2013年01月04日

今度は愛妻家

新春シネマスペシャル『今夜は愛妻家』
2009年 監督 行定勲
1月3日(木)01・00〜テレビ東京 OA


今度は愛妻家 【豪華版】 [DVD]
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2013年初映画、とても良かったのでもう一度見直したくなりました。
以下ネタバレ注意!!!
ネタバレOKな方は※部分をドラッグして見てください。


冒頭は、さくらと俊介、船の上のシーン。
『最初に言っておくけど、今回の旅行はケンカなしだよ。』
と字幕。
さくらのはじける笑顔。
めんどくさそうな俊介。
『俊ちゃん出掛けようよ。』
嫌がる夫。
『ねえ、星が綺麗だよ。
 ・・・俊ちゃん起きてよ。
 俊ちゃんってば。』
ベッドに眠る夫の体を揺する妻。夫は妻を振り払い、妻はベッドから転がり落ちる。
悲しそうな妻・さくら・・・。

シーサーの置物が2体、背を向き合っていて、
『今度は愛妻家』のタイトル。

女優志望蘭子からの電話に良からぬことを想像しニヤリの俊介。
「ちょっと!」
妻・さくらはこの日から箱根へ旅行。

1年前。
健康オタクな妻は、気になる新聞の記事を夫が読む前に切り取り怒られる。
気になる記事は全てスクラップブックへ。。
「長生きするんだよ。体に気をつけて。」
俊介、さくらが入れた人参茶リバース!

「もうすぐクリスマスだね。」
さくらの言葉に逃げ出そうとする俊介。
「ツリー飾るんなら12月に入ってからにしてくれない?ただでさえ狭いんだから。」
「そうじゃなくて。クリスマスの前に旅行に行きたいな〜って。」
「いいけど、飯どうすんだよ。」
「飯?」
「俺の飯。」
「なーに言ってんの。二人で一緒に行くんだよ。」
「あ!?」
「子作り旅行。沖縄なんてどう?」

現在。
あの日旅行に行くのを誰と行くのか、と気にするのではなく、
自分の飯の心配をした、と怒るさくら。
テーブルのはピザーラの箱の山。
子供を作る気がないなら別れて。
そんな大切な話を途中に、さくらは箱根へ。


ここでクリスマスツリーの話がありますが、
ラストにつながっています。

健康オタクの妻がいる家のに、テーブルの上には
宅配ピザの箱・・・。
これも二度目で気づきました。


さくらがいなくなった家にやってきたのが蘭子。
女優志望の蘭子は俊介に写真を撮ってもらおうとやってきた。
事務所仲間でも俊介の腕は評判らしい。
出されたお茶を飲む蘭子、リバース。
俊介は慣れてクセになったらしい。
服を脱ぐ蘭子に自分はそんなつもりじゃないと俊介。
写真を撮って欲しいと頼む蘭子に、
「実はこの1年、一枚も撮っていない。
 この写真・・・女房なんだけどさ。
 去年・・・死んだんだ。
 何もかも嫌になって、写真が撮れなくなった。
 そんな時、あのバーで、君を見かけて。
 どことなく女房に似てるなーって思ったんだ。
 話してみたら、ますます似てて驚いたよ。
 その時、ふと思ったんだ。
 君の写真なら、撮れるかもしれないって。
 でもやっぱりダメだった。
 まだ立ち直ってなかったんだよ、俺は。」
「・・・」
蘭子に抱きしめられてドヤ顔の俊介。
「シャワー浴びてきていい?」
「いいよ。」

蘭子がシャワーを浴びに行くと、さくら登場!
お財布忘れたと。
「どうせ一本乗り過ごしちゃったから、シャワーでも浴びよう。
 走ったら汗かいちゃった。」
シャワーは壊れていると慌てて阻止する俊介。
さくらは女がいることに気づいていた。俊介を叱りつけるけれど
浮気はする、子供は作らない、仕事はしない!
さくらは呆れ返り、出ていってしまう。

さくらと入れ違いでやってきたのが、弟子の誠。
「いまあいつに会った?」
「え?」
「・・・いや。」

風呂から出てきた蘭子に
「ごめん。エッチ中止。ばれちゃったんだよ。カミさんに。」
「え?亡くなったんでしょ?」
「それが生き返っちゃったの。」
「は!?」
「写真ならそいつに撮ってもらえよ。才能あんぞ。
 そいつそう見えて、学生時代賞取りまくってるからな。」
俊介は蘭子と真琴を残し、出ていってしまう。

「探しものは何ですか?タンタタン
 見つけにくいものですか?タンタタン
 カバンの中も 机の中も 捜したけれど見つからないのに
 まだまだ探す気ですか?
 それより僕と踊りませんか?
 夢の中へ 夢の中へ 行ってみたいと思いませんか」

ブティックの店員・ユリを口説く俊介
「あいつさ、今日から旅行行ってんだよね。」
「誰が?」
「さくらだよ。」
「・・・ああ。」
「だから俺、今夜は独身。」
「・・・」
「ユリちゃーん。俺が何を言わんとしているかわかる?」
「う〜ん。何だろうな〜。」
「つれないなー。」
「ウフフ。・・・」
「ん?」
「ん?・・・ううん。今夜飲みに行こうか。」
「ホント!?」
「うん。」
「行こう行こう!
 ・・・」
「何?どうしたの?」
「いやさ、こういう時さくらのやつ、後ろからじっと見てたりするんだよね。
 怖いだろ。」
「・・・」
「やっぱ今日はやめとくわ。」
「うん。そうだね。」


ユリの複雑な表情は、真実を知っているから・・・。
でも敢えて指摘せず、会話を続けてくれていた。


数日後
カップヌードルを運んでいた俊介は、さくらのスクラップブックの上に
落としてしまう。
「あーもう!あいついつ帰ってくんだよー!」
テーブルの上には切り抜かれた新聞と、スクラップブック。

その後銀行でお金を下ろした俊介。残金は、328,925円。

家に戻ると蘭子が来ていた。誠の写真のおかげで一次審査を通ったらしい。
「電話あった?」
「いいえ。あ、でも、さくらさんを訪ねてきた人がいました。」
「誰?」
「西田さん・・・」
「西田?」
「知り合いでした?」
「いや。」
「あの、でも、その人さくらさんの、」
「あのさ、あの子に俺のこと先生って呼ぶのやめてくれって言っておくてくれ。
 な?頼んだぞ。」
「あ・・はい。」


誠が言いかけたのを俊介は遮った。
俊介は真実から逃げているんですね・・・。


寝室、化粧台の引き出しには何通もの手紙。風は開けられていない。
差出人は西田健人。

1階、誠と蘭子がチューしているところえ、「いやぁぁぁ!」文さん登場。
俊介と誠にそれぞれの好物を差し入れ。
二丁目でオカマバーを経営しているらしい。
蘭子と文太、最初から戦闘モード。
「年食ってるからって威張んないでよ!
 年食ってるってことはね、私より先に死ぬってことなんだからね!」
「・・・絶対だな?」
「は?」
「絶対私より長生きしなさいよ。
 もし先に死んだら・・・承知しないからね!
 ・・・な〜んてね!
 あんたこの程度のオカマトークにビビってたら水商売やってけないわよ?」


この間が意味するのは、二度見して気づきました。
それを見ていた誠も辛そうでした。


蘭子が帰ったあと、誠は蘭子と寝た時、緊張してダメだったと
文太に告白。
「彼女にはバレてないと思うんですけど・・・。」


これも後々意味を持ちます。

文太は俊介に旅行雑誌の専属カメラマンの話を持ってきた。
「じゃあお前やれ。俺は人物しか興味ないの。」
俊介は聞く耳を持たない。

手紙の主・西田健人が訪ねてくる。
西田はさくらの教え子で、今でもさくらを尊敬している。
「ショックです。さくらさんの夫が、こんな人だったなんて。
 僕がさくらさんから聞いていた夫の話は、
 とてもあなたとは結びつかない。」
「あいつ俺のこと、お前に何て言った?」
「教えません。」
「あ?」
「僕の書いた手紙は読めても、さくらさんの書いた手紙は、
 僕だけにしか読めない。」
「なに!?」
「・・・」
「・・・」

家に帰ると、さくらが帰ってきていた。
「おかえり。」とさくら。
「2週間も連絡もしないでお前、何やってたんだよ。」
「ごめん。」
「ずっと箱根にいたのか?」
「あ〜。疲れちゃった。」
「・・・」「」
ソファーで眠るさくらに、俊介は人参茶を差し出す。
「ほら。いいから飲めよ。」
「・・・」
「2週間も箱根にいたんじゃ、さぞかし湯あたりしたろうな。」
「あ〜。」
「本当はどこにいたんだよ?」
「沖縄。」
「沖縄!?」
「そろそろ見つかったかなーと思って。指輪。」
「バーカお前。あんな安物のためにわざわざ沖縄まで行ったのか?」
「安物?あの指輪安物なの!?
 私には、ペアで60万したって言ったくせに。あれウソ!?ねえウソ!?ウソだったの!?」
「ウ、ウソじゃない、ウソじゃないよ。
 もう。それであったのか?」
「ないよ!」
「じゃあ何泊もすんなよ。」
「帰ってこないんじゃないかって心配になった?」
「別に。」
「寂しかった?」
「へっ。アホか。」
「あ〜。寂しかったんだね。」
「たまには一人になってみるもんだな。
 普段どれだけお前に気遣って生活してるかよ〜くわかったよ。」
「はいはい。」
「一人暮らしってのはすばらしいね。
 好きなもん食っても文句言われねえし。
 おもいっきりゲップできるし。
 屁もコケるし。
 ドア開けっ放しで、ウンコだってできるし!」
「そっか。じゃあ、もう一人で暮らせるね?」
「・・・ああ。」
「うん。」


さくらは俊介が心配なんだ・・・。

朝目覚めて隣にいるはずのさくらがいない。枕に触れてみる俊介。

さくらが又いなくなった。

蘭子がすごい剣幕でやってきた。
「誠は!?」
恋人である誠の電話番号を登録し忘れていたと蘭子。
あまりにも失礼な態度にブンちゃん、
「ったく、それが人に物を頼む態度かっつーの!
 自分の娘だったら張り倒してるとこだわ!」


このセリフにも娘への思いが。

蘭子は妊娠していた。
顔を見合わせる文太と誠。
蘭子は誠に10万貸して欲しいと頼む。
オーディション間近。夢のために産むわけにいかない、と。
「僕が面倒見る。」
「え?」
「結婚しよう。」
「は?」
「結婚しよう?」
「・・・ちょっと待って。私の夢は母親になることじゃない。」
「だから僕が育てる。」
「何言ってんの!?そんなこと出来るわけないじゃん!
 私は子供なんかいらないしあんたんと結婚なんかしたくない!」
「・・・」
「・・・いいよもう。他あたるから。離して。」
「・・・銀行行ってくるから、待ってて。」
誠が出ていく。

拍手をする文太。
「あんた女優になれるわ。なかなか迫真の演技だったわよ。」
「何のこと?」
「とぼけちゃって。ウソなんでしょ?妊娠してるなんて。」
「ウソじゃないよ!」
「誠ちゃんね、あんたとやった時、イケなかったんだって。」
「・・・え!?」
「緊張してダメだったんだって。でもカッコ悪いから、イクふりしたんだって。
 フフフ。」
「ウソ・・・。」
「男って生き物はね、デリケートなのよ。
 あんた達女よりずーっとね。」
「じゃあ・・何で結婚しようなんて言ったの?」
「本気で惚れてるのね、あんたに。」
「・・・妊娠はウソじゃないよ。」
「誰の子?」
「元カレ。」
「その男には言ったの?」
「・・・」
「そしたら?」
「本当に俺の子かって。
 しょうがないけどね。もう別れてたし。
 私が悪いんだよ。ホント最悪。」
「・・・私は好きよ。あんたみたいな子。」
「この間は嫌いって言ったじゃん。」
「その若さ、可愛さに嫉妬しただけ。フフフ。」
「聞いてもいい?」
「何でオカマになったの?って愚問以外はね。」
「・・・」
「やっぱりそれか。
 生まれつきよ。
 今はただのオカマだけどいろいろあったのよ。
 昔は、男の格好もしてたし、結婚もして子供もいた。
 でも、ふと考えちゃったんだ。
 人生の残り半分、自分を騙したまま死んでいくのかなーって。
 なんか虚しくなっちゃって。
 で私は、自分を大切にすることを選んで、妻や子供を傷つけた。」
「・・・でも、今のブンちゃんちょっと素敵だよ。
 いきいきしてる。」
「あんたいい子ね。」
「やめてよ。感じ悪いキャラで通してんだから。」
「バカね。」
「・・・じゃあ、行くね。誠にはブンちゃんから言っておいて。
 あんな女早く忘れろって。」
「・・・」
「じゃあね。」
「・・・ちょっと待って。
 バイト代が入ったら返しに来て。
 誠ちゃんにはあれが来たって言っとくから。
 でも、別れるにしても、電話して一言謝っときなさい。
 誠ちゃんの携帯番号書いといたから。」
「ありがとう。」
「最終審査、頑張って!」
「痛っ。フフフ。じゃあ。」
「じゃあ。頑張ってね!」


ブンちゃんが話していた妻と子のこと・・・。

「さわやかな目覚めは、お前のおかげ。
 柔らかいシーツも、お前のおかげ。
 この白いタオルも。
 俺の毎日は、お前のおかげ。
 夫婦のセンタク。
 ソフトアペア 新発売。 TOEIから。」

CMをぼーっと見つめる俊介。


津田寛治さんと奥貫薫さん、このCMの中で登場!

俊介はCMのせいか、洗濯機を回し、『夢の中へ』を歌いながらシーツを干す。
「・・・ただいま。」
「お・・おう!」
「・・・」
「お、おい!」
「何?何これ。」
「いいから、開けてみろよ。」
箱を開けると、結婚指輪。
「あ・・・」
「苦労したよ。同じもん探すの。
 結婚指輪ごときでいつまでもごちゃごちゃ言われちゃかなわねぇからさ。
 ま、遠慮なく取っといてよ。ね。うん。」
「・・・ごめん。好きな人がいるの。」
「・・・西田とかいう若い男か?」
「誰だっていいじゃない。」
「いつからだ?」
「1年前。」
「・・・やっぱりな。お前急に冷たくなったもんな。
 去年のクリスマスあたりからさ。」
「・・・」
「本気なのか?」
「・・・ごめんなさい。」
「・・・」

さくらはバッグ一つを手に戻ってきた。
「ねえ、写真撮ってよ。」
「あ?」
「離婚記念。最後ぐらいいいでしょ。」
「嫌だよ。」
「お願い。」
「・・・」
「被写体に興味があればあるほど良い写真になるって言ってたよね。
 昔はそう言って、私の写真たくさん撮ってくれたよね。」
「・・・撮るぞ。」
「バックここで平気?」
「どこでもいいよ。」
「もう・・・。」
「じゃあ撮るよ。
 どうしたの彼女。表情硬いよ。もっと笑ってみせて。」
「・・・」ニマっと笑うさくら。
「気持ち悪いよ。もっと柔らかく。そう!その笑顔だ。」
「ウフフフ。」
「オッケー。今のだ。
 じゃあさ、ちょっとポーズとってみようか。
 ・・・何考えてんだよ。もっと柔らかいポーズだ。」
「ウフフフ。」
「そう、そう!いいね!
 そこにもたれて。こっち向いて。
 そう。遠くの方見て。」
俊介は自分の手でさくらの頬に触れ顔の向きを変える。
パシャ。
「きれいだ。いいよ。うん。もっと俺を見つめて。
 そう、オッケー。いいよ。もっと俺を見つめて。」
「・・・」
いつの間にかさくらの表情が曇っている。
「・・・じゃあ行くね。」
「・・・」
「残りの荷物はお父さんにでも頼んで取りに来てもらうから。
 それじゃあ・・・バイバイ。」
「・・・」
「あ!」
コートを忘れたことに気づくさくら。
「バイバイ。」
「もう忘れもんすんなよ。」
「・・・私まだ何か忘れてるかなぁ。」
「あのさ、お前ほんとは、出ていきたくないんじゃないの?」
「え?」
「だから忘れもんすんだよ。
 あ、そうだ!いっつもお前が忘れもんすんのはさ、
 深層心理で、まだここにいたいと思ってるからなんじゃないの?」
「バイバイ。」
「好きな男ができたぐらいでさ、別れてどうすんだよ!」
「男ができたから別れるんじゃないよ。
 何でわかんないの?
 終わってたんだよ、私達・・・1年以上前に。
 とっくに終わってた。」
「・・・」
「じゃあ・・・元気でね。今度こそ本当に、さようなら。」
「・・・」

(回想)
沖縄に向かう船の上
「ねえ、今から言っとくけど、今回の旅行はケンカはナシだからねー!」とさくら。
「お前が仕掛けてこなきゃな。」
「違うでしょ。いつも原因は俊ちゃんなんだからー。」
「はあ!?」
「あ・・・だから、ケンカはナシだってば。」
「してねえよ!」
(回想終わり)


これ、冒頭のシーンですね。

俊介は暗室で写真を現像していく。

(回想)
「わーきれーーい!!
 ねえ、俊ちゃん出掛けよう!」
「俺はパス。お前一人で行ってこいよ。」
「行こうよ〜。」
「行きたくないよ。日焼けしちゃうし。」
「あ〜もう!!」

森を歩く二人。
俊介は牛のフンを踏んでしまう!
俊介が捨てたサンダルを海で洗うさくら。
「ほら!どう?きれになったでしょ?ハハハ。」
(回想終わり)

暗室
さっき撮った写真の現像をしていく俊介。

(回想)
「俊ちゃん俊ちゃん!起きてよ〜!
 ねえ星がきれいだよ。」
「・・・」
「俊ちゃん!俊ちゃんってば!」
愛しそうに夫の髪に触れ、頬にキスするさくら。
「ん〜!」
そんなさくらを振りほどく俊介。
「あっ!」
さくらはベッドから転げ落ちてしまう。
(回想終わり)

暗室
さくらの姿は浮かび上がらず、映っているのは家具、
そして、さくらに触れたはずの自分の手。

(回想)
「俊ちゃんはタバコ吸うんだから、ちゃんと食べてよ。」
「お前に関係ねえだろ。俺の健康なんて。」
「・・・関係ないんだ、私・・・。」
すすり泣くさくら。
「何でいつもこうなっちゃうんだろうね。
 俊ちゃん・・・別れよう。」
「・・・」
(回想終わり)

暗室
一枚だけ、さくらの姿が映っていた。
走っていくさくらの背中・・・。

(回想)
「探しものは何ですか?タンタタン
 見つけにくいものですか?タンタタン
 カバンの中も 机の中も 捜したけれど見つからないのに
 まだまだ探す気ですか?
 それより僕と踊りませんか?
 夢の中へ 夢の中へ 行ってみたいと思いませんか?
 ウフフ・・・」
海を見つめながら歌うさくら。
「・・・ねえ。写真撮ってよ。」
「あ?」
「離婚記念。最後くらいいいでしょ?」
「カメラない。」
「ジャーン。実は持って来ちゃったんだ。」
「・・・」
「被写体に興味があればある程いい写真になるって言ってたよね?
 昔はそう言って、私の写真沢山撮ってくれたよね。」
「・・・撮るぞ。」
「ねえねえ!バック、ここで平気?」
「どこでもいいよ。」
「もう!
 あ・・・指輪。」
「何だよ。」
「指輪、ホテルに忘れてきちゃったみたい。」
「もういらねえだろ。別れるんだから。」
「ダメ!取ってくる!」
「おぉ。行ってこい行ってこい。早くしろよ!
 飛行機乗り遅れんぞ!」
走っていくさくらが転んでしまう。
駆け寄ろうとする俊介に、
「大丈夫!」
大きく手を振り、また走りだす。
そんな妻・さくらの後ろ姿を見つめていた俊介、夢中でシャッターを切り
微笑んだ。
(回想終わり)

暗室
浮かび上がったのは、その時のさくらの後ろ姿・・・。

暗室から出てきた俊介は、沈んだ様子で寝室へ。
そこにはさくらがいた。
「ウフフ。本当に出てったと思った?びっくりした?」
「・・・」
「ウフフ。」
さくらの隣に腰掛ける俊介。
「・・・お前さ。」
「うん?」
「・・・なんで死んじゃったの?」
「・・・」さくらが優しく、悲しそうに微笑む。


ここからもう、涙腺崩壊。

(回想)
指輪を取りに行ったさくらを待つ俊介。
救急車が走り去るのに不安を覚え、走っていくと・・・

道路には血の海。そして、さくらのサンダル。
俊介はただ呆然と立ち尽くし・・・。
(回想終わり)

「探しものは何ですか?タンタタン
 見つけにくいものですか?タンタタン
 カバンの中も 机の中も 捜したけれど見つからないのに
 まだまだ探す気ですか?タンタタン
 それより僕と踊りませんか?
 ウフフ ウフフ ウフフ 」

街を歩く俊介、その手を握り微笑むさくら・・・。

さくらの遺影に手を合わせる誠。
その隣に置いてある俊介のカメラを手に取り、ファインダーを覗いてみる。

そこへ俊介が大きなクリスマスツリーを抱えて帰ってきた。
「クリスマスの飾りがさぁ、あいつどこにしまったかわからなくてさー。
 だからほれ、買っちゃった!」
「北見ちゃん。あんた今日何の日かわかってるんでしょうね?」と文太。
「わかってるわよ。クリスマスでしょ?
 それよりブンちゃん、お水一杯ちょうだいよ。」
「何でオカマになるのよ!」
「あらほんとだ。おかしいわねぇ。」

俊介は誠がカメラを触っていたことに気づく。
「なんだよお前。やっぱり欲しいんじゃねえかよ。
 いいよほら、やるよ。俺には必要ねえからさ。」
「何言ってるんですか!?もういい加減元の北見さんに戻ってください!」
「それがなあ誠。俺にはもう動機がねえんだよ。」
「動機がなくてもやるのがプロだって僕に言ったじゃないですか!」
「まあ、言うのはタダだから。」
「もう見たくないんです!今みたいな北見さん!」
「じゃあ見ないでぇ。」
「北見さん!」
「そんなことよりさ、パーティーしようぜ
 なんてったって今日はさ、クリスマスなんだからさ〜!」

「もう・・・北見さんが何考えてんのかほんっとにわからないです!」

「はーい持って持って。
 はーい。かぶってかぶって。」
俊介は二人にビールと三角帽子を渡す。
「ああ!いいね!とっても似合ってるよ、君たち。うん!
 それじゃあ、クリスマスを祝って、かんぱーーい!」
「・・・」
「何だよーー。もう、しけてんなぁ。」

窓を叩く音。蘭子だ。
「よう!」
「パーティーやってるんだったら何で呼んでくれないのよ、ケチ!」
「よく来たな、お前。入れ入れ。」
「みなさーーん、聞いてくださーーい!」
「えー?なになに?」
「私、吉沢蘭子は、応募総数、8500人という難関を突破し、
 ついにその栄冠を手にすることができました!!
 それもこれも皆さんのおかげです!
 みんなホントありがとう!!」
「ねえ、栄冠って、映画の主演に選ばれたの?」と文太。
「そうなの!」
「すげえじゃん!」
「あ、言っとくけど映画が公開されたら、もう私スターだから
 みんなともこんなふうに会えなくなると思うのね。
 よかったら今のうちにサインしとく?」
「しとくしとく!しとく!
 おい誠、お前写真撮っとけよ。あとでプレミアつくからな!
 俺はさ、色紙持ってくるから。」
「うん。持ってきて持ってきて。」

「おめでとう。よく頑張ったわね。
 でもその前に。
 誠ちゃんに話すことがあるんじゃない?」と文太。

「・・・この前は、ごめんね。早まっちゃって。
 オェってなるから、てっきりそうかと思っちゃった。
 想像妊娠てやつ。」
「・・・」
「でも良かったよ、間違いで。誠も、ほっとしたでしょ?」
「・・・」
「電話するつもりだったんだけど、ほら、なんだかんだバタバタしちゃってさ。
 ほらオーディション受かっちゃったじゃない?
 レッスン通ったりとか、事務所の契約とかもう色々やらなきゃいけなくて。」
「・・・良かったね。夢がかなって。」
「・・・うん!」
「・・・おめでとう。」
「・・・ありがとう。」

「お!盛り上がってるね、そこのお二人さん。
 もうさ、ちょっと色紙が見つからなくてさ。」
「え〜。」
「これでいいかな?」
「ノート?」
「その代わり色はいろいろあるから。」

「ねえ、北見ちゃん。お坊さん何時に来るの?」
「坊さん?そんなの来ねえよ。」
「え?だって・・」

「あ!私もそれ欲しい!」蘭子が三角帽子を指さす。
「あ、ごめん。忘れてた。ほら!」
「わーーい!メリークリスマス!」
「メリークリスマス!!」

「メリークリスマスじゃないでしょ!!」文太が怒鳴る。
「・・・」
「乾杯でもない。
 さくらはクリスマスに死んだのよ。北見ちゃん忘れちゃったの?」
「・・・」

「さくらって・・・誰?」
「北見さんの奥さん。」
「ギャグじゃないの?」
「ギャグじゃない。」

「・・・どうしてくれんだよ。
 おっさんがつまんないこと言うから、しらけちまったじゃねえかよ。」
「つまんないことじゃないですよ。
 奥さんの一周忌に酔っ払う方がどうかしてます。」
「・・・」

「別にいいじゃない。
 辛い時には辛い顔してなきゃいけない!?
 別にいいじゃない騒いだって。
 騒いで忘れられることだってあるんだから。」と蘭子。
「お前は本当に・・・いいこと言うね〜!」
「ま〜ね〜!」
「じゃあ歌おうか?」
「歌っちゃう?」
「せえの!
 ジングルベール ジングルベール 鈴が鳴る♪」

「僕もう限界です!!」
「何がだよ?」
「今日でこの事務所辞めさせてもらいます。」

「ちょ、誠ちゃん!」
「ブンさん本当にごめんなさい。もう限界なんですよ。」
「誠ちゃん、待ってよ。」
「いやいや、お金もらってももう嫌なんです!」

「ちょっと待てよ。カネって何だよ?」
「・・・」
「北見ちゃん、何でもないのよ。」
「言えよ誠。言えよ!」
「・・・さくらさんが亡くなって、北見さん仕事どころかご飯だって
 食べられなかったじゃないですか。
 それを見てブンさんが、北見さんが後追っちゃうんじゃないかって
 すごい心配して。
 また仕事始めるまで、僕にそばに居て欲しいって。
 その代わり、毎月20万払うって。」
「・・・」
「最初はお金なんていらないって言ったんです。
 だけど、このままじゃ僕も北見さんも生活していけないと思って。」
「・・・そっか。お前は雇われてたわけだ。
 俺じゃなくておっさんに。
 まあ20万も積まれちゃ、断れねえよな。」
「じゃあどうすりゃ良かったんですか!?
 どうやって生活してけって言うんですか?
 北見さんを見捨てて事務所辞めれば良かったんですか!?」
「誠ちゃん、やめなさい!」
「どうりでいつまで経ってもロクな写真撮ってこねえと思ったよ。
 お前はさ、別にカメラマンになりたいわけじゃなかったんだよな?」
「なりたいですよ!僕は北見さんの写真が好きなんです!
 だから北見さんの弟子にしてもらったんです。
 だから・・・もう辛いんですよ!
 今みたいな北見さん見てるのがつらいんです!」
「人のせいにすんなよ!!
 お前は俺に関わってる場合か!?
 そんな思いならやめちまえよ。お前みたいな奴にさ、
 一生写真なんか撮れっこねえんだよ!!」
「北見ちゃん!」

「・・・な〜んだ。みんなダメなんじゃん。
 いい年した男が3人もいて、み〜んなダメダメなんじゃん!
 かっこわる!」
蘭子はビールを飲んだあと、咳き込む。
「あ、蘭子ちゃん?」
「ほっといてよ!1回寝たくらいで彼氏ぶんないでよ!
 私あんたのことなんかなんとも思ってないんだから。
 最初からなんとも思ってなかったんだから!」
「・・・そんなのわかってたよ。」
「じゃあ・・何で優しくするの!?やめてよもう!
 そういうのもうやめてよ・・・。」

「一体どうしたっていうのよ?」と文太。
「行けなかったの。」
「え?」
「オーディションにも病院にも行けなかったの!」

「・・・病院って、間違いじゃなかったの?」
「あんたの子じゃないよ。
 ・・・思ったより簡単に捨てられなかった。
 私には夢があるのに・・・
 命がけで叶えたい夢だったのに。
 もうその夢の大きさもわかんなくなっちゃった。
 はぁ・・・でももう、何もかもおしまいなんだってことはわかる。
 もう望む幸せは消えたんだって。
 私の人生もうめちゃくちゃ・・・。」

「人生めちゃくちゃって、あんたいくつよ?」
「年なんか関係ないよ!
 年取ったってダメダメじゃない!」
「・・・」
「いろいろお騒がせしました。もう二度と来ないから安心してください。
 さようなら。」
蘭子は文太にお金を返し、家を出ていく。

「・・・誠ちゃん。」
「僕は大丈夫ですよ。蘭子ちゃんの気持ちも、よくわかりましたし。」

「・・・あの子撮ったお前の写真見た時さ、俺はてっきり、
 本気で惚れてるんだと思ったよ。」
「・・・」
誠が蘭子を追いかける。

神社の境内
「蘭子ちゃん!」
蘭子を抱きしめる誠。
「僕が幸せにする。
 絶対一生幸せにする。
 好きになってもらえるように頑張るから。
 蘭子ちゃんと、お腹の子が、ずっと笑っていられるように頑張るから。」
「・・・」
蘭子も誠を抱きしめ・・・。

遺影に手を合わせる文太。
俊介はツリーを飾りながら部屋を見渡す。
「・・・悪いけど、おっさんもう帰ってくんねえかな。
 誰かいるとしゃべんねえんだ、こいつ。」
「・・・さくらがいるの!?」
「いるよ。さっきからずっと。」
「私には見えないわよ。」
「みたいだな。」
「さくらの幽霊が見えてるの?」
「幽霊じゃねえよ。俺と二人だとよく喋るし。
 な?」
「・・・もうやめて!
 さくらは死んだのよ。」
「・・・わかってるよ。」
「北見ちゃん、おかしくなっちゃったの?」
「それがまともなんだよね。まともすぎておかしくなりそうだけど。
 狂ってるほうがよっぽど楽だと思うよ。
 こういう時、みんなどうしてんのかな・・・。」
「忘れるのよ。」
「無理だよ。」
「もう前へ進んでよ!」
「前に進むって何?」
「え?」
「どういうことなの?具体的に言ってよ。」
「だから、」
「仕事をバリバリするとか、新しいカミさん見つけるとか、
 そういうお決まりの答えだけは勘弁してくれよな。
 そういうのが前に進むってことだとしたらさ、
 俺は一生前なんか進まねえから!!」
「いい加減にしなさいよ!!
 いつまで悲劇の主人公ぶってるつもり!?
 さくらが死んで悲しいのはあんただけじゃないのよ!!
 私だって!!
 ・・・子供に先に死なれた親の気持がどんなだかわかる?
 代わってやれたらってどんなに思ったか・・・。
 ねえ北見ちゃん、おp願いだからしっかりしてよ。」
「・・・」
「一緒に看取ったでしょ?沖縄の病院で!
 なんかこう、いっぱい管つながれちゃって・・・。
 かわいそうだから機械止めてくれって、医者に言ったの、
 あんたじゃない!」
「だからわかってるよ!さくらが死んだのは!
 でもどうやったら死んだって思えるんだよ!
 ・・・だって、さくらは毎日ここにいたんだよ。
 毎日俺のそばにいて、喋ったり笑ったり泣いたりしてたんだよ。
 なのに俺は、さくらのこと何もわかってなかった。
 なにもわかろうともしなかった。」
「さくらはね、あんたと結婚して幸せだったわ。」
「おっさんに何がわかるんだよ。」
「わかるわよ。親だもの。」
「・・・あんたは親なんかじゃなかったよ。」
「・・・え?」
「今更父親ぶんなよ。
 自分の都合で、勝手に結婚して勝手に離婚して。
 高校生の娘にお父さんはオカマなんだって言う親がどこにいるんだよ!
 さくらが悩まなかったとでも思ってんのか?
 都合のいい時だけ親父づらしやがって。
 虫酸が走るんだよ!」
「・・・私を責めて楽になるんだったらいくらでも責めなさいよ!」
「はっ!出たよ。あんた、弱い人間得意だもんな。
 ほんとはさ、孤独でたまらねえくせに。
 助けて欲しいのは自分なんだろ?
 助けるふりしてごまかしてんじゃねえよ!」
文太は俊介の頬を叩き、家を出ていく。

「今のは酷すぎる。」とさくら。
「・・・」
「ああ見えても傷つきやすいんだから、優しくしてあげてよ。」
「・・・おっさんは、どっからどう見ても傷つきやすいよ。」
「じゃあ何であんなこと言ったのよ。」
「・・・ごめん。」
「私に謝ってもしょうがないでしょ?」
「・・・」
窓の外は雪。
「あっ!雪!」

墓石に積もった雪を素手で払う文太。

クリスマスツリーに星を飾る俊介。
部屋の電気を消し、クリスマスツリーの電飾を付ける。

さくらが黒いワンピースに着替えてきた。
「そのワンピース、やっぱり似合ってる。」
「ウフフ。」
「・・・なあ。俺が想像もつかないようなこと、1個でもいいから、言ってくれよ。」
「・・・」

「探しものは何ですか?タンタタン
 見つけにくいものですか?タンタタン
 カバンの中も 机の中も 捜したけれど見つからないのに
 まだまだ探す気ですか」
「タンタタン」
「それより僕と踊りませんか?」
「夢の中へ 夢の中へ 行ってみたいと思いませんか?」
二人は毛布にくるまり、窓の外の雪を見つめる。
「お前あの日、この歌歌ってたな。」
「・・・」
「あの日、お前の代わりに俺が指輪取りに行けば良かったな。
 お前じゃなくて、何で俺が死ななかったんだろう。」
「私につらい思いさせる気?
 私が生き残ってたら、私が俊ちゃんみたいにつらい思いするんだよ。」
「じゃあこれで良かったのか?」
「そうだよ。
 でも・・・そろそろ終わりにしなきゃ。」
「・・・どうやって?」
「それは俊ちゃんが一番良くわかってるでしょ?」
「・・・」
さくらが立ち上がる。
「どこへ行くんだよ。行くなよ、そばにいてくれよ!」
「・・・」
「僕は楽しかったんだよ。お前がいるだけで。
 ケンカしても口うるさくても楽しかったんだ。
 俺・・・俺なんでお前にもっと優しくしなかったんだろうな。
 俺はさ、お前がこんなに早く死ぬとは思わなかったんだよ。」
さくらを抱きしめる俊介。
「これからはお前の言うこと何でも聞くから。
 浮気も辞めるしちゃんと働くし子供も作る。
 今度こそお前大事にするから。
 俺ちゃんとするから!
 だからそばにいてくれよ。」
「・・・フフ。知らなかったな〜。私のこと、そんなに好きだったなんて。」
俊介の胸を叩き、俊介の胸に涙するさくら。
「なんで・・・なんで生きてるうちに言ってくれなかったの?」
「ごめん・・・ごめん・・・。」
「あなた。・・・ありがとう。」
俊介はさくらをもう一度ぎゅっと抱きしめ・・・
気がつくとさくらは消えていた。

「・・・さくら。・・・さくら?・・・さくら!?」
返事はなく、俊介は号泣する。
「何で戻ってこないんだよ。
 いつも戻ってくるだろ?忘れ物したって・・・。
 戻ってこいよ。俺ひとり置いていくなよ・・・。」

「俊ちゃん。」
さくらの声が聞こえた。

ドアの開閉音。

やってきたのは、文太だった。
「北見ちゃん。何か忘れた、と思ってたのよね。」
クリスマスケーキ。

「さっきはひどいこと言って。」と俊介。
「ううん。いいのよ、本当のことだから。」
「茶入れるわ。」
「うん。
 さっきは偉そうなこと言ったけど、さくらを忘れるなんて無理よね。
 さくらには、もう会えないんだってわかってる。
 だけど、もうこの世のどこにも存在しないだなんて、
 実感しようったって無理よね。
 もう会うことはなくても、きっとどこかで幸せにやってるんだって、
 思いたいのよね・・・。
 だけど・・・ちゃんと現実を受け入れなきゃダメなのよね。
 それが、さくらのためになると思うの。
 今は、さくらが、この人の娘で良かったって、誇れる生き方しようと
 思ってるんだ。」
俊介がお茶を出す。
「フフ。あの子ったら、毎年こうやってローソク立ててたでしょ?」
「ああ、やってたね。誕生日でもねーのに吹き消してさ。」
「子供の頃からそうなのよ。変でしょ?
 ・・・ちょっと何これ。もしかして人参茶?」
「そうだよ。」
「勘弁してよ!」
「あれ?おっさんもダメなんだっけ?」
「こんなもん飲める方がどうかしてるわよ。
 さくらちょっと味覚がおかしいのよ。」
お茶を飲んだ俊介、リバース!
「あら、ちょっと何やってるのよ。汚いわね。」
「まずい。」
「だからまずいって言ってるじゃないの。」
「まずいよ・・・。」
「何度も言わなくていいのよ。
 あ、そうそう。これ。まだ、さくら宛てに手紙が届くのね。」
西田健人からの手紙。
「ああ・・・こいつ知らねえんだよ。」
「誰なの?」
「さくらの元教え子でさ。
 こいつにも教えてやんなきゃな。」
「そうね。」
「・・・なあおっさん。飲みに行かない?」
「え?」
「ほら、駅前の居酒屋。さくらが初めて俺達を引きあわせた店。」
「アッハッハッハ!
 父親がオカマじゃ、まずいと思ってさ、わざわざスーツ着てったのに、
 あの子ったら、お店の人にバラしちゃうんだもの。」
「おかげで行きやすくなったろ?」
「そうね。いいわ。行きましょう。
 じゃ、ケーキは帰ってからね。」
「泊まるのかよ!?」
「あらーどうして?いいじゃないたまには。
 親子なんだから。」
「ああ、わかったわかった。わかったからさ、先行って待っててよ、な?
 あとから追っかけっから。」
「わかったわ。
 北見ちゃん。」
「うん?」
「さくらのこと、大事に思ってくれてありがとう。」
「・・・」
「じゃあ、先行ってるね。」

一人になると、俊介はケーキのローソクに火を灯す。

さくらが楽しそうに覗きこんでいるが、俊介にはその姿が見えない。

「消すぞ。」
俊介が火を吹き消していくのをさくらは嬉しそうに見つめ・・・
そして消えていった。

「・・・行ってきます。」
俊介はさくらの遺影にそう言うと、カメラを手に文太の後を追う。



昨日夜中に放送された、2009年の映画。
いい映画でした。泣かされた〜!

俊介はさくらが去年のクリスマスあたりから冷たくなったと感じていた。
去年のクリスマスは、さくらが亡くなった日。

それまでのさくらは夫に冷たくされても笑顔を見せていた。
俊介はさくらの笑顔の奥の寂しさに気づくことが出来なかった。

庭でさくらの写真を撮る時のセリフと、沖縄旅行で写真を撮るセリフが
まったく一緒でした。あれが二人が過ごした最後の日だったなんて・・・。

探しものは何ですか?見つけにくいものですか?

さくらは夫の愛を捜していた。
俊介は亡き妻を探し求めた。
優しくしてあげなかったことを悔やんで悔やんで悔やんで・・・。

さくらが本当は死んでいるのでは、というのは蘭子がシャワーを浴びてる
ニアミスシーンで思いました。
でもまさか、ブンちゃんがさくらの父親だったとは・・・。

妻を亡くした夫。
子を亡くした父。

本気で感情をぶつけあうことで、お互いの寂しさに気づいたのか。
だから一歩踏み出すことができたのか?

苦手だと言っていた人参茶。
さくらの死後自分で入れて飲んでいたのは、味覚さえも失っていたんでしょうね。
やっと現実を受け入れ、味覚も取り戻し、リバース!

俊介にさよならを言ったさくら、でも見えなくても笑顔で見守っている。

言葉は口にしなければ伝わらない。
今を大切に。

いろんなことを考えさせてくれる映画でした。



キャスト
北見俊介 - 豊川悦司
北見さくら - 薬師丸ひろ子
吉沢蘭子 - 水川あさみ
古田誠 - 濱田岳
西田健人 - 城田優
CMに登場する夫 - 津田寛治
CMに登場する妻 - 奥貫薫
井川ゆり - 井川遥
原文太 - 石橋蓮司

スタッフ
監督 行定勲
脚本 伊藤ちひろ
原作 中谷まゆみ
製作 黒澤満
音楽 めいなCo
主題歌 井上陽水
「赤い目のクラウン」


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この記事へのコメント
私も1回目は映画館で見て、今回のテレビ放送で2回目を見ました。
2回目はすべてが分かっているだけに、見方も変わってもっと泣けました。
最初の方の夫婦のやり取り等、1回目は単純にクスリと笑ったシーンも2回目はやっぱりクスリとしつつも同時に溜め息が出ました。切なすぎる。
2回目、きっと3回目も笑って泣ける良い映画でした。映画館で見て良かったと思える映画でした。

それと、石橋さんの文ちゃんが素晴らしかったです。
ベテラン俳優さんでいらっしゃいますが、強面役のイメージだったので、オカマ(の親父)役は電撃が走りました。
実は、さくらのお父さんっていうのも驚きましたし、文ちゃんがこの映画のスパイスだったなと思います。
Posted by メグ at 2013年01月12日 12:17
メグさん、コメントありがとうございます。

この映画は二度美味しい!さりげないカットにちゃんと意味があって、二度目の時に泣けました。

文ちゃんがこの映画のスパイス、に同感です。いい映画でした〜!
Posted by ちーず at 2013年01月15日 16:18
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