アハ。何かすいません〜。」と千明。
「何かすいませんって・・あなた悪意あるでしょ。」
「ないですないです。」

「ちょっと何それ〜!
 偉そうに人に説教ばっかしてたくせに何やってんの?
 変態!」と典子。
「変態!?」
「自分がわからないものを全て変態というのもいかがなものかと
 思いますが。」と万理子。
「そうだよ。お前な、だいたいな、兄に向かって変態とは何だ、
 娘の前で。」
「じゃ、ノーマルだって言えんの?ねえ、えりな!」
「ノーマルだよ。」
「変態かどうかは知らないけど、最低だとは思う。」とえりな。
「最低ってお前・・・」
「あ。」と万理子。
「何だよ?」
「ああ・・・」

そこへ、真平が戻ってきた。
「ただいま〜!
 ・・・どうしたの?」
「帰ってくるならもっと早く帰ってこい!」と和平。
「そうだよ真平。心配するじゃん。」と千明。
「え!?・・ごめん。」
「フフフ。おかえり!」
「ただいま。」

一緒に駅に向かった千明は、彼に事情を説明した。
「でもよかった。兄貴が話してくれて。」
「ああ、そうなんだ。」
「だって嫌じゃん。何かさ、千明、実は俺・・みたいなの?」
「実は俺・・みたいのね〜。
 でも、お兄さんちょっと困ってたよ。」
「そっか。あ、あとで謝っとく。」
「そうだね。」
「うん。」
「うん。
 じゃあ、まあ・・あのう。よろしくお願いします。」
「え?」
「あのう、恋人ってことで。」
「ああ!うん。恋人ってことで。」
「エヘヘ。」
「あのさ。」
「うん?」
「さっき、真平君、じゃなくて、真平!って言ったよね?」
「アハハハハ。なんか、どさくさに紛れて呼んでみました。」
「いいよね、あれ!」
「あ、ウソ?」
「うん!」
「じゃ・・真平、ってことで。」
「うん。真平ってことで。」
「真平!」
「あ、でさ、でさ。」
「うん?」
「ちょっと座って座って。」
「何?何?」
「あのね、うーん。どうしたらいいかな?」
「何が?」
「俺初めてだからさ、恋愛関係っていうの?よく分かんなくて。」
「ああ、そっか。」
「うん。」
「そっかそっか。」
「うん!」
「どうすればいいん・・だ?」
「うん?」
「あれ?どうすればいいんだっけ?」
「うん?うん?」
「何か私も・・結構忘れちゃってるかも。」
「ああ!アハハハ
 じゃあ、じゃああの、初めてと、忘れちゃったで、
 意外と新鮮かもね!」
「そうだね!」
「そうだよ。」
「うん。じゃあ頑張ろう!」
「おう!頑張ろう!」
「うん、頑張ろう!」
「って何を?」
「うん?あっそっか。頑張ろうっていうのも変か。
 そうだね。」
「うん。」
「じゃあ何だ?」
「何何?何何?」
「いや、とりあえず時間がないから、」
「うん。」
「仕事行ってくる。」
「アハ。大変だね、休みなのに。」
「そうなのそうなの。
 じゃあね。行ってきます。」
「行ってらっしゃい!気をつけてね!」
「は〜い!行ってきます。」
「バイバイ!」

その頃、長倉家に、和平の部下・大橋知美(佐津川愛美)が訪ねてくる。
市長がVIPを鎌倉観光に連れて行くことになり、緊急招集がかかったが、
和平の携帯電話がつながらなかったために呼びにきたのだという。
妹たちに余計なことを言わせないよう釘を刺し、急いで着替える和平。

典子や万理子が和平の言うことを聞くハズもなく。
「ひょっとして〜、あなたが、お兄ちゃんの?」
「ああ!はい!」
「へ〜〜。
 で、何?あなたと、あなたのお母さんと、二股かけてるわけ?あの男は。」
「はい。そうなんですよ〜。」
「へ〜。ホントにそうなんだ〜。へえ〜。
 おかあさん幾つ?」
「53です。」
「はぁ・・・守備範囲広いなあいつ。」
「あの!味方になってもらえませんか?」
「いや、味方って言われてもね〜。」
「お願いしますぅ。」
「いやぁ・・」
「でも、あれですね。ひょっとしたら、お二人の、お姉さんに
 なってしまうかもしれませんね。」
「は!?いや、それは何だかねー。」
「私はそれはそれで特に。」と万理子。

「あのう。」とえりな。
「あ!よろしくね、えりなちゃん。」
「どうも。あのう。」
「何?何でも言って!」
「アニメ声だって言われませんか?」
「いい質問ですね。」と万理子。
「・・言われたことは、あるかな。
 ア・・アニメ、好きなんだ?何が好き?
 私ね、物真似とか出来るよ。やってみよっか?
 えっと何がいいかな?」
「どちらかと言えば嫌いです。」
「・・・」

「出来た!出来た!おまたせ!」と和平。
「早くない?」と典子。
「そりゃだって急いでるっていうんだ。
 急ぐに決まってるじゃないか。」
「あれ?物真似やんないの?」
「今の流れじゃできませんよ〜。」
「何か言われた?ごめん!ごめん!ごめんなさい。
 行きましょ!行きましょう!行きましょう!」
和平は慌てて知美を家から連れ出すのだった。

「はぁ・・・信じらんないねー。
 負けてらんないわ。」と典子。
「あの、何と戦っているんでしょうか?」と万理子。
「何って。だから負けてらんないでしょ。」
「答えになってないというか。でもまあ頑張ってください。」
「うん。
 でもあれだよね、何かさ、ぶりっ子って感じしない?ねえ?」
「うん。洋服の合わせ方がいまいち。」とえりな。
「あ!洋服の合わせ方。そうだよね、えりな!ね!」

「しかし皆さん、恋がお好きですね、本当に。」
と言う万理子の携帯には千明の写真。
「恋・・・。」

「改めてただいま〜。」と真平。
「あ、おかえり!」
「おかえりなさい。」
「あれ?兄貴は?」
「うん?出かけた。急な仕事だって。」
「そうなんだ。」
「あ・・ちゃんと。ちゃんと話してくれたよ、お兄ちゃん。
 お礼言わなきゃダメだよ。」
「うん。」
「あ!でもさ、あの親父ちょっとまたすごいのよ!
 聞いて聞いて〜!」
「何かあったの?また。」

「典姉〜。」と万理子。
「うん?」
「こんなの来ました。」
メールを見せる万理子。
「えっ何?
 ・・・ホテル!?
 え!?どうしよう。やだどうしよう!!」
「一人で行って下さい。」
「え・・・何言ってんの!?」

タクシーの中
「ごめんね。来てくれて助かったよ。」と和平。
「いえ。
 あの・・私の声って、どう思いますか?」
「いや・・普通だと思うけど。」
「私はあんまり好きじゃありません。自分の声。」
「ああ・・」
「顔も声も、あんまり好きじゃないんです。子供っぽくて、
 何か嫌です。」
「ああ、そうなんだ。」
「・・・意外でしたか?」
「え?」
「もう少し、興味を持ってほしいです。私に。
 若い女の子とか、部下とか、そういうんじゃなくて、
 私に興味を持ってほしいです。」
「・・・」

出社した千明は、脚本家の栗山ハルカ(益若つばさ)らと台本の打ち合わせをする。
主人公がいつ恋に落ちたのか分かりづらい、と発言したのは、武田誠(坂本真)。
「え〜〜〜〜!武田さん、恋、してないんですね。そんなふうに、
 いつ好きになったとか、いつ付き合ってもいいと思ったとか、
 そういうんじゃないじゃないですか。」
「・・・すみません。」
「女性ならわかると思うんですけどね〜〜〜。
 ね、飯田さん!」
千明やAPの三井(久保田磨希)ではなく、若いAP飯田ゆかり(広山詞葉)に
同意を求めるハルカ。
「え!?私?」
「今、通過しました?私達通過?」と三井。
「そんあんことないですけど、現役感が、ちょっと!」
「現役感・・・。」

「で、どうなの?飯田は。」と千明。
「ああ、はい。そう、ですね・・・。
 この二人は、出会った時からずっと好き同士だなって
 私は読んでました。」
「えーっ?そうなの?」と千明。
「えーーーっ。千明さん、忘れちゃったんですか?恋愛。」
「・・いやいや、そんなことないよ。
 ・・・これ、あのう、まああくまでも又雑談なんだけどね。」
「はい。」
「あの、前に、話したでしょ。私のこう、友だちの話をさ。」
「45歳で、35歳のボランティアを受けてるっていう?」
「そうそうそうそう!そのさ、その友達がね、そのボランティア君に
 何かこれからは、君一人と、ちゃんと付き合いたいって言われたんだって。
 それってどう思う?」
「うーーーん、あー、はいはいはいはい。絶対続かないですね。」
「・・・」
「捨てられます!」
「・・・ハハハハ。そうなんだ。まあ、そうだよね。
 はい、じゃあもう、雑談ここまでね。
 仕事の話に戻りますけど、ま、ほら、単にわかりやすくする必要も
 ないんだけどさ、せっかく書いた台本がね、伝わらないんじゃ
 もったいないでしょ?
 だってこれ、ここに5人の人間がいてよ、そのうちの1人が分からない
 ってことは、世の中の20%が分からないってことでしょう。」
「そっかー。」
「ね、それを切り捨てちゃいけないと思うんだよね。
 たとえ、アニオタといえども!武田といえどもね!」
「はいそうです。」と武田。
「どうですか?先生。」
「うーん、分かりました。」
「うん。じゃあ頑張りましょう!」
「はい。」
「うん、はい。」
「あ、そういえば千明さん。」
「はいはい。」
「そろそろやめませんか?」
「何を?」
「自分のネタを話すときに、私の、友達がっていうのは。」
「・・・」
「たいてい、本人のことですよね!ね!
 めんどくさいから、やめましょ、そういうの。」
「いやいやいやいや。」
「ねえ!みんなも思ってましたよね?」
笑ってごまかしながらホワイトボードを消す千明。
「あ!まだ書いてないんで消さないで下さい〜!」

アハハ。バレバレでした〜!

その夜、仕事帰りの和平は、ひとりでバーに立ち寄る。
運悪くその店には、典子の夫・広行(浅野和之)がいた。

一方、典子は、出会い系掲示板で知り合った青年・村上文也(八神蓮)から
呼び出される。
典子は、万理子を引き連れて、待ち合わせ場所の高級ホテルを訪れる。
「あの・・あの私はやっぱり必要なアイテムでしょうか?」
「いいからいてよ。だってホテルだよ!ホテルのレストランだよ!
 このまま部屋にってことでしょ!それって。」
「だったら余計私はいらないんじゃないでしょうか。」
「いいの。いて!まだ迷ってんのよ、1割くらいは。」
「たったそんだけの迷いですか。」
「行くよ!」
「どうぞ。」

「典子さん!」
「フミヤく〜ん。
 ・・・」
「はじめまして。文也の父です。」
「あ・・ど、どうも・・・。」

「これが、例のファンキーってやつですか。」万理子が呟く。

バー
「そのとおりだ。和平君が怒るのは、当然だよ。
 典子の兄として、怒るのはね。」
「どういう意味ですか?」
「男としてはどうなの?」
「え?」
「だからさ、男としてですよ。
 まったく理解出来ないわけ?俺のこと。」
「そりゃあまあ・・あれですよ。」
「ああ、そういう、そういうさ間違ってるとかさ、正しいとか、
 そういうのはもうやめてくれよな。
 間違ってるなんてことは分かってんだからさ。
 でもさ、あるだろ?あるでしょ?
 人間にはさ、間違ってることだってあるでしょ!?
 和平君にだって、あるでしょ!?」

ホテルのレストラン
文也の父は、典子のおかげで文也が親と話す努力をするようになった、
と感謝し、お礼にと食事の席を設けたらしい。
が、その父親は、文也が席を外した際に、
「いわゆる、出会い系ですよね?」と父。
「あ・・」
「あいつは、そういうんじゃないよ、とか言っておりました。」
「はい。」
「でも、あなたは違いますよね?」
「え?」
「息子は・・・勘弁してもらえませんか?
 いくら何でも年が違いすぎる。」
「いえ・・そんなんじゃ。」
「それに、あいつには彼女もいます。同じ年の。」
「え!?」
「でも、気持ちは分かるつもりです、あなたの。」
「え?」
「私も、同じような気持ちになるようなことがあります。
 802に泊まってます。」
「は?」
「よろしかったら、いかがですか?」
「あ!?何言ってんですか!?
 ふざけないで!
 バカにすんな!!」
典子は、憤慨してホテルを飛び出し…。

バー
「悪いことがさ、したいんだよ。
 悪いことがしたくてしたくて、たまらないんだ。
 こんな小さな和久の中でさ、終わりたくないんだよ。
 男として終わりたくないんだよ。
 破滅してでもいい。悪いことがしたいんだよ。
 止められねえんだ、その気持ち!
 無理に、無理に止めたらさ、頭がおかしくなりそうなんだよ!」
「・・・」
「分かんない?ねえ!君には分かんないか!?
 男かそれでも。うん!?」
「触るな!触るなアホ!」
「小せえ。つまんないやつだな、もうホントに!」
「・・・何なんだよみんなして人のこと。
 つまんないつまんないつまんないつまんないって。
 悪かったね、つまらない男で。
 でもね、日本中みんなね、面白おかしく生きてたらね、
 この世の中どうなります?
 社会全体どうなります?
 俺はね、こういうふうに生きてくるしか仕方がなかったんだよ。
 もし俺がちゃらんぽらんに生きてたら、あの家どうなってました!?
 ね!弟や妹たちは、どうなってたと思います?」
「分かる。」
「俺だってね、意外にね、面白おかしく生きたかったですよ。
 そりゃ男ですよ、俺だって。だから頭ん中ではこういろんなこと
 考えますよ。
 あんなこととか、こんなこととか、いろんなこと、考えちゃいますよ。」
「何?」
「でもね、でもね!
 それをあんたみたいに実行しないのはね、私にはね、
 理性と知性があるからだ!
 分かったか!このじじい!」
「分かった!よし。いざキャバクラ行こう〜!」
「・・・つまんね。何でそんな。行きませんよそんなとこ。」

 
同じころ、千明は、友人の荒木啓子(森口博子)、水野祥子(渡辺真起子)に、
真平の病気の件を打ち明ける。
「ずっとそうやって生きてきたんだよね、彼はね。
 彼の前では絶対こう、辛気臭い顔とかしたくないじゃん。」
「うん。」
「でもさ、なんかそれを考えちゃうとさ。
 考えちゃうとね。何かその彼の、何ていうの?気持ちっていうか。
 どんな気持ちでこう、今まで生きてきたのかなとか思うとさ、
 何か・・・」涙ぐむ千明。
「ごめんごめん。大丈夫大丈夫大丈夫。
 うん、ありがとう。」
「大丈夫?」
「大丈夫。
 あ、でも、何で私なんだろうね。それが謎なんですよ。
 とっても光栄だとは思うんだけどね。」
「多分天使くんはさ、自分のことじゃなくて人のことばっかり考えて
 生きてきたわけでしょ?」と啓子。
「うんうんうん。」
「この人は何を望んでるんだろう。
 何をしてほしいんだろう。
 何がしてあげられるんだろうって。」
「うん、うん。」
「千明にはそれがそんなにないんだよね、きっと。」
「う、う、うん??ないの?」
「だってさ、何だかんだ言ったって、ちゃんと一人で生きていける力
 持ってるもん。」
「まあ。」
「だからさ、彼は千明と一緒にいて、力をもらえるんじゃないかな。
 与えるんじゃなくてさ。」

「で、私は、どうしたら、いいんでしょうかね。」
「・・・」
「そこは、突き放すのね。
 そっか。
 ま、頑張るしか、ないのか?ね?sぽうだね。
 ね!分かった。じゃ、頑張る。乾杯!
 頑張る頑張る!」

広行に絡まれた和平は、無理矢理キャバクラに連れて行かれる。
するとその店には、一条(織本順吉)も客としてきていた。
一条は和平が二股をかけているという話で盛り上がり、
嫉妬した広行は泣き出し・・・。

タクシーで帰宅した千明は、広行の介抱をしている和平に出会い、
一緒に広行を自宅まで送り届ける。
千明は、飲み直したいという和平に付き合い、居酒屋を訪れた。
「アハハ。それは災難でしたね〜。」と千明。
「災難っていうか。ちょっと笑いすぎですよ。」
「すいませんすいません。
 いやあでも、そう、言ってること、私もちょっとわかるような
 きがしますけどね。」
「広行さんのことですか?」
「ううん。キャバクラの女の子たちの。」
「うん?どういうことですか?」
「だって、何ていうの?優柔不断っていうか、うん。男らしくない。
 全然男らしくないんです。」
「ちょっといいですか?ちょっといいですか?」
「何ですか?」
「何なんですかね?その男らしくないっていうのは。」
「は?」
「いや私はね、」
「ええ。」
「その男らしいという言葉に甚だ疑問があるわけですよ。」
「はあ。」
「女らしいという言葉と、男らしいという言葉。
 このね、2つにはね、これかなり、かなりの不公平さがあるんですよ。
 いいですか?何つったらいいかな。あのね、子供の頃から、
 男のほうが、重いものを背負わされてるっていうかな。」
「はあー!?」
「いやいや、考えてみてください。子供の頃。ね。」
「はいはい。」
「例えば母親がですよ、娘を連れてきて、周りの人に
 いやもうね、この子困っちゃうんですよ、女らしくなくてって
 言ったとするじゃないですか。
 そうすると周りの人間はね、いいじゃないですか、活発なお子さんで
 とか、いいじゃないですか、お転婆さんでっていう
 肯定するフォローの言葉がどんどんどんどん出てくるわけですよ。
 ところがね、あんまり言わないですけど、母親が自分の息子を
 連れてきて、この子ね、男らしくなくてって言ったとするじゃないですか。
 そうすると周りの人間はね、一瞬ね、・・・って考えちゃうんですよ。
 その、なかなか肯定する言葉というか、フォローする言葉が
 見つからない。出てこないんですよ、ね!
 今の時代だったら、下手すりゃ、ちょっとこっち系ですか?
 みたいなことまで言われちゃうわけですよ。
 子供だってね、子供だって災難ですよ、そんなのは。
 大人になってからだってそうですよ。
 女らしくなくたって素敵な女性ってたくさんいる。」
「まあね。」
「でもね、男らしくないって言われたら、これ完全に否定!
 もう、完璧な否定ですよ。
 男らしくなくて素敵な男性って見たことあります?」
「・・・」
「います?見たことあります?いないでしょ?
 私はそう言われてるんですよ、男らしくないって。
 そう言われたらね、こっちだってね、
 悪かったですね、男らしくなくてって、開き直るしか他に手段が
 ないんですよ。
 そう言われる、男の気持ちなんてあなたに分からないでしょう?
 まったくわからないはずだよ、あなたに。」
「・・・すっきりしました?」
「はい?」
「すっきりしましたか?」
「・・・ええまあ。なんとなく。」
「なら良かったです。フフ。」
「すいません、何かちょっと、ムキになっちゃって。」
「いえいえ。大丈夫です。ハハハ。ああ。」
「何ですか?」
「いやいやいやいや。
 今ね、その、せっかく向こうに好意を持ってもらってるんだから、
 頑張ればいいじゃないですかって言おうと思ったんですけど。
 でもまあ、恋愛って、頑張ってするもんじゃないですよね。」
「そうですね。」
「うん。
 しかも、私達みたいにこう、何ていうんですかね。
 恋愛抜きの、暮らしを、結構長く、してきてしまったわけじゃないですか。 
 そこにね、その、恋愛を持ち込むっていうのは、ものすごい、
 エネルギーとかパワーが必要なわけですよ。」
「そうです。」
「うん。で、でも私は、ちょっとだけ、頑張ってみようかなって、
 頑張るっていうか、私ね、真平君のことを、ちゃんと見てなかったような
 気がするんですよ、今まで。
 鎌倉で、カフェなんかやってる、カッコイイけどちょっと不思議な男の子、
 みたいな。年下のね。分かります?」
「分かります分かります。」
「うん。でも、ちゃんと真平君のことを、知ってみようかと思うんですよ。
 本物の、恋になるかどうかっていうのは、
 その後に、考えることなのかなっていうか。」
「うん。」
「ま、もちろんね、私のことも、相手に知ってもらいたいわけなんですけど。」
「なるほどね。」
「うん。
 その、お見合い母と、お見合い娘のこと、ちゃんと知ってます?」
「その言い方ちょっとあれですけど・・・
 そう言われれば、よく知らない、ですよね。」
「うん。
 ちゃんと知ってからでいいんじゃないんですか?
 結論を出すのは。」
「うん、その、大橋さんのね、娘さんからも同じようなこと言われたんですよ。
 もっと私に、興味を持ってくださいって。」
「おー。ホホホ。電話しましょう、電話。電話電話電話。」
「え?今ですか!?」
「そうですよ。今しかないじゃないですか、今今今!」
「なんでそんな。ダメですよ、こんな時間に出来るわけないじゃないですか。」
「ホンットに男らしくないんですね。」
「男らしくない!?」
「敢えて言いました。しないなら私がします。」
「ちょっちょっちょ!あんたバカでしょホントに。」
「はぁ!?」
「何で取るの!?」
「何でって。男らしくない・・。」
「分かりました。しますよ。」
「男らしい〜!」
「どSだな、もう。」
「どうぞどうぞ、どうぞ。」
「・・・ちょっと待ってくださいよ。
 でもダメですよ、こんな時間ですよ、だって。」
「ホントだ。」
「何押してんの!?ちょっと!」
「あ、はいはい。はいはい。」
「どS!!」

「もしもし。」と知美。
「あ・・もしもし。」

帰宅した千明を、典子と万理子が待っていた。
「びっくりした〜。
 ・・何その亡霊みたいな人。」
「・・・聞いてくれる?」と典子。
「やだって言ったら?」
「泣く。」
「めんどくさいなぁ。もういいよ、じゃあ。」
「万理子。」
「え?私ですか。」

「悔しいよ〜。情けないよ〜。」
「もう分かったから分かったから。泣かないで。ね。
 フフフフフ。」
「ちょっと。何がおかしいのよ?」
「笑うんだよ、こういう時は笑うの。笑い話にすんの。」
「え?」
「そうしないと、心に傷が残るでしょ。」
「・・・」
「だって、よく考えてみ、その状況。かなりおかしいですけど。」
「確かに。」
「でしょう?父親出てきて802って。」
「アハハハ。やだもう!」
「あんたいそいそお洒落して行ったんでしょう?だって。」
「やだもう〜!」
「ねえほら、万理子ちゃんも笑うの。」
「笑ってるんです、これ。」
「笑ってない笑ってない。笑ったことある?」
「ありますよ。」
「あの、声とか出して。」
「声・・・」
「出して笑ったことないでしょ!」
万理子をくすぐる千明。
「声は出したことが!ちょっとやめてください!
 ちょっと待ってください!」

倉橋家
「また笑ってるよ。
 何なんだろうね?ありゃ一体。」一人呟く和平。

「遅かったね。」と真平。
「びっくりした。なんだまだ起きてたのか?」
「うん。礼をさ、言おうと思ってさ。」
「よせよ。」
「いや、ありがとう。でもってごめんね。」
「ホントだよ!ハハハ。
 なあ真平。」
「うん?」
「俺は、50だ。」
「うん。」
「しんどいぞ、50は。色々と。」
「うん。」
「お前もそれを味わえ。50になって。」
「・・・」
「そのしんどさを、味わわないなんて、
 俺は絶対にゆるさないぞ。」
「・・・うん。分かった。」
「よろしい。」
笑いあう二人。
「何かさ、」と真平。
「うん?」
「生きる気がしたよ、俺。
 もっと長く。」
「そうか。」
「うん。
 恋したからかな。」
「ヘヘヘハハハ。」
「ハハハ!」
「ホントかよ、おい。」
「いや、分かんないけどね。」
 
日曜日、和平は、知美とデートする。
「嬉しいです。誘ってもらえて。」
「ああ。」
「電話も、嬉しかったです。」
「ハハ。」
「あ!あれ美味しそう!」
店員にお父さんと呼ばれて複雑な和平。

一方、千明も真平とデート。
「あ!」
待ち合わせ場所にやってきた千明はジーンズ姿。
「ヘヘヘ。」
「千明。」
「ヘヘヘ。何かちょっと、真平風にしてみました。」
「・・・」
「痛いか。痛いね、やっぱりね。
 どうしよう、私。やっぱ着替えてくるかな。」
「似合ってるよ。最高!」
「またまた〜。」
「最高だって!」
千明を抱き寄せる真平。
「え?ホント?ちょっと待って恥ずかしいからやめて。」
「何言ってんの!」
「え!?ウソ・・・」
千明をぎゅっと抱きしめる真平。
「ま、いっか!じゃあ。」
「うん!」
千明も真平を抱きしめ・・・。



真平と千明。
恋愛初めてと恋愛忘れちゃった、そんな二人の恋。
恋愛は頑張るものじゃないけど、でもなんだかとっても可愛い二人です。

文也君はただ家族とうまくいってなくて、誰かに話を聞いてもらいたい
だけだったか。お金目当てで典子に近づいているのかと勘ぐってました。
文也の父親が最低だったね〜。

辛いことは笑い話にしてしまう。
心に傷を残さないように。
千明はずっとそうやって生きてきたんだろうな〜。

和平の不満を吐き出させてあげたり、千明は大人です。
和平の真面目さにも共感できる。
頑張っている大人ってやっぱり素敵だな。

ハルカ先生を演じている益若つばさちゃんもカワイイ。
こういう役ということもあるかもしれないけど、キャラがハマってて
演技も上手。ドラマ出演が初めてだなんて思えないです!

倉橋家の人々と千明。それぞれの恋の行方も気になるけど
真平とのお別れは見たくないな・・・。



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【キャスト】

吉野千明
  小泉今日子
長倉和平
  中井貴一
長倉真平
  坂口憲二
長倉万理子
  内田有紀
AP三井さん
  久保田磨希
田所勉
  松尾諭
大橋知美
  佐津川愛美
武田誠
  坂本真
長倉えりな
  白本彩奈
一条さん
  織本順吉
水野祥子
  渡辺真起子
荒木啓子
  森口博子
水谷広行
  浅野和之
水谷典子
  飯島直子


【スタッフ】

脚本
  岡田惠和
音楽
  平沢敦士
主題歌
  浜崎あゆみ「how beautiful you are」(avex trax)
プロデュース
  若松央樹
  浅野澄美(FCC)
演出
  宮本理江子
  谷村政樹
  並木道子
制作
  フジテレビドラマ制作センター


小泉今日子さんの主な出演作品



中井貴一さんの主な出演作品





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