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2013年04月15日

リーガル・ハイ スペシャル

リーガル・ハイ スペシャル

藤井みなみが担任(榮倉奈々)を務める公立うさぎがおか中学校の2年C組の
小暮和彦(末岡拓人)が屋上から転落。
屋上には和彦の他にも男子生徒がおり、彼らは和彦が隣の校舎に飛び移れると言い出したが、
届かず落ちてしまったと話している。

幸い和彦は、足やろっ骨の骨折で済み、命に別条はなかったものの、
対外的なメンツを守りたい学校側は、いじめではなく友達同士の悪ふざけによる事故だと
和彦の母・秀美(堀内敬子)に説明する。
「カズオ君、負けるんじゃないぞ。」と校長。
「和彦君です。」みなみが小声で訂正。
「和彦君!負けるんじゃないぞ!みんな学校で待ってるからな。」

高所恐怖症な和彦がそんな行動を取るはずがないと学校側の説明に不信感を抱いた
秀美は、黛真知子(新垣結衣)に相談をする。

正義感にあふれる熱血弁護士の黛は、自分が請け負うべき依頼だと快諾するものの、
一人で確実に勝てるかどうか不安がよぎり、バカンスでフランスにいる
古美門研介(堺雅人)に相談をする。

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「イジメられる側にも問題あるんだよ!」
「それが間違いなんです。問題を隠蔽するために、いじめられた側を隔離して
 いじめる側を守る。これこそ日本の教育の根深い闇ですよ!」
「いつもながらの朝ドラヒロイン全開だな。
 私はガキと学校が大っ嫌いなんだ。どうしてもやってほしければ
 キャッシュで1000万いや2000万持って来なさい!」
「依頼者は夫を早くに亡くして、お弁当屋さんのパートをして
 女手ひとつで息子さんを、」
「私がガキと学校よりも嫌いなのは貧乏人だ。」
「先生、苦しんでいる人を助けることはお金には換えられない喜びが。」
「ない!」
「黛先生がおやりになるしかないのでは?」と服部。
「私だってそうしたいですが・・・
 悔しいけど、私では勝てるかどうか分かりません。」
「120%勝てないね。」
「だからこうしてフランスまで来て嫌だけど先生に頭下げてるんじゃないですか!
 やってくださいよ!」
「やだね〜!やだね!私はバカンス中なのだ。」
「こんな所長野の白馬村あたりと大して変わらないじゃないですか!」
「どこが白馬村だ。全然違うだろ!」
「白馬ですよ、もうどう見たって白馬ー!」
「うるさーーい!私の弁護士費用は2000万だ。
 それが払えない貧乏人は泣き寝入りするか、君のような4流弁護士と心中して
 木っ端微塵になるしかないのだと伝えたまえ!」
「私が建て替えます。」
「その手はもう認めない!
 君はすでに私に多額の借金があるということを忘れるな!」
「・・・この近くに、カジノありましたよね?」
「何だと?」
「服部さん。」
「はい。」
「やり方教えていただけますか?」
「はい!昔ラスベガスで、ディーラーをやっていましたので。」

カジノから戻った黛。
「・・・バカラって難しいですね。」
「当たり前だ。バ〜カ。
 あ、そうだ服部さん!いっそのこと学校側の代理人に売り込んでみましょう。
 かなりの額を出すかもしれない。・・・え!?」
服部さんのアタッシュケースには大金。
「15万3,600ユーロしか稼げなかった。」
「日本円で、1,812万4,030円。当カジノ始まって以来の勝利金額だそうです。
 いや、こんなに博才のある方初めて見ました。」と服部。
「仕方ありません。残りは秀美さんに出してもらいます。」
「その才能を生かせる道へ進め。」
「さ、古美門先生。日本へ帰りましょう!
 そして正義の味方の弁護士に生まれ変わるのです!」
「服部さん。マッターホルンの万年雪にこいつを埋めてきてください。」
「犯罪です。」

「異議あり、スペシャル!!」

学校側は、これまでの裁判で古美門に苦渋をなめさせられ続け、
古美門に対して並々ならぬ敵対心を燃やす三木長一郎(生瀬勝久)に弁護を依頼。
三木は、この依頼を弁護士の勅使河原勲(北大路欣也)に一任することに決める。

これまで裁判で負けたことのない古美門は、意気揚々と法廷に立つが、
裁判長の別府敏子(広末涼子)を見て、がく然とする。
女性をこよなく愛する古美門は、フランスのスキーリゾートで見かけた別府をナンパしたが、
こっぴどくフラれていたのだ。

「古美門研介先生、あなたの法廷での態度はやや自由すぎるようです。
 他の裁判官は許容してたかもしれませんが、私の法廷では許しません。
 法廷内のルールとモラルを厳守するように。
 本日は、これで閉廷します。」
「・・・」

「なんか、めちゃくちゃ怒られましたね。」と黛。
「ペラペラとよく喋る裁判官だ!
 草の者を呼びたまえ。」

古美門は蘭丸に、うさぎがおか中学に入り込み情報収集するよう命じる。
「しかし、イジメの証明とは、困難なものなんですね。」と服部。
「いじめてる側は自覚なかったりするからな〜。
 俺も思い返すと、いじめてたのかもなって思うことありますよ。」と蘭丸。
「先生はそんなに性格悪いのに、いじめられたことないんですか?」と黛。
「ないね。私をいじめればあらゆる手を使って500倍返しにされると
 わかっていたんだろう。」
「確かに。」
「そういう君はどうなんだ?正論を振りかざすうざい学級委員は、
 いじめの標的になりそうなものだが。」
「いいえ、私も大丈夫でした。あ、まあ強いて言うなら、
 上履きに納豆入れられたことと、あと椅子に座ったら瞬間接着剤が塗られてたことと、
 あと修学旅行の時みんなにまかれて一人で京都見物したことくらいかな。」
「めちゃくちゃヘビーないじめにあってるじゃないか。」
「あれ、いじめ?」
「だね。」
「あは!私いじめられてたんだ!」

三木法律事務所
三木は古美門らが学校に潜入するだろうから注意するよう勅使河原にアドバイス。
「いくら警備をした所で、全生徒をガードすることは不可能じゃありませんか?
 いっそ招待しては?」と勅使河原。
「招待?」と沢地。
「それはどうだろうか。敵は間違いなくカードを何枚か手に入れる。」と三木。
「構いません。どんなカードを拾うか、しっかり監視すれば。
 それに、あの学校なら大丈夫じゃないでしょうか。」

古美門と黛はうさぎがおか中学へ。職員室、体育館、教室へと案内される。

藤井みなみの教室
「私は合唱部の顧問もやっているものですから、
 うちのクラスでは帰りの学活で合唱することにしているんですよ。」
「それはすばらしいですね!」と黛。
「よろsかったらご一緒に!」
「はい!ぜひ!」

「駄目だ!やめとけ絶対に。」
「生徒とより親密になるためです。作戦ですよ。」
「それは全てを破壊する作戦だ!」
「は?」
黛、古美門を無視して合唱に参加。
みなみの指揮に合わせて美しい歌声を奏でる生徒。
古美門、耳をふさぐ。
・・・
「みんなよく歌いきった!」みなみが拍手する。
「黛さん最高!」と生徒・
「みんなも最高!やっぱ合唱って1つになれるよね!」

「ほら、大成功じゃないですか。」
「うへへへへ。」

「じゃあ、学活の前に、弁護士の先生がみんなにお話があるそうなので
 ちょっとだけ時間をくださいね。
 どうぞ。」
「どうも。え〜弁護士の黛です。
 小暮君が怪我をした件で、裁判になっているのは、みんな知ってるよね?
 え〜まあ・・この場じゃ言い難いこともあるでしょうから、後でお話をきかせてください。」
「遠慮なさらず、この場でどんどん聞いてください。
 うちは、なんでも言い合えるクラスなので。」とみなみ。
「あ・・・でもやっぱり後ほど。
 名刺配ってもいいですか?」
「もちろんです。」
「私たちに話したいことや聞きたいことがあれば、いつでも連絡くださいね。」
黛が名刺を配っていく。
「そうだ、こんな機会滅多いないでしょうから、何か、特別授業のような
 ものをお願いできませんか?」とみなみ。
「いえいえ、授業なんて私は。」
生徒たちからの歓声と拍手。
「そうですか?じゃあもう、しょうがないなぁ。うーん。」
「はい、ちゅうもーーーく!」割り込む古美門。
「え〜、それではね、私の方から皆さんに、え〜1つだけ。
 え〜覚えておいてほしいことがあります。」
(金八先生のBGM)
「人、という字は、え〜、人と人とが、お互い、え〜支えあってできている
 わけではありません!!
 一人の人間が、両足を踏ん張って大地に立っている姿の象形文字です!
 人は一人で生まれ一人で生きていき一人で死んでいきます。
 中学時代の友人や人間関係はこの先の人生でほとんど役には立ちましぇん!
 それどころか、くだらない友情と地元愛で縛り付け、
 自由な人生を阻害する腐った鎖でしかありましぇん!
 あえて言いましょう。このクラスはクソです!
 腐ったミカンだらけのみかん箱です!
 この部屋にいるだけで吐きそうだ!」
「・・・」
「遠慮無くこの場で聞けとおっしゃったのでお言葉に甘えます。
 青山瞬、高木健人、佐々岡耕介、金森信。
 どうやって屋上から小暮和彦を落とした?
 普段から彼にどんないじめをしていた?」
「先生、そういう言い方は・・・」と黛。
「私たちは学校を訴えたが君たちは訴えなかった。
 これは私たちの温情だ。従って君たちは処罰されることもなければ
 賠償金を支払う必要もない。
 だから遠慮無くホントのことを言いなさい。
 ただし、嘘をついたり隠し事をするようなら、今からでも君たちを被告にして
 全力で叩くぞ!」
「先生!」
「君たちだけじゃない。お父さんは今までどおり会社に行けるだろうか。
 お母さんはご近所付き合いできるだろうか。他の連中も同じだ!」
「やめてください!」

「古美門先生。青山君たちは確かにやんちゃすぎるところがあります。
 でも根はとっても仲間思いの情に厚い子なんです。
 引っ込み思案だった小暮君に積極的に声を掛けて、
 孤立しないようにしてくれました。
 そうだよね?青山君。」とみなみ。
「・・・和彦とは親友です。屋上から飛び降りたのも、あいつが自分からやるって
 言ったんで・・・。俺達が止めれば良かったんだけど・・・あのバカ・・・。」
「・・・」
「クラスのみんなも思いは同じだと思います。
 小暮君は大切な仲間です。今までも、これからも。」とみなみ。
「・・・また歌い出すならどうぞ。」

古美門家
「藤井先生ステキな先生じゃないですか!」
「素敵すぎてヘドが出るね。」
「彼女のどこが気に入らないんですか?」
「あのわざとらしい笑顔とミュージカルスターのような喋り方だよ!
 彼女が作り出す生ぬるい空気によってあのクラスは完全におとぎの国と化している。」
「おとぎの国?」
「偽ジュリー・アンドリュースの偽善的笑顔によって、
 全員が〜♪洗脳されてる〜♪
 ということだ。」
「洗脳なんて大げさですよ。」
「よく考えろ。こんな事態になっているのに誰ひとりいじめのことを気にしている
 様子がない。全員が明るい笑顔で歌を歌ってる。おかしいと思わないか?」
「だから私も悩み始めてるんです。本当にいじめがあったのかどうか。
 もしかしたらイジメはなかったのかも。」
「目を覚ませ!それを洗脳と言っているのだ!」

「マトンの味はいかがでございますか?」
「おいしいです。そう、マトンだ!
 全員彼女に飼われてる羊なのだよ。
 そして今日、君もその羊の一匹となった。」
「でも本当に分からないんです。彼らが嘘を付いているようには
 私には思えませんでした。」
「その通り。彼らは全員本心を言ってる。これがいじめ裁判の難しさだよ。」
「しかし収穫がなかったとなりますと、作戦を練り直さなければなりませんな。」
「服部さん、収穫がなかったなどと誰が言いました?」
「は?」
「何か手に入れたんですか?」
「もちろんだよ。しかも敵に悟られずにね。」

三木法律事務所
井出が撮影したビデオを確認する三木ら。
「敵が得た情報は全て対処可能です。」と井出。
「勅使河原先生の思惑どおりですね。」と沢地。
「飛び跳ねさせるなら、こちらのテリトリーというところですね。」と勅使河原。
「・・・」
「三木先生?」
「やつの手元を拡大できるか?」
「ええ。」
ビデオには、古美門が用務員・林に何かをこっそり渡しているところが映っていた。
「恐らく、連絡先と小遣いだろう。
 やつを甘く見ないほうがいい。」
「さすがですね。」

法廷
「林さんは、小暮君がいじめられている現場を何度も目撃したそうですね?」
「はい。寄ってたかって、蹴ったり石をぶつけたりしてました。」
「小暮君は、どのような様子でしたか?」
「やめてくれって叫んでました。」
「やめましたか?」
「小暮君が、言えば言うほど、笑ってエスカレートしました。」
「本人も楽しんでいたように思えますか?」
「いや。あれはね、いじめです。」
「ありがとうございます。以上です。」

「林さん。」と勅使河原。
「はい。」
「いじめに遭っていたという、小暮和彦君は、どの子ですか?」
「あ、はい。え〜・・・あ、この子です。」写真の中から一人の少年を選ぶ。
「この中に、小暮和彦君はいません。」
「は!?」

「異議あり!」と黛。
「却下します。」

「では、いじめをしていたとされる子は?」と勅使河原。
「え・・・この中にはいないんでしょ?」
「この子と、この子と、この子とこの子。」
「え?」
「あなたの記憶力を責め立てるつもりはありません。
 いや、私にもあなたの気持ちがよ〜く分かるんですよ。
 この歳になりますとね、テレビを見ていても、今の若い人たちは皆、
 同じに見えるんですよね。」
「あ・・はい。私も、正直申し上げて、この歳ですから、
 生徒の一人ひとりが誰が誰だかよう、分からんですよね。
 先ほどはつい、うっかりで。すいません。」

「・・・」
「手強いですね。」と黛。
「こうでなければ面白くない。ゲリラ戦だ。」

その頃、蘭丸はネットカフェから掲示板に書き込み。
『U中学の悪質いじめ
 飛び降り強要で裁判!!

 被害者少年、いまだ意識不明

 U市U中でイジメ』

校門に立つみなみ。
「みなみちゃん、おはよう!」
「藤井先生おはようございます、でしょ。 
 あ、カオリ。またチーク塗ってる。」
「ごめん。見逃して。ニキビ隠し。」
「だったらもっと上手に塗りなさい。」
「ありがとう!」

そんな中、マスコミ、PTAが押し寄せる。
保護者の手には週刊誌。
『U市U中・中2男子
 いじめ転落 
 被害者生徒 いまだ意識不明のまま』

三木法律事務所
「授業もままならないし、子供を登校させない保護者も出てきてます!」と校長。
「生徒や教師の写真が、ネット上に出回ってるらしい!
 あってはならないことです!」と教育長。
「落ち着きましょう。三木先生がおっしゃったはずですよ。
 相手は山火事にする弁護士。」と沢地。
「敵は揺さぶりをかけているんです。
 先生や生徒たちにこう言いましょう。
 何も心配することはない。私たちうさぎがおか中学は素晴らしいんだと。」と三木。
「はあ・・・。」
「今のうちだけですよ。マスコミの論調はいずれ変わります。
 ただ、気を付けなくてはならないのは、担任の藤井みなみです。
 敵が最も欲しがっているカードでしょうからね。」
「彼女のガードを固めましょう。」と沢地。
「守るばかりではなく、攻めに転じたいものですねぇ。
 何か、手はありませんか?」と勅使河原。
「無くはないですよ。撒き餌に食いつかせてみましょうか。」と三木。

みなみが帰宅すると、アパートのドアには嫌がらせの紙がびっしり貼られていた。
「お気の毒に。」古美門が声をかける。
「・・・気にしてはいられません。」
「あなたではなく生徒がです。
 青山君たちの家にも嫌がらせがあるそうです。
 こんな状態を招いているのはあなたで〜す。
 そしてまた、終わらせることができるのも、あなただ。
 あなたがいじめの存在を認めれば、学校側の責任は明確になる。
 それで終わりです。」
「いじめはなかったとクラスみんなが言ってたはずです。」
「それがおかしいんですよ。いじめがあったにせよなかったにせよ
 普通は意見にばらつきが出ます。
 ところがあなたのクラスは全員が同じ方向を向いている。
 まるで、コンダクターに従っているように。」
「私が指揮していると?」
「彼らを解放し、自分たちの意思で発言させなさい。」
「・・・フフ。ハハハ。私を買いかぶりすぎです。」
「まだ話は終わっていませ、」
みなみが閉めた玄関の戸を開けようとすると、ドアノブがスポっと外れてしまった!

裁判官執務室
「被告代理人と学校側が激しい抗議を申し入れてきました。
 あなた達の調査活動は極めて強引であり、弁護士としての職務規定を
 逸脱するものです。
 今後、うさぎがおか中学職員および生徒との接触を慎むように。」と別府。
「あなたにそんなことを命じる権限はありませ〜ん。」と古美門。
「器物損壊、及び住居侵入未遂に問われてもおかしくないん、」
「我々ははめられたんです!そんなこともわからずよく判事やってられますね〜。」
「・・・何ですって?」
「なんでもありません。ご指示に従います。」と黛。
「冗談じゃない!越権行為だ!越権行為だ!越権、」
「申し訳ありませんでした!」
黛、古美門の口をふさぎ部屋から連れ出す。

「ふーざーけーやがってー!あんなクレージーな裁判官がいていいのか!」
「自業自得ですよ。もうこういう手法はやめるべきです!」
「ほう。ジュリー・アンドリュースの魔法にかかって向こうの味方になったか。
 いじめはなかったんだものね〜!」
「そうは言ってません!
 ホントは何が起きていたのか真実を追求して明らかにしたいんです。」
「真実なんてどうでもいい!
 いじめはあった。そしてそれを学校側は認識していた。
 そういうことにするのが我々の仕事だ。」
「それではいじめの根絶につながりません!」
「・・・根絶ー?君は何だ?この世からイジメを根絶しようとしているのか?」
「そうですよ。この裁判をそのための第一歩にするんです。」
「衝撃だー。おとぎの国で魔法使いと戦っていたまえ。ドロシー君。」
「先生こそ裁判官とケンカしないでください。
 私たちが戦う相手は勅使河原先生でしょ?」
「だったらあの年寄りを徹底的に調べ上げろ!弱みを握るんだ!」
「私はそういうことはしません。」
「他に何ができるんだ?この使い道のないぽんこつが。」
「そういうことは蘭丸くんに、」
「命令だ!君がやれ!
 色仕掛けで愛人となって情報を根こそぎ奪い取れ!
 いっそのこと腹上死させてしまえばなおのこといい!」
「・・・はぁ。・・・色仕掛け・・・。」

勅使河原の豪邸の前で見張る黛。

「勅使河原先生は学生結婚しているんですが、奥様が社長令嬢で
 婿養子に入っているんです。
 だから奥様には頭が上がらないはずなんですが・・・。
 元秘書だった若い女性にマンションを買い与え、ほぼ毎日通い詰めてます。」
「さすがは、ハンターでいらっしゃる。」と服部。
「君にしてはよく調べ上げた。」
「こんなことするために弁護士になったんじゃないのに・・・。」
「老後の趣味と勘違いしてるオールドルーキーに、この仕事の怖さ、
 思い知らせてくれる〜!!」

古美門は、射撃場にいる勅使河原を訪ねていく。
「調子に乗ってはしゃぎすぎると、こういうものが出まわってしまうかもしれません。
 いまさら弁護士ごっこなどおやめになって、奥様と温泉旅行というのも
 悪くないと思いますが。」
「・・・私もそうしたかったですよ。妻に先立たれなければね。」
「・・・え!?」
「妻を亡くして私は生きる気力を失った。
 そんな私を励まし、献身的に尽くしてくれたのが、彼女でした。」
「・・・」
「あとで分かったんですが、妻が、私のことをよろしく頼むと
 彼女に言い残していったらしい。」
「・・・」
「おかげで私はこうして、新しい人生を歩き出すことができた。」
そういい涙ぐむ勅使河原。

古美門家
「とってもいい話じゃないか!ちょっと応援したくなっちゃったぞ!バカ!」
「では奥様と思われたのは?」と服部。
「ただのお手伝いさんです。
 どうしてそんな基本的な勘違いをするんだ!」
「私、探偵のプロじゃありませんから・・・。」
「やはり和彦君本人の証言がない限り、勝利は難しいということですかな。」
「今すぐ病院に行って、和彦に往復ビンタを食らわせ目覚めさせてこい!
 おっぱいの一つでも触らせてれば下半身と一緒に起き上がるだろ!」
「そんなことできるわけないでしょ!」
「ホンットに何も使えないやつだな、お前は!」
「・・・」
「服部さん、僕もう寝ます。子守唄歌ってください!」

法廷
「給食費を建て替えることはよくあることなんですか?」と勅使河原。
「小暮さんに、支払いをお願いするたびに、大変な剣幕で反論されるもので、
 仕方なく・・・。」と校長。
「学校側では、小暮秀美さんに対して、まあいわゆる、モンスターペアレント
 という認識をされていたんですか?」

「異議あり。誘導尋問です。」と黛。
「認めます。質問を変えてください。」と別府。

「どういう意味ですか?
 私たちがお金目当てででっち上げてるって、そういう意味ですか!?」と秀美。
「原告、発言を控えてください。」
「冗談じゃないわ!あなた達、それでも教育者ですか!?
 こっちは、息子殺されかけてるんですよ!?
 息子は、今も眠ったままで・・・。
 借金があったら悪いんですか?
 誰がモンペですって?ふざけないでよ!」
「・・・」
「しばらく退廷されては?」
「いきましょう。」
黛は秀美を連れて出ていく。

「昨今のいじめ問題について、どうお考えですか?」と勅使河原。
「今や、いじめといえば誰もがヒステリックに騒ぎ立てます。
 ですが、現場で起こっていることは全て違うんです。
 大事なことは、一つ一つのケースに合わせた対処をとることです。」と校長。
「今回のケースを、どう受け止めておられますか?」
「非常に乱暴な議論が行われている印象です。
 法的措置を取るべき問題だったのかどうか、疑問です。」
「確かに、誰にでも裁判を提起する権利があります。
 しかし、こと学校や子どもたちの問題については、より慎重になるべきなのかも
 しれませんね。」

病院
和彦の意識が戻る。
「お母さん・・ここ病院?」
「和彦!!」

古美門、黛が病院に駆けつける。
「自分から飛び降りるって言ったわけじゃないのよね?」
「僕は、嫌だって言ったと思う。
 でも、青山君が、絶対大丈夫だから、根性見せろとかって・・・。」
「無理強いしたのね。」
「うん。」
「これまでも、いじめに遭っていたのよね?」
「・・・うん。」
「よっしゃ!!
 あ、いや、いじめに遭ってたなんて気の毒に。」
「和彦君。これは重要な点だが、君がいじめに遭っていたことを
 先生方は知っていたかね?」
「・・・うん。」
「これで真実が明らかになりました。
 学校はいじめを把握していたのに放置していた。責任は明白です。」
「和彦君。法廷に立ってもらいたい。」
「もうちょっと回復するのを待ってからのほうが。」
「痛々しいほうがアピールできる。」
「・・・」

原告本人尋問

(回想)
「早く飛べよ。男見せようぜ、和彦。大丈夫。飛び移れるって。」と青山。
「無理だよ。」
「あ?またアナコンダやられたいのか?飛べよ。」
「飛〜べ!飛〜べ!」
(回想終わり)

「きっと、青山君たちに本当に飛び移らせる気はなかったと思うけど、
 ふちに立ったところで目眩がして・・・落ちてしまったんです。」
「アナコンダとはどういうものですか?」
「アナコンダホールドっていう、青山君たちが考えた絞め技です。」
「絞め技?どのような技か教えてもらえますか?」
「右腕で、相手の頭をロックして、左手で、相手の右手を持って、右足を・・・。」
「黛君!」

「え〜・・・。」

「右手で頭をロックして、左手で右手を・・・こうだね?」
「違います。上から通すんです。
 左足は前。」
「ん?こう?こうやって?右手で?左手で?こう?こうか?」
「だから左足前です。」
「左足が前。」
「いや、そうじゃなくて・・・」
「右手を??」
「だからこうでしょ。」黛が技を決める!
「あ〜痛たたたたた!ギブ!ギブギブギブギブ!ギブ!殺す気か〜!!
 何て恐ろしい殺人技なんだ!日頃鍛えてる私でさえこのダメージ!
 恐るべし!アナコンダホールド!!これはまさに強要ですね、別府さん!」
「・・・」
「和彦君。君はこれまで様々なイジメに逢ってきたそうですね。
 それら数々のいじめをやめてほしいと訴えたことは?」
「いつも言ってたけど、言えば言うほどみんな笑いました。」
「担任の藤井みなみ先生はそのことを知っていましたか?」
「・・・知っていたと思います。」
「藤井先生はどのような対処をしてくれましたか?」
「何も。」
「どんな気分でしたか?」
「ここは、地獄だと思いました。」
「まさに、地獄でしょう!いじめを知っていながら何ら措置を取らない学校!
 当然いじめはエスカレートし、今回の悲劇が引き起こされた。
 学校の責任以外の何ものでもありません!
 今、思うことはありますか?」
「・・・もっと早く母に相談していれば良かったと思います。」
「しなかったのはなぜですか?」
「・・・母は、女手ひとつで僕を育てて、毎日必死に働いていて、
 心配かけたくなかったからです。
 でも、その結果こんな大怪我をしてしまって・・・
 母に申し訳ないです。
 お母さん、ごめんなさい。」
涙を拭う秀美、そして傍聴人。
「以上です。」
別府は表情一つ変えず・・・。

「まずは、回復されて本当に良かった。
 お喜び申し上げる。」と勅使河原。
「どうも。」と和彦。
「お医者さんが言われるには、頭を強く打って長い間意識不明だった場合、
 目覚めても、当分は記憶が曖昧だったり、混乱するケースが多いそうです。
 和彦君はどうかな?」
「・・・別に。」
「事故にあった時のことをすぐに思い出せた?」
「いえ、すぐには。」
「どうやって思い出したのかな?」
「母や、弁護士の先生が色々話してくれて、それで・・・。」
「ほう。つまり、今和彦君が話したことは、弁護士さんによる誘導によって
 形成された記憶だと。」

「異議あり。誘導という表現は不適切です。」と黛。

「被告代理人、表現を変えてください。」

「和彦君は、イジメに遭っていたことを藤井先生が知っていると言っていましたが、
 直接相談したのかな?」
「いえ。でも、いじめられている時、目が合ったし。」
「目が合っただけ?
 藤井先生は、コンタクトレンズを外すと、視力は0.1以下になるそうです。
 本当に認識していたのかなぁ。」
「・・・」
「本当に気づいていたと思う?」
「・・・気づいてなかたのかもしれません。」
「和彦君。イジメられていると感じていたのなら、立ち向かうべきだったんじゃないのかな。
 男同士、殴り合いの一つもすれば、理解し合えることがあるのも事実だよ。」
「・・・」
「退院して元気になったら、私と相撲でも取ってみるか。ん?」
「・・・」
「裁判長。彼を証人として出廷させるのは、時期尚早だったのではないかと
 付け加え、終わります。」

「小暮君。証人として、早期の出廷を希望したのはなぜですか?」と別府。
「・・・古美門先生が、そうするように・・・。」
「原告代理人からは、本人の強い希望と聞いて許可しましたが違うようです。
 早期に出廷させたのが同情を買うためだとすれば倫理上問題であり、
 非常に残念です。証言の信用性については十分吟味します。
 証人、ありがとうございました。」
「・・・」

三木法律事務所
「完全に獲物を追い込みました。もはや逃げ場はありません。」と澤地。
「横分けのエゾジカが、右往左往する姿が目に見えるようだよ、ハッ。
 次の弾は?」と三木。
「青山瞬君をと思っていましたが。」と勅使河原。
「ガキは使わないほうがいいな。」と三木。
「勝利は目前です。手堅くいきましょう。」と沢地。
「担任の藤井みなみ先生で、とどめを撃ち込みます。」
「今度こそ勝ちましたね。ついに古美門先生が負ける時が
 来たんですね!」と井出。
「まさか1年目のルーキーに敗北することになるとは、
 古美門先生、どんなご気分なんでしょう。」
澤地、勅使河原にイチゴを食べさせる。
「あ・・・勅使河原先生、次回は私が行きましょう。」と三木。
「は?」
「いや。一度、私自らが山に入り、大物狩りの手本を示すべきだろうと
 思っていたんですよ。
 どうか、一流のハンティングというものを、その目に焼き付けてください。」
「では、お言葉に甘えて。」

古美門家
「チース!」と蘭丸。
「しーっ。」と服部。
「あれ?先生具合悪いの?」
「切り札を簡単に弾き返されて、ショック。」
「だからって熱出すなんて、子供じゃないんですから。」と黛。
「うるさい!負けたらお前のせいだからな。」
「うまそう!」
「景気付けに、焼肉をと思いましてね。」
「じゃあ俺が全部頂きま〜す!アイラブミート!」

「あ、先生、これ藤井みなみの調査報告書。時間かかってすいませんね。
 その代わり、かなり深くまで調べといたから。」
「私が。」と黛。
「和彦君もまた、指揮棒で操られる合唱隊の一人だったわけですね。
 あ、そうそう。指揮といえば、私もかつて、バンクーバーフィルハーモニーで
 コンダクトを取らしてもらったことがありますが、いや、なかなか難しいことでした。
 演奏をリードして指揮棒を振ってるつもりが、いつの間にか、
 こっちが、演奏に合わせて振っている。
 ハハ。どっちが指揮をしているのか分かりませんでした。ハハハ。」と服部。
「・・・服部さん!今何ておっしゃいました?」
「バンクーバーフィルハーモニー、」

「ここ、読んでください。
 指揮棒を振っている者が、指揮をしているとは限らない。」
「・・・どうやら我々は藤井みなみを見誤っていたようだ。」
「使えますか?」
「イチかバチか尋問に全てを懸ける。
 またぎのじいさんと真っ向勝負だ!」
「はい!」

被告側 証人尋問
「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います。
 藤井みなみ。」
「藤井みなみ先生。担任のあなたから見て、小暮君と青山君たちは
 どのような関係に見えましたか?」と三木。
「仲のいい友達同士に見えました。」
「イジメられている現場をあなたが見ていた、目が合ったと、小暮君は言っていましたが。」
「・・・どの時のことかわかりませんけど、私にはいつもふざけあっているように見えました。」
「小暮君が悩んだり、苦しんだりしている様子は?」
「うーん、むしろ逆で、青山君たちと仲良くなるにつれ、明るくたくましく
 なっているように思いました。」
「教育委員会は無能な組織。学校は隠蔽に走り、教師たちは自己保身しか考えていない。
 担任はろくでなし。
 いじめと聞けば、誰もがそう決めつけます。
 現にあなたも今、大変な嫌がらせに遭っていまね。」
「はい。」
「教師を辞めようと思ったことは?」
「毎日、悩んでいます。」
「みなみ先生、絶対に学校をやめたりしないでください。
 学校が楽しいものだと教えてくれたのは、みなみ先生でした。

 僕がうさ中に通うのは、勉強するためでも友だちに会うためでもありません。
 みなみ先生に会うためです。

 みなみちゃんに会って、将来の夢ができたんだよ。
 みなみちゃんみたいな素敵な先生になること・・・

 すいません、ここまでにします。
 これらは、生徒達から藤井先生に密かに宛てた手紙のほんの一部です。
 保護者たちの間からも、藤井先生を辞めさせないで欲しいという嘆願書が
 作られました。
 藤井学級は理想的なモデルクラスとして、他校からの見学者が絶えない。
 クラス替えの時期になると彼女のクラスを希望する生徒が殺到する。
 誕生日には生徒達からのプレゼントでバッグはいっぱい。
 これが本当の彼女の姿です!
 いったい誰が誤った世論を煽ったのか!?
 ・・・失礼、取り乱しました。
 藤井先生、今望むことは?」
「小暮君が戻ってきて、またクラスみんなで合唱することです。」
「教育現場は、このような先生によって支えられているんです!
 無知や偏見によって彼女のような素晴らしい先生を潰してはいけません!
 以上です。」

「勉強させていただきました。」と勅使河原。

「原告代理人。」

「うさぎがおか中学 2年C組、三木先生の仰るとおり素晴らしいクラスでした。
 やんちゃな子はいるけれど、心の中は皆純粋で先生の言うことを聞くいい古たち。
 まさに、友情、調和、博愛の精神を実現したクラスだ。」と古美門。
「ありがとうございます。」
「生徒はみんなあなたのことが大好きです。
 どうすればそんな素敵な先生になれるんですか?」
「どうすればと言われましても。」
「かつては正反対の先生だったのに。」
「・・・は?」
「かめがたに中学校 1年2組。覚えておいでですか?」
「・・・」
「ようやくその薄気味悪い笑顔が消えましたね。
 4年前、あなたが初めて受け持ったクラスです。
 当時の生徒に取材してみたところ、あなたの評判は今とまったくの正反対でした。
 冷たくて厳しくて、思いやりの欠片もない教師。
 生徒や保護者、学校とも何度も衝突していた。
 とんだ嫌われ者の教師だ!
 その結果、1年2組はどうなりました?」
「・・・」
「1年2組はどうなりましたか?」

「異議あり。本件とは無関係の質問です。」
「却下します。」

「あなたに反発する生徒が相次ぎ、統率不可能となって、完全に学級崩壊した!
 あなたは半年間の休養を強いられた!そうですね?」
「・・・」
「当時のご自分をどう思いますか?」
「・・・独り善がりだったと。」
「間違っていたと?」
「未熟でした。いい教師になろうと努力してきました。」

「人は経験を経て成長する。」と三木。
「被告代理人。」
「失礼。」

「成長ですかー。確かにかつてのあなたは未熟な教師だった。
 ですが今のあなたはそれ以下の、最低ゴミクズ教師だと思うのは私だけでしょうか!?」
「・・・」
「あなたは当時、このように語っていますよ。
 生徒におもねらず、徹底的に勉強を教え、鍛えあげることが自分の理想の教育であると。
 この理想はお捨てになったんですか?」
「・・・生徒に愛情を示すことが大事だと気づいたんです。」
「あなたの言う愛情とは、目立つ生徒のご機嫌を取って、
 目立たない生徒を黙殺することですか?」
「・・・何ですって?」
「大多数の生徒に好かれるために、いじめに遭っている子を犠牲にすることかと
 聞いてるんです。」
「・・・」
「私は初め、あなたが指揮棒を振って生徒達を操っているものだとばかり思ってました。
 しかし違ったんですね。まさに買いかぶりすぎだったんです!
 あなたにそんな能力はなかったんだ。
 いじめはなかったとしているのはあなたではなく、生徒自身。
 指揮をしているのはおそらく青山瞬でしょう。
 あなたは彼らの方針に従っているだけだ。
 彼らの顔色をうかがい、嫌われないよう必死で笑顔をつくっているだけ!
 合唱隊の前で指揮棒を振っているように見えて、 
 実は一番後ろで、うつむいて、口パクをしているのがあなただったんだ!
 今のあなたは成長した姿なんかじゃありません!
 失敗によって理想を捨て、生徒にこびへつらうことを選択した卑怯者です!」
「・・・」古美門を睨むみなみ。
「いいですね。その目ですよ。その目のあなたと話したかった。
 分かりますよ。生徒に厳しく当たって嫌われるのは辛いですものね。
 保護者や学校と闘うのは疲れますものね。」
「うるさい・・・」
「理想なんて捨ててしまった方がよっぽどいい。
 生徒に好かれる先生やって、笑顔で歌を歌っていればそれでいい。」
「黙れ・・・」
「みんなの言いなりになっていれば楽ちんだし学校一の人気者!
 気持ちいいったらありゃしない!目立たないガキが一人いじめに遭ってることなんて
 気にしない気にしない!私のクラスは最高のクラスなんだもの!!」
「やめろっ!!」
「・・・」
「あんたに何がわかるんだよ!!
 教師って仕事は・・・あんたが思ってるほど単純じゃないんだよ!
 教師にはね、やらなきゃならない仕事が山ほどあるの!
 無意味な会議!馬鹿親どものクレーム処理!
 マナーも知らないガキのしつけ!
 教育委員会のじじいどものご機嫌取り!
 クラスで問題が起きようものなら、授業どころの騒ぎじゃない!
 なのに教師は、体罰の一つも許されない!
 こんなんで理想なんてどうやって追えばいいんだよ!?
 クラス運営を守らなきゃならないの!それで精一杯なんだよ!!」
「小暮和彦も、あなたが守らなきゃならない生徒の一人だろ。」
「・・・」

和彦が母親と一緒にやってくる。

「4年前、あなたは確かに失敗した。
 しかし目立たない生徒の中には、あなたのやり方を支持し、
 密かに慕っていた生徒だっていたはずです。」
「・・・」
「小暮和彦は、おそらくそういう生徒の一人でしょう。」
「・・・」
「私が聞きたいことはただ一つ。小暮和彦がいじめに遭っていたかどうかです。」

「それはすでに証言した!」と三木。

「証言したのは先ほどのあなただ!私が質問したい相手は違います。
 それは、羊飼いであることを放棄し、
 思考停止の羊の群れの一匹に成り下がったあなたじゃない!
 生徒や学校とぶつかりながらも必死で戦い、もがき苦しんでいた4年前のあなたです!」
「・・・」
「あの頃のあなたなら、どう答えますか?」
「・・・」
「もう一度聞きます。藤井先生、小暮和彦はいじめに遭っていましたか?」
「・・・」
「羊飼いに戻るなら今です。」
「・・・小暮君は・・・いじめに遭っていました。
 職員会議で報告しましたが・・・うやむやにされました。」泣きながら答えるみなみ。
「・・・以上です。」

「証人、まだ終わっていません。
 私から補充質問いたします。
 あなたは、先ほどと今とでは、正反対の証言をしました。
 なぜ証言を変えたのですか?」と別府。
「・・・」
「先ほどは、虚偽の証言をしたということですか?」
「・・・」
「あなたは宣誓をしたはずです。」

「そうですよ。宣誓したんですよ。」と三木。

「考えが、変わったんです。」
「では、また次にもう一度被告代理人からの尋問があり、逆の説得をすれば、
 あなたはまた、証言を変えるんではありませんか?」

「その通りですよ!裁判長!確実に変え、」
「あなたは黙ってなさい!」
「はい。」

「・・・」
「分かりました。証言の信用性については、よく吟味し判断します。
 下がって結構です。」

「ちょっと待ってください。信用性とはどういう意味ですか?」と古美門。
「証人は下がって結構です。」
「まさか信用性がないと判断するんじゃないでしょうね!?」
「答える義務はありません。」
「今の証言のどこが信じられないんですか?」と黛。
「私が決めることです。」
「そんなバカな。彼女は勇気を、」
「本日は、閉廷!」
「待ってください裁判長!」

突然拍手が鳴り響く。拍手していたのは・・・古美門!
「何の真似ですか?法廷で拍手は禁じられています。」と別府。
「嫌がらせもここまで来ると感動しますよ。サディスト裁判長!」
「・・・何と言いましたか?」
「男に相手にされないイライラをここで発散してるんですね!」
「・・・あなたは法廷を何だと心得ていますか?」
「法廷!?ここ、法廷とおっしゃるんですか!?
 あなたにとってここはSMクラブのプレールームだ!
 女王様気分で下々の者をいじめるのはさぞ気持ちがいいことでしょ!
 そりゃ、いじめる側に加担するのも当然ですよね!」
「・・・発言を取り消し、私に謝罪しなさい。今すぐ。」
「謝りましょう。」と黛。
「直ちに謝罪しなければ、私の権限で措置を取ります。」
「申し訳ありませんでした。この人がバカなんです。」と黛。

「古美門先生、謝罪してしまいなさい。」と勅使河原。

「・・・どうも、申し訳ありませんでした、どうぞこの私をロープで縛って
 ろうそく責めの刑に処してくださいませ!女王様のお気に召すまで!」

「・・・古美門研介弁護士。法廷の秩序維持を害する行為と見なし、
 監置に処します。」

「カンチ?カンチって何ですか!?」と黛。

「カンチって?」と井出。
「俺も見るのは初めてだ。見ものだぞ。」と三木。

古美門は手錠をかけられ連れだされてしまう。

拘置所
「床暖房のスイッチはどれでしょうか・・・。」

「法廷秩序に関する法がこんなことに適用されるなんて前代未聞です!
 納得出来ません!」と黛。
「私に与えられている権限です。」と別府。
「裁判長として問題になると思います!」
「すればよろしい。」
「古美門は確かに無礼な発言をしました。
 というか、無礼な発言しかしない人です。
 でも裁判長は個人的な感情で、不当な対応をしています。」
「無礼な発言ですね。」
「だってこれではただの嫌がらせですよ!」
「あなたも牢屋に入る?」
「・・・」
「私は中学3年間、いじめに遭ってきました。
 今となっては取るに足らない思い出ですが、当時は死のうと思ったこともあります。
 いじめられている子の気持ちは分かるつもりです。
 私はどちらにも肩入れはしていません。
 法と手続きにのっとり、適正な判断を下すことが私に課せられた義務です。
 どんなことをしてでも勝つ。それが弁護士としての古美門先生の矜持であるならば、
 どんなことをしてでも、神聖なる法廷の秩序を守る、
 それが裁判官としての私の矜持です。」
「・・・」
「古美門先生は、私に謝罪しない限り最大二十日間監置します。
 話は終わりよ。」
「・・・」

三木法律事務所
「ありがとうございました。ひやっとしましたよ。ハハハ。」と教育長。
「裁判長が変わり者で命拾いしましたね。」と井出。
「命拾いだ!?」と三木。
「・・・いや、あの。」
「俺がヤバかったみたいな言い方じゃないか、貴様!
 あんなものは信用性がなくて当然なんだよ。」
「はい・・」
「このまま、完勝といきたいですな。」と校長。
「うん。」
「よろしくお願いします。」

「・・・」
「どうなさいました?勅使河原先生。」と沢地。
「いや、この辺で、和解という選択肢もあるのかなと・・・。」
「和解?冗談じゃない。今回はやつを仕留めるチャンスなんだ。
 逃すわけにはいかない。」と三木。
「追い込み方を誤れば、獲物を逃すばかりか、こちらが怪我をします。」
「それを恐れていては仕留めることはできない。」
「このまま続ければ、不幸な犠牲者が出るかもしれません。
 狩りをするのは、増えた野生動物を、間引いて、数を適正に保つためです。
 無駄な殺生はするべきじゃない。」
「・・・」

面会室
鼻歌を歌いバイオリンを奏でる真似をする古美門。
「相手が和解を申し入れてきました。」と黛。
「勝手にしたまえ。」
「和解しちゃっていいんですか?」
「もうどうせ勝てないもん!何やったってムダだもん!」
「事実上の敗北ですよ?」
「しょうがないもん!三木やまたぎのじいさんに負けるんじゃないんだもん!
 あの女のせいだもん!
 いくらスーパーゴール決めた所で審判にノーゴールと言われたら勝てっこない!」
「・・・」

病院
「このまま戦っても、正直展望は厳しいです。
 古美門もあんなことになってしまったし。」と黛。
「・・・」
「和解すれば、いくらかの金額はもらえると思います。
 ただ・・・」
「いじめは認定されない。」
「はい。決めるのは、秀美さんと和彦さんです。」
「・・・」
「僕は和解でもいいよ。お金が入ったほうが、お母さん助かるでしょ?」
「・・・黛先生、古美門先生がいなくても、あなたがいるでしょ?
 最後まで、戦いたいんです。」
「・・・」

学校、みなみは教師や生徒に無視し始める。
指揮棒を振っても誰も歌おうとしない。
生徒の間をメモが回っていく。
そこには
『藤井みなみは裏切り者認定』
と書かれていて・・・。

みなみが帰宅すると、アパートの前に黛がいた。
「大丈夫ですか?」
「笑わないとスごく暗いでしょ。これが、ホントに私の顔。
 合唱だって、ホントは好きじゃない。」
「職場で、何かされましたか?」
「当然でしょ。仲間を裏切った羊が、群れから追い出されるのは。」
「・・・」
「ただあなた達、群れのリーダーは青山君だって言ってたけど、それは違うな。」
「というと?」
「彼もまた、羊の一匹よ。群れを率いてるのは、他にいる。」
「他に?誰ですか?」
「知らないわよ。そう簡単に生徒の本性が分かるわけない。
 ただ、あの中の誰かよ。」
「・・・」

拘置所
「出してくれ〜!限界だ〜!
 便座が冷たくて座れない!ウォシュレットが付いていない!
 隣に寝てる奴が夜になるとお経を読み出す!
 体にブツブツができてきた!出してくれ〜!」号泣の古美門。

「89万8,315番、面会だ。」
「あっ!」

面会室
鼻歌歌いながらバイオリンを弾く真似の古美門。
「実に快適だよ。」
「話を聞いてましたか?本当のリーダーが誰なのかは藤井先生にも分かりません。
 だけど、それが誰であろうが、自分の意思で立ち上がる。
 一人ひとりが正しいと思うことをする。
 そうはならないものでしょうか、」
「ならないね!たとえその先に崖があろうとみんなが進む方向へ進む。
 それが群れというものだ。
 まあもうどうでもい。勝手にやりたまえ。」
「・・・ただ、藤井先生が心配です。すごく疲れてる様子で。
 職場でひどい仕打ちを受けているんじゃないかと・・・。
 ・・・失礼します。」
「黛君。服部さんに伝えてくれたまえ。
 所長と討論した結果、抱き枕の差し入れ許可を勝ち取った。すぐに持ってくるようにと。」
「くだらないことやってないでさっさと別府裁判長に謝罪してくださいよ!」
「あの女に頭を下げるぐらいなら首をくくるね!」

学校、職員室
自分の荷物が段ボール箱に投げ入れられているのを見て呆然と立ち尽くすみなみ・・・。

教室、生徒らはみなみを無視し雑談。
そんな中、みなみは一人無表情で指揮棒を小さく振り続け・・・。

そしてみなみは休職願を校長に渡す。
「体調が優れないんじゃあ仕方ありませんね。早く良くなってください。」
「・・・」

朝、みなみの家のインターホンを押す黛。
「藤井先生?黛です。・・・休職されたそうですね。
 藤井先生?」
応答がない。
ドアを開けてみると、異臭がする。
窓はガムテープで目張りされている。
「ガス!?・・・藤井先生!!」
部屋の奥でみなみが倒れている。テーブルにはメモがあった。
『みんな、ごめんね
 藤井みなみ』
「ダメよ!藤井先生!しっかりして!
 藤井先生!藤井先生!ダメよ起きて!!」

黛が学校に乗り込む。
「藤井みなみ先生が自殺をはかりました。非常に危険な状態です!!」
「・・・」
「誰よ?リーダーは誰なのよ!?
 藤井先生を排除するように仕組んだのは誰!!
 あなた達は自分がしたことがわかってるの?
 藤井先生と小暮君は同じ犠牲者よ!
 あんたたちの犠牲者よ!!
 放せ!!
 ・・・人間は醜い生き物です。
 気に入らない相手をたたきのめして楽しむ、残酷な生き物。
 だから無意識のうちに嫌われないように振る舞い、
 集団の中で生き抜くすべを身につける。
 それも大事なことでしょうね。
 だけど、忘れないでほしい。
 人間は、正しくあろうと努力する、美しい生き物でもあるということを!
 群れを出て、藤井先生と小暮君に続く勇気のある者は私に連絡しなさい。
 授業中失礼しました。」
「・・・」

生徒たちは群から離れ、それぞれ考え始め・・・。

面会室
やつれた様子で鼻歌を歌う古美門。
「生徒から連絡が来ました。大至急別府裁判長に謝ってください。」
「・・・」
「彼女は、決して嫌な女ではありません。」
「・・・」

「・・・どうもすいませんでした。」口を開けずに謝罪する古美門。
「先生!」
「・・・ひざまずきなさい。」と別府。
「・・・」
ひざまずいた古美門は謝罪の言葉を口にする。
「裁判長に対し、無礼な言動の数々、心よりお詫び申し上げます。」
古美門と一緒にひざまずく黛。
「う〜・・・」
「まだですよ。まだですよ。」
「う〜・・・」
「まだまだ・・・」
「・・・監置を取り消します。」

トイレ
「クソ女に謝ったわけじゃねえよ!私は依頼者のために謝ったふりをしてやっただけだ!
 全然心はこもってなかった!まんまと騙されやがって、バ〜カ〜め〜が!
 お前のような頭の悪い変態女に屈するわけがないだろ!
 フランスに一緒に行く男もいない欲求不満のド〜ブ〜ス〜が〜!
 ・・・さ、行こう。」
「よく我慢しました。」

三木法律事務所
「何!?古美門が新しい証人を申し出た!?」
「はい。」と沢地。
「どんな人物です?」と勅使河原。
「阿部由美子、井上カオリ、小田ひなこ、梶原理絵、」
「ちょ、ちょっと待って。いったい何人いるんだ?」
「34人です。」
「・・・」

法廷
黛の携帯に、みなみが助かったと連絡が入る。

原告側 証人尋問
「クラスメートのあなたから見て、小暮和彦君はいじめを受けていたと思いますか?」
「はい。」と阿部。

「小暮君自身、楽しんでいたと思えますか?」
「いいえ。」

「屋上から飛び降りたのは、小暮君自身の意志だと思いますか?」
「いいえ。」とひなこ。

「強要されたからだと思いますか?」
「はい。」と相川。

「次の証人、前へ。」

「うさごがおか中学 2年C組、青山瞬です。」
「青山君、君は、小暮君をいじめたとされる張本人です。
 君自身はどのように思っていますか?」
「僕自身はいじめているつもりはありませんでした。
 だけど・・・」
「だけど?」
「みんなに言われて・・・僕たちは大変なことをしていたのかもしれないと気づきました。」
「屋上から飛び降りたのは、小暮君が自分から言い出したことだと主張していた
 そうですが、その点は?」
「僕にはそう思えました。
 でもそれも僕達が小暮君に、そう言わせていたのかもしれません。」
「つまり、強要したと?」
「・・・はい。」
「藤井先生はそれを知っていたと思いますか?」
「藤井先生だけじゃなく、ほとんどの先生が知っていたと思います。」
「小暮君に、言いたいことがあれば、どうぞ。」
「・・・僕達のしてたことが、それほど小暮君を苦しめているとは
 思ってませんでした。
 先生方にも注意されず、いじめとは言われなかったので、
 いいんだと思ってました。
 ごめんなさい。」
「・・・以上です。」

「被告代理人。」
「・・・ありません。」と勅使河原。

最終口頭弁論期日
「秀美さん、今の思いを。」と古美門。
「私は、息子のような目に遭う子が、二度と出ないように、
 この裁判を始めたつもりでした。
 でも、それは違って・・・
 本心は、ただ復讐したかったんです。
 ですがその気持ちも、息子が回復して、笑顔を見たら、消えてしまいました。
 今は、どんな判決でも受け入れるつもりです。」
「ありがとうございます。
 以前、共同代理人の黛先生がこんなことを言っていたのを思い出します。
 この社会からいじめをなくしたい。この裁判をその第一歩にするのだ。
 私はあざ笑いました。不可能だと思ったからです。
 勅使河原先生は和彦君に、いじめに立ち向かうべきだったとおっしゃいました。
 果たして立ち向かえる相手なのでしょうか?
 そもそも、いじめの正体とは一体何でしょう?
 加害者生徒?教師?学校?
 いえ、そのどれもが本質ではありません。
 正体は、もっと恐ろしいものです。
 それは教室だけでなく、職員室にも、会社にも家庭にも、
 この国のあらゆるところに存在します。
 我々は常に回りの顔色を伺い、流れに乗ることを強いられる。
 多数派は常に正義で、異を唱えるものは排除される。
 いじめの正体とは・・・空気です。
 特に右から左、左から右へと全員で移動するこの国では、
 空気という魔物の持つ力は実に強大です!
 この敵の前では、法ですら無力かもしれません!
 すべてを飲み込み巨大化する恐ろしい怪物。
 立ち向かうどころか逃げることさえ困難な相手です!
 あるいは藤井先生も、いや、加害者である青山君たちでさえ、
 この怪物に飲み込まれた犠牲者なのでしょう。
 しかし今回、私は奇跡を見ました。
 飲み込まれていた者達が、怪物の腹を切り裂き、敢然と立ち上がったのです。
 和彦君、藤井先生、そして2年C組34名の生徒達。
 どれほどの勇気が、どれほどの覚悟が必要だったことでしょう。
 しかし彼らは確かに目覚め、自分たちの意志で空気を打ち破った。
 私は彼らの姿に希望を見、そして自らを恥じました。
 世界は常に前へ進んでいるのだと気付かされたのです。
 敢えて申し上げます。
 この世界から、いじめをなくすことはできます。
 この裁判をその第一歩にしましょう。
 ・・・終わります。」

「それでは、判決を言い渡します。
 主文 1 被告は、原告 小暮和彦に対し、1億円およびこれに対する、
 平成25年1月15日から支払済みまで、年5分の割合による金員を支払え。
 2 被告は、原告 小暮秀美に対し、1000万円およびこれに対する、」

「閉廷します。」

「こい!話が違うだろう!」と教育長。
「すみませんでした・・・」と井出。
「すみませんじゃないよ!表へ出ろ!」

古美門、別府の目が合い、微笑み合う。
「まったくめちゃくちゃだな、君は。だが判決は実に賢明なものだった。
 どうやら私たちはその出会いが最悪過ぎたようだ。
 どうだろう。一からやり直そうじゃないか。ん?」
「私は、あなたのことを心の底から、ヘドが出るほど軽蔑しています。
 こうしてしゃべっているだけで、ぞわぞわ全身から悪寒が走ります。
 これ以上馴れ馴れしい口を利けば、裁判官としてのあらゆる法的裁量を駆使して、
 懲役刑に処しますので、そのおつもりで。
 二度と、お会いする機会のないことを心から祈っています。」
古美門の足を踏みつけ立ち去る別府。
「痛い!!」(フランス語)

「黛!やっぱり嫌な女だったぞ!」
「いい裁判官ですね。」
「どこがだ!あんなの絶対クビになるぞ!」

「古美門先生。大きな一歩、お見事でした。」と勅使河原。
「いえ、勅使河原先生も一歩目にしては健闘されたと思いますよ。」
「いやあ。しかし弁護士というのは楽しいですね。」
「今後も三木先生のところで?」と黛。
「いえ、三木先生の下は離れます。今後は自分の事務所を作ろうかと。」
「賢明ですね。三木にあなたは使いこなせない。」
「ではまたいつか。
 うん・・やhなりあなたはミックジャガーでした。」
「頑張ってください。」
「うん。あ・・・この手は。」
「思い出しました?私の手、だれに似てるか。」
「思い出しましたよ。この手はね、ゲームセンターの、相撲マシンの手ですよ。」
「・・・」
「うん。間違いない!じゃあ、失敬!」
「・・・人じゃないんだ。」

ハムスター・サオリの写真を見つめる三木。
「先生。」沢地が三木の手に触れる。
「古美門・・・必ず貴様を」
「地獄に落とす。」
「・・・」
「あ、ごめんなさい。いつも聞いてるもんですからつい。」
「それじゃまるで、私がいつも同じ事を言ってるみたいじゃないか。」
「そんなことございません。今日初めて聞きました。」
「そうだろ。」
「地獄へ落とすなんてゾクゾクいたしますわ。」
「はっ!」

古美門家
「この度は、本当にお世話になりました。」と秀美。
「やはり引っ越すんですか?」と黛。
「はい。学校のみんなはこの子のことを引き止めてくれたんですが、
 やっぱり知らない土地でやり直そうと。」
「引越しは、どちらへ?」と服部。
「お恥ずかしいんですが、豊洲の高層マンションに。」
秀美の手にはシャネルのバッグ。
「これからも、親子二人でつつましく暮らしていきます。
 では、ありがとうございました。」
「どういたしまして。」

秀美と一緒に歩き出す和彦だが、なぜか一人で戻ってきた。
「あの、先生・・・。」
「なんだ?」
「僕、時間がたって色々思い出したんだけど、自分から言い出したかも。
 飛び降りてみせるって。」
「え!?」と黛。
「何か、飛べる気がして。」
「・・・ ・・・」

「和君〜。」
「はーい。」

「・・・マジですか? 
 あ、でも、やっぱり、イジメに遭っていたから自分から言い出さざるをえない状況に
 追い込まれてたってことですよね?」
「どっちでもいいことだ。確かなことはやはり男子中学生のほとんどは
 バカだということだ。」
「はぁ・・・。」
「とにかく食事にいたしましょう。」
「お先にいただいてまーす。」と蘭丸。
「ちゃっかりしてるわね!」

うさぎがおか中学校
「私は校長を解任されることになりました。
 教育委員会のメンバーも一新されます。
 ですから、考えなおされては?」
校長の手にはみなみの辞表。
「・・・」
みなみは笑顔で一礼し、職員室を出ていった。

「先生!」
生徒達がみなみを追う。
「最後にもう一度合唱をしたいんです。先生、指揮をしてください!」と青山。
「お願いします!!」と生徒たち。
「・・・」
みなみは指揮棒を手に取ると、振り回し、木の枝をそれで折る。
「うん。・・・次の学校の生徒達につ〜かお。」
「・・・」

「古美門先生、私感動しました。」
「何がだ?」
「この間の意見陳述ですよ。素晴らしかったです。
 いじめはなくすことができる。うん。私もそう信じます。
 やはり先生にも、弁護士としての良心があったんですね。」
「何だと?」
「テレなくていいですよ。私、生まれ変わった先生になら
 これからも付いていけそうです。
 藤井先生ももうすっかり体調もいいそうで。
 まあ、めでたしめでたしですね。」
「体調はいいに決まってるだろう。窓にガムテープを貼って寝ていただけなのだから。」
「は!?」
「相変わらず脳みそがバフンウニで出来ているようなので服部さん、
 すべてを教えてやってくださ〜い。」
「藤井先生の自殺未遂は・・・うん。狂言でございます。」
「は!?」
「生徒たちを立ち上がらせるため服部さんに彼女に提案してもらったのだ。」
「いやだって、医者も危険な状態だって・・・
 あの医者も!?」
「お友達!」
「え?でもだって、部屋中ものすごいガスの臭いしてましたよ。」
「ガスではない。」
「シュールストレミングでございます。」
「シュール・・・」
「はい。スウェーデン特産の、魚の缶詰。」
プシュ。缶を開ける服部さん。
「なぜ開ける!!服部さん!!うえぇぇぇ!!
 その恐怖の缶詰を部屋のあちこちに置いてもらったのだ。」
「藤井先生に何やらせてるんですか!」
「それが藤井先生、意外とノリノリで。」

(回想)
「アッハハハハ!それおもろい!やったろやったろ!」
(回想終わり)

「いやなかなか、肝の据わった方ですな。」
「また私を騙したんですね。」
「騙されることだけは、君は一流だよ。」
「でも2年C組のみんなが空気を打ち破って立ち上がったことは事実です。」
「蘭丸君、教えてあげなさい。」
「あのね、あのクラスで生徒達の手から手へメモが回ったの。」
「メモ?」

『私はいじめだったと思う!!
 誰か一緒に証言しない?』
『さんせー!私も証言するーっ!』
『俺もイジメだと思ってた。』

「それでクラス全員そのメモに従ったってわけ。」
「つまりあのガキどもは空気を打ち破るどころか、またしても周りの空気に
 乗っただけなのだよ。」
「でも、最初にメモを書いた子はやっぱり空気を打ち破ったんだと思いますよ?」
「メモを書いたのは、私でございます。」
「え〜・・・」
「女子中学生的文体と文字を会得するのに、一晩かかりました。
 ほら、この通り。」ゴミ箱にはメモの山。
「・・・」
「そして俺が、」
蘭丸がメモを生徒に渡していたのだ。
「そんな・・・」
「あのクラスに初めっからリーダーなんていなかったのだ。
 誰が作り出した空気であろうが構わない。
 ただその場にある空気に従う腐った羊の群れ。
 希望なんてあるものか。
 しょせんこれが現実だ。
 おとぎの国と違って、現実世界はそう簡単には変わらないのだよ。
 いじめはなくなる?そんなわけないだろ!ブワ〜〜カ!」
「・・・」
「と、いうわけで、私はバカンスの続きを楽しむことにしま〜す!
 今度は南の島に行っちゃおうっかな〜。
 一緒に行く人この指と〜まれ!黛以外で〜!」
「はいはいは〜い!」と蘭丸、服部。
「いいえ違います!そんな仕込みは余計なことだったんです。
 メモなんか回さなくたって、彼らは自分の意志で立ち上がったはずです!
 彼らは確かに、空気を打ち破ったんです!」
「ほう。そういう解釈もできますかな。」と服部。
「永遠にほざいていたまえ、ドロシー。」
「よくよく考えてみたら、私が先生から受けてきた仕打ちってイジメなんじゃありません?」
「君はイジメと教育の区別もつかんのか。」
「教育だったんですか〜。」
「ええ、そうですよ。悪意のある言葉なんて一度も言ったことありませんよ〜。」

「そうそう、先日インターネットで面白い買い物をしました。」と服部。
「何です?」
「マグカップとTシャツ。」
「これ、田辺さんの不動明王!」
「どうやら彼の描いた不動明王が思わぬ人気となって、見物人で大賑わい。
 お寺では勝手に、関連商品を売ってるそうですよ。」
「これは著作権侵害の疑いがありますね。」
「黛君、直ちにその落書きジジイを説得して訴訟を起こせ!
 そしてこんどこそ絶対に勝つのだ!
 負けたらクビだ。その老人のヌードモデルでも勤めつつ、 
 下の世話でもしながら、私への借金を返済しなさい!
 君の無価値な人生も少しは意味を持つだろう!
 分かったか!?このクソ音痴のぽんこつおたまじゃくし!」
「絶対いじめであ!」
「え〜教育じゃあ。」


見応えのあるスペシャルでした〜!面白かった!
イジメを取り上げるドラマはいっぱいあるけれど、そうきたかー!

群れ、集団心理。
いじめる側といじめられる側。それぞれの主張。

「たとえその先に崖があろうとみんなが進む方向へ進む。
 それが群れというものだ」

ただじゃれあっているのか、ふざけあっているだけなのか。

指揮棒を振る笑顔の先生と、笑顔で歌う生徒たち。
みなみ先生は生徒を操っていたのではなく、生徒に操られていたわけでもなく、
誰に支持されたわけでもなく、みんな空気に流されていただけ!

その群れを、空気を打ち破ったのは黛先生!
彼女のまっすぐな力強い想いが、生徒の心に届いた!!

・・・と思わせておいて、このドラマは普通のドラマと違うんだな〜。
普通のドラマなら、別府に迫った古美門が足を踏まれて終わりかもしれない。
黛、よくやった!古美門先生の意見陳述に感動!で終わっていたかもしれない。

でも、このドラマの面白いところは、その後!
秀美はシャネルのバッグを手に登場し、勝ち取った1億円でマンション購入!
そして、和彦の飛び降りた真相・・・彼は自ら飛んでいた!!
立ち去るみなみを引き止める生徒達。涙・涙のお別れシーンになりそうなところ、
彼女は指揮棒で植木の枝を折り、生徒達を無視!その表情の晴れやかなこと!

「あのクラスに初めっからリーダーなんていなかったのだ。
 誰が作り出した空気であろうが構わない。
 ただその場にある空気に従う腐った羊の群れ。
 希望なんてあるものか。
 しょせんこれが現実だ。」

イジメのリーダーなどいなかった。みんな、ただその場の流れに乗っただけ。
そこに自分の意志も考えも主張もなかった。なんだかその方が恐ろしいな・・・。
実際、そういうことの方が多いような気がする。特に日本では。


相変わらずの長台詞を完璧に言い回す堺さん!古美門役はあなたしか出来ません!

オールドルーキー・勅使河原弁護士、フェアでいい弁護士だったな〜。
北大路欣也さん圧倒的な存在感。またどこかで登場してほしいです。

サディスト裁判長別府!
何を聞いても表情一つ変えず、最後まで鉄仮面を外すことがなかった。お見事!

そして黛ちゃん。あなたはいつまでもずっとそのままでいてください。

今秋 連続ドラマ放送決定!!楽しみだ〜!!



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服部さんの過去
・スイスのホテルで料理長(第1話)
・書の嗜み
・計算が早い

・楽譜も書ける(昔フォークソングをかじっていた)

・バンコクで屋台

・家庭菜園

・モンゴル相撲

・芸能通

・醤油づくり

・演劇

・ワンダーフォーゲル

・王家の谷で発掘調査


気になるセリフ
第1話
「正義がまかり通らない世の中になったらこの国の司法は
 終わりではありませんか?」(黛)
「教えてあげよう。正義は金で買える。」(古美門)

第2話
「俺はお前をこの世界から葬ると決めたんだ。
 そのためなら、地位も名誉も喜んで捨てる。
 刺し違えてもお前を地獄に引きずり込む。
 必ずな。
 それが俺の贖罪だ。」(三木)

第3話
「榎戸がバリバリのストーカーの変態野郎だったとしても、
 あらゆる手段を使って無罪にしろ。それが君の仕事だ。」(古美門)
「私はそうは思いません。
 私たちの仕事は、あくまで適正な判決に導くことです。」(黛)

第4話
「あなただけ特別」
「神でもない我々に、そんなこと分かるはずもない。
 正義は特撮ヒーロー物と『少年ジャンプ』の中にしかないものと思え。
 自らの依頼人の利益のためだけに全力を尽くして戦う。
 我々弁護士に出来るのはそれだけであり、それ以上のことをするべきでもない。」(古美門)
「やはり古美門先生を倒すのは、三木先生でなければ無理ですよ。」と沢地。
「ここに来た、自分自身の目的が、はっきりわかったんです。
 あなたを、倒すためです。」と黛。

第6話
「勝利のみが全てではない。
 私が理想とする弁護士像を圭子さんに見た気がします。
 一緒に、行かせてください。」(黛)
「一人でグリーン・ゲーブルズにでも行ってなさい!」(圭子)
「圭子さんのようになりたいんです。
 そして、古美門先生に、いつか勝てるようになりたいんです。」
「・・・あなたは私のようには一生なれない。」
「・・・」
「なる必要もない。
 せいぜい古美門の下で滑った転んだやってなさい。
 そうすればいつか、あいつを倒せるかも。」
「え?」
「彼に勝てるのは私ではないってことよ。」

第7話
「分かってないね。最も手強い敵は三木なんかじゃない。
 自分の土俵で戦える人間だよ。」(古美門→黛)

第8話
「12歳の子が母親と断絶しようとしている。
 内心どれほどの苦悩を抱え、血を吐く思いをしているか君に分かるか?
 二度と薄っぺらい言葉を吐くな。」(古美門→黛)

「私が彼を採用したのも、あなたのご子息であれば育ててみたいと思ったからです。
 ・・・しかし、その結果、どんな悲劇を招いたかは・・・申しません。」
 古美門研介という法律家は、あなたが生み、私が完成させた化け物です。
 私たちは共犯なのです。
 ご子息を、葬りましょう。」(三木)




【キャスト】
古美門 研介 - 堺雅人
黛 真知子 - 新垣結衣
服部 - 里見浩太朗

三木 長一郎 - 生瀬勝久
沢地 君江 - 小池栄子
井出 孝雄 - 矢野聖人

加賀 蘭丸 - 田口淳之介(KAT-TUN)

スペシャルゲスト
榮倉奈々
広末涼子
北大路欣也


【スタッフ】
企画 - 成河広明、加藤達也
プロデュース - 稲田秀樹
脚本 - 古沢良太
音楽 - 林ゆうき
演出 - 石川淳一、城宝秀則
制作 - フジテレビ
制作著作 - 共同テレビ


堺雅人さんの主な出演作品



新垣結衣さんの主な出演作品



里見浩太朗さんの主な出演作品




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posted by ちーず at 19:22 | リーガル・ハイ

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