2013年10月20日

リーガルハイ 2

『逆ギレ天才起業家〜"つぶやいたら"名誉毀損?』

「君が持ち込んだ底無し沼のような案件のせいで敗北ともいえる判決を受け
 しかもその復帰戦のめども立たない危機的状況において必死に読んでる
 その書物はまさか漫画じゃないだろうね。」と古美門。
「はい。」と服部。
「昼すぎまで寝てる人に言われたくありませんし漫画を読むくらいの息抜きは
 認められてしかるべきです。」と黛。
「労働の評価は時間ではなく成果であり成果を挙げていないでくのぼうには息抜きなど
 認められない。
 服部さん、寝覚めにバカと不愉快な会話をしてしまったのでシャワーで洗い流してきます。」
「ごゆっくり。」

「あの人はなぜ私に対する罵詈雑言のバリエーションが尽きないんでしょう。」
「なぜでしょう。ハハ。おお!少女漫画を愛読されるとは、黛先生もやはり、
 乙女ですな。ハハハ。」
「フフ。 ちょっとはまってるのがあるんです。」
「ほう。」
「若くして成功した実業家が、金に溺れて身を滅ぼしていく話で。」
「少女漫画でしょ。思いの外、硬派な作品なんですな。」
「主人公が金もうけばっかりの最悪なやつで、そいつが落ちぶれていくさまが
 も〜〜〜、痛快なんですよ。」
「ハハ。」
「フフ。…わ〜!嘘!」
「どうしました?」
「最終回だ。打ち切りになった!何で?」

負けたままでは終われない。
古美門研介(堺雅人)は黛真知子(新垣結衣)とともに安藤貴和(小雪)を訪ねる。
「あなたたちは首と言ったはずよ。私は判決を受け入れたの。」と貴和。
「あなたの意思じゃないでしょ。吉永慶子と名乗る人物に何か言われたんじゃないですか?」と黛。
「全部私の意思よ。」
「死刑が確定しちゃうんですよ!
 仮にあなたが犯人だとしても極刑はおかしいです。
 世論にあおられて必要以上に重い刑が…。貴和さん!」
「いいトリートメント差し入れてくんない?ここの駄目。
 あと化粧水とフレグランスも。」
「安藤貴和、裁判はやる。死にたいなら終わってから個人的に死んでくれ。」と古美門。
「やったってどうせ同じ判決よ。」
「最後に勝つのは私だ。」
「…女を満足させたこともないくせに。」
「さっ…させてるさ。させ過ぎちゃって困ってるぐらいさ。すごいんだから私は。」
「顔を見れば分かるわ。最初だけ威勢がよくて、相手に注文付けるわりには…
 勝手にさっさと終わっちゃうタイプ、じゃない?」
「ちっ… 違うし! 全然違うし!」
「昼ドラ始まる時間だわ。」
「貴和さん!」
「全然 違うし。全然 終わんないタイプだし。」

事務所に戻った古美門と黛は服部(里見浩太朗)に動画サイトを見せられる。
それは、若くして会社を創設、一流会社を次々と買収し“時代が生んだ天才”と謳われた
鮎川光(佐藤隆太)のインタビュー番組。

「小学2年生全日本そろばん大会優勝、中学1年全国数学大会優勝。」

「あの漫画のモデルって鮎川 光だったんだ。」と黛。
「まさか、気付いていらっしゃらなかったんですか?」と服部。

「31歳、インサイダー取引および25億円の所得隠しの容疑で逮捕。
 2年5カ月実刑判決を受ける。
 ということで、もう皆さんお分かりですね。
 今日のゲスト、時代が生んだ天才鮎川光さんで〜す!
 おつとめご苦労さまでした。」と司会者。
「ああどうも。」
「あれ、ちょっと痩せられました?」
「ああ、皆さんにもお勧めですよ。刑務所ダイエット。」
「さて、鮎川さん。今後のご予定は?」
「新しいことをね、ゼロから始めます。」
「どのような事業を?」
「いや、事業ではありません。取りあえずね、裁判。」
「裁判?」
「訴訟を起こすんですよ。
 東都新聞 太陽新聞、週刊現実、今のところ35件。まだまだ増えると思う。
 全部、僕に対する名誉毀損です。」

「面白い。 時代の寵児ともてはやされたにもかかわらず逮捕された瞬間
 ひどいバッシングに遭ったからな。」と古美門。
「すでにあちらこちらの法律事務所に、依頼が飛び交っておりまして。」と服部。
「天才が逆ギレすると怖いですね。」と黛。
「怖いどころかありがたい。さあ出掛けるぞ。」
「どこに?」
「鮎川光に会いにだよ。
 やつの代理人になれば1本のさおでタイやヒラメやエビや鯨がわんさか釣れる。
 大もうけだ。」

鮎川のマンション
「僕の代理人に?」
「ええ。普段はこのような売り込みはしないのですがかねがね、鮎川さんには
 共感しておりまして、お力になって差し上げても構わないと思いました。」と古美門。
「僕も普段は無視するんだけど、古美門先生には興味があったんで。」

「確かにお二人は気が合いそうですよ。」と黛。

「でも先生はすごい高いって聞いたけど。今の僕はすっからかんだよ。」
「は〜、すっからかんねえ。」マンションを見渡す黛。
「成功報酬で構いません。それに鮎川さん、私はあなたを応援したいんです。
 この国の報道の在り方は問題です。
 表現の自由などというたわ言を盾に、言いっ放しで責任を取らず、
 いいときは持ち上げ、落ちると一斉にたたく。
 有名人をたたけば庶民が喜ぶと思ってるんです。
 有名人もまた、一人の庶民であるはずなのに。」
「そのとおり!」
「マスコミだけではありません。今や誰も彼もが批評家気取り。
 一般人だから何を言っても許されると思っている。35件なんて甘いですよ。
 この際ネットに勝手なことを書き込んでる一般人もつるし上げるべきです。」
「確かに。」
「まだあります。フィクションの名の下に、明らかにあなたをモデルにした人物を登場させ
 笑いものにしているくそドラマやへぼ小説が山ほどある。
 どいつもこいつも根こそぎ訴えようじゃありませんか!」
「いいねえ!!」
「私とあなたが組めば最強だ!共に金を稼ぎましょう!」
「お断りだ!!」
「え〜!」
「…弁護士は雇わないんだ。」
「雇わないというと?」と黛。
「全部自分でやることにしたの。」
「本人訴訟ということですか?」
「それはどうでしょう。付け焼き刃の知識ではロには太刀打ちできません。
 弁護士を雇うべきです。」と古美門。
「これまでいろんな弁護士に会ってきて分かっちゃったんだよね〜。
 この人たちは、僕よりもバカだって。
 何で僕より頭が悪い人に金払って頼まなきゃなんないの?
 あなただって、無敗記録とか言ってたわりに、最近負けたそうじゃない。」
「鮎川さ〜ん。」
「それに古美門先生あなたと一緒にされるのも心外だ。
 僕は金もうけをしたいと思ったことなど一度もないよ。
 あなたとは違うんだ!」
「ならばなぜわれわれと会うことにした?」
「敵情視察。先生とは、敵として法廷で戦いたいんで。」
「…」
「では次の予定があるからこの辺で。
 あっ『一般人やフィクションも訴える』、それ頂き。」

その後、漫画家の玉川たま(谷村美月)が鮎川に訴えられる。

挑発に乗ることを促すかのように古美門法律事務所に、鮎川に訴えられたブロガーが
弁護依頼に来た。
「俺みたいなブロガーを訴えるなんかどうかしてんだよ。」と猪野
「イノセントボーイさん、ご職業は?」と黛。
「だからブロガー!」
「そのブログで収入を得てるわけですか?」
「まあゆくゆくはそうしたいけど、今は両親の年金でね。」
「ブログに謝罪文の掲載。該当箇所の削除。それに損害賠償1,000万円。」
「俺は、このモラルが低下した現代社会に、ブログで問題提起してるだけだ!
 裁判で徹底的に戦うぞ!
 ほら!やるぞ!できてんだ用意は。」
「君に一任するよ。」と古美門。
「先生が鮎川を変にたきつけたからこんなことになってるんですよ。」

そこに、『NEXUS』の羽生晴樹(岡田将生)と本田ジェーン(黒木華)が現れた。
「どうにか事務所を立ち上げたので、ご挨拶がてら。」
「フン。」
「あの、もしかして本田検事ですか?」と黛。
「醍醐の所にいた眼鏡検事か!」と古美門。
「ずいぶん雰囲気変わりましたね。」
「私、鳥取の山奥のヒッピー村で生まれたんだよね。
 晴樹のおかげで、本当の自分取り戻せたわ。ラブ&ピース!」
「…予想外のきついキャラだ。で、もう1人が三木の所にいたがらくたか。
 前途多難だね君の事務所は。」
「鮎川裁判で僕たちが担当している案件の1つです。自分をやゆしている作品だと。」
「おお『破壊の天才』。」と服部。
「羽生君と本田さんが代理人だったんですか?」と黛。
「何だこりゃ。」と古美門。
「少年時代から天才といわれた主人公が、成功を収めて金に溺れ、
 やがて挫折していくさまが実に痛快に描かれた傑作ですよ。」と黛。
「君はチェリーボーイの相手をしていろ。」
「イノセントボーイです。」
「鮎川光は、うちの磯貝先生はじめ、名だたる弁護士をばったばったと倒しています。」と羽生。
「中途半端な和解に応じる気配もない。」と本田。
「で?」
「古美門先生、共同弁護しませんか?」
「空耳だと思うのでもう一度言ってくれないか?」
「共同弁護です。」
「はい!はいはい!やります!やりま〜す!」と黛。
「ハウス!」と古美門。
「先生が一撃かましてくれたら、鮎川も和解を考えると思うんです。
 手に、手を取り合いましょう。」と羽生。
「こっちを手伝ってくれたら、うちはそちらのイノセントジジイを手伝いますよ。」と本田。
「イノセントボーイです。先生いい話じゃないですか。」
「断る!私は共同と名の付くものが全て嫌いだし、
 手に手を取ってパワーアップするのはパーマンが空を飛ぶときだけだ!」
「先生、こういうことは言いたくありませんが、この間の敗戦で事務所経営的にも
 ピンチなんじゃ…。」と羽生。
「愚かなことを言うな。あれは事故みたいなもんだ。
 わが事務所の実績は決して揺るぎはしない。ですよね?服部さん。」
「はい。あっいや、それが…クライアントがクモの子を散らすようにさささささっ…。」
「えっ?」
「無理もありませんね。負けないのが唯一の売りだったわけですから。
 負けちゃったらただの性格の悪いぼったくり野郎でしかありませ〜ん。」と黛。
「率直に申し上げますと、どんな仕事でも、引き受けていただければありがたいんです。」
「…」
「先生、今こそこういう案件をやった方がいいですよ。
 今までは絶対勝利にこだわるあまり、勝ち目の薄い訴訟は敬遠しがちでした。
 でも今はこだわる必要ありません。だってもう負けちゃったんですから。
 さらなる飛躍のチャンスと捉えて…。」
「羽生君、君は無自覚に人の神経を逆なでする傾向があるようだ。」
「So sorry.」
「私はまだ負けてないし負けそうな訴訟を敬遠したこともない。
 どんな訴訟も必ず勝ってきたんだ!」
「そうですよね。鮎川なんて目じゃないですよね。」
「鮎川なんてでこぴん1発でキャインキャインだ。」
「でこぴん1発で?」と本田。
「キャインキャインだ。」
「すっご〜い!」と本田。
「目に浮かぶようだ。」と羽生。
「キャインキャイン言わせてやろう!」と本田。
「カモ〜ン!イェ〜イ!」と羽生。
「We can…危な〜!!
 危うく羽生マジックにたらし込まれるところであった!
 さあさっさと帰りたまえ。」と古美門。
「仕方ない。では私が!」と黛。
「ゴーバックトゥ チェリージジイ!」
「お代わり いいですか?」と猪野。

法廷
「閉廷します。」

「さてと、次は…。
 んっ?ああ、君か。」と鮎川。

「何してるんですか?」黛が猪野に聞く。
『裁判ナウ。鮎川、意外と顔小さい』
「法廷でつぶやかないでください。」

「起立。」

「イノセントボーイさんのブログは、あくまでも個人的見解を書いているにすぎませんし
 閲覧者も内容に信ぴょう性を感じていないでしょう。
 なぜなら、ネットの情報は玉石混交であるということを理解しているからです。
 報道機関などによる名誉毀損とは性質が異なります。
 また、本ブログは非常〜に閲覧者が少なく、社会的影響があるとは思えません。」
「黛先生は法に関して勉強不足のようですね。
 ネット上の個人表現について平成22年の最高裁の決定を見ても分かるとおり
 ネットだから何を書いてもいいという時代はとっくに終わったんです!
 また先ほど閲覧者が非常〜に少ないとおっしゃっていましたが、
 毎日25人前後の閲覧者がいます。
 毎日25人を集めて私の悪口を言っている。
 今日は直接どうぞ。
 これが名誉毀損じゃなくて何なんでしょうか。
 今や誰も彼もが批評家気取り。
 一般人だから何を言っても許されると思っている。
 そのような風潮に歯止めをかける時期です。」と鮎川。

『うちの弁護士使えん』と猪野が投稿。

「では 閉廷します。」

漫画裁判 開廷
「起立。」

「僕は父の仕事の関係で、サウジアラビアに住んでいたんですが、
 サウジアラビアのことわざに、こういうのがあります。
 『暑いときは 日陰を見つけろ』」と羽生。
「どういう意味ですか?」と鮎川。
「僕にも分かりません。
 ただ、鮎川さんの怒りは見当違いじゃないかと思うんです。
 これは漫画です。創作物なんです。
 ノンフィクションだともうたっていません。読者もそれを承知で読んでいます。
 ここに描かれていることが、あなたの実話だとは誰も思っていません。
 争いからは何も生まれませんよ。
 歩み寄ろうじゃありませんか。」
 
「これは某サイトにある『破壊の天才』のレビューです。
 一部ご紹介します。
 鮎川光の本性を知ることができる一冊。
 鮎川がここまでひどいことをしていたとはよくリサーチしている。」と鮎川。
「一部の例外的な意見でしょう。」と本田。
「小学校の恩師がこの漫画を私の元に送ってきました。
 同封の手紙には、『自分がどこで道を誤ったか振り返れ』とありましたよ。」
「…」

たまのアパート
「謝罪するんですか?」と羽生。
「はい。作品も自主回収します。
 それで、賠償金の方はできるだけ少なくということにできないかと。」と担当者。
「玉川さんは、それでいいんですか?」
「もうどうでもいいっす。どうせ打ち切られた作品だし、
 これで私の漫画家生命終わったし、
 ヒットも出なかったし。潮時です。」
「玉川さん、あなただけがルーザーになっちゃ駄目だ。
 お互いが譲り合ってみんなでハッピーになれる落としどころを…。」

「ぬるい!そんな生ぬる〜いことを言っているからいいようにやられるんだ。」古美門登場!
「先生。」
「本田さんにここだと聞いたもので。
 玉川たま先生、『破壊の天才』は素晴らしい作品です。
 自主回収なんて絶対駄目です。一ファンとして、私が許しません。」と黛。
「私だって、回収なんてされたくない。だってあれは、私の勝負作だったんだもん!
 お金のためなら、何やってもいいと思ってる、最低のやつがたたきのめされる話を
 描きたかったんです。」
「そのテーマには共感しませんが、天才気取りが本物の天才にたたきのめされる物語なら
 ご覧にいれましょう。賠償金として用意された額を私に払うなら。」
「ていうか誰?」とたま。
「本物の天才です。」
「先生!」と羽生。
「この裁判私たちに任せてください。」と黛。
「君はブログバカ担当だがね。」と古美門。

古美門邸、ふくれっ面の黛。
「よしできた!」と猪野。
「なぜこっちなんだ…。」と黛。
「で、話って?」と猪野。
「あなたのケースを精査したけど、このまま裁判で戦っても勝ち目はないわ。
 あなたのブログはひど過ぎる。」と本田。
「負けを小さくする方向で進めましょう。」と黛。
「はっ?あり得ないっしょ!俺はね、世の中を少しでも良くしようと思って
 ブログで問題提起してんだよ!断固戦う!」
「戦ったら木っ端みじんに負けるって言ってるの!!」と本田。

法廷
「お〜待ってたよ!やっと出てきたね。」と鮎川。
「連日裁判を掛け持ってお疲れではありませんか?」と古美門。
「いやあ、楽しくて仕方ありません。特に今日は。」
「それはよかった。弱ってる相手をたたきのめしても達成感がありませんので。」

原告本人尋問
「少年時代から神童と呼ばれた主人公は、その才能を金もうけに使い巨万の富を得るが、
 人間的な心を失い、仲間を裏切り悪行の限りを尽くしそしてとうとう逮捕され身を滅ぼす。
 この物語のいったい何が問題なんでしょうか?」と古美門。
「だからそれは私がモデルだと…。」
「そのとおり!モデルはあなたです。」
「古美門先生?」と羽生。
「誰が見たってあなたですよ。みんなそう思って読んでいる。
 事実どのエピソードもあなたの実話とほぼ一致する。
 ノンフィクションと言ってもいいぐらいだ。」
「だから名誉毀損だと。」
「名誉毀損?まさか自分はこんな人間ではないとおっしゃりたいんじゃないでしょうね?
 あなたはこんな人間ですよ。
 この気持ち悪い表情も、この冷たい目つきも、このいやらしい笑い方だって
 あなたそのものじゃありませんか。」
「それこそが名誉毀損だろ!」
「幼少期よりちやほやされ周りを見下し才能を自慢したくてしかたがない。
 貧乏育ち故に金に溺れ女に溺れ調子こいて下手を打ってろう屋にぶち込まれたまぬけ。
 紛れもなくあなた自身じゃないか。
 この作品があなたの社会的評価をおとしめたと言いますが完全に間違いです。
 この作品が連載開始されたのは今から1年半前。あなたはどうしていましたか?」
「…服役していました。」
「そのとおり。あなたの社会的評価はもうとっくに地の底に落ちていたんです。
 この漫画を読むまでもなく誰もが知っていました。あなたがろくでなしだと。
 この作品は、当たり前の事実を当たり前に描いているだけです。
 だからヒットしなかったのかもしれませんね。」
「フィクションは一つもないと?」
「ありません。鮎川さん、あなたの名誉を毀損したのはこの作品ではない。
 あなた自身だ。
 そもそも、IT業界を席巻し、様々な規制を取り払い、
 表現と創作の自由を愛していたのはあなた自身のはずだ。
 自分が批判された途端規制主義者になりましたか?
 そのような行為こそ、あなたの評価を低下させていることになぜ気付かないんでしょう。
 表現の自由は民主主義の根幹を成すものです。
 不満があるなら言論統制され自由に物も言えない独裁国家へ亡命したまえ。
 さぞ住み心地がいいことでしょう。
 以上です。」

古美門邸
「さすがです。 ホントにでこぴん1発でキャインキャインだ!」と羽生。
「当然の結果過ぎて何の感慨もないけどね。」
「そっちは白熱してて楽しそうですね。」と黛。
「ニートのヘイトスピーカーはうまく片付けたのか?」
「…首になりました。」
「えっ?」

猪野のブログを見る一同。
『ねーちゃん弁護士2人が裁判を辞めろと言ってきたので即刻クビにした。
 日本の法曹界は腐ってる。
 俺は全国のブロガーを代表して鮎川と最後まで戦う。』

「裁判は自分でやるそうです。鮎川にできて俺にできないわけがないって。」
「素人 対 素人か。裁判官が気の毒だ。」と古美門。
「ねえ晴樹、まずいんじゃない?」と本田。
「んっ?」
「主人公は、鮎川だって認めちゃったんでしょ。全部事実だって。
 第27話との整合性はどうするの?」
「Oops… そうだった。」
「27話って確か…。」と黛。
「主人公鮒沢が、企業買収に躍起になって株の取りまとめに走る。
 孫請けの小さな町工場に目を付け社長と懇意になる。
 僕たちが経営者になったら末端の町工場を優遇します!って約束して
 まんまと株を手に入れるんですよ。ところが 買収に成功すると…。
 そんな約束しましたっけ?って真っ先に切り捨てる。」と本田。
「工場はあっけなく倒産。
 社長は失意のあまり自殺してしまう。ホントに ひどいやつだわ!」と黛。
「主人公の非情さを表す印象的なエピソードですがそのような事実は
 見つかりません。新聞、雑誌、ネット、どこにも報じられてないんです。」と羽生。
「玉川先生ご本人は何と?」と黛。
「口を濁してました。」
「完全に創作した話ね。次は玉川さんの本人尋問でしょ。
 鮎川は間違いなくここを突いてくるわ。」と本田。
「まずいんじゃないですか?先生。」
「バカどもと共に仕事をするのは本当に骨が折れるねえ。」
「それくらいのこと、古美門先生が予見されないわけがありません。」と服部。
「あれだけ綿密なリサーチをして描いている作品で1話だけ作り話なんてことが
 あるわけなかろう。」
「実話だというんですか?」と羽生。
「そのとおり。すでに調査済みだ。
 君たちのサークル活動と違ってうちには優秀なる調査員がいるのでね。」
「噂の忍びの者ですね。会ってみたいな〜。」
「忍びは決して姿を見せないものだ。」

「うい〜っす。腹減った。先生何か食わして〜。」蘭丸登場!
「バカ〜。どっ… どなたですか?水道管工事の人かな?」と古美門。
「羽生です。」
「うい。」
「本田です。 よろしく。」
「ちっす。加賀蘭丸っす。」
「もっと忍べ!」

「う〜ん!生ハムメロン♪おっお〜♪う〜ん!」と蘭丸。
「玉川たま自身の話?」と羽生。
「そう。彼女は隠してるけど、実家はもともと平山部品加工っていう小さな町工場でさ、
 豊和エレクトロンの孫請けで、8年前に倒産してる。」
「鮎川氏が、豊和エレクトロンを買収したころですな。」と服部。
「うん。まんま実家の話ってわけ。」
「創作どころか、ホントのノンフィクションじゃん。」と本田。
「だからこそ真に迫ってるんですね。」と黛。
「お父さんが自殺されたのも事実ですか?」と羽生。
「ううん。実際は死んでない。」
「えっ?」
「ああ。借金しまくって首が回らなくなった揚げ句、詐欺まがいのことやって捕まって
 実刑は免れたけど自己破産。今は田舎でひっそりと暮らしてるよ。」
「まずくない?」と本田。
「まずくない。その程度の脚色は許容範囲だと主張する。
 もちろんこちらも多少の痛手は負うだろうが鮎川にとっては致命傷だ。
 これは鮎川の息の根を止める爆弾だよ。
 何も知らずに食い付いてくれば逆にやつを木っ端みじんに吹っ飛ばす。
 羽生君。戦術とはこういうものをいうんだ。」と古美門。

(回想)
「社長のような人こそ、この国の産業を支えてるんです!
 日本の町工場は世界一ですから。」と鮎川。
「分かってるなあ、若いのに。」とたまの父。
「社長には、今の3倍の仕事を頼みたいと思ってます。
 ぜび僕に株をお譲りください。
 お願いします!」
(回想終わり)

「株を譲渡した途端、うちは真っ先に切り捨てられて、あっけなく倒産ですよ。
 父は自暴自棄になって破産しました。
 なのにあいつは覚えてもいない!」とたま。
「つまり君は個人的な恨みでこの漫画を描いたわけだ。」と古美門。
「はっきり言ってそうです。鮎川への復讐です。
 あいつがどんなやつか、世の中に知らしめるために描いたんです。
 何が悪いんですか?」
「何も悪くない。鮎川は作り話だと思って攻めてくる。
 君は今言ったことをそのままガツンとぶつけてやれ!ノックダウンだ。」
「…証言するんですか?」
「もちろんだ。」
「気が進みませんか?」と羽生。
「父は…田舎で静かに人生をやり直そうとしてます。過去をほじくるのはちょっと…。」
「父親が自己破産したことや詐欺で捕まったことは世間に知られたくないと?
 相手は傷つけたいが自分は傷つきたくない。そういうことですか?
 鮎川のことをたたきのめしたいなら自分のことも全部さらしなさい!
 鮎川と刺し違える覚悟で描け。それが表現者というもんでしょ!
 証言はしてもらいます!!」

帰り道
「誰が得するんでしょう?」と羽生。
「えっ?」
「この爆弾が爆発したら、プライバシーの暴露合戦になる。
 玉川さんもお父さんも鮎川も、みんなが傷つく。」
「裁判とはそういうものじゃ!」
「僕はそう思いません。双方がウィンウィンになる道を見つけるために裁判はあるはずです!」
「ウィンウィン?羽生君!敗者がいるから勝者がいるんだ!
 訴訟は勝つか負けるかのギャンブルだ! 
 カンカンカン…!」

法廷、キーボードをたたく音が鳴り響く。
「…被告。被告。猪野さん!」と裁判長。
「…はい。」
「尋問を開始してください。」
「あっ…ああ…。え〜っと…そうですね…異議あり!」
「今はあなたが質問する時間です。」
「ああ、そう…。そうっすね…。」

古美門法律事務所
「やっぱりやってもらおうかな。」と猪野。
「何なんですか? あなたは。」と黛。
「裁判は終わりにしますよ。」と本田。
「ちょちょっ…ちょちょちょっ…。もうちょっとだけ続けてみようよ。ねえねえ。」
「もう、猪野さん!」
「ねえ。」

「このところ、カウンターが伸び悩んでおりますからな。」と服部。
「そんなことで。」
「君たちが法廷で1〜2回やってもらえれば、持ち直すと思うんだよ!ねえねえ。」
「慰謝料を払うのは、あなたのご両親なんじゃないの?」と本田。
「…」
「裁判は終わり。謝罪の掲載と該当箇所の削除。いいわね!」
「あ〜!くっ!」

フットサルのコート
「ほっ。はっ。」と黛。
「うまい。」と羽生。
「フフ。気分転換には いいね。」
「うちに来てください。」
「その話は断ったでしょ。」
「古美門先生のやり方に賛同してるんですか?」
「…」
「大事なことは勝ち負けじゃない。みんなが幸せになることだ。
 そうは思いませんか?」
「…そりゃ思うけど、理想過ぎるんじゃないかな。
 私たちにできるのは、依頼者を勝たせることだよ。」
「理想を追い求めるのが僕の事務所です。
 そしてうちに最もふさわしいのが、黛先生のはずです。」
「…」
「見ててください。僕のやり方を。」
「…」

プールバー
「やりますね。」と羽生。
「話って?」と鮎川。
「和解しませんか?」
「フッ。そっちが要求を全部のむならね。」
「これ以上争えば、みんなが不幸になる。あなたもね。」
「僕が?」
「覚えてませんか?平山部品加工。」
「…」
「お互いの名誉を守りましょう。
 このゲームはドローです。」

テレビのインタビューを見る古美門。
「弁護士なしで裁判やってみて どうですか?」と司会者。
「まあ楽勝ですね。やっぱりいらなかったかな。
 だって弁護士っていったってバカばっかりだから。
 自分でやって正解でしたね。」と鮎川。
「えっ。1日どれぐらいの裁判をされてるんです?」
「そうですね。午前中に5件、午後に8件ぐらいかな。」
「えっ?それって可能なんですか?」
「余裕ですよ。だって僕はね 念入りに…」

法廷
「玉川たまさん。いえ… 本名、平山泰子さん。
 思い出しました。平山部品加工の娘さんですね。」
「…」
「つまり第27話はあなたのご実家の話であり、『破壊の天才』は私への個人的な
 復讐である。そうですね?」と鮎川。
「…」

「No way!」羽生がつぶやく。

「確かに私はお父さんの工場を盛り上げると約束しそれをほごにしました。
 しかしそれは、平山部品加工の製品があまりに低品質だったからです。」
「そんなことない!」とたま。
「ビジネスなんです。非情にならなければならないときもある。
 契約違反でも、違法でもありません。」
「あんたはだましたんだ!詐欺師だ!」
「詐欺容疑で捕まったのはあなたのお父さんの方ですよね?
 そのお父さんは今、田舎での〜んびり過ごしてるらしいじゃないですか。
 フィクションはなかったはずですよね?
 事実を完全にねじ曲げ、人を死に追いやった極悪非道の男に私を仕立てようとしてる
 あなたもまた、詐欺師の血を引いてるからでしょうか?」
「…」

古美門邸
「こちらにあったはずの爆弾がいつの間にか敵の手に渡っていて投げ付けられた。
 いったいどういうことなんだろうねミスター・ウィンウィン。」と古美門。
「これ以上争いを続けても誰も幸せにならない。
 僕は玉川さんのことだけじゃなく鮎川のことも守ろうとしたんです。
 彼がなぜリスクを冒して戦いを続けるのか、理解できない。」
「確かに君はまったく分かっていない。鮎川という男もこの裁判の本質も。
 球団が欲しかったときはマスコットの着ぐるみを着て踊りまくり
 エンターテインメント業界に進出したときはAV女優を集めてどんちゃん騒ぎをした男だぞ。
 見せ物になることもバカにされることもへとも思ってない。
 初めから名誉なんてどうでもいいやつなんだよ。」
「じゃあどうして 名誉毀損で…。」と黛。
「別に名誉毀損じゃなくてもよかったんだ。」
「要するに金じゃん?こっちの裁判も和解には応じないって言ってきた。
 賠償金を1円たりとも値切りたくないのよ。」と本田。
「それも違う。あいつは金もうけなんて何の興味もない。」
「じゃあいったい…。」
「やつにとって裁判は、ただのマイブームだ。」
「マイブーム?」
「司法試験を受けなくても弁護士プレーを楽しめる方法が1つある。」
「本人訴訟。」と黛。
「そのとおり。だからどんなに好条件だろうがどんなに脅そうが和解はしない。
 ただひたすら法廷で争っていたいんだ。」
「たち悪。」と本田。
「イノセントボーイの苦行のような裁判も判決まで続くのか。」と黛。
「だとしたら、勝ち負けなんて初めから気にしてない。
 そんな相手とどうやって戦えばいいんですか?」と羽生。

「ハハハハハ。あっいやすいません。
 しかし 読んでみると実に面白い作品ですね。
 特に、主人公が、魅力的。」と服部。
「変わった読み方をされますね。悪いようにしか描かれていませんよ。」と黛。
「そうでしょうか?」
「何せ玉川たま先生の個人的復讐漫画ですから。」
「まあ確かに、悪意を持ってしか描かれていないようですけども、 
 私は不思議とこの主人公、恨む気持ちにはなれませんな。」
「…」
「先生!」と黛。
「反撃だ。」

法廷
「玉川たま作『破壊の天才』、そもそもこの作品は鮎川さんの名誉を
 毀損しているのでしょうか?」と古美門。
「いまさら何言ってんだか。」と鮎川。
「名誉毀損とは何か。」
「本人が傷ついたかどうか表現者が悪意を持っていたかどうか、」
「いえ、法的には違います。
 それを受け取る多くの人々がどう感じたかが 問題なんです。
 ランダムに選んだ読者240人にアンケートをとりました。
 『この主人公をどう思うか』という質問に対しては、
 確かにひどい、恐ろしい、恋人にしたくないなどネガティブな感想がほとんどです。
 しかし、『この主人公に魅力を感じるか』という質問に対しては
 感じる、やや感じると答えた人が、実に70%以上を占めました。
 つまり、この主人公は魅力的なんです。
 玉川さんは確かに悪意を持って描きました。
 しかし、ただ憎んでいるのみの人間を果たして主人公として描けるものでしょうか?
 人間とは、表現と心情が必ずしも一致するとは限りません。
 本人にさえ自分の本心など分からないのかもしれない。
 玉川さんの深層心理には、あなたへの好意と敬意が潜んでおり、
 それが図らずも作品ににじみ出ているのではないでしょうか。
 だからこそ読者は、主人公を魅力的な人物として感じているんです。
 この作品は鮎川さんの名誉を毀損してはおりません。
 それどころか、鮎川さんの社会的イメージを向上させているものであります。
 
「町工場の社長が自殺したと聞いた主人公は、パーティーをしながら笑い転げます。
 『ひゃ! ひゃ! ひゃ!あのジジイ 死にやがった』
 『馬鹿だねぇ!!』また 『ひゃ!ひゃ! ひゃ!』
 これは 明らかに私をおとしめてます!」と鮎川。

「彼は笑うしかなかった。そうでもしなければ心が壊れてしまうから。
 次の見開きページをご覧ください!
 たった1人で夜景を見つめるバックショット。
 実に哀愁がある。女子のハートわしづかみ!」と古美門。

「第13話、ミスを犯した部下を主人公は殴り飛ばします!
 私は部下に暴力を振るったことなどありません!」と鮎川。

「何て熱い男なんだ〜!
 時には拳を交えて分かり合おうとする、失われし大和魂!
 男性読者も胸を熱くしていることでしょう!」と古美門。

「逮捕され恋人に振られると、鼻水をだらだら垂らしながら『捨てないで〜』と泣く!
 私はこんなみっともないことしてません!」

「何てキュートでチャーミングなんでしょう!
 駄目駄目男子が好きな女子はこのシーンできゅんきゅんしてます!」

「SMマニアということになっていて、首輪をされてむちで たたかれるシーンがある!
 そしてあろうことか私は喜んじゃってる!どう考えたって名誉毀損だろうが!」

「SMマニアであることは名誉を毀損するものではありませんし、
 全国のSMマニアはあなたの姿によだれを垂らしていることでしょう!
 こんなにも鮎川さんの魅力を余すことなく伝えている表現物があったでしょうか!」

汗だくになりながらも言葉をぶつけあい、そして微笑み合う二人。

「もっと やろう。
 裁判に遊びも趣味もない。
 ケンカを売ったからには、和解なんて許さない。
 勝つか負けるか、最後まで徹底的に戦うぞ。」と古美門。
「望むところです。」と鮎川。

「私はこんな髪形じゃない!」
「分け目はだいたい一緒でしょ!」
「分け目!」

古美門邸
「見事な勝利でした。」と羽生。
「鮎川はイノセントボーイの訴訟も含め、起こしていた訴訟全てを取り下げてきました。」と黛。
「もっともだろうね。この私ととことん戦った後では雑魚弁護士相手などバカバカしくて
 やってられないだろう。」と古美門。
「マイブームが終わったということですね。まあ天才というのは、
 気まぐれなもんでございますな。」と服部。
「振り回される方は大迷惑ですよ。」と本田。
「古美門先生、今回は勉強になりました。でも、丸く収まったのはたまたまです。
 やはり僕は、争いを回避しみんなが幸せになる道を目指すべきだと思います。」
「勝手にしたまえ。
 私が君に言いたいことは、今回の弁護士費用は1,000万に まけておくから
 足りない分は君の事務所がきっちり払ってくれたまえということだけだ。」

鮎川のマンションを訪れる古美門。
「やあ。ちょっとダイビングのライセンスを取ろうと思ってね。
 これからはね、海底だよ。
 海の底にはまだまだ未知の資源がいっぱい眠ってるんだ!
 わくわくするよね!」と鮎川。
「すでに次のブーム到来か。」
「話って何?あっ顧問契約とかなら無理だよ。
 今の僕は、あなたを雇えるほど稼ぎがないから。」
「あなたが裁判を起こした理由は裁判そのものをやってみたかったから。
 だがそれだけですか?」
「えっ?」
「『破壊の天才』が今回の件で再注目を集め、増刷が決まったそうですよ。
 掲載誌も青年誌に変えて、連載再開ということになりそうだと。」
「ふ〜ん、そうなんだ。」
「最初からこれが目的だったのか?」
「…」
「玉川たまを覚えていないわけはなく初めからこのために『破壊の天才』を訴えた。
 注目を集めるためにあらかじめ何十という訴訟を起こし世間を騒がせといてね。」
「ハッ。すごいことを考えるね。もしそうだったら?」
「君の個人的な罪滅ぼしに私がまんまと利用されたことになる。」
「…玉川さんに伝えておいてよ。
 連載再開なら、次はもっと脚を長く描いといてって。」
「あなたに弁護士ブームが再来しないことを祈るよ。」

たまのアパート
「は〜。続きが読めると思うとホントに楽しみです。
 もっともっとひどい目に遭わせてやってくださいね。
 あっ!ブルドーザーにひかれるなんてどうです?」と黛。
「複雑だわ。鮎川が騒いでくれたおかげで、連載再開なんて。
 何か違うんじゃないかなあ。」とたま。
「そんなことありませんよ。作品に魅力があったから再評価されたんです。
 いくら裁判で注目を浴びても、内容が駄目なら、誰も見向きもしませんから。」

古美門邸
「古美門先生か黛先生いないの?」と猪野。
「ですから2人ともお出掛けでございまして。」と服部。
「何でもいいから裁判 起こしてほしいんだよ!
 カウンターが 全然上がんなくなっちゃったんだよ!」
「でしたらパソコンを閉じてお仕事をお探しになられたら?」
「あっ痛っ痛い痛い!」

たまのアパート
「あっそれとさ、何か私は、深層心理じゃ鮎川に好意を持ってたみたいに
 勝手にされてるけど、違うからね。
 完全に憎しみしか残ってないですからね。」

(回想シーン)
「おい、泰子ちゃんと挨拶しなさい。
 こいつね、漫画家になりたいなんて抜かしてるんですよ。
 ガツンと言ってやってくださいよ。」とたまの父。
「漫画 描くの 楽しい?」と鮎川。
たまが頷く。
「僕も仕事が楽しい。
 金もうけしようとか考えずにとにかく夢中になってやってみることじゃないかな。
 人は、夢中になれるものがあるだけで幸せなもんだよ。」
(回想終わり)

面会室
「何がおかしいのよ、幼稚園児。」と貴和。
「今回の裁判で、あらためて思ったんです。
 言葉や表現を額面どおりに受け取るべきじゃない。
 その人の心の奥底を、思いはかることが大事だって。」
「ふ〜ん。」
「それで、貴和さんのことをずっと考えてました。
 何で私たちをからかうような態度ばっかりとるんだろうって。」
「…」
「あなたも苦しんでるからです。
 自分は有罪になるべきだという思いと、死刑にはなりたくないという恐怖の間で
 苦しんでる。」
「…」
「私たちに ぶつけてください。
 貴和さんの、心の中の泥を、私たちが全部受け止めます。」
「…話したくないことは話さない。嘘もつくわ。
 それでも勝てるの?」
「むしろその方が勝てます。上告趣意書にサインさえしてくれれば。」と古美門。

鮎川の事務所
「めどは立った?古美門事務所を倒す計画の。」と本田。
「もう始まってるよ。」と鮎川。
「飲みに行かないか?行きつけの立ち飲み屋があるんだ。もつ煮込みがうまいんだよ。」と磯貝。
「私の行きつけのオーガニックバーなら。」
「おお、オーガニック…いやそれ健康過ぎるな。」

古美門邸
「褒めてください。貴和さんを説得したのは私です。」
「期限内に上告することは分かっていた。
 自分の手柄だと思い込めるとは相変わらず脳みそがお花畑だな。」
「フフン。」
「何だ気色悪い!」
「人間とは、表現と心情が必ずしも一致するとは限らない。
 先生も深層心理にある私への好意が、罵詈雑言となって表れているんですね。」
「どうすればそんな都合のいい解釈ができるんだ。」
「ハハ。それで、バリエーションが尽きないわけですな。」と服部。
「そういうことですね〜!」
「服部さんまでやめてください。好意などミジンコの鼻くそほどもない。
 バカだからバカだと言ってるだけだ。ぽんこつ!がに股!提灯パンツ!」
「キャ〜!はいはい。そんなに愛情示さなくていいですって。」
「ハートが強過ぎる。直球でののしってるんだよ!
 CTスキャンで脳みそに虫が湧いてないか調べてもらえ!」
「尽きませんなあ。」
「う〜ん。ひょっとしたら私モテ期来てるかも。」
「来てな〜い!」



世の中を少しでも良くしようと問題提起するブロガー。
お金のためなら何やってもいいと思ってる最低のやつがたたきのめされる話を描く漫画家。
どちらも自分の思いを文章にする表現者。

そんなブロガー、漫画家を名誉毀損と訴える鮎川光。
視聴者が思い浮かべるのはやはりアノ人?

古美門先生はたまの作品は鮎川を描いているのではないと弁護するのではなく、
あれは鮎川がモデルと認め、卑下し、当たり前の事実を当たり前に描いていると言い放つ。

でも鮎川にとって裁判はただのマイブーム。和解には持ち込めない。
さぁ、どうする!?
となったところで服部さんのヒントタイム。
玉川たまの個人的復讐漫画に描かれる主人公がどこか憎めないことに気づく。

名誉毀損とは
本人が傷ついたかどうか、表現者が悪意を持っていたかどうか
ではなく、
それを受け取る多くの人々がどう感じたか。

人間とは表現と心情が必ずしも一致するとは限らない。
名誉毀損された、いや、こんなところが愛らしい。
同じキャラクターでも見方を変えれば違った人物に見えてくる。

古美門 VS 鮎川 の真剣勝負。
ふたりとも楽しそうで、ずっと見ていたかった〜!

古美門との一騎打ちで鮎川の弁護士というマイブーム熱も冷め、
めでたしめでたしと思ったら…
鮎川はたまの本を救おうとしていたのですね…。

「僕も仕事が楽しい。
 金もうけしようとか考えずにとにかく夢中になってやってみることじゃないかな。
 人は夢中になれるものがあるだけで幸せなもんだよ。」

たまはあの時の鮎川の笑顔に恋をしたのかもしれない。
あの言葉が、笑顔が忘れられずに、彼を悪く描きつつ、でも憎みきれずにいた。

鮎川もあの頃の信念をきっと今でも持ち続けているのかな…。

「鮎川さん、あなたの名誉を毀損したのはこの作品ではない。あなた自身だ。」
という言葉が心に残りました。


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服部さんの過去
・スイスのホテルで料理長(第1話)
・書の嗜み
・計算が早い
・楽譜も書ける(昔フォークソングをかじっていた)
・バンコクで屋台
・家庭菜園
・モンゴル相撲
・芸能通
・醤油づくり
・演劇
・ワンダーフォーゲル
・王家の谷で発掘調査

・整体師

羽生のことわざ:カナダ、オーストラリア、サウジアラビア。
第1話『水は飲めるが燃えはしない。石油は燃えるが飲めはしない。』(サウジ)
第2話『暑いときは 日陰を見つけろ』(サウジ)



気になるセリフ
第1話
「正義がまかり通らない世の中になったらこの国の司法は
 終わりではありませんか?」(黛)
「教えてあげよう。正義は金で買える。」(古美門)

第2話
「俺はお前をこの世界から葬ると決めたんだ。
 そのためなら、地位も名誉も喜んで捨てる。
 刺し違えてもお前を地獄に引きずり込む。
 必ずな。
 それが俺の贖罪だ。」(三木)

第3話
「榎戸がバリバリのストーカーの変態野郎だったとしても、
 あらゆる手段を使って無罪にしろ。それが君の仕事だ。」(古美門)
「私はそうは思いません。
 私たちの仕事は、あくまで適正な判決に導くことです。」(黛)

第4話
「あなただけ特別」
「神でもない我々に、そんなこと分かるはずもない。
 正義は特撮ヒーロー物と『少年ジャンプ』の中にしかないものと思え。
 自らの依頼人の利益のためだけに全力を尽くして戦う。
 我々弁護士に出来るのはそれだけであり、それ以上のことをするべきでもない。」(古美門)
「やはり古美門先生を倒すのは、三木先生でなければ無理ですよ。」と沢地。
「ここに来た、自分自身の目的が、はっきりわかったんです。
 あなたを、倒すためです。」と黛。

第6話
「勝利のみが全てではない。
 私が理想とする弁護士像を圭子さんに見た気がします。
 一緒に、行かせてください。」(黛)
「一人でグリーン・ゲーブルズにでも行ってなさい!」(圭子)
「圭子さんのようになりたいんです。
 そして、古美門先生に、いつか勝てるようになりたいんです。」
「・・・あなたは私のようには一生なれない。」
「・・・」
「なる必要もない。
 せいぜい古美門の下で滑った転んだやってなさい。
 そうすればいつか、あいつを倒せるかも。」
「え?」
「彼に勝てるのは私ではないってことよ。」

第7話
「分かってないね。最も手強い敵は三木なんかじゃない。
 自分の土俵で戦える人間だよ。」(古美門→黛)

第8話
「12歳の子が母親と断絶しようとしている。
 内心どれほどの苦悩を抱え、血を吐く思いをしているか君に分かるか?
 二度と薄っぺらい言葉を吐くな。」(古美門→黛)

「私が彼を採用したのも、あなたのご子息であれば育ててみたいと思ったからです。
 ・・・しかし、その結果、どんな悲劇を招いたかは・・・申しません。」
 古美門研介という法律家は、あなたが生み、私が完成させた化け物です。
 私たちは共犯なのです。
 ご子息を、葬りましょう。」(三木)



【キャスト】
古美門 研介 - 堺雅人
黛 真知子 - 新垣結衣
服部 - 里見浩太朗
加賀 蘭丸 - 田口淳之介(KAT-TUN)

三木 長一郎 - 生瀬勝久
沢地 君江 - 小池栄子
井出 孝雄 - 矢野聖人

羽生 晴樹 - 岡田将生
本田 ジェーン - 黒木華
磯貝 邦光 - 古舘寛治

安藤貴和 − 小雪

【スタッフ】
企画
 成河広明
 加藤達也
プロデュース
 稲田秀樹
 成河広明
 山崎淳子
脚本
 古沢良太
音楽
 林ゆうき
演出
 石川淳一
 城宝秀則
制作
 フジテレビ
制作著作
 共同テレビ


堺雅人さんの主な出演作品



新垣結衣さんの主な出演作品



里見浩太朗さんの主な出演作品




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