2013年07月08日

Woman 第1話

『命をかけて我が子を育てるシングルマザーの感動ドラマ』

都電の駅。
ベンチで本を読む小春(満島ひかり)。
時間を告げる『遠き山に日は落ちて』が鳴ると、無意識に歌い始める。
「え?」隣のベンチにいた信(小栗旬)が驚く。
「え?」
「あ・・・いや・・・すいません。」
「いえ。」
「・・・」
「・・・」
「あの〜・・・」
「え?」
「この曲って、歌詞あったんですか?」
「フフッ。」首を傾げる小春。
「いや今、歌ってらっしゃいましたよね?」
「歌ってません。歌っては・・・」
「いや、歌ってましたよ。声高らかにって感じはなかったんですけど、
 うん。割と朗らかに、歌ってました。」
「・・・すいません。」席を立つ小春。
「もう一度歌ってもらえませんか?」
「嫌です。」
「小学校の下校の歌ですよね?歌詞あるんですか?」
「・・・あります。」
「・・・」歌ってと表情でおねだり。
「ふふっ・・・じゃあ・・・
 遠き山に 日は落ちて♪
 星は空を 散りばめぬ♪
 今日の、わざをなし終えて、心かろくやすらえば(適当に)
 風はすずし この夕べ♪
 いざや 楽しき まどいせん♪
 ・・・です。フフっ。」
電車の警笛。

青柳家
夜、子供の髪を撫でながら話す小春。
「そんなふうにして、おとうさんとおかあさんは出会ったの。」
「まどいせんって?」と望海。
「まどいせん?」
「あのね、まーどいせーん♪
 おかあさん歌ったでしょ?」
「あ〜!まーどいーせーん♪・・・何だろう。」

都電の中
「チョモランマ分かります?エベレスト。」
「あ、はい。」
「に、行って帰ってきたとこなんです。
 あ、どうぞ。」
信がミルクキャラメルを差し出す。
「チョモランマから持ってきたやつですか?」

青柳家
「その頃、お父さんは、1年働いて、半年、世界中の山を登って、
 また1年働いてっていう暮らしをしてたの。」

古本屋、将棋をしながら話す小春と信。
「子供の時に、人は死んだらどなるのかな?どこに行くのかな?って
 考えだしたら、止まらなくなったことがあって。」と小春。
「うん。」と信。
「大人に聞いたら、星になったんだって言うの。
 星になるわけないって思って、人間が。
 で結局考え至ったのは、人は、死んだら、消えてなくなるんだって。」
「・・・待った。」
信はミルクキャラメルを将棋の盤に置く。

青柳家
「お父さんがキャラメルくれたから結婚したの?」と望海。
「フフフ。え?そうかも。フフッ。
 結婚して、一緒に暮らし始めて、
 おかあさんが心配したからかな〜?
 お父さん山に行くのをやめて、家族のために生きるって決めて。
 で、望海が生れたの!」
「嬉しかった?」
「すごくすっごく嬉しかった。
 お父さんもお母さんも、今日は人生で一番いい日だねってお話したんだよ。」

(家族3人の回想シーン)

「望海、お父さん好き?」
「好き!」
「お母さんもお父さん大好き!その気持は、死なないの。」
「好きは死なない?」
「好きは死なないの。
 お父さんは、ちゃーんといるの。」
「どこ?」
「隠れてる。隠れてるだけで、そばにいるの。」
あたりを見渡す望海。
「フフフ。ねえ、みんなで笑うといいの。」
「笑うといいの?」
「うん。いっつも笑ってたら、お父さん、
 何かな〜?楽しそうだな〜。お父さんも交ぜて!
 って言ってくるの!」
「えーーーっ!」
「だからお母さん泣かないよ。」
「望海も泣かないよ!」

遺影にコップ一杯の水を供える小春。
「信さん、あのね・・・。
 見てて。私絶対この子達を幸せにしてみせるから。」
小春はそう誓い涙を拭う。

玄関には小春の靴、望海と陸の小さな靴、そして信の大きな登山靴。

2010年夏、望海 4歳 陸 1歳。

小春は、夫の信を不慮の事故で亡くし、
二人の子供・望海(鈴木梨央)と陸(橋來)を抱えるシングルマザー。

駅の階段、ベビーカーを抱えて階段を上る小春。
そのあとを必死についていく望海。

電車の中、片手で陸を抱え、反対の手には折りたたんだベビーカー。
陸がなくと周りの人々は顔をしかめる。

陸が泣き止まずに次の駅で降りると、望海は陸の足を叩く。
「望海、何で陸を叩くの?」
「だって泣くんだもん!陸わからないんだよ!
 人のいるとこで泣くのは迷惑なんだよ。」
「・・・あのね、望海。キリンの鳴き声しってる?
 キリンの鳴き声はね、モーっていうの。」
「牛と同じ!」
「鳴きマネするからどっちか当ててね。」
「うん!」
「モ〜!」
「キリン!」
「牛でした〜。じゃあ次。モ〜!」
「キリン?」
「牛でしたー!じゃあ次。モ〜〜!」
「キリン!!」
「牛でした!じゃあ次ね、行くよ。
 モ〜。」
「アハハハハ、全部牛だ!」
「フフフ。バレたか!フフフ。」

小春は望海と陸を保育園に預け、仕事に向かう。
ガソリンスタンド、クリーニング。
仕事を掛け持ちして必死で働くものの家計は苦しく、生活は困窮する。

休憩中本を読んでいると、同じ職場の蒲田由季が声を掛ける。
「青柳さんって、」
「はい?」
「え、あ、あおやぎさんですよね?
 何であおやなぎさんって呼ばれて返事したんすか?」
「すいません。」
「いやいや、何で謝るんすか?
 まあいいか。
 青柳さんも一人で子育てしている人でしょ?
 うちもっす。
 夜、割りと賑やかめなパーティーあるんすけど、医者とかいて、歯医者とか。
 青柳さんも一緒にどうっすか?」
「ああ、託児所遠いんで。保育園も延長できないとこで。」
「そこいくらっすか?助成金抜いて。」
「保育園が、3万8,000円で、託児所が4万。あ、今月から上がって4万6,000円、です。」
「青柳さんって、面白い人っすね。なんか親近感持てるっていうか。
 ここ、(デオドラントスプレーをシュッ!)いい空気、発生してますよね?」
「・・・」
「え?してません?」
「はい。あ、してますね。」
「フフフ。」

帰りの電車の中、望海は小春がガソリンスタンドから貰ったいらない紙の裏に
お絵かき。
「望海、またお絵かき上手になったね。」
「絵っていうか、設定が難しいんだよ。」
「設定?」
「あのね、犬と猫はお話しできる?」
「・・・お母さんは出来ると思うな。見たことあるし。」
「ハトとサルは?」
「ハトとサルか〜。・・・挨拶とか、トイレどこですか?とか、」
「ハトとアルパカは?」
「どうかな〜。アルパカ何考えてるか分かんなしなぁ。」
「アルパカとオバマは?」
「オバマ?オバマ大統領は人間だからな〜。」

スーパー、望海と楽しくおしゃべりしながら、小春は梨に目を留め・・・。

青柳家
「お母さん。望海のひまわりの絵の洋服あるでしょ。」
「もうご飯できるから片付けて。」
「ひまわりのに、シミがあるでしょ?
 ミクちゃんのお姉ちゃんのカレーのシミなの。」
「片付け済んだ?ほら、片付けてって。ほれ。」
「望海でしょ。陸でしょ。お母さんでしょ。」
「・・・お母さん何してるの?」
「望海とお話ししてるとこだよ。」
小春の姿は後ろ姿。
「・・・そっか。お母さん用事しながらいつも、背中向けてお話してるもんね。」
「いただきます!」
「いただきます!
 ひまわりのシミって?」
「ひまわりのお洋服はミクちゃんのお姉ちゃんのなの。
 ミクちゃんいらないから、リサイクルショップに売ったの!」
「・・・アハハ。」

2人が寝た後、小春はヒマワリの洋服のシミのところに可愛いリボンをつける。

ある朝、駅まで到着した小春は、陸が熱っぽいことに気づく。

その日、連絡なく遅刻したのが3度目だった小春はガソリンスタンドのバイトを
クビになってしまった。

その日、小春は望海と一緒にお稲荷さんを作る。
壁には、望海が書いた、家族3人の絵。お母さんは正面を向いて笑顔!

夏祭り
「これなーに?」
「それ、りんご飴だよ。りんご飴っていうの。」
「お面!」
「お面!フフフ。」
「トトちゃーん!」
「あ!望海ちゃん!」
保育園のお友達はみんな浴衣姿。
「望海ちゃん、何か買った?」
「買ってない。」
「え〜?」
「これ、貸してあげる。」

ベンチでお稲荷さんを食べる2人。陸はぐっすり眠っている。
「奥様、私いなり寿司は、世界一おいしい食べ物と思いますわ。」
「奇遇ですわね〜。私もそう思いますわ。」
「王様の食べ物ですわね!」
「そうですわね!いただきましょうか。」
「はい!」

その頃、栞(二階堂ふみ)は、写真館に飾ってある家族の写真
(信、妊娠中の小春、着物姿の望海)を見つめていて・・・。

2011年夏 望海 5歳 陸 2歳

「子供同士のことなので、私もね、わざわざお呼び出ししてまで
 こんなこと言いたくないんですけど。」と保育士。
「すいません。よく言って聞かせます。」

駅のホーム
「悪くないもん!よしくんが順番飛ばしたんだもん!
 わざとだもん!」と望海。
「ちょっと黙ってて!」
「望海悪くないもん!」
「もう保育園行けないんだよ?
 お母さんお仕事できなかったらご飯食べれなくなるんだよ!」
「・・・」
「・・・ごめん・・ごめん。ごめんね。」

若者が陸のベビーカーにぶつかり、ベビーカーが階段を落ちていく。
「あ!!」
慌てて追う小春。
ベビーカーに陸の姿はなく、陸は階段の上で笑っていた。
小春は両手で顔を覆い泣き出す。

アパート
「今月で更新ですから、1ヶ月分お願いします。」と大家。
「あ・・・半額ずつとかじゃダメですか?
 あ、ゴミの掃除とかするんで。」
「・・・」

小春は信の形見の山の本を古本屋に持っていく。

由季の子供たちと望海、陸、一緒に遊ぶ姿を見つめる小春。
「話しかけるようにはしてるんだけど。」
「男の子は言葉遅いっすよ。うちもまあまあ遅かったし。
 バイトってどうあんりました?」
「今居酒屋が決まりそうで。」
「夜っすか?」
「ランチタイム。週1で夜も入れるなら雇っていいって条件で。
 ・・・週1だけなら、託児所預けたりとかできるし。」
「友達にスナックで働いてるコがいて、真面目な子なんすけど、
 子供が起きないように、夜出る時睡眠薬飲ませてるんです。」
「・・・」
「ああ、真面目ってウチラには毒なんだなぁって思いました。」
「・・・」
「結局シングルマザーが並の生活手に入れるには、2つに1つしかないんすよ。
 風俗か・・・再婚。」
「・・・」

居酒屋のバイトの前、麦茶をご飯にかけて掻きこむ小春。
望海は、小春が陸にスプーンでご飯を食べさせているのを見るとヤキモチを焼き、
ホットケーキが食べたいと駄々をこねる。

夜、居酒屋のバイトを終えて急いで帰ると、陸の泣き声。
部屋はホットケーキミックスの粉が散乱。
「陸!望海どこに行ったの!?」

望海がアパートの住人と戻ってきた。
「子供は犬や猫じゃないのよ。」
「・・・すいません。」
「おかあさん!」
小春は望海と陸を抱きしめ・・・。

追い詰められた小春が生活保護申請をするために福祉事務所を訪ねる。
「収入がある状態ですので、申請は難しいですね。」と砂川。
「家に子供を残して働きに出てるんです!」
「託児所は?」
「今の仕事の時給が900円で、託児所の1時間の料金が800円なんです。
 全額じゃなくて構いません。家賃の更新分と電気料金だけでも
 払う分だけの・・・。貸していただくだけでも・・・。」
「ご主人は、どうしてお亡くなりになりました?」と松谷。
「・・・」
「事情が分かりませんと判断しかねますから。」
「・・・駅の・・・駅で、電車に・・・。」
「・・・ああ。
 ご両親からの、援助は?」
「父は死にました。母はもう、20年近く会っていません。」
「今年は、大変悲惨な出来事がありましてたくさんの方が苦労されています。
 まあ一方で生活保護でパチンコなどをされる方も。」
「してません!」
「いえ、そういう状況を、説明しているんです。
 年金も生活保護も、いわば子どもたちの未来の財布から、抜き取っているようなもので・・・。」
「・・・」

2012年夏 望海 6歳 陸 3歳

2人は近くの店でカップ麺を1つ購入。

その帰り道、望海は写真屋の前で信の絵を描いている栞に声をかける。
「お父さんなの。
 お母さんでしょ。望海でしょ。
 陸はまだ、お母さんのお腹の中にいるの。」
「・・・」
望海が写真の子だと気づいた栞は慌ててその場を立ち去った。
望海は栞が落としていった一枚の絵を拾う。
「リンゴかなぁ。」
それは、梨の絵だった。

役所
「今の状況であれば、生活保護の対象になり得ます。」
「はい。」
「ただひとつ問題がありまして。
 3親等以内のご親族がいらっしゃる場合、申請が厳しくなります。」
「親族はいません。」
「あなたの実母である植杉紗千さん宛てに、あなたの生活を援助できるかどうかを
 問う、扶養紹介状をお送りしました。」
「その人はもう、」
「植杉紗千さんは、援助の意思を示されました。
 よって、生活保護の申請は、受理されませんでした。」
「・・・」
「これ、お返ししておきます。どうもご苦労様でした。」

「あの!」砂川が小春を呼び止める。
「・・・」
「あなたとお母さんの間に、どんな事情があるのか分かりませんが・・・」
「すいません。お金貸していただけませんか?」
「・・・そういうことは。」
「5,000円でも、3,000円でもいいんです。」
「無理です。」
「500円でもいいんです。」
「500円・・・。」
「すいません。」
小春は砂川から500円受け取ろうとするが、落としてしまう。
「わざと落としたんじゃないんです。」
「ありがとうございます。」
立ち上がろうとした小春はそのまま倒れてしまい・・・。

病院
「藍子。」砂川が医師を呼び止める。
「貧血だと思うけど。」
小春が診察室から出てきた。
「血液検査に回しましたから。追って御連絡します。」

「・・・妻なんです。」砂川が小春に説明する。

「今貧血で来た人って旦那さんの知り合い?」と澤村。
「お子さんいるっておっしゃってましたけど。」
「ふーーーん。」

居酒屋のバイトを終えて帰宅すると、望海と陸の様子が変だ。
「陸・・・動かないの。呼んでも動かないの。」
「陸?お熱かな。お腹痛いの?どうしたの?起きなさい!
 起きて!陸!陸!」
「いいよ。」
望生の合図で陸が起き上がる。
「お母さん騙された〜!騙された!騙された!騙された!
 びっくりした?」
「・・・」泣き出す小春。
「お母さんごめんなさい・・」
「お母さん・・」
「お母さんごめんなさい。ごめんなさいごめんなさい!
 お母さんなかないで。お父さん来なくなるよ!」
「・・・お父さんはもういないの。」
「え?」
「もういないの・・・。」
「もう会えないの?」
「・・・」
「会えないの・・・」
望生は父の登山靴を押入れにしまうのだった。

小春の父は亡くなり、20年前に小春と父を残して好きな男(健太郎:小林薫)の
もとへ走った母の紗千(田中裕子)とは絶縁状態だった。
しかし、福祉事務所が紗千に問い合わせたところ、
紗千は小春への援助の意志を示しているという。
自分を捨てた母がそんなことを言うはずがない、と信じられない小春。

そして、小春は20年ぶりに紗千と会う決心をする…。

都電の走る街、鬼子母神堂の横を通り、3人はテーラーウエスギへ。
店の中では植杉健太郎がいびきをかいていた。
「うん?ん〜。何?あ、いらっしゃいませ。
 ・・・ん?小春ちゃんか?」

「そろそろだと思うんだけどねぇ、さっちゃん。
 あ、おかあさん、池袋のホテル、ウエストパークホテル、分かる?働いてて。
 ほら、店はこの体でしょ。俺は今、ヒモみたいなもんで。
 お母さんに、食わせてもらってま〜す。」
「・・・」
「何年ぶりだ・・・でしたっけ?」
「2、」
「2年!」
「20年。」
「20年!そりゃそうだ。2年ってことはない。
 どこでしたっけ?いつでしたっけ?最後。」
「・・・」
「いやまあ、そりゃいいか。」
「うちの父があなたのことを・・・」
「ああ!ああ!あったねあったあった!ボウリングのピンで、こう!」
「ボウリングのピンの形をした、です。」
「ブランデーだ。そうだ!本物だったら、俺死んでたね。フフフ。
 はぁ・・・。ちょっと、お父さんに似てるね。うん、似てる。」
「・・・」
「彼が、家に来てくれたのも夏だったか。
 二人目生まれるって言ってたから、この子か。
 彼・・・彼、名前何でしたっけ?」
「・・・信。」
「信君ね。彼、結婚の報告に来てくれて。
 小春ちゃんと、お義母さんの仲、取り持つんだって言ってましたよ。」
「・・・」
ドアのきしむ音。
「風かな?
 さっちゃんがね、心のなかじゃ、期待あったと思うんですよ。
 会うのをね。
 ほらだから、あの時、彼に、お土産持たせてあげて、あの・・ほら、あれ。
 梨!」
「・・・」
「信君持って帰ったでしょ?覚えてない?
 あれ、さっちゃんが山盛りの梨、持たせてあげて。
 小春ちゃんが、梨好きなの覚えてたからですよ。
 あの人だって、そういうとこあるんですよ。
 だからねぇ。」
ドアのきしむ音。
「風強いな。いやいや、帰ってきた。」
「・・・」

「あ〜暑な〜。どこ行っても暑い。
 あら?あららら!どこのちびっ子が遊びに来たのかな。」と紗千。
「さっちゃ。小春ちゃんの来!」と健太郎。
「ん?」
「小春ちゃんだよ。小春ちゃん!」
「・・・」

「あの子たち、結構食べる?」
「・・・」
テーブルの上には漫画本。
「娘が買ってきたのよ。結構面白いのよね。
 どうぞ。
 えっとおろし金はと。」
「えっと・・・渋谷の福祉事務所から生活保護の扶養紹介っていうのが
 届いたと思うんですけど。手違いなんです。
 かえって生活保護の受給が、ちゃん・・ちゃんとというか、
 いろいろあるので、援助の話は取り下げていただきたい感じで。」
「・・・はい。」
「用事?用事っていうか今日伺ったのはそれだけなんで。」
「・・・はい。」
「はい。」
「あ、いや、あ、そうめん食べてって。」
「・・・」

包丁でネギを刻む音。
「あの子元気?あれ、旦那さん。」
「・・・」
「信君だっけ?」
「・・・今は一緒にいません。」
「あ・・・離婚?」
「・・・」
「それで、母子家庭で、生活保護ってこと?大変ね。」
「・・・」
「・・・ま、いろいろあるでしょうね。」
「・・・」

子どもたちはテレビのアンパンマンに夢中。
「フフフ。ふたりともテレビ見てて、バタコさんに夢中で。
 アンパンマンじゃなくて、バタコさんに。フフフ。」
植杉がうれしそうに報告し、そうめんを子どもたちに持っていく。

「よいしょ。
 あ、そうだ。あれがあった。
 残りものですけど。」
紗千がおいなりさんを出す。
「・・・」
「何?腐ってないわよ。朝作ったから。」
「・・・」
「・・・」
「何がですか?」
「え?」
「さっき何か・・・大変って。大変とか、いろいろあるでしょうね、とか。
 何がですか?」
「何かおかしいかしら?
 母子家庭でしょ?大変でしょ?」
「別に、母親として当然のことしてるだけで、
 大変とかいろいろとかいうの、別にないです。」
「・・・そう。」
「母親だから。お母さんだから。
 子供大事だから。
 負担とか思ったこととかありません。」
「・・・そう。」
「・・・子供育てるのってホントは難しいことじゃなくて、
 じゃないんだけど難しいのはそれを一人ですることで。
 お風呂もご飯も電車もみんな。
 2人だったら簡単にできることが一人だと急に難しくなる。
 ・・・なりますし。
 ただご飯作ったりただ、電車で3つ先の駅に行くのが、
 一人だと難しくなります。
 子供育てるのってホントは、大変なことでもないのに、
 一人だとどうしてか・・・。」
雨の音。
「子供連れて街に出て、一番耳にするのが、舌打ちと咳払い。
 毎日聞いているとだんだん何か、子供連れてるのが悪いことに思えて来る。
 子供って邪魔なんだなぁ、子供って迷惑なんだなぁ。
 わかんないですけど。」
「・・・」
「お金なくなって、私昔っからお寿司はいなり寿司が好きで、
 パンはぶどうパンが好きで。何でか。
 安上がりだなぁって思ってたんですけど。
 今は子供にそれすら食べさせられない、満足に。
 お腹すいたって言わせてる。
 何よりあぁーって思うのは、子供残して出かけることです。
 仕事している間想像して、私がいない間に何かに巻き込まれてたらどうしようって、
 怖いこと、怖いこと想像して・・・。
 帰って寝顔見てもまだ全然安心とかできなくて。
 お金がないって人に言うと、母の愛があれば大丈夫って言われます。
 そうか・・・そうかな・・・。
 お金で買えないしあわせあるっていうけど、そういうこという人はお金持ってて。
 私はとにかくまずお金で買える幸せが欲しい。
 お金じゃ幸せ買えないかもしれないけど、お金あったら不幸になることないしって。
 そういう、そういうふうに思っていること、彼に聞こえてるかな?
 聞こえてたら怒ってるだろうな。だって、言ってたし。
 父親の仕事は、子供に希望を伝えることだと思う。
 母親の仕事は、子供に愛を伝えることだと思うって。
 だけど私・・・母親から愛情なんてもらってなかったから。」
「・・・」
「男の人は母性っていうけど、そんなの無理。
 だって母性・・・そんなのホントにほしがってるのは女のほうだもん。
 お母さんの愛が欲しくて欲しくてたまらないのは女のほうだもん。
 そういう、そういうのを、大変とか、いろいろとか、
 それちょっと違うんじゃないかなって。」
「・・・私にそういうこと言われても・・・。」
「・・・夫は、信さんは死にました。」
「・・・」
「3年前・・・駅で。線路に・・・電車で。」
「・・・」
「転がった梨拾おうとして線路に落ちたんです。」

子どもたちと話す植杉。
「でね、1129で、イイフク。
 覚えた?」
「覚えた!」
「おじさんね、大概暇だから、電話しておいで。」
「お仕事しないの?」
「うーーん。おじさん、怠け者ですからね〜!」
「おじさん、ナマケモノなの!?」

「今も信さんに愛されてるって思っています。
 ・・・愛してるだけじゃない。愛されてるって思います、今も。
 ・・・だけど同じだけ思います。
 いてくれたらなぁ・・・。信さんいてくれたらなぁ。
 何で梨なんか・・何で拾おうとしたんだろ。何で?ってずっと思ってて・・・。
 思ってたんだけど・・・今日さっきやっと分かって。
 そうだったんですか?」
「・・・」
「・・・何なんだろうな。」
紗千は黙々とそうめんを食べ始める。
そして食べ終えると、巾着からお札を鷲掴み、広告に包み、小春に渡そうとする。
「対してないし、何も買えないだろうけど・・・。持ってって!持ってって!」
「いらない!いらない!!」
「・・・」

遠き山に日は落ちて♪

「まどいせん。」と望海。
「いざや 楽しき まどいせん♪ か。」と植杉。
「まどいせんって何?」
「うん?まどいせんというのはですね・・・
 こう、こういう字。
 輪になって、家族みんなが語り合うっていうか。
 ま、家族団欒のことですね。」
「団欒?」
「うーん・・家族、仲良しのことかな。」

呆然と、小春を見つめる紗千。
笑みを浮かべながらリュックサックを背負う小春。

3人が帰っていく。

「あなたでしょ。生活保護の書類だかなんだか。」
「拾の母親なんだし、昔のことあるんだから。」
「・・・私捨てたんじゃないから。あの子が私を捨てたのよ。」
「・・・笑って帰ってきたんだけどな〜。」
「怒って帰りたくなかったのよ。許したくないから笑って帰ったのよ。」

「おかえり。」
「ただいま〜。」栞が帰宅。
「おかえり。」
「お腹すいた〜。」

「トトロ トトロ♪」
「陸いつトトロじゃないって分かるのかなぁ。」
「ねえ。陸もおそうめん食べてた?」
「食べてたよ。」
「晩御飯食べられるかな〜。」
「晩御飯バナナがいいよ。」
「バナナはご飯じゃありませんよ。」
「バナナ栄養あるよ。」
「あるけどねぇ・・・。」
「あとさ、持つトコあるよ。」
「持つトコあるのは関係ないでしょ。」
「あとね、バナナはセットになってるでしょ。」
「フフフ。セットになってるね。望海はおもしろいね。」
「面白いかな。」
「面白いよ。望海とお話しするの楽しい。おかあさんすっごく楽しい。」
「いいよお母さん。お話ししよ。」
「ありがと。
 ・・・」
「お母さん?どうしたの?お腹痛いの?お熱あるの?」
「・・・何でもない。何でもないよ。」泣き出す小春。
「お母さん。お母さんどうしたの?」
「・・・お父さんに会いたいの。
 信さんに会いたいの・・・。」
「お母さん・・・。お父さんいるよ。
 お父さんいるよ!
 お父さん!!お父さん来て!!ねえお父さん!!ねえお父さん来てよ!!
 すぐ来てよ〜!!
 お父さんお願いだから来てよ〜!
 お父さん!!お願い、すぐ来て!会いたいよーー!!」
号泣する望海を小春は抱きしめ・・・。

青柳家
小春は信の遺影にお水を備えると、そこにあるカメラを手に取り・・・。

カメラは4万7千円で売れた。

コンビニで公共料金を支払っていると、小春が陸からアメを取り上げようとケンカに。
「陸ダメだよ!お店のものでしょ!」
「すみません・・・。」
子供が想像しいことを詫びる小春。するとレジで並んでいた老人が
「いいんだよ!子供がなくのは当たり前だよ!」
と言ってくれた。

3人はしりとりしながら笑顔で帰っていく。


2010年『Mother』のスタッフによる作品。期待通りでした!

小春と信の出会いのシーンからスタート。
でもこれは、夜、望生に父のことを語る小春の回想のシーンでした。
小春と信のシーン。小春と望生のシーンが交互に映し出されます。

最愛の夫を事故で亡くしてしまった小春。
「お母さんもお父さん大好き!その気持は、死なないの。」
「好きは死なないの。
 お父さんは、ちゃーんといるの。」
「うん。いっつも笑ってたら、お父さん、
 何かな〜?楽しそうだな〜。お父さんも交ぜて!
 って言ってくるの!」
「だからお母さん泣かないよ。」
子供にそう話しながら、この子たちは私が守るのだと自分に言い聞かせていたのでしょう。
小春の背中には夫の形見の登山用のリュックサック。
大切にしてきた信の本を手放し、カメラを手放し・・・。
小春の気持ちを想像すると泣けてくる。

リサイクルショップで買った洋服が、同じ幼稚園のお友達のお下がりだった。
子供は気づいたら何でも言ってしまうし、
でも望海ちゃんがそのことに傷ついたりしていなくて、良かった。


母と、母の再婚相手・植杉と20年ぶりの再会。
20年前、母は父や家族を捨て植杉の元に。
その時、ボウリングのピン(=ブランデー)で殴るほどの修羅場を
小春は見ていた。

小春の旧姓は高村。ということは、あのテーラーは小春の実家ではないんだ。
でも、小春と信が出会ったのは都電の駅。
実家も近くなのかな?それとも、母の様子を見に行った帰りだったのか?

梨は小春の好物。
おいなりさんは、母の味。
ミルクキャラメルは信の思い出。

高橋一生さん演じる澤村医師の「ふーーーん」が気になった。
小春が倒れたのって、もしや何か病気が?
と思ったら、予告に再検査の文字。治る病気であってほしい!


Wikipediaによると、
『Woman』題字ロゴの〈W〉は『Mother』の題字の頭文字である〈M〉をそのまま反転させたものとなっている。

http://www.ntv.co.jp/mother/
http://www.ntv.co.jp/woman2013/

本当だ!

Womanのキャッチコピーは、「わたしには、命をかけて守る命がある。」
Motherのキャッチコピーは、「母性は女性を狂わせる」
Womanには命が2回、Motherは性の字が2回使われているのもこだわりか?

好き嫌いの分かれるドラマかもしれないけど私は初回からぐぐっと引きこまれました。
心に残る作品となりそうです。



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第1話
『遠き山に日は落ちて』
ミルクキャラメル:信の思い出
梨:小春の好物
おいなりさん:母の味
お絵かき:望海と栞が得意

「子供の時に、人は死んだらどなるのかな?どこに行くのかな?って
 考えだしたら、止まらなくなったことがあって。
 大人に聞いたら、星になったんだって言うの。
 星になるわけないって思って、人間が。
 で結局考え至ったのは、人は、死んだら、消えてなくなるんだって。」

「父親の仕事は、子供に希望を伝えることだと思う。
 母親の仕事は、子供に愛を伝えることだと思うって。」



【キャスト】
青柳 小春(旧姓・高村)〈27〉- 満島ひかり
青柳 望海〈5 → 6〉- 鈴木梨央(4歳:須田理央)
青柳 陸〈2 → 3- 橋來(1歳:田中レイ)
青柳 信〈没31〉- 小栗旬

植杉 紗千〈56〉- 田中裕子
植杉 健太郎〈58〉- 小林薫
植杉 栞〈19〉- 二階堂ふみ

蒲田 由季〈26〉- 臼田あさ美
蒲田 直人〈9〉- 巨勢竜也
蒲田 将人〈7〉- 高田愛斗

砂川 藍子〈25〉- 谷村美月
砂川 良祐〈26〉- 三浦貴大
砂川 舜祐 - 庵原匠悟

澤村 友吾〈35〉- 高橋一生
松谷 高生〈51〉- 井之上隆志

【スタッフ】
脚 本
  坂元裕二
音 楽
  三宅一徳
演 出
 水田伸生
 相沢淳
チーフプロデューサー
 大平太
プロデューサー
 次屋尚
 千葉行利
 大塚英治
制作協力
 ケイファクトリー
製作著作
 日本テレビ


満島ひかりさんの主な出演作品



田中裕子さんの主な出演作品






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Excerpt: 辛過ぎる・・・ヽ(´Д`;)ノうう〜 夫を事故で亡くし、仕事を掛け持ちして必死で働くものの、家計は苦しいし、 保育料は高いし、子どもが急に発熱したところで、代わりに面倒を見てくれる人は いないし、深..
Weblog: あるがまま・・・
Tracked: 2013-07-08 18:39
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