2014年02月10日

明日、ママがいない 第4話

『少女の悲しいヒミツ母親の幽霊は語る…』

コガモの家
「悪い話ではなさそうだな。
 …はぁ。…あいつ、ここへ来て何年だ?」
佐々木(三上博史)はロッカー(三浦翔平)にそう問いかけながら、
1月のカレンダーを見つめる。そこには冬の海の写真。
「…あいつだよ。」

アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットのような理想の夫婦に引き取って
もらうのを夢見て、いつも妄想ばかりしているボンビ(渡邉このみ)。
ボンビはコガモの家に来て長かったが、今まで一度も“お試し”に行ったことがなかった。
「だって、パパとママが迎えに来るんだし!」とボンビ。
「えっ?パパとママ?」
「そうだよ。今は貧乏だから無理だけど、一生懸命働いてお金がたまったら
 私を迎えに来てくれるんだもん。
 だからお試しは、無理!」

「いつまでそんな寝言を言ってんだ!」
子供たちの部屋にやってきた佐々木は、ジョリピーのポスターを剥がしてしまう。
「いい加減、現実を見ろ。」
「…」

日本のジョリピーを妄想するボンビ。
「パパ!どうして?私はこんなにもパパの迎えを待っているのに」
「パパ?僕は君のパパじゃないよ。」と東條。
「そんな…。」
「どうしたんだい?迷子になっちゃったのかな?
 それなら君のパパを一緒に捜そうか?」
「迷子?私は…迷子になってるの?」
「そうだよ。僕は、君のパパじゃない。ほら、聞いてごらん。」

「迷子のボンビ様。迷子のボンビ様。本当のお父様とお母様が正面玄関でお待ちです。」
(妄想終わり)

「ボンビ?」とドンキ(鈴木梨央)。
「見ます!!」
「え?」
「現実見ます。」
「何?何?」
「私、お試しに行きます!!」
拍手を送るピア美、ドンキ。
「…どんな現実だよ。」ポスト(芦田愛菜)がつぶやく。

学校、体育館
バスケットボールの練習中、ポストは意地悪女の子3人組に足を引っ掛けられ
転んでしまう。すると、蓮が駆け寄る。
「大丈夫?」
「…別に。」
「保健室に行こう!」
「いい。ほっとけば治る。うっ…。」
「ダメだよ。歩ける?」
蓮はポストに肩を貸し、保健室に連れていく。

そんな二人を見つめる意地悪女子3人、コガモ女子3人。
「あ…私、保健委員だ。」ピア美が二人を追う。
「…あれ!?保健委員、私じゃなかった?」とボンビ。

保健室
ポストの足の手当をする蓮。
「…キモいんだけど。」
「キモい?」
「自分でできるって言ってんのに…。他人にやられるとむずがゆくてキモい。」
「フフフ…。キモいか。そっか…。君のそういうところ、好きだけどね。」
「…」
「好きだな…。」
「…」

二人の様子をピア美は見ていて…。

お弁当屋で働く女性は、コンビニの前で、同級生に万引きを強要されている
オツボネに気づく。
オツボネが断れずにコンビニに入っていくと、同級生たちは逃げ出した。

ペンを万引きし店から飛び出したオツボネは、女性とぶつかり、ペンを落として走り去る。
「ちょっとお客さん!!ちょっと!!警察だ警察!」
オツボネを追う店員。
「あの…すいません。」
「え?」
「あの子…私の娘なんです。あの…これ私が買います。だからどうかこれで許してください。」
「ああ…まぁ…、はい。」
女性はオツボネが落としていった生徒手帳を拾い…。

コガモの家
ドンキとパチ(五十嵐陽向)が帰宅すると、佐々木が待っていた。
「暇か?」
「いえ…宿題が…。」
魔王の睨みに、
「…ありません。」

魔王が二人を連れていった場所は、いつもの弁当屋。
「またあいつだ。」
常連客の男性が子どもと一緒に買い物に来ていた。
「何だ。子供がいたのか。」
「あんなにお弁当買いに来るってことは、奥さんと離婚しちゃったんですかね?」とドンキ。
「…お前が言いたいのはこういうことか?
 あの男は嫁に逃げられ、子供と2人。弁当屋を再婚相手に狙ってる。
 子供も懐いていて一石二鳥!そういう推理か!」
「いえ…私、そんな、探偵じゃないので。」
「お前は!?」
「びぇ〜ん!」パチが泣き出す。
「泣いてないで、早く弁当買いに行け!」

「じゃあまた。」と常連客の田村。
「バイバ〜イ。」
「よし行こう。」

「あら!いらっしゃい。また来たの?」
「バナナください。」泣きながら注文するパチ。
「バナナ…。」

現実を見なくてはならないと目覚めたボンビは、初めて“お試し”に行こうと決心する。

ボンビが向かったのは、自転車屋を営む酒井家。朗らかな夫婦に迎えられ、
ボンビも楽しく過ごしていたものの、食事中、酒井がご飯をよそっているのを
ぼーっと見つめていたボンビは、気を失って倒れてしまう。

コガモの家
「先方から連絡があり、そのまま病院へ。
 医師の見解では、特に異常はないと。
 恐らく、精神的なものではないかと…。」と叶。
「そうか。」と佐々木。
「やはり、時期尚早だったのでは?」
「だったら、その時期っていうのはいつだ!ガキのほうが順応しないでどうする?」

その話を聞いていたポストは、コップに水を注ぎ部屋に戻る。
「あ、ポスト。魔王なんて言ってた?」とドンキ。
ポストはコップの水を寝ているボンビの顔に掛ける。
「きゃ〜!」
「ポスト!!」
「仮病使ってんじゃねえよ!」
「…」
「聞こえてんだろう?返事しろ!」
「仮病じゃないもん。」
「じゃあ今日のロッカー特製めんたいパスタはいらないな?」
お腹が鳴る音。
「ほら見ろ。」
「…何か、私にとってお試しって意味ないような気がするの。
 だって、今は貧乏だけど、パパとママが迎えに来てくれるんだし。」
「本気で言ってんのか?」
「何が?」
「生みの親なんか忘れろ。目の前の幸せを見ろよ!
 親を忘れなきゃお前、いつか独りぼっちだぞ!」
「ポスト!」とドンキ。
「あ〜はいはい。ポストが言うことはいつも正しいよね〜。
 ポストは正しくてモテモテで、うらやましいな〜。
 私達なんて足元にも及ばない。」とピア美。
「何が言いたいんだよ。」
「パパとママが迎えに来てくれる。そう思うのは自由でしょ!
 それを頭ごなしに否定してさ。どんだけボンビが傷つくと思ってんの?
 無神経だよ!」
「…無神経?」
「分かってる…。自分でも、どうにかしなきゃって思ってるの。
 次はうまくやる。だから、ケンカしないで。」とボンビ。
「…」
ポストが部屋を出ていくと、ボンビはピア美とドンキを部屋から追い出し…。

ピア美とドンキが1階に行くと、佐々木と叶が話し合っていた。
「おいお前!ちょっと来い。」と佐々木。
「私?」とドンキ。
佐々木が頷く。
「お前はいいから部屋に行ってろ。」佐々木がピア美に言う。
「いやでも、部屋閉め出されちゃって。」
「閉め出された?」
「ポストがボンビにひどいこと言って、それ言い過ぎでしょって私が入ったら
 グチャグチャグチャってなっちゃって…。」
「あの!ボンビのパパとママに、連絡を取ることはできませんか?
 ボンビ、何か迷っちゃってて…。」とドンキ。
「そうだ!それだ!」とピア美。
「ちょっとでいいんです。電話だけでも。
 実際、迎えに来てくれる気持ちがあるのかないのか、
 そういうのはっきりしないと…
 お試しに行っても、どっち付かずな感じがしちゃうと思うんです。」
「それは不可能ね。」と叶。
「どうしてですか?会えなくても、声を聞くだけで、きっと…。」
「死んでいる。」と佐々木。
「えっ?」
「あいつの両親は…死んでる。」
「事故、ですか?」
「あ〜。
 災害が…嵐が…あいつの親を連れ去った。」
「…」

そんな中、ロッカーはスパゲッティーをボンビに差し入れする。
「ロッカーはいいお嫁さんになるね。」
「…」

橋の上
「知ってたんだね。」ドンキがポストに声をかける。
「…」
「知ってたんでしょ?ボンビのパパとママのこと。」
「…ボンビが新入りの時、両親が死んだ子だって魔王が言ってた。
 初めてコガモの家に来た時、しばらくはちっとも笑わなかった。
 むしろ、笑うどころかしゃべりもしなくて。
 じっと膝を抱えて座って、ほとんど何も食べないで。
 カウンセラーとか、どっかの先生とか、いろんな大人があいつに、
 元気出してとか、大丈夫?とか言ったけど…ニコリともしなくて。
 こいつ、本当にこのまま死ぬんじゃないかと思った。
 でも…ある日ふっとこんなこと言ったんだ。
 あのね、うちは貧乏でお金がないから、パパとママは私をここに預けたんだよって。
 いよいよヤバいって思ったけど、あいつ、それを言った後に初めて…
 ちょっとだけ笑ったんだ。
 それから妄想はどんどんエスカレートして行って…
 パパとママは小さい家を建てて私を迎えに来る!とか、
 2人で私のために一生懸命働いてる !とか、そんなこと言い出して。
 しまいにはお試しに行くならジョリピの家!…とか言っちゃってさ。
 妄想行き過ぎだっつ〜の。」
「フッ。」
「…はぁ…。お試しに行ったら、もうちょっと現実見るかと思ったけど…
 でもピア美の言う通り…無神経だった…。
 親を忘れろって、私達の親のように、忘れなきゃいけない親じゃないのに。」
「でも…ボンビ自分でもどうにかしたいと思ってるって言ってた。
 それはウソじゃないと思う。」
「…」
「あのね、叶さんが言ってたんだけど、お試し先の人が、ボンビが嫌なら無理に来なくて
 いいよ…って言ってくれたんだって。
 自転車屋さん、気に入らなかったのかなって。
 向こうは向こうで、傷ついちゃったみたいで…。」
「あっそう…。」
「魔王が、私に代わりに行けって言って来たんだけど…何かそれって…ねぇ。」
「…私が行く。」
「えっ!?」
「チャリ、好きだし。」

その頃、オツボネは落とした生徒手帳を探していた。
ゴミ箱を漁っていると、アパートの二階からあの女性が声をかける。
「ちょっとあなた。ちょっと待ってて。ね!」

「これ。」
「それ私の…。」
「あなた、いつもあんなことさせられてるの?」
「…」
「嫌なことは嫌って、はっきり言わなきゃダメよ。
 お母さんはこのこと知ってるの?」
「お母さんは、いません。」
「またそんなこと言って…。そんなこと隠しても何もいいことなんかないわよ。」
「…ホントにいません。」
立ち去ろうとするオツボネ。
「ねぇ!ちょっと、上がって行かない?」

女性の家
「学校に届けようかとも思ったんだけど…。」
「すみません。」
湯が沸く音。
「あなた…お母さんがいないって言ってたわよね。
 私にはね…子供がいないの。
 お腹の中にいたんだけど、天国に行っちゃった。
 ずっとず〜っと昔にね。」
「流産…しちゃったんですか?」
「このことをひとに話したのは初めて。
 2人の秘密ね。」
「…」
「みんな、いろいろあるってことね。」
「私…自分の居場所をどうやってつくればいいのか…分からなかったんです。
 学校でも、言われた通りにすれば、仲間っていうか、友達になってもらえるかなっていう…。」
「あんなこと強要するコ達と友達になりたいの?」
「だけど…。」
「…そうだ。こうしよう。おばさんと友達になろう。」
「えっ?…おばさんも、友達いないんですか?」
「フフっ。フフフ…。そうなの〜。」
泣き真似をして女性が笑うと、オツボネも笑顔をみせる。

自分の無神経な言葉がボンビを傷付けたと感じたポストは、なぜボンビが酒井家で
倒れてしまったのかを確かめようと、ボンビの代わりに酒井家へ“お試し”に行くことに。

叶がポストを迎えに来る。
「探偵にでもなるつもり?」
「えっ?」
「普通、うまく行かなかった家に代わりに行きたがる子は少ないわ。
 まして、お友達の代わりなんて。」
「バレた?」ポストが舌を出す。
「お試し先のご両親を責めても無駄よ。あの2人は何も悪くない。」
「でも、あの家に行ってボンビはおかしくなったんだ。関係ないわけない。」
「あなた…あの子の両親のこと、どこまで知ってるの?」
「死んだっていうことは知ってる。」
「他には?」
「それだけ…。」
ポストは車に乗り込む。
「あの子が亡くなった父親と母親を待ち続けるのには…理由があるの。」
「理由?」
「遺体が見つかっていないらしい。」
「…」
「小学校にあの子を迎えに行こうとして…そのまま…。
 最期の姿を見ていないから、死を認められない。
 生きていると信じてる。いいえ、信じたい。」
「…」
「悲劇よね。救えるなら、救って。」
「…」

穏やかで温かい酒井家での暮らしの中に、ボンビを刺激するようなものは見当たらない。

「ボンビ、お前には何が見えた?
 気さくで仕事熱心なパパ。
 優しくて穏やかなママ。
 …わからない。
 ボンビ、私にはわからない。
 せっかく現実を見ようとしたお前が…。
 何で…。
 現実?
 そう…。ボンビは現実を見たんだ。
 どんな現実を?
 普通の食卓。普通の家族。どこにでもある…
 違う。何かあるはずだ!この中に何かあるんだ!
 ボンビがショックを受けた何かが…。」


コガモの家
食器を洗うロッカーの、ポストが声をかける。
「私も手伝うよ。
 はぁ…。手がかりなし。
 ボンビの気持ちになってみようと思ったけど…考えてみたら、無理に決まってるよね。
 私に想像なんてつきっこないんだ。」
「…」
「ねぇロッカー。パチ。」
「んっ?」
「…死んじゃうってどういうことだろう?」
「お空に行っちゃう。」とパチ。
「大切な人がお空に行っちゃうって…。」
ロッカーは、メモにされた1月のカレンダーをポストにみせる。
冬の海の写真…。

電車の中
「救えるなら救ってって言ったよね?」とポスト。
「それで?」と叶。
「ボンビが住んでた場所に行けば、何か分かるかもしれないと思って。」
「こんなの相談所の経費で落ちると思ってるのかしら。
 しかも余計な2人まで。」
二人の向かいの席には、ロッカーとパチ!
「パチがどうしてもついて行きたいって言うし、ロッカーはお守りで。」
「施設長の許可は取ったの?」
「あのさぁ、これでも一応、あんた達に気ぃ使ったつもりなんだけど?」
「どういうこと?」
ポストは二人がキスしていたのを思い浮かべ…
「別に〜。」

その頃、佐々木は弁当屋の常連を待ちぶせ声をかける。
「どちら様ですか?」
「聞きたいことがある。離婚したのか?」
「はっ?突然何ですか?」
「弁当屋の女とはどんな関係だ?」
「弁当屋?香織さんのことですか?」
「なれなれしいんだよ!いいからどういう関係なんだ!」
「いや、息子が…前に迷子になった時に、お世話になりまして…。」
「で何か?妻を忘れて、再婚でもしようって考えてんのか?」
「いや…まだ出会ったばかりですし。」
「おい坊ず!お前はどう思ってる!?」
佐々木に怒鳴られ子供が泣き出す。
「チッ。」
「ちょっと!いいかげんにしてください!一体何なんですか!?警察呼びますよ!」
「俺は…あの女の亭主だ。」
「…えっ?」
「分かったら二度と近づくな!」

コガモの家
「ボンビ全然ごはんも食べないけど大丈夫かな。」とドンキ。
「それもこれも全部ポストのせい。
 ポストがあんなふうに言うから、ボンビは布団から出て来なくなったんだよ。
 それなのに自分は勝手にどっかに逃げてさ!」とピア美。
「そんな言い方しなくても…。」
「いいや!言わせてもらう。
 ボンビのお試し先に代わりに行ったのはポストでしょう?
 さてはそれを狙ったんじゃないの!?ホントあの子って泥棒猫。」
「泥棒猫って…。」
「泥棒された身になれば分かるよ。」
「…」
「あっ。」
「何?」
「そうだ!ねぇドンキ。ちょっと付き合ってほしい所があるんだけど。」

「ねぇピア美!どこ行くの?蓮くんの家?」
「今その名前は言わないで!私ストーカーじゃないから。こっちよ。」
「あっ。このお家…。」
「ここがボンビの言ってた日本のジョリピのお家なのよ。」
「何でそんなこと知ってんの?ちょ…ちょっと!」
「蓮くんの誕生日会の時、ボンビが変だったんだよね。ずっとこのお家気にしてて。」
「でも、ジョリピに会ってどうすんの?」
「分かんないよそんなの!でも私は、ポストと違って友達思いだから、
 ボンビのために何かしたいと思うのよ。
 ジョリピのパワーでボンビも元気出るかもしれないし。」
「どうやってパワーもらうの?」
「…サイン書いてもらうとか?」
「でも、子持ちなんでしょ?」
「あ〜もうごちゃごちゃうるさいな。」

「何してるんだい?」と東條。
「…」
「お友達かい?」
「あなた達、確かコガモの…。」とレイカ。
「…」

民宿しらなみ
「実家の転居先も不明。
 役所でも把握しきれてないことが、たくさんあるみたいね。
 だけど、彼女の親戚の家が、1軒だけ見つかったわ。
 今夜はもう遅いから、明日、訪ねてみましょう。」と叶。

夜、パチがポストの部屋にやってきた。
「おねしょ?」
パチは首を横に振る。
「ロッカーは?」
「…」
「古い旅館だからね〜。
 幽霊が出て来そうで怖いんだろう〜!」
「キャ〜!」
「冗談だって。」

露天風呂
叶が入っていると、ロッカーがやってきた。
「…」
「入れば?混浴なんだし。」

「疲れるわね。一日子供と一緒だと。
 あなたは慣れてるかしら。
 本当の親…仮初めの親…
 親とは呼べないような親でも、子供達は真っすぐに愛情を求めてる。
 愛情が何かを知りたがってる。
 ある子は純粋に、ある子は屈折して。
 …私にもそんな頃があったわ。
 でも、ある時ふとむなしく感じる時が来る。
 愛情…。
 そんなもの本当にあるのかしら…と。
 あったとしても、いつの間にかすくえなくなる。
 この手のひらですくおうとしても…流れてく。
 指の間から。
 そして次に人が求めるものは…もっと現実的なもの。
 分かりやすく言えば…お金。
 気付いた頃にはすっかり汚れてて、何で洗っても落ちないくらいに…
 汚くて…醜く。
 あの子達には私のようになってほしくない。」
叶の言葉に、ロッカーは立ち上がり、背中をみせる。
「…そのアザは?やけど?
 自分のほうが醜いと…そう言いたいの?」
「…」
ロッカーの背中に触れ、頬を寄せる叶。
「ねぇロッカー。
 私より…あなたのほうが…。」
「…」

コガモの家
「あるもんさっさと食ってろ!」と佐々木。

「ねぇボンビ。聞いて。昨日ね、ピア美と…。」とドンキ。
「聞きたくない。」
「そんなこと言わないでさ。ちょっとだけ。」
「ごちそうさま。」

「お前ら!無駄口たたいて残すなよ。」
「は〜い…。」

「ポスト…。」ドンキがつぶやく。

ボンビの親戚の家
「お忙しい時間にすみません。」と叶。
「いえ。」と真帆。
「あの…。」
「間違いありません。この子は私の姪です。
 妹の…娘です。」
「そうですか。」
「おばさんの所に子供は?」とポスト。
「中学生の男の子が1人。」
「どうして引き取ってあげなかったの?姪っ子。」
「やめなさい。」と叶。
「だってそうじゃないか!ボンビは天涯孤独になったんだ。
 唯一の親戚があんたなら、引き取ってくれてもいいじゃないか!」
「…」
「人にはそれぞれ、事情があるの。」と叶。
「どんな事情だよ。」
「やめなさいって言ってるでしょ。話ができないから、あなたは外に出ていて。」
「…」

部屋を追い出されたポストは、ふと台所に目を留める。
テーブルの上には炊飯器。
「…これか。」

駅のホーム、佐々木に電話をする叶。
「子供は全て言葉にするからひやひやするわ。」
「気持ちは分からんではないがな。もう1人ぐらい、何とかしろか…。」と佐々木。
「ええ。」
「でもまぁ…そういう理由があるというなら…。」
「仕方ないですよね。では、また。」
「あっ待て。その、親戚の家の電話番号分かるか?」
「それは、分かりますが…。」
「俺もあのガキじゃないが…そいつにひと言、言ってやろうと思ってな。」

コガモの家
「やっぱりロッカーのごはんは格別よね〜!」とピア美。
「同じレシピなのになぜこんなに変わるの?」とオツボネ。
「うめ〜!」「うめ〜!」

「何か手掛かりあったの?」とドンキ。
「お試しの家で、ボンビが何で倒れたかっていうのは、何となく分かった。」とポスト
「ホント?」
「ああ。でもだからってどうすることもできない。」
「結局無駄骨だったってわけね。」とピア美。
「そんな言い方ないでしょ!」
「そんな言い方してもいいでしょ!
 だって私達はボンビを元気づけるとっておきのニュースを手に入れたんだもん。
 ジョリピがさ!」
「それだって、だから何?って話じゃない。」
「無駄骨よりマシでしょ。」
「あぁ?」とポスト
「何よ!やる気?」
「無駄骨食べる?」
「いらないわよ!」
「あっ。」
ボンビが席につく。
「…」

「えっ 何!?停電?」
「キャ〜!」「キャ〜!」
「出たおばけ〜!」「幽霊だ〜!」
「キャ〜!」

部屋の奥に白い人影…。
「え…」その人影に驚くロッカー。

「ママ?」とボンビ。

「ママ?」とポスト。

「ママ!」
女性はボンビに優しく微笑む。
「ママ。」
「大きく、なったわね。」
「だって、なかなか迎えに来てくれないから。
 ねぇ、パパは?パパは、どこにいるの?」
「パパは、天国でお仕事してるの。」
「パパ、天国でも、お仕事してるんだ。」
「パパもママも、あなたに、ちゃんとさよならを言えなかったから、ずっと心配してたの。
 でもずっとあなたのことを見てた。
 最近元気がないから、神様にお願いして、ここに来たのよ。」

「ねぇロッカー。あの人って伯母さんだよね?
 ボンビの田舎で会った…。」とポスト。
「どういうこと?」とドンキ。
「伯母さんの幽霊?」とピア美。

「双子だそうだ。」と佐々木。
「えっ?」
「お前、もう1人ぐらい拾えとかみ付いたそうだな。」
「…」
「顔が同じだからそれこそ混乱する。
 不安定な情緒が、悪化する。
 あの伯母だって、冷たく閉め出したわけじゃない。」
「…」
「俺の部屋で芝居してもらって。あそこに映し出してる。」
「あんたが呼んだの?」
「妄想に生きて来たガキだからな。むしろこういうほうが、信じる。」

「ねぇ…。ママは、天国で、幸せ?」
「ええ。」
「パパも、幸せ?
 ちゃんと、お腹いっぱい食べてる?
 ご飯大盛り、食べてる?」
「ええ。」

「やっぱり…。」とポスト。
「えっ?」
「お試しの家にも、伯母さんの家にも、テーブルの上に炊飯器が置いてあった。
 体を動かす仕事のパパだから、よく食べるんだ。
 いちいち取りに行かなくてもいいように、すぐ近くに炊飯器が…。
 ボンビはそれを思い出したんだ。
 ボンビはいつも…しゃもじでご飯を、パパによそって…。」

「食べてるわよ。心配しなくても大丈夫。」と真帆。
「お代わりは?」
「いっぱいしてるわ。」
「よかった…。」

「ボンビ…。」
「あいつは…幸せだった頃を思い出して…気を失ったんだ。」とポスト。
「慌てて…時を止めた。」と佐々木。

「パパとママの幸せは、あなたが元気で、生きていてくれること。それだけよ。」
「うん…。もう、心配させないからね。」
「元気でね。友達と仲良くね。
 いつも笑顔、を、忘れないでね。」
「ママ…。」
「パパも大好きだった、あなたの笑顔を。」
「うん。」

ボンビの両親の墓前
「…けど、ここにはいないんだよね?」とピア美。
「お前はどうしてそういうこと言うかな。」とポスト。
「いや〜…だって現実には。」
「ここにいるよ。」とボンビ。
「ボンビ。」
「私が、ここにいてほしいって思ってるから、パパとママはここにいるの。
 ここにいたら、いつでも会いに来れるから。
 そうだよね?パパ、ママ。」
「そうだよボンビ。」とピア美。
「また来ればいいよ。毎年、何度でも。」とポスト。
「そうそう!毎年どころか毎月来ちゃえばいいじゃん。」とピア美。
「あっそうだね!あと土曜日とか。」
「うん!いいんじゃない?」

「チッ。誰が連れて来んだ?」佐々木がつぶやく。

砂浜でイカの丸焼きを食べる4人
「んっ何これ?」とボンビ。
「寒くてカッチカチ!前歯折れそう。」とピア美。
「前歯折れたらすっげぇブサイクだな。」とポスト。
「お前もな!泥棒猫。」
「はぁ?」
「しらばっくれないでよ!この泥棒猫!」
「ピア美それずっと言ってるよね。」とドンキ。
「何のことだかさっぱりなんだけど。」とポスト。
「どこまでとぼける気?蓮くんに告白されたの知ってるんだから!」
「そんなことあったっけ?」
「はぁ!?保健室よ!好きだって言われたでしょ?」
「あ〜…何か言ってたな。」
「えっ?付き合うの?」とドンキ。
「何で?」
「何で?って…。」
「そういうの興味ないし。」
「蓮くんに興味ないなら、誰に興味持つっていうのよ。」
「…ピア美好きなんだろ?」
「えっ?」
「だったら私は好きにならない。」
「ポスト…。」
「お前のほうが大事だ。」
「…ぶって。」
「はぁ?」
「一度でも、よろしくやってると思った私をぶって。」
「いいよ気持ち悪い。」
「フフっ… 」
「ハハハ。」
「みんな!ありがとう。こんな所まで、一緒に来てくれて。」とボンビ。
「何?今更…。」とピア美。
「あのママも、本当のママじゃなかったよね。知ってるんだ。」
「えっ?」
「伯母さんでしょ?本当は、途中から分かってた。」
「そう…。」とポスト。
「私がグズだから、伯母さんが、心配してくれたんだよね。
 ず〜っと、パパとママを忘れられないで、メソメソしてるから。
 ううん。伯母さんだけじゃなく、みんなが。」
「…」
「でも私、やっぱり、パパとママを忘れることなんてできない。
 大好きな、パパと、ママだから。」
「そうだよ。忘れなくていいと思う。」とドンキ。
「私達が忘れるのは、嫌なことだけ。」とピア美。
「ああ。前を向いて、いい思い出は全部、ポケットにしまおう。」とポスト。
「うん。」とボンビ。
4人は海に向かって手を広げ、拳をギュッと握りしめると、ポケットにしまう。

帰りの車の中
「チッ。こいつら大人になって彼氏ができても、居眠りこくんだろうな。」と佐々木。
「フッ。」ポストが笑う。
「起きてたのか?」
「彼氏に悪いから。」
「チッ。」
「ボンビ気付いてたよ。幽霊のママは伯母さんだって。」
「そんなわけあるか。」
「泣きボクロっていうの?付いてる位置がママと伯母さんは逆なんだってさ。」
「チッ。泣ける話だな。」
「…だけど。」
「あぁ?」
「…ありがとう。」
「あぁ!?」
「もういいよ。」


口の悪い魔王こと佐々木は、里親候補の書類から、彼らが里親に相応しいかどうか
ちゃんと見ています。
子供たちが幸せになれるかどうか…。

今回の主役はボンビ。
カレンダーの海の写真。
「災害が…嵐が…あいつの親を連れ去った。」
彼女の両親は、ボンビを小学校に迎えに行く途中嵐に遭い…
遺体が見つかっていないから、死を認められない。
ボンビと震災が重なり、同じような思いをしている子供のことを思うと
胸が締め付けられます。

佐々木は本当に口が悪いけれど、子供たちのことをちゃんと考えている。
ボンビを思い、叔母を呼び、幽霊を演じさせ…。
子供たちがそれを信じる!と思い込んでいるところがまたカワイイ。

佐々木は本当に香織さんの夫だった!?いや、元夫?

オツボネと香織さんが出会いました。
母親に捨てられたオツボネ。
子供を亡くした香織。
この二人、家族になれるのかな。
元夫(?)の佐々木が絡んでくると複雑だ〜。



公式HP


主題歌 - コトリンゴ「誰か私を」(commmons)
B00HS9Z36C誰か私を
コトリンゴ
commmons 2014-03-05

by G-Tools



B00HFA3VNG明日、ママがいない オリジナルサウンドトラック
音楽:羽毛田丈史
バップ 2014-02-26

by G-Tools



気になるセリフ
第1話
「どうした?芸の一つもできないのか?
 そんなことじゃ、もらい手はつかんぞ。
 いいか?ここにいるお前達は、ペットショップの犬と同じだ!
 ペットの幸せは飼い主で決まる。
 飼い主はペットをどうやって決める?
 かわいげで決める。
 時に心を癒やすようにかわいらしく笑い、時に庇護欲をそそるように泣く。
 初対面の大人をにらみ付けるようなペットなんざ、誰ももらっちゃくれない!
 犬だって、お手ぐらいの芸はできる。
 分かったら泣け。」(佐々木)

「いいか?よく聞け。
 お前達は、デカいみそが付いてんだ。
 親から捨てられた子供。それだけで十分、色眼鏡で見られる。
 世間はかわいそうと思ってくれるかもしれない。
 でもそれは、一時的な同情。無関係だから抱ける感傷だ!
 子供をかわいそうと思ってる自分に、酔ってるだけだ!
 みそ付きのお前らが、誰かに手挙げてみろ。
 あっという間に手のひら返しで、これだから親のいない子は!となる。
 そうなったら最後…お前らの人生詰むぞ!
 …先に手出したら負けだ。」(佐々木)

「くだらん理由で逃げ出して、犬のくせに尻尾の振り方も知らない。
 そんな犬は、いつ捨てられても文句は言えない。」(佐々木)

「私は、親が子供を選ぶ現在の制度に疑問を抱いてるだけです。
 子供にも、親を選ぶ権利があるはずです。
 あの子達には、自分だけの帰る場所が必要なんです。」(叶)
「…場所ね。必要なのは人じゃなく、場所か。」(佐々木)
「人に執着するのは…悲劇しか生みませんから。」(叶)

「人間の煩悩は…108つあるらしい。
 あと…何人だ。
 あと何人で108人になる。
 あと何人で俺は自由になれる…。
 そしたら…俺は…。」(佐々木)


キャスト
ポスト(9)(芦田愛菜)
ドンキ / 真希(9)(鈴木梨央)
ピア美(9)(桜田ひより)
ボンビ(9)(渡邉このみ)

オツボネ(17)(大後寿々花)
ロッカー(三浦翔平)

パチ(五十嵐陽向)
ハン(阪本光希)
リュウ(阪本颯希)

笹塚 蓮(藤本哉汰)

涼香(酒井美紀)

東條祐樹(28)(城田優)
東條の妻(Mailys Robin)
レイミ()

謎の女性(40)(鈴木砂羽)

アイスドール/水沢叶(25)(木村文乃)
ドンキと同じ年の頃、「お試し」を経験している。

魔王/佐々木友則(48)(三上博史)

第1話
加藤一郎(店長松本)
加藤久子(池津祥子)
細貝(西村和彦)
細貝晴美(櫻井淳子)

第2話
安田美智子(江口のりこ)
安田裕(長谷川朝晴)
川島(松重豊)
川島美鈴(大塚寧々)

スタッフ
脚本監修: 
 野島伸司
脚本: 
 松田沙也
演出: 
 猪股隆一
 鈴木勇馬
 長沼誠
チーフプロデューサー :
 伊藤響
プロデューサー:
 福井雄太
 難波利昭


芦田愛菜ちゃんの主な出演作品



三上博史さんの主な出演作品





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