2014年03月10日

明日、ママがいない 第8話

『少女が旅立つ時。子供たちの流す涙の訳』

ポスト(芦田愛菜)は朝倉(吉沢悠)の家に通い、ポストを亡くなった自分の娘・愛と呼ぶ
瞳(安達祐実)と共に日々過ごしていた。
瞳を「ママ」と呼ぶポスト。彼女の中で一つの幸せが流れ始める。

川島家でのお泊りの日。布団3組並べて眠る川島夫妻とドンキ(鈴木梨央)。
「私を生んだ時、痛くなかった?…痛かった?」
返事に戸惑う美鈴(大塚寧々)に川島(松重豊)は静かに頷く。
「フフっ。安産だったわよ〜。あなたはあの頃から、ママ思い。」
「でもね、大きな声で泣いてた。病院中に響き渡るぐらい大きな声で。」と川島。
「フフフ…。ハイハイしたり、立ったり、笑ったり。
 そのたんびに大喜びして、たくさん写真撮ってた。」
「初めてパパって呼ばれた時は泣いたな〜。」
「フフフ…泣いてた泣いてた。あなた幼稚園の入園式でも泣いてたじゃない。」
「えっ!?バレてたのか?」
「うん!フフフ…。」
「そして、9歳になりました。」
「まだ甘えん坊で、時々こうやって一緒に寝たがる。」
「私…2人の邪魔?」
「フフフ… 何言ってんだ。邪魔なもんか。」
「そうよ。そんなことあるわけないじゃない。」

別の日、ロッカー、オツボネとポストは香織が働くお弁当屋へ。
「日替わり弁当お待たせしました。
 …お弁当を買いに来ただけじゃなさそうね。」
「私達、誤解を解いておきたくて。」とオツボネ。
「誤解?」
「ドンキのほっぺたの傷。」
「ドンキ?」
「あれは魔王がやったんじゃない。あいつが転んでついた傷だ。」
「あの子が、嘘をついた?」
「嘘っていうか、怒られたから話をオ−バーにしたのかも。」
「言われて来たの?あの人に。自分のフォローをして来いって。」
「そんなこと死んだって頼むキャラじゃない。」
「…」
「新しい居場所を見つけることに、あそこまでこだわる人はいません。
 香織さんに、自己満足だなんて言ってほしくなくて…。」とオツボネ。
「魔王とアイスドールだからあんなことするんだ。」
「確かに、あの2人むちゃくちゃだもんね。」とオツボネ。
「やっぱり、むちゃくちゃなんだ。」
「むちゃくちゃ子供のことを考えてる・」
「…」

双子のハンとリュウは双子の男の子の受け入れを希望する牧場を経営する夫妻のもとへお試しに行く。
「この前は…すまなかったな。言い過ぎた。」佐々木が叶に言う。
「いえ。」
「あらためて言う。おめでとう。」
「あの…1つお聞きしてもいいですか?」
「何だ?」
「どうして、コガモの家を始めようと思ったんですか?
 刑事だったと、初めて知りました。
 仕事が生きがいだったんですよね?
 そんなあなたが、どうして?」
「むなしくなったからだ。
 人を騙し、傷つけ、果てはあやめてしまう。
 捕まえてみればどうだ。
 どんな凶悪犯でも、どこか共通してるものがある。」
「それは?」
「顔が浮かばないんだ。愛する人の顔が。
 衝動的な事件を別にすれば、普通の人間は、愛する人の顔を思い出せれば、思いとどまる。
 その人を失望させ、傷つけたくない。そう思って、思いとどまれる。」
「その顔を…子供のうちに見つけてあげるべきだと?」
「実の親、里親、養親、教師でもいい。」
「愛してくれた人の顔を。」
「決して、裏切ることのできない顔だ。」
「…」
「まぁ…きっかけは別のことだったがな。」
「お気の毒です。奥さんとの間の…失われてしまった、赤ちゃん。」
「…」

弁当屋
「もう一度、会ってみてもらえませんか?」とオツボネ。
「…」
「もう一度、話してほしいんです。」
「…」

夜、コガモの家
「ただいま!よかった!ごはんに間に合った!」とピア美。
「今日も練習だったの?」とボンビ。
「そう。先生のレッスン超厳しくてさ。参っちゃうよ。」
「ティエナの全国大会、もうすぐだよな。」とポスト。
「うん。絶対に金賞取る。このチャンス、逃さないからね。」
「金賞を取ったら、その次は?」とボンビ。
「いろんなコンクールにどんどん挑戦して、いっぱい賞を取って、
 天才少女として注目されるの!」
「それでそれで?」
「ピアノの腕と、この美貌で、美人ピアニストとして、華々しくプロデビュー!
 そして、向こうも、立派に成長した、蓮きゅんと…!」
「痛い!」とドンキ。
「あんたの話痛いってさ。」とポスト。
「お腹痛い…。」
「えっ?」
「大丈夫!? 救急車!」

病院の帰り、ドンキを背負って歩くロッカー。
そこへ、ポスト、ピア美、ボンビが駆けつける。
「ドンキどうだった?」
「うん。何かね、胃が荒れちゃっただけだった。」
「はぁ…。」「そう。よかった〜。」
「ロッカーもう大丈夫だよ。重いでしょ?自分で歩けるから。」
ロッカーは優しい笑顔で首を横に振る。
「神経性ってやつじゃない?」とポスト。
「えっ?」
「あんた最近ちょっとおかしいから。それと関係あるんじゃないの?
 あの時の顔の傷は魔王にやられたわけじゃない。
 なのにあんたは魔王の奥さんに…。」
「ポスト、よく分からないけど、またにしない?」とボンビ。
「ボンビのこと、ハンとリュウをあおって、ジョリピにチクらせたのもあんただ。
 ロッカーの時も、妊娠してる女の人を守るために手を出したって、どうして言わなかったんだ?
 言ってたらピア美だってあんなふうには…。」
「それは…。」とピア美。
「もういいよ、ポスト。」とボンビ。
「そうだよ。過ぎたことだし。」とピア美。
「責めてるわけじゃないんだ。知りたいんだよ。何でそんなことを…?ドンキ。」
「…」
「友達だから…。」
「…ごめんなさい。
 ごめんねボンビ。
 ごめんねロッカー。
 私、あのお試し先に行くようになってからおかしい。
 理由は分からない。
 でも苦しくて…どうしていいか分からなくて…。
 どんどん嫌な子になってる。」
「何か嫌なことがあったの?」とピア美。
「ううん。そんなことない。あの2人を…悪く思わないで。」
「…好きになっちゃったんだ。
 2人のこと、大好きになっちゃったんだよ。
 だからものすごく不安になっちゃってる。
 ママみたいにやっぱりいらないって言われるのが…怖くて…。」とポスト。
「そうなの?」「ドンキ…。」
ドンキはロッカーの背中で号泣し…。

ニッパチを幼稚園まで迎えに行くポストたち。
そこへニッパチの母親が迎えに来る。
「あっ。ママ!」
「会いたかったよ。」
「僕も!」
「もう二度と、ギャンブルなんかしない。」
「ホントに?」
「チュ〜!チュッチュッチュ〜!」
「無理!無理 無理!」
「フフフ…。ごめんね。もう離さないからね。」
ニッパチ、ポストたちにVサイン。

帰り道
「ニッパチよかったね。本当のママが迎えに来て。」とドンキ。
「また預けたりしなきゃいいけど。」とポスト。
「でも、いなくなると思うと寂しいね。」とボンビ。
「全然。」とピア美。
「最初のパチの時はみんな泣いてたのに…。」とドンキ。
「じゃあ私、寄るとこあるから。」とポスト。
「えっ?」
「ロッカーに晩飯いいって言っといて!」

「寄るとこって?」とドンキ。
「きっと先生のお家。」
「先生って…朝倉先生?」とボンビ。
「先生の子供、踏切の事故で亡くなったの。」
「えっホント?」
「私らと同じ年の子。」
「そうなんだ…。」
「ところがその先生の奥さん、ポストのことを自分の娘だと思い込んじゃったみたいなの。
 多分、死んじゃったって心が受け止められないのかもね。」
「私…分かるな。」
「ボンビ…。」
「や〜だ。私はもう平気だから。」
「ポスト、元気づけるために、その子のふりをしてあげてるんだよ。きっと。」
「でもそれって、いいことなのかなぁ?」とボンビ。
「…」

朝倉家
「おかえりなさい、愛。」
「ただいま!ママ。」

瞳が眠ったあと、そっとベッドから抜け出すポスト。

「いいよ。線路沿いを走ってちょいだから、1人で帰れる。」
「何言ってるんだい。教え子を1人でこんな夜に帰らすわけにいかない。」
「そう。」
「今は娘でもある。」
「過保護なパパだ。」
「フフ。だけど、不思議なんだ。」
「えっ?」
「どうして瞳は、あんなにも君を愛だと思い込めるのか。」
「…顔を知らないからかな。」
「顔?」
「私はママの顔を知らないから。
 こっちもこっちで不思議なんだ。
 私も初めて誰かのことを、素直にママって呼んでる。
 お試し先でだって、それだけは心からなかなか言えないのに。」
「…ホントにいいんだろうか?」
「何が?」
「何がって…。」
「私がいればママは死なない。そうでしょ?」
「ああ。だけど…。」
「誰も不幸にならない。」
「…君は?」
「…」

コガモの家に東條が訪れる。
「あなたもご存じだったんでしょうね。」
「何のことでしょう?」と叶。
「今さら寄付を取りやめるつもりはありません。」
「彼女が自身でしたことです。もともと、役所を通したことではありません。」と佐々木。
「子供の嘘を知りながら、どうして見過ごしたのかということを聞いてるんです。」
「そのことについては、私も本当のことを知りたいです。」と叶。
「…」
「私は男の子を望みました。彼女は嘘をついて私の家に来た。
 大人のあなたには、すでに結末が見えていたはずです。」

「ジョリピ…。」ロッカーがつぶやく。
「えっ?」
「…見せたいものがあります。」と佐々木。

子供部屋
「あの子が作って、ここに貼った。」
「アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピット…。
 2人は親のいない子供を養子として引き取っている。
 そういえばいつかあの子が僕と妻に…。」
「フフっ。
 すみません。この2人に、あなた達夫婦の姿を重ねていたんだなと…。
 子供の頃って、よくそういう妄想というか…。」と叶。
「妄想?」
「夢ですよ。
 ジョリピにもらわれたい。
 それがあの子の口癖だった。
 ばかげているが、そう言って、他の里親を拒否し続けていた。
 ジョリピ以外じゃ意味ない。
 だったら、本当のパパとママが迎えに来るのを待ってる。
 そう言って…。」と佐々木。
「迎えに来るはずは…決してないのに…。」と叶。
「複雑な、事情が?」
「いえ、シンプルだ。」と佐々木。
「彼女は、ご両親共に亡くなっています。」と叶。
「そんな…。」
「こうしてここに貼って、毎日のように腰を振って、頭を振っては、叫んでいた。
 夢を見て…。」
「…どんなふうに?」
「えっ?」
「腰を振って、頭を振っていたんですか?
 …こんな、ふうに?
 ジョリピ〜〜!」

「バカだなぁ。髪は女の子の命なのに…。」
帰り際、東條はそうつぶやく。

「もしかしたら、まだチャンスが…。」と叶。
「さぁな。」と佐々木。

ピアノのコンクール会場
「みんな来てくれたんだ。」と蓮。
「ピア美の、応援にな。」とポスト。
「少しは僕も応援してほしいな。」
「フッ。少しだけな。」
「金賞は彼女だよ。」
「えっ?」
「でしょ?みどり伯母さん。」
「あなたには失礼な話だけどね。」
「でも、前は蓮くんが金賞だったじゃない。」
「私が彼女の点を低くつけた分、この子が僅差で勝ったのよ。」
「マジで!?」
「あの子を天狗にしたくなかった。
 努力を怠ると、天才は逃げてしまう。」
「天才…。」
「どこまで伸びるか、想像もつかない。」

控室
「あらためて言うけど、顔だけならぶっちぎりで優勝なのに。」とピア美。
ボンビ、ドンキがピア美を見つめる。
「何?」
「サイン、もらっとこうかな〜。」
「今のうちにね。」
「はぁ?
 ポスト、悪いけど、今日もパパのこと探してくれる?
 本選だったら、来てないかな?…なんて。」
「…」
「何?あんたもサイン欲しいの?」
「…来てると思う。」
「えっ?」
「予選の時、ホントは来てたんだ。ピア美のパパ。」
「ホントに?ピア美のパパが?」とドンキ。
「ああ。だから今日も来てると思う。」
「何で今まで黙ってたのよ!」
「お前の邪魔になりたくないって、夢を壊したくないって、そう言ってたんだ。
 自分の所に来たら、食べて行くだけがやっとの生活になるって。
 …今日も来てる。でもお前の演奏を聴き終わったら…。」
ピア美が控室を飛び出す。

「マズいよポスト。何もこんな直前に…!」とボンビ。
「苦しかったね、ポスト…。」とドンキ。
「言わないでおこうかとも思ったんだ。だけど…。」
「天才だって、聞いたからね。」
「それでも負けない。元お嬢様は。」

客席
ピア美の父・鳥羽(別所哲也)が佐々木の隣りに座る。
「…この町から、離れることにしました。」と鳥羽。
「離れる?」
「あの子の近くにいると…苦しい。
 あの子の姿が見られなくなる場所まで…。」
「…そうか。…住所は?写真くらいは送ってやる。」
「いえ…。今日、目に焼き付けて行きます。」
「…今生の別れということか。」
「…」

ピア美がピアノを弾き始める。

コガモの家
ロッカーが持っていた郵便物から封筒を受け取るオツボネ。
「これ私の。
 ここを出た後のこと、そろそろ考えなきゃなって。
 看護学校なら資格も取れるし、目のことも勉強できるし、一石二鳥でしょ。
 それにお金は奨学金で何とかなるかなって。
 あとほら、見て。ここなら寮も完備。
 …ここを出た後、どんなふうに暮らすんだろう。
 合コンとかしちゃったり、彼氏とかできちゃったりするのかな。
 縁組は叶わなかったけど、まぁ最終的に、誰かのお嫁さんにもらってもらえればね。
 …まぁまずは、1人で強く生きて行かなきゃ。
 ねぇ。たまにはさ…遊びに来てもいいのかな?」
「…」オツボネいお茶を出すロッカー。
「冗談よ。いい年してホームシックかって、魔王に怒鳴られちゃうもんね。
 でも…
 やっぱり私ここにいたいかも…。
 ここにいたい…。」
「…」
ロッカーはオツボネの頭をポンポンと撫で…。

コンクール会場
父を思いながらピアノを弾くピア美だったが、途中で演奏をやめてしまう。

「ピア美…。」
「私のせいだ。」とポスト。

「…パパ〜!!パパ行かないで〜!!
 パパ〜!パパ〜!!」号泣するピア美。

ステージに駆け寄るポストたち。
「ピア美いいの?もう一度弾き直さなくて。」とドンキ。
「そうだよ。ピア美の夢なんでしょ?」とボンビ。

「そんなのいらない!
 一緒がいい!
 パパと!一緒がいい!
 パパ〜!!
 パパ〜!!」

「聞いただろ?娘の思いを。
 あれが全てだ。
 あの叫びを聞いて、それでも姿を消すなら、あんたは父親じゃなくなる!」
「そんなこと分かってる!…どうしようもないじゃないか…。」
「名前を呼ぶだけでいい。ただそれだけで。」

「パパ〜!!
 パパ〜!!
 パパ〜!」

「…直美〜!」
「…」
「直美〜〜!!」
「パパ…。パパ〜!」
「直美…。直美…。」
「ひどいよ〜!」
「ごめんな…ごめんな…。パパが悪いんだ…。」
「もう…いなくなったりしない?」
「ず〜っと一緒だ。ず〜っと一緒だ。
 ごめん…ごめん…。ごめんな…ごめんな…。」

ピア美と父親の様子に涙を流す子供たち。
ポストと目が合った佐々木は優しい表情で頷き…。

会場を出た佐々木の携帯が鳴る。

帰り道
「ピア美、幸せそうだったね。」とボンビ。
「ああ。」とポスト。
「6畳一間だけど。」
「お前どうしてそういうこと言うかな。」
「本当のパパか。何かうらやましくなっちゃった。」とドンキ。
「本当のパパと、6畳一間だけど。」
「しつこいっての。」
「アハハ…。」

「真希〜!ハハっ!」涼香が駆け寄る。
「ママ…。」

喫茶店
「…お前から、連絡をもらえるとは思わなかった。」と佐々木。
「子供達が来たの。私は、あなたを誤解していると。」と香織。
「…この店。」
「覚えていた?」
「懐かしい…。忘れるもんか。お前はちょうど、今座ってる席にいた。」
「私は、友達の結婚式の帰り、何だか人当たりしちゃって、2次会の誘いを断って…。」
「だから、カクテルドレスを。」
「オレンジ色の…。」
「夕日のような。
 …俺は通りを歩いていて…君を、見初めた。」
「見初めた…。そう。あなたは、夕日に染めると、かけたのよ。
 いきなり私の前に座って、そんなこと言って、何なのこの人。頭おかしいの?って思った。」
「怪しい者じゃない。」
「ええ。そう言って、警察手帳を出した。」
「…それが、始まりだった。長い、長い…。」
「物語の…始まり。」
「…もう一度、やり直させてくれ。」
「…」

ウエディングドレスを試着する叶。
「きれいだよ、とても。」と岩本。
「ありがとう。」

「私のほうは、両親はもちろん、親戚さえも…。」
「それは聞いたけど、何ていうか、やっぱり格好がつかないから、
 上司や恩師、なるべくたくさんの人を式には呼んでもらいたいんだ。」
「あの…。」
「ん?」
「1つお話ししたいことが。」
「何だい?」
「結婚後も、仕事を続けてもいいでしょうか?」
「ハハっ。約束が違うなぁ。君には家庭に入ってもらいたいんだ。」
「もう少しの間だけでいいんです。」
「無理だよ。僕の両親も、君がそうしてくれると言ったからこそ、了承してくれたんだ
 じゃなければ…。」
「親のいない私との婚姻は、反対された…?」
「…そうは言わないけど、妻として、ゆくゆくは子供の母として、
 新しい生きがい見つけてもらいたいんだ。」
「ええ。私もそういうつもりでした。」
「何なんだよ…。急に何だってんだ。
 ただのマリッジブルーじゃないの?僕のこと愛してるよね?」
「愛…?」

喫茶店
「あなたは…強い人ね。
 私がメソメソしていた間、すぐ何をすべきか考えて、実際に行動を起こした。」
「だからそれは、もう一度お前と…。」
「違う。あなたは、私とのことがなかったとしても、何かに突き動かされるように、
 目的を持って生きる人。
 常に、迷いがなく…前を向ける人…。」
「…」
「その間…私は何をしていたと思う?」
「俺はお前を愛してる!」
「…」
「愛してる!:
「…」
香織が立ち去る。

佐々木がコガモの家に戻ると、ポストとボンビが飛び出してくる。
「魔王何してたんだよ!何度も電話したのに、何で出ないんだよ!」
「何なんだ?」
「ドンキの、ママが!」

子供部屋、荷造りするドンキ。
「何してんだよ?」とポスト。
「ママね、あの彼氏と別れたんだって。
 やっぱり私のことが一番大事だって言ってくれたの。」
「お前そんなの…。」
「電車の時間があるの。」
「ドンキ。」
「…さようなら、2人とも。…元気でね。」
「…」

その頃ロッカーは川島家を訪れ…。
「来てください…。一緒に…来てください。」

コガモノイエ
「以上で、こちらの手続きは終了です。」と佐々木。
「いろいろと、ありがとうございました。
 真希〜!行くわよ〜。」

「ドンキ…。」

「魔王!」
「手続きは終わった。」
「渡しちゃうのかよ!ドンキまた同じような目に遭うよ。」
「決めつけんのはよせ。」
「あんただってそう思うんだろ?」
「…他の手続きは正常に済んでる。
 実の親が迎えに来たら文句は言えない。
 だからあのチビだって…。」
「嘘だ!ニッパチのママとは違う!そんなの分かってるくせに!」
「どうしようもないんだ!」
「…」

川島の車の中
「…しかし、実の母親が迎えに来たというのなら、私達にはどうすることも…。」
「でもせめて…お別れぐらいは言いたい。」美鈴は泣いていた。

コガモの家
「ほら、ご挨拶は?」
「今まで…ありがとうございました。」
「ドンキ…。」

川島の車が停まる。

「チッ。バカが…余計なことを。」と佐々木。

「誰?」と涼香。
「私のお試し先の…。」

「あぁ、里親候補とか、そういうのあったんだったわね〜。
 娘がお世話になったそうで。」
「いえ…。」と美鈴。
「でも、もう必要ありません。」
「…」
ドンキの手を優しく握りしめる美鈴。

「すいません。あの、電車の時間が…。真希行くわよ。」
涼香はドンキの腕を強く引っ張る。
「うっうっ…痛い!」
その声につないでいた手を放す美鈴。

「ドンキ!
 言わなきゃダメだろ!
 もしもまた捨てられちゃうぐらいなら、一度捨てられたママのほうがまだ耐えられる。
 大好きになっちゃった2人にいらないって言われたくない。
 そうなるぐらいなら…だから!」とポスト。
「…」

「…真希。」と川島。
「真希ちゃん。」と美鈴。

「真希!いいかげんモタモタしないで行くわよ!」

「ちょっと…待ってください。」
佐々木はそう言うと、水たまりに頭を付け土下座する。

「魔王…。」

佐々木が真希に語りかける。
「私は、コウノトリです。
 少子化の日本とはいえ、私達の数も足りず、てんやわんやの忙しさです。
 言い訳するつもりはありませんが、時々、間違えてしまうことがあるんです。
 時々、間違えて、赤ちゃんを別の人の所に届けてしまうんです。
 そこであなたに、もう一度、ホントのママを、選び直していただきたいんです。」

「ちょっと!何言ってるの?あなた。」と涼香。

「産んだのが親ではありません。
 いっぱいの愛情を持って、育て上げるのが本当の親なんです!
 事実の親と、真実の親は違うんです!」

続いて叶が膝をつく。
「…私は、コウノトリです。
 どうか、お願いします。
 もう一度、この子を届けるはずだった、正しい親の元へ戻す機会を、お与えください。:

ロッカーが土下座する。

「何なの?あなた達。一体何のまね?
 ふざけないで!!
 真希行こう。」
「…」
「ちょっと真希!真希!」
「…」

「ドンキ。」
「ポスト…。」
ポストがドンキに頷くと…真希は涼香の手を振りほどき、川島夫妻のもとへ。
美鈴に胸に飛び込み号泣する。

「あ〜!!
 なんて子なの!?
 誰が産んであげたと思ってんのよ!
 恩知らずにも程があるわ!」

涼香の言葉から真希を守る川島夫妻。

「…勝手にすればいいわ。
 どうせ…私の足手まといになるだけなんだから。」
泣きながら立ち去る涼香。

「ありがとうございました。」と川島。
「大切に…大切に育てますから。」と美鈴。

ホームに戻る佐々木とポスト。二人は目で語り合い…。



「普通の人間は、愛する人の顔を思い出せれば、思いとどまる。
 その人を失望させ、傷つけたくない。そう思って、思いとどまれる。」
 実の親、里親、養親、教師でもいい。」
「愛してくれた人の顔を。」
「決して、裏切ることのできない顔だ。」

冒頭の佐々木と叶の会話、そしてラストの土下座、コウノトリの話にぐっときました。

ニッパチは母親のもとに。
ピア美(直美)は父のもとに。
ドンキ(真希)は実の母ではなく、川島夫妻のもとに。

大好きだから嫌われたくない。捨てられたくない。
親から愛情を注がれずに育ったから、愛し方、愛され方がわからず
真希は情緒不安定になってしまっていたのですね。

母に捨てられた真希は産みの母を捨て、優しい家族を見つけました。
涼香のナイフのような言葉が真希に届かぬよう、真希の耳を塞ぎ優しく抱きしめる川島夫妻。
このドラマを見ていて何度か「北風と太陽」を思い出したけど、
涼香と美鈴は北風と太陽のようでした。

さて、次週最終回。いろいろな騒動で短縮されてしまったのかな…。
ボンビはジョリピのもとへ!?
魔王は香織さんと復縁できるか!?
アイスドールは破談になってロッカーと!?
オツボネはホームに残ることになるのか?
そしてポストは愛の代わりとしてでなく、本当の名前で呼ばれるようになるのか?



公式HP


主題歌 - コトリンゴ「誰か私を」(commmons)
B00HS9Z36C誰か私を
コトリンゴ
commmons 2014-03-05

by G-Tools



B00HFA3VNG明日、ママがいない オリジナルサウンドトラック
音楽:羽毛田丈史
バップ 2014-02-26

by G-Tools



気になるセリフ
第1話
「どうした?芸の一つもできないのか?
 そんなことじゃ、もらい手はつかんぞ。
 いいか?ここにいるお前達は、ペットショップの犬と同じだ!
 ペットの幸せは飼い主で決まる。
 飼い主はペットをどうやって決める?
 かわいげで決める。
 時に心を癒やすようにかわいらしく笑い、時に庇護欲をそそるように泣く。
 初対面の大人をにらみ付けるようなペットなんざ、誰ももらっちゃくれない!
 犬だって、お手ぐらいの芸はできる。
 分かったら泣け。」(佐々木)

「いいか?よく聞け。
 お前達は、デカいみそが付いてんだ。
 親から捨てられた子供。それだけで十分、色眼鏡で見られる。
 世間はかわいそうと思ってくれるかもしれない。
 でもそれは、一時的な同情。無関係だから抱ける感傷だ!
 子供をかわいそうと思ってる自分に、酔ってるだけだ!
 みそ付きのお前らが、誰かに手挙げてみろ。
 あっという間に手のひら返しで、これだから親のいない子は!となる。
 そうなったら最後…お前らの人生詰むぞ!
 …先に手出したら負けだ。」(佐々木)

「くだらん理由で逃げ出して、犬のくせに尻尾の振り方も知らない。
 そんな犬は、いつ捨てられても文句は言えない。」(佐々木)

「私は、親が子供を選ぶ現在の制度に疑問を抱いてるだけです。
 子供にも、親を選ぶ権利があるはずです。
 あの子達には、自分だけの帰る場所が必要なんです。」(叶)
「…場所ね。必要なのは人じゃなく、場所か。」(佐々木)
「人に執着するのは…悲劇しか生みませんから。」(叶)

「人間の煩悩は…108つあるらしい。
 あと…何人だ。
 あと何人で108人になる。
 あと何人で俺は自由になれる…。
 そしたら…俺は…。」(佐々木)


キャスト
ポスト(9)(芦田愛菜)
ドンキ / 真希(9)(鈴木梨央)
ピア美(9)(桜田ひより)
ボンビ(9)(渡邉このみ)

オツボネ(17)(大後寿々花)
ロッカー(三浦翔平)

パチ(五十嵐陽向)
ハン(阪本光希)
リュウ(阪本颯希)

笹塚 蓮(藤本哉汰)

涼香(酒井美紀)

東條祐樹(28)(城田優)
東條の妻(Mailys Robin)
レイミ()

謎の女性(40)(鈴木砂羽)

アイスドール/水沢叶(25)(木村文乃)
ドンキと同じ年の頃、「お試し」を経験している。

魔王/佐々木友則(48)(三上博史)

第1話
加藤一郎(店長松本)
加藤久子(池津祥子)
細貝(西村和彦)
細貝晴美(櫻井淳子)

第2話
安田美智子(江口のりこ)
安田裕(長谷川朝晴)
川島(松重豊)
川島美鈴(大塚寧々)


第3話
吉田アズサ(優希美青)
吉田弓枝(澤田育子)
吉田正一郎(吉野容臣)
三田村(犬山イヌコ)

オツボネの母親(西尾まり)

第4話
ボンビの伯母(遠山景織子)
酒井祥子(林田麻里)
酒井大輔(杉田吉平)

第5話
山口(松林慎司)
山口潤子(高橋かおり)

岩本(川村陽介)

五十嵐みどり(高橋ひとみ)

ピア美の父(別所哲也)

スタッフ
脚本監修: 
 野島伸司
脚本: 
 松田沙也
演出: 
 猪股隆一
 鈴木勇馬
 長沼誠
チーフプロデューサー :
 伊藤響
プロデューサー:
 福井雄太
 難波利昭


芦田愛菜ちゃんの主な出演作品



三上博史さんの主な出演作品



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