2013年06月23日

家族ゲーム 最終話

『あの男が家庭教師になった理由〜彼は誰を殺したのか?』

沼田家
「離婚したいの。」と佳代子(鈴木保奈美)。
「ちょっと待てよ。このタイミングで。」と一茂(板尾創路)。
「私には、このタイミングしかなかったの。
 閉じられた世界にいた私にとって、外で仕事しているあなたが羨ましかった。
 私も外の景色に触れたら、何か変われるんじゃないかって、
 ずっとそんなふうに思ってた。
 だから、飛び出してみたの。
 行けば何かが、見つかると思って。
 でも・・・何もなかった。
 歩いても歩いても、何にも見つからなかった。
 それで、やっとわかったの。
 私自身が変わらなきゃ、どこにいても同じなのよね。」
「それで、離婚を?」
「私なりに・・考えて下した決断です。」
「じゃあ離婚したら俺達はどうなるの?」と慎一(神木隆之介)。
「私達のところが嫌なら、おじいちゃんに頼んでもいい。
 あなた達二人だったら面倒みてくれると思うから。」
茂之(浦上晟周)は離婚届を破り、それを食べてしまう。
佳代子はカバンから別の離婚届を取り出す。
茂之はそれも破り、また食べてしまう。
佳代子は3枚目の離婚届を出す。
「・・・」

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「別にいいんじゃない?父さんが納得できるんなら。
 今更家族部って止めんのも・・違うと思うし。」と慎一。
「俺は反対だよ!そんなのダメだよ!」
「もう、修復は不可能なのか?」と一茂。
「今のままでは。」
「・・・そうか。書く物あるか?」
佳代子が一茂にペンを渡す。
「ダメだって!ダメだ!ダメだって!やめろって!」阻止しようとする茂之。

「はーーい!呼ばれてないのにジャジャジャジャーン!」
いつの間にか吉本(櫻井翔)がいた。
「いいね〜〜〜!派手にやらかしましたねえ。」
「二度と顔を見せるなと言っただろ!」と一茂。
「僕だって皆さんの顔なんて見たくなかったんですけど、
 どうしても回収しないといけなくて。」
「回収?」
「これとか。これとか。」
「・・・」
「盗聴器と小型カメラ。レンタルなんですよ〜。」

吉本に小型カメラを耳元に持ってかれた茂之君、ちょっと笑っちゃってた!

「そんなとこにもあったのか!?」
「はい。全部で10個くらい。あ、お構いなく。すぐに終わりますんで。」
「君ねえ、警察に通報したっていいんだよ?」
「そういうことは100万返してから言ってもらえます?」
「・・・」
「大目に見てくださいよ〜〜。どうせ、この家も売るんだし。」
「何でそれを・・・」
「だからコレですって!」
「そうか。」
「よいしょ。1階は、これで全部かな?あと2階か。」
「ちょっと!2階にもあるの?」
「あ、安心してください。茂之君と慎一君の部屋だけなんで。」

茂之の部屋
「いじめは楽しいか?」
「・・・」
「散々いじめられてきた相手だもんなぁ。
 同じ目に遭わせて清々するだろ?」
「・・・そんなわけないじゃないですか。
 でも、もしやらなかったら、また一人になるかもしれないし。」
「・・・」
「怖いんですよ。もう戻りたくないから。」
「お前の友達はその程度のやつらなのか?
 その程度のやつらでも、友達でいてほしいのか?」
「・・・」
「はぁ・・・。ちっ。お前一体何を見てきたんだよ。」
「・・・」

慎一の部屋
「プライバシーも何もあったもんじゃありませんね。」
「俺を刺すなら今だぞ〜。」
「俺の殺意がそのカメラに映ってたんですか?」
「ふふ。ビンビン伝わってきたよ。アハハハハ。」
「水上沙良。彼女から聞きましたよ。8年前の真相。」
「・・・」
「想像を絶するものでした。」
「・・・ハハハハハ!同情してくれるの〜〜?
 俺より自分のこと心配したらどうだ?優等生〜〜。
 高校辞めて親が離婚のホームレス。
 お前の人生昼ドラかよ。」

リビング
「100万円の振込先です。この家売れたらお願いしますね。」
「・・・」
「本気で別れる気なるんですか?
 これをきっかけにみんなで話し合って家族の絆を再確認しようとした・・・とか?」
「・・・」
「でも残念〜〜。この家に絆なんてないんですよ。」
「用が済んだらな、さっさと帰れ!」
「は〜〜い!あ、振込手数料はそちらでお願いしますねー。」
吉本が出ていく。

「相変わらずむかつく男だ。」
「・・・」

家を出ていく吉本を、ベランダから慎一が見ていた。
吉本が振り返る。
「そうだ!高校辞めたから、俺の言うこと一つ聞いてくれるんだよね?」
「飛び降りて死ねばいいですか?」
「そーんな簡単なことじゃないよ〜。
 ・・・家族を再生させろ。」
「・・・」
慎一はその言葉を考え・・・。

吉本の言葉が気になる慎一は水上沙良(忽那汐里)にもう1度会いに行く。
「来てくれたんですね。」
「言ったでしょ。逃げも隠れもしないって。
 で、今日は何?」
「この前の続きを聞きたいんです。」
「全部話したつもりだけど。」
「教えてほしいんです。なぜ田子雄大が吉本荒野になったのか。
 普通なら、自分を不幸に追いやった人間に成り済ましたりなんかしないでしょ?」
「それが・・・家庭教師になった理由よ。
 今回の依頼を受けるときに、教えてくれたの。」

(回想)
「何で、家庭教師なんですか?」と沙羅。
「俺の教育は学校の教師じゃできないからだ。
 俺は今・・・吉本荒野を名乗ってる。
 悪意の体現者として、世の中のあらゆる悪を生徒にぶつけるためだ。」
「どうしてそんなことを?」
「真田が自ら命を絶った後、俺は自分を責めた。
 どうして吉本のイジメから目を背けてしまったんだろう。
 どうして・・・真田を救ってあげられなかったんだろう。
 でも一方でこうも思ったんだ。
 もし俺がいじめを防いでいたら、真田はどうなっていたんだろうって。
 その時は助けてやれたかもしれない。
 でも、中学を卒業したら、俺はあいつの側にいてやれない。
 もしも高校で、大学で、社会で、同じような目に遭っても・・・
 俺はあいつを守ってやることができないんだ。
 そのことで教師に限界を感じて、俺は学校をやめた。
 それから2年ほど世界を回った。
 心の何処かで死んでもいいと思っていたのかもしれない。
 わざわざ危険な国や地域を訪れて・・・
 実際何度も死にかけた。
 でもそこで自分が強くなるしかないってことを知った。
 それで思ったんだ。
 世の中の悪意を全て断ち切ることはできない。
 でも、悪意に立ち向かっていける人間を育てることは出来るんじゃないか・・・って。」
「・・・」
「最期に真田が言ったんだ。
 強くなりたかった・・・って。
 二度とあの悲劇を繰り返しちゃいけない。
 真田のように純粋で優しい人間が、たくましく生きていけるように・・・。
 俺は・・・吉本荒野になる。」
(回想終わり)

「実際先生は、その時までに3人の生徒を更生させていた。
 自分が悪意の体現者となって、向き合った結果よ。」
「・・・」
「どうして今回だけ、私が手伝ったか分かる?
 先生は沼田家を調査していくうちに、
 茂之君という、第二の真田宗多になり得る生徒の他に、
 もう1人・・・第二の吉本荒野がいることに気づいたの。
 ・・・君のことよ。」
「・・・」
「吉本荒野は挫折を知らずに育って、人の痛みが分からない怪物になった。
 だから先生は、あなたにいろんな経験を積ませようとしたんだと思う。」
「だから俺に、あなたを近づけた。」
「こんなやり方が正しいとは思わない。
 でも、罪の意識もなく、平気で他人を傷つける人間が多い世の中で、
 それは・・・必要悪とも思えた。」
「・・・」
「・・・ここが宗多の机。
 これは先生が綴った、あなた達の記録。」
「・・・」
「先生はこの廃校に来て、吉本荒野になるために自分を追い込んでいったの。」

(回想)
「教師が務まんのか!
 また新たな・・・また新たな犠牲者を産むだけじゃないのか!!
 俺は社会の悪だ。悪意の体現者だ!
 怒りをぶちまけろ!もっと!もっともっと!!」
(回想終わり)

「人を殺したことがある。
 先生あなたにそう言ったんでしょう?」
「・・・」
「それを聞いた時・・・あの人の覚悟がやっと分かった。
 先生が殺したって言った相手は・・・」
「・・・」
慎一の瞳から涙が溢れる。

本物の吉本荒野の病室
「沼田慎一の教育は終了しました。
 彼が、吉本荒野になることはないでしょう。」と吉本。
「息子を、悪の代名詞のように言うのやめてください。」と多恵。
「そうですね。彼だけが悪いわけじゃない。あなたも同罪です。」
「・・・」
「8年前、彼が搬送された時のことを思い出しますよ。
 あなたは警察に犯人を捕まえるよう喚き散らしていたくせに、
 真相を知った途端今度は事実を隠蔽して欲しいと俺に泣きついた。」
「それの何がいけないんですか?
 どんな手を使ってでも、自分の子供を守るのが親でしょ?」
「本当は自分を守るためだったんじゃないですか?」
「・・・」
「犯罪者の親だと周りから避難されたくなかったから隠したかったんじゃないんですか?」
「・・・」
「人間にはルーツがある。
 親から、そのまた親から受け継がれた教育によって今の自分がある。
 つまり、多くの怪物は突発的には生まれない。
 吉本荒野というモンスターをつくり出したのは・・・他ならぬあなたなんですよ。」
「・・・そんなことあるわけないじゃないですか!」
「・・・彼もまた、被害者なのかもしれません。」

カフェ
オレンジジュースを飲んでいた一茂に、元部下の勝野が声をかける。
「お久しぶりです。」
「・・・」
就職情報誌を隠す一茂。
「まだ決まらないんですか?」
「ああ。」
「うちの取引先だったオット社が、営業の経験者を募集してるそうです。」
「・・・」
「這い上がってみてくださいよ。」
勝野は一茂の伝票を手に取り、レジに向かう。

沼田家に帰ると、みんなが待っていた。
「どうしたんだ?」
「見せたいものがあるんだ。座って」と慎一。
慎一は家族に大学ノートを見せる。
「何だそれ?」
「家庭教師記録。田子雄大がここに来て去るまでの一部始終をおお、
 全て記録したものだよ。」
「何が書いてあるの?」と佳代子。

「家庭教師記録。生徒名、沼田茂之。
 初日の家族面談を迎えた。
 事前に調査した通り、沼田茂之は第2の真田宗多になる可能性がある。」

「真田宗多って・・・あっ。」と茂之。
「自殺した、田子の生徒だよ。」
「・・・」

「家庭教師記録。生徒名、沼田茂之。
 担当して3日が経過した。
 茂之の他にも家族の問題が浮き彫りになってきた。
 家庭を顧みない父親。
 家族に遠慮して踏み込めない母親。
 そして、他人を傷つけることに罪の意識を感じていない長男。
 本当の問題児はこの長男、慎一だ。
 彼は第2の吉本荒野になる可能性がある。
 慎一を更生させるには、家族の意識改革が急務であり、
 そのためには最悪の場合、家族を崩壊させるところまで追い込まなければ
 ならないかもしれない。」

「・・・」

「家庭教師記録。生徒名、沼田茂之。」

「担当して10日が経過した。
 茂之には、刻限の痛みを与えることで、死を意識させて、
 生きている実感を味わわせる。
 また、その姿を慎一に直視させることで、
 慎一自身がいじめている側の人間だと認識させる。

 家庭教師記録。
 担当して23日が経過した。
 茂之に、誕生会を開かせる。
 そこで、自分には友達がいない、親から見放されているという現実を思い知らせる。

 家庭教師記録。
 本当の友人を手に入れた茂之は、学校生活も安定して、
 受験に集中できることだろう。
 しばらく経過を見守りつつ、ここでもう1人、新しい生徒を受け持つ。
 生徒の名は、沼田慎一。
 全ては、計画通りだ。

 家庭教師記録。
 予想通り、慎一は8年前の真相を追い始めた。
 まだ真希が信頼出来る人間だと思い込んでいるようだ。」


「家庭教師記録。
 最悪の事態が起きた。」

「佳代子が、再び株に手を出して1,000万を損失し、
 自殺を図った。
 対象者が死に追い込まれた場合、先に命を絶つと決めていたが、
 彼女は思いとどまったようだ。
 この件が、家族と向き合えるきっかけになってほしいと、
 切に願う。

 家庭教師記録。
 いよいよ、すべて打ち明ける時がきた。
 一茂と佳代子は思わぬ真相に驚くだろうが、
 慎一は、俺と真希の関係に薄々感づいているはずだ。
 しかし、それを問いただせないほど真希に信頼を寄せている。
 つまり、このネタバラシこそが慎一の最後の試練になる。」


「次で最後。
 家庭教師記録。生徒名、沼田茂之。沼田慎一。
 総評。」

ここで、リビングの一部は教室に。教壇には吉本の姿が。

「沼田家はこれまで受け持った中で最低の家族だった。
 その印象は今でも変わらない。
 自分を悲劇の主人公だと勘違いしている登校拒否児の次男。
 優等生を演じながら裏で他人を傷つけている長男。
 家庭を顧みずメンツがすべての父親。
 反抗期の息子を恐れて育児放棄した世間知らずの母親。
 この家にいるのは家族じゃない。ルームシェアしてるただの同居人だよ!
 絆って言葉が気軽に手軽に使われている世の中だ。
 家族の絆だって自然に存在するもんだと思ってたんだよなあ?
 そんなわけねーだろ!
 互いに膝を突き合わせて、自分の思いを口で、手で、目で心で!
 伝えてこそ初めて存在するもんなんだよ。
 それを何度も繰り返して築きあげていかなきゃ強くならない
 めんどくさいもんなんだよ!
 いじめられてることも、自分を偽ってることも、
 家に居場所がないことも、息子が何を考えているのか分からないことも、
 相手に伝える努力もしないで家族だから言わなくても分かるなんて
 お前らエスパーかよ!!ハハハ!
 そんなもんは、単なる幻想なんだよ。
 残念ながら、沼田家は最後まで自分たちを超能力集団だと勘違いしていたらしい。
 お互いに責任をなすりつけ合う姿は怒りを通り越して笑えたよ。
 家を壊す時でさえ、みんな背を向けてたもんな〜〜。
 ・・・はぁ。
 破壊のあとに再生があると信じてるなら教えてやるよ。
 絆のない家族に、再生なんてあるわけがない。
 お前らは・・・俺が仕掛けたゲームに負けたんだよ。
 こんな家族・・・消えてなくなればいい。」

慎一がノートを閉じる。
「・・・聞かなきゃよかったわね。」と佳代子。
「このままあいつの思惑通りになってもいいのか?」と慎一。
「絆のない家族に、再生はない。」と一茂。
「・・・」
「そのとおりだ。」
一茂が二階へ上がっていく。

茂之からメールを貰った慎一、佳代子、一茂が、ある倉庫にやってくる。
倉庫の中から大きな物音が。

茂之の友人4人が1人の生徒に殴る蹴るの暴力を振るっていた。
イジメられているのは山尾。
「もうやめよう?」と茂之が止める。
「は?俺達お前のためにやってんだぞ。」と三井。
「確かに、山尾には散々いじめられてきた。
 でも、だからって、こんなの間違ってるよ。
 俺は、誰かを傷つけたくてイジメから解放されたかったわけじゃないんだよ。
 これ以上、山尾を殴るっていうのだったら・・・俺を殴ってよ。」
「・・・」
「殴れよ!」
「・・・」
「もういい。終わりにしよう。
 納得できないなら、俺も一緒に殴れ。」と園田。
「・・・分かったよ。」と三井。
「行こう。」

「よかったら一緒にどう?」
茂之が山尾に手を差し伸べる。
「・・・」
茂之の手を振り払う山尾。

「てめー!」
怒る三井を園田が抑える。

「何なんだよ、お前・・・」と山尾。
「ある人に言われたんだ。」

「死を意識して、初めて生きている実感が湧く。
 生きている実感があって、初めて人に優しくなれる。」


「俺も君も、優しくなれるはずでしょ?」
「・・・」
茂之が笑顔で手を差し伸べると、山尾はその手をぎゅっと掴み・・・。
「サッカーやろうよー!」と茂之。
「下手糞のくせに、よくいうよ。」
「ホントだよ。」
みんなが笑う。
「しょうがねーな。お前らボール持って来い!」と三井。
「お前が持って来い。」と市原。
「何で俺なんだ。」
「いいから行くよ、行くよ!」と園田。

茂之は家族の方に振り返ると、笑顔で立ち去る。

「あいつ・・・あんなに強かったか?」と一茂。
「・・・俺達も、変われるんじゃないかな。」
慎一はそう言い、父と母を見つめる。
「あ、面接の時間だ。行ってくる。」

家に帰った佳代子と慎一。
「・・・」
イスに座り考えこむ佳代子の姿に、父も母も変わることが出来ないのか、と悟る慎一。
すると・・・
「よしっ!!」
佳代子は大声で叫ぶと、部屋の掃除を始める。
慎一はそんな母の姿に嬉しそうに手伝い始める。

「・・・万引きした本は、取ってあるの?」
「・・・うん。」
「じゃあ後で、一緒に謝りに行きましょう。・・・ね?」
「うん。」慎一が穏やかに頷く。

一茂は、元部下が教えてくれた会社に面接に行く。

「残念だったな。もう一度上に掛けあってやろうか?」
かつて自分がクビを言い渡した榎本が言う。
「いや、もういいよ。きっと、バチが当たったんだ。
 お前の首を切った時、内心、ざまあ見ろと思ったんだ。
 お前だけじゃない。俺は営業部の奴らが悪かった。
 どうして俺だけ、異動されられなきゃいけないんだって。
 みんな同じ事をしてるのに。
 でも今は分かる。
 そんな俺だから、営業から外され、クビにまでなったんだって。
 ・・・すまなかった。」
「沼田!・・・今のお前なら、きっと見つかるよ。」
「・・・」元同僚の言葉に笑みを浮かべる。

帰宅した一茂は、片付けられた部屋にびっくり。
「おかえりなさい。」と佳代子。
「ただいま。」
「お風呂湧いてます。」

一茂がサウナに入っていると、慎一がやってきた。
「珍しいな。あちっ!」
「熱っ!!」
「・・・」
「・・・あのさ。」
「うん?」
「いや・・・あの・・・。」
「お前さ・・・」
「ん?」
「もうちょっと、食ったほうがいいんじゃないか?」
「え?・・・いや、そうかな。」
「ムリするな。少しずつでいい。少しずつ、築きあげていこう。」
「・・・」父の言葉に微笑む慎一。

茂之の部屋
「本屋に謝りに行ったんだって?母さんすっごい嬉しそうに話してたよ。」
「うん。段ボールいっぱいに入った本、持ってってさ。
 すっげー怒られた。ま・・最後に何とか許してもらえたけど。」
「良かったじゃん。」
「・・・」
「家族なんて、いらないんだって思ってた。」
「思ってた。」
「じゃあ何で?」
「・・・あいつに間違ってるって言ってやりたくて。」
「・・・俺さあ・・・不思議と先生のこと嫌いになれないんだよねえ。
 何でだろう。」
「・・・俺もだよ。だから言ってやりたいんだよ。」

リビング
「もうできますから。」
「ああ。」
「離婚届処分しましたから。」
「・・・そう。」
「あの子たちが成人するまでは、別れません。」
「じゃあ・・・チャンスは5年だな。」
「え?」
「いや、何でもない。」
「あ、ごはんできたわよ。」
「うん。」慎一、茂之が席につく。
「いただきます。」
「おい、ちょっと待て。
 今日はな、記念日だ。」と一茂。
「誰かの誕生日だっけ?」と慎一。
「いいえ。」と佳代子。
「じゃあ、あ、結婚記念日?」と茂之。
「それはもっと先。」
「今日は・・・家族記念日だ。」と一茂。
「フッ。」子どもたちが吹き出す。
「うまく言えなかったけどさ・・・何だそのリアクション。」
「何?ずっと考えてたの?」と慎一。
「うん。サウナでな。」
「まあ・・いいんじゃない?」と茂之。
「私はどうかと思うけど。」と佳代子。
「分かったよー。もういいから。
 とりあえず、乾杯。」
「俺たち水だけど。」
「いやだから、そこは雰囲気でやってくれよ〜。
 ほらちょっと。お箸置いて。グラス持ってほら。
 いい?はい。乾杯ー!」
「乾杯ー!」

インターホンが鳴る。

「どうしました?」と佳代子。
「車も・・・ちゃんと売れましたよ。」
「・・・」
微笑み合う二人。

引越しの日、近所の主婦が見送りにやってくる。

そしてそこに、バイクに乗った女性が。
「浅海君・・・じゃなかった、立花さん。」と一茂。
「でもなく、水上沙良。」と慎一。
「え?3つ目!?」

「慎一君、ちょっといい?」と沙良。
「うん。」
「じゃあ、先乗ってるから。」一茂らが車に乗り込む。

「引っ越すんだ。」
「別れの挨拶ってわけじゃなさそうですね。」
「実は、田子先生について、1つ思い出したことがあったの、
 5月26日なら、会えるかもしれない。
 その日は、宗多の命日なの
 去年宗多が命を絶った山小屋に行ってみたら、お花が置いてあったの。」
「教えてくれてありがとう。」
「じゃあまたね!」

一茂はMoon's Kitchenという弁当屋で店長候補としての採用が決まる。

バスの中、慎一は飛鳥の隣に座る。
「どうしたの?」驚く飛鳥。
「この間は、ごめん。」
「いいよ、もう。」
「あのさ、俺がこんなこと、言える立場じゃないんだけどさ・・・
 もう1回、俺と付き合ってほしい。」
「・・・え?何言ってんの?こんなとこ・・・」
「俺と付き合ってほしい。」
「・・・」
「ダメかな。」
「はぁ・・・。ダメって言えない自分がにくい。イーッ。」
二人は手をつなぎ・・・

部屋を綺麗に飾っていく佳代子。

慎一は横浜市立沢北高校への編入試験に合格。

ファミリーレストラン
「よし!今日はみんな好きなものを食え!」と一茂。
「よっしゃー!じゃあ俺ステーキ!」と茂之。
「お前はダメだよ〜。慎一の編入祝いなんだからさ。」
「じゃあ俺ステーキでいいんだよね?」と慎一。
「お父さん。」佳代子が財布の中身を見せる。
「・・・全員、きのこ雑炊だ。」
「え!?」
「何でだよー。」
「嫌なら変えるぞ。」

茂之の部屋
「お前、こんなんも解けないで成邦館受けようと思ってんの?」と慎一。
「教え方が悪いんだよ。辺なんだよ、これさあ。」
「辺じゃないだろ!?」
「意味わかんない。」

「ケンカしないの、もう。ほら、おやつ。」と佳代子。

神社にお参りに行く佳代子。

入試試験の日。

そして、結果発表。

茂之は母が買ってくれたお守りを握りしめ・・・。
「あった!よっしゃ!」
「あった?俺も!」と園田。
「よっしゃ!ハイ、ハイハイハイ!いいね〜!!」

「沼田君!園田!」さくらが声をかける。さくらも合格。
二人は競うようにさくらに駆け寄り・・・。

茂之合格の報告に家族も大喜び。

リビングには吉本が作った整理棚。
その上に、家族の記念写真がまた一枚増えた。

「いってきます。」
「いってらっしゃい。
 じゃあ私もそろそろ。」と佳代子。
「パート今日からだっけ?」と慎一。
「うん。頑張ります!」
「頑張って。」

5月26日。慎一は、宗多が亡くなった場所へと向かう。

小屋を除くと、吉本が手を合わせていた。

小屋の外、慎一は吉本が出てくるのを待っていた。
「よっ!」と吉本。
「・・・」慎一の手にはナイフ。
「・・・」
慎一は唸りながらナイフを木に突き刺す。
「あんたを殴りに来た。」
「いいねえ。」吉本が、慎一がカバンを外す。
「うわぁぁ!この!」
吉本に殴りかかるがなかなか当たらない。
「・・・沙良さんから、あんたが吉本荒野になった理由を、聞いたよ。
 あんた言ったよな。人を殺したことがあるって。」

(回想)
「先生が殺したって言ってた相手は、真田宗多のことよ。」と沙良。
「でも、彼を追い詰めたのは・・・吉本荒野ですよね?」
「その言葉は、吉本荒野として・・・言ったものよ。」
(回想終わり)

「真田宗多の死をそんなふうに平然と口にできるのはあんたがそれだけ
 吉本荒野として生きてるってことだ!」
「・・・」
「それが何を意味するのか。
 彼女が悲しそうに言ってたよ。
 あんたが本当に殺したのは・・・田子雄大!あんた自身だよ!」
「・・・」
「あんたは第2の真田宗多、吉本荒野を生まないために、
 8年前、ここで自分を殺した!
 そして悪意の体現者として、俺達の目の前に現れた。
 そして俺たちを容赦なく、壊していった。
 家族を崩壊させといて、それがいまさら俺達のためだなんて
 納得ができると思うか!?
 あんたのやり方は間違ってんだよ!!
 あんたのやり方は間違ってる!!間違ってんだよ!!」
「・・・」
「あんたのやり方は、間違ってんだよ!!」
「・・・」
「何でそこまでするんだよ・・・。
 何でそこまで自分を犠牲にすんだよ!!」
「・・・」
「あーーーーっ!」
吉本を殴る慎一。
「贖罪のつもりか!?それで罪を償ってんのかよ!!
 間違ってんだよ!!」
「・・・」
「全部あんたのせいなんだよ。
 全部あんたのせいだ。
 あんたのせいで・・・家を失った。
 あんたのせいで・・・俺は高校をやめることになった。
 あんたのせいで・・・家族が壊れた!
 あんたのせで・・・あんたのせいで・・・
 家族に・・・家族に絆が生れた!」
「・・・」
泣きながら訴える慎一。吉本の瞳からも涙がこぼれる。
「・・・ありがとうございした!!」
慎一は吉本に深く頭を下げ・・・。

「吉本荒野
 昭和57年1月17日生まれ。
 AB型。
 悪意の体現者として、生徒と向き合う。
 ずっとそうして生きてきた。
 けど今日、久しぶりに笑った。
 田子雄大として・・・心から笑った。」


「あの・・・どうしても腑に落ちないことがあります。
 沙良さんに会えたのはあなたの部屋に置いてあった劇団のチラシがきっかけでした。
 それで想像力を働かせてみたんです。
 もしあなたが、わざとチラシを置いていったとしたら・・・」
「・・・」
「俺が8年前のあの胸を打つエピソドに共感して、家族の再生に乗り出すところまで
 予測できたんじゃないかって。」
「・・・」
「彼女が教えてくれた8年前の真相は・・・本当に真実なんですか?」
「・・・ ・・・ いい〜ね〜〜〜。」



面白かったー!
吉本先生、沼田家の人々、演じているみなさんの迫力、素晴らしかった!

8年前の真実。
田子雄大は自分を殺し、吉本荒野を名乗り、悪意の体現者として
生きていくことにした。
イジメをなくすため。モンスターの卵を潰すため。

劇団のチラシを置いていったのは吉本の脚本の一部だったとしても、
8年前の出来事は、あれだけ回想シーンが盛り込まれていたのだから
真実だったのだと思いたい。

「人間にはルーツがある。
 親から、そのまた親から受け継がれた教育によって今の自分がある。
 つまり、多くの怪物は突発的には生まれない。
 吉本荒野というモンスターをつくり出したのは・・・他ならぬあなたなんですよ。」

このセリフを聞きながら、いろんな事件の犯人が思い浮かんだ。
家庭環境って大切。お金とかじゃなく、親がどれだけちゃんと子供を見ているか。

「絆って言葉が気軽に手軽に使われている世の中だ。
 家族の絆だって自然に存在するもんだと思ってたんだよなあ?
 そんなわけねーだろ!
 互いに膝を突き合わせて、自分の思いを口で、手で、目で心で!
 伝えてこそ初めて存在するもんなんだよ。
 それを何度も繰り返して築きあげていかなきゃ強くならない
 めんどくさいもんなんだよ!」

この言葉も心に突き刺さりました。

慎一の「ありがとうございした!!」にやられた!
吉本も教え子にこんな風に思われて、教師冥利に尽きるというか
本当に嬉しかっただろうな。
だからこそ、殺したはずの田子雄大に一瞬でも戻ることができた。

それでも彼はこれからも吉本荒野として生きていくはず。
第2、第3の真田宗多を救うため。吉本荒野という怪物を消すため。

続編、SPを楽しみに待ちたいと思います。



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オープニング
第1話 雄大の叫び声のあとの無言面談
第2話 ラジオ体操第1「新しい朝が来た♪希望の朝だ♪]

吉本の過去
・夢に出てくる学生→真田宗多
吉本が学校の教師だった頃の教え子?
血に染まったマスコットは彼のもの。

「それで罪を償っているつもりか!
 お前に人を教える資格があるのか!
 お前のやっていることは本当に正しいのか?」(第2話/吉本の夢)

・本物の吉本荒野は入院中。生命維持装置に繋がれている。
荒野の母、吉本に慎一が来たことを報告。
慎一には「あの男は悪魔」と忠告。

・浅海舞香=立花真希
不良少女だった真希を親は手放し、真希は留学。
投資話に失敗し、借金。
留学の費用が払えなくなったから帰って来いと言われ、真希は激怒。
「だったら死んでよ。
 生命保険で返せば帰らなくて済むでしょ。 ねえ、死んでよ。」
その後、両親と弟、青酸カリ自殺。

・吉本先生=田子雄大
本物の吉本荒野、叔父の高柳教頭、田子雄大は同じ中学校の教師だった。

・吉本荒野
人格者として親にも生徒にも評判の教師

・真田宗多
いじめが原因で自殺?


吉本語録
第1話
「沼田家は誰もが羨む理想の家族だ。
 一部上場の会社に勤めるお父さんに
 美人で気が利くお母さん。
 そして文武両道で優等生の長男。
 問題は次男の茂之君だけ。
 これが家族の見解であり近所の評判だ。
 けど、ホントは違う、
 この家は欠陥だらけだ。
 ・・・わくわくするねぇ〜。」

「茂之君!明日君が学校に行かなければ僕は首だ。
 二度と君には会えなくなる。
 その前に、これだけは伝えておこうと思って。
 こんな世界にも希望はある。
 だから・・・強くなれ。」

「まさかこんなことになるなんて!
 忙しくて話を聞いてあげる余裕がなかった!
 いったいあなたは誰に言い訳をしてるんだ!!」

「何なんだよ・・・
 散々弄んで、何がしたいんだよ!!」
「壊したいんだよ〜。」

第2話
「今はやりの友達親子ってあるじゃないですか。
 あれって、体のいい育児放棄だと思いません?
 子供のことが可愛くて仕方がない。
 だから彼らの世界には深入りせず、外から温かく見守る。
 でもそれって要は、叱って嫌われたくないだけでしょう?」

「学校の先生が生徒に手出しをできなくなった今、
 誰が彼らを本気で叱ってやれるんですかね。」

「何J-POPの歌詞みたいなこと言ってんだよ。
 休んで前向きになるやつなんかホントにいると思うか?
 やり直せる人間は、そもそも立ち止まったりなんかしないんだよ。」

「痛いよな。涙が止まらないだろう。
 相手の戦意を喪失させるにはこれが一番有効だ。
 やってみろ。体で覚えるんだ。」

「俺のせいにするな。ずっと前からお前は負け犬だっただろ!
 家に引きこもってれば何かが変わると思ったか?
 時間が経てば全てが解決すると思ったか?甘いんだよ!!」

「安い正義感振りかざしてんじゃないよ!
 俺がいなかったらお前ただ突っ立って見てるだけだったろ?」

「・・・それでいい。
 死を意識して、初めて生きている実感が湧く。
 生きている実感があって、初めて人に優しくなれる。」

「冗談じゃない!僕達はいじめてません!」と相川。
「でもそのいじめを黙認してたんだろ!!」

「武器を使ってくれたおかげで話題性十分だよ。
 茂之が死んだら、これを学校教育委員会マスコミ各社に送りつける。
 そしたら、お前らも立派な犯罪者だ。」
「・・・」
「こいつらだけじゃない。
 こいつらのイジメを見て見ぬふりをしていたお前らもみんな共犯だ!」
「これって脅しじゃないですか!」と相川。
「脅しだよ。」
「・・・」
「いいか?俺はお前たちの先生でもなければ親でもない。
 今度茂之がいじめに遭ったら・・・お前らの人生台無しにしてやるからな。」

第3話
「出来の悪い俺とは対照的に弟は絵に描いたような優等生でねえ。
 君たち兄弟とは逆だな。
 彼は教師になるのが夢でね。
 東大に入っても、両親の反対を押し切って中学教師になった。
 でもその直後だった。事故に遭ったのは。
 やっと自分の夢に向かって邁進できるっていう時に、
 彼は全てを奪われた。
 それが自分のように悔しくてね。
 だから・・・俺は弟の夢を叶えるために、教師になったんだ。」

「何もしなかった人間が理想だけを語るなんて卑怯だとは思わないか?」

「嫌です。 
 これからも会いに行きますよ。忘れて欲しくありませんし。
 僕と息子さんは・・・共犯なんですから。」

「勘違いすんな!俺は舞台を用意しただけだ。
 ここで起きているのはすべてリアル。本音だよ。」

「簡単に友達ができると思ったか?
 自分で突き放した家族が変わらぬ愛情を注いでくれると思ったか!?」
 
「友達が一人もいない。
 家族からも見放されている。
 それがお前の現実だ。」
 悔しいか。
 だったら・・・お前が変わるしかないんだよ。」

「もう泣くな。今日は、黙って涙を拭け。
 明日になっても涙がでるなら、その時は俺が一緒に泣いてやる。
 前に言ったろ?お前の味方だって。
 俺がいる。俺が・・・お前を変えて見せる!」

第4話
「いいか?友達は共感。恋人は直感だ。
 友達に必要な共感は得るのに時間がかかる。
 しかし恋人に大事な直感は、運命を感じさせれば一発だ。
 それは、演出できる。」

「邪魔になる前に消しちゃいましょうか。」

「満州事変は結果として軍部の勢力を強めることになった。
 1932年5月15日には、海軍将校の一部が中心となり、
 犬養毅首相を暗殺するという・・・
 ひそかに開戦を決意した日本政府は、1941年12月8日、
 ハワイ真珠湾への奇襲と同時に・・・
 1945年9月に降伏文書に調印した日本は、アメリカを中心とする
 連合国軍に占領された。
 1947年には教育基本法が制定され、個人の尊厳を重んじ、
 平和かつ、民主的な人格の形成を目指す教育が目的とされた。
 ・・・いいねえ〜・・・。」

「茂之君をちゃんと見てあげてください。
 結構、いい顔になってきましたよ。」

「心外だな。君はいつまでもお父さんとお母さんが上辺だけの夫婦で
 いいと思うのかい?」

「本当は、茂之が成人したら、主人とは、別の人生を歩むつもりでした。
 だからそれまでは・・・自分を押し殺して生きていこうって思ってたんです。」(佳代子)

「言ったでしょう。お母さんがお父さんに対して冷めた気持ちのままだと
 困るって。お父さんに興味ないままあの画像を見せても、
 効果は期待できないからねえ。
 だから、お父さんへの情熱を再燃させてあげたんだよ。
 ほら、愛情は憎しみに変りやすいっていうでしょ?」

「学校の教師じゃできないからねえ。生徒の教育のために家庭環境を変えるなんてさ。」
「正気の沙汰じゃない。」
「この国自体が歪んでるんだからしょうがない。
 今の時代に、まっとうな教育なんか通じるわけがないんだよ。」

「ホントにそう思ってるのか?
 考えることを放棄して、周りの意見に流されてるだけじゃないのか?
 だったら歴史の授業を例にとってみよう。
 人類の誕生から始めて俺たちに身近で重要なはずの近代史は
 なぜか3学期に駆け足で終わらせる。
 100年もたっていない首相の暗殺事件でさえ、教科書ではたった数行しか語らない。
 どんな背景があってどんな思いがあって殺されたのか。
 本来はそういうことを学ぶべきなんじゃないのか?
 でも誰もそれをおかしいとは思わない。
 なぜなら、そんな詰め込み式の教育でも社会がそれなりに機能していたからだ。
 だがそのひずみはアイデンティティーの喪失として表れた。
 自分のルーツを曖昧にしか理解できていない俺達は、
 自分に自信が持てなくなり、闘うことを恐れて他人と同調するようになった。
 メディアに踊らされて一方的な意見で物事をくくりたがるのがその最たる例だ。
 俺達はいつの間にか個性奪われて、誰かに依存しなければ生きていけない
 骨抜きにされているんだよ。」
「何言ってんだよ。いや、そんな話俺達に関係ないから!」
「あるんだよ関係あるんだよ!!
 そんな教育を受けて平和ボケに漬かっている人間が、無意識のうちに、
 悪意だと感じない悪意で!
 汚れなき弱者を・・・追い詰めているんだ。」

第5話
「彼はまだ気づいていない。
 沼田慎一は、家族がつくりだした、モンスターだ。」

「この家族という存在、実に煩わしい。
 なぜなら、親の教育やしつけが人格形成に大きな影響を及ぼすにも関わらず、
 その親を自分で選ぶことができないからだ。
 つまり、人は生まれながらにして平等じゃないとも言える。
 例えば家庭を顧みない父親だった場合、普段子どもと接していないせいで、
 表面的な解決しか見いだせない。
 だから、それがどうして正しいのか悪いのかという根源を教えられない。
 ただ褒める、ただ叱る。
 また、愛情の注ぎ方を誤った母親の場合はどうか。
 肉体的にも精神的にも、子供が傷つくようなことは一切やらせない、触れさせない。
 すべて事前に回避して、子供の時に経験させておくべきことをさせずに
 育てていく。
 本当に痛みも悲しみも苦しみも、恥をかくことさえ知らずに育った子供は、
 どうなってしまうのか。
 他人の感情を推し量ることができない、想像力の乏しい大人になっていく。
 その結果、責任を放棄しても構わない。
 現実から逃れても構わない。
 他人を傷つけても構わない。
 そんな、自分本位に生きる、モンスターになる。」

「私が留学している間にね、父も、母も弟も、みんな吉本荒野に殺された。
 投資話を持ちかけて、多額の借金を背負わせたの。
 事業の拡大とか、バカな話に乗って。
 本来ならね、そんな話に引っかかるような親じゃなかったんだけど、
 吉本のことをすごく信頼していたから。
 ・・・吉本の目的は、お金でも、地位でも怨恨でもない。
 ただ他人の家族を壊すことが楽しいの。」

「もともと、君は親も手を焼く不良少女だった。
 留学も、君の希望じゃなく強制だったんだろ?
 でも、君はその留学先でやっと自分の居場所を見つけた。
 初めて友だちができて恋をして、ホームステイ先の家族ともいい関係を築いて。
 でも、そんな時に親から連絡が来た。
 借金で留学の費用が払えなくなったから帰って来い。
 君は激怒した。
 自分を捨てたくせにやっと手に入れた幸せを取り上げるつもりなのかって。
 だから、君は親にこう言ったんだ。
 だったら死んでよ。
 生命保険で返せば帰らなくて済むでしょ。
 ねえ、死んでよ。」

第6話
「お前の無神経な一言で彼がどれだけ傷ついたか考えたことがあるか?
 首を吊る前お前にすがった僅かな希望を考えたことがあるか?部室のパイプに!
 ロープを縛ったときの彼の絶望を考えたことがあるか!?
 彼の気持ちを想像してみろよ、優等生〜。」

「お前がいつ家族のために動いたよ。お前が守りたいのは家族じゃない。
 自分に都合のいいこの生ぬる〜い環境だ。」

「あなたと本物の吉本荒野は同じ中学の教師だった。
 8年前本物の吉本先生は人格者として親にも生徒にも評判の教師だった。
 叔父の教頭からの信頼も厚かった。
 それと対照的に、無愛想だったあなたは職場でも孤立していた。
 あなたと吉本先生は仲が悪かったそうですね。
 そしてある日事件が起きた。
 この吉本先生が、階段で足を踏み外して頭を打ったんだよ。
 今は昏睡状態だ。」

「最初は親身に接してたんですよね?
 真田君は家庭内暴力に悩んでいた。
 担任だったあなたは彼の相談に乗って、父親に厳しく指導をした。
 でも効果はなかった。
 助けを求めてきた彼を、あなたは突き放した。
 あなたに見放された真田君は、吉本先生に相談をした。
 でもそれを告げ口だと勘違いしたあなたは、彼をいじめた。
 そしてそのいじめの事実が教頭にバレることを恐れて、
 吉本先生を階段から突き落とした。
 吉本先生は昏睡状態に陥り、味方をなくした真田君は、山小屋で自殺をした。」

第7話
「俺が君に教えるのは勉強じゃない。挫折だよ。
 君には、もっと試練を与えないとな。」

「生きていれば、まだ変われます。」

「親が子供に向き合ってやらないから、しつけてやらないから!
 子供が大人になれないんだよ!いい加減気づけよ!!」

「悔しかったら、ちゃんと家族になってみろよ!」

第8話
「お店に謝罪に行く前に、もっとやることあるんじゃないですか?」

「まだメンツ!(一茂)
 まだ遠慮!(佳代子)
 まだ演技!(慎一)
 まだ変わらない!(茂之)
 せっかく、色々世話してやったのに結局何一つ学習しない。
 ほんっと救いようのない家族だな。」

「みーんな騙されてたってわけだ、この俺に!ハハハッ!
 でもこ〜んな酷い結末は予想してなかったよ〜〜。
 ・・・ギャンブル初心者が株に大金を注ぎ込んで大損。
 あの95万までは俺の想定内だった。
 でも何を血迷ったか1000万まで借金しちゃうんだからびっくりしたよ〜。
 しかも、せっかく俺が実家に掛けあってやったのに、それをほごにして
 横領なんてバカなことやらかした挙句に会社をクビになっちゃって。
 ほんとどこまで崩壊させれば気が済むんだよ!!」

「この最悪の結末は・・・あんたたち自身が招いたんだ。
 沼田家は・・・壊れるべくして壊れたんだよ。」

「だったらもっと親らしいことしてみろよ!!」

「何なんだお前らは・・・。」
「これが私たちのホントの姿よ・・・。」
「先生の言うとおりだ。この家は・・・壊れるべくして壊れたんだよ。」
「清々するよ。こんな、見栄えだけの家。上辺だけの家族。
 こんな家族崩れちまえばいいんだよ。」

第9話
「先生、僕は生まれてこの方挫折を知らないんです。
 親の期待に応えて常にヒエラルキーの頂点に君臨してきた。
 だから、弱者の気持ちなんて分かるわけがない。」

最終話
「俺の教育は学校の教師じゃできないからだ。
 俺は今・・・吉本荒野を名乗ってる。
 悪意の体現者として、世の中のあらゆる悪を生徒にぶつけるためだ。」
「どうしてそんなことを?」
「真田が自ら命を絶った後、俺は自分を責めた。
 どうして吉本のイジメから目を背けてしまったんだろう。
 どうして・・・真田を救ってあげられなかったんだろう。
 でも一方でこうも思ったんだ。
 もし俺がいじめを防いでいたら、真田はどうなっていたんだろうって。
 その時は助けてやれたかもしれない。
 でも、中学を卒業したら、俺はあいつの側にいてやれない。
 もしも高校で、大学で、社会で、同じような目に遭っても・・・
 俺はあいつを守ってやることができないんだ。
 そのことで教師に限界を感じて、俺は学校をやめた。
 それから2年ほど世界を回った。
 心の何処かで死んでもいいと思っていたのかもしれない。
 わざわざ危険な国や地域を訪れて・・・
 実際何度も死にかけた。
 でもそこで自分が強くなるしかないってことを知った。
 それで思ったんだ。
 世の中の悪意を全て断ち切ることはできない。
 でも、悪意に立ち向かっていける人間を育てることは出来るんじゃないか・・・って。」

「先生は沼田家を調査していくうちに、
 茂之君という、第二の真田宗多になり得る生徒の他に、
 もう1人・・・第二の吉本荒野がいることに気づいたの。
 ・・・君のことよ。
 吉本荒野は挫折を知らずに育って、人の痛みが分からない怪物になった。
 だから先生は、あなたにいろんな経験を積ませようとしたんだと思う。」

「人間にはルーツがある。
 親から、そのまた親から受け継がれた教育によって今の自分がある。
 つまり、多くの怪物は突発的には生まれない。
 吉本荒野というモンスターをつくり出したのは・・・他ならぬあなたなんですよ。」

「この家にいるのは家族じゃない。ルームシェアしてるただの同居人だよ!
 絆って言葉が気軽に手軽に使われている世の中だ。
 家族の絆だって自然に存在するもんだと思ってたんだよなあ?
 そんなわけねーだろ!
 互いに膝を突き合わせて、自分の思いを口で、手で、目で心で!
 伝えてこそ初めて存在するもんなんだよ。
 それを何度も繰り返して築きあげていかなきゃ強くならない
 めんどくさいもんなんだよ!
 いじめられてることも、自分を偽ってることも、
 家に居場所がないことも、息子が何を考えているのか分からないことも、
 相手に伝える努力もしないで家族だから言わなくても分かるなんて
 お前らエスパーかよ!!ハハハ!
 そんなもんは、単なる幻想なんだよ。
 残念ながら、沼田家は最後まで自分たちを超能力集団だと勘違いしていたらしい。
 お互いに責任をなすりつけ合う姿は怒りを通り越して笑えたよ。
 家を壊す時でさえ、みんな背を向けてたもんな〜〜。
 ・・・はぁ。
 破壊のあとに再生があると信じてるなら教えてやるよ。
 絆のない家族に、再生なんてあるわけがない。
 お前らは・・・俺が仕掛けたゲームに負けたんだよ。
 こんな家族・・・消えてなくなればいい。」


キャスト
吉本 荒野 - 櫻井翔
沼田 慎一 (17) - 神木隆之介
浅海 舞香 - 忽那汐里
沼田 茂之 (14) - 浦上晟周
最上 飛鳥 (17) - 北原里英
沼田 一茂 (48) - 板尾創路
沼田 佳代子 (48) - 鈴木保奈美

榎本 貴史 - 宮川一朗太
吉本 荒野 - 忍成修吾


スタッフ
原 作
 本間洋平『家族ゲーム』(集英社文庫刊)
脚 本
 武藤将吾
音 楽
 本多俊之
主題歌
 嵐「Endless Game」(ジェイ・ストーム)
編成企画
 水野綾子
プロデュース
 稲田秀樹
 小林 宙
演 出
 佐藤祐市
制 作
 フジテレビ
制作著作
 共同テレビ


櫻井翔さんの主な出演作品




タグ:家族ゲーム
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