2014年03月17日

明日、ママがいない 最終話

『私の名前を呼んで…最後までありがとう』

ポスト(芦田愛菜)は瞳(安達祐実)のために、彼女の亡くなった娘・愛として
朝倉(吉沢悠)の家に通い続けていた。

朝倉家
「ねぇ愛、これ見て。赤ちゃんの頃の愛。」
「…これ私?」
「そう。こんなに小さかったんだよ。
 ママもまだ若くて、周りからはね、子供が子供を産んだなんて言われちゃって。」
「フフフ。」
「フフフ。ママ童顔だもんね。」
「うん。それからね〜。あっ!これは、入園式の。」
「そう…。」
「…」
「ママ…?…ママ?ママ?」
「えっ?…どうしたの?愛。」
「ママ…。」
「愛。」

娘の位牌を抱きしめていた朝倉は、階段の音にあわてて遺影を仏壇に戻す。
「瞳は?」
「寝たよ。」
「それは?」
「隠しといて。」ポストの手にはアルバム。
「えっ?」
「混乱しちゃうみたいだから。」
「あっ…そうか。分かった。」

コガモの家
「遅くまですみません。病気の妻を、彼女が毎晩のように元気づけてくれまして。」
「病気?」と佐々木(三上博史)。
「心の、問題で…。」
「先生の娘さん、踏切の事故で…。そういう訳だから。
 じゃあまた明日。」とポスト。
「もっと早くホームに戻れるようにします。門限を聞いたのが、ついさっきだったもので。」
「そういう事情であれば…。」
「いえ。…失礼します。」

子供部屋
「ボンビ寝たのか。」
「おかえりポスト〜!」
「ドンキ!ピア美も!お前ら何でここにいるんだよ。」
「いや〜荷物を取りに来ただけっていうか。」とドンキ。
「う〜ん。ボンビがどうしてるか気になったっていうか。」とピア美。
「その割にさっきまで、ポストいつ帰って来るかな〜って、そわそわしてたくせに!」とボンビ。
「うるさいな!」
「アハハ…お前ら泊まるつもり?」
「まぁ、要するに今晩は…!」
「キャハハ!」
「ひと晩中!女子会トークで!」
「あるある!分かる分かる!」
「盛り上がりたい気分ーーー!」
子供たち、大はしゃぎ!

ドンキ(鈴木梨央)と川島家の縁組が決まったのをはじめ、コガモの家の子供たちは
新しい人生の第一歩を踏み出そうとしていた。
ピア美(桜田ひより)は実父と暮らすことになり、転校が決まる。
この先、もうピアノを弾く機会はないかもしれないと万感の思いを込めて音楽室のピアノを
弾いていたピア美の前に、みどり(高橋ひとみ)が現れる。
「転校するんですってねぇ。」
「はい。」
「あなたの引っ越し先から都内までの時間はどれくらい?」
「1時間くらいです…。」
「明日から私のスタジオに来なさい。」
「えっ?」
「一日でも指の感触を空けてはダメ。毎日レッスンを続けるわよ。」
「だけど…!怒って…ないんですか?全国大会のこと…。」
「怒る?」
「私は…ピアノよりパパをとったのに…。」
「どうして一つだけしか選んではいけないと思うの?」
「でも…レッスンのお金も…。」
「くだらないことは言わないで。」
「先生…。」
「お礼ならあの子に言いなさい。」
「えっ?」
「天才ピアニストなんだろう?その恩師って呼ばれたくないの?
 はっきり言って…呼ばれたいわね。」
「ポスト…。」

香織のアパート
「フフフ…。でもよかった。香織さんコガモに引っ越して来てくれるんですね。」とオツボネ。
「…遠くに…行くわ。」
「えっ?…それ魔王…ご主人は?」
「…これを、あの人に渡してほしいの。」
「ダメです!…そうだ。遠くに行っても、元刑事だし、すぐ見つけちゃいますから。」
「あの人とは…話をしたわ。初めて出会った、思い出の喫茶店で。」
「それで?」
「愛してる…そう言ってくれたわ。今でも変わらず。」
「だったら…。」
「あの人が警察を辞めて、あの家を立ち上げて、慣れない子供達と向き合っていた時、
 私…何していたと思う?
 …男の人と一緒にいたの。」
「まさか…。」
「辛くて…寂しくて…そんな事情も知らず、ただ優しくしてくれた人と出会って…。
 ううん。そんなの、言い訳にならないわね。
 ただ…逃げていただけ。
 それがホントの、正直な理由。
 あの人の元に…戻れない。」

橋の上、一人で夕焼けを見つめるポストに抱きつくピア美。
「痛い、痛い。何なんだよ?いきなり。」
「五十嵐先生に…。」
「あぁ…。本番直前でさ、パパがいるなんて言っちゃったじゃん。
 責任感じてたからさ、私なりに…。」
「いや、違う。あんたは私のために、パパのこと黙っていてくれた。
 でもギリギリになって教えてくれたのも、やっぱり私のため。」
「だから…。」
「そして今度もまた、私のために、先生の所に行ってくれた。」
「それは…。」
「頼んじゃないのに。」
「えっ?」
「全部頼んじゃないのに!」
「…」
「…ありがとう。ありがとう…ポスト。」
「よせよ。」
「私、コガモに初めて来た時、すごく不安で…。
 魔王は怖いし、オツボネは不気味だし…。」
「みんな最初はな。」
「だけど…あんたがいた。
 あんたがいたから、パパに捨てられて悲しかったけど…。
 寂しくはなかった。」
「悪いけど…有名になってから言ってくれ。」
「ハハっ。」
「フフっ」

「君達!」蓮が声をかける。
「蓮きゅん!…まさかここで待ち合わせ?」
「はぁ?」
「あいびきかい!」
「はぁ〜〜っ!?」

コガモの家
「手続きはこれで全て完了です。これからあの子を、家へ送ります。」と叶。
「で、お前はいつ辞めるんだ?」と佐々木。
「何の話です?」
「仕事だよ。寿退社するんだろうが。」
「…時期はまだ検討中です。」
「そうか。」
「この仕事を辞め…まずは、市議会議員に立候補する準備を始めます。」
「市議?」
「子供の居場所を、自分達の目で見つけさせる。
 その意志を遂げるためにはどうすればいいか、私なりに考えた結果です。」
「まだまだこの国に課題はたくさんある。子供のために、闘うか。」
「はい。」
「専業主婦をご希望の、旦那も折れたか。」
「ええ…。」

子供部屋
「ドンキ。幸せにね。」とボンビ。
「…」
「どうした?」とポスト。
「だって…私だけ…。」
「はぁ?あんた何言ってんの?ずうずうしい。
 私らだってすぐに追っ掛け幸せになるっちゅう話よ。
 なぁボンビ。」
「そうよ。ちょっと、出遅れただけ。」
「…」
「ドンキ。もうそんなふうに誰かの顔色なんて、うかがう必要はないのさ。」
「…私、ここに来てよかった。」

「お世話になりました。」
「お前、もう二度と戻って来るなよ。」と佐々木。
「はい。コウノトリさん!」
「チッ。」
「いつも笑顔でいます。」
真希がロッカーにそう言うとロッカーや優しく微笑む。

「じゃあ行くわよ。」と叶。
「さようなら。」とボンビ。
「真希。」とポスト。

踏切を越え、ポストは朝倉家へ向かう。
「おかえり、愛!」
「ただいま!ママ。」

弁当屋のそばに車を停める佐々木。店員は…香織ではなかった!

オツボネが車の窓を叩く。
「何だ!?」
「香織さんからです。」
預かった手紙を渡すオツボネ。
「…お前、あいつのアパートの場所分かるか?」
「はい。」
「乗れ!!」

『この手紙をあなたが読む時、私はもうどこかに消えているでしょう。
 でも今度は逃げるわけではありません。
 あなたともう一度出会い、話をして、私もあの子のために人生を前に進まなければいけない、
 そう思えたからです
 『愛している』と言ってくれた時、ホントはとても嬉しかった。
 だけど、私も年を取ったのね。単純にその言葉を信じたりはしない。
 あなたのその言葉は、優しさや、罪悪感から出て来たもの。
 でも、その優しさは、女にとっては残酷な優しさでもあるのよ。
 あなたは強過ぎる。
 あなたは、私には、優しくて…強過ぎたの
 もう大丈夫よ。心配しないで。
 私も今度こそ、あの子に恥じないように生きて行くつもりです。
 私達の失った、あの子のために。』

アパートはもぬけの殻だった。

グラウンド、杖を捨て、サッカーボールを蹴る佐々木。
転んだ佐々木にオツボネが駆け寄る。
「魔王…!」
「…」
「魔王!」
「…。帰るか。」
「はい!」

コガモの家、ボンビビ(渡邉このみ)は夢の中。
「おはよう。もう起きなさい。」と東條(城田優)。
「あと5分だけ…。」
「そろそろ出掛けないと。」
「夢の国に?」
「ああ。夢の国に。」
「…」

「おいボンビ起きろ!いいかげん起きろよ!」とポスト。
「う〜ん?え〜!」
「来てるぞ!ボンビ。」
「夢の国に?」
「下に来てるんだよ!」
「誰が?」
「ジョリピがだよ。」
「えっ?」
「お前を迎えに来たんだよ。」
「お迎え?私、死ぬの?」
「ハァ〜。お前は長生きする!
 いいか?ジョリピがお前を養子にしたいって迎えに来たんだ。」
「えっ!?」
「よかったなボンビ。さぁ、下に行こう。」
「…行かない。」
「えっ?あっ…ちょっ…。えっ?」
ポストを部屋から追い出すボンビ。

「どうしたの?」とオツボネ。
「あいつ行かないって言うんだ。」
「どうして?」

「帰ってもらって!」
「ジョリピが来たのよ!」
「この前まで、男の子が欲しいって言ってたのに、今更心変わりするなんて、信用できない!!」
「それは…。」
「それに、あのお家の子になって、その後に、あの2人の本当の子供ができたらどうするの!?」
「それは…。」
「そしたら私なんて、いらないって言われちゃうじゃない!」
「それは…。」「それは…。」
「そこらへんのこと、取材して来て!」
「…」

ドタドタドタ。
「…ってボンビが。」とポスト。
「たとえ僕達に子供ができたとしても、誓って、分け隔てなく愛するよ。」

ドタドタドタ。
「ハァハァ…。…だってさ。」
「私、ホラー映画が好きなこと、まだジョリピに言ってなかったの。
 それでもいいか、聞いて来て!」
「ゾンビ…あっじゃなくてボンビ。」とオツボネ。
「聞いて来て!」

ドタドタドタ。
「ハァハァハァ…。…って言ってるんですけど。」
「それなら、部屋を真っ暗にして、みんなでワ〜キャ〜騒ぎながら見ればいい。」

ドタドタドタ。
「ハァハァ…。」
「誕生日には、お菓子の家に入ってず〜っと食べるの。
 それが夢なの!叶えられる!?」

「ハァ〜。ったく何なんだよボンビの奴。」

「いいかげんにしないか!
 そんなわがままを言って、何がしたいんだ?
 試してでもいるのか?
 不満があるなら目を見て言えばいい
 僕は全部聞く。
 家に来たくないっていうなら、はっきりそう言えばいいんだ
 …もううんざりだ。」東條の声。
「待ってください。ボンビは、ちょっと動揺して…。」ポストの声。
「そうです。決してあの子はそんなに悪い子じゃないんです。」オツボネの声。
「悪いけど帰る。
 僕らだって、これまでたくさん悩んで考えて来たんだ。
 男の子を望んでいたのも本当だ。
 でもあの子の思いを受けて決断した。
 なのにからかわれているなら…侮辱するなら帰る。」
「待って!」
「行かないで!」

3人のやりとりにあわてて部屋を飛び出すボンビ。
「な〜んちゃって。」東條がいた。
「…私。」
「うん。」
「私なんかより他に…。」
「うん。」
「男の子じゃないし…。」
「うん。」
「よく食べるし…。」
「うん。」
「もっと、あなた達にふさわしい人が…。」
「…嫌だ。」
「えっ?」
「君がいい。
 君じゃなきゃ、嫌だ。
 優衣子。
 君が欲しい。
 約束するよ。優衣子を、幸せにするって。
 だから、優衣子も、約束してくれるかい?
 僕達を、幸せにするって。」
「どうしたら…。」
「いつも、笑顔でいてくれればいい。」
「…うん。」
「それで決まりだ。」
東條が差し出した手に自分の手を重ねる優衣子。
「これで決まりだ。」

東條に抱っこされ下に降りてきた優衣子。
「あの〜…。生でやってもいいですか?」
「あぁ?」と佐々木。
「ああ。」とポスト。
「さぁ!皆さんもご一緒に!せ〜の…。」
「ジョリピ〜〜!」
「チッ。」


「寂しくなっちゃったわね。1人減り…2人減り…。
 ポスト、私もね、出て行くの。」とオツボネ。
「えっ?」
「看護学校の寮。」
「オツボネ看護師さんになるの?」
「うん。コスプレ似合いそうでしょ?」
「まぁね。」
「フフフ…。ごめんねポスト。1人残して。」
「…私も出て行くんだ。」
「えっ?」
「担任の先生のとこ。私と同い年の娘さん、踏切の事故で亡くしちゃって」
「ポスト…」
「あっ。誤解しないで。別に同情して行こうってんじゃないから。
 先生はもちろん優しいし、何よりその奥さんのこと…好きなんだ。
 黒い瞳いっぱいに私が映ってると、とっても嬉しい。」
「そう。」
「私も幸せになる。…絶対幸せになってやる。」
佐々木はその言葉を聞いていて…。

朝倉家
「愛下ろした髪も似合うね。」
「ホント?」
「うん。女の子らしくなる。優しい女の子の顔になる。
 …」
「どうしたの?」
「今…声が聞こえた。」
「えっ?」
「愛の声が聞こえた。」
「何言ってるの?私ここにいるじゃない。」
「ほら!また…。ママって…。」
「疲れたのかな?もう休んだほうがいいんじゃない?」
「ええ…。そうね…。」

踏切を越え、コガモの家に戻るポスト。

子供部屋、ロッカーが食事を運ぶ。
「いらないって言ったのに。
 …分かったよ食うよ。食えばいいんだろ。
 …ロッカー…苦しいよ…。
 人を好きになるって…こんなに苦しいの?
 自分が自分でなくなっちゃうよ。
 何言ってんだろ…。私はそれを選んだのに。
 自分じゃなくなってあの子になる。
 愛に…。」
「…」
ロッカーは泣きながらそう語るポストの隣に座り…。


ドンキ、ピア美、ボンビは、ポストのために集まり…。

コガモの家
「婚約…解消されたの。
 そりゃそうよね。専業主婦になるって、家庭に入って、良き妻、良き母になるって
 約束したんだから。」叶がロッカーに言う。
「…」
「前に…私達に守るものは何かって話したわよね。
 プライド。
 何も持たない私達に、唯一残されたものがそれ。
 冗談じゃない。私達はかわいそうなんかじゃない。
 でもそれって…プライドって、自分自身でしか守れない。
 そう思わない?ロッカー。」
「愛…。」
「愛してたんじゃないのかって?
 そうね…。正直、愛って何なのかすら、まだ分からないのかもしれない。
 揺るぎない自分ができてからでいい。母親になるのは。
 じゃないと…。」
ロッカーが手を差し伸べる。
その手を取る叶。
「…これだけでも、前進してるわよね…。」
ロッカーが頷く。

そこへ、ドンキたちがやってきた。
「あなた達、どうしたの?」

公園、赤い花に、愛の赤いくつを重ねる瞳…。

コガモの家
「ポストは先生の娘さんの代わりなんです。」とドンキ。
「どういうこと?」と叶。
「踏切の事故で…亡くしたらしい。」と佐々木。
「知ってたんですか?」
「ああ。」
「それなのにどうして?」
「あいつが望んだ。お前達と同じように、あいつが自分で選んだ。違うか?」
「それは…。」
「言葉は悪いけど、理想的な環境なのかもしれない。
 親と子が、お互いをいたわり合える。」と叶。
「その通りだ。
 自分が必要だとされる場所に行きたい。
 あいつらしいじゃないか!」
「確かに、ポストらしいです。
 自分のことは置いておいても、誰かのためになるならって。」とドンキ。
「そうだよ。いっつも私達のために。」とピア美。
「うん。」
「だったらいいだろ!問題ないだろ!何なんだ?お前らは。
 自分達はそれぞれ幸せが見えて来たから、あいつだけ何だかふびんにでも見えんのか?
 帰れ!お前らそれぞれ、自分の居場所に帰るんだ!」
「愛…。
 奥さんは、ショックで子供の死を認められなくて、
 ポストに自分の娘さんを重ねているんです!」とピア美。
「だから!愛ちゃんという名前で、返事をして。」とボンビ。
「娘そのものになろうとしている。…施設長。」と叶。
「…それでも…あいつが望んだことだ。
 自分を消してもいい。それだけ、その母親を好きになったんじゃないのか?」
「そうかもしれませんけど…。」とドンキ。
「あいつなりに、初めてつかもうとしてる幸せなんじゃないのか!?形はどうであれ!」
「そんなの私だったら耐えられない!」とピア美。
「お前はあいつじゃない!ひとの幸せを、自分の尺度で測るな!」
「だけど…!ポスト…。」とボンビ。
「自分でそう名乗ることに、あいつは疲れたんじゃないのか?」
「施設長…もしかして、コガモを閉鎖するおつもりですか?
 あなた自身、とっても疲れて…。」とオツボネ。
「…」

「…そうだよね。ポストは誰の言うことも聞かない。
 ずっと、1人だったから…。」とピア美。
「でも私怖い。何だか…ポストが壊れちゃいそうで。」とドンキ。
泣き出す子供たち。

車に乗り込む佐々木の前にロッカーが立ちはだかる。
「何だ!」
ロッカーの手にはポストの髪留め。
「そんなもん…もういらん。いいからどけ!」
「戻ります。」
「あっ?」
「あなたが言えば…。」
「そんなわけないだろう!あいつは誰よりも俺に逆らって…。」
「…産んだのが親じゃない。」
「それがどうした?」
「赤ちゃんから…。育てたのはあなただ。」
「…」
「だからあの子は…あなたによく似てる。…とてもよく。」
「…あいつが決めたんだ!!」

朝倉家、里親請書に署名する朝倉。
「ただいま〜。」瞳とポストが帰宅する。
「あら。お客さん?」
「…ああ、前のマンションの買い手がようやくついて。」書類を隠す朝倉。
「お茶入れましょうか?」
「お構いなく。私達すぐに引き揚げますので。」と叶。
「そんな、お気になさらず。」
「あっ私がやるから。ママ疲れたでしょ?2階で休んだら?」
「大丈夫よこれくらい。」

心配そうに瞳を見つめるポスト。
そんなポストの表情を佐々木は見ていた。

「ありがとうございました。手続きは以上で終了になります。」と叶。
「こちらこそ。わざわざありがとうございました。」と朝倉。

「お嬢さんの…遺影はどちらに?」と佐々木。
「えっ?」
「この間の、事故のことをお聞きして…線香の一本でも。」
「事故…。」と瞳。
書類を握りつぶす佐々木。
「なっ…。」
「この契約はやめだ!」
「魔王…?何すんだよ!?」
「帰るぞ。」
「バカ野郎!なんてことを…。」
「施設長。」と叶。
「ふざけんなよあんた!」
「愛!愛!愛…。何するんですか!?」
「その子は…あんたの子供ではない。」
「何言ってるの?あなた!」
「やめてください!妻は…。」
「いいか?よく聞け。
 子供を壊すぐらいなら、大人が壊れろ!
 その子は、あんたの子供じゃない!!」
「…」
「気持ちは分かる。
 俺も自分の息子を…死なせてしまった。
 妻は苦しみ、それを癒やすのに、長い長い時がかかった。
 ゆっくりでいい。…ゆっくりでいいんだ。
 やがて時が…。」
「…」
「この子は、私の施設にいる子供です。
 親の顔を知らない。
 もしかしたらそのことが、あなたの中で、亡くなったお嬢さんと、
 不思議なことに、重ねやすくしてしまったのかもしれない。」
「…」
「でも違和感はある。
 当然です。
 それはやはり、無理があるからです。」
「私…。」
「あなたはそのことに気付いている。
 時々、現実に戻るんじゃありませんか?」
「私は…。」
「この子は、あなたの顔色ばかりうかがっていた。
 片時も目を離さず。
 それは、この子自身が、それを感じておびえているからです!」
「違う…。」とポスト。
「この子も…あなたを求めた。
 あなたを、本当のママのように、心から求めた!」
「やめろ。」
「愛という、あなたのお嬢さんそのものに成り切ろうと!」
「…」
「よく見てください。もう一度、よく見て!
 この子は、あなたの娘ですか?」
「…」
「ママ…。」
「違う…。」
「ママ…。」
「違います…。」
「ママ〜!」
「ごめんなさい…。」
「ママ〜!!」
「ごめんなさい。ごめんなさい…。」
「…どうして。」

コガモの家
「じゃあロッカー、行くね。
 …お世話になりました!
 じゃ。」

そこへ叶がやってくる。
「水沢さん…。」
「どこ行くの?」
「どこって…もう私18になるから。」
「行く当てはあるの?」
「はい。…看護師を目指して、その寮に…。」
「ここから通えばいいじゃない。」
「えっ?」
「施設長から言づてを頼まれたわ。
 もらい手がつかなかったら、ここで引き取るしかないだろ。」
「…」
「以上よ。」
「…いていいの?私…。ずっとここに…。」

夕暮れの道を歩く佐々木、ポスト。
「夕日が、キレイだな。」
「ふざけんな!一体何なんだ…。何でこんな…。」
「仕方ないだろ。」
「何が仕方ないんだよ!…せっかく私だって…幸せを…。
 幸せを…。
 何で邪魔したんだよ!!」
「…うるさい!!…いいか?一度しか言わないから…よく聞け。
 …寂しい。」
「えっ?」
「お前がいなくなると、俺が寂しいんだ!」
「…」
「お前は…愛という名前じゃない。
 お前は…俺の娘だ。
 …娘だ。」
佐々木がポストを優しく抱きしめる。ポストは佐々木の胸で号泣し…。

遊園地で遊ぶ佐々木とポスト。
「手放された子供は辛いよね。」
「手放した親も、後悔して生きなくちゃならない。
「どうしたらいいのかな?」
「それを考える。ず〜っと考える。」
「私も考える。」
「みんなで考えるんだ。」
「フッ。カッコいい〜!」
「チッ。」

手をつないで帰る二人。
プリクラ写真には、『パパ キララ』と書かれていて…。


ドンキは真希に。
ボンビは優衣子に。
そして、ポストはキララに!
子供たちは自分たちが捨てた名前を、自分から取り戻すことができました。
ポストの名前、本当にキラキラネームだった!


子供を捨てた親、子供を亡くした親、親に捨てられた子供、親を亡くした子供、
誰かを責めるわけでなく、
『どうすればいいのか?これからずっと考える。みんなで考える。』

ドンキの母親は娘を捨てたり迎えに来たり、自分勝手だったけれど
最後は娘の幸せを認め、嫌われて去っていった。

香織さんも佐々木と向き合い、やっと歩き出すことができた。

ピア美の父親も、子供のためを思って手放したのだけど
子供たちに何が大切なのかを教わり、娘と生きていくと決めた。

アイスドールこと叶は、誰かに幸せにしてもらうことよりも
プライドを守って生きる道を選んだ。

108の煩悩に取り憑かれていた佐々木は、108人の子供の幸せを見つけ、
最愛の娘と出会うことができた。
「愛」として瞳に愛されるポストは、幸せな笑顔以上に不安な表情が多かった。
誰かの代わりに愛される…それもひとつの愛なのかもしれない、
そう思っていた佐々木は、実際に愛として過ごすポストを見て、
やっぱり間違っていると気づいた。

遊園地で遊ぶ魔王とポストの表情が良かった。
魔王パパとキララ。本当の親子のようにぶつかり合いながら、
いい親子になっていくんだろうな〜。


『どうすればいいのか?これからずっと考える。みんなで考える。』
と問いかけての終わり方に納得。いい余韻を残してくれました。



公式HP


主題歌 - コトリンゴ「誰か私を」(commmons)
B00HS9Z36C誰か私を
コトリンゴ
commmons 2014-03-05

by G-Tools



B00HFA3VNG明日、ママがいない オリジナルサウンドトラック
音楽:羽毛田丈史
バップ 2014-02-26

by G-Tools



気になるセリフ
第1話
「どうした?芸の一つもできないのか?
 そんなことじゃ、もらい手はつかんぞ。
 いいか?ここにいるお前達は、ペットショップの犬と同じだ!
 ペットの幸せは飼い主で決まる。
 飼い主はペットをどうやって決める?
 かわいげで決める。
 時に心を癒やすようにかわいらしく笑い、時に庇護欲をそそるように泣く。
 初対面の大人をにらみ付けるようなペットなんざ、誰ももらっちゃくれない!
 犬だって、お手ぐらいの芸はできる。
 分かったら泣け。」(佐々木)

「いいか?よく聞け。
 お前達は、デカいみそが付いてんだ。
 親から捨てられた子供。それだけで十分、色眼鏡で見られる。
 世間はかわいそうと思ってくれるかもしれない。
 でもそれは、一時的な同情。無関係だから抱ける感傷だ!
 子供をかわいそうと思ってる自分に、酔ってるだけだ!
 みそ付きのお前らが、誰かに手挙げてみろ。
 あっという間に手のひら返しで、これだから親のいない子は!となる。
 そうなったら最後…お前らの人生詰むぞ!
 …先に手出したら負けだ。」(佐々木)

「くだらん理由で逃げ出して、犬のくせに尻尾の振り方も知らない。
 そんな犬は、いつ捨てられても文句は言えない。」(佐々木)

「私は、親が子供を選ぶ現在の制度に疑問を抱いてるだけです。
 子供にも、親を選ぶ権利があるはずです。
 あの子達には、自分だけの帰る場所が必要なんです。」(叶)
「…場所ね。必要なのは人じゃなく、場所か。」(佐々木)
「人に執着するのは…悲劇しか生みませんから。」(叶)

「人間の煩悩は…108つあるらしい。
 あと…何人だ。
 あと何人で108人になる。
 あと何人で俺は自由になれる…。
 そしたら…俺は…。」(佐々木)


キャスト
ポスト(9)(芦田愛菜)
ドンキ / 真希(9)(鈴木梨央)
ピア美(9)(桜田ひより)
ボンビ(9)(渡邉このみ)

オツボネ(17)(大後寿々花)
ロッカー(三浦翔平)

パチ(五十嵐陽向)
ハン(阪本光希)
リュウ(阪本颯希)

笹塚 蓮(藤本哉汰)

涼香(酒井美紀)

東條祐樹(28)(城田優)
東條の妻(Mailys Robin)
レイミ()

謎の女性(40)(鈴木砂羽)

アイスドール/水沢叶(25)(木村文乃)
ドンキと同じ年の頃、「お試し」を経験している。

魔王/佐々木友則(48)(三上博史)

第1話
加藤一郎(店長松本)
加藤久子(池津祥子)
細貝(西村和彦)
細貝晴美(櫻井淳子)

第2話
安田美智子(江口のりこ)
安田裕(長谷川朝晴)
川島(松重豊)
川島美鈴(大塚寧々)


第3話
吉田アズサ(優希美青)
吉田弓枝(澤田育子)
吉田正一郎(吉野容臣)
三田村(犬山イヌコ)

オツボネの母親(西尾まり)

第4話
ボンビの伯母(遠山景織子)
酒井祥子(林田麻里)
酒井大輔(杉田吉平)

第5話
山口(松林慎司)
山口潤子(高橋かおり)

岩本(川村陽介)

五十嵐みどり(高橋ひとみ)

ピア美の父(別所哲也)

スタッフ
脚本監修: 
 野島伸司
脚本: 
 松田沙也
演出: 
 猪股隆一
 鈴木勇馬
 長沼誠
チーフプロデューサー :
 伊藤響
プロデューサー:
 福井雄太
 難波利昭


芦田愛菜ちゃんの主な出演作品



三上博史さんの主な出演作品



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